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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H01L
審判 査定不服 5項独立特許用件 取り消して特許、登録 H01L
管理番号 1302187
審判番号 不服2014-6575  
総通号数 188 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-08-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-04-09 
確定日 2015-07-07 
事件の表示 特願2010-510284「太陽電池製造のための小さなコンタクトのアレイ」拒絶査定不服審判事件〔平成20年12月11日国際公開、WO2008/150344、平成22年 8月19日国内公表、特表2010-528487、請求項の数(10)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2008年5月12日(優先権主張2007年5月29日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成23年5月9日付けで手続補正書が提出され、平成24年12月28日付けで拒絶理由が通知され、平成25年4月8日付けで意見書が提出されるとともに、同日付けで手続補正書が提出され、同年7月12日付けで拒絶理由(最後)が通知され、同年10月16日付けで意見書が提出されるとともに、同日付けで手続補正書が提出されたが、その後、同年12月6日付けで平成25年10月16日付けの手続補正の補正の却下の決定がなされるとともに、同日付けで拒絶査定がなされた。
本件は、これに対して、平成26年4月9日に拒絶査定に対する審判請求がなされ、同時に手続補正がなされたものである。
その後、平成26年6月25日付けで、前置報告がなされた。

1.平成25年7月12日付けの拒絶理由の内容
原審で通知され、拒絶査定の理由となった平成25年7月12日付けの拒絶理由(以下、単に「拒絶理由」という。)は、以下のとおりのものである。


理 由

(理由1)
この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。



請求項1に係る発明が不明瞭な事項を含んでいる点。

請求項1において、「複数の第2の誘電層間の少なくとも開口に、複数のドットをインクジェット印刷し、前記複数のドットの交差部によって形成された複数のギャップを形成し、該ギャップの間隔が、前記複数のドットを供給するインクジェットプリンタノズルの整列と、前記複数のドットの大きさによって決定される」ことが規定されている。
しかし、本願出願時の技術常識を参酌すると、インクジェットプリンタを使用する塗布方法において、複数あるノズルの全てを使用するのではなく、所望の印刷を行うために複数あるノズルの内、所定のノズルを適宜選択、使用するのであって、ドットの交差部により形成されるギャップは、複数あるインクジェットプリンタノズルの何れを使用したかにもよってもその大きさが変わるものである(必要であれば、特開2004-209887号公報の図13A,図13B、図24、図26等を参照されたい。)。
そうすると、ギャップの間隔は、当該ギャップはノズルの整列と、複数のドットの大きさに対応し、さらに、複数あるインクジェットプリンタノズルの何れを使用したかにより大きく変わり得るものであって、複数のドットを供給するインクジェットプリンタノズルの整列と、前記複数のドットの大きさによって決定され得るものではないと思料される。
よって、ドットのギャップの間隔が、複数のドットを供給するインクジェットプリンタノズルの整列と、前記複数のドットの大きさによって決定されることを規定する請求項1に係る発明は、不明瞭な事項を含んでいる。

請求項1を引用する請求項2?7についても同様である。


(理由2)
この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)

・請求項1、3、4
・引用文献1、2
備考:
引用文献1には、基板の背面にnドープ領域、pドープ領域を設けたシリコン基板上における当該nドープ領域、pドープ領域間にSiO_(2)等からなる誘電体層をnドープ領域、pドープ領域に対応する開口が備えられるようにして形成し、該開口に各導電型の電極を形成し、各導電型の電極を互いに絶縁するポリイミドからなる絶縁層を形成した太陽電池が記載されている(特に、【0049】?【0061】、【0077】、【図6】、【図7】、【図12】を参照)。

引用文献1には、インクジェット印刷方法でマスクを形成し、SiO_(2)等からなる保護層やポリイミドからなる絶縁体層の開口を形成していない。


しかし、引用文献2には、半導体チップに二層の絶縁膜を形成した後、インクジェット法でが記載されている。また、絶縁膜用の材料として、酸化シリコンやポリイミドを用いることが記載されている(特に、【0059】、【0082】?【0093】、【図7】、【図8】を参照)。


引用文献1に記載の発明と引用文献2に記載の発明とは、ともにSiO_(2)等からなる膜及びポリイミドからなる層を備えた半導体素子に形成する電極形成方法という技術分野に属し、密接に連関しているため、引用文献1に記載の発明の絶縁膜における開口形成方法として、引用文献2に記載されている方法を適用することは、当業者が容易になし得たことである。

また、インクジェット方式では、所定のピッチで並んだノズルの、所定の径を有する開口部からインク乃至液滴が吐出されるのであるから、インクに挟まれるギャップの間隔が、複数のノズルの整列と、ドットの大きさによって決定されるのであれば、インクジェット方式で付与される限り、付与されたインク同士のギャップの間隔は、インク吐出装置に由来するノズルの並び具合や当該インクとインクが適用される媒体との親和性等に起因するドットの大きさに対応する何らかの間隔に必然的になると認められる。

してみると、本願請求項1、3、4に係る発明は、引用文献1、2に記載の発明から当業者が容易に発明をすることができたものである。


・請求項2
・引用文献1?4
備考:
引用文献1では、絶縁層の形成方法は不明であるが、スクリーン印刷は、ポリイミドからなる絶縁層の当業者にごくよく知られた形成方法であるから(引用文献3、4参照)、引用文献1に記載の発明のポリイミドからなる絶縁層の形成方法として、当該慣用されているスクリーン印刷を適用することは、当業者が容易になし得たことである。


・請求項5、8?10
・引用文献1?4
備考:
絶縁層を設ける領域は、電極間を電気的に絶縁する構成を備えた範囲内で半導体素子の種類や当該半導体素子に求められる諸特性に応じて当業者が適宜決め得ることであるから、引用文献1に記載の発明において、ポリイミドからなる絶縁層を設ける領域をN型層上の一部として、本願請求項5、8?10に係る発明とすることは、当業者が適宜なし得たことである。


・請求項6、7
・引用文献1?6
備考:
インクジェット印刷において、1つの印刷領域に1回のパスでインクを重ねて印刷を行うことや、複数回のパスでインクを重ねて印刷を行うことは、いずれも本願出願時における慣用事項であり(引用文献5、6参照)、印刷を行うパスの回数は、所望とする印刷速度や印刷精度等に応じて当業者が適宜決め得ることであるから、引用文献1に記載の発明において適宜パスの回数を設定して、本願請求項6、7に係る発明とすることは、当業者が容易になし得たことである。


引 用 文 献 等 一 覧
1.特開2001-189482号公報
2.特開2002-158248号公報
3.特開2006-261089号公報
4.特開2003-298078号公報
5.特開2007-125855号公報
6.特開平11-138787号公報


2.平成25年12月6日付けの拒絶査定の内容
平成25年12月6日付けの拒絶査定(以下、単に「拒絶査定」という。)の内容は、以下のとおりである。


この出願については、平成25年 7月12日付け拒絶理由通知書に記載した理由によって、拒絶をすべきものです。
なお、意見書の内容を検討しましたが、拒絶理由を覆すに足りる根拠が見いだせません。

備考

平成25年10月16日付け手続補正書は、本査定と同時に却下されました、


3.平成26年6月25日付けの前置報告の内容

平成26年6月25日付けの前置報告(以下、単に「前置報告」という。)の内容は、以下のとおりである。


この審判請求に係る出願については、下記の通り報告します。



記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)

請求項1についての補正は限定的減縮を目的としている。この場合、補正後の請求項1に係る発明は特許出願の際独立して特許を受けることができるものでなければならない。
しかしながら、開口部を有するマスクパターンをインクジェット方法で形成し、所望の領域をエッチングすることは、本願出願前における周知慣用事項であるから(引用文献2、3参照)、引用文献1に記載の発明の絶縁膜の貫通孔形成方法として、当該周知慣用の方法を採用することは、当業者にとって容易である。
また、インクを吐出しなかった領域にインクジェットのヘッドのノズル間隔とインクのドット径に応じた大きさの開口が形成されることは、引用文献4の図面等から(【図13】、【図24】、【図26】)、当業者にとって自明と言える事項であるから、所望とする開口部の大きさを得るために、当該開口部の大きさや開口部形成領域と、インクジェットのヘッドのノズルピッチとに応じて、インクのドット径や吐出するか否かを決めることは、当業者の通常の創作能力発揮の範囲内において適宜なし得たことである。
したがって、当該補正後の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。
また、補正後の請求項3、4についても、引用文献1?4に記載の発明から当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。
そして、補正後の請求項2、5、8?10に係る発明と、補正後の請求項6、7については、それぞれ、引用文献1?6に記載の発明、引用文献1?8に記載の発明から当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

