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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61K
管理番号 1302722
審判番号 不服2013-13984  
総通号数 188 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-08-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-07-19 
確定日 2015-07-01 
事件の表示 特願2012-525584「カラフトコンブの抽出物を用いた色素過剰スポットの外観を改善するための方法」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 1月26日国際公開,WO2012/011904,平成24年9月6日国内公表,特表2012-520349〕について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は,2010年7月22日を国際出願日とする出願であって,その請求項1?14に係る発明は,特許請求の範囲に記載された事項により特定されるとおりのものであり,そのうち請求項1は以下のとおりである。
「【請求項1】
色素過剰スポットの外観を改善するための美容方法であって,安全かつ有効な量のカラフトコンブ抽出物を含有する第1の組成物(ただし,アスコルビン酸,その誘導体及びそれらの塩を除く)を皮膚表面上の色素過剰スポットに塗布する工程を含む,美容方法。」

2.刊行物及び刊行物に記載された発明について
(1)刊行物に記載の事項
これに対して,原審で引用され,本件出願の日前に頒布されたことが明らかな刊行物Aには,以下の事項が記載されている。
刊行物A:特開平3-251514号公報
(A-1)公報第1頁左下欄下から2行?同頁右下欄7行
「[産業上の利用分野]
本発明は海藻より抽出した・・・メラニン分解物質を含有し,皮膚美白効果に優れ安全性の高い化粧料,・・・に関する。」
(A-2)公報第1頁右下欄8行?次頁左上欄6行
「[技術の背景]
人間の皮膚に発生するシミ,ソバカス等は主として日焼け等によって起る組織中のメラニンの形成に原因を有する。
皮膚美白剤は化粧料に配合される添加剤のひとつであり,シミ,ソバカス等の原因となるメラニンの形成を防止するもので,これを配合した化粧料に対して消費者の関心が非常に高まっている。
これまでにも化粧料には種々の皮膚美白添加剤が配合されているが,有効性,安全性,商品価値の点で必ずしも万全なものとは言い難い。これらの添加剤によると考えられる皮膚障害が発生しており,また化粧品として使用するとクリームが変色するものや変異原性があるといわれているものもあることから,より安全性の高い化粧料用皮膚美白添加剤の開発が望まれている。
(A-3)公報第2頁右上欄4行?同頁左下欄9行
「本発明者らは,上記のようなメラニン形成阻害物質に対する要請に鑑み,種々の海藻類の抽出エキスについてチロシナーゼ阻害作用を調査していたところ,種々の海藻類の何段階かの有機溶剤による抽出により得られる抽出成分に上記目的成分が豊かに濃縮され,しかも,その成分がメラニンの形成を阻害するだけにとどまらず,生成したメラニンを分解して無色にする活性を有し,さらに色,臭気あるいは粘性物質などの不純物も除去し得ることを見出し,ここに本発明を完成させたものである。
・・・これらの海藻類は食用に供されている天然物なので,極めて安全性が高いものである。」
