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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H05B
管理番号 1302678
審判番号 不服2014-5313  
総通号数 188 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-08-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-03-20 
確定日 2015-07-02 
事件の表示 特願2009-251630号「加熱調理器」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 5月12日出願公開、特開2011- 96590号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成21年11月2日の出願であって、平成25年8月1日付けの拒絶理由通知に対して、平成25年9月18日に意見書及び手続補正書の提出がなされ、その後、平成26年2月18日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成26年3月20日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

2.本願発明
本願の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成25年9月18日の手続補正により補正された特許請求の範囲、明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものと認める。

「加熱室にヒータを有するヒータ加熱調理部と、
天板の下部に加熱部を有する電磁誘導加熱調理部と、
前記加熱室内及び天板上に載置可能な調理容器と、
前記ヒータ及び加熱部を制御する加熱制御手段と、
前記天板の前縁部に設けられた操作パネルと、
前記操作パネルに設けられたスタートキー及び専用キーと、を備え、
前記加熱制御手段は、前記調理容器に収納されて前記ヒータ加熱調理部の 加熱室内または電磁誘導加熱調理部の天板上に載置された調理物の加熱を 適切に行うように、前記ヒータ及び加熱部の加熱動作を制御し、
前記専用キーと前記スタートキーにより、ヒータ加熱調理動作と電磁誘 導加熱動作とを切り替え、
前記ヒータ加熱調理部はヒータ加熱の温度を予め保持し、
前記電磁誘導加熱調理部は電磁誘導加熱の温度を予め保持しており、
内容量または材料に応じた時間設定と、前記スタートキー及び前記専用 キーの操作のみで調理を行うことができる
ことを特徴とする加熱調理器。」

3.引用発明
これに対して、原査定が通知した拒絶理由に引用された本願出願前に頒布された刊行物である特開2008-181675号公報(以下「引用例1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。

〔引用例1について〕
(1a)「筐体の上部を覆うガラストップと、前記ガラストップの下側に設けた誘導加熱コイルとを備えた誘導加熱調理器に使用される誘導加熱用調理器具であって、
該誘導加熱用調理器具の原材料の炭素含有量を99%以上とした
ことを特徴とする誘導加熱用調理器具。」(「【請求項1】)

(1b)「前記請求項1?8のいずれかに記載の誘導加熱用調理器具を収容可能なロースターを備えた
ことを特徴とする誘導加熱調理器。」(【請求項9】)

(1c)「【0009】
本発明に係る調理方法は、上記の誘導加熱用調理器具を上記の誘導加熱調理器で加熱調理する調理方法であって、前記誘導加熱用調理器具を前記誘導加熱コイルで誘導加熱した後に、連続して前記ロースター内で加熱調理可能にしたことを特徴とする。」

(1d)「【発明の効果】
【0010】
本発明に係る誘導加熱用調理器具は、原材料の炭素含有量を99%以上としたので、渦電流が発生し易く、熱伝導性に優れており、誘導加熱調理に適しているという特徴を有している。また、本発明に係る誘導加熱調理器は、上記の誘導加熱用調理器具を収容可能なロースターを備えているので、誘導加熱用調理器具をそのままの状態でロースター内に収容でき、加熱調理することができる。
本発明に係る調理方法は、誘導加熱用調理器具を誘導加熱コイルで誘導加熱した後に、連続してロースター内で加熱調理可能になっているので、調理の一連の流れを簡略することができ、ユーザの利便性を向上させることができる。」

(1e)「【0013】
・・・この誘導加熱調理器100は、誘導加熱による調理鍋載置部を左右に二口、ラジエントヒータ(RH)加熱による調理鍋載置部を奥中央に一口設けた、ビルトイン型(システムキッチン一体型)IHクッキングヒータである場合を例に示している。」

