ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正する H01R 審判 訂正 発明同一 訂正する H01R 審判 訂正 3項(134条5項)特許請求の範囲の実質的拡張 訂正する H01R 審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する H01R 審判 訂正 (特120条の4,3項)(平成8年1月1日以降) 訂正する H01R 審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する H01R |
---|---|
管理番号 | 1303208 |
審判番号 | 訂正2015-390053 |
総通号数 | 189 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2015-09-25 |
種別 | 訂正の審決 |
審判請求日 | 2015-06-03 |
確定日 | 2015-07-03 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第5342633号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 特許第5342633号に係る明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本件訂正審判の請求に係る特許第5342633号(以下、「本件特許」という。)は、平成12年7月17日に出願した特願2000-215442号の一部を平成19年12月21日に新たな特許出願として出願した特願2007-329442号の一部を平成23年8月26日に新たな特許出願として出願した特願2011-184981号の一部をさらに平成23年12月2日に新たな特許出願としたものであり、以後の主な手続は以下のとおりである。 平成25年 1月30日 拒絶理由の通知(発送日) 平成25年 2月28日 意見書、手続補正書の提出 平成25年 7月18日 特許査定(発送日) 平成25年 8月16日 設定登録 平成25年11月13日 特許掲載公報発行 平成27年 6月 3日 本件訂正審判の請求 第2 請求の趣旨 本件訂正審判の請求の趣旨は、本件特許に係る明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正明細書及び特許請求の範囲のとおりに訂正することを認める、との審決を求めるものである。 第3 訂正の内容 本件訂正審判の請求に係る訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、以下のとおりである(下線部分が訂正に係る部分である。)。 1 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に「該埋没部の直状部は、端子配列方向に見たときに、端子の接触部に対応して位置していることを特徴とする」とあるのを、「該埋没部の直状部は、端子配列方向に見たときに、端子の接触部に対応して位置しており、上記埋没部は固定金具の湾曲部の終端を含んでいることを特徴とする」に訂正する。 2 訂正事項2 願書に添付した明細書の段落【0010】に記載した「上記埋没部は中間部に隣接する直状部の少なくとも一部を含んでいることを特徴としている。」とあるのを「上記埋没部は中間部に隣接する直状部の少なくとも一部を含んでおり、該埋没部の直状部は、端子配列方向に見たときに、端子の接触部に対応して位置しており、上記埋没部は固定金具の湾曲部の終端を含んでいることを特徴としている。」に訂正する。 第4 当審の判断 上記訂正事項1及び2について検討する。 1 訂正の目的について 訂正事項1は、訂正前の請求項1に記載された「埋没部」について、「中間部に隣接する直状部の少なくとも一部」のみならず、更に「固定金具の湾曲部の終端」をも含んでいることを明らかにすることで、特許請求の範囲を減縮するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである(特許法第126条第1項ただし書第1号)。 また、訂正事項2は、上記訂正事項1に係る訂正に伴って、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明との整合を図るために、発明の詳細な説明の記載を訂正するものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである(特許法第126条第1項ただし書第3号)。 