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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 取り消して特許、登録 B65D
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 B65D
管理番号 1301896
審判番号 不服2014-9221  
総通号数 188 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-08-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-05-19 
確定日 2015-06-29 
事件の表示 特願2011-119649「食品容器のためのすべり抵抗蓋および食品容器」拒絶査定不服審判事件〔平成24年2月9日出願公開、特開2012-25487、請求項の数(7)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成23年5月27日(パリ条約に基づく優先権主張2010年7月26日、中国)の出願であって、平成25年3月14日付けで拒絶理由が通知され、平成25年9月24日に手続補正がされ、平成26年1月28日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成26年5月19日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同時に特許請求の範囲を対象とする手続補正がなされたものである。

第2.平成26年5月19日になされた手続補正(以下、「本件補正」という。)の適否
1.補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲を補正するものであり、本件補正により、次の《補正前》に示す補正前の特許請求の範囲の請求項1は、次の《補正後》に示すように補正された。

《補正前》
食品容器のためのすべり抵抗蓋であり、
蓋本体と、
前記蓋本体の4方向の縁部に配列された折り畳み可能耳状バックルと、
を具備する、すべり抵抗蓋であって、
すべり抵抗層が、前記蓋本体の前記縁部と前記耳状バックルとの間の接合部分に提供され、
すべり抵抗縁部が、前記耳状バックルの縁部に提供され、
格子様すべり止めパターンが、前記耳状バックルの外側表面及び裏面上に提供される、すべり抵抗蓋。

《補正後》
食品容器のためのすべり抵抗蓋であり、
蓋本体と、
前記蓋本体の4方向の縁部に配列された折り畳み可能耳状バックルと、
を具備する、すべり抵抗蓋であって、
すべり抵抗層が、前記蓋本体の前記縁部と前記耳状バックルとの間の接合部分に提供され、
さらに、すべり抵抗縁部が、前記蓋本体の前記縁部と前記耳状バックルとの間の接合部分以外の前記耳状バックルの縁部に提供され、
格子様すべり止めパターンが、前記耳状バックルの外側表面及び裏面上に提供される、すべり抵抗蓋。

この補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定する事項である「すべり抵抗縁部」の配置箇所について、補正前は「前記耳状バックルの縁部に提供され」と規定していたものを、補正後は「前記蓋本体の前記縁部と前記耳状バックルとの間の接合部分以外の」という限定を付加して「前記蓋本体の前記縁部と前記耳状バックルとの間の接合部分以外の前記耳状バックルの縁部に提供され」と規定するものである。そして、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、特許法第17条の2第3項及び第4項に違反するところはない。
そこで、補正後の請求項1に記載された事項によって特定される発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について以下に検討する。

2.本願補正発明の独立特許要件について
(1)引用例の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先権主張日前に頒布された刊行物である登録実用新案第3068172号公報(以下、「引用例1」という。)には、次の記載及び開示事項がある。
a「【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】収容箱本体を塞ぐ上蓋の両側に、上下に揺動可能に軸着され且つ該収容箱本体と係合する係合部を備えた板状のロック片を夫々設けて該上蓋と該収容箱本体をロックする上蓋に於いて、該ロック片の外面に、該外面及び該上蓋の上面よりも隆起した滑り止め部材を設けたことを特徴とする収容箱用上蓋の滑り止め装置。
【請求項2】上記滑り止め部材は、上記上蓋の上面を下方にして載置面上に載置したとき、該載置面と接触して該上蓋を滑り止めすることを特徴とする請求項1に記載の収容箱用上蓋の滑り止め装置。
【請求項3】上記滑り止め部材を、上記ロック片の外面に一体に層状に成形し、その層面に凹溝を形成したことを特徴とする請求項1に記載の収容箱用上蓋の滑り止め装置。
【請求項4】上記収容箱本体に中皿を着脱自在に設け、上記ロック片に該中皿及び収容箱本体に係合する係合部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の収容箱用上蓋の滑り止め装置。」

b「【0007】
該上蓋4の両側には、該上蓋4の上方と下方の上下に揺動可能に支軸6、6で該上蓋4に軸着され且つ該収容箱本体3と係合する係合部7を内面8aに突設した合成樹脂製の板状のロック片8、8を夫々設け、該ロック片8を下方に揺動させたとき該係合部7が該収容箱本体3の側面に設けた一対の突起9に係合して該上蓋4が収容箱本体3にロックされ、この状態から該ロック片8を上方へ揺動させると、該係合部7が突起9から外れて上蓋4を開くことが可能になる。各ロック片8は、略J字状の断面を有し、その曲がり部8bの両側に上蓋4に形成した軸孔10に嵌合する支軸6を夫々設けた。該ロック片8は、上蓋4の両側に形成した凹部11内に取り付けした。尚、各ロック片8の内面8aには、図3に見られるように、該係合部7と平行する第2係合部12を突設し、該ロック片8の揺動で該第2係合部12が中皿5の下端縁5aと係合して該中皿5も上蓋4にロックされるようにした。」