(1f)「【0016】
ここで、簡単に誘導加熱調理器100の構成について説明する。誘導加熱調理器100は、筐体10と、筐体10の上部を覆うガラストップ30と、ガラストップ30の外周部を保持するフレーム32とで構成されている。筐体10には、電流によって発生する磁力線によって、ガラストップ30に載置される鍋やフライパン、炭プレート50等の誘導加熱用調理器具に渦電流を生じさせ、誘導加熱調理器自体を発熱させる誘導加熱コイル20(図3参照)や、通常の商用周波数の交流電力が供給され、ヒータ自体が発熱することにより、その輻射熱で被加熱物を加熱するラジエントヒータ等が搭載されている。また、筐体10には、筐体10の手前側に引き出し可能な魚等を焼くロースター11が設けられている。なお、誘導加熱コイル20のみが筐体10内に搭載されていてもよい。
【0017】
ガラストップ30は、筐体10の上面側に配置され、筐体10の上部を覆うトッププレートであり、耐熱ガラス等で構成され、誘導加熱用調理器具を載置するものである。このガラストップ30の上面側には、3つの鍋載置部31が形成されている。この鍋載置部31は、筐体10に搭載されている加熱手段(誘導加熱コイル20及びラジエントヒータ)に対応する位置を示しており、被加熱物を載置する目安となっている。すなわち、ガラストップ30の前方(手前側)左右の鍋載置部31に対応する位置には誘導加熱コイル20が、ガラストップ30の後方(奥側)中央の鍋載置部31に対応する位置にはラジエントヒータがそれぞれ配置されていることがわかり、加熱手段の位置の目安になっているのである。
【0018】
また、ガラストップ30は、その外周部をフレーム32で保持されるように構成されている。このフレーム32の後方には、筐体10の内部を循環させた空気を吸排気するための吸排気口33が形成されている。このフレーム32は、ガラストップ30の外周部を保持できる材料で形成されていればよい。なお、図1では、鍋載置部31がガラストップ30に形成されている場合を例に示しているが、これに限定するものではなく、鍋載置部31がガラストップ30に形成されていなくてもよい。また、3つの鍋載置部31がガラストップ30に形成されている場合を例に示しているが、鍋載置部31の個数を特に限定するものではない。
【0019】
なお、ユーザからの指示を受け付けるための操作部や、誘導加熱調理器100の運転状態や運転時の設定内容、トラブルの状態等の内容をユーザに表示する液晶表示装置等の表示部が筐体10やガラストップ30に設けられている。また、筐体10内には、高周波電源基板や制御基板等の実装部品も搭載されている。この高周波電源基板や制御基板は、ユーザからの指示内容や図示省略の温度センサからの温度情報に基づいて誘導加熱コイル20やラジエントヒータの加熱を制御するようになっている。」(段落【0019】中の「支持」は、「指示」の誤記と認めた。)

(1g)「【0026】
実施の形態2.
図5は、本発明の実施の形態2に係る炭鍋60が誘導加熱調理器100に載置されている状態を示す斜視図である。図5に基づいて、誘導加熱用調理器具である炭鍋60の構成及び機能について説明する。この炭鍋60は、原材料の99%以上を炭成分で構成したことを特徴としている。つまり、炭鍋60は、原材料の炭素含有量が99%以上の焼結体として構成されている。なお、実施の形態2では実施の形態1との相違点を中心に説明し、実施の形態1と同一部分には、同一符号を付して説明を省略するものとする。
【0027】
図5に示すように、炭鍋60は、誘導加熱用調理器具として誘導加熱調理器100に載置されて使用される。また、炭鍋60は、原材料の99%以上を炭成分で構成するとともに、底面の厚みを5mm以上としている。これは、原材料が炭成分の場合、磁界の浸透深さが5mm以上であるため、炭鍋60の底面の厚みを5mm以上とすれば、鍋底からの磁束の漏洩を低減することができるからである。したがって、磁束の漏洩によるエネルギー損失を低減することができる。
【0028】
実施の形態3.
図6は、本発明の実施の形態3に係る炭鍋60の調理方法を説明するための説明図である。図6に基づいて、炭鍋60を利用した調理方法について説明する。なお、図6は、誘導加熱調理器100を正面から見た状態を示している。図6に示すように、誘導加熱調理器100のロースター11には、炭鍋60が収容可能になっている。つまり、炭鍋60は、ガラストップ30に載置し誘導加熱コイル20で誘導加熱されることができるととともに、ロースター11内のヒータ12で加熱調理されることができるようになっているのである。」

