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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1302032
審判番号 不服2013-23599  
総通号数 188 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-08-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-12-02 
確定日 2015-06-11 
事件の表示 特願2009- 77778「電子機器」拒絶査定不服審判事件〔平成22年10月14日出願公開、特開2010-231458〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯

本件審判請求に係る出願(以下,「本願」という。)は,平成21年3月26日を出願日とする出願であって,平成24年2月3日付けで審査請求がなされ,平成25年3月25日付けで拒絶理由通知(平成25年4月2日発送)がなされ,これに対して平成25年5月30日付けで意見書が提出されるとともに同日付けで手続補正がなされ,平成25年6月13日付けで拒絶理由通知(平成25年6月18日発送)がなされ,これに対して平成25年8月19日付けで意見書が提出されるとともに同日付けで手続補正がなされたが,平成25年8月30日付けで拒絶査定(平成25年9月3日謄本送達)がなされたものである。
これに対して,「原査定を取り消す。本願の発明は特許すべきものとする,との審決を求める。」ことを請求の趣旨として平成25年12月2日付けで審判請求がなされるとともに同日付けで手続補正がなされ,平成25年12月19日付けで審査官により特許法第164条第3項に定める報告がなされた。


第2.平成25年12月2日付けの手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]

平成25年12月2日付けの手続補正を却下する。

[理由]

1.本件補正の内容
平成25年12月2日付け手続補正(以下,「本件補正」という。)の内容は,平成25年8月19日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?9の記載
「 【請求項1】
外部記憶装置が着脱可能であり,前記外部記憶装置に情報を書き込みかつ情報を取り出す電子機器であって,
自己を特定できる自己特定情報を記憶する自己特定情報記憶部と,
他の操作者を特定できる他の特定情報を記憶する特定情報記憶部と,
情報を前記外部記憶装置に暗号化して書き込む指示が入力されたことを検出すると,暗号キーを生成し,当該生成された暗号キーを用いて前記外部記憶装置に書き込む書き込み情報を暗号化し,さらに,前記自己特定情報及び前記他の特定情報に基づいて,前記暗号キーを暗号化する暗号化部と,
前記暗号化部で前記暗号化した書き込み情報を,暗号化した暗号キーと共に前記外部記憶装置に書き込む書き込み部と,
前記外部記憶装置から暗号化された書き込み情報を読み取る読み取り部と,
前記自己特定情報に基づいて前記暗号キーを復号し,復号した暗号キーで前記暗号化された情報を復号する復号化部とを有することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記自己特定情報及び前記他の特定情報は,電話番号で構成されることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記自己特定情報及び前記他の特定情報は,メールアドレスで構成されることを特徴とする請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記自己特定情報及び前記他の特定情報は,端末を特定する端末情報で構成されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記特定情報記憶部は,アドレス帳であることを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記アドレス帳は,複数の前記他の特定情報をグループとして記憶しており,
前記暗号化部は,指定されたグループに含まれる前記他の特定情報を復号の鍵として用いることを特徴とする請求項5に記載の電子機器。
【請求項7】
前記暗号化部は,複数の特定情報から選択された他の特定情報に基づいて前記暗号キーを暗号化することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項8】
前記暗号化部は,復号の鍵としてさらにパスフレーズを用いて暗号化し,
前記復号化部は,入力されたフレーズと前記パスフレーズとを照合し,一致した場合に前記自己特定情報と暗号化された前記暗号キーとを照合することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項9】
外部記憶装置が着脱可能であり,前記外部記憶装置に情報を書き込みかつ情報を取り出す電子機器であって,
自己を特定できる自己特定情報を記憶する自己特定情報記憶部と,
他の操作者を特定できる他の特定情報を記憶する特定情報記憶部と,
情報を前記外部記憶装置に暗号化して書き込む指示が入力されたことを検出すると,暗号キーを生成し,当該生成された暗号キーを用いて前記外部記憶装置に書き込む書き込み情報を暗号化し,さらに前記自己特定情報及び前記他の特定情報に基づいて前記暗号キーを暗号化する暗号化部と,
前記暗号化部で前記暗号化した書き込み情報を,暗号化した暗号キーと共に前記外部記憶装置に書き込む書き込み部と,を有することを特徴とする電子機器。」
(以下,この特許請求の範囲に記載された請求項を「補正前の請求項」という。)
を,

