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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L |
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管理番号 | 1302897 |
審判番号 | 不服2014-10222 |
総通号数 | 188 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2015-08-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2014-06-02 |
確定日 | 2015-07-09 |
事件の表示 | 特願2009-248712「半導体装置及びその製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 5月12日出願公開、特開2011- 96818〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成21年10月29日の出願であって、平成25年10月21日付けの拒絶理由通知に対して、平成26年1月6日に手続補正がなされるとともに意見書が提出されたが、同年2月28日付けで拒絶査定がなされ、それに対して、同年6月2日に拒絶査定不服審判請求がなされるとともに、同日に手続補正がなされたものである。 2.補正の却下の決定 【補正の却下の決定の結論】 平成26年6月2日になされた手続補正を却下する。 【理由】 (1)補正の内容 平成26年6月2日になされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、補正前の特許請求の範囲の請求項1ないし10を、補正後の特許請求の範囲の請求項1ないし10に補正するものであり、補正前後の請求項は、以下のとおりである。 (補正前) 「 【請求項1】 半導体基板の上方に形成された導電層と前記導電層上に形成された貴金属酸化物を含む下部電極と;前記下部電極上に直接形成され、Laが添加されたチタン酸ジルコン酸鉛の第1の強誘電体膜と、前記第1の強誘電体膜上に直接形成され、前記第1の強誘電体膜より膜厚が薄く、LaとCaとSrとが添加されたチタン酸ジルコン酸鉛の第2の強誘電体膜とを有するキャパシタ誘電体膜と;前記キャパシタ誘電体膜上に形成された上部電極とを有するキャパシタ を有することを特徴とする半導体装置。 【請求項2】 請求項1記載の半導体装置において、 前記第1の強誘電体膜におけるLaの含有量は、0.1mol%?4.0mol%である ことを特徴とする半導体装置。 【請求項3】 請求項1又は2記載の半導体装置において、 前記第2の強誘電体膜におけるLaの含有量は、0.1mol%?4.0mol%であり、 前記第2の強誘電体膜におけるCaの含有量は、0.1mol%?6.0mol%であり、 前記第2の強誘電体膜におけるSrの含有量は、0.1mol%?3.0mol%である ことを特徴とする半導体装置。 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の半導体装置において、 前記第1の強誘電体膜の膜厚は、30nm?150nmであり、 前記第2の強誘電体膜の膜厚は、5nm?20nmである ことを特徴とする半導体装置。 【請求項5】 半導体基板の上方に下部電極を形成する工程と、 Laが添加されたチタン酸ジルコン酸鉛の第1の強誘電体膜を、前記下部電極上に直接形成する工程と、 前記第1の強誘電体膜より膜厚が薄く、LaとCaとSrとが添加されたチタン酸ジルコン酸鉛の第2の強誘電体膜を、前記第1の強誘電体膜上に直接形成する工程と、 前記第2の強誘電体膜上に上部電極を形成する工程と、 前記上部電極、前記第2の強誘電体膜、前記第1の強誘電体膜及び前記下部電極をパターニングし、前記下部電極と、前記第1の強誘電体膜と前記第2の強誘電体膜とを有するキャパシタ誘電体膜と、前記上部電極とを有するキャパシタを形成する工程とを有し、 前記下部電極を形成する工程は、導電層を形成する工程と、前記導電層上に非晶質の貴金属酸化物を形成する工程とを有する ことを特徴とする半導体装置の製造方法。 【請求項6】 請求項5記載の半導体装置の製造方法において、 前記上部電極を形成する工程は、成膜の時点で結晶化している第1の導電性酸化物膜を前記キャパシタ誘電体膜上に直接形成する工程を有する ことを特徴とする半導体装置の製造方法。 【請求項7】 請求項6記載の半導体装置の製造方法において、 前記上部電極を形成する工程は、酸素の組成比が前記第1の導電性酸化物膜より高い非晶質の第2の導電性酸化物膜を前記第1の導電性酸化物膜上に形成する工程を更に有する ことを特徴とする半導体装置の製造方法。 【請求項8】 請求項6又は7記載の半導体装置の製造方法において、 前記第1の導電性酸化物膜は、酸化イリジウム膜であり、 前記第2の導電性酸化物膜は、他の酸化イリジウム膜である ことを特徴とする半導体装置の製造方法。 