2 新規事項の追加について 願書に添付した明細書の段落【0022】の「本発明のコネクタ1について・・・固定金具4の脚部4Bを回路基板の対応回路部そして固定部へそれぞれ半田接続し・・・直状部4A、湾曲部4C、中間部4Dにてハウジングにより強固に保持されている固定金具4の脚部4Bでの半田により大部分の固定力を確保できる。」との記載及び【図3】(B)からみて、上記「埋没部」が「湾曲部4C」の終端を含んでいることは、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であるといえるから、訂正事項1及び2は、特許法第126条第5項に規定する要件に適合するものである。 3 特許請求の範囲の拡張又は変更について 訂正事項1は、発明特定事項を直接的に付加するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、また、訂正事項2は、訂正前の請求項1に記載された「埋没部」に関し、その解釈に影響を与え得る訂正であるが、当該訂正事項2については、構成を特定する事項を直接的に付加する訂正であり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項に規定する要件に適合するものである。 4 独立特許要件について 訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、本件訂正後における特許請求の範囲に記載された以下の発明(以下、「本件訂正発明」という。)が独立して特許を受けることができるものかどうかについて、検討する。 「相手コネクタを受け入れるための凹形状の受入部が端子配列方向を長手方向として形成されたハウジングが該長手方向で上記受入部の両端をなす端壁部を有し、ハウジングに複数の端子と複数の固定金具が保持されていて、一端側に接触部を有する端子の他端側が接続部として、そして一端側にハウジングへの埋没部を有する固定金具の他端側か固定用の脚部としてそれぞれハウジング外に延出して接続対象の取付面上に位置するようになっている電気コネクタにおいて、端子と固定金具が配列状態でハウジングとの一体モールド成形により保持されており、端子と固定金具はいずれも同列に配列され、一端側と他端側の間で略L字状に屈曲された中間部と該中間部よりも一端側で該中間部に隣接する直状部と該直状部から延びる湾曲部を有し、固定金具と端子は直状部同士そして湾曲部同士がそれぞれ同一形状であり、端子の一端側の直状部が接触部として相手コネクタの受入れのためのハウジングの凹部形状の受入部に臨んで位置し、固定金具の埋没部は端子の配列方向両端側に位置して上記ハウジングの端壁部に埋没して保持されており、上記埋没部は中間部に隣接する直状部の少なくとも一部を含んでおり、該埋没部の直状部は、端子配列方向に見たときに、端子の接触部に対応して位置しており、上記埋没部は固定金具の湾曲部の終端を含んでいることを特徴とする固定金具を有する電気コネクタ。」 (1)請求人が提示した特願平11-301951号(以下、「先願」という。)の明細書、特許請求の範囲又は図面(特に、【図1】、【図2】及び【図3】(c))には、「電気コネクタ」に関して、次ぎの事項が記載されている。 ア 「【0009】それ故に本発明の課題は、プラグ側コネクタとレセプタクル側コネクタとの嵌合外れを確実に防止できる構造を備えた電気コネクタであって、上記のような問題がなく、ハウジングとコンタクトとを一体成形でき且つ成形用金型の離型の際におけるコンタクト接触面への影響がない、電気コネクタを提供することにある。」 イ 「【0016】プラグ側コネクタ1は、図1から図3を参照して、合成樹脂などの絶縁材料で形成されたハウジング11と、ハウジング11に並設して形成された複数の溝部12内にその一部が固定保持された複数のコンタクト13、14とから構成されている。なお、コンタクト13は図1において左側に並設されたものであり、コンタクト14は同じく右側に並設されたものである。これらコンタクト13、14は、同一のコンタクトであるが、後述するように、凹部の形成位置等が異なった別の形状のものでも良い。 【0017】すなわち、コンタクト13は、このプラグ側コネクタ1が実装される基板(図示せず)上の電気回路に半田付けなどにより接続される基板接続部13aと、レセプタクル側コネクタ2との嵌合の際にレセプタクル側コネクタ2のコンタクトと接触する接触部(接点部)13bを有している。コンタクト14も同様な基板接続部14aおよび接触部14bを有している。」 ウ 【図3】 エ 上記イ及び【図1】ないし【図3】から、レセプタクル側コネクタ2を受け入れるための凹形状の受入部がコンタクト13、14の配列方向を長手方向として形成されたハウジング11が該長手方向に沿う側壁と上記受入部の両端をなす端壁部を有していることが看て取れる。 