「 【請求項1】
外部記憶装置が着脱可能であり,前記外部記憶装置に情報を書き込みかつ情報を取り出す電子機器であって,
自己を特定できる自己特定情報を記憶する自己特定情報記憶部と,
他の操作者を特定できる他の特定情報を記憶する特定情報記憶部と,
情報を前記外部記憶装置に暗号化して書き込む指示が入力されたことを検出すると,暗号キーを生成し,当該生成された暗号キーを用いて前記外部記憶装置に書き込む書き込み情報を暗号化し,さらに,前記書き込む指示が入力されたことを検出したときに登録されている前記自己特定情報及び前記他の特定情報のそれぞれに基づいて,前記暗号キーを暗号化する暗号化部と,
前記暗号化部で前記暗号化した書き込み情報を,暗号化した暗号キーと共に前記外部記憶装置に書き込む書き込み部と,
前記外部記憶装置から暗号化された書き込み情報を読み取る読み取り部と,
前記自己特定情報に基づいて前記暗号キーを復号し,復号した暗号キーで前記暗号化された情報を復号する復号化部とを有することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記自己特定情報及び前記他の特定情報は,電話番号で構成されることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記自己特定情報及び前記他の特定情報は,メールアドレスで構成されることを特徴とする請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記自己特定情報及び前記他の特定情報は,端末を特定する端末情報で構成されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記特定情報記憶部は,アドレス帳であることを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記アドレス帳は,複数の前記他の特定情報をグループとして記憶しており,
前記暗号化部は,指定されたグループに含まれる前記他の特定情報を復号の鍵として用いることを特徴とする請求項5に記載の電子機器。
【請求項7】
前記暗号化部は,複数の特定情報から選択された他の特定情報に基づいて前記暗号キーを暗号化することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項8】
前記暗号化部は,復号の鍵としてさらにパスフレーズを用いて暗号化し,
前記復号化部は,入力されたフレーズと前記パスフレーズとを照合し,一致した場合に前記自己特定情報と暗号化された前記暗号キーとを照合することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項9】
外部記憶装置が着脱可能であり,前記外部記憶装置に情報を書き込みかつ情報を取り出す電子機器であって,
自己を特定できる自己特定情報を記憶する自己特定情報記憶部と,
他の操作者を特定できる他の特定情報を記憶する特定情報記憶部と,
情報を前記外部記憶装置に暗号化して書き込む指示が入力されたことを検出すると,暗号キーを生成し,当該生成された暗号キーを用いて前記外部記憶装置に書き込む書き込み情報を暗号化し,さらに前記書き込む指示が入力されたことを検出したときに登録されている前記自己特定情報及び前記他の特定情報のそれぞれに基づいて前記暗号キーを暗号化する暗号化部と,
前記暗号化部で前記暗号化した書き込み情報を,暗号化した暗号キーと共に前記外部記憶装置に書き込む書き込み部と,を有することを特徴とする電子機器。」
(以下,この特許請求の範囲に記載された請求項を「補正後の請求項」という。)
に補正することを含むものである。


2.目的要件
(1) 本件補正は,本願の願書に添付された特許請求の範囲,明細書,又は図面に基づくものといえるから,特許法第17条の2第3項の規定に適合しているといえる。また,特許法第17条の2第4項の規定に適合していることも明らかである。
そして,本件補正は,本件審判の請求と同時にする補正であり,上記「1.本件補正の内容」のとおり,特許請求の範囲についてする補正であるので,本件補正の目的を検討する。

(2) 補正前の請求項1及び9の「前記自己特定情報及び前記他の特定情報に基づいて,前記暗号キーを暗号化する」との記載を,補正後の請求項1及び9において「前記書き込む指示が入力されたことを検出したときに登録されている前記自己特定情報及び前記他の特定情報のそれぞれに基づいて,前記暗号キーを暗号化する」と補正することは,いずれも補正前の各請求項に係る発明を特定する事項を限定するものであって,産業上の利用分野及び解決しようとする課題を変更するものではない。
してみると,本件補正の目的は,特許請求の範囲の減縮(特許法第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって,その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る。)(以下,「限定的減縮」という。)に該当する。


3.独立特許要件
本件補正は,上記「2.目的要件」において示したように特許請求の範囲の限定的減縮を目的とするものに該当するから,本件補正後の請求項9に係る発明(以下,「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて検討する。

(1) 本件補正発明
本件補正発明は,補正後の請求項9に記載された事項により特定される,以下のとおりのものである。(再掲する。)

「 外部記憶装置が着脱可能であり,前記外部記憶装置に情報を書き込みかつ情報を取り出す電子機器であって,
自己を特定できる自己特定情報を記憶する自己特定情報記憶部と,
他の操作者を特定できる他の特定情報を記憶する特定情報記憶部と,
情報を前記外部記憶装置に暗号化して書き込む指示が入力されたことを検出すると,暗号キーを生成し,当該生成された暗号キーを用いて前記外部記憶装置に書き込む書き込み情報を暗号化し,さらに前記書き込む指示が入力されたことを検出したときに登録されている前記自己特定情報及び前記他の特定情報のそれぞれに基づいて前記暗号キーを暗号化する暗号化部と,
前記暗号化部で前記暗号化した書き込み情報を,暗号化した暗号キーと共に前記外部記憶装置に書き込む書き込み部と,を有することを特徴とする電子機器。」