(A-4)公報第3頁左下欄下から6行?第5頁左下欄末行
「[実施例]
以下,実施例を挙げて本発明を説明する。
実施例1[メラニン分解物質の採取法]
褐藻類のアラメ(神奈川県三浦海岸より採取)5kgを水洗いしてよく水を切り,細断した後,メタノール15Lに室温にて3昼夜浸漬し,その浸漬液のメタノールを留去した残渣にヘキサン1500mlを加えて振盪し,濾過して不純物の除去を行い,その残渣をメタノール200mlに溶かし,食塩などの不溶物を除去した後,メタノールを留去する。次に残留物を水100mlに溶かし,酢酸エチル100mlにて分配抽出を行う。同様の抽出を2回反復し,抽出液を合わせて溶剤留去後,シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:酢酸エチル)を行い,緑色のフラクションに次ぐ黄色のフラクションを集め,溶剤を留去する。そしてその残渣を少量の水に溶解し,不溶分を除き,水を減圧下に留去すると,残渣200mgが得られる。これが目的物のメラニン分解物質である。この一部をとり少量の水に溶かし,TLC(シリカゲル,展開溶媒:酢酸エチル,呈色:ヨード)を行うと,若干のマイナースポットと共にRf=0.6付近に鮮明なスポットが認められた。
このスポットは硝酸銀により発色し,波長254nmにおいて紫外吸収を示した。また元素分析によれば窒素を含有しておらず,ドラーゲンドルフ試薬による試験は陰性であった。
実施例2[メラニン分解物質の評価]
メラニン分解活性
実施例1で得られたメラニン分解物質の0.01%溶液0.1mlを下記に示したようにして形成したメラニン懸濁液4.9mlに加えて37℃にて振盪させたところ,5時間で完全にメラニンが分解し,澄明液となった。一方,メラニン形成阻害物質としてよく知られている対照のコウジ酸の0.01%水溶液ではメラニンの分解は認められなかった。
・・・
チロシナーゼ阻害活性
L-チロシン溶液(0.3mg/ml)を20ml,マッキルベイン緩衝液(pH 6.8)を20ml,寒天0.6gをフラスコに入れ,撹拌後,加熱・沸騰させてから冷却して45℃になった時,チロシナーゼ溶液(1.25mg/ml)を0.2ml加え,撹拌後シャーレに移して寒天平板をつくり,検体の実施例1で得られたメラニン分解物質の0.01%水溶液を含浸させた直径10mmのペーパーディスクを置いて,それを中心とした阻止円径の大小を測定し,チロシナーゼ阻害活性を判定したところ,16mmの澄明なハローが得られたが,対照の0.01%コウジ酸を検体とした同様のテストでは12mmのハローしか得られなかった。
実施例3
上記実施例1と同様にして下記第1表に示す海藻からメラニン分解物質を抽出した。その収量を同じく第1表に示す。
(「第1表」省略)
実施例4
実施例3で得られた各種海藻からのメラニン分解物質について実施例2と同様にしてメラニン分解活性とチロシナーゼ阻害活性を試験した。結果を第2表に示す。
第 2 表
┌──────┬───────┬────────┐
│ │ (注2) │ (注3) │
│ 検 体 │ メラニン │ チロシナーゼ │
│(抽出海藻名)│ 分解活性 │ 阻害活性 │
├──────┼───────┼────────┤
│ワカメ │ +++ │ +++ │
├──────┼───────┼────────┤
│コンブ │ +++ │ +++ │
├──────┼───────┼────────┤
│カジメ │ +++ │ +++ │
├──────┼───────┼────────┤
│アラメ │ +++ │ +++ │
├──────┼───────┼────────┤
?・・・ ? ・・・ ? ・・・ ?