(1h)「【0029】
このロースター11の内壁面を輻射率(放射率)の低い材料で構成すれば、炭鍋60を輻射率の低い壁面で囲むことができ、ロースター11内部の熱が炭鍋60に吸収されやすくできる。したがって、効率よく炭鍋60全体を加熱することができる。したがって、炭鍋60をガラストップ30上で誘導加熱した後に、炭鍋60をそのままの状態でロースター11に収容することができ、ロースター11内において炭鍋60を加熱調理することができる。たとえば、炭鍋60に収容されている被加熱物に焦げ目を付けたいような場合に有効である。
【0030】
また、炭鍋60をガラストップ30上で誘導加熱した後に、連続してロースター11内において炭鍋60を加熱調理すること(以下、リレー調理と称する)を、料理メニューの1つとして誘導加熱調理器100に備えておけば、1つの操作でリレー調理を実行でき、各加熱調理を単独で設定する必要がなくなり、ユーザの利便性を向上させることができる。さらに、リレー調理が選択された場合に、ロースター11内を予め予熱しておくように制御しておけば、ロースター11内での加熱調理にスムーズに移行することが可能になる。
【0031】
なお、リレー調理で、ロースター11内の加熱調理に移行した際には、ロースター11内の入力制御を優先させるようにデマンド制御しておくとよい。また、この実施の形態3では、炭鍋60の調理方法を例に説明したが、炭プレート50でも同様の調理方法で調理することが可能である。さらに、各実施の形態では、誘導加熱調理器をビルトイン型(システムキッチン一体型)IHクッキングヒータに用いた場合を例に説明したが、これに限定するものではなく、据え置き型や卓上型のIHクッキングヒータに用いても同様の作用効果を有することは言うまでもない。」

(1h)図1、2及び3には、誘導加熱調理器の上部前縁部に複数の「○」が配置され、誘導加熱調理器の上部前縁部が操作パネルをなしている態様が図示されている。

上記記載事項1a?1h、及び図面を総合し、誘導加熱調理器100について着目すると、引用例1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

「筐体10と、筐体10の上部を覆うガラストップ30と、ガラストップ30の外周部を保持するフレーム32とで構成される、誘導加熱調理器100であって、
筐体10には、電流によって発生する磁力線によって、ガラストップ30に載置される鍋やフライパン、炭プレート50等の誘導加熱用調理器具に渦電流を生じさせる誘導加熱コイル20がガラストップの下側に設けられ、
筐体10には、筐体10の手前側に引き出し可能な魚等を焼くヒータ12を備えたロースター11が設けられ、
ガラストップ30に載置し誘導加熱コイル20で誘導加熱されることができるととともに、ロースター11内のヒータ12で加熱調理されることができる炭素含有量が99%以上の焼結体からなる炭鍋を備え、
筐体10内には、高周波電源基板や制御基板等の実装部品が搭載され、
この高周波電源基板や制御基板は、ユーザからの指示内容や温度センサからの温度情報に基づいて誘導加熱コイル20やラジエントヒータの加熱を制御するようになっていて、
誘導加熱調理器の上部前縁部が操作パネルをなしていて、ユーザからの指示を受け付けるための操作部や、誘導加熱調理器100の運転状態や運転時の設定内容、トラブルの状態等の内容をユーザに表示する液晶表示装置等の表示部が筐体10やガラストップ30に設けられていて、
炭鍋60をガラストップ30上で誘導加熱した後に、連続してロースター11内において炭鍋60を加熱調理すること(以下、リレー調理と称する)を、料理メニューの1つとして備えて1つの操作でリレー調理を実行でき、リレー調理が選択された場合に、ロースター11内を予め予熱しておくように制御することもできて、各加熱調理を単独で設定する必要がなくなり、ユーザの利便性を向上させることができる、誘導加熱調理器100。」