(2)先行技術文献
ア.引用文献1
本願の出願日前に頒布又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献であって,原審の平成25年6月13日付けの拒絶理由通知において引用された,特開2008-299683号公報(以下,「引用文献1」という。)には,図面とともに,次の記載がある。
(当審注:下線は,参考のために当審で付与したものである。以下,同じ。)

A.「【0024】
図1に例示するように,情報記録媒体共用システム1は,n(nは2以上の整数)個のパーソナルコンピュータ(以下「PC」と表記する)10-1?n(「情報処理装置PC(i)(i∈{1,...,n}」に相当)と,これらのPC10-1?n間で共用されるUSBメモリ20(「情報記録媒体」に相当)と,ID-BASE暗号(IBE: Identity Based Encryption)用の鍵を生成するID-BASE鍵生成装置30とを具備する。
【0025】
PC10-1?nは,USBメモリ20へ暗号文を格納し,また,USBメモリ20に格納された暗号文から平文を復号することにより相互に情報を共有する。また,本形態のPC10-1?nとID-BASE鍵生成装置30とは,専用回線又は通信情報の暗号化によって安全性が確保された通信経路によって接続されている。
【0026】
なお,本形態では,情報処理装置の一例としてパーソナルコンピュータを例示し,情報記録媒体の一例としてUSBメモリを例示するが,本発明はこれに限定されるものではない。また,ID-BASE暗号とは,ユーザの固有情報である識別情報(例えば,メールアドレス,URL,利用者名称等)を公開鍵として用いる暗号化方式をいう。・・・(後略)・・・」

B.「【0035】
[登録過程]
次に,登録過程を説明する。
図3は,本形態の登録過程に関連する各機能ブロックとデータの流れとを示した図であり,図9は,本形態の登録過程を説明するためのシーケンス図である。なお,以下では,PC10-1がPC10-1とPC10-2との登録処理を行う例を示す。また,各処理の前提としてPC10-iには,OSやセキュリティプログラムやアプリケーションソフトウェアがインストールされているものとする。また,以下では記載を省略するが,各処理は制御部14i,23の制御のもと実行され,PC10-i内での演算過程における各データは逐一一時メモリ14jに読み書きされる。
【0036】
まず,PC10-1にUSBメモリ20が装着・マウントされると,PC10-1の出力部16は,登録を行うPC10-iの識別情報ID(i)の入力指示表示を行う。利用者は,この入力指示に従い,入力部15(図3(a))に対し,登録を行うPC10-iの識別情報ID(i)を入力する。本形態の例では,PC10-1,2の識別情報ID(1), ID(2)が入力部15に入力され,これらが記憶部13に格納される(ステップS1)。
【0037】
次に,PC10-1の共通鍵生成部14aが共通鍵KAを生成(例えばランダムに生成)して出力する(ステップS2)。また,内部読み込み部12bが,記憶部13からマスター公開鍵MPKと識別情報ID(1), ID(2)とを読み込む。共通鍵KAとマスター公開鍵MPKと識別情報ID(1), ID(2)とは,鍵秘匿化部14cに入力される。鍵秘匿化部14cは,マスター公開鍵MPKと識別情報ID(1), ID(2)とを用い,ID-BASE暗号方式によって共通鍵暗号方式の共通鍵KAを暗号化した各暗号文IBE(MPK, ID(1), KA),IBE(MPK, ID(2), KA)を生成する(ステップS3)。以下に,前述の《鍵生成処理の一例》で生成されたマスター公開鍵MPKを用いた場合のステップS3の処理を例示する。なお,この例の識別情報ID(i)は整数であり,例えば,メールアドレスの文字列を数値表現した情報である。
・・・(中略)・・・
【0040】
内部読み込み部12bが記憶部13から読み込んだ識別情報ID(1),ID(2)と,鍵秘匿化部14cが生成した暗号文IBE(MPK, ID(1), KA) ,IBE(MPK, ID(2), KA)とは,外部書き込み部11aに送られる。外部書き込み部11aは,これらをUSBメモリ20のインタフェース部21(図3(b))に送り,インタフェース部21は,識別情報ID(1)と暗号文IBE(MPK, ID(1), KA)とを関連付け,識別情報ID(2)と暗号文IBE(MPK, ID(2), KA)とを関連付け,それらを記憶部22の領域22bに格納する(ステップS4)。」

