ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B41J 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B41J 審判 査定不服 特174条1項 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B41J 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B41J 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B41J |
---|---|
管理番号 | 1303229 |
審判番号 | 不服2014-5076 |
総通号数 | 189 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2015-09-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2014-03-17 |
確定日 | 2015-07-16 |
事件の表示 | 特願2012-512786「脱気システム」拒絶査定不服審判事件〔平成23年11月 3日国際公開、WO2011/136079〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成23年4月19日(特許法第41条の規定による優先権主張 平成22年4月28日)を国際出願日とする出願であって、平成25年8月19日付け及び同年11月18日付けで手続補正書が提出され、同年12月5日付けで前記平成25年11月18日付けの手続補正は却下されると同時に拒絶の査定がなされ、これに対し、平成26年3月17日付けで拒絶査定に対する審判請求がなされると同時に手続補正書が提出されて特許請求の範囲、及び明細書を補正する手続補正がなされ、その後、当審において、平成27年1月30日付けで前記平成26年3月17日付けの手続補正を却下すると同時に拒絶の理由を通知したところ、これに対し、同年4月3日付けで意見書及び手続補正書が提出されたものである。 第2 平成27年4月3日付け手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 本件補正を却下する。 [理由] 1 補正の内容 本件補正は、特許請求の範囲について、下記(1)に示す本件補正前の(すなわち、平成25年8月19日付けで提出された手続補正書により補正された)請求項1を、下記(2)に示す請求項1へと補正することを含むものである。 (1)本件補正前の特許請求の範囲の請求項1 「 気体透過性を有する脱気膜と、前記脱気膜を内包する枠体内に構成される脱気室と、該脱気室へのインクの導入を行うインク導入路及び前記脱気室からインクを導出するインク導出路と、前記枠体の一部に該脱気室内の気体を外部に排気するための排気口とを備えた脱気モジュールと、 前記排気口に接続されて排気を行う減圧手段と、 複数の種類のインクに応じた脱気方法を記憶したメモリを備えた制御部と を備え、 前記脱気室に導入するインクの種類に応じて前記メモリに記憶された脱気方法を選択し、前記減圧手段は前記制御部により選択された前記脱気方法に基づいて前記排気口から前記脱気膜を透過する気体を外部に排気することにより前記脱気室内のインク中に溶存する気体を脱気し、 前記脱気方法は、前記制御部が前記脱気室に接続されて該脱気室内の圧力を検知する圧力センサをさらに備え、前記メモリに記憶されたインクの種類に応じた前記脱気室内の圧力値と前記圧力センサが検知した前記脱気室内の圧力値とを比較して、前記脱気室内の圧力の大きさが所定の値となるように前記排気の駆動を制御する方法であることを特徴とする脱気システム。」 (2)本件補正後の特許請求の範囲の請求項1 「 インクジェットプリンタに内蔵され、 気体透過性を有する脱気膜と、前記脱気膜を内包する枠体内に構成される脱気室と、該脱気室へのインクの導入を行うインク導入路及び前記脱気室からインクを導出するインク導出路と、前記枠体の一部に該脱気室内の気体を外部に排気するための排気口とを備えた脱気モジュールと、 前記排気口に接続されて排気を行う減圧手段と、 複数の種類のインクに応じた脱気方法を記憶したメモリを備えた制御部と を備え、 前記脱気室に導入するインクの種類に応じて前記メモリに記憶された脱気方法を選択し、前記減圧手段は前記制御部により選択された前記脱気方法に基づいて前記排気口から前記脱気膜を透過する気体を外部に排気することにより前記脱気室内のインク中に溶存する気体を脱気し、 前記脱気方法は、前記制御部が前記脱気室に接続されて該脱気室内の圧力を検知する圧力センサをさらに備え、前記メモリに記憶されたインクの種類に応じた前記脱気室内の圧力値と前記圧力センサが検知した前記脱気室内の圧力値とを比較して、前記脱気室内の圧力の大きさが所定の値となるように前記排気の駆動を制御し、複数個直列に接続された前記脱気モジュールにおける2つ目以降の該脱気モジュールの前記排気口に備える弁を切り換えることによって、2つ目以降の該脱気モジュールの前記脱気室に導入するインクから前記排気を行うか否かを選択し、脱気を行う割合が段階的になるようにすることを特徴とするインクジェットプリンタのインク脱気システム。」