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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H03H 審判 査定不服 特17 条の2 、4 項補正目的 取り消して特許、登録 H03H 審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 取り消して特許、登録 H03H |
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管理番号 | 1302106 |
審判番号 | 不服2014-14934 |
総通号数 | 188 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2015-08-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2014-07-30 |
確定日 | 2015-07-07 |
事件の表示 | 特願2010-533884「LCフィルタおよび高周波スイッチモジュール」拒絶査定不服審判事件〔平成22年 4月22日国際公開、WO2010/044373、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成21年10月9日(優先権主張 平成20年10月17日)を国際出願日とする出願であって、平成26年4月18日付けで拒絶査定がなされ、同年7月30日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、手続補正がなされたものである。 2.平成26年7月30日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成26年7月30日付けの手続補正を却下する。 [理由] 2-1.補正後の特許請求の範囲の記載 上記補正により、特許請求の範囲の請求項1は、 「積層された複数の絶縁層と、少なくとも該複数の絶縁層間に形成された電極パターンと、該絶縁層間の電極パターンを積層方向に接続するスルーホール電極とを備え、前記電極パターンと前記スルーホール電極とからインダクタおよびキャパシタを形成してなるLCフィルタであって、 前記インダクタおよび前記キャパシタは複数備えられ、且つ該複数のインダクタは電気回路上で直列接続されており、 前記複数のインダクタは、それぞれが、複数の絶縁層間に形成された複数の電極パターンおよび前記スルーホール電極から形成され、 前記複数のインダクタのうち、第1のインダクタおよび第2のインダクタは、それぞれが、複数の絶縁層間に形成された複数の電極パターンおよび前記スルーホール電極から形成される主機能電極と、該主機能電極の両端に接続し、それぞれに異なる絶縁層間に形成された電極パターンからなる入出力機能電極とを有し、 前記第1のインダクタと第1のキャパシタとで第1のLC並列共振回路を構成し、前記第2のインダクタと第2のキャパシタとで第2のLC並列共振回路を構成し、 前記第1のキャパシタは、1組のキャパシタ対向電極で形成され、 前記第2のキャパシタは、直列接続で隣り合う前記第1のインダクタの電極パターンと前記第2のインダクタの電極パターンとが、前記積層方向に 沿って平面視した状態で、部分的に重なり合うように形成され、 前記1組のキャパシタ対向電極のうちの一方のキャパシタ対向電極は、他方のキャパシタ対向電極よりも前記第2のインダクタ側に配置されており、前記第2のインダクタの前記主機能電極および前記主機能電極の両端の入出力機能電極それぞれに対して、前記積層方向に沿って平面視して少なくとも一部で重なり合うようにして形成されている、LCフィルタ。」 と補正された。(下線部が補正箇所で、下線は手続補正書の記載のとおりである。) 2-2.新規事項 第1のキャパシタを形成する1組のキャパシタ対向電極のうちの一方のキャパシタ対向電極と、他方のキャパシタ対向電極と、第2のインダクタとの配置について、それらを「前記1組のキャパシタ対向電極のうちの一方のキャパシタ対向電極は、他方のキャパシタ対向電極よりも前記第2のインダクタ側に配置されており」とすることは、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載されておらず、それらの記載を総合したものから自明なことでもない。 したがって、上記手続補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでない。 2-3.備考 なお、審判請求書の請求の理由には、以下の記載がある。 「(4)拒絶査定における付記事項について また、拒絶査定では、平成26年3月4日付け手続補正書による補正後の「特許請求の範囲」と「発明の詳細な説明」に対して、いわゆる特許法第17条の2第3項に規定する要件、および、特許法第36条第4項第1号に係る要件を満たさない旨が付記されております。 この付記事項に対し、今回補正においては、補正前の特許請求の範囲における「前記第2のインダクタの前記主機能部および…両端の入出力機能電極それぞれに対して、前記キャパシタ対向電極が、前記積層方向に沿って平面視して少なくとも一部で重なり合うようにして形成されている」の記載を、「前記1組のキャパシタ対向電極のうちの一方のキャパシタ対向電極は、他方のキャパシタ対向電極よりも前記第2のインダクタ側に配置されており、前記第2のインダクタの前記主機能電極および…両端の入出力機能電極それぞれに対して、前記積層方向に沿って平面視して少なくとも一部で重なり合うようにして形成されている」に補正しております。 すなわち、補正後の請求項1においては、1組のキャパシタ対向電極のうちの他方のキャパシタ対向電極にあたる、『図2の第17層にある「DCc1」』については、第2のインダクタとの位置関係を問うものではありません。そして、1組のキャパシタ対向電極のうちの一方のキャパシタ対向電極にあたる、『図2の第16層にある「DCc1」』については、図4(A)に記載の「DCc1」との形状が一致している点から、第2のインダクタとの位置関係は当業者にとって容易かつ明確に把握することができる事項に なっております。」 上記手続補正で「前記1組のキャパシタ対向電極のうちの一方のキャパシタ対向電極は、他方のキャパシタ対向電極よりも前記第2のインダクタ側に配置されており」とすることは、「一方のキャパシタ対向電極」と「第2のインダクタ」の位置関係と、「他方のキャパシタ対向電極」と「第2のインダクタ」の位置関係とを対比すると、「一方のキャパシタ対向電極」の配置された位置が、「他方のキャパシタ対向電極」の配置された位置よりも、 「第2のインダクタ」側にあるということである。 上記のように「1組のキャパシタ対向電極のうちの他方のキャパシタ対向電極にあたる、『図2の第17層にある「DCc1」』については、第2のインダクタとの位置関係を問うものではありません。」とするのでは、「他方のキャパシタ対向電極」と「第2のインダクタ」の位置関係は特定できない。 そのため、「一方のキャパシタ対向電極」と「第2のインダクタ」の位置関係が明らかであっても、「他方のキャパシタ対向電極」と「第2のインダクタ」の位置関係と対比できないので、「一方のキャパシタ対向電極」が 「他方のキャパシタ対向電極」よりも「第2のインダクタ」側に配置されているとはいえない。 したがって、上記審判請求書の記載によっても、上記手続補正が適法であるとすることはできない。 2-4.むすび 以上のとおり、上記手続補正は願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項の規定に違反するもので、同法第159条第1項において読み替えて準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 3.本願発明について 平成26年7月30日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1-3に係る発明は、平成26年3月4日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項に記載された事項により特定されるとおりのものであ る。 そして、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2015-06-23 |
出願番号 | 特願2010-533884(P2010-533884) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(H03H)
P 1 8・ 57- WY (H03H) P 1 8・ 561- WY (H03H) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 白井 孝治 |
特許庁審判長 |
近藤 聡 |
特許庁審判官 |
加藤 恵一 吉田 隆之 |
発明の名称 | LCフィルタおよび高周波スイッチモジュール |
代理人 | 特許業務法人 楓国際特許事務所 |