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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H01L
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H01L
管理番号 1302746
審判番号 不服2014-11683  
総通号数 188 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-08-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-06-19 
確定日 2015-07-10 
事件の表示 特願2012- 88347「基板装置」拒絶査定不服審判事件〔平成25年10月24日出願公開、特開2013-219170〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成24年4月9日の出願であって、平成26年1月20日付け拒絶理由通知に対する応答時、同年3月24日付けで手続補正がなされたが、同年4月10日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年6月19日付けで拒絶査定不服審判の請求及び手続補正がなされた。
その後、当審の平成27年2月23日付け拒絶理由通知に対する応答時、同年3月17日付けで意見書のみ提出されたものである。

2.本願特許請求の範囲について
本願の特許請求の範囲は、平成26年6月19日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲に記載された、次のとおりのものである。
「【請求項1】
電子部品が実装された基板を含む複数の基板を積層し、これら基板相互間を連結部材を介して機械的に連結するとともに電気的に接続するように構成された基板装置において、
前記連結部材として、
表面に半田が被着され前記基板相互間を機械的に連結するとともに電気的に接続する複数のコアレス半田ボールと、
表面に半田が被着され前記基板の相互間に実装された電子部品の取付高よりも広い間隔を確保できる高さを有する複数のスペーサを併用し、
前記基板の前記スペーサとの少なくとも一方の対向面には前記スペーサの表面に被着された半田が溶融固着され配線パターンの端部が接続されないランドパターンが形成され、
前記積層される基板の両端近傍には前記スペーサが実装されていることを特徴とする基板装置。
【請求項2】
前記複数のスペーサは、樹脂コア半田ボールまたは銅コア半田ボールであることを特徴とする請求項1記載の基板装置。
【請求項3】
前記複数のスペーサは、端面が接着剤を介して対向する基板に固着されるスタッドであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の基板装置。
【請求項4】
前記積層される基板の一方は電子部品が実装されるモジュール基板であり、他方はマザー基板であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の基板装置
【請求項5】
前記積層される基板は半導体ベアチップであり、前記電子部品は半導体であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の基板装置。」

3.当審の拒絶の理由
当審において平成27年2月23日付けで通知した拒絶理由の概要は、次のとおりである。

3-1.理由1(特許法第29条第2項)
本件出願の請求項1?5に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された下記の引用文献1?5に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引 用 文 献 等 一 覧
1.特開2004-200197号公報
2.特開平11-8474号公報
3.特開2011-9488号公報
4.特開平9-162234号公報
5.特開2004-214403号公報

3-2.理由2(特許法第36条第6項第1号・第2号違反)
本件出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第1号・第2号に規定する要件を満たしていない。

(1)請求項1において、「表面に半田が被着され前記基板相互間を・・・複数のコアレス半田ボールと」とあるが、コアレス半田ボールは、基本的に全ての部分が半田から構成されているはずであり、「表面に半田が被着され」なる記載(表現)は意味不明瞭である。

(2)請求項3において、「前記複数のスペーサは、端面が接着剤を介して対向する基板に固着されるスタッドである・・」とあるが、
(a)かかる記載事項と、引用する請求項2に記載の事項との関係が明らかでない。
(b)また、引用する請求項1によれば、「スペーサ」はその表面に半田が被着されたものであるところ、端面が接着剤を介して基板に固着される「スタッド」についても、その表面に半田が被着されることについては発明の詳細な説明に記載されていないことである。
よって、請求項3に係る発明は明確なものでないとともに、発明の詳細な説明に記載されたものとも認められない。
〔発明の詳細な説明には、段落【【0045】に「これらコア入り半田ボールは基板間の間隔を確保するために用いているので、必ずしもコア入り半田ボールでなくてもよく、スタッド(スペーサー)を半田付けや接着剤で固定するものでもよい。」と記載されており、かかる記載によれば、コア入り半田ボールに代えてスタッド(スペーサー)を接着剤で固定するようにしてもよいと理解できる点に注意されたい。〕