(下線は審決で付した。以下同じ。) 2 新規事項の追加について 本件補正により、本件補正後の請求項1に「インクジェットプリンタに内蔵され」との補正事項(以下「補正事項1」という。)及び「複数個直列に接続された前記脱気モジュールにおける2つ目以降の該脱気モジュールの前記排気口に備える弁を切り換えることによって、2つ目以降の該脱気モジュールの前記脱気室に導入するインクから前記排気を行うか否かを選択し、脱気を行う割合が段階的になるようにする」との補正事項(以下「補正事項2」という。)が追加された。 そして、本件補正と同日付けの意見書において、請求人は、「補正前の請求項に記載された発明の発明特定事項を限定する補正であり、かつ補正前と補正後の発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一です。」と主張するが、どの発明特定事項を限定するのか、どのような発明の産業上の利用分野が同一なのか、及びどのような課題が同一なのかについては、何ら主張はなされていない。 (1)補正事項2について 上記補正事項2は、脱気方法が、前記制御部が前記脱気室に接続されて該脱気室内の圧力を検知する圧力センサをさらに備え、前記メモリに記憶されたインクの種類に応じた前記脱気室内の圧力値と前記圧力センサが検知した前記脱気室内の圧力値とを比較して、前記脱気室内の圧力の大きさが所定の値となるように前記排気の駆動を制御する方法であるのを、複数個直列に接続された前記脱気モジュールにおける2つ目以降の該脱気モジュールの前記排気口に備える弁を切り換えることによって、2つ目以降の該脱気モジュールの前記脱気室に導入するインクから前記排気を行うか否かを選択し、脱気を行う割合が段階的になるようにすると、さらに限定する特定をするものである。 そこで、上記補正事項2について検討すると、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲、及び図面(以下「当初明細書等」という。)には、「前記制御部が前記脱気室に接続されて該脱気室内の圧力を検知する圧力センサをさらに備え、前記メモリに記憶されたインクの種類に応じた前記脱気室内の圧力値と前記圧力センサが検知した前記脱気室内の圧力値とを比較して、前記脱気室内の圧力の大きさが所定の値となるように前記排気の駆動を制御する」脱気方法に関しては、【0026】?【0029】の第2の実施の形態に記載され、一方、「複数個直列に接続された前記脱気モジュールにおける2つ目以降の該脱気モジュールの前記排気口に備える弁を切り換えることによって、2つ目以降の該脱気モジュールの前記脱気室に導入するインクから前記排気を行うか否かを選択し、脱気を行う割合が段階的になるようにする」脱気方法に関しては、【0021】?【0025】の第1の実施の形態に記載されているものである。そして、第2の実施の形態である「前記制御部が前記脱気室に接続されて該脱気室内の圧力を検知する圧力センサをさらに備え、前記メモリに記憶されたインクの種類に応じた前記脱気室内の圧力値と前記圧力センサが検知した前記脱気室内の圧力値とを比較して、前記脱気室内の圧力の大きさが所定の値となるように前記排気の駆動を制御する」脱気方法と、第1の実施の形態である「複数個直列に接続された前記脱気モジュールにおける2つ目以降の該脱気モジュールの前記排気口に備える弁を切り換えることによって、2つ目以降の該脱気モジュールの前記脱気室に導入するインクから前記排気を行うか否かを選択し、脱気を行う割合が段階的になるようにする」脱気方法の両方の脱気方法を併せ持つ実施の形態に関しては、当初明細書等に記載されていないし、自明の事項であるともいえない。 なお、【0026】に、「その他の構成については、実施の形態1の脱気システム20と同様であるため、詳細な説明を省略する。」と記載されているが、【0026】には、脱気モージュール10a(10b)に関する構成が「気圧センサ27は圧力検出チューブ29を介して脱気モジュール10a(10b)と接続されており、脱気モジュール10a(10b)の脱気室15(図1A及び図1B)内の圧力を気圧センサ27によって検出可能としている。31はインクタンクであり、脱気モジュール10a(10b)にインクを送り脱気を行う。」と記載されており、前記その他の構成に脱気モジュール10a(10b)があたらないことは明らかである。 