また、上記端壁部にもコンタクト14が固定保持されることが看て取れる(以下、端壁部に固定保持されるコンタクト14を「端部コンタクト14」という。)。 さらに、一端側に接触部14bを有するコンタクト14の他端側が基板接続部14aとして(【図3】(a))、そして一端側の接触部14bがハウジング11に埋没し端部コンタクト14の他端側が基板接続部14aとして(【図3】(c))、それぞれハウジング11外に延出していることが看て取れる。 オ 上記アの「ハウジングとコンタクトとを一体成形でき且つ成形用金型の離型」との記載及び【図1】ないし【図3】から、コンタクト14及び端部コンタクト14が配列状態でハウジング11との一体モールド成形により保持されており、コンタクト14と端部コンタクト14はいずれも同列に配列され、一端側と他端側の間で略L字状に屈曲された中間部と該中間部よりも一端側で該中間部に隣接する直状部と該直状部から延びる湾曲部を有し、端部コンタクト14とコンタクト14は直状部同士そして湾曲部同士がそれぞれ同一形状であり、コンタクト14の一端側の直状部が接触部として相手コネクタの受入れのためのハウジング11の凹部形状の受入部に臨んで位置し、端部コンタクト14の埋没部はコンタクト14の配列方向両端側に位置して上記ハウジング11の端壁部に埋没して保持されており、上記埋没部は中間部に隣接する直状部の少なくとも一部を含んでおり、該埋没部の直状部は、コンタクト14配列方向に見たときに、コンタクト14の接触部14bに対応して位置していることが看て取れる。 また、端部コンタクト14の直状部から延びた湾曲部の終端部は露出していることが看て取れる。 これらの記載事項、図示内容及び上記認定事項を総合して、本件訂正発明に則って整理すると、先願の明細書、特許請求の範囲又は図面には、次の発明(以下、「先願発明」という。)が記載されているものと認められる。 「レセプタクル側コネクタ2を受け入れるための凹形状の受入部がコンタクト14の配列方向を長手方向として形成されたハウジング11が該長手方向で上記受入部の両端をなす端壁部を有し、ハウジング11に複数のコンタクト14と上記端壁部に端部コンタクト14が保持されていて、一端側に接触部14bを有するコンタクト14の他端側が基板接続部14aとして、そして一端側にハウジング11への埋没部を有する端部コンタクト14の他端側が固定用の脚部としてそれぞれハウジング11外に延出した基板接続部14aを有する電気コネクタにおいて、コンタクト14と端部コンタクト14が配列状態でハウジング11との一体モールド成形により保持されており、コンタクト14と端部コンタクト14はいずれも同列に配列され、一端側と他端側の間で略L字状に屈曲された中間部と該中間部よりも一端側で該中間部に隣接する直状部と該直状部から延びる湾曲部を有し、端部コンタクト14とコンタクト14は直状部同士そして湾曲部同士がそれぞれ同一形状であり、コンタクト14の一端側の直状部が接触部として相手コネクタの受入れのためのハウジングの凹部形状の受入部に臨んで位置し、端部コンタクト14の埋没部はコンタクト14の配列方向両端側に位置して上記ハウジング11の端壁部に埋没して保持されており、上記埋没部は中間部に隣接する直状部の少なくとも一部を含んでおり、該埋没部の直状部は、端子配列方向に見たときに、端子の接触部に対応して位置しており、湾曲部の終端部が露出している端部コンタクト14を有する電気コネクタ。」 (2) 対比 本件訂正発明と先願発明とを対比する。 先願発明の「レセプタクル側コネクタ2」は、その機能、構造からみて、本件訂正発明の「相手コネクタ」に相当する。同様に、先願発明の「コンタクト14」、「ハウジング11」、「端部コンタクト14」、「接触部14b」、「基板接続部14a」は、本件訂正発明の「端子」、「ハウジング」、「固定金具」、「接触部」、「接続部」に、それぞれ相当する。 以上の点からみて、本件訂正発明と先願発明とは、 [一致点] 「相手コネクタを受け入れるための凹形状の受入部が端子配列方向を長手方向として形成されたハウジングが該長手方向で上記受入部の両端をなす端壁部を有し、ハウジングに複数の端子と複数の固定金具が保持されていて、一端側に接触部を有する端子の他端側が接続部として、そして一端側にハウジングへの埋没部を有する固定金具の他端側か固定用の脚部としてそれぞれハウジング外に延出して接続対象の取付面上に位置するようになっている電気コネクタにおいて、端子と固定金具が配列状態でハウジングとの一体モールド成形により保持されており、端子と固定金具はいずれも同列に配列され、一端側と他端側の間で略L字状に屈曲された中間部と該中間部よりも一端側で該中間部に隣接する直状部と該直状部から延びる湾曲部を有し、固定金具と端子は直状部同士そして湾曲部同士がそれぞれ同一形状であり、端子の一端側の直状部が接触部として相手コネクタの受入れのためのハウジングの凹部形状の受入部に臨んで位置し、固定金具の埋没部は端子の配列方向両端側に位置して上記ハウジングの端壁部に埋没して保持されており、上記埋没部は中間部に隣接する直状部の少なくとも一部を含んでおり、該埋没部の直状部は、端子配列方向に見たときに、端子の接触部に対応して位置している固定金具を有する電気コネクタ。」 