(3)請求項5において、「・・基板は半導体ベアチップであり、前記電子部品は半導体である・・」とあるが、ここでいう「半導体ベアチップ」と「半導体」との違いが明らかでなく、請求項5に係る発明は全体として明確なものでない。
(ここでいう「半導体」も半導体チップなのでは? つまり、チップ・オン・チップであることを意味しているのではないか? もしそうであるならば、そのことが明確に理解し得るような記載とされたい。また、もしそうでないならば、意見書において説明されたい。)

4.当審の判断
4-1.理由2(特許法第36条第6項第1号・第2号違反)について
上記「3-2.」の(1)?(3)のとおりの記載不備に関する指摘に対して、請求人は特許請求の範囲について何ら補正することなく、また、平成27年3月17日付け意見書において何ら具体的に反論してもいない。
よって依然として、上記(1)?(3)の指摘事項に関する記載不備は解消しておらず、請求項1,3,5に係る各発明は明確なものでないとともに、請求項3に係る発明は発明の詳細な説明に記載されたものとも認められない。

したがって、本件出願は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号・第2号に規定する要件を満たしていない。

4-2.理由1(特許法第29条第2項)について
上記「4-1.」で示した判断のとおり、本願の請求項1に係る発明には、上記「3-2.」の(1)で指摘する記載不備があるが、請求項、明細書及び図面の記載や技術常識からして、コアレス半田ボールについての「表面に半田が被着され」なる記載(表現)の意味するところは、「表面が半田であり」程度の意味であると解釈し、特許法第29条第2項についての検討もしておく。

(1)引用例
当審の拒絶の理由に引用された特開2004-200197号公報(以下、「引用例」という。)には、「半導体装置」について、図面とともに以下の各記載がある(なお、下線は当審で付与した)。
ア.「【請求項1】
基板上もしくはICチップ上に形成された配線層と、
前記配線層に接続され、前記基板上もしくはICチップ上に配置された電極接合バンプと、
前記電極接合バンプの外側に配置され、前記電極接合バンプに加わる応力を緩和するダミー接合バンプとを備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記ダミー接合バンプは、
前記電極接合バンプよりも融点の高い材質で構成されたコアと、
前記電極接合バンプと同じ材質で構成され、前記コアの表面を覆う被膜とを備えることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。」