├──────┼───────┼────────┤
│水 │ - │ - │
├──────┼───────┼────────┤
│対照(注1) │ - │ + │
└──────┴───────┴────────┘
注1.0.01%コウジ酸
注2.実施例2と同様のメラニン溶液4.1mlに0.01%の各メラニン分解物質の水溶液0.9mlを添加して同様にして判定した。
判定基準:+++=24時間以内にメラニンが完全に分解し,澄明になった
もの
- =72時間経過してもメラニンの分解が認められなかった
もの
注3.各メラニン分解物質の0.01%水溶液を用い,実施例2と同様にテストした。
判定基準:+++=阻止円径の直径が15mm以上のもの
+ =阻止円径の直径が10mm以上のもの
- =阻止円ができないもの 」
(A-5)公報第5頁右下欄6行?末行
「実施例5
洗顔クリーム
グリセリン 2.0g
ステアリン酸 20.0g
ミリスチン酸 10.0g
ラウリン酸 5.0g
ポリオキシエチレンラウリル 1.0g
エーテル
A 10mg
香料および防腐剤 適 量
これらの成分を混合し,約75℃で加熱溶解し,これに,約75℃に加熱した,
水酸化カリウム 5.5g
水 56.0g
の溶液を攪拌しながら加えた後,冷却して皮膚美白効果を有する洗顔クリームを得た。」
(A-6)公報第6頁左下欄6行?同頁右下欄2行
「実施例8
化粧水(油性)
ソルビトール(70%) 3.0g
グリセリン 5.0g
A 1.0g
水 70.0g
これらの成分を混合溶解する。これに,
アラントイン 0.1g
ポリオキシエチレン硬化
ヒマシ油誘導体 0.5g
エタノール 20.0g
香 料 適 量
の混合溶液を撹拌しながら加えて均一な溶液とし,皮膚美白効果を有する化粧水を得た。」

(2)刊行物Aに記載された発明
刊行物Aに記載の発明は,海藻より抽出したメラニン分解物質を含有し,皮膚美白効果に優れ安全性の高い化粧料に関するものであって(摘示(A-1)),その実施例には,『海藻より抽出したメラニン分解物質』として「コンブ抽出物」が記載されており,これを用いてメラニン分解活性試験も行われて,良好な結果が得られていることも記載されている(摘示(A-4)。
したがって,刊行物Aには,
「コンブより抽出したメラニン分解物質を含有し,皮膚美白効果に優れ安全性の高い化粧料」
に関する発明が記載されているといえる。
ところで,かかる発明は『化粧料』という物に関するものであるが,これを方法的な視点から捉えるならば,上記化粧料は,皮膚美白効果に優れたというのであるから,当然に皮膚に塗布されて使用されるものと解されるばかりでなく,刊行物Aの実施例5で洗顔クリームの例(摘示(A-5))が,実施例8で化粧水の例(摘示(A-6))が,それぞれ示されていることから,次のように表現することができる。
「コンブより抽出したメラニン分解物質を含有し,皮膚美白効果に優れ安全性の高い化粧料を皮膚に塗布する方法。」(以下,「引用発明」という。)

3.対比
ア 本願発明は,「美容方法」とするものであるが,引用発明も,皮膚美白効果に優れた化粧料を皮膚に塗布する方法であり,これは「美容方法」ともよばれるものであることは明らかであるから,引用発明も本願発明も「美容方法」という点では共通する。
イ 本願発明は,「色素過剰スポットの外観を改善するための」とするものであって,ここでいう『色素過剰スポット』とは,明細書【0019】に,
「色素過剰スポットは,染み,日焼けによる染み(sun spot),黒子(solar lentigo),低メラニン性病変(hypo-melanotic lesion),そばかす及び肝斑スポットのうちの1つ以上を含むことができる。」
と染みやそばかすが含まれる旨記載されている。
これに対して,引用発明も,刊行物Aにおいて,その[技術の背景]の欄で,
「人間の皮膚に発生するシミ,ソバカス等は主として日焼け等によって起る組織中のメラニンの形成に原因を有する。」(摘示(A-2))
と記載された上で,さらに,
「種々の海藻類の何段階かの有機溶剤による抽出により得られる抽出成分・・・がメラニンの形成を阻害するだけにとどまらず,生成したメラニンを分解して無色にする活性を有し,・・・ここに本発明を完成させたものである。」(摘示(A-3))
と,海藻類の抽出物がメラニンを分解する活性を有することを見出したというのであることから,シミ・ソバカス等のメラニンを分解し,その改善を想定しているものと理解される。