である点で一致し、 次の点で相違する。 [相違点] 埋没部について、本件訂正発明は、「中間部に隣接する直状部の少なくとも一部」のみならず、更に「固定金具の湾曲部の終端」をも含んでいるのに対して、先願発明は、「中間部に隣接する直状部の少なくとも一部」のみを含み、端部コンタクト14の湾曲部の終端部は露出している点。 (3) 判断 上記第4の4(2)のとおり、先願発明において、端部コンタクト14の湾曲部の終端部は露出しており、埋没部が端部コンタクト14の湾曲部の終端を含んでいない点において相違するから、本件訂正発明は、先願発明と同一ではない。 また、上記相違点は、課題解決のための具体化手段における微差ということもできない。 したがって、本件訂正発明は、先願の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明とはいえない。 よって、本件訂正発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができない発明であるとはいえないから、本件訂正は、特許法第126条第7項の規定に適合するものである。 第5 むすび 以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書き第1号及び第3号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5?7項の規定に適合する。 よって、結論のとおり審決する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 固定金具を有する電気コネクタ 【技術分野】 【0001】 本発明は固定金具を有する電気コネクタに関する。 【背景技術】 【0002】 固定金具を有する電気コネクタとしては、特許文献1に開示されているものが知られている。 【0003】 この公知のコネクタは、添付図面の図9に見られるように、ハウジング50に端子51が複数植設されており、該端子51はハウジングの底部位置で側方に向け屈曲され延出する接続部51Aを有している。又、ハウジング50の長手方向端部近傍には、強度を有する固定金具52が取り付けられている。この固定金具52も、上記ハウジングの底部位置で側方に延出する脚部52Aを有している。かかる固定金具52は、図の上方に示されているように複雑な形状の取付部53を有しており、この取付部がハウジングの対応溝内に圧入されてハウジング50により保持される。 【0004】 使用に際しては、上記コネクタは取付対象の取付面、例えば回路基板の面上に配置され、端子51の接続部51Aと固定金具52の脚部52Aが回路基板の面に接面する。接続部51Aは接面せる対応回路部と半田接続され、脚部52Aは対応部位と半田固定される。この固定金具52の脚部52Aの半田固定によってコネクタは回路基板に保持される。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0005】 【特許文献1】特開平9-139242 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 しかしながら、図9の公知のコネクタにあっては、別途固定金具を必要とすることに起因し、いくつかの解決すべき課題を残している。先ず、固定金具を用意せねばならず、部品点数が増え、加工そして組立も工数が複雑化し、ひいてはコスト高となる。 【0007】 更に、端子と固定金具の製造工程は、別々であるため、その寸法の管理も異なり、コネクタを回路基板に実装するとき、端子と固定金具との間に段差が生じ、回路基板に対する平坦度が一致しないという問題がある。 【0008】 本発明はかかる課題を解決し、安価な取付金具を有し、回路基板に対する平坦度が一致し、回路基板への確実な実装が得られる電気コネクタを提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0009】 本発明は、ハウジングに複数の端子と複数の固定金具が保持されていて、一端側に接触部を有する端子の他端側が接続部として、そして一端側にハウジングへの埋没部を有する固定金具の他端側が固定用の脚部としてそれぞれハウジング外に延出して接続対象の取付面上に位置するようになっている電気コネクタに関する。 