C.「【0044】
まず,PC10-1にUSBメモリ20が装着・マウントされているものとする。この状態で,WordやExcel(登録商標)等のアプリケーションソフトウェアを実行するPC10-1のアプリケーション実行部14h(図4(a))が,制御部14iに対し,平文M(1)の暗号文のUSBメモリ20への書き込み要求を行う。これをトリガとして,PC10-1の内部読み込み部12bが記憶部13から識別情報ID(1)を読み込み,これをPC10-1の外部読み込み部11bに送る。当該外部読み込み部11bは,USBメモリ20の記憶部22の領域22b(図4(b))から,識別情報ID(1)に関連付けられている暗号文IBE(MPK, ID(1), KA)を読み込む(ステップS21)。
・・・(中略)・・・
【0047】
また,PC10-1のアプリケーション実行部14hは,平文M(1)をその暗号化部14eに送り,当該暗号化部14eは,共通鍵暗号方式により,共通鍵KAを用いて平文M(1)を暗号化した暗号文SE(KA, M(1))を生成する(ステップS23)。なお,SE(α, β)は,所定の共通鍵暗号方式により,共通鍵αを用いてβを暗号化した暗号文を意味する。また,共通鍵暗号方式としては,例えばCamelliaやAES等を例示できる。
【0048】
生成された暗号文SE(KA, M(1))は,外部書き込み部11aによって,USBメモリ20のインタフェース部21に送られ,そこから記憶部22の領域22c(図4(b))に格納される(ステップS24/書き込み過程終了)。」

イ.参考文献1
本願の出願日前に頒布又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献であって,原審の平成25年8月30日付けの拒絶査定において引用された,再公表特許第95/9410号(以下,「参考文献1」という。)には,図面とともに,次の記載がある。

D.「 暗号化が選択されると(ステップ103でYES),暗号化の対象となる平文ファイルのファイル名が,作成者によって入力装置3からコンピュータ・システム1に入力される(ステップ104)。入力されたファイル名に対応する平文ファイル41が外部記憶装置4から読み出され,コンピュータ・システム1の内部メモリに記憶される(ステップ105)。
次に,この平文ファイルを暗号化するために用いられる鍵44(ファイル鍵という)が生成される(ステップ106)。ファイル鍵44の生成方法については後に詳述する。平文ファイル41の平文は,このファイル鍵44を用いて暗号化され,暗号文が生成される(ステップ107)。暗号化処理には,上述した暗号アルゴリズムの一つが用いられる。暗号化処理により生成された暗号文は,中間データ42としてコンピュータ・システム1の内部メモリに記憶される。
続いて,秘密鍵47が,作成者によって入力装置3からコンピュータ・システム1に入力される(ステップ108)(第3b図)。この秘密鍵47は,作成者が任意に決定するものであり,暗証番号(パスワード)と考えることができる。秘密鍵47は,任意の数字列または文字列等からなる。
ファイル鍵44は,秘密鍵47を用いて暗号化される(ステップ109)。ここでは,この暗号化された鍵45を暗号鍵1ということにする。また,ファイル鍵44は,FD1に格納されている管理鍵48を用いて暗号化される(ステップ110)。この暗号化された鍵46を暗号鍵2ということにする。これらのファイル鍵44の暗号化処理にも,上述した暗号アルゴリズムの一つが用いられる。
そして,これらの暗号鍵1および2ならびに中間データ42の暗号文から,暗号ファイル43が作成される(ステップ111)。第9図は,コンピュータ・システム1の内部メモリ上の暗号ファイル43のデータ構造を示している。暗号ファイルの先頭の領域に暗号鍵1および2が記憶されている。この領域に続く領域に中間データ42の暗号文が記憶されている。暗号ファイルが作成されるときに,暗号ファイル名(平文ファイル名と一部または全部が異なるファイル名)が作成される。この暗号ファイル名も,暗号ファイルのデータ領域に続く領域に記憶されることもある。
続いて,FD3が,作成者によってFDドライブ6にセットされる(ステップ112)。もし必要ならば,このセットに先だって,FD3をFDドライブ6にセットすることを作成者に指示するための案内が,表示装置2の表示画面に表示されるであろう。このセットされたFD3に暗号ファイル43および暗号ファイル名が格納される(ステップ113)。そして,暗号化処理は終了する。第10図は,FD3の記憶の構造を示している。FD3には,ディレクトリ,FAT(File Allocation Table)およびデータ領域の3つの領域がある。データ領域のアドレスAD2には,暗号ファイル(暗号鍵1および2ならびに暗号文)が記憶されている。FATのアドレスAD1には,データ領域のアドレスAD2が記憶されている。ディレクトリには,暗号ファイル名(ここではファイル名を“ABC.SEC”とする)およびFAT上のアドレスAD1が記憶されている。」(第21頁上左欄第3行?同頁下左欄第13行)