c「【0008】
該収容箱本体3から取り外した上蓋4は、図4に示すように、上蓋4の内面4aを上に向けて机などの載置面13上に載置され、通常の使用状態では上蓋4の上に収容箱本体3が重ねて載せられるが、前記したように体などが触れると上蓋4が合成樹脂製で滑りやすいため載置面13から滑落する不都合がある。これを防ぐため、本考案では該ロック片8の外面8cに、ゴムからなる滑り止め部材14をその外面8cよりも隆起し且つ上蓋4の上面4bよりも隆起させて設け、図4のように上蓋4を載置したとき、該滑り止め部材14が該載置面13に接触して上蓋4の滑りが防止されるようにした。」

d「【0011】
図示のものは、ロック片8を跳ね上げて収容箱本体3及び中皿5から外し、上蓋4をその内面4aを上向きにして載置面13上に置き、中皿5と共に収容箱本体3を内面4a上に重ねて使用され、このとき該ロック片8の滑り止め部材14のみが載置面13に接触するため、該上蓋4や収容箱本体3に体などが触れても載置面13上を滑ることがなく、安全性が良好になり、該上蓋4に施された模様などを損なうこともない。以上の実施例では裁縫箱に適用した例を説明したが、書道箱や弁当箱など各種の収容箱に本考案を適用することが可能である。」

e 図1?4には、ロック片8が上蓋4の両側の縁部に設けられていること及び、ゴムからなる滑り止め部材14は、ロック片8の揺動の際に動きの中心となる部分に近接した部分に設けられていることが開示されている。また、上蓋4のロック片8を除く部分は、上蓋本体と呼ぶことができる。

(2)引用発明
引用例1の上記記載及び開示事項を、技術常識に従い本願補正発明に倣って整理すれば、引用例1には次の発明が記載されている。(以下、「引用発明」という。)
《引用発明》
弁当箱のための滑り止め部材14を設けた上蓋4であり、
上蓋本体と、
前記上蓋本体の両側の縁部に設けられた、揺動可能に軸着されたロック片8と、
を具備する、上蓋4であって、
ゴムからなる滑り止め部材14が、ロック片8の外面8cの揺動の際に動きの中心となる部分に近接した部分に設けられている、
滑り止め部材14を設けた上蓋4。

(3)対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。
引用発明の「弁当箱」は本願補正発明の「食品容器」に相当し、同様に、
「滑り止め部材14を設けた上蓋4」は、「すべり抵抗蓋」に、
「上蓋4」は、「蓋」に、
「上蓋本体」は、「蓋本体」に、
「ゴムからなる滑り止め部材14」は、「すべり抵抗層」に、
「揺動可能に軸着されたロック片8」は、「折り畳み可能耳状バックル」に、それぞれ相当する。
引用発明で、上蓋本体の両側の縁部にロック片8が設けられていることと、本願補正発明で、蓋本体の4方向の縁部に折り畳み可能耳状バックルが配列されていることとは、「蓋本体の両側縁部に折り畳み可能耳状バックルが配列されている」限りにおいて一致する。
本願明細書段落0015に「すべり抵抗性を改善するために、すべり抵抗層3は、この実施形態においてゴムから作製され、蓋本体1の縁部と耳状バックル2との間の接合部分でヒート・シールされる。このような方法で、容器が使用者によって把持されるときにすべりが発生しないように、耳状バックル2と使用者の手との間の摩擦が高められる。」と記載されている。この記載及び本願図1、図2からみて、本願補正発明の「すべり抵抗層」が設けられる(提供される)「前記蓋本体の前記縁部と前記耳状バックルとの間の接合部分」とは、折り畳み(揺動)の際に、動きの中心となる部分に近接した部分であることが分かる。すると、引用発明の「ゴムからなる滑り止め部材14が、ロック片8の外面8cの揺動の際に動きの中心となる部分に近接した部分に設けられている」と、本願補正発明で「すべり抵抗層が、前記蓋本体の前記縁部と前記耳状バックルとの間の接合部分に提供され」ているとは、「すべり抵抗層が、折り畳み動作の動きの中心となる部分に近接した部分に提供されている」限りにおいて一致する。
したがって、本願補正発明と引用発明との一致点、相違点は、次のとおりである。

《一致点》
食品容器のためのすべり抵抗蓋であり、
蓋本体と、
前記蓋本体の両側の縁部に配列された折り畳み可能耳状バックルと、
を具備する、すべり抵抗蓋であって、
すべり抵抗層が折り畳み動作の動きの中心となる部分に近接した部分に提供されている、すべり抵抗蓋。

《相違点1》
本願補正発明では、蓋本体の4方向の縁部に耳状バックルが設けられているのに対して、引用発明では、4方向ではなく、両側の縁部に耳状バックル(ロック片8)が設けられている点。