【請求項9】 請求項6乃至8のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、 前記第1の強誘電体膜を形成する工程では、スパッタリング法により前記第1の強誘電体膜を形成する ことを特徴とする半導体装置の製造方法。 【請求項10】 請求項6乃至9のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、 前記第2の強誘電体膜を形成する工程では、スパッタリング法により前記第2の強誘電体膜を形成する ことを特徴とする半導体装置の製造方法。」 (補正後) 「 【請求項1】 半導体基板の上方に形成されたプラチナ膜と前記プラチナ膜上に形成された1nm?5nmの膜厚を有するSrRuO_(3)膜またはLaSrCoO_(3)膜のいずれかを含む下部電極と;前記下部電極上に直接形成され、Laが添加されたチタン酸ジルコン酸鉛の第1の強誘電体膜と、前記第1の強誘電体膜上に直接形成され、前記第1の強誘電体膜より膜厚が薄く、LaとCaとSrとが添加されたチタン酸ジルコン酸鉛の第2の強誘電体膜とを有するキャパシタ誘電体膜と;前記キャパシタ誘電体膜上に形成された上部電極とを有するキャパシタ を有することを特徴とする半導体装置。 【請求項2】 請求項1記載の半導体装置において、 前記第1の強誘電体膜におけるLaの含有量は、0.1mol%?4.0mol%である ことを特徴とする半導体装置。 【請求項3】 請求項1又は2記載の半導体装置において、 前記第2の強誘電体膜におけるLaの含有量は、0.1mol%?4.0mol%であり、 前記第2の強誘電体膜におけるCaの含有量は、0.1mol%?6.0mol%であり、 前記第2の強誘電体膜におけるSrの含有量は、0.1mol%?3.0mol%である ことを特徴とする半導体装置。 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の半導体装置において、 前記第1の強誘電体膜の膜厚は、30nm?150nmであり、 前記第2の強誘電体膜の膜厚は、5nm?20nmである ことを特徴とする半導体装置。 【請求項5】 半導体基板の上方に下部電極を形成する工程と、 Laが添加されたチタン酸ジルコン酸鉛の第1の強誘電体膜を、前記下部電極上に直接形成する工程と、 前記第1の強誘電体膜より膜厚が薄く、LaとCaとSrとが添加されたチタン酸ジルコン酸鉛の第2の強誘電体膜を、前記第1の強誘電体膜上に直接形成する工程と、 前記第2の強誘電体膜上に上部電極を形成する工程と、 前記上部電極、前記第2の強誘電体膜、前記第1の強誘電体膜及び前記下部電極をパターニングし、前記下部電極と、前記第1の強誘電体膜と前記第2の強誘電体膜とを有するキャパシタ誘電体膜と、前記上部電極とを有するキャパシタを形成する工程とを有し、 前記下部電極を形成する工程は、プラチナ膜を形成する工程と、前記プラチナ膜上に非晶質の1nm?5nmの膜厚を有するSrRuO_(3)膜またはLaSrCoO_(3)膜のいずれかをスパッタリング法により形成する工程とを有する ことを特徴とする半導体装置の製造方法。 【請求項6】 請求項5記載の半導体装置の製造方法において、 前記上部電極を形成する工程は、成膜の時点で結晶化している第1の導電性酸化物膜を前記キャパシタ誘電体膜上に直接形成する工程を有する ことを特徴とする半導体装置の製造方法。 【請求項7】 請求項6記載の半導体装置の製造方法において、 前記上部電極を形成する工程は、酸素の組成比が前記第1の導電性酸化物膜より高い非晶質の第2の導電性酸化物膜を前記第1の導電性酸化物膜上に形成する工程を更に有する ことを特徴とする半導体装置の製造方法。 【請求項8】 請求項6又は7記載の半導体装置の製造方法において、 前記第1の導電性酸化物膜は、酸化イリジウム膜であり、 前記第2の導電性酸化物膜は、他の酸化イリジウム膜である ことを特徴とする半導体装置の製造方法。 【請求項9】 請求項6乃至8のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、 前記第1の強誘電体膜を形成する工程では、スパッタリング法により前記第1の強誘電体膜を形成する ことを特徴とする半導体装置の製造方法。 【請求項10】 請求項6乃至9のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、 前記第2の強誘電体膜を形成する工程では、スパッタリング法により前記第2の強誘電体膜を形成する ことを特徴とする半導体装置の製造方法。」 (2)補正事項の整理 本件補正の補正事項を整理すると、以下のとおりである。 (補正事項a) (補正事項a-1) 補正前の請求項1の「導電層」を、補正後の請求項1の「プラチナ膜」と補正すること。 (補正事項a-2) 補正前の請求項1の「貴金属酸化物」を、補正後の請求項1の「1nm?5nmの膜厚を有するSrRuO_(3)膜またはLaSrCoO_(3)膜のいずれか」と補正すること。 (補正事項b) (補正事項b-1) 補正前の請求項5の「導電層」を、補正後の請求項5の「プラチナ膜」と補正すること。 (補正事項b-2) 補正前の請求項5の「貴金属酸化物を形成する工程」を、補正後の請求項5の「1nm?5nmの膜厚を有するSrRuO_(3)膜またはLaSrCoO_(3)膜のいずれかをスパッタリング法により形成する工程」と補正すること。 (3)新規事項追加の有無及び補正の目的の適否についての検討 (3-1)補正事項aについて (3-1-1)補正事項a-1について 補正事項a-1は、補正前の請求項1に係る発明の発明特定事項である「導電層」を、「プラチナ膜」と限定的に減縮する補正である。 そして、この補正は、本願の願書に最初に添付した明細書(以下「当初明細書」という。また、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面を「当初明細書等」という。)の【0037】段落の記載に基づく補正である。 したがって、補正事項a-1は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであり、特許法第17条の2第3項に規定された新規事項の追加禁止の要件を満たしており、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (3-1-2)補正事項a-2について 補正事項a-2は、補正前の請求項1の発明特定事項である「貴金属酸化物」を、「1nm?5nmの膜厚を有するSrRuO_(3)膜またはLaSrCoO_(3)膜のいずれか」と補正するものであるが、「LaSrCoO_(3)膜」は「貴金属酸化物」ではないので、補正前の請求項1に係る発明の発明特定事項を限定するものでないから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げられた特許請求の範囲の減縮を目的とするものには該当しない。また、前記「貴金属酸化物」を、「1nm?5nmの膜厚を有するSrRuO_(3)膜またはLaSrCoO_(3)膜のいずれか」とする補正が、特許法第17条の2第5項のその他のいずれの号に掲げられた事項を目的とするものにも該当しないことは明らかである。 したがって、補正事項a-2は、特許法第17条の2第5項に規定する要件を満たしていない。 (3-2)補正事項bについて (3-2-1)補正事項b-1について 補正事項b-1は、補正前の請求項5に係る発明の発明特定事項である「導電層」を、「プラチナ膜」と限定的に減縮する補正である。 そして、この補正は、当初明細書の【0037】段落の記載に基づく補正である。 したがって、補正事項b-1は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであり、特許法第17条の2第3項に規定された新規事項の追加禁止の要件を満たしており、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (3-2-2)補正事項b-2について 補正事項b-2は、補正前の請求項5に係る発明の発明特定事項である「貴金属酸化物を形成する工程」を、「1nm?5nmの膜厚を有するSrRuO_(3)膜またはLaSrCoO_(3)膜のいずれかをスパッタリング法により形成する工程」と補正するものであるが、「LaSrCoO_(3)膜」は「貴金属酸化物」ではないので、補正前の請求項5に係る発明の発明特定事項を限定するものでないから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げられた特許請求の範囲の減縮を目的とするものには該当しない。 また、前記「貴金属酸化物を形成する工程」を、「1nm?5nmの膜厚を有するSrRuO_(3)膜またはLaSrCoO_(3)膜のいずれかをスパッタリング法により形成する工程」とする補正が、特許法第17条の2第5項のその他のいずれの号に掲げられた事項を目的とするものにも該当しないことは明らかである。 したがって、補正事項b-2は、特許法第17条の2第5項に規定する要件を満たしていない。 (3-4)新規事項追加の有無及び補正の目的の適否についてのまとめ 以上、検討したとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。 しかしながら、本件補正のうちの補正事項a-2及びb-2は、特許法第17条の2第5項に規定する要件を満たしていないから、本件補正は、同法同条同項に規定する要件を満たしていない。 (4)独立特許要件について (4-1)はじめに 上記(3)において検討したとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項に規定する要件を満たしていないが、仮に、補正事項a-2、補正事項b-2が、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、本件補正が当該要件を満たすものであるとした場合には、上記(3)において検討したとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正であるから、本件補正が、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否かについて、一応検討する。 (4-2)補正後の請求項1に係る発明 本件補正による補正後の請求項1に係る発明(以下「補正後の発明」という。)は、平成26年6月2日になされた手続補正により補正された明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載されている事項により特定される上記2.(1)の補正後の請求項1として記載したとおりのものである。 (4-3)刊行物に記載された事項及び発明 (4-3-1)原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願日前に日本国内において頒布された特開2008-124331号公報(以下「引用刊行物」という。)には、図1?6とともに、以下の事項が記載されている。なお、下線は、当審において付与したものである(以下、同じ。)。 「【技術分野】 【0001】 本発明は半導体装置とその製造方法に関する。」 「【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0022】 本発明の目的は、強誘電体キャパシタが備えるキャパシタ誘電体膜の特性を向上させる ことが可能な半導体装置とその製造方法を提供することにある。」 「【発明を実施するための最良の形態】 【0032】 (1)第1実施形態 図1?図6は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造途中の断面図である。」 「【0044】 次に、図1(b)に示すように、シリコン基板10の上側全面に、プラズマCVD法で酸窒化シリコン(SiON)膜を厚さ約200nmに形成し、それをカバー絶縁膜10とする。 【0045】 更に、TEOS(tetra ethoxy silane)ガスを使用するプラズマCVD法により、このカバー絶縁膜10の上に第1層間絶縁膜11として酸化シリコン(SiO_(2))膜を厚さ約600nmに形成する。この第1層間絶縁膜11を形成する際、ゲート絶縁膜4の水素劣化はカバー絶縁膜10によって防止される。 【0046】 その後、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法で第1層間絶縁膜11を約200nm程度研磨し、第1層間絶縁膜11の上面を平坦化する。 【0047】 次いで、基板温度を650℃とするアニールを第1層間絶縁膜11に対して30分間行うことにより第1層間絶縁膜11の脱ガスを行う。 【0048】 更に、第1層間絶縁膜11の上に、下部電極密着膜12としてスパッタ法によりアルミナ(Al_(2)O_(3))膜を20nm程度の厚さに形成する。なお、アルミナ膜に代えて、チタン膜又は酸化チタン膜を下部電極密着膜12として形成してもよい。このうち、チタン膜は、基板温度を150℃として形成することができる。 【0049】 続いて、図1(c)に示すように、下部電極密着膜12の上に、スパッタ法により第1導電膜23としてプラチナ膜を形成する。この第1導電膜23は、後でパターニングされてキャパシタ下部電極になり、100℃又は350℃の成膜温度で約150nmの厚さに形成される。 【0050】 なお、下部電極密着膜12として厚さが約20nmのチタン膜を形成する場合は、プラチナよりなる第1導電膜23の厚さは約180nmとされる。 【0051】 また、第1導電膜23を形成する前に下部電極密着膜12を形成したので、第1導電膜23と第1層間絶縁膜11との密着力が高められる。 【0052】 次に、図2(a)に示すように、ゾル・ゲル法を用いて、PZT膜にLaをドープしてなるPLZT膜を第1導電膜23上に第1強誘電体膜24bとして形成する。 【0053】 そのゾル・ゲル法は次のようにして行われる。 【0054】 まず、湿度が40%の大気中において、回転数を5000rpmとするスピンコート法により第1導電膜23上にPLZT溶液(強誘電体溶液)を30秒間塗布し、PLZT塗膜を形成する。 【0055】 そのPLZT溶液は特に限定されないが、本実施形態ではPb、La、Zr、及びTiの各前駆体を10重量%の濃度でブタノール溶媒に溶解してなる溶液を使用する。そのような溶液は材料メーカから購入することができ、例えば、成膜後の組成比がPb:La:Zr:Ti=110:2:40:60になるように調節された三菱マテリアル製のものを使用すればよい。 【0056】 次いで、そのPLZT塗膜に対し、常圧(大気圧)の酸素雰囲気中において基板温度を200?450℃、例えば240℃とするアニールを約5分間行う。 【0057】 これにより、PLZT塗膜中のブタノール溶媒が蒸発し、PLZT塗膜の堆積が収縮して強誘電体を構成する分子も含めたゲルの密度が上がり、PLZT塗膜が後で結晶化しやすくなる。このように溶媒を蒸発させるために行われるアニールはベークとも呼ばれる。 【0058】 そして、このようなPLZT塗膜の形成とベークとを所定回数、例えば3回繰り返すことにより、PLZTよりなる強誘電体膜24が100nmの厚さに形成される。」 