(3) 引用発明の認定
引用文献1に記載されている事項について検討する。

ア.上記A.の「図1に例示するように,情報記録媒体共用システム1は,n(nは2以上の整数)個のパーソナルコンピュータ(以下「PC」と表記する)10-1?n(「情報処理装置PC(i)(i∈{1,...,n}」に相当)と,これらのPC10-1?n間で共用されるUSBメモリ20(「情報記録媒体」に相当)と,・・・(中略)・・・を具備する。」,及び「PC10-1?nは,USBメモリ20へ暗号文を格納し,また,USBメモリ20に格納された暗号文から平文を復号することにより相互に情報を共有する。」との記載から,例えば,「PC10-1」など特定の1つのPCに着目すると,引用文献1には,「複数のPC間でUSBメモリを共有し,前記USBメモリに暗号文を格納し,また前記USBメモリに格納された暗号文から平文を復号するPC」が記載されているといえる。

イ.上記B.の「PC10-1がPC10-1とPC10-2との登録処理を行う例を示す。」,及び「本形態の例では,PC10-1,2の識別情報ID(1), ID(2)が入力部15に入力され,これらが記憶部13に格納される」との記載,並びに上記A.の「ユーザの固有情報である識別情報(例えば,メールアドレス,URL,利用者名称等)」との記載から,引用文献1には,「PCの識別情報ID(1)と他のPCの識別情報ID(2)を格納する手段であって,前記各識別情報はユーザの固有情報である手段」が記載されているといえる。

ウ.上記B.の「PC10-1の共通鍵生成部14aが共通鍵KAを生成(例えばランダムに生成)して出力する」,及び「鍵秘匿化部14cは,マスター公開鍵MPKと識別情報ID(1), ID(2)とを用い,ID-BASE暗号方式によって共通鍵暗号方式の共通鍵KAを暗号化した各暗号文IBE(MPK, ID(1), KA),IBE(MPK, ID(2), KA)を生成する」との記載,並びに上記C.の「PC10-1のアプリケーション実行部14h(図4(a))が,制御部14iに対し,平文M(1)の暗号文のUSBメモリ20への書き込み要求を行う。これをトリガとして・・・」,及び「PC10-1のアプリケーション実行部14hは,平文M(1)をその暗号化部14eに送り,当該暗号化部14eは,共通鍵暗号方式により,共通鍵KAを用いて平文M(1)を暗号化した暗号文SE(KA, M(1))を生成する」との記載から,引用文献1には,「共通鍵KAを生成し,PCの識別情報ID(1)と他のPCの識別情報ID(2)とを用いて,前記共通鍵KAを暗号化した各暗号文IBE(MPK, ID(1), KA)及びIBE(MPK, ID(2), KA)を生成し,平文M(1)の暗号文のUSBメモリへの書き込み要求が行われたことをトリガとして,前記共通鍵KAを用いて前記平文M(1)を暗号化した暗号文SE(KA, M(1))を生成する手段」が記載されているといえる。

エ.上記B.の「鍵秘匿化部14cが生成した暗号文IBE(MPK, ID(1), KA) ,IBE(MPK, ID(2), KA)とは,外部書き込み部11aに送られる。外部書き込み部11aは,これらをUSBメモリ20のインタフェース部21(図3(b))に送り,インタフェース部21は,識別情報ID(1)と暗号文IBE(MPK, ID(1), KA)とを関連付け,識別情報ID(2)と暗号文IBE(MPK, ID(2), KA)とを関連付け,それらを記憶部22の領域22bに格納する」との記載,及び上記C.の「生成された暗号文SE(KA, M(1))は,外部書き込み部11aによって,USBメモリ20のインタフェース部21に送られ,そこから記憶部22の領域22c(図4(b))に格納される」との記載から,引用文献1には,「暗号文SE(KA, M(1))と,暗号文IBE(MPK, ID(1), KA)及びIBE(MPK, ID(2), KA)をUSBメモリに格納する手段」が記載されているといえる。