したがって、上記補正事項2により補正された請求項1の記載は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものであって、当初明細書等に記載した事項の範囲内でなされたものではない。 (2)むすび 以上のとおりであって、本件補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてなされたものであるとはいえないから、特許法第17条の2第3項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 3 独立特許要件について そこで,本件補正後の前記請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について、以下に検討する。 (1)本願補正発明 本願補正発明は、平成27年4月3日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、上記「1 (2)本件補正後の特許請求の範囲の請求項1」に記載したとおりのものと認める。 (2)引用刊行物 (2-1)刊行物1 本願の優先日前に頒布された特開2008-87273号公報(以下「刊行物1」という。)には、以下の記載がある。 ア 「【特許請求の範囲】 【請求項1】 液状機能性材料を画像信号に基づき被記録媒体に向けてノズルから吐出するインクジェットヘッドと、 前記インクジェットヘッドと対向する位置に前記被記録媒体を搬送する被記録媒体搬送手段と、 前記インクジェットヘッドに液状機能性材料を供給する供給経路と、前記供給経路に連通され、前記液状機能性材料を貯留する貯蔵器と、 前記インクジェットヘッド又は前記供給経路もしくは前記貯蔵器中に設けられる真空脱気機構と、を有するインクジェット装置において、 前記液状機能性材料の組成物を構成する化合物の沸点の最低値が110℃以上であり、かつ、その時の前記真空脱気機構の脱気真空度が(a)?(e)のいずれかに該当することを特徴とするインクジェット装置。 (a)前記記録性材料の組成物を構成する化合物の沸点の最低値が110℃前後であるとき、前記真空脱気機構の脱気真空度が0.06atm前後であること。 (b)前記沸点の最低値が120℃前後のとき前記脱気真空度が0.04atm前後であること。 (c)前記沸点の最低値が130℃前後のとき前記脱気真空度が0.03atm前後であること。 (d)前記沸点の最低値が150℃前後のとき前記脱気真空度が0.02atm前後であること。 (e)前記沸点の最低値が200℃前後のとき前記脱気真空度が0.01atm前後であること。 【請求項2】 前記沸点の最低値対前記脱気真空度の関係を示したテーブルを備えた制御用インターフェイス(PC)と、前記脱気装置の真空度を測定する真空計と、前記真空ポンプを制御する圧力コントローラと、を備え、前記真空計の測定値を前記制御用インターフェイスに送り、前記制御用インターフェイスは前記測定値と目標値を比較し、前記測定値が目標値に一致するように前記圧力コントローラを介して前記真空ポンプを動作させるインクジェット装置であって、前記制御用インターフェイスは前記目標値を前記液状機能性材料の組成物を構成する化合物の沸点の最低値から前記テーブルを基に決定することを特徴とする請求項1記載のインクジェット装置。」 イ 「【0005】 そこで、本発明はこれらの課題を解決するためになされたもので、十分に脱気できて、長時間安定してインクジェット吐出を行うことにできる実用可能なインクジェット記録装置を提供することを目的としている。」 ウ 「【0020】 インクタンク72とヘッドユニット52のインクジェットヘッド58とは、液状機能性材料流路であるインク供給路80により接続されており、インクLをインクタンク72からインクジェットヘッド58に供給する。インク供給路80の途中には、脱気装置76および真空ポンプ78を具備する脱気機構が配設されている。 【0021】 …インクタンクからのインクLを脱気装置76に送ると、中空糸の周りは真空ポンプ78により減圧となっており、インクLから気体透過膜を通して溶存気体が除去される。…」 エ 「【0037】 図3は本発明の実施形態2を示す図で、図2と同じ符号は図2のそれと同じであるので、重複説明は省略する。図3において、制御用インターフェイス(PC)を用いて、ここに沸点の最低値対前記脱気真空度の関係を示したテーブルを備えておく。沸点の最低値対前記脱気真空度の関係を示したテーブルは、前述したように、インクの組成物を構成する化合物の沸点の最低値が110℃であるとき、脱気真空度が0.06atm、120℃のとき真空度が0.04atm、130℃のとき0.03atm、150℃のとき0.02atm、200℃のとき0.01atmとしたテーブルである。 また、この数値にない沸点の最低値値の時は、最も近い上下の沸点の最低値値を基に補間して用いる。