4.対比・判断
本願発明と引用発明とを対比すると、各文言の意味、機能または作用等からみて、後者の「誘導加熱調理器100」、「ガラストップ30」、「誘導加熱コイル20」及び「炭鍋」は、それぞれ前者の「加熱調理器」、「天板」、「加熱部」及び「調理容器」に相当する。
そして、後者の「筐体10と、筐体10の上部を覆うガラストップ30と、ガラストップ30の外周部を保持するフレーム32とで構成される、誘導加熱調理器100であって」、「筐体10の手前側に引き出し可能な魚等を焼くヒータ12を備えたロースター11」は、ロースター11の内部がヒータ12を備えた加熱室をなしているといえるから、前者の「加熱室にヒータを有するヒータ加熱調理部」に相当する。
後者の「筐体10には、電流によって発生する磁力線によって、ガラストップ30に載置される鍋やフライパン、炭プレート50等の誘導加熱用調理器具に渦電流を生じさせる誘導加熱コイル20がガラストップの下側に設けられ」ている部分は、前者の「天板の下部に加熱部を有する電磁誘導加熱調理部」に相当する。
後者の「炭鍋60」は、「ガラストップ30に載置し誘導加熱コイル20で誘導加熱されることができるととともに、ロースター11内のヒータ12で加熱調理されることができる炭素含有量が99%以上の焼結体からなる」ものなので、前者の「前記加熱室内及び天板上に載置可能な調理容器」に相当する。
後者の「筐体10内」の「高周波電源基板や制御基板等の実装部品」は、「この高周波電源基板や制御基板は、ユーザからの指示内容や温度センサからの温度情報に基づいて誘導加熱コイル20やラジエントヒータの加熱を制御」し、「ロースター11内を予め予熱しておくように制御することもでき」るので、前者の「前記ヒータ及び加熱部を制御する加熱制御手段」に相当する。
後者の「誘導加熱調理器の上部前縁部が操作パネルをなしていて、ユーザからの指示を受け付けるための操作部や、誘導加熱調理器100の運転状態や運転時の設定内容、トラブルの状態等の内容をユーザに表示する液晶表示装置等の表示部が筐体10やガラストップ30に設けられていて」いることと、前者の「前記天板の前縁部に設けられた操作パネルと、前記操作パネルに設けられたスタートキー及び専用キー」とを備えることとは、「前記天板の前縁部に設けられた操作パネルに操作部を備える」という限りにおいて一致する。
また、後者の「高周波電源基板や制御基板等の実装部品」が、制御を行う際に、加熱の対象となる調理物の加熱を適切に行うように、ヒータ12及び誘導加熱コイル20を制御することは当然であるので、後者の「高周波電源基板や制御基板等の実装部品」は、前者の「前記調理容器に収納されて前記ヒータ加熱調理部の加熱室内または電磁誘導加熱調理部の天板上に載置された調理物の加熱を適切に行うように、前記ヒータ及び加熱部の加熱動作を制御」する「加熱制御手段」に相当する。
後者の「炭鍋60をガラストップ30上で誘導加熱した後に、連続してロースター11内において炭鍋60を加熱調理すること(以下、リレー調理と称する)を、料理メニューの1つとして備えて1つの操作でリレー調理を実行でき」ることと、前者の「前記専用キーと前記スタートキーにより、ヒータ加熱調理動作と電磁誘導加熱動作とを切り替え」ることとは、「ヒータ加熱調理動作と電磁誘導加熱動作とを切り替え」ている限りで一致する。
後者は、「炭鍋60をガラストップ30上で誘導加熱した後に、連続してロースター11内において炭鍋60を加熱調理すること(以下、リレー調理と称する)を、料理メニューの1つとして備えて1つの操作でリレー調理を実行でき、リレー調理が選択された場合に、ロースター11内を予め予熱しておくように制御することもでき」るようにされていて、1つの操作で料理メニューに応じたリレー調理が実行できることから、誘導加熱やロースター11内の加熱に際して、料理メニューに応じた温度に調整されることは明らかであり、そのためにヒータ加熱の温度や誘導加熱による温度を予め制御のために保持することも技術常識といえる。そうすると、後者は、前者の「前記ヒータ加熱調理部はヒータ加熱の温度を予め保持し、前記電磁誘導加熱調理部は電磁誘導加熱の温度を予め保持」する構成を備えている。

そこで本願発明の用語を用いて表現すると、本願発明は、引用発明と次の点で一致する。

(一致点)
「加熱室にヒータを有するヒータ加熱調理部と、
天板の下部に加熱部を有する電磁誘導加熱調理部と、
前記加熱室内及び天板上に載置可能な調理容器と、
前記ヒータ及び加熱部を制御する加熱制御手段と、
前記天板の前縁部に設けられた操作パネルと、
前記操作パネルに操作部と、を備え、
前記加熱制御手段は、前記調理容器に収納されて前記ヒータ加熱調理部の加熱室内または電磁誘導加熱調理部の天板上に載置された調理物の加熱を適切に行うように、前記ヒータ及び加熱部の加熱動作を制御し、
ヒータ加熱調理動作と電磁誘導加熱動作とを切り替え、
前記ヒータ加熱調理部はヒータ加熱の温度を予め保持し、
前記電磁誘導加熱調理部は電磁誘導加熱の温度を予め保持している、
加熱調理器。」