オ.上記ア.ないしエ.に示したことから,引用文献1には,次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「複数のPC間でUSBメモリを共有し,前記USBメモリに暗号文を格納し,また前記USBメモリに格納された暗号文から平文を復号するPCであって,
PCの識別情報ID(1)と他のPCの識別情報ID(2)を格納する手段であって,前記各識別情報はユーザの固有情報である手段と,
共通鍵KAを生成し,PCの識別情報ID(1)と他のPCの識別情報ID(2)とを用いて,前記共通鍵KAを暗号化した各暗号文IBE(MPK, ID(1), KA)及びIBE(MPK, ID(2), KA)を生成し,平文M(1)の暗号文のUSBメモリへの書き込み要求が行われたことをトリガとして,前記共通鍵KAを用いて前記平文M(1)を暗号化した暗号文SE(KA, M(1))を生成する手段と,
暗号文SE(KA, M(1))と,暗号文IBE(MPK, ID(1), KA)及び,IBE(MPK, ID(2), KA)をUSBメモリに格納する手段と,を有するPC。」

(4) 対比
ア. 引用発明と本件補正発明を対比する。
(ア) 引用発明の「USBメモリ」は本件補正発明の「外部記憶装置」に対応し,引用発明の「PC」は本件補正発明の「電子機器」に対応する。
そして,引用発明の「PC」は,「複数のPC間でUSBメモリを共有」できるものであるから,「USBメモリ」を「着脱可能」であるといえる。
さらに,引用発明の「PC」は,「前記USBメモリに暗号文を格納し,また前記USBメモリに格納された暗号文から平文を復号する」ものであるし,前記「暗号文」は「情報」であるといえるから,引用発明の「PC」は,USBメモリに「情報を書き込みかつ情報を取り出す」ものであるといえる。
してみると,引用発明の「複数のPC間でUSBメモリを共有し,前記USBメモリに暗号文を格納し,また前記USBメモリに格納された暗号文から平文を復号するPC」は,本件補正発明の「外部記憶装置が着脱可能であり,前記外部記憶装置に情報を書き込みかつ情報を取り出す電子機器」に相当する。

(イ) 引用発明の「識別情報」は,「ユーザの固有情報」であるから,引用発明の「当該PCの識別情報ID(1)」は,「自己を特定できる」情報であるといえるし,引用発明の「他のPCの識別情報ID(2)」は,「他の操作者を特定できる」情報であるといえる。
してみると,引用発明の「PCの識別情報ID(1)と他のPCの識別情報ID(2)を格納する手段であって,前記各識別情報はユーザの固有情報である手段」は,本件補正発明の「自己を特定できる自己特定情報を記憶する自己特定情報記憶部と,他の操作者を特定できる他の特定情報を記憶する特定情報記憶部」に相当する。

(ウ) 引用発明の「共有鍵KA」は,「平文M(1)」を暗号化する鍵であるから,「暗号キー」といえるものであり,引用発明の「平文M(1)」は,暗号化された後に「USBメモリ」に格納されるものであるから,「書き込み情報」であるといえる。
また,引用発明の「当該PCの識別情報ID(1)」と「他のPCの識別情報ID(2)」は,PCにおいて格納されているものであるから,「登録されている」ものであるといえる。さらに,引用発明の「当該PCの識別情報ID(1)」及び「他のPCの識別情報ID(2)」が,それぞれ,「自己を特定できる」情報及び「他の操作者を特定できる」情報といえることは,上記(イ)において示したとおりである。
加えて,引用発明の「平文M(1)の暗号文のUSBメモリへの書き込み要求」は,本件補正発明の「情報を前記外部記憶装置に暗号化して書き込む指示」に対応するものであるといえるし,引用発明において,当該「要求」が「行われたことをトリガとして」所定の処理を行うことは,所定の「指示」が「入力されたことを検出したとき」に所定の処理を行うことに対応する。
してみると,引用発明の「共通鍵KAを生成し,PCの識別情報ID(1)と他のPCの識別情報ID(2)とを用いて,前記共通鍵KAを暗号化した各暗号文IBE(MPK, ID(1), KA)及びIBE(MPK, ID(2), KA)を生成し,平文M(1)の暗号文のUSBメモリへの書き込み要求が行われたことをトリガとして,前記共通鍵KAを用いて平文M(1)を暗号化した暗号文SE(KA, M(1))を生成する手段」と,本件補正発明の「情報を前記外部記憶装置に暗号化して書き込む指示が入力されたことを検出すると,暗号キーを生成し,当該生成された暗号キーを用いて前記外部記憶装置に書き込む書き込み情報を暗号化し,さらに前記書き込む指示が入力されたことを検出したときに登録されている前記自己特定情報及び前記他の特定情報のそれぞれに基づいて前記暗号キーを暗号化する暗号化部」は,「暗号キーを生成し,登録されている前記自己特定情報及び前記他の特定情報のそれぞれに基づいて前記暗号キーを暗号化し,さらに,情報を前記外部記憶装置に暗号化して書き込む指示が入力されたことを検出すると,当該生成された暗号キーを用いて前記外部記憶装置に書き込む書き込み情報を暗号化する暗号化部」である点で共通する。