【0010】 かかる電気コネクタにおいて、本発明では、端子と固定金具が配列状態でハウジングとの一体モールド成形により保持されており、端子と固定金具はいずれも一端側と他端側の間で略L字状に屈曲された中間部と該中間部よりも一端側で該中間部に隣接する直状部と該直状部から延びる湾曲部を有し、固定金具と端子は直状部同士そして湾曲部同士がそれぞれ同一形状であり、端子の一端側が接触部として相手コネクタの受入れのためのハウジングの凹部形状の受入部に臨んで位置し、固定金具の埋没部は端子の配列方向両端側に位置して、上記受入部の両端を形成するハウジングの端壁部に埋没して保持されており、上記埋没部は中間部に隣接する直状部の少なくとも一部を含んでおり、該埋没部の直状部は、端子配列方向に見たときに、端子の接触部に対応して位置しており、上記埋没部は固定金具の湾曲部の終端を含んでいることを特徴としている。 【0011】 このような本発明の電気コネクタにおいては、キャリア付細条片を形成する際に、帯状キャリアを所定数の細条片の範囲と対応する長さで切断することなく、複数のコネクタのハウジングに保持せしめ、この細条片の曲げ加工後に、個々のコネクタに分離するときに切断してもよい。 【発明の効果】 【0012】 本発明は、以上のごとく、固定金具と端子をキャリア付細条片として形成しハウジングにより保持することとしたので、固定金具を端子とは別工程で加工そして取り付ける必要がなくコネクタを構成する部品の種類が減ると共に、固定金具と端子とを同時にハウジングと一体成形することができるようになり、コネクタのコスト低下を図ることができる。又、固定金具と端子とが同時に同様に組込まれるので、固定金具と端子とは、回路基板に対する平坦度が一致し、回路基板への確実な実装が得られる。さらに、固定金具は埋没部でハウジングにより堅固に保持されるので固定強度が向上する。 【図面の簡単な説明】 【0013】 【図1】本発明の一実施形態のコネクタを示し、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は部分破断側面図である。 【図2】図1のコネクタの端子及び固定金具のハウジングへの挿着前の斜視図である。 【図3】図1のコネクタの断面図で、(A)は端子位置、(B)は固定金具位置での断面である。 【図4】図1のコネクタと相手コネクタの断面図で、両者の結合前を示す。 【図5】本発明の他の実施形態のコネクタの断面図であり、(A)は端子位置、(B)は固定金具位置での断面である。 【図6】本発明のさらに他の実施形態のコネクタの断面図であり、(A)は端子位置、(B)は固定金具位置での断面である。 【図7】本発明のさらに他の実施形態のコネクタの断面図である。 【図8】本発明のさらに他の実施形態のコネクタの部分破断断面図である。 【図9】従来のコネクタの斜視図である。 【発明を実施するための形態】 【0014】 以下、添付図面の図1ないし図8にもとづき、本発明の実施の形態を説明する。 【0015】 図1は本発明の一実施形態のコネクタを示し、図1(A)はこのコネクタの一部破断平面図、(B)は正面図、(C)は側面図である。 【0016】 図1のコネクタ1は、略直方体の外形をなし、絶縁材のハウジング2により複数の端子3そして固定金具4が保持されている。ハウジング2は図1(A),(B)に見られるように横長に形成され、その両側にて長手方向に端子3そして固定金具4が等間隔に配列されている。該固定金具4はこの配列方向の両端にて二つずつ設けられている。 【0017】 上記ハウジング2は、上方に開口して、相手コネクタの受入れのための受入部5が有底凹部形状に形成されている。端子の配列方向たる長手方向で該受入部5の両端側の上縁には、相手コネクタの受入れを容易にするための導入テーパ部5Aが設けられている。 【0018】 上記受入部5の長手方向に延びる対向内縁に沿って端子3そしてその両端側に固定金具4が位置している。該端子3及び固定金具4は、同一の金属板から同時に、同一金型で作られている。例えば、図1のものにあっては、図2に見られるように、金属板を打ち抜いて帯状のキャリアA1から定間隔pで櫛歯状に延出する一連の細条片A2を有する二点鎖線で示される部材を形成し、これを実線のごとく曲げ加工して得られる。これらの細条片A2が端子としてそして固定金具として用いられる。この曲げ加工は、これら細条片A2がハウジングに保持される前になされる。