イ.「【0019】
図1において、インターポーザ基板1の表面には配線2aが形成されるとともに、インターポーザ基板1の表面には配線2cおよびダミーボールもしくはダミーバンプ8を配置するランド7が形成され、各面に形成された配線2a、2cは、インターポーザ基板1に形成されたスルーホール配線2bを介して接続されている。
【0020】
ここで、インターポーザ基板1の裏面に設けられた配線2cは、インターポーザ基板1の内側に向かうように配置され、ダミーボールもしくはダミーバンプ8を配置するランド7は、インターポーザ基板の最外周に配置されている。
そして、インターポーザ基1の表面にはICチップ3が実装され、ICチップ3は、バンプ4を介して配線2aと接続されるとともに、モールド樹脂5により封止されている。
【0021】
また、インターポーザ基板1の裏面に設けられたランド7上には、ダミーボールもしくはダミーバンプ8が形成され、ダミーボール8もしくはダミーバンプは、インターポーザ基板1の最外周に配置されている。
ここで、ダミーボールもしくはダミーバンプ8は、コア8aとコア8bを覆うハンダ・Sn等の被膜8bとから構成され、コア8aは、ハンダボール6より融点の高い硬質ボール・バンプから構成することができ、コア8aの材質としては、例えば、Cu、Ni、Pd、W、Tiなどを用いることができる。
【0022】
さらに、ダミーボールもしくはダミーバンプ8の内側には、ハンダボールもしくはバンプ6が配置され、ハンダボールもしくはバンプ6は、配線2cに接続されている。
これにより、ハンダボールもしくはバンプ6が形成されたインターポーザ基板1をマザー基板上に実装することで、ハンダボールもしくはバンプ6の接続状態をダミーボールもしくはダミーバンプ8で補強することが可能となる。
【0023】
このため、ボールグリッドアレイが大型化した場合においても、実装時の工程数を増加させることなく、ハンダボールもしくはバンプ6の接続不良を低減することが可能となり、スループットの低下を抑制しつつ、ボールグリッドアレイの二次実装時の信頼性を向上させることができる。
また、ダミーボールもしくはダミーバンプ8のコア8aをハンダボールもしくはバンプ6より融点の高い硬質ボールもしくはバンプで構成することにより、ダミーボールもしくはダミーバンプ8でインターポーザ基板1を支えつつ、ハンダボールもしくはバンプ6を融着させることが可能となる。
【0024】
このため、実装時のハンダボールもしくはバンプ6の変形を抑制して、接合平面度を確保しつつ、接合間隔を一定に保つことが可能となり、ハンダボールもしくはバンプ6の接合精度を向上させることが可能となるとともに、樹脂封止の信頼性を向上させることが可能となる。
さらに、ダミーボールもしくはダミーバンプ8のコア8aをハンダ・Sn等の被膜8bで被覆することにより、ダミーボールもしくはダミーバンプ8の内側に配置されたハンダボールもしくはバンプ6の融着を行いつつ、ダミーボールもしくはダミーバンプ8を融着することが可能となり、ダミーボールもしくはダミーバンプ8の接続をハンダボールもしくはバンプ6の接続とともに一括して行うことができる。」

・上記引用例に記載の「半導体装置」は、上記「ア.」の【請求項1】、「イ.」の段落【0019】?【0022】の記載事項、及び図1によれば、インターポーザ基板1の裏面上に形成された配線2cおよびランド7と、配線2c上に配置され、配線2cに接続された複数のハンダボールもしくはバンプ6と、ランド7上に配置された複数のダミーボールもしくはダミーバンプ8とを備える半導体装置に関するものである。
・上記「イ.」の段落【0022】の記載事項によれば、インターポーザ基板1は、ハンダボールもしくはバンプ6とダミーボールもしくはダミーバンプ8とを介してマザー基板上に実装されるものである。
・上記「イ.」の段落【0019】?【0022】の記載事項、及び図1によれば、インターポーザ基板1の表面にはICチップ3が実装され、ICチップ3はインターポーザ基板1の表面上に形成された配線2aと、インターポーザ基板1に形成されたスルーホール配線2bとを介して配線2cと接続されてなるものである。
・上記「ア.」の【請求項2】、「イ.」の段落【0021】と【0023】?【0024】の記載事項によれば、ダミーボールもしくはダミーバンプ8は、ハンダボールもしくはバンプ6より融点の高い硬質ボールもしくはバンプからなるコア8aと、ハンダボールもしくはバンプ6と同じ材質であるハンダ・Sn等からなり、コア8aを覆う被膜8bとから構成され、コア8aを有することから、インターポーザ基板1をマザー基板上に実装した際に接合間隔を一定に保つことが可能となるものである。
・上記「ア.」の【請求項1】、「イ.」の段落【0020】?【0021】の記載事項、及び図1によれば、ランド7およびダミーボールもしくはダミーバンプ8は、インターポーザ基板1の最外周に配置されてなるものである。