制御用インターフェイスはこのようにして液状機能性材料の組成物を構成する化合物の沸点の最低値を入力するだけで、テーブルを基に真空度の目標値を自動的に決定すると共にそのような目標値の真空度になるように圧力調整バルブを制御する。 さらに、脱気装置の真空度を測定する真空計を備えている。真空計は0.001?1atm程度の真空度に対応している必要がある。真空計としては、例えばキヤノンアネルバ社製のクリスタル真空計 M-320XGがある。 真空計の測定値は制御用インターフェイスに送られる。真空計の測定値を受け取った制御用インターフェイスはこの測定値と目標値を比較し、測定値が目標値に一致するように真空ポンプを制御する。」 上記ア乃至エの記載から、摘記事項アの「前記脱気装置」は、その技術内容から「真空脱気機構」を指し示す事項と認められ、刊行物1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。 「液状機能性材料を画像信号に基づき被記録媒体に向けてノズルから吐出するインクジェットヘッドと、前記インクジェットヘッドと対向する位置に前記被記録媒体を搬送する被記録媒体搬送手段と、前記インクジェットヘッドに液状機能性材料を供給する供給経路と、前記供給経路に連通され、前記液状機能性材料を貯留する貯蔵器と、前記供給経路に設けられる真空ポンプを具備する脱気装置と、を有するインクジェット装置において、インクタンクからのインクを脱気装置に送ると、真空ポンプにより減圧となっており、インクから気体透過膜を通して溶存気体が除去され、液状機能性材料の組成物を構成する化合物の沸点の最低値対前記脱気真空度の関係を示したテーブルを備えた制御用インターフェイス(PC)と、前記脱気装置の真空度を測定する真空計と、前記真空ポンプを制御する圧力コントローラと、を備え、前記真空計の測定値を前記制御用インターフェイスに送り、前記制御用インターフェイスは前記測定値と目標値を比較し、前記測定値が目標値に一致するように前記圧力コントローラを介して前記真空ポンプを動作させるインクジェット装置。」 (2-2)刊行物2 本願の優先日前に頒布された特開2004-249215号公報(以下「刊行物2」という。)には、以下の記載がある。 ア 「【0002】 【従来の技術】 感光性平版印刷版は、一般にコイル状のアルミニウム版(以下「ウエブ」という)に、例えば、砂目立て、陽極酸化、化成処理等の表面処理を単独又は適宜組み合わせて行い、次いで、塗布液が塗布される塗布工程を経て、乾燥工程へ回される。」 イ 「【0009】 【発明が解決しようとする課題】 本発明は上記事実を考慮し、液体中の溶存空気量を調整でき、また、脱気膜の寿命の長い脱気装置とすることを課題とする。」 ウ 「【0059】 なお、第2実施形態では、脱気装置を並列に多列したが、図5に示すように、膜脱気装置80、82を直列に配置して、塗布液の流れを二方向弁84で切替え、使用する膜脱気装置の台数を変えてもよい。なお、真空バルブ86、88の開度を調整して、脱気度を変える構成は第2実施形態と同様である。」 エ 図5には、各膜脱気装置の真空ポンプとの間、すなわち、各膜脱気装置の排気口に真空バルブが設けられていることが示されている。 上記ア乃至エの記載から、刊行物2には、次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されているものと認められる。 「膜脱気装置を直列に配置して、各膜脱気装置の排気口に設けられた真空バルブの開度を調整して、塗布液の脱気度を変えてなる脱気装置。」 (3)対比 そこで、本願補正発明と引用発明1とを対比すると、 ア 後者の「液状機能性材料」、「インクジェット装置」、「気体透過膜」、「脱気装置」及び「真空ポンプ」は、それぞれ、前者の「インク」、「インクジェットプリンタ」、「脱気膜」、「脱気モジュール」及び「減圧手段」に相当する。 イ 後者の「脱気装置の真空度」と、前者の「脱気室内の圧力値」とは、気体の真空度と圧力の関係における技術常識から、表現が異なるだけで(単位については、1atm=1.01325×105Pa)、実質的に同一の概念である。よって、後者の「真空計」は、前者の「圧力センサ」に相当する。 ウ 後者の「脱気装置」は、インクから溶存気体を除去するものであるから、脱気室を有することは明らかであり、供給経路に設けられるものであるから、インク導入路とインク導出路を有することは明らかであり、また、真空ポンプを具備するから、真空ポンプに接続されて排気を行う排気口を備えていることも明らかである。 エ 後者の「液状機能性材料の組成物を構成する化合物の沸点の最低値対前記脱気真空度の関係を示したテーブル」は、それが基となって異なる液状機能性材料の組成物を構成する化合物の沸点の最低値に対する真空ポンプの真空度の目標値が決定されるものであるから、前者の「複数の種類のインクに応じた脱気方法を記憶したメモリ」に相当し、後者の制御用インターフェイス(PC)」は、前者の「制御部」に相当する。