「【0062】 なお、この第1強誘電体膜24bの結晶性を向上させるには、第1強誘電体膜24bを構成するPLZTと格子定数が近い材料で第1導電膜23を構成するのが好ましい。そのような材料としては、上記のプラチナの他に、パラジウムや、PLZTと同じペロプスカイト構造を持つSrRuO_(3)及びLaSrCoO_(3)がある。 【0063】 更に、第1導電膜23は単層膜に限定されず、上記のプラチナ、パラジウム、SrRuO_(3)、及びLaSrCoO_(3)のいずれかが上面に表出する積層膜であってもよい。」 「【0074】 次いで、図2(b)に示すように、第1強誘電体膜24bの上にPZT膜をスパッタ法で1?50nm、より好ましくは10?30nm程度の厚さに形成し、そのPZT膜を第2強誘電体膜24cとする。 【0075】 ここで、スパッタ法には、第2強誘電体膜24cに添加元素を微量にドープするのが容易であるという利点もある。 【0076】 この利点を活かし、第2強誘電体膜24cの成膜時に、ストロンチウム、カルシウム、ニオブ、イリジウム、及びランタンのいずれかを添加元素として0.1?5mol%の濃度でPZTに添加するのが好ましい。これらの元素がドープされた第2強誘電体膜24cを後述のキャパシタに適用することで、キャパシタの耐疲労特性やインプリント特性の向上、リーク電流の低減、及び動作電圧の低電圧化等の効果を得ることができる。 【0077】 本実施形態では、カルシウム、ランタン、及びストロンチウムをそれぞれ5mol%、2mol%、及び2mol%の濃度でPZTにドープすることで、第2強誘電体膜24cのスイッチング電荷量を高める。なお、このようにカルシウム、ランタン、及びストロンチウムが添加されたPZTはCSPLZTと書かれることもある。」 「【0080】 以上により、第1強誘電体膜24bと第2強誘電体膜24cとで構成される強誘電体膜24が第1導電膜23の上に形成されたことになる。」 「【0083】 次に、図2(c)に示す断面構造を得るまでの工程について説明する。 【0084】 まず、酸素とアルゴンとの混合ガスをスパッタガスとし、且つイリジウムターゲットを使用するスパッタ法により、上記の強誘電体膜24の上に成膜の時点で既に結晶化している酸化イリジウム膜を厚さ約25nmに形成し、この酸化イリジウム膜を第1導電性酸化金属膜25dとする。」 「【0094】 その後に、第1導電性酸化金属膜25dの上に第2導電性酸化金属膜25eとしてスパッタ法で酸化イリジウム膜を約200nmの厚さに形成する。そのスパッタ法では、イリジウムターゲットが使用されると共に、スパッタガスとして酸素とアルゴンとの混合ガスが使用される。 【0095】 第1導電性酸化金属膜25dと異なり、第2導電性酸化金属膜25eを構成する酸化イリジウム膜は成膜の時点で結晶化している必要はない。本実施形態では、第2導電性酸化金属膜25eを形成する際の基板温度を室温(20℃)にし、アモルファス状態の酸化イリジウム膜を形成するようにする。」 「【0101】 以上により、第1導電性酸化金属膜25dと第2導電性酸化金属膜25eとで構成される第2導電膜25が強誘電体膜24上に形成されたことになる。」 「【0103】 次いで、図3(a)に示すように、シリコン基板1の裏面を洗浄した後、フォトリソグラフィとエッチングにより上部電極用導電膜25をパターニングして上部電極25aを形成する。そして、このパターニングにより強誘電体膜24が受けたダメージを回復させるために、強誘電体膜24に対する回復アニールを縦型炉内で行う。この回復アニールは酸素含有雰囲気において行われ、その条件は、例えば、基板温度650℃、処理時間60分である。 【0104】 続いて、図3(b)に示すように、フォトリソグラフィとエッチングにより強誘電体膜24をパターニングし、PLZT等の強誘電体材料で構成されるキャパシタ誘電体膜24aを形成する。このパターニングでキャパシタ誘電体膜24aが受けたダメージは回復アニールによって回復される。この回復アニールは、上記と同様に縦型炉を用いて酸素含有雰囲気中で行われ、その条件として基板温度350℃、処理時間60分が採用される。 【0105】 次に、図3(c)に示すように、シリコン基板1の上側全面に、水素や水分等の還元性物質からキャパシタ誘電体膜24aを保護するための第1アルミナ膜31をスパッタ法で厚さ約50nmに形成する。」 「【0108】 次いで、図4(a)に示すように、フォトリソグラフィとエッチングにより、第1導電膜23と第1アルミナ膜31とをパターニングし、キャパシタ誘電体膜24aの下の下部第1導電膜23を下部電極23aにすると共に、この下部電極23aを覆うように第1アルミナ膜31を残す。」 「【0111】 ここまでの工程により、シリコン基板1のセル領域には、下部電極23a、キャパシタ誘電体膜24a、及び上部電極25aをこの順に積層してなるキャパシタQが形成されたことになる。」 (4-3-2)そうすると、引用刊行物には、以下の発明(以下「刊行物発明」という。)が記載されているものと認められる。 