キャリアA1は、ハウジングに保持される前に切り離されることも、あるいは上記保持後に切り離されることもある。 【0019】 このように、端子3と固定金具4は同一形状の細条片で形成されるので、ここでは、その形状に関し、端子3について説明する。端子3は、図3(A)に見られるように、略L字状に屈曲された中間部に対して一端側に直状の接触部3Aそして他端側に直状の接続部3Bを有している。接触部3Aは上記ハウジングの受入部5の内方に向いて該受入部の面と同一面もしくは若干突出しており、上端部は略半円状に湾曲して導入部3Cを形成している。この導入部3Cは、図1(A)そして図2からも判るように、他部よりも幅広になっている。接続部3Bは、中間部3Dから若干クランク状に屈曲された他端側に水平に延出し、ハウジング2の底面2Aとほぼ同一レベルに位置しており、ハウジングの底面2Aが回路基板上に配されたときに該回路基板の対応固定部の面に接する位置にある。固定金具4は、図3(B)に見られるように、上記端子3の接続部3Bに対応する部分が固定用の脚部4Bとなり、端子3の接続部3Bと固定金具4の脚部4Bとは回路基板に対する平坦度が一致する(同一平面上に位置するようになる)。 【0020】 本実施形態にあっては、図2のごとく上記端子3及び固定金具4が曲げ加工を受けた形状でキャリアA1につながっている状態で、モールド成形金型(図示せず)に配置されてハウジング2と一体モールド成形されて該ハウジング2により保持され、しかる後に上記キャリアA1が切り離されて図1及び図3のごとくの形態となる。上記モールド成形後、端子3の接触部3Aは、既述のごとく、受入部5の内面と同一面もしくは若干突出して位置し(図3(A)参照)、固定金具4は中間部4Dから上方の部分、もしくは端子3の中間部3Dから導入部3Cに至る部分に相当する部分である直状部4Aが端子配列方向にてハウジング2の両端の壁部内に埋没されて、ハウジング2により堅固に保持される(図3(B))参照)。 【0021】 一方、相手コネクタ10は図4に見られるように、ハウジング11に端子12が植設されている。この形態にあっては、端子12は図4の紙面に平行な金属板を図示の形に打ち抜いて得られており、弾性を有するC形状の接触部12A、係止突起を有する係止部12B、水平にハウジング11外に延出する脚部12Cを有している。ハウジング11は、上記のコネクタ1の端子3の配列位置に対応した位置にスリット13が形成されていて、上記端子12は図4において上方からこのスリット13内に挿着される。そして係止部12Bがスリットへの圧入時に係止突起のハウジングへの係止により所定位置からの抜けを防止する。 【0022】 使用に際しては、本発明のコネクタ1について端子3の接続部3Bそして固定金具4の脚部4Bを回路基板の対応回路部そして固定部へそれぞれ半田接続し、相手コネクタ10についても端子12の接続部12Cを回路基板の対応回路部へ半田接続する。かくして、本発明のコネクタは、数多い端子の接続部3Bでの半田によっても回路基板上への固定力を得るが、直状部4A、湾曲部4C、中間部4Dにてハウジングにより強固に保持されている固定金具4の脚部4Bでの半田により大部分の固定力を確保できる。かかる両コネクタ1,10の嵌合時の端子の接触部3A,12A同士の弾性接触により両回路基板は電気的に接続される。 【0023】 本発明は、既出の形態に限定されず、他の形態でも可能である。例えば、図1?図4の例では端子そして固定金具はハウジングとの一体モールド成形によりハウジングに保持されていたが、これらはハウジングに圧入して取りつけることも可能である。図5(A),(B)は、それぞれ図3(A),(B)に対応する位置での様子を示し、端子そして固定金具の各部位も図3の場合と同一符号で示されている。図5(A)にて下方から圧入された端子3はハウジング2のスリット5Aの両面(紙面に平行な対向面)で支持されており、接触部3Aは受入部5に臨んでいる。又、固定金具4は、上記スリット5Aへ下方から圧入されることにより直状部4Aの弾性を利用して、スリットの左右端面にても保持されている。 【0024】 図6の例は、端子3の接触部3Aの部分の形が図5のものと比して異なるものについて、図1?4と同様に一体モールド成形により該端子そして固定金具を保持する形態を示している。端子3は、図6(A)のごとく、ハウジング2の受入部5の底部に沿って延びた後に上方に向け屈曲されたS字状の接触部3Aを有している。中間部3DはU字状に屈曲されていて、ハウジングとのモールド一体成形による保持力を強めている。そして、ハウジング下部からは接続部3Bが水平に延出している。一方、固定金具4は、ハウジング外に延出する脚部4B以外はすべてハウジングと一体モールド成形されていて強固に保持されている。 