《相違点2》
本願補正発明では、すべり抵抗層が、前記蓋本体の前記縁部と前記耳状バックルとの間の接合部分に提供されているのに対して、引用発明では、すべり抵抗層(滑り止め部材14)が、ロック片8の外面8cの揺動の際に動きの中心となる部分に近接した部分に設けられている点。

《相違点3》
本願補正発明では、耳状バックルには、蓋本体の蓋本体の縁部と耳状バックルとの間の接合部分以外の縁部にもすべり抵抗縁部が設けられているのに対して、引用発明では、ロック片8の「外面8cの揺動の際に動きの中心となる部分に近接した部分」以外の縁部には、すべり抵抗縁部(滑り止め部材14)が設けられていない点。

《相違点4》
本願補正発明では、耳状バックルの外側表面及び裏面上に格子様すべり止めパターンが提供される(設けられている)のに対して、引用発明では、耳状バックル(ロック片8)の外側表面及び裏面上に格子様すべり止めパターンが設けられていない点。

(4)相違点の検討
事案に鑑み、まず、相違点3について検討する。
引用発明のロック片8の滑り止め部材14は、引用例1の段落0008に「図4のように上蓋4を載置したとき、該滑り止め部材14が該載置面13に接触して上蓋4の滑りが防止される」と記載されているように、「上蓋4をその内面4aを上向きにして載置面13上に置」いたとき、「滑り止め部材14のみが載置面13に接触するため、該上蓋4や収容箱本体3に体などが触れても載置面13上を滑ることがなく、安全性が良好」になる(引用例1の段落0011)作用効果を得るために設けるものである。そして、ロック片8の「外面8cの揺動の際に動きの中心となる部分に近接した部分」以外の縁部に滑り止め部材14を設けても、「上蓋4をその内面4aを上向きにして載置面13上に置」いたとき、「滑り止め部材14が該載置面13に接触して上蓋4の滑りが防止される」作用効果が生じないことは、当業者に自明である。すると、引用発明において、ロック片8の「外面8cの揺動の際に動きの中心となる部分に近接した部分」以外の縁部に滑り止め部材14を設ける動機付けは存在しないから、引用発明に、相違点3に係る本願補正発明の構成を採用することを、当業者が容易に推考し得たとはいえない。
原査定の拒絶の理由に引用された特開2001-115316号公報は、「滑り止め手袋および同製造方法並びに製造装置」の発明について記載された文献であり、同じく原査定の拒絶の理由に引用された特開2006-137444号公報は、「飲料用カップの蓋」の発明について記載された文献であるが、いずれにも、相違点3に係る本願補正発明の構成は記載されていないし、示唆する記載もない。原審の拒絶査定において一般的な技術水準を示す文献として挙げられた登録実用新案第3126314号公報、特開2006-328571号公報及び実願昭54-13520号(実開昭55-115563号)のマイクロフィルムは、それぞれ「注射器型玩具」、「締め付けバンド」及び「蓋付き容器の蓋押え装置」の発明について記載された文献であるが、いずれにも、相違点3に係る本願補正発明の構成は記載されていないし、示唆する記載もない。さらに、前置報告書において引用文献1として挙げられた韓国登録実用新案第20-0347176号公報にも、相違点3に係る本願補正発明の構成は記載されていないし、示唆する記載もない。
したがって、相違点3に係る本願補正発明の構成は、当業者が容易に想到することができたものとはいえないから、他の相違点について検討するまでもなく、本願補正発明は、引用発明及び原査定の拒絶の理由に引用された刊行物に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
また、他に、本願補正発明の独立特許要件を否定する理由を発見しない。よって、本件補正のうち請求項1に係る補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合する。

3.本件補正後の請求項2?7に係る発明について
本件補正では、請求項2?7については、補正前後で文言が変わっていない。また、本件補正後の請求項2?7に係る発明は、いずれも直接又は間接的に本願補正発明を引用して発明を特定しており、上記相違点3に係る本願補正発明の構成を備えている。したがって、本件補正後の請求項2?7に係る発明は、上記2.(4)で述べたのと同様の理由により、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

4.まとめ
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第3項ないし第6項の規定に適合するから、本件補正を認める。

第3.本願発明について
本件補正は上記のとおり認められたから、本願の請求項1ないし7に係る発明は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載された事項により特定されるとおりのものである。
そして、上記第2.2.及び同3.で述べたのと同様の理由により、本願の請求項1ないし7に係る発明は、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないから、原査定の拒絶理由によって本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2015-06-09 
出願番号 特願2011-119649(P2011-119649)
審決分類 P 1 8・ 575- WY (B65D)
P 1 8・ 121- WY (B65D)
最終処分 成立  
前審関与審査官 高橋 裕一田中 佑果  
特許庁審判長 渡邊 豊英
特許庁審判官 三宅 達
栗林 敏彦
発明の名称 食品容器のためのすべり抵抗蓋および食品容器  
代理人 ▲吉▼川 俊雄  
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