したがって、特に図1に示される第1実施形態に係る「半導体装置」に着目するとともに、当該「半導体装置」に、さらに当該「半導体装置」が実装されるマザー基板を含めたものを「装置」の発明として捉え、上記記載事項及び図面を総合勘案すると、引用例には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「表面にICチップが実装されたインターポーザ基板と、前記インターポーザ基板の裏面上に形成された配線およびランドと、前記配線上に配置され、当該配線に接続された複数のハンダボールもしくはバンプと、前記ランド上に配置された複数のダミーボールもしくはダミーバンプとを備え、前記ICチップは前記インターポーザ基板の表面上に形成された配線と前記インターポーザ基板に形成されたスルーホール配線とを介して前記インターポーザ基板の裏面上に形成された前記配線と接続されてなる半導体装置と、
前記ハンダボールもしくはバンプと前記ダミーボールもしくはダミーバンプとを介して前記インターポーザ基板が実装されるマザー基板と、
からなる装置において、
前記ダミーボールもしくはダミーバンプは、前記ハンダボールもしくはバンプより融点の高い硬質ボールもしくはバンプからなるコアと、前記ハンダボールもしくはバンプと同じ材質であるハンダ・Sn等からなり、前記コアを覆う被膜とから構成され、
前記ランドおよび前記ダミーボールもしくはダミーバンプは、前記インターポーザ基板の最外周に配置されてなり、
前記ダミーボールもしくはダミーバンプが硬質ボールもしくはバンプからなるコアを有することから、前記インターポーザ基板を前記マザー基板上に実装した際に接合間隔を一定に保つことが可能な装置。」

(2)対比
そこで、本願発明と引用発明とを対比すると、
ア.引用発明における「ICチップ」、「インターポーザ基板」、「複数のハンダボールもしくはバンプ」と「複数のダミーボールもしくはダミーバンプ」は、それぞれ本願発明における「電子部品」、電子部品が実装された「基板」、「連結部材」に相当し、
引用発明における「表面にICチップが実装されたインターポーザ基板と、前記インターポーザ基板の裏面上に形成された配線およびランドと、前記配線上に配置され、当該配線に接続された複数のハンダボールもしくはバンプと、前記ランド上に配置された複数のダミーボールもしくはダミーバンプとを備え、前記ICチップは前記インターポーザ基板の表面上に形成された配線と前記インターポーザ基板に形成されたスルーホール配線とを介して前記インターポーザ基板の裏面上に形成された前記配線と接続されてなる半導体装置と、前記ハンダボールもしくはバンプと前記ダミーボールもしくはダミーバンプとを介して前記インターポーザ基板が実装されるマザー基板と、からなる装置において」によれば、
(a)引用発明の「インターポーザ基板」と「マザー基板」とは積層され、これら基板相互間は「複数のハンダボールもしくはバンプ」と「複数のダミーボールもしくはダミーバンプ」とを介して機械的に連結されるとともに電気的に接続されるものであることは明らかである。
(b)そして、引用発明における、インターポーザ基板を備える半導体装置とマザー基板とからなる「装置」は、本願発明でいう「基板装置」に相当するといえる。
したがって、本願発明と引用発明とは、「電子部品が実装された基板を含む複数の基板を積層し、これら基板相互間を連結部材を介して機械的に連結するとともに電気的に接続するように構成された基板装置」におけるものである点で一致する。

イ.引用発明における「前記ハンダボールもしくはバンプと前記ダミーボールもしくはダミーバンプとを介して前記インターポーザ基板が実装されるマザー基板と・・・・前記ダミーボールもしくはダミーバンプは、前記ハンダボールもしくはバンプより融点の高い硬質ボールもしくはバンプからなるコアと、前記ハンダボールもしくはバンプと同じ材質であるハンダ・Sn等からなり、前記コアを覆う被膜とから構成され・・・・前記ダミーボールもしくはダミーバンプが硬質ボールもしくはバンプからなるコアを有することから、前記インターポーザ基板を前記マザー基板上に実装した際に接合間隔を一定に保つことが可能・・」によれば、
(a)引用発明においても、連結部材として、複数の「ハンダボールもしくはバンプ」と複数の「ダミーボールもしくはダミーバンプ」とを併用しており、
(b)このうちの「ハンダボールもしくはバンプ」は、コアを有さず、ハンダ・Sn等のみからなるものであるといえ、これによって基板相互間を機械的に連結するとともに電気的にも接続していることは自明であるから、本願発明における「コアレス半田ボール」に相当し、
(c)そして、他方の「ダミーボールもしくはダミーバンプ」は、コアにハンダ・Sn等が被着されてなるものであり、インターポーザ基板をマザー基板上に実装した際の接合間隔を一定に保つための所定の高さ(径)を有するものであることから、本願発明における「スペーサ」に相当するものである。
したがって、本願発明と引用発明とは、後述の相違点を除いて「前記連結部材として、表面に半田が被着され前記基板相互間を機械的に連結するとともに電気的に接続する複数のコアレス半田ボールと、表面に半田が被着され[所定の]高さを有する複数のスペーサを併用し」の点で共通するといえる。