そうすると,引用発明に係る化粧料を塗布する方法は,本願発明でいう「色素過剰スポットの外観を改善するための」に相当するものといえる。
ウ 本願発明は「・・・カラフトコンブ抽出物を含有する第1の組成物」とするものであるが,ここでいう『組成物』が,用語として引用発明の化粧料に相当することは明らかである。(本願発明の『第1の』なる記載は,請求項9などにおいて,複数の組成物が発明特定事項として記載されている際に,特に意味を有するものと解され,請求項1に係る本願発明においては,特段の意味はもたないものと解される。)
また,本願発明のカラフトコンブ抽出物も,引用発明の「コンブより抽出した・・・物質」も,ともにコンブ抽出物である点では同様である。
エ 本願発明は,「安全かつ有効な量の」とするものであって,この点に関して明細書【0017】には,
「本明細書で使用するとき,用語「安全かつ有効な量」は,有益な利益を有意に誘導するのに十分な化合物及び組成物の量を意味する。」
と記載されている。
これに対して,引用発明も,『安全性の高い』とされていて,さらに,刊行物Aには,
「海藻類は食用に供されている天然物なので,極めて安全性が高いものである。」(摘示(A-3))
とも記載されており,これはメラニン分解活性が得られる量でも安全であることを意味するものと解される。
そうすると,本願発明も引用発明も「安全かつ有効量」で使用されるものと解される。
オ 本願発明は,「皮膚表面上・・・に塗布する」とするものであるが,引用発明も,皮膚の美白効果のために塗布するものであって,しかも,上記で記載したように,刊行物Aの実施例5で洗顔クリームの例が,実施例8で化粧水の例がそれぞれ示されていることからも,引用発明も皮膚表面上に塗布される点では差異はないものといえる。
カ 本願発明では,「(ただし,アスコルビン酸,その誘導体及びそれらの塩を除く)」とするものであるが,引用発明でもアスコルビン酸やその誘導体,或いはそれらの塩が含まれていない点では同様である。
キ 以上のことから,本願発明と引用発明の一致点及び相違点は次のとおりとなる。
<一致点>
「色素過剰スポットの外観を改善するための美容方法であって,安全かつ有効な量のコンブ抽出物を含有する組成物(ただし,アスコルビン酸,その誘導体及びそれらの塩を除く)を,皮膚表面上に塗布する工程を含む,美容方法。」
<相違点1>
本願発明では,塗布する部位が「色素過剰スポット」と特定しているのに対して,引用発明では,そのような特定がない点。
<相違点2>
本願発明では,コンブ抽出物が「カラフトコンブ抽出物」とされているのに対して,引用発明では単に「コンブ抽出物」とされている点。
4.判断
(1)相違点1について
引用発明に係る化粧料は,メラニン分解物質を含むものであって,シミ・ソバカス等に対する改善を想定しているものと解されるのであるから,刊行物Aにおいて,特にシミ・ソバカスの部位に塗布する旨の記載がないとしても,引用発明に係る化粧料をシミ・ソバカスの現出部位に塗布することは,まず第一に当然に考慮されるものと解される。
すなわち,引用発明に係る方法において,化粧料をシミ・ソバカスの現出部位,すなわち,色素過剰スポットに塗布することは,当業者が容易になし得ることである。
(2)相違点2について
一般に「コンブ」というのは,コンブ科コンブ属に属する海藻の総称である(昭和53年9月10日共立出版株式会社発行「化学大辞典3」縮刷版第766頁『こんぶ』の項参照)と解せられ,そして,該コンブ属には,例えば,特開平2009-161458号公報(原審で引用された引用文献1)の【0046】に記載されているように,10種類強程度の種類のものが含まれると解されるものであって,その10数種類の中にはカラフトコンブは含まれるものである。
このような理解の下,引用発明における「コンブ」について検討すると,具体的にどの種類のコンブであるかなど,より詳細な記載は見当たらず,特定の種類のコンブを意味するものとは解されないので,上記したような総称的な意味合いとして理解するのが最も自然である。したがって,引用発明に係る「コンブ」は,特定の種類のコンブであると解釈されない以上,カラフトコンブと断ずることはできないものである。
しかしながら,その一方で,上記したように,カラフトコンブは『コンブ』と総称される範疇に含まれるものと解せられるから,刊行物Aの記載に触れた当業者ならば,そこに記載された「コンブ」について総称的な意味合いとして理解し,『コンブ』と総称される中に含まれるカラフトコンブについても,同様なメラニン分解物質が抽出されるであろうことは,容易に想到することといえる。