よって、この補正は同法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。
そして、この出願は原査定の理由に示したとおり拒絶されるべきものである。

引用文献等一覧
1.特開2001-189482号公報
2.特開2002-158248号公報
3.特開2006-124805号公報
4.特開2004-209887号公報
5.特開2006-261089号公報
6.特開2003-298078号公報
7.特開2007-125855号公報
8.特開平11-138787号公報



第2 本件補正発明
平成26年4月9日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)により、本願の特許請求の範囲は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げられた特許請求の範囲の減縮を目的として補正された。

よって、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1?10に係る発明(以下、それぞれ、「本件補正発明1?10」という。)は、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1?10に記載された、次のとおりのものである。

「【請求項1】
太陽電池へと加工されるウェハ上に第1の誘電層を形成し、
前記第1の誘電層上に複数の第2の誘電層を形成し、
前記複数の第2の誘電層間の少なくとも複数の開口に、複数のドットをインクジェット印刷し、前記複数のドットの交差部によって形成された当該複数のドットよりも小さな領域を有する複数のギャップを形成し、該ギャップのサイズが、少なくとも(i)前記複数のドットを供給する複数のインクジェットプリンタノズルの整列と、(ii)前記複数のドットのサイズと、(iii)いずれのノズルを使用したか、によって決定される、太陽電池の製造方法。
【請求項2】
前記複数の第2の誘電層が、前記ウェハ上にスクリーン印刷されたポリイミドを含む、請求項1に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項3】
前記複数のドットをマスクとして使用して、前記第1の誘電層を貫通する複数のコンタクト領域を形成し、
前記ウェハから前記複数のドットを除去し、
前記第1の誘電層の上に複数の金属コンタクトフィンガーを形成し、前記複数のコンタクト領域を通して、前記第1の誘電層の下に設けられている複数の拡散領域との複数の電気的な接続を形成する
ことをさらに含む、請求項1に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項4】
前記複数の金属コンタクトフィンガーの少なくともいくつかが、前記複数のコンタクト領域の少なくともいくつかを通って、対応する複数のN型拡散領域との複数の電気的な接続を生成するために形成された複数のN型金属コンタクトフィンガーと、前記複数のコンタクト領域の少なくともいくつかを通って、対応する複数のP型拡散領域との複数の電気的な接続を生成するために形成された複数のP型金属コンタクトフィンガーとを含み、
前記複数のP型拡散領域及び前記複数のN型拡散領域が、前記ウェハの、通常の運転時に太陽の方を向くウェハの前面とは反対側の背面に形成されている、請求項3に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項5】
前記複数の第2の誘電層上に、前記複数のN型金属コンタクトフィンガーが形成され、前記複数のP型金属コンタクトフィンガーが形成されていない、請求項4に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項6】
前記複数のドットが、複数のノズルを有するプリントヘッドの、前記ウェハ上での一方向での1回のパスで印刷される、請求項1に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項7】
少なくとも別のパスで、前記ウェハ上でプリントヘッドを通過させ、前記複数のギャップのうち1つのギャップを覆う別のドットを印刷することをさらに含む、請求項6に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項8】
互いに隣接する複数の拡散領域を有する太陽電池ウェハ上に第1の誘電層を形成し、
前記第1の誘電層上であって、一対の隣接する前記複数の拡散領域の境界の上に複数の第2の誘電層を形成し、
前記複数の第2の誘電層のうちの少なくとも2つの誘電層の間の開口に、複数のドットを印刷し、前記複数のドットが、当該複数のドットよりも小さな領域を有する複数のギャップを形成するコンタクトマスクを形成し、前記複数のギャップのそれぞれが、前記複数のドットにおいて重ねられた複数のドットの交差部によって画定され、
前記第1の誘電層の、前記複数のギャップを通って露出している複数の部分をエッチングし、複数のコンタクト領域を形成して、前記太陽電池の前記複数の拡散領域を露出させることを含む、太陽電池の製造方法。
【請求項9】
前記複数のドットを前記ウェハから除去し、
前記複数のコンタクト領域内に複数の金属コンタクトフィンガーを形成し、前記複数の拡散領域のうち対応するものに電気的に接続すること
をさらに含む、請求項8に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項10】
前記第1の誘電層が二酸化シリコンを含む、請求項8に記載の太陽電池の製造方法。」

これに対して、前置報告では、本件補正発明1?10は、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである旨報告しているので、以下に、本件補正発明1?10は、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができるか否かについて、検討する。

1.本件補正発明1について
(1)引用文献1
拒絶理由、拒絶査定及び前置報告に引用され、本願の優先日前に頒布された刊行物である、特開2001-189482号公報(以下「引用文献1」という。)には、以下の事項が記載されている。(下線は当審で付した。)

(a)「【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ソーラーセルの製造方法、より具体的には裏面ポイントコンタクト型の珪素(シリコン)基板からなるソーラーセルの製造方法に関する。」

(b)「【0028】図2は、この発明に係る裏面ポイントコンタクト型の珪素基板からなるソーラーセル(図1(b)に示す)の製造工程を示す工程フロー・チャートであり、図3および図4は、その製造工程を説明するための説明断面図である。尚、図3(a)などにおいて、基板10は裏面を上にして示すと共に、図示の便宜のため、部材のサイズおよび形状は変形あるいは誇張して示す。
【0029】先ず、S10において、図3(a)に示す如く、基板10に酸化珪素からなる第1の保護層18が形成されると共に、第1の保護層18の上に窒化珪素からなる第2の保護層20を形成する。さらに、基板10の上面側には保護層12を形成する。次いで、第1および第2の保護層18,20に開口窓34を穿設して基板10の表面を露出させ、燐でドープされたガラス36を第2の保護層20に付着させると共に、開口窓34に充填する。
【0030】次いで、S12に進み、図3(b)に示す如く、最初に穿設した第1群の開口窓34の間に第2群の開口窓38をそれぞれ穿設し、ホウ素でドープされたガラス40を基板10の表面に付着させると共に、第2群の開口窓38に充填する。次いで、約900°Cから1150°Cに加熱し、ドープされた酸化層(ガラス)36,40のドーパントを基板10の表面に拡散させて前記したnドープ領域14とpドープ領域16を形成する。次いで、上述のように構成された基板10に酸化珪素のエッチング処理を施して基板表面の酸化層(ガラス)36,40を全て除去し、それによって図3(c)に示す構造を得る。
【0031】尚、以下の説明において「上述のように構成された基板」とは、それ以前の工程での処理が行われた基板を意味するものとする。
【0032】次いで、S14に進み、例えばアルミニウムをスパッタさせて第1の金属層24を第2の保護層20の全面にわたって厚さ2から4μmで堆積させ、図3(d)に示す如く、全てのnドープ領域14とpドープ領域16を接続(導通)する。次いで、第1の金属層24に、図4(a)に示す如く、ドープ領域14,16がそれぞれ独立した接点を備えるようにパターン処理およびエッチング処理を行う。」