また、後者の「テーブルを基に真空度の目標値を決定し」は、前者の「脱気室に導入するインクの種類に応じてメモリに記憶された脱気方法を選択し」に相当する。そうすると、後者は、制御用インターフェイスが、テーブルを基に真空度の目標値を決定し、前記真空計の測定値を前記制御用インターフェイスに送り、前記制御用インターフェイスは前記測定値と目標値を比較し、前記測定値が目標値に一致するように前記圧力コントローラを介して前記真空ポンプを動作させるものであるから、脱気室に導入するインクの種類に応じてメモリに記憶された脱気方法を選択し、減圧手段は制御部により選択された脱気方法に基づいて排気口から脱気膜を透過する気体を外部に排気することにより脱気室内のインク中に溶存する気体を脱気する、及び、制御部が脱気室に接続されて脱気室内の圧力を検知する圧力センサをさらに備え、メモリに記憶されたインクの種類に応じた脱気室内の圧力値と圧力センサが検知した脱気室内の圧力値とを比較して、脱気室内の圧力の大きさが所定の値となるように排気の駆動を制御する、といえる。 したがって、両者は、 「インクジェットプリンタに内蔵され、 気体透過性を有する脱気膜と、前記脱気膜を内包する枠体内に構成される脱気室と、該脱気室へのインクの導入を行うインク導入路及び前記脱気室からインクを導出するインク導出路と、前記枠体の一部に該脱気室内の気体を外部に排気するための排気口とを備えた脱気モジュールと、 前記排気口に接続されて排気を行う減圧手段と、 複数の種類のインクに応じた脱気方法を記憶したメモリを備えた制御部と を備え、 前記脱気室に導入するインクの種類に応じて前記メモリに記憶された脱気方法を選択し、前記減圧手段は前記制御部により選択された前記脱気方法に基づいて前記排気口から前記脱気膜を透過する気体を外部に排気することにより前記脱気室内のインク中に溶存する気体を脱気し、 前記脱気方法は、前記制御部が前記脱気室に接続されて該脱気室内の圧力を検知する圧力センサをさらに備え、前記メモリに記憶されたインクの種類に応じた前記脱気室内の圧力値と前記圧力センサが検知した前記脱気室内の圧力値とを比較して、前記脱気室内の圧力の大きさが所定の値となるように前記排気の駆動を制御する、インクジェットプリンタのインク脱気システム。」 の点で一致し、以下の点で相違する。 [相違点] 本願補正発明が、複数個直列に接続された脱気モジュールにおける2つ目以降の脱気モジュールの排気口に備える弁を切り換えることによって、2つ目以降の脱気モジュールの脱気室に導入するインクから排気を行うか否かを選択し、脱気を行う割合が段階的になるようにするものであるのに対し、引用発明1は、そのようなものではない点。 (4)判断 上記相違点について以下検討する。 引用発明2の「膜脱気装置」及び「真空バルブ」は、それぞれ、本願補正発明の「脱気モジュール」及び「弁」に相当する。 引用発明2の「塗布液」は、被対象物の表面に塗布される液体である点で、本願補正発明の「インク」に相当する。 引用発明2の真空バルブは1つ目の膜脱気装置に対しても開度を調整するものであるから、2つ目以降の脱気モジュールの脱気室に導入するインクから排気を行うか否かを選択するものといえる。そして、引用発明2の真空バルブの開度が調整され、脱気度が変わると、結果として、各膜脱気装置の脱気を行う割合が段階的になるといえる。 そうすると、引用発明2は、相違点に係る本願補正発明の発明特定事項を備えている。 そして、引用発明1も引用発明2も、被対象物の表面に塗布される液体の脱気システムである点で技術分野が共通する。 そして、引用発明2の課題とする、液体中の溶存空気量を調整、とは、液体に要求される溶存気体の量の条件を満たすことであるから、引用発明1の十分に脱気できるという課題と共通する。 してみると、引用発明1において、十分に脱気するために、引用発明2を適用することは、当業者が容易に想到し得るものである。 したがって、引用発明1において、引用発明2を適用することにより、相違点に係る本願補正発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。 したがって、本願補正発明は、引用発明1及び引用発明2から、当業者が容易に発明できたものである。 そして、本願補正発明の発明特定事項によって奏される効果も、引用発明1及び引用発明2から、当業者が予測しうる範囲内のものである。 (6)むすび 以上のとおりであって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成25年8月19日付けの特許請求の範囲の請求項に記載された事項によって特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 気体透過性を有する脱気膜と、前記脱気膜を内包する枠体内に構成される脱気室と、該脱気室へのインクの導入を行うインク導入路及び前記脱気室からインクを導出するインク導出路と、前記枠体の一部に該脱気室内の気体を外部に排気するための排気口とを備えた脱気モジュールと、 前記排気口に接続されて排気を行う減圧手段と、 複数の種類のインクに応じた脱気方法を記憶したメモリを備えた制御部と を備え、 前記脱気室に導入するインクの種類に応じて前記メモリに記憶された脱気方法を選択し、前記減圧手段は前記制御部により選択された前記脱気方法に基づいて前記排気口から前記脱気膜を透過する気体を外部に排気することにより前記脱気室内のインク中に溶存する気体を脱気し、 前記脱気方法は、前記制御部が前記脱気室に接続されて該脱気室内の圧力を検知する圧力センサをさらに備え、前記メモリに記憶されたインクの種類に応じた前記脱気室内の圧力値と前記圧力センサが検知した前記脱気室内の圧力値とを比較して、前記脱気室内の圧力の大きさが所定の値となるように前記排気の駆動を制御する方法であることを特徴とする脱気システム。 【請求項2】 請求項1に記載の脱気システムにおいて、前記インク導入路に接続されて該インク導入路にインクを送るインクタンクと、該インクタンク中のインクの種類を識別するインク識別手段とをさらに備え、前記制御部は、前記識別手段の識別結果に基づいて前記脱気方法を選択することを特徴とする脱気システム。 【請求項3】 請求項1または2に記載の脱気システムにおいて、前記脱気方法は、前記脱気モジュールを複数個直列に接続して、2つ目以降の前記脱気モジュールの、前記脱気室に導入するインクから前記排気を行うか否かを選択することにより、脱気を行う割合を段階的に制御する方法であることを特徴とする脱気システム。 【請求項4】 請求項1または2に記載の脱気システムにおいて、前記脱気方法は、前記脱気モジュールを複数個並列に接続して、2つ目以降の前記脱気モジュールの、前記脱気室に導入するインクから前記排気を行うか否かを選択することにより、脱気を行う割合を段階的に制御する方法であることを特徴とする脱気システム。 【請求項5】 請求項4において、前記2つ目以降の脱気モジュールの前記インク導入路もしくは前記インク導出路の少なくとも一方に開閉弁を備え、前記脱気室に導入するインクから前記排気を行うか否かの選択に基づいて前記開閉弁を開閉することを特徴とする脱気システム。」(以下「本願発明」という。) 2 新規事項の追加について (1)判断 平成25年8月19日付手続補正書による補正により、請求項1に「前記脱気方法は、前記制御部が前記脱気室に接続されて該脱気室内の圧力を検知する圧力センサをさらに備え、前記メモリに記憶されたインクの種類に応じた前記脱気室内の圧力値と前記圧力センサが検知した前記脱気室内の圧力値とを比較して、前記脱気室内の圧力の大きさが所定の値となるように前記排気の駆動を制御する方法であること」との補正事項(以下「補正事項3」という。)が追加された。 (1-1)補正事項3を含む請求項1を引用する請求項3に係る本願発明について 補正事項3を含む請求項1を引用する請求項3における、上記補正事項3は、脱気方法が、前記制御部が前記脱気室に接続されて該脱気室内の圧力を検知する圧力センサをさらに備え、前記メモリに記憶されたインクの種類に応じた前記脱気室内の圧力値と前記圧力センサが検知した前記脱気室内の圧力値とを比較して、前記脱気室内の圧力の大きさが所定の値となるように前記排気の駆動を制御する方法であるのを、前記脱気モジュールを複数個直列に接続して、2つ目以降の前記脱気モジュールの、前記脱気室に導入するインクから前記排気を行うか否かを選択することにより、脱気を行う割合を段階的に制御する方法と、さらに限定する特定をするものである。 そこで、補正事項3を含む請求項1を引用する請求項3における、上記補正事項3について検討すると、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲、及び図面(以下「当初明細書等」という。)には、「前記制御部が前記脱気室に接続されて該脱気室内の圧力を検知する圧力センサをさらに備え、前記メモリに記憶されたインクの種類に応じた前記脱気室内の圧力値と前記圧力センサが検知した前記脱気室内の圧力値とを比較して、前記脱気室内の圧力の大きさが所定の値となるように前記排気の駆動を制御する方法」に関しては、【0026】?【0029】の第2の実施の形態に記載され、一方、「前記脱気モジュールを複数個直列に接続して、2つ目以降の前記脱気モジュールの、前記脱気室に導入するインクから前記排気を行うか否かを選択することにより、脱気を行う割合を段階的に制御する方法」に関しては、【0021】?【0025】の第1の実施の形態に記載されているものである。