ウ.引用発明における「ランド」、「スルーホール配線」は、それぞれ本願発明における「ランドパターン」、「配線パターン」に相当し、
引用発明における「・・前記インターポーザ基板の裏面上に形成された配線およびランドと、前記配線上に配置され、当該配線に接続された複数のハンダボールもしくはバンプと、前記ランド上に配置された複数のダミーボールもしくはダミーバンプとを備え、前記ICチップは前記インターポーザ基板の表面上に形成された配線と前記インターポーザ基板に形成されたスルーホール配線とを介して前記インターポーザ基板の裏面上に形成された前記配線と接続されてなる・・」によれば、
(a)ハンダボールもしくはバンプが配置され接続される「配線」についはスルーホール配線が電気的に接続されているものの、ダミーボールもしくはダミーバンプが配置される「ランド」にはスルーホール配線等の配線が電気的に接続されていない(図1(b)も参照)と理解できること、
(b)「ランド」には当然、ダミーボールもしくはダミーバンプの表面のハンダ・Sn等が溶融固着されているといえること、
を考慮すると、本願発明と引用発明とは、「前記基板の前記スペーサとの少なくとも一方の対向面には前記スペーサの表面に被着された半田が溶融固着され配線パターンの端部が接続されないランドパターンが形成され」てるい点で一致するということができる。

エ.引用発明における「前記ランドおよび前記ダミーボールもしくはダミーバンプは、前記インターポーザ基板の最外周に配置されてなり」によれば、
引用発明における、複数の「ダミーボールもしくはダミーバンプ」は、基板の両端近傍に実装されているとみることができるから(引用例の図1(a)も参照)、
本願発明と引用発明とは、「前記積層される基板の両端近傍には前記スペーサが実装されている」点で一致する。

よって、本願発明と引用発明とは、
「電子部品が実装された基板を含む複数の基板を積層し、これら基板相互間を連結部材を介して機械的に連結するとともに電気的に接続するように構成された基板装置において、
前記連結部材として、
表面に半田が被着され前記基板相互間を機械的に連結するとともに電気的に接続する複数のコアレス半田ボールと、
表面に半田が被着され[所定の]高さを有する複数のスペーサを併用し、
前記基板の前記スペーサとの少なくとも一方の対向面には前記スペーサの表面に被着された半田が溶融固着され配線パターンの端部が接続されないランドパターンが形成され、
前記積層される基板の両端近傍には前記スペーサが実装されていることを特徴とする基板装置。」
である点で一致し、次の点で相違する。

[相違点]
複数のスペーサの所定の高さについて、本願発明では、「前記基板の相互間に実装された電子部品の取付高よりも広い間隔を確保できる高さ」である旨特定するのに対し、引用発明では、そのような特定を有していない点。