そして、本願発明は、引用発明と、次の点で相違する。

(相違点1)
本願発明は、内容量または材料に応じた時間設定を行っているのに対して、引用発明は、その点が不明である点。

(相違点2)
本願発明は、操作部として、操作パネルにスタートキー及び専用キーを備え、前記専用キー及び前記スタートキーにより、ヒータ加熱調理動作と電磁誘導加熱動作とを切り替え、前記スタートキー及び前記専用キーの操作のみで調理を行うことができるのに対して、引用発明は、そのような特定はなされていない点。

そこで、上記各相違点について検討する。

(相違点1の判断)
加熱調理器を用いて調理を行う際に、食材の内容量や材料に応じて、加熱調理器を操作する人が、調理時間の時間設定の設定を行うことは、家庭用のオーブンレンジなどの加熱調理器において普通に行っていることである。
そして、引用発明において、調理毎に食材の内容量や材料が異なることは明らかであり、「炭鍋60をガラストップ30上で誘導加熱した後に、連続してロースター11内において炭鍋60を加熱調理すること(以下、リレー調理と称する)を、料理メニューの1つとして備えて1つの操作でリレー調理を実行でき、リレー調理が選択された場合に、ロースター11内を予め予熱しておくように制御することもできて、各加熱調理を単独で設定する必要がなくなり、ユーザの利便性を向上させることができる」引用発明においても、相違点1に係る事項を当然に有しているか、または、引用発明において、内容量または材料に応じた時間設定を行うようにすることは当業者が容易になし得たことである。
そして、相違点1に係る本願発明の構成を採用することによる格別な効果も認められない。

(相違点2の判断)
複数の加熱手段を備えた加熱調理器(例えば、オーブンレンジ等)において、特定のメニュー(例えば、グラタン等)を選択するのに際して、専用キーを設けることは周知の技術(例えば、特開平10-288342号公報のグラタンキー(8f)、特開平9-14660号公報冷凍食品専用キー(20)、特開2004-235162号公報のレンジ焼きキー(602)、解凍キー(613)等参照。)であり、また、加熱調理器が加熱調理を開始するスタートキーを備えることも技術常識であるので、引用発明の操作部として、専用キー及びスタートキーを備えるようにすることは、当業者が適宜なし得た事項である。そして、引用発明の操作部に専用キーを備える際には、当該専用キーを引用発明が備える特定のメニューの中からユーザーの利便性等を考慮して、1つの特定メニューを割り当てるところ、引用発明は、ヒータ加熱調理動作と電磁誘導加熱動作とを切り替えるリレー調理を、料理メニューの1つとして備えているので、1つの操作によるリレー調理を専用キーとすることも、当業者が適宜なし得た事項である。
また、加熱調理器で調理を行う際に、調理の内容を専用キーで選択し、その後、スタートキーを押すことで加熱調理するといった手順も、家庭の各種加熱調理器で普通に行っている手順であり、このような手順により調理を行うことは、スタートキー及び専用キーの操作のみで調理を行うことといえる。
さらに、ヒータ加熱調理と誘導加熱調理を行う際に、ヒータ加熱調理動作により食材の表面に焼き目を付けた後、誘導加熱調理を行って食材を加熱する場合と、先に誘導加熱調理を行って食材を加熱した後、ヒータ加熱調理動作により食材の表面に焼き目を付ける場合とは、料理の調理手順としては普通に考慮されることであると認められる。そして、一つのキーの押下げ動作の繰り返しにより、複数の選択項目から順次選ぶようにすることも周知の技術であるので(例えば、特開平9-14660号公報段落【0016】等参照。)、引用発明においてリレー調理を専用キーにより選択して行うようにした際に、上記周知の技術を採用することも当業者が適宜なし得た事項である。
そして、相違点2に係る本願発明の構成を採用することによる格別な効果も認められない。

さらに、相違点1及び2を合わせてみても、格別な効果があるともいえない。

5.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-04-24 
結審通知日 2015-05-07 
審決日 2015-05-20 
出願番号 特願2009-251630(P2009-251630)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H05B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 長浜 義憲  
特許庁審判長 鳥居 稔
特許庁審判官 山崎 勝司
森本 康正
発明の名称 加熱調理器  
代理人 特許業務法人きさ特許商標事務所  
代理人 特許業務法人きさ特許商標事務所  

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