そして、第2の実施の形態である「前記制御部が前記脱気室に接続されて該脱気室内の圧力を検知する圧力センサをさらに備え、前記メモリに記憶されたインクの種類に応じた前記脱気室内の圧力値と前記圧力センサが検知した前記脱気室内の圧力値とを比較して、前記脱気室内の圧力の大きさが所定の値となるように前記排気の駆動を制御する方法」と、第1の実施の形態である「前記脱気モジュールを複数個直列に接続して、2つ目以降の前記脱気モジュールの、前記脱気室に導入するインクから前記排気を行うか否かを選択することにより、脱気を行う割合を段階的に制御する方法」の両方の脱気方法を併せ持つ実施の形態に関しては、当初明細書等に記載されていないし、自明の事項であるともいえない。 なお、【0026】に、「その他の構成については、実施の形態1の脱気システム20と同様であるため、詳細な説明を省略する。」と記載されているが、【0026】には、脱気モージュール10a(10b)に関する構成が「気圧センサ27は圧力検出チューブ29を介して脱気モジュール10a(10b)と接続されており、脱気モジュール10a(10b)の脱気室15(図1A及び図1B)内の圧力を気圧センサ27によって検出可能としている。31はインクタンクであり、脱気モジュール10a(10b)にインクを送り脱気を行う。」と記載されており、前記その他の構成に脱気モジュール10a(10b)があたらないことは明らかである。 したがって、上記補正事項3により補正された請求項3の記載は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものであって、当初明細書等に記載した事項の範囲内でなされたものではない。 (1-2)補正事項3を含む請求項1を引用する請求項4に係る本願発明について 補正事項3を含む請求項1を引用する請求項4における、上記補正事項3は、脱気方法が、前記制御部が前記脱気室に接続されて該脱気室内の圧力を検知する圧力センサをさらに備え、前記メモリに記憶されたインクの種類に応じた前記脱気室内の圧力値と前記圧力センサが検知した前記脱気室内の圧力値とを比較して、前記脱気室内の圧力の大きさが所定の値となるように前記排気の駆動を制御する方法であるのを、前記脱気モジュールを複数個並列に接続して、2つ目以降の前記脱気モジュールの、前記脱気室に導入するインクから前記排気を行うか否かを選択することにより、脱気を行う割合を段階的に制御する方法と、さらに限定する特定をするものである。 そこで、補正事項3を含む請求項1を引用する請求項4における、上記補正事項3について検討すると、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲、及び図面(以下「当初明細書等」という。)には、「前記制御部が前記脱気室に接続されて該脱気室内の圧力を検知する圧力センサをさらに備え、前記メモリに記憶されたインクの種類に応じた前記脱気室内の圧力値と前記圧力センサが検知した前記脱気室内の圧力値とを比較して、前記脱気室内の圧力の大きさが所定の値となるように前記排気の駆動を制御する方法」に関しては、【0026】?【0029】の第2の実施の形態に記載され、一方、「前記脱気モジュールを複数個並列に接続して、2つ目以降の前記脱気モジュールの、前記脱気室に導入するインクから前記排気を行うか否かを選択することにより、脱気を行う割合を段階的に制御する方法」に関しては、【0030】?【0038】の第3の実施の形態に記載されているものである。そして、第2の実施の形態である「前記制御部が前記脱気室に接続されて該脱気室内の圧力を検知する圧力センサをさらに備え、前記メモリに記憶されたインクの種類に応じた前記脱気室内の圧力値と前記圧力センサが検知した前記脱気室内の圧力値とを比較して、前記脱気室内の圧力の大きさが所定の値となるように前記排気の駆動を制御する方法」と、第3の実施の形態である「前記脱気モジュールを複数個並列に接続して、2つ目以降の前記脱気モジュールの、前記脱気室に導入するインクから前記排気を行うか否かを選択することにより、脱気を行う割合を段階的に制御する方法」の両方の脱気方法を併せ持つ実施の形態に関しては、当初明細書等に記載されていないし、自明の事項であるともいえない。 したがって、上記補正事項3により補正された請求項4の記載は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものであって、当初明細書等に記載した事項の範囲内でなされたものではない。 (2)むすび 以上のとおりであって、平成25年8月19日付手続補正書による補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてなされたものであるとはいえないから、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものである。 