(c)「【0038】図2の製造工程の説明に戻ると、第1の金属層24をパターン処理した後、S16に進み、図4(b)に示す如く、ポリイミド(例えば日立製PiX3400 (商標))からなる絶縁体層26を約5μmの厚さとなるように第1の金属層24の上に付着させる(コーティングする)。
【0039】次いで予備加熱(予備硬化)を行って付着させ(コーティングし)たポリイミドの中の溶剤を除去した後、絶縁体層26をパターン処理し、図4(c)に示す如く、開口窓44を穿設する。より具体的には、フォトレジスト(例えば、Shipley 1813(商標))の薄膜を形成し、フォトリソグラフィマスク(図示せず)を介してフォトレジスト膜に紫外線を露光させる。
【0040】次いで、現像液(例えばShipley M319(商標))を用いてフォトレジスト膜を現像する。この現像処理でポリイミドもエッチングされる。次いで、溶剤(例えば酢酸n-ブチル)を加えてフォトレジスト膜を除去する。このとき、必要なポリイミドのパターン部分を除去しないようにする。尚、酢酸セロソルブなどの他の溶剤を用いても良い。
【0041】図2フロー・チャートにおいて、次いでS18に進み、上述のように構成された基板10を炉の中で加熱し、ポリイミドからなる絶縁体層26を硬化させる。より具体的には、上述のように構成された基板10を(大気中あるいは窒素雰囲気において)120°Cで30分間加熱し、さらに200°Cで30分間加熱し、さらに350°Cで1時間加熱する。
【0042】次いでS20に進み、上述のように構成された基板10を(大気中あるいは窒素雰囲気において)一層高い温度である400°Cで30分間、追加的に加熱する。この追加的な加熱により、ポリイミドからなる絶縁体層26は十分に硬化させられて収縮し、開口窓44の縁部は丸みを帯びた滑らかな形状を呈するようになる。即ち、絶縁体層26を、比較的、平坦化した形状にすることができる。
【0043】尚、S20の追加的な硬化処理における温度および時間は例示であり、それらはポリイミドの種類あるいは特性ならびに絶縁体層26の厚さによって異なる。発明者達が知見した限り、400°Cで加熱時間を1時間まで延長したところ、依然、所期の結果を得ることができたが、温度を500°Cまで昇温したところ、絶縁体層26が硬化し過ぎて絶縁体層26にクラックが生じた。
【0044】次いでS22に進み、アルミニウム/クロム/ニッケル/銅の(厚さ約1から2μmの)多層金属層からなる第2の金属層28を第2の絶縁体層26および第1の金属層24に堆積させ、図4(d)に示す如く、第2の金属層28の中のアルミニウム層とアルミニウムからなる第1の金属層24のアルミニウムを焼鈍して接合させる。」

(d)「【0052】図6を参照して第2の実施の形態を説明すると、製造工程はS100で開始し、S102まで第1の実施の形態と同様の処理を行った後、S104に進み、2から4μmの厚さのアルミニウムからなる第1の金属層24を堆積させた後、ドープ領域14,16がそれぞれ独立した設定を備えるよう、パターン処理およびエッチング処理を行う。次いでS106に進み、ポリイミド(例えば日立製PiX3400 (商標))からなる第1の絶縁体層26aを約2から4μmの厚さとなるように第1の金属層24の上に付着させる(コーティングする)。
【0053】次いで予備加熱(予備硬化)を行ってポリイミド中の溶剤を除去した後、第1の絶縁体層26aをパターン処理して開口窓44を穿設する。より具体的には、第1の実施の形態と同様に、フォトレジスト(例えば、Shipley 1813(商標))の薄膜をポリイミド層26の上に形成し、フォトリソグラフィマスク(図示せず)を介して紫外線をフォトレジスト膜に露光させる。
【0054】次いで、現像液(例えばShipley M319(商標))を用いてフォトレジスト膜を現像すると共に、ポリイミドをエッチングする。パターン処理およびエッチング処理において、このポリイミドの膜26aが、図7(a)に示す如く、第1の金属層24の頂部240を超えないようにする。次いで、溶剤(例えば酢酸n-ブチル)を加えてフォトレジスト膜を除去する。このとき、必要なパターンを形成したポリイミド部分を除去しないようにする。尚、酢酸セロソルブなどの他の溶剤を用いても良いことは、第1の実施の形態と同様である。
【0055】次いでS108に進み、上述のように構成された基板10を炉の中で加熱し、ポリイミドからなる第1の絶縁体層26aを硬化させる。より具体的には、上述のように構成された基板10を(大気中あるいは窒素雰囲気において)120°Cで30分間加熱し、さらに200°Cで30分間加熱し、さらに350°Cで1時間加熱する。
【0056】尚、S108で行われる処理は追加的なものであり、省略しても良い。
【0057】次いでS110に進み、同様にポリイミドからなる第2の絶縁体層26bを第1の絶縁体層26aの上に付着させる(コーティングする)。このとき、第2の絶縁体層26bは、第1の絶縁体層26aの付着(コーティング)速度に比して高い速度で(即ち、より短い時間で)付着させる(コーティングする)。第2の絶縁体層26bに使用する素材は第1の絶縁体層26aと同一であるが、第2の絶縁体層26bは粘度が小さい(薄い)素材を用い、約1μmの薄いポリイミド層を形成する。次いで、図7(b)に示すように第2の絶縁体層26bを第1の絶縁体層26aと同様にパターン処理およびエッチング処理すると共に、開口窓44を穿設する。
【0058】ただし、第2の絶縁体層26bは、第1の金属層24の頂部240を僅かに超えるようにする。このように、第1の絶縁体層26aと第2の絶縁体層26bを、図7(c)に示す如く、開口窓44が穿設されるようにパターン処理およびエッチング処理する。
【0059】次いでS112に進み、第1の絶縁体層26aと同様の手順で、第2の絶縁体層26bを硬化させる。
【0060】次いでS114に進み、第1の実施の形態において使用したのと同様の(厚さ約1から2μmの)多層金属層からなる第2の金属層28を第2の絶縁体層26bおよび第1の金属層24の上に堆積させ、図7(d)に示す如く、第2の金属層28の中のアルミニウム層と第1の金属層24のアルミニウムを焼鈍して接合させる。
【0061】上記したように、第2の実施の形態においてはポリイミドを2層に分けて付着させる(コーティングする)ように構成したので、基板表面に所望の厚さのポリイミド層を形成するのが容易となる。その結果、縁部の隆起を低減させて絶縁体層を一層良く平坦化させることができ、ボイドを減少させると共に、電極基板100へのストレスも軽減させて、半田疲労に対する信頼性を向上させることができる。」

(e)「【図2】


【図3】


【図4】


【図6】


【図7】





(f)上記(e)の【図4】(c)の記載から、第1の絶縁体層26aに複数の開口窓44が穿設されることは明らかである。

すると、上記引用文献1の記載事項から、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

「基板10に酸化珪素からなる第1の保護層18が形成されると共に、第1の保護層18の上に窒化珪素からなる第2の保護層20を形成し、第1および第2の保護層18,20に開口窓34を穿設して基板10の表面を露出させ、燐でドープされたガラス36を第2の保護層20に付着させると共に、開口窓34に充填し、
最初に穿設した第1群の開口窓34の間に第2群の開口窓38をそれぞれ穿設し、ホウ素でドープされたガラス40を基板10の表面に付着させると共に、第2群の開口窓38に充填し、ドープされたガラス36,40のドーパントを基板10の表面に拡散させてnドープ領域14とpドープ領域16を形成し、
基板表面のガラス36,40を全て除去し、
第1の金属層24を堆積させた後、
ドープ領域14,16がそれぞれ独立した設定を備えるよう、パターン処理およびエッチング処理を行い、
ポリイミドからなる第1の絶縁体層26aを第1の金属層24の上に付着させ、
第1の絶縁体層26aをパターン処理して開口窓44を穿設する、より具体的には、フォトレジストの薄膜をポリイミド層26の上に形成し、フォトリソグラフィマスクを介して紫外線をフォトレジスト膜に露光させ、現像液を用いてフォトレジスト膜を現像すると共に、ポリイミドをエッチングして複数の開口窓44を穿設する、ことを含むソーラーセルの製造方法」

(2)引用文献2
拒絶理由、拒絶査定及び前置報告に引用され、本願の優先日前に頒布された刊行物である、特開2002-158248号公報(以下「引用文献2」という。)には、以下の事項が記載されている。(下線は当審で付した。)

(a)「【0057】半導体チップ10におけるパッド12が形成された面には、絶縁膜14が形成されている。絶縁膜14は、各パッド12を覆って形成されている。本実施の形態では絶縁膜14は、単一層から形成されているが、後述する例に示すように複数層から形成されてもよい。また、絶縁膜14の厚さは必要に応じて自由に決めることができる。絶縁膜14は、一般的なパッシベーション膜であってもよい。絶縁膜14は、例えば、SiO_(2)、SiN又はポリイミド樹脂などで形成することができる。本実施の形態では、各パッド14の少なくとも一部を絶縁膜14から露出させる工程と、パッド12上にバンプを形成する工程と、を同一のレジスト層20を使用して行うことができる。詳しくは、レジスト層20を繰り返し形成することなく、一度形成したレジスト層20を使用して各工程を行うことができる。
【0058】図2(A)に示すように、レジスト層20を形成する。半導体チップ10のパッド12の形成された面に、すなわち絶縁膜14上に、レジスト層20を形成する。レジスト層20は、パッド12の上方に貫通穴22を有する。フォトリソグラフィ技術を適用して貫通穴22を形成してもよい。すなわち、マスクを介して感光性のレジスト層20にエネルギーを照射、現像して貫通穴22を形成してもよい。このときに、レジスト層20はポジ型及びネガ型レジストであることを問わない。なお、レジスト層20は、20μm程度の厚みで形成してもよい。
【0059】あるいは、非感光性のレジスト層20をエッチングして貫通穴22を形成してもよい。また、レジスト層20は、スクリーン印刷又はインクジェット方式を適用して形成してもよい。
【0060】貫通穴22は、パッド12の外周を超えない形状で形成することが好ましい。これによって、狭ピッチで設けられた複数のパッド12のそれぞれに、バンプを形成することができる。また、貫通穴22は、半導体チップ10の面に対して垂直に立ち上がる壁面にて形成されることが好ましい。こうすることで、垂直に立ち上がるバンプを形成することができる。なお、貫通穴22の平面形状は、例えば円形又は矩形であってもよく限定されない。
【0061】図2(B)に示すように、レジスト層20をマスクとして、貫通穴22内の絶縁膜14の部分を除去して、パッド12の少なくとも一部を露出させる開口部16を形成する。開口部16は、エッチングによって形成することができる。エッチングの手段は、化学的、物理的又はこれらの性質を組み合わせて利用したもののいずれであっても構わない。また、エッチングの特性は、等方性又は異方性のいずれであってもよい。後述するように、あらゆる方向に等しくエッチングされる等方性のエッチングであっても、本発明を適用することができる。」

(b)「【0083】本実施の形態では、図7(A)に示すように、絶縁膜15が形成された半導体チップ10を用意する。絶縁膜15は、パッド12の中央部を覆う部分が、半導体チップ10の面からパッド12の端部を覆う部分よりも薄く形成されている。絶縁膜15は、単一層から形成されてもよく、複数層から形成されてもよい。例えば、図7(A)に示すように、絶縁膜15は、上層50及び下層60から形成されてもよい。この場合に、下層60は、パッド12の中央部に開口部62を有し、半導体チップ10の面からパッド12の端部を覆うように形成される。また、上層50は、下層60及びパッド12の中央部上に形成される。このようにして、パッド12の中央部に絶縁膜15の薄い部分17が形成されていてもよい。
【0084】図7(A)に示すように、半導体チップ10の絶縁膜15上に、貫通穴22を有するレジスト層20を形成する。貫通穴22は、パッド12の外周よりも内側であって、絶縁膜15の薄い部分17よりも外側に形成してもよい。絶縁膜15が上層50及び下層60からなる場合は、下層60のうちパッド12の端部を覆う部分の上方に貫通穴22の壁面が形成されてもよい。こうすることで、貫通穴22内の絶縁膜15の部分を除去した場合に、絶縁膜15の開口部を、貫通穴22を超えない形状で形成しやすくすることができる。詳しく言うと、絶縁膜15の薄い部分17の少なくとも一部を除去できる程度の時間や処理能力でエッチングすることによって、絶縁膜15の厚い部分を除去することなく、絶縁膜15の開口部を貫通穴22を超えない形状で形成することができる。」

(c)「【図2】


【図7】





すると、上記引用文献2の記載事項から、引用文献2には、

「絶縁膜15が形成された半導体チップ10を用意し、絶縁膜15は、上層50及び下層60から形成され、下層60は、パッド12の中央部に開口部62を有し、半導体チップ10の面からパッド12の端部を覆うように形成され、上層50は、下層60及びパッド12の中央部上に形成され、絶縁膜15上に、貫通穴22を有するレジスト層20を形成し、絶縁膜14は、例えば、SiO_(2)、SiN又はポリイミド樹脂などで形成することができ、レジスト層20は、スクリーン印刷又はインクジェット方式を適用して形成してもよい、という技術事項」(以下「引用文献2の技術事項」という。)が記載されている。

(3)引用文献3
前置報告に引用され、本願の優先日前に頒布された刊行物である、特開2006-124805号公報(以下「引用文献3」という。)には、以下の事項が記載されている。(下線は当審で付した。)

(a)「【0026】
以下、図面に示した実施の形態に基づいて、本発明を詳細に説明する。
最初に、本発明の第一の実施の形態による箔の製造方法について、図1に模式的に示す部分斜視図を参照して説明する。
図示するように、箔2には、インクジェット方式を用いた印刷機により、網目状のマスクパターン3が印刷される。網目状のマスクパターンにおいて、丸状の孔部分が、インクが印刷されていない開口部3aとなっている。
ここで、インクは、後述する箔2のエッチングに用いる薬品にはエッチングされない材料からなっており、熱あるいは紫外線により硬化する樹脂、半重合体、モノマーのいずれかあるいは複数を含むインク、または無機系のゾル分散液を用いることが好ましい。
なお、本発明においては、マスクは、インクが印刷されたマスクパターン3とインクが印刷されない開口部3aとから構成されているが、インクが印刷された部分を、適宜マスクパターン3と呼ぶことにする。」

(b)「【図1】





すると、上記引用文献3の記載事項から、引用文献3には、

「箔2には、インクジェット方式を用いた印刷機により、網目状のマスクパターン3が印刷され、網目状のマスクパターンにおいて、丸状の孔部分が、インクが印刷されていない開口部3aとなっている、という技術事項」(以下「引用文献3の技術事項」という。)が記載されている。

(4)引用文献4
前置報告に引用され、本願の優先日前に頒布された刊行物である、特開2004-209887号公報(以下「引用文献4」という。)には、以下の事項が記載されている。(下線は当審で付した。)

(a)「【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、媒体に液体を吐出する液体吐出装置に関する。また、このような液体吐出装置を用いた液体吐出方法、プログラム及びコンピュータシステムに関する。
【0002】
【従来技術】
紙、布、フィルム等の各種の媒体に画像を印刷する印刷装置として、インクを吐出して印刷を行うインクジェットプリンタが知られている。このようなインクジェットプリンタでは、ノズルからインクを吐出する印刷動作(吐出動作)と、媒体を搬送方向に移動させる搬送動作(移動動作)と、を交互に繰り返し、印刷を行っている。」

(b)「【0021】
<バンディングについて>
図13Aは、印刷用紙に形成されたドット列(ラスタラインとも言う)の説明図である。同図において、紙などの媒体である印刷用紙には、バンド印刷方式によりドット列が形成されている。「バンド印刷方式」とは、1回のパスによって連続するドット列を形成する印刷方式である。「パス」とは、ヘッドが走査方向に移動し、移動中に間欠的にインクを吐出する動作をいう。」

(c)「【0116】
図24は、印刷用紙Pに形成されたドット列の説明図である。図13Aの場合と比較すると、80%の画素にドットが形成されている点で同じだが、印刷用紙に形成されるドットの径が小さい。同図と図13Aとを比較して分かる通り、吐出されるインク滴が小さければ(印刷用紙Pに形成されるドットが小さければ)、ドット列間で混ざるインクの量は少なくなる。また、吐出されるインク滴が小さければ(印刷用紙Pに形成されるドットが大きければ)、ドット列間で混ざるインクの量は多くなる。このように、インクの混ざり具合は、ノズルから吐出されるインク滴の大きさによって異なる。」

(d)「【0130】
図26は、疑似バンド印刷方式により形成されたドット列の説明図である。「疑似バンド印刷方式」とは、複数回のパス(印刷動作)によって連続するドット列が完成する印刷方式である。本実施形態では、2回のパスによって連続するドット列が完成する。ノズルの間隔が180dpiなので、印刷用紙に形成されるドット列の間隔Dは、360dpiになる。」

(e)「【図13】


【図24】


【図26】





(f)上記(b)?(d)の記載から、(e)の図13、図24及び図26には、液体吐出装置により形成されたドット列が図示されており、それらの図示内容からは、インクが吐出されなかった領域にドットが形成されないドット列における開口部分が存在することが見て取れる。

すると、上記引用文献4の記載事項から、引用文献4には、

「液体吐出装置により形成されたドット列において、インクが吐出されなかった領域にドットが形成されないドット列における開口部分が存在する、という技術事項」(以下「引用文献4の技術事項」という。)が記載されている。

(5)対比
本件補正発明1と引用発明を対比する。

(a)引用発明の「基板10」、「第1の絶縁体層26a」、「ソーラーセルの製造方法」は、それぞれ、本件補正発明1の「ウエハ」、「第2の誘電層」、「太陽電池の製造方法」に相当する。

(b)引用発明の「基板10」は、「基板10の表面に拡散させてnドープ領域14とpドープ領域16を形成」することでソーラーセルの一構成要素に加工されることは明らかであるから、「表面に拡散させてnドープ領域14とpドープ領域16を形成」する「基板10」は、本件補正発明1の「太陽電池へと加工されるウェハ」に相当する。

(c)引用発明の「酸化珪素からなる第1の保護層18」及び「窒化珪素からなる第2の保護層20」はいずれも誘電体で形成された膜であるから、引用発明の「第1および第2の保護層18,20」は、本件補正発明1の「第1の誘電層」に相当する。
また、引用発明の「基板10に酸化珪素からなる第1の保護層18が形成されると共に、第1の保護層18の上に窒化珪素からなる第2の保護層20を形成」する構成は、本件補正発明1の「ウェハ上に第1の誘電層を形成」する構成に相当する。

(d)引用発明の「第1の絶縁体層26a」は、「第1および第2の保護層18,20に開口窓34を穿設して基板10の表面を露出させ、燐でドープされたガラス36を第2の保護層20に付着させると共に、開口窓34に充填し、最初に穿設した第1群の開口窓34の間に第2群の開口窓38をそれぞれ穿設し、ホウ素でドープされたガラス40を基板10の表面に付着させると共に、第2群の開口窓38に充填し、ドープされたガラス36,40のドーパントを基板10の表面に拡散させてnドープ領域14とpドープ領域16を形成し、基板表面のガラス36,40を全て除去し、第1の金属層24を堆積させた後、ドープ領域14,16がそれぞれ独立した設定を備えるよう、パターン処理およびエッチング処理を行い、ポリイミドからなる第1の絶縁体層26aを第1の金属層24の上に付着させ、第1の絶縁体層26aをパターン処理して複数の開口窓44を穿設する」ことで形成されたものであり、パターン処理された第1の金属層24の間の「第1および第2の保護層18,20」の上に複数形成されていることは明らかであるから、「第1および第2の保護層18,20に開口窓34を穿設して基板10の表面を露出させ、燐でドープされたガラス36を第2の保護層20に付着させると共に、開口窓34に充填し、最初に穿設した第1群の開口窓34の間に第2群の開口窓38をそれぞれ穿設し、ホウ素でドープされたガラス40を基板10の表面に付着させると共に、第2群の開口窓38に充填し、ドープされたガラス36,40のドーパントを基板10の表面に拡散させてnドープ領域14とpドープ領域16を形成し、基板表面のガラス36,40を全て除去し、第1の金属層24を堆積させた後、ドープ領域14,16がそれぞれ独立した設定を備えるよう、パターン処理およびエッチング処理を行い、ポリイミドからなる第1の絶縁体層26aを第1の金属層24の上に付着させ、第1の絶縁体層26aをパターン処理して複数の開口窓44を穿設する」ことで「第1の絶縁体層26a」を形成する構成は、本件補正発明1の「第1の誘電層上に複数の第2の誘電層を形成」する構成に相当する。
また、上記引用発明の複数形成されている「第1の絶縁体層26a」に「穿設]された「複数の開口窓44」は、本件補正発明1の「複数の第2の誘電層間の」「複数の開口」に相当する。

(e)引用発明において、「第1の絶縁体層26a」の形成後に「フォトレジスト膜」が形成されることは明らかであり、当該「フォトレジスト膜」は、「第1の絶縁体層26a」に「開口窓44を穿設する」ための開口を有することも明らかである。
また、本件補正発明1の「複数のドット」は、「第2の誘電層」を形成した後に形成されることは明らかである。
そのため、引用発明の「第1の絶縁体層26aをパターン処理して開口窓44を穿設する、より具体的には、フォトレジストの薄膜をポリイミド層26の上に形成し、フォトリソグラフィマスクを介して紫外線をフォトレジスト膜に露光させ、現像液を用いてフォトレジスト膜を現像すると共に、ポリイミドをエッチングして複数の開口窓44を穿設する」構成と、本件補正発明1の「前記複数の第2の誘電層間の少なくとも複数の開口に、複数のドットをインクジェット印刷し、前記複数のドットの交差部によって形成された当該複数のドットよりも小さな領域を有する複数のギャップを形成し、該ギャップのサイズが、少なくとも(i)前記複数のドットを供給する複数のインクジェットプリンタノズルの整列と、(ii)前記複数のドットのサイズと、(iii)いずれのノズルを使用したか、によって決定される」構成とは、「第2の誘電層を形成した後に複数のギャップを有する膜を形成する」ことで共通している。

(6)一致点
してみると、両者は、
「太陽電池へと加工されるウェハ上に第1の誘電層を形成し、
前記第1の誘電層上に複数の第2の誘電層を形成することを含み、
第2の誘電層を形成した後に複数のギャップを有する膜を形成することを含み、
複数の第2の誘電層間に複数の開口を備える、
太陽電池の製造方法」
で一致し、次の点で相違する。

(7)相違点
本件補正発明1では、「複数のドットをインクジェット印刷」しており、「前記複数のドットの交差部によって形成された当該複数のドットよりも小さな領域を有する複数のギャップを形成し、該ギャップのサイズが、少なくとも(i)前記複数のドットを供給する複数のインクジェットプリンタノズルの整列と、(ii)前記複数のドットのサイズと、(iii)いずれのノズルを使用したか、によって決定され」ており、「複数のドット」が「前記複数の第2の誘電層間の少なくとも複数の開口に」印刷されているのに対し、引用発明では、「フォトレジスト膜」の成膜方法が不明であり、「フォトレジスト膜」の「開口窓44を穿設する」ための開口がどのように形成されているか不明かつそのサイズも不明であり、引用発明には「複数のドット」の記載はなく、「複数のドット」が「前記複数の第2の誘電層間の少なくとも複数の開口に」形成されているか不明な点。

(8)判断
引用文献2の技術事項及び引用文献3の技術事項のように、インクジェット方式によるレジストマスクパターン形成技術は周知の技術であり、上記周知の技術を適用することを阻害する要因もないから、引用発明の「フォトレジスト膜」を形成する技術に周知のインクジェット方式によるレジストマスクパターン形成技術を適用することで、「第1の絶縁体層26a」上に「フォトレジスト膜」を「複数のドットをインクジェット印刷」して形成する構成となすことは、当業者が容易に想到し得るものである。
しかしながら、上記周知のインクジェット方式においては、複数のドットを連ならせてパターンを形成し、ドットを形成しない領域に任意形状の開口を得ることが一般的であり、その意味では、当該開口のサイズは、インクジェットプリンタノズルの整列、ドットのサイズ、いずれのノズルを使用したかによって決定されるといえるものの、上記複数のドットを連ならせてパターンを形成し、ドットを形成しない領域に任意形状の開口を得る周知のインクジェット方式は、本件補正発明1のように「複数のドットの交差部によって形成された当該複数のドットよりも小さな領域を有する複数のギャップを形成」するものではない。