(3)判断
上記相違点について検討する。
引用発明における「ダミーボールもしくはダミーバンプ」は硬質ボールもしくはバンプからなるコアを有することから、インターポーザ基板をマザー基板上に実装した際の接合間隔、つまり基板間の間隔を一定に保つことが可能なものであるところ、例えば特開平11-8474号公報(特に段落【0033】、図3を参照)や特開2011-9488号公報(特に段落【0010】、図1を参照)に記載のように、基板の相互間に電子部品を実装すること、及び金属コア半田ボールを基板相互間の電子部品の取付高さ(厚さ)よりも大きな径のものを用いることによって、基板間を電子部品の取付高さ(厚さ)より大きい所定の間隔に確保すること、は周知の技術事項であり、引用発明においても、かかる周知の技術事項を採用し、インターポーザ基板とマザー基板の相互間にICチップなどの電子部品を実装するとともに、ダミーボールもしくはダミーバンプを、その電子部品の取付高よりも広い間隔を確保できる高さ(径)を有するものとすることは当業者であれば容易になし得ることである。

そして、本願発明が奏する効果についてみても、引用発明及び周知の技術事項から当業者が十分に予測できたものであって、格別顕著なものがあるとはいえない。

したがって、本願の請求項1に係る発明は、引用発明及び周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

5.その他(予備的見解)
請求人は平成27年3月17日付け意見書において、「引用文献1の請求項3には、『ダミー接合バンプは、いずれかの電極接合バンプと共通電位であることを特徴とする』と明記されています。この引用文献1の請求項3の記載は、『ダミー接合バンプが電気的に接続されること』を意味しています。すなわち、この引用文献1の請求項3の記載は、明らかに本願発明との『相違点』に含まれるべきものです。」などと主張している。
しかしながら、引用例(引用文献1)において、従属項である請求項3に「ダミー接合バンプは、いずれかの電極接合バンプと共通電位である」ことが記載されているとしても、独立項である請求項1にはそのようなことは記載されていないのであるから、この点において請求項1は、ダミー接合バンプ(ダミーボールもしくはダミーバンプ8)が電極接合バンプ(ハンダボールもしくはバンプ6)と電気的に接続されていない態様を含むものであるといえ、さらに、そもそも当該ダミー接合バンプはあくまでも「ダミー」であり、また、上記「4-2.(2)ウ.」でも述べたとおり、図1(b)を見てもダミー接合バンプ(ダミーボールもしくはダミーバンプ8)が配置されるランド7にはスルーホール配線2b等の配線が電気的に接続されておらず(なお、図2に示される第2実施形態に係るものにあっても、ダミーボールもしくはダミーバンプ19はソルダーレジスト16上に配置され、再配置配線15等の配線とは電気的に接続されていない)、電極接合バンプ(ハンダボールもしくはバンプ6)のように電気的な接続機能については意図していないものであると解され、引用発明を認定するにあたって、ダミー接合バンプ(ダミーボールもしくはダミーバンプ8)が電極接合バンプ(ハンダボールもしくはバンプ6)と電気的に接続されてなることを必須の構成要件とすべき必要はないことは明らかである。
よって、請求人の上記主張は採用できない。

なお仮に、引用例からは、「ランド」にはスルーホール配線等の配線が電気的に接続されていないということまで直ちに認定できないとしたとしても、上述したように、このランド上に配置されるダミーボールもしくはダミーバンプはあくまでも「ダミー」であり、ハンダボールもしくはバンプのように電気的な接続機能については意図していないと解されることから、当該「ランド」に対してはスルーホール配線等の配線が電気的に接続されない構成とすることは当業者であればごく普通になし得ることであるといえる。

6.むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
また、本件出願は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号・第2号に規定する要件を満たしていない。
したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-05-12 
結審通知日 2015-05-13 
審決日 2015-05-26 
出願番号 特願2012-88347(P2012-88347)
審決分類 P 1 8・ 537- WZ (H01L)
P 1 8・ 121- WZ (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 越本 秀幸  
特許庁審判長 水野 恵雄
特許庁審判官 酒井 朋広
井上 信一
発明の名称 基板装置  
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