(エ) 引用発明の「暗号文SE(KA, M(1))」が,「暗号化した書き込み情報」といえること,及び引用発明の「暗号文IBE(MPK, ID(1), KA)及びIBE(MPK, ID(2), KA)」が,登録されている自己特定情報と他の特定情報のそれぞれに基づいて暗号キーを暗号化したものであるといえることは,上記(ウ)において示したとおりである。
そして,引用発明は,「前記暗号文SE(KA, M(1))」と「前記暗号文IBE(MPK, ID(1), KA)及びIBE(MPK, ID(2), KA)」の両方を「USBメモリに格納する」ものであるし,「共に」との用語は,「一緒に」や「同じく」との意味であると解することができるから,引用発明は,「前記暗号文SE(KA, M(1))」を「前記暗号文IBE(MPK, ID(1), KA)及びIBE(MPK, ID(2), KA)」と共に「USBメモリに格納する」ものであるといえる。
してみると,引用発明の「暗号文SE(KA, M(1))と,暗号文IBE(MPK, ID(1), KA)及びIBE(MPK, ID(2), KA)をUSBメモリに格納する手段」は,本件補正発明の「前記暗号化部で前記暗号化した書き込み情報を,暗号化した暗号キーと共に前記外部記憶装置に書き込む書き込み部」に相当する。

イ.上記ア.において示したことから,本件補正発明と引用発明の一致点及び相違点は,次のとおりである。

[一致点]
外部記憶装置が着脱可能であり,前記外部記憶装置に情報を書き込みかつ情報を取り出す電子機器であって,
自己を特定できる自己特定情報を記憶する自己特定情報記憶部と,
他の操作者を特定できる他の特定情報を記憶する特定情報記憶部と,
暗号キーを生成し,登録されている前記自己特定情報及び前記他の特定情報のそれぞれに基づいて前記暗号キーを暗号化し,さらに,情報を前記外部記憶装置に暗号化して書き込む指示が入力されたことを検出すると,当該生成された暗号キーを用いて前記外部記憶装置に書き込む書き込み情報を暗号化する暗号化部と,
前記暗号化部で前記暗号化した書き込み情報を,暗号化した暗号キーと共に前記外部記憶装置に書き込む書き込み部と,を有することを特徴とする電子機器。

[相違点]
本件補正発明は,「情報を前記外部記憶装置に暗号化して書き込む指示が入力されたことを検出」した際に,「当該生成された暗号キーを用いて前記外部記憶装置に書き込む書き込み情報を暗号化」するとの処理に加えて,「暗号キーを生成」するとの処理,及び「登録されている前記自己特定情報及び前記他の特定情報のそれぞれに基づいて前記暗号キーを暗号化」するとの処理を行う構成であるのに対し,引用発明は,そのような構成でない点。

(5) 判断
ア.上記相違点について検討する。
(ア) 参考文献1(上記D.参照)に,「暗号化の対象となる平文ファイルのファイル名が,作成者によって入力装置3からコンピュータ・システム1に入力される(ステップ104)」,「この平文ファイルを暗号化するために用いられる鍵44(ファイル鍵という)が生成される(ステップ106)」,「平文ファイル41の平文は,このファイル鍵44を用いて暗号化され,暗号文が生成される(ステップ107)」,「ファイル鍵44は,秘密鍵47を用いて暗号化される(ステップ109)。ここでは,この暗号化された鍵45を暗号鍵1ということにする。」,「これらの暗号鍵1および2ならびに中間データ42の暗号文から,暗号ファイル43が作成される(ステップ111)」,及び「このセットされたFD3に暗号ファイル43および暗号ファイル名が格納される(ステップ113)」との各処理が一連の処理として実行されることが記載されるように,コンテンツを暗号化する鍵を生成し,当該鍵でコンテンツを暗号化し,当該鍵を暗号化して,暗号化された鍵とコンテンツを共に格納する処理を一連の処理として行うことは,当該技術分野における周知技術であるといえる。

(イ) してみると,引用発明において,「共通鍵KAを生成」,「前記PCの識別情報ID(1)と前記他のPCの識別情報ID(2)とを用いて,前記共通鍵KAを暗号化した各暗号文IBE(MPK, ID(1), KA)及びIBE(MPK, ID(2), KA)を生成」,及び「前記共通鍵KAを用いて平文M(1)を暗号化した暗号文SE(KA, M(1))を生成」との各処理を行う手順に対して上記周知技術を適用して,「平文M(1)の暗号文のUSBメモリへの書き込み要求が行われたことをトリガ」として,「共通鍵KAを生成」,「前記共通鍵KAを用いて平文M(1)を暗号化した暗号文SE(KA, M(1))を生成」,及び「前記PCの識別情報ID(1)と前記他のPCの識別情報ID(2)とを用いて,前記共通鍵KAを暗号化した各暗号文IBE(MPK, ID(1), KA)及びIBE(MPK, ID(2), KA)を生成」との各処理を一連の処理として行う構成とする程度のことは,当業者が適宜なし得ることである。