また、引用文献4の技術事項は、液体吐出装置により形成されたドット列において、インクが吐出されなかった領域にドットが形成されないドット列における開口部分が存在するという、液体吐出装置における周知の技術であるところ、引用文献4の【0002】に背景技術として記載されるように「紙、布、フィルム等の各種の媒体に画像を印刷する印刷装置として、インクを吐出して印刷を行うインクジェットプリンタ」に関するものであるから、当該周知技術においては、印刷の対象である画像をインクのドットで描画した結果として「インクが吐出されなかった領域にドットが形成されないドット列における開口部分が存在する」ものであり、開口部分を形成するためにドットが形成されない領域を設けるものではない。
一方、本件補正発明1の「複数のドットをインクジェット印刷し、前記複数のドットの交差部によって形成された当該複数のドットよりも小さな領域を有する複数のギャップを形成し」た構成における「ギャップ」は、本願明細書の【0017】?【0020】に、
「【0017】
図4に、本発明の態様による、ギャップ321と隣接するドット306との位置関係を図示する上面図を示す。図4の例では、コンタクトマスク400は、ギャップ321が形成されるようにインクジェット印刷された複数の重ねられたドット306を含む。ギャップ321は、ドット306が印刷されていないエリアである。図4に示すように、各ギャップ321は、複数の(例えば4つの)重ねられたドット306の交差部によって形成さ
れていてよい。有利には、ギャップ321のサイズ及び位置は、ドット306を供給するノズルの物理的な整列によって規定し、決定することができる。例えば、ドット306の中心間の寸法401は、インクジェットノズルのピッチによって規定することができる。したがって、ギャップ間の間隔も、ドットを供給するノズルの物理的な整列によって決定される。
・・・(中略)・・・
【0020】
図3Cへと続き、層304の部分を除去してその層304を貫通するコンタクト領域311を形成するために、コンタクトマスク400が利用される。一態様では、コンタクト領域311は、エッチングマスクとしてコンタクトマスク400を使用し且つ層305をあまり顕著にエッチングをしないエッチャントによって層304をエッチングすることによって形成される。例えば、二酸化シリコンを含む層304及びポリイミドを含む層30
5の場合は、コンタクト領域311は、エッチャントとしてフッ化水素酸を使用する緩衝酸化物エッチング(BOE)プロセスで、層304の露出した部分(つまりギャップ321の直下の部分)を湿式エッチングすることによって形成することができる。層305は、そのようなエッチングプロセスにおいて、エッチ停止層として働く。図3Cに、BOEプロセス及びそれに続くコンタクトマスク400の除去後の図3Bのサンプルを示す。ホットメルト樹脂を含むコンタクトマスク400は、水酸化カリウム(KOH)を使用するマスクストリッププロセスで除去することができる。」
と記載されているように、エッチングマスクとして使用されるコンタクトマスクの開口部分に対応するものであり、エッチングマスクとして使用可能な開口部分として、「複数のドットの交差部によって形成された当該複数のドットよりも小さな領域を有する複数のギャップを形成」するものである。
そのため、引用文献4の技術事項から、液体吐出装置により、インクを吐出しないことでドットが形成されない開口部分が存在するドット列を得ることが自明であるとしても、当該引用文献4の技術事項は、画像をインクのドットで描画した結果として「インクが吐出されなかった領域にドットが形成されないドット列における開口部分が存在」するものであって、「複数のドットの交差部によって形成された当該複数のドットよりも小さな領域を有する複数のギャップを形成」するようにドットを形成するものでないから、引用文献4の技術事項に基づいて、本件補正発明1のように、エッチングマスクとして使用可能な開口部分として、「複数のドットの交差部によって形成された当該複数のドットよりも小さな領域を有する複数のギャップを形成」することまで自明であるとはいえない。
さらに、引用文献1、引用文献2?3にも、エッチングマスクとして使用可能な開口部分として、「複数のドットの交差部によって形成された当該複数のドットよりも小さな領域を有する複数のギャップを形成」することは、記載されていない。

さらに、上記のように引用発明の「フォトレジスト膜」を形成する技術に周知のインクジェット方式によるレジストマスクパターン形成技術を適用することで、「第1の絶縁体層26a」上に「フォトレジスト膜」を「複数のドットをインクジェット印刷」して形成する構成となした場合であっても、本件補正発明1の「前記複数の第2の誘電層間の少なくとも複数の開口に、複数のドットをインクジェット印刷」する構成について、引用発明、引用文献2?4のいずれにも記載はなく、当該構成が技術常識でもないから、本件補正発明1の「前記複数の第2の誘電層間の少なくとも複数の開口に、複数のドットをインクジェット印刷」する構成は、引用発明、引用文献2?3記載の周知技術、引用文献4記載の周知技術に基づいて、容易に想到し得るものでない。

したがって、引用発明、引用文献2?3記載の周知技術、引用文献4記載の周知技術に基づいても、上記相違点1に係る構成は得られるものでない。

(9)結論
してみると、本件補正発明1は、引用発明、引用文献2?3記載の周知技術、引用文献4記載の周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないとすることはできない。
また、その他に、特許を受けることができないとする理由もない。

2.本件補正発明2?7について
本件補正発明2?7は、いずれも、本件補正発明1の発明特定事項の全てを有するものであるため、本件補正発明1と同様、引用発明、引用文献2?4の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないとすることはできない。
また、その他に、特許を受けることができないとする理由もない。

3.本件補正発明8について
(1)引用文献1?4
引用文献1?4の記載内容、引用発明、引用文献2?4の記載事項は、上記「1.本件補正発明1について」の(1)?(4)に記載したとおりである。

(2)引用文献5
拒絶理由、拒絶査定及び前置報告に引用され、本願の優先日前に頒布された刊行物である、特開2006-261089号公報(以下「引用文献5」という。)には、以下の事項が記載されている。(下線は当審で付した。)

(a)「【0001】
本発明は色素増感太陽電池素子に関する。」

(b)「【0064】
(実施例1)
表面抵抗値12Ω/sqの20cm角SnO_(2):Fガラス(ガラス基板上にSnO_(2):F膜を形成した透明導電性ガラスで、ガラスの辺から約15mmの距離に1mmφの開口部があるもの)上に、チタニアペーストを基板上にスクリーン印刷するために、ポリエステル27メッシュ上に長さ180mm、幅9mmのパターンを1mmの間隔を設けて18パターン作製した印刷版を用いてSOLARONIXS社製のチタニアペーストTi-Nanoxide T/SPをスクリーン印刷法により塗布し100℃で乾燥させた。塗布した基板を、500℃で30分焼成した。焼成後のチタニア半導体層の膜厚を触針式膜厚計で計測したところ12μmであることが分かった。次にチタニアを印刷していない1mm幅の部分に0.5mm幅で銀ペーストをスクリーン印刷して120℃で乾燥後、熱処理温度550℃で10分間焼成しバスバー層を作製した。得られたバスバー層の膜厚は8μmで比抵抗を測定した結果、5μΩ・cmであった。
【0065】
このバスバー層上に第1保護層としてガラスペースト材料を0.7mm幅でスクリーン印刷して120℃で乾燥後、550℃で10分焼成した。この操作を2回繰り返して第1保護層を作製した。得られた膜厚は17μmであった。
次に第2保護層としてポリイミド樹脂材料を0.7mm幅でスクリーン印刷して100℃で乾燥後、窒素雰囲気下400℃で60分焼成した。バスバー層と第1および第2保護層を合わせた膜厚は35μmであった。
得られた基板に下記式(1)で示されるルテニウム色素/エタノール溶液(3.0×10-4mol/L)を15時間浸し、色素を吸着させた。
また触媒電極基板として、20cm角チタン板上に膜厚30nmでPtを成膜した。
【0066】
これらのように作製したチタニア電極基板および触媒電極基板を50μmの間隔を隔てて対向させ、これら基板間の周縁部を全てシール剤を用いて接着し、セル断面ではなくセル表面に電解液注入口を備える20×20cmサイズのセルを組み立てた。
次に電解質として0.5mol/Lのヨウ化リチウ.05mol/Lのヨウ素と0.5mol/Lの4-t-ブチルピリジンを含むメトキシプロピオニトリル電解液を真空注入法によりセル内に注入し、注入口を封止した。
上記操作を繰返すことにより20cm角セルを5セル作製した。
このようにして得られたセルにAM1.5Gの疑似太陽光を照射し、電流電圧特性を測定し、その結果を表1に示した。
作製した5セルの太陽電池性能(変換効率)の変動幅は0.3%であった。」