【0025】 又、本発明は、図1?4の実施形態で示した相手コネクタの形式のものにも適用可能である。図7のコネクタにおいては、図示しない端子は図4のコネクタの端子と全く同じである。そして図7において、図4の端子12と同一形態の固定金具22は、曲状の弾性圧入部22Aと、係止突起が設けられた係止部22Bと、脚部22Cとを有している。この固定金具22の上記弾性圧入部22A、係止部22Bそして脚部22Cは図4の端子12の接触部12A,係止部12Bそして接続部12Cと対応しそれぞれ同一形状をなしている。図7の固定金具22の弾性圧入部22Aはハウジング11の対応溝11Aへ圧入されており、かくして該固定金具22はこの弾性圧入部22Aと係止部22Bの両者のハウジングへの圧入により強固に保持される。 【0026】 さらに、本発明は、端子の接触部がハウジングの側面に突出している形式のコネクタにも適用できる。例えば、図8のごとく、ハウジング31の両側部に段部が形成されていて、その段部側面31Aに窓部31Bが形成されていて、ここに端子3の接触部3Aが突出している。固定金具4は端子3と同一形状の細条片で形成されていて、端子3の接続部3Bに相当する脚部4Bがハウジング外に突出しているが、他部はハウジングとの一体モールド成形によりハウジングに埋没保持されている。 【0027】 以上のような本発明においては、モールド成形時にハウジングの受入部の大きさを変更するだけで、端子と固定金具の数を容易に変更できる。すなわち、固定金具に大きな固定力を要求するときには、端子の数を若干減らしてこの分だけ固定金具の数を増やすこともでき、そして、固定力の小さくともよいときには、すべてを端子とすることもできる。 【符号の説明】 【0028】 1 コネクタ 4A 直状部 2 ハウジング 4B 脚部 3 端子 5 受入部 3A 接触部 22 固定金具 3B 接続部 A1 キャリア 4 固定金具 A2 細条片 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 相手コネクタを受け入れるための凹形状の受入部が端子配列方向を長手方向として形成されたハウジングが該長手方向で上記受入部の両端をなす端壁部を有し、ハウジングに複数の端子と複数の固定金具が保持されていて、一端側に接触部を有する端子の他端側が接続部として、そして一端側にハウジングへの埋没部を有する固定金具の他端側が固定用の脚部としてそれぞれハウジング外に延出して接続対象の取付面上に位置するようになっている電気コネクタにおいて、端子と固定金具が配列状態でハウジングとの一体モールド成形により保持されており、端子と固定金具はいずれも同列に配列され、一端側と他端側の間で略L字状に屈曲された中間部と該中間部よりも一端側で該中間部に隣接する直状部と該直状部から延びる湾曲部を有し、固定金具と端子は直状部同士そして湾曲部同士がそれぞれ同一形状であり、端子の一端側の直状部が接触部として相手コネクタの受入れのためのハウジングの凹部形状の受入部に臨んで位置し、固定金具の埋没部は端子の配列方向両端側に位置して上記ハウジングの端壁部に埋没して保持されており、上記埋没部は中間部に隣接する直状部の少なくとも一部を含んでおり、該埋没部の直状部は、端子配列方向に見たときに、端子の接触部に対応して位置しており、上記埋没部は固定金具の湾曲部の終端を含んでいることを特徴とする固定金具を有する電気コネクタ。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審決日 | 2015-06-25 |
出願番号 | 特願2011-264188(P2011-264188) |
審決分類 |
P
1
41・
161-
Y
(H01R)
P 1 41・ 856- Y (H01R) P 1 41・ 853- Y (H01R) P 1 41・ 851- Y (H01R) P 1 41・ 841- Y (H01R) P 1 41・ 854- Y (H01R) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 石川 貴志 |
特許庁審判長 |
森川 元嗣 |
特許庁審判官 |
小関 峰夫 小柳 健悟 |
登録日 | 2013-08-16 |
登録番号 | 特許第5342633号(P5342633) |
発明の名称 | 固定金具を有する電気コネクタ |
代理人 | 高石 秀樹 |
代理人 | 高石 秀樹 |
代理人 | 田中 伸一郎 |
代理人 | 豊島 匠二 |
代理人 | 豊島 匠二 |
代理人 | 須田 洋之 |
代理人 | 田中 伸一郎 |
代理人 | 須田 洋之 |