そして,本願明細書の記載を見ても,引用発明と比較して,格別予想外の効果が得られたものとすることができない。

なお,請求人は,審判請求書の請求の理由及び回答書において,刊行物Aの記載では(原審で引用された引用文献3(特開平2-88592号公報)においても),アラメ抽出物が,コンブ抽出物と同等又はそれ以上のメラニン分解活性およびチロシナーゼ阻害活性を有することが示されているところ,カラフトコンブ抽出物とアラメ抽出物とのメラニン合成阻害率を比較すると,アラメ抽出物よりもカラフトコンブ抽出物の方が優れていることから,刊行物Aに記載の「コンブ抽出物」に比べてカラフトコンブ抽出物が格別顕著な効果を奏する旨主張している。
しかしながら,審判請求書で提示された試験結果は,メラニン合成阻害率であるが,「色素過剰スポットの外観の改善のための」と特定されている本願発明にあっては,より直接的に関連する活性試験は,むしろメラニン分解活性試験であると解せられ,この点において,請求人提示の試験結果は,必ずしも適切なものとはいえない。
また,請求人は,アラメ抽出物との比較試験をした理由について,刊行物Aでは(原審で引用された引用文献3(特開平2-88592号公報)においても),アラメ抽出物が,コンブ抽出物と同等又はそれ以上のメラニン分解活性およびチロシナーゼ阻害活性を有することを挙げているが,「色素過剰スポットの外観の改善のための」と特定されている本願発明に関して,より直接的な試験と解せられる,メラニン分解活性試験についてみるならば,刊行物Aでは,コンブ抽出物もアラメ抽出物もその評価は「+++」とされており,かかる評価は,「24時間以内にメラニンが完全に分解し,澄明になったもの」という,いわば上限のない評価項目に該当するものであって,どちらがより高い活性であるかは示されていないというべきである。(『完全に分解』するまでの時間が,たとえ同じ「24時間以内」であったとしても,その所要時間の比較において,コンブ抽出物がより高い活性を示している可能性を否定できない。なお,原審で引用された引用文献3には,チロシナーゼ阻害活性試験については示されているものの,メラニン分解活性試験は示されていない。)
このように,請求人が,アラメ抽出物との比較試験結果を提示したことについて,その理由が必ずしも妥当であるとはいえない以上,カラフトコンブ以外のコンブの抽出物との直接的な比較ではない,アラメ抽出物との試験結果を以て,本願発明が引用発明と比較して格別予想外の効果を奏するものであるとすることができない。
したがって,請求人が提示した試験結果からは,本願発明が,引用発明と比較して必ずしも格別予想外の効果が奏されたものとすることができない。
さらに加えて,本件出願日において,コンブ類の抽出物が美白剤の1つとして当業者に広く認識されていたものである(例えば,特開2007-238597号公報の【0017】,特開2007-238446号公報の【0051】,国際公開第2006/019114号第2頁[0004]など参照。)ことからすれば,仮にコンブ類の中でもカラフトコンブの抽出物が幾ばくかの良好な美白効果を有することが示されたとしても,そのことを以て当業者にとって格別予想外の効果であるとすることはできない。
よって,上記請求人の主張は採用できない。

5.むすび
以上のとおり,本願発明は,刊行物Aに記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明することができたものであるので,特許法第29条第2項の規定により,特許を受けることができない。
よって,上記結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-01-26 
結審通知日 2015-01-27 
審決日 2015-02-13 
出願番号 特願2012-525584(P2012-525584)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A61K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 松本 直子  
特許庁審判長 星野 紹英
特許庁審判官 松浦 新司
小川 慶子
発明の名称 カラフトコンブの抽出物を用いた色素過剰スポットの外観を改善するための方法  
代理人 特許業務法人 谷・阿部特許事務所  
復代理人 松本 克  
復代理人 主代 静義  

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