「シリコン基板10の上側全面にカバー絶縁膜10として形成された酸窒化シリコン(SiON)膜と、 前記カバー絶縁膜10の上に第1層間絶縁膜11として形成された酸化シリコン(SiO_(2))膜と、 前記第1層間絶縁膜11の上に下部電極密着膜12として形成されたアルミナ(Al_(2)O_(3))膜と、 前記下部電極密着膜12の上に第1導電膜23として形成されたプラチナ膜をパターニングすることにより形成された下部電極23aと、 前記第1導電膜23上に第1強誘電体膜24bとして100nmの厚さに形成されたPZT膜にLaをドープしてなるPLZT膜と、前記第1強誘電体膜24bの上に第2強誘電体膜24cとして10?30nmの厚さに形成されたカルシウム、ランタン、及びストロンチウムが添加されたPZTとで構成される強誘電体膜24をパターニングして形成されたキャパシタ誘電体膜24aと、 前記強誘電体膜24の上に第1導電性酸化金属膜25dとして形成された酸化イリジウム膜と、 前記第1導電性酸化金属膜25dの上に第2導電性酸化金属膜25eとして形成された酸化イリジウム膜とで構成される第2導電膜25をパターニングして形成された上部電極25aと、 を含み、 前記下部電極23a、前記キャパシタ誘電体膜24a及び前記上部電極25aをこの順に積層してなるキャパシタを有する半導体装置。」 (4-4)対比 (4-4-1)刊行物発明において、「第1導電膜23として形成されたプラチナ膜をパターニングすることにより形成された下部電極23a」が、「シリコン基板10」の上方に形成されていることは明らかである。そうすると、刊行物発明の「第1導電膜23として形成されたプラチナ膜をパターニングすることにより形成された下部電極23a」と、補正後の発明の「半導体基板の上方に形成されたプラチナ膜と前記プラチナ膜上に形成された1nm?5nmの膜厚を有するSrRuO_(3)膜またはLaSrCoO_(3)膜のいずれかを含む下部電極」とは、「半導体基板の上方に形成されたプラチナ膜」「を含む下部電極」という点で一致する。 (4-4-2)刊行物発明の「前記第1導電膜23上に第1強誘電体膜24bとして100nmの厚さに形成されたPZT膜にLaをドープしてなるPLZT膜と、前記第1強誘電体膜24bの上に第2強誘電体膜24cとして10?30nmの厚さに形成されたカルシウム、ランタン、及びストロンチウムが添加されたPZTとで構成される強誘電体膜24をパターニングして形成されたキャパシタ誘電体膜24a」において、「前記第1導電膜23上に第1強誘電体膜24bとして100nmの厚さに形成されたPZT膜にLaをドープしてなるPLZT膜」で構成される部分は、補正後の発明の「前記下部電極上に直接形成され、Laが添加されたチタン酸ジルコン酸鉛の第1の強誘電体膜」に相当する。 (4-4-3)刊行物発明の「前記第1導電膜23上に第1強誘電体膜24bとして100nmの厚さに形成されたPZT膜にLaをドープしてなるPLZT膜と、前記第1強誘電体膜24bの上に第2強誘電体膜24cとして10?30nmの厚さに形成されたカルシウム、ランタン、及びストロンチウムが添加されたPZTとで構成される強誘電体膜24をパターニングして形成されたキャパシタ誘電体膜24a」において、「前記第1強誘電体膜24bの上に第2強誘電体膜24cとして10?30nmの厚さに形成されたカルシウム、ランタン、及びストロンチウムが添加されたPZT」で構成される部分は、補正後の発明の「前記第1の強誘電体膜上に直接形成され、前記第1の強誘電体膜より膜厚が薄く、LaとCaとSrとが添加されたチタン酸ジルコン酸鉛の第2の強誘電体膜」に相当する。 (4-4-4)刊行物発明の「キャパシタ誘電体膜24a」は、補正後の発明の「キャパシタ誘電体膜」に相当する。 (4-4-5)刊行物発明の「前記強誘電体膜24の上に第1導電性酸化金属膜25dとして形成された酸化イリジウム膜と、前記第1導電性酸化金属膜25dの上に第2導電性酸化金属膜25eとして形成された酸化イリジウム膜とで構成される第2導電膜25をパターニングして形成された上部電極25a」は、補正後の発明の「前記キャパシタ誘電体膜上に形成された上部電極」に相当する。 (4-4-6)そうすると、補正後の発明と刊行物発明とは、 「半導体基板の上方に形成されたプラチナ膜を含む下部電極と;前記下部電極上に直接形成され、Laが添加されたチタン酸ジルコン酸鉛の第1の強誘電体膜と、前記第1の強誘電体膜上に直接形成され、前記第1の強誘電体膜より膜厚が薄く、LaとCaとSrとが添加されたチタン酸ジルコン酸鉛の第2の強誘電体膜とを有するキャパシタ誘電体膜と;前記キャパシタ誘電体膜上に形成された上部電極とを有するキャパシタ を有することを特徴とする半導体装置。」 である点で一致し、次の点で相違する。 (相違点1)補正後の発明の「下部電極」は、「前記プラチナ膜上に形成された1nm?5nmの膜厚を有するSrRuO_(3)膜またはLaSrCoO_(3)膜のいずれかを含む」のに対し、刊行物発明では、そのような特定がなされていない点。 (4-5)判断 以下、上記相違点1について検討する。 