すると、上記引用文献5の記載事項から、引用文献5には、

「ポリイミド樹脂材料を0.7mm幅でスクリーン印刷する、という技術事項」(以下「引用文献5の技術事項」という。)が記載されている。


(3)引用文献6
拒絶理由、拒絶査定及び前置報告に引用され、本願の優先日前に頒布された刊行物である、特開2003-298078号公報(以下「引用文献6」という。)には、以下の事項が記載されている。(下線は当審で付した。)

(a)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光入射面と反対の面にPN接合と正負の電極を配置した裏面接合型太陽電池等の光起電力素子に関するものである。」

(b)「【0021】次に、図6を参照して本発明の光起電力素子の製造方法について説明する。まず、図6(a)に示すように、N型の単結晶または多結晶シリコン基板11を準備する。これは、上述したようにデンドリックウェブ結晶またはリボン多結晶を用いることができる。そして、次に洗浄を行い表面に付着した酸化膜等を除去し、表面を清浄な状態にする。次に、図6(b)に示すように、触媒CVDにより非結晶真性シリコン膜12,20を基板11の表裏両面に形成する。この厚さは、0.1nm以上50nm以下が好ましいが、一例として10nm程度に形成する。この非結晶真性シリコン膜の形成条件の一例は、次のとおりである。
ガス流量:SiH_(4)=20sccm
ガス比:SiH_(4)/H_(2)=1:10
成膜圧力:1Pa
基板温度:250℃
フィラメント温度:1800℃
【0022】次に、図6(c)に示すように、触媒CVDにより非結晶導電性シリコン層13を形成する。ここで導電性シリコン層13はP型であり、例えば膜厚を30nm程度とする。このP型非結晶シリコン層は、
ガス流量:SiH_(4)=20sccm、B_(2)H_(6)=1sccm(1%、H2希釈)、
ガス比:SiH_(4)/H_(2)=1:10、
成膜圧力:1Pa、
基板温度:250℃、
フィラメント温度:1800℃、
により形成している。
【0023】次に、図6(d)に示すようにN型の非結晶導電性シリコン層14を形成する。これも同様にメタルマスクを用いて導電性シリコン層13の間に櫛の歯状に間挿するように多数の平行パターンを形成する。膜厚は例えば30nm程度である。この条件は、
ガス流量:SiH_(4)=20sccm、PH_(3)=1sccm(1%、H_(2)希釈)、
ガス比:SiH_(4)/H_(2)=1:10、
成膜圧力:1Pa、
基板温度:250℃、
フィラメント温度:1800℃、
により形成している。
【0024】次に、図6(e)に示すように、保護膜17を形成する。これは、例えばポリイミド樹脂ペーストをスクリーン印刷法等により、導電性シリコン層13,14の間に埋め込んで、250℃以下の温度で加温硬化することにより形成する。この保護膜17の形成により、耐候性および耐はんだ付け性が向上する。そして、図6(f)に示すように、例えば銀ペーストをスクリーン印刷により塗布し、これを同様に250℃以下の比較的低温で加温硬化することにより、図3に示す櫛の歯状の交互に間挿した電極パターン15,16,15a,16aを形成する。」

(c)「【図6】





すると、上記引用文献6の記載事項から、引用文献6には、

「ポリイミド樹脂ペーストをスクリーン印刷法等により形成する、という技術事項」(以下「引用文献6の技術事項」という。)が記載されている。

(4)対比
本件補正発明8と引用発明を対比する。

(a)引用発明の「nドープ領域14とpドープ領域16」、「基板10」、「第1および第2の保護層18,20」、「第1の絶縁体層26a」、「ソーラーセルの製造方法」は、それぞれ、本件補正発明8の「複数の拡散領域」、「太陽電池ウェハ」、「第1の誘電層」、「第2の誘電層」、「太陽電池の製造方法」に相当する。

(b)引用発明の「ドープされたガラス36,40のドーパントを基板10の表面に拡散させてnドープ領域14とpドープ領域16を形成し」た「基板10」と、本件補正発明8の「互いに隣接する複数の拡散領域を有する太陽電池ウェハ」とは、「複数の拡散領域を有する太陽電池ウェハ」で共通する。

(c)引用発明の「基板10に酸化珪素からなる第1の保護層18が形成されると共に、第1の保護層18の上に窒化珪素からなる第2の保護層20を形成」する構成は、本件補正発明8の「太陽電池ウェハ上に第1の誘電層を形成」する構成に相当する。

(d)引用発明の「第1の絶縁体層26a」は、「第1および第2の保護層18,20に開口窓34を穿設して基板10の表面を露出させ、燐でドープされたガラス36を第2の保護層20に付着させると共に、開口窓34に充填し、最初に穿設した第1群の開口窓34の間に第2群の開口窓38をそれぞれ穿設し、ホウ素でドープされたガラス40を基板10の表面に付着させると共に、第2群の開口窓38に充填し、ドープされたガラス36,40のドーパントを基板10の表面に拡散させてnドープ領域14とpドープ領域16を形成し、基板表面のガラス36,40を全て除去し、第1の金属層24を堆積させた後、ドープ領域14,16がそれぞれ独立した設定を備えるよう、パターン処理およびエッチング処理を行い、ポリイミドからなる第1の絶縁体層26aを第1の金属層24の上に付着させ、第1の絶縁体層26aをパターン処理して複数の開口窓44を穿設する」ことで形成されたものであり、パターン処理された第1の金属層24の間の「第1および第2の保護層18,20」の上に複数形成されていることは明らかであるから、「第1および第2の保護層18,20に開口窓34を穿設して基板10の表面を露出させ、燐でドープされたガラス36を第2の保護層20に付着させると共に、開口窓34に充填し、最初に穿設した第1群の開口窓34の間に第2群の開口窓38をそれぞれ穿設し、ホウ素でドープされたガラス40を基板10の表面に付着させると共に、第2群の開口窓38に充填し、ドープされたガラス36,40のドーパントを基板10の表面に拡散させてnドープ領域14とpドープ領域16を形成し、基板表面のガラス36,40を全て除去し、第1の金属層24を堆積させた後、ドープ領域14,16がそれぞれ独立した設定を備えるよう、パターン処理およびエッチング処理を行い、ポリイミドからなる第1の絶縁体層26aを第1の金属層24の上に付着させ、第1の絶縁体層26aをパターン処理して複数の開口窓44を穿設する」ことで「第1の絶縁体層26a」を形成する構成は、本件補正発明8の「第1の誘電層上」「に複数の第2の誘電層を形成」する構成に相当する。
また、上記引用発明の複数形成されている「第1の絶縁体層26a」に「穿設]された「複数の開口窓44」は、本件補正発明8の「複数の第2の誘電層の」「誘電層の間の開口」に相当する。

(e)引用発明において、「第1の絶縁体層26a」の形成後に「フォトレジスト膜」が形成されることは明らかであり、当該「フォトレジスト膜」は、「第1の絶縁体層26a」に「開口窓44を穿設する」ための開口を有することも明らかである。
また、本件補正発明8の「複数のドット」は、「第2の誘電層」を形成した後に形成されることは明らかである。
そのため、引用発明の「第1の絶縁体層26aをパターン処理して開口窓44を穿設する、より具体的には、フォトレジストの薄膜をポリイミド層26の上に形成し、フォトリソグラフィマスクを介して紫外線をフォトレジスト膜に露光させ、現像液を用いてフォトレジスト膜を現像すると共に、ポリイミドをエッチングして開口窓44を穿設する」構成と、本件補正発明8の「前記複数の第2の誘電層のうちの少なくとも2つの誘電層の間の開口に、複数のドットを印刷し、前記複数のドットが、当該複数のドットよりも小さな領域を有する複数のギャップを形成するコンタクトマスクを形成し、前記複数のギャップのそれぞれが、前記複数のドットにおいて重ねられた複数のドットの交差部によって画定され」る構成とは、「第2の誘電層」を形成した後に複数のギャップを有するコンタクトマスクを形成することで共通している。