(ウ) なお,本件審判の請求人は,平成25年12月2日付けの審判請求書において,「本願発明は,引用発明に対して,上記特徴的な構成を有することにより,情報を書き込む際に,現在登録されている自己特定情報及び他の特定情報のそれぞれに基づいて暗号キーを暗号化することによって,引用発明1のように,登録処理段階において暗号キーを一の特定情報を用いて暗号化した後に,情報を書き込む段階において当該一の特定情報が記憶部から削除されたか若しくは新たな特定情報が記憶部に記憶された場合に,改めて登録処理を行う必要がなくなり,暗号化処理をより効率的に行うことができる,という格別の効果を奏します」との主張をしているが,当該主張の効果は,上記(イ)で示した,各処理を一連の処理として行う構成としたことに伴って生ずるものにとどまり,当業者が当然に予測し得る範囲のものにすぎないといえる。

イ.小括
上記ア.で検討したごとく,相違点は格別のものではなく,そして,本件補正発明の奏する作用効果は,上記引用発明,及び参考文献1にみられる周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず,格別顕著なものということはできない。
したがって,本件補正発明は,上記引用発明,及び参考文献1に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。


4.補正却下の決定についてのむすび
上記3.に示したとおり,補正後の請求項9に係る発明は,特許法第29条第2項の規定により,特許出願の際独立して特許を受けることができない。
したがって,本件補正は,特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので,同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって,補正却下の決定の結論のとおり決定する。


第3.本願発明について

1.本願発明
平成25年12月2日付けの手続補正は,上記のとおり却下されたので,本願の請求項に係る発明は,平成25年8月19日付け手続補正書の請求の範囲の請求項1ないし9に記載された事項により特定されるものである。そして,その請求項9に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,明細書及び図面の記載からみて,補正前の請求項9に記載された事項により特定される,以下のとおりのものである。(再掲する。)

「 外部記憶装置が着脱可能であり,前記外部記憶装置に情報を書き込みかつ情報を取り出す電子機器であって,
自己を特定できる自己特定情報を記憶する自己特定情報記憶部と,
他の操作者を特定できる他の特定情報を記憶する特定情報記憶部と,
情報を前記外部記憶装置に暗号化して書き込む指示が入力されたことを検出すると,暗号キーを生成し,当該生成された暗号キーを用いて前記外部記憶装置に書き込む書き込み情報を暗号化し,さらに前記自己特定情報及び前記他の特定情報に基づいて前記暗号キーを暗号化する暗号化部と,
前記暗号化部で前記暗号化した書き込み情報を,暗号化した暗号キーと共に前記外部記憶装置に書き込む書き込み部と,を有することを特徴とする電子機器。」

2.先行技術文献の記載事項
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1,原査定で引用された参考文献1,及び各文献の記載事項は,上記「第2.平成25年12月2日付けの手続補正についての補正却下の決定」の[理由]「3.独立特許要件」(2)に記載したとおりである。

3.対比・判断
本願発明は,上記「第2.平成25年12月2日付けの手続補正についての補正却下の決定」の[理由]「3.独立特許要件」(1)に記載した本件補正発明から,「前記書き込む指示が入力されたことを検出したときに登録されている前記自己特定情報及び前記他の特定情報のそれぞれに基づいて前記暗号キーを暗号化する」との特定事項における,「前記書き込む指示が入力されたことを検出したときに登録されている」との限定事項と「それぞれ」との限定事項を削除したものである。
そうすると,本願発明の発明特定事項をすべて含み,さらに他の事項を附加したものに相当する本件補正発明が,上記「第2.平成25年12月2日付けの手続補正についての補正却下の決定」の[理由]「3.独立特許要件」(3)ないし(5)に記載したとおり,引用発明及び参考文献1にみられる周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,本願発明も,同様の理由により,引用発明及び参考文献1にみられる周知技術に基づいて,当業者が容易に発明することができたものである。

4.むすび
以上のとおり,本願発明は,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから,他の請求項に係る発明について検討するまでもなく,本願は拒絶されるべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-04-06 
結審通知日 2015-04-07 
審決日 2015-04-21 
出願番号 特願2009-77778(P2009-77778)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G06F)
P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 平井 誠  
特許庁審判長 辻本 泰隆
特許庁審判官 田中 秀人
小林 大介
発明の名称 電子機器  
代理人 酒井 宏明  
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