引用刊行物には、 「【0062】 なお、この第1強誘電体膜24bの結晶性を向上させるには、第1強誘電体膜24bを構成するPLZTと格子定数が近い材料で第1導電膜23を構成するのが好ましい。そのような材料としては、上記のプラチナの他に、パラジウムや、PLZTと同じペロプスカイト構造を持つSrRuO_(3)及びLaSrCoO_(3)がある。 【0063】 更に、第1導電膜23は単層膜に限定されず、上記のプラチナ、パラジウム、SrRuO_(3)、及びLaSrCoO_(3)のいずれかが上面に表出する積層膜であってもよい。」 と記載されていることから、刊行物発明における「プラチナ膜」からなる「下部電極23a」の表面に「SrRuO_(3)、及びLaSrCoO_(3)のいずれか」を形成することにより、引用刊行物の段落【0063】に記載された「SrRuO_(3)、及びLaSrCoO_(3)のいずれかが上面に表出する積層膜」とすることは、引用刊行物の上記記載に接した当業者であれば、容易に想到し得ることである。その際に、SrRuO_(3)あるいはLaSrCoO_(3)の膜厚を、どのように設定するかは、当業者が必要に応じて適宜設定しうる単なる設計的事項に過ぎない。 そうすると、刊行物発明において、「第1導電膜23として形成されたプラチナ膜をパターニングすることにより形成された下部電極23a」の表面に「SrRuO_(3)、及びLaSrCoO_(3)のいずれか」を形成することにより、補正後の発明のように、「半導体基板の上方に形成されたプラチナ膜と前記プラチナ膜上に形成された1nm?5nmの膜厚を有するSrRuO_(3)膜またはLaSrCoO_(3)膜のいずれかを含む下部電極」とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 よって、相違点1は、当業者が容易になし得た範囲に含まれる程度のものである。 (4-6)独立特許要件についてのまとめ 以上検討したとおり、補正後の発明と刊行物発明との相違点は、当業者が容易に想到し得た範囲に含まれる程度のものにすぎず、補正後の発明は、引用刊行物に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際、独立して特許を受けることができない。 (5)補正の却下についてのむすび 本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する要件を満たさないものであり、仮に、そのような違反がなく、本件補正が、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするとした場合においても、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合しないものである。 したがって、本件補正は、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 3.本願発明 平成26年6月2日になされた手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成26年1月6日になされた手続補正により補正された明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載されている事項により特定される上記2.(1)の補正前の請求項1として記載したとおりのものである。 4.刊行物に記載された発明 これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された刊行物には、上記2.(4-3-1)及び(4-3-2)に記載したとおりの事項及び発明が記載されているものと認められる。 5.対比 (1)刊行物発明において、「第1導電膜23として形成されたプラチナ膜をパターニングすることにより形成された下部電極23a」が、「シリコン基板10」の上方に形成されていることは明らかである。そして、刊行物発明の「第1導電膜23として形成されたプラチナ膜をパターニングすることにより形成された下部電極23a」は、補正後の発明の「導電層」に相当する。そうすると、刊行物発明の「第1導電膜23として形成されたプラチナ膜をパターニングすることにより形成された下部電極23a」と、補正後の発明の「半導体基板の上方に形成された導電層と前記導電層上に形成された貴金属酸化物を含む下部電極」とは、「半導体基板の上方に形成された導電層」「を含む下部電極」という点で一致する。 (2)刊行物発明の「前記第1導電膜23上に第1強誘電体膜24bとして100nmの厚さに形成されたPZT膜にLaをドープしてなるPLZT膜と、前記第1強誘電体膜24bの上に第2強誘電体膜24cとして10?30nmの厚さに形成されたカルシウム、ランタン、及びストロンチウムが添加されたPZTとで構成される強誘電体膜24をパターニングして形成されたキャパシタ誘電体膜24a」において、「前記第1導電膜23上に第1強誘電体膜24bとして100nmの厚さに形成されたPZT膜にLaをドープしてなるPLZT膜」で構成される部分は、補正後の発明の「前記下部電極上に直接形成され、Laが添加されたチタン酸ジルコン酸鉛の第1の強誘電体膜」に相当する。 (3)刊行物発明の「前記第1導電膜23上に第1強誘電体膜24bとして100nmの厚さに形成されたPZT膜にLaをドープしてなるPLZT膜と、前記第1強誘電体膜24bの上に第2強誘電体膜24cとして10?30nmの厚さに形成されたカルシウム、ランタン、及びストロンチウムが添加されたPZTとで構成される強誘電体膜24をパターニングして形成されたキャパシタ誘電体膜24a」において、「前記第1強誘電体膜24bの上に第2強誘電体膜24cとして10?30nmの厚さに形成されたカルシウム、ランタン、及びストロンチウムが添加されたPZT」で構成される部分は、補正後の発明の「前記第1の強誘電体膜上に直接形成され、前記第1の強誘電体膜より膜厚が薄く、LaとCaとSrとが添加されたチタン酸ジルコン酸鉛の第2の強誘電体膜」に相当する。 (4)刊行物発明の「キャパシタ誘電体膜24a」は、補正後の発明の「キャパシタ誘電体膜」に相当する。 (5)刊行物発明の「前記強誘電体膜24の上に第1導電性酸化金属膜25dとして形成された酸化イリジウム膜と、前記第1導電性酸化金属膜25dの上に第2導電性酸化金属膜25eとして形成された酸化イリジウム膜とで構成される第2導電膜25をパターニングして形成された上部電極25a」は、補正後の発明の「前記キャパシタ誘電体膜上に形成された上部電極」に相当する。 (6)そうすると、補正後の発明と刊行物発明とは、 「半導体基板の上方に形成された導電層を含む下部電極と;前記下部電極上に直接形成され、Laが添加されたチタン酸ジルコン酸鉛の第1の強誘電体膜と、前記第1の強誘電体膜上に直接形成され、前記第1の強誘電体膜より膜厚が薄く、LaとCaとSrとが添加されたチタン酸ジルコン酸鉛の第2の強誘電体膜とを有するキャパシタ誘電体膜と;前記キャパシタ誘電体膜上に形成された上部電極とを有するキャパシタ を有することを特徴とする半導体装置。」 である点で一致し、次の点で相違する。 (相違点2)補正後の発明の「下部電極」は、「前記導電層上に形成された貴金属酸化物を含む」のに対し、刊行物発明では、そのような特定がなされていない点。 6.判断 以下、上記相違点2について検討する。 引用刊行物には、 「【0062】 なお、この第1強誘電体膜24bの結晶性を向上させるには、第1強誘電体膜24bを構成するPLZTと格子定数が近い材料で第1導電膜23を構成するのが好ましい。そのような材料としては、上記のプラチナの他に、パラジウムや、PLZTと同じペロプスカイト構造を持つSrRuO_(3)及びLaSrCoO_(3)がある。 【0063】 更に、第1導電膜23は単層膜に限定されず、上記のプラチナ、パラジウム、SrRuO_(3)、及びLaSrCoO_(3)のいずれかが上面に表出する積層膜であってもよい。」 と記載されていることから、刊行物発明における「プラチナ膜」からなる「下部電極23a」の表面に「SrRuO_(3)」を形成することにより、引用刊行物の段落【0063】に記載された「SrRuO_(3)」「が上面に表出する積層膜」とすることは、引用刊行物の上記記載に接した当業者であれば、容易に想到し得ることである。 そうすると、刊行物発明において、「第1導電膜23として形成されたプラチナ膜をパターニングすることにより形成された下部電極23a」の表面に「SrRuO_(3)」を形成することにより、補正後の発明のように、「半導体基板の上方に形成された導電層と前記導電層上に形成された貴金属酸化物を含む下部電極」とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 よって、相違点2は、当業者が容易になし得た範囲に含まれる程度のものである。 以上検討したとおり、本願発明と刊行物発明との相違点は、当業者が容易に想到し得た範囲に含まれる程度のものにすぎず、本願発明は、引用刊行物に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 したがって、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 6.むすび 以上のとおりであるから、本願は、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、拒絶をすべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2015-05-11 |
結審通知日 | 2015-05-12 |
審決日 | 2015-05-27 |
出願番号 | 特願2009-248712(P2009-248712) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(H01L)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 小山 満 |
特許庁審判長 |
鈴木 匡明 |
特許庁審判官 |
小野田 誠 河口 雅英 |
発明の名称 | 半導体装置及びその製造方法 |
代理人 | 北野 好人 |