(f)引用発明の「第1および第2の保護層18,20に開口窓34を穿設して基板10の表面を露出させ、」「最初に穿設した第1群の開口窓34の間に第2群の開口窓38をそれぞれ穿設」する構成と、本件補正発明8の「前記第1の誘電層の、前記複数のギャップを通って露出している複数の部分をエッチングし、複数のコンタクト領域を形成して、前記太陽電池の前記複数の拡散領域を露出させる」構成とは、「前記第1の誘電層の、複数の部分をエッチングし、複数のコンタクト領域を形成」することで一致する。

(5)一致点
してみると、両者は、
「太陽電池ウェハ上に第1の誘電層を形成し、
前記第1の誘電層上に複数の第2の誘電層を形成し、
第2の誘電層を形成した後に複数のギャップを有するコンタクトマスクを形成することを含み、
前記第1の誘電層の、複数の部分をエッチングし、複数のコンタクト領域を形成することを含み、
太陽電池ウェハが複数の拡散領域を有し、複数の第2の誘電層間に複数の開口を備える、
太陽電池の製造方法」
で一致し、次の各点で相違する。

(6)相違点
(a)相違点1
本件補正発明8では、「互いに隣接する複数の拡散領域を有する太陽電池ウェハ上に第1の誘電層を形成し」ているのに対し、引用発明では、「第1および第2の保護層18,20」の形成後に「nドープ領域14とpドープ領域16」が形成されるものであり、さらに「nドープ領域14とpドープ領域16」が隣接していない点。

(b)相違点2
本件補正発明8では、「前記第1の誘電層上であって、一対の隣接する前記複数の拡散領域の境界の上に複数の第2の誘電層を形成し」ているのに対し、引用発明では、「第1および第2の保護層18,20」の上に複数の「第1の絶縁体層26a」が形成されるものの、「nドープ領域14とpドープ領域16」の境界の上ではない点。

(c)相違点3
本件補正発明8では、「複数のドットを印刷し」ており、「前記複数のドットが、当該複数のドットよりも小さな領域を有する複数のギャップを形成するコンタクトマスクを形成し、前記複数のギャップのそれぞれが、前記複数のドットにおいて重ねられた複数のドットの交差部によって画定され」ており、「複数のドット」が「前記複数の第2の誘電層のうちの少なくとも2つの誘電層の間の開口に」印刷されているのに対し、引用発明では、「フォトレジスト膜」の成膜方法が不明であり、「フォトレジスト膜」の「開口窓44を穿設する」ための開口がどのように形成されているか不明であり、引用発明には「複数のドット」の記載はなく、「複数のドット」が「前記複数の第2の誘電層間の少なくとも複数の開口に」形成されているか不明な点。

(d)相違点4
本件補正発明8では、「前記第1の誘電層の、前記複数のギャップを通って露出している複数の部分をエッチングし、複数のコンタクト領域を形成して、前記太陽電池の前記複数の拡散領域を露出させ」ているのに対して、引用発明では、「第1および第2の保護層18,20に開口窓34を穿設して基板10の表面を露出させ」ており、拡散領域が露出されるものではない点。

(7)判断
(a)相違点1、相違点2及び相違点4について
引用発明において、拡散領域を隣接するように形成するか、間隔が空くよう形成するかは、当業者が適宜選択し得るものといえる。この場合、「ドープ領域14,16がそれぞれ独立した設定を備えるよう、パターン処理およびエッチング処理」された「第1の金属層24」の間に位置した「第1の絶縁体層26a」は、「ドープ領域14,16」の境界上に位置することになるから、引用発明において上記相違点2に係る構成となすことは、当業者が容易に想到し得るものである。
しかしながら、引用発明は、「基板10に酸化珪素からなる第1の保護層18が形成されると共に、第1の保護層18の上に窒化珪素からなる第2の保護層20を形成し、第1および第2の保護層18,20に開口窓34を穿設して基板10の表面を露出させ、燐でドープされたガラス36を第2の保護層20に付着させると共に、開口窓34に充填し、
最初に穿設した第1群の開口窓34の間に第2群の開口窓38をそれぞれ穿設し、ホウ素でドープされたガラス40を基板10の表面に付着させると共に、第2群の開口窓38に充填し、ドープされたガラス36,40のドーパントを基板10の表面に拡散させてnドープ領域14とpドープ領域16を形成」するものであって、引用文献1には、上記引用発明の構成に換えて「nドープ領域14とpドープ領域16を形成」した「基板10に酸化珪素からなる第1の保護層18が形成されると共に、第1の保護層18の上に窒化珪素からなる第2の保護層20を形成」する構成とすることの記載も示唆もなく、引用文献2?6にも「互いに隣接する複数の拡散領域を有する太陽電池ウェハ上に第1の誘電層を形成」することは記載されていないため、引用発明において、上記相違点1に係る構成となすことは、容易に想到し得るものでない。
そのため、引用発明において、「第1および第2の保護層18,20に開口窓34を穿設して基板10の表面を露出させ」ることで、「nドープ領域14とpドープ領域16」を露出させる構成、すなわち上記相違点4に係る構成についても、容易に想到し得るものでない。
したがって、引用発明、引用文献2?3記載の周知技術、引用文献4記載の周知技術、及び、上記引用文献5?6の技術事項であるポリイミド樹脂材料をスクリーン印刷する技術に基づいても、上記相違点1及び相違点4に係る構成は得られるものでない。

(b)相違点3について
相違点3は、上記「1.本件補正発明1について」「(7)」に記載した相違点と同様のものであり、当該相違点3についても上記「1.本件補正発明1について」「(8)」に記載した判断と同様に、引用発明、引用文献2?3記載の周知技術、引用文献4記載の周知技術に基づいて、相違点3に係る構成が得られるものでない。
また、上記引用文献5?6の技術事項であるポリイミド樹脂材料をスクリーン印刷する技術に基づいても、相違点3に係る構成が得られるものでない。
したがって、引用発明、引用文献2?3記載の周知技術、引用文献4記載の周知技術、及び、上記引用文献5?6の技術事項であるポリイミド樹脂材料をスクリーン印刷する技術に基づいても、上記相違点3に係る構成は得られるものでない。

(8)結論
してみると、本件補正発明8は、引用発明、引用文献2?3記載の周知技術、引用文献4記載の周知技術、引用文献5?6の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないとすることはできない。
また、その他に、特許を受けることができないとする理由もない。

4.本件補正発明9?10について
本件補正発明9?10は、いずれも、本件補正発明8の発明特定事項の全てを有するものであるから、本件補正発明8と同様、引用発明、引用文献2?3記載の周知技術、引用文献4記載の周知技術、引用文献5?6の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないとすることはできない。
また、その他に、特許を受けることができないとする理由もない。

5.小括
以上のとおり、本件補正発明1?10は、前置報告のように特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないとすることはできず、その他に、特許を受けることができないとする理由もないから、本件補正は、特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものとすることはできない。


第3 拒絶査定について
拒絶査定の理由により、本願は拒絶すべきものであるか否かを検討する。

上述のとおり、本件補正は却下すべきものとすることはできないから、本願の特許請求の範囲の請求項1?10に係る発明は、本件補正発明1?10である。

そして、上述のとおり、本件補正発明1?7は、引用発明、引用文献2?4の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえず、また、本件補正発明8?10は、引用発明、引用文献2?6の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえず、本件補正発明1?10は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないとすることはできないから、拒絶査定の理由により、本願は拒絶すべきものであるとすることはできない。


第4 むすび
したがって、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2015-06-24 
出願番号 特願2010-510284(P2010-510284)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H01L)
P 1 8・ 575- WY (H01L)
最終処分 成立  
前審関与審査官 清水 靖記  
特許庁審判長 伊藤 昌哉
特許庁審判官 山口 剛
神 悦彦
発明の名称 太陽電池製造のための小さなコンタクトのアレイ  
代理人 龍華国際特許業務法人  
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