3 記載不備について (1)サポート要件について 請求項3の「『脱気方法は、前記制御部が前記脱気室に接続されて該脱気室内の圧力を検知する圧力センサをさらに備え、前記メモリに記憶されたインクの種類に応じた前記脱気室内の圧力値と前記圧力センサが検知した前記脱気室内の圧力値とを比較して、前記脱気室内の圧力の大きさが所定の値となるように前記排気の駆動を制御する方法であること』及び『脱気方法は、前記脱気モジュールを複数個直列に接続して、2つ目以降の前記脱気モジュールの、前記脱気室に導入するインクから前記排気を行うか否かを選択することにより、脱気を行う割合を段階的に制御する方法であること』」及び請求項4及び5の「『脱気方法は、前記制御部が前記脱気室に接続されて該脱気室内の圧力を検知する圧力センサをさらに備え、前記メモリに記憶されたインクの種類に応じた前記脱気室内の圧力値と前記圧力センサが検知した前記脱気室内の圧力値とを比較して、前記脱気室内の圧力の大きさが所定の値となるように前記排気の駆動を制御する方法であること』及び『脱気方法は、前記脱気モジュールを複数個並列に接続して、2つ目以降の前記脱気モジュールの、前記脱気室に導入するインクから前記排気を行うか否かを選択することにより、脱気を行う割合を段階的に制御する方法であること』」との特定は、上記「2 (1-1)」及び「2 (1-2)」のとおり、当初明細書等に記載や示唆はされておらず、また、そのようなものが自明な事項ともいえない。 したがって、本願発明は、特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。 (2)明確性について 請求項5に、「開閉弁を備え」たうえで、「脱気室に導入するインクから排気を行うか否かの選択」をすると特定されているが、開閉弁を閉めてしまえば、脱気モジュールへインクは流入できないので、どのようなメカニズムなのか不明である。 したがって、請求項5に係る本願発明は、特許を受けようとする発明が明確であるとはいえないから、本願発明は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 (3)むすび したがって、本願発明は、上記(1)及び(2)のとおり、特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法第36条第6項第1号及び第2号に規定する要件を満たしていない。 4 引用刊行物 平成27年1月30日付けの当審の拒絶の理由に引用された刊行物、及び、その記載内容は上記「第2 3 (2)引用刊行物」に記載したとおりである。 5 対比・判断 本願発明は、上記「第2 3 (1)本願補正発明」で検討した本願補正発明の「脱気方法」に関して、「複数個直列に接続された前記脱気モジュールにおける2つ目以降の該脱気モジュールの前記排気口に備える弁を切り換えることによって、2つ目以降の該脱気モジュールの前記脱気室に導入するインクから前記排気を行うか否かを選択し、脱気を行う割合が段階的になるようにする」との限定を省くものである。 そうすると、本願発明と引用発明1とを対比した場合の相違点は、実質的にないこととなる。 したがって、本願発明の発明特定事項は、すべて引用発明1が備えているから、本願発明は、引用発明1と同一である。 したがって,本願発明は,引用発明1であるから,特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 7 むすび 上記2のとおり、平成25年8月19日付手続補正書による補正が、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてなされたものであるとはいえないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。 また、上記3のとおり、本願発明は、特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法第36条第6項第1号及び第2号に規定する要件を満たしていない。 また、上記5のとおり、本願発明は、引用発明1に記載されたものであるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2015-05-13 |
結審通知日 | 2015-05-19 |
審決日 | 2015-06-01 |
出願番号 | 特願2012-512786(P2012-512786) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(B41J)
P 1 8・ 575- WZ (B41J) P 1 8・ 113- WZ (B41J) P 1 8・ 55- WZ (B41J) P 1 8・ 537- WZ (B41J) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 貝沼 憲司、津熊 哲朗、小宮山 文男 |
特許庁審判長 |
黒瀬 雅一 |
特許庁審判官 |
吉村 尚 藤本 義仁 |
発明の名称 | インクジェットプリンタのインク脱気システム |
代理人 | 特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK |