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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B65D
管理番号 1303238
審判番号 不服2014-9527  
総通号数 189 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-09-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-05-22 
確定日 2015-07-16 
事件の表示 特願2009-184457「詰替え容器」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 2月24日出願公開、特開2011- 37461〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本件出願は、平成21年8月7日の出願であって、平成25年8月19日付けで拒絶理由が通知され、同年10月21日に手続補正されたが、平成26年2月25日付けで拒絶をすべき旨の査定がなされた。
これに対し、同年5月22日に本件審判が請求されると同時に手続補正され、当審において平成27年2月6日付けで拒絶理由が通知され、同年4月6日に手続補正されたものである。

第2.本願発明について
1.本願発明
本件出願の請求項1?2に係る発明は、平成27年4月6日に手続補正された特許請求の範囲の請求項1?2に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりである。
「基材とシーラント層を少なくとも有する積層体からなる詰替え容器であって、本体表面積層体と本体裏面積層体と底テープを有し、それぞれのシーラント層同士を対向させ、周囲をシールしてなり、1枚の積層体をシーラント層を内側にして天部の単一の折り曲げ線で折り曲げて、折り曲げ部と前記本体表面積層体と前記本体裏面積層体を形成し、前記底テープは、容器の下部にあって折り曲げられており、底テープの一端は本体表面積層体と、他端は本体裏面積層体とそれぞれボトムシール部を形成して容器底面を構成し、前記折り曲げ部は、注出口シール部と共に、内容物を注ぎ出すための注出ノズルを形成しており、該注出ノズルの先端は開封予定線に沿って切り離すことにより注出口を形成し、前記開封予定線は、本体表面積層体および本体裏面積層体の外側面に連続して設けたハーフカット線であって、前記折り曲げ部に直交する方向に形成されており、該開封予定線長をA(mm)とし、注出口の開口部幅をB(mm)としたときに、
A-4(mm)≦B(mm)≦A-0.5(mm)
の関係を満たすことを特徴とする詰替え容器。」

2.刊行物等
当審による平成27年2月6日付け拒絶理由通知書に引用され、本件の出願前に頒布された刊行物である特開2008-18991号公報(以下、「刊行物1」という。)には以下の記載がある。
(ア)
「従来から、詰替え用の調味料や化粧品や洗剤類などを収容する、同様に外面樹脂フィルム層と内面シーラント層とを積層して成る積層樹脂フィルム製の、図4に示すように、左側辺3を二つ折りして、底部の内側に別葉の積層樹脂フィルム製の底板を折込んで装着して、底辺5の周辺部を熱融着して、上辺2と右側辺4とをそれぞれ熱融着して成る、同様にスタンディングパウチと通称する自立型の軟質包装袋において、上辺2の左部を内側に屈曲させて熱融着して、この熱融着した上辺2と二つ折りした側辺3との角隅部に、切断して注出口6を形成する水平の切れ目線aを設けた軟質包装袋の注出口(特許文献1)が、開示されて用いられている。」(段落【0003】)
(イ)
「従来の、図4に示す軟質包装袋の注出口については、同様に水平の切れ目線aの上辺2と側辺3との角隅部側を指でつまんで、V字切欠きbから水平の切れ目線aを強く引きちぎって切断して、簡単に図4Bに示す注出口6を形成して、軟質包装袋を転倒させるなどして、図示していないプラスチック製のボトル容器などに、収容した液状の調味料や化粧品や洗剤類などを詰替えることができる、しかも前述した図3に示す軟質包装袋の注出口とは異なって、この液状の収容物が残り少なくなっても、熱融着した上辺2と二つ折りした側辺3との角隅部に設けた注出口6の、特に熱融着していない側辺3側の左端部が、図4Bに示すように、偏平になり難い二つ折りであって、この左端部の積層樹脂フィルムにも反発力があるために、形成した注出口6が密着して閉塞し難い、液状の収容物が残り少なくなっても安定して詰替えることができる軟質包装袋の注出口である」(段落【0006】)
(ウ)
また、上記(ア)(イ)を踏まえると【図4】(A)(B)から、軟質包装袋の底板は軟質包装袋の底部にあって折り曲げられ、表裏の積層樹脂フィルムとそれぞれ底辺5の周辺部を熱融着されて軟質包装袋の底面を構成しており、熱融着した上辺2と二つ折りした左側辺3との角隅部に注出口6を形成しており、注出口先端の切れ目線aは前記二つ折りした左側辺3に直交する方向に形成されていることが看てとれる。

以上の記載によれば、刊行物1には、次の発明(以下、「刊行物発明」という。)が記載されていると認められる。
「外面樹脂フィルム層と内面シーラント層とを積層して成る積層樹脂フィルム製の、転倒させるなどしてボトル容器などに詰替えることができる軟質包装袋であって、
左側辺3で積層樹脂フィルムを二つ折りして、底部の内側に別葉の積層樹脂フィルム製の底板を折込んで装着して、底辺5の周辺部を熱融着して、上辺2と右側辺4とをそれぞれ熱融着して成り、
前記底板は軟質包装袋の底部にあって折り曲げられ、表裏の積層樹脂フィルムとそれぞれ底辺5の周辺部を熱融着されて軟質包装袋の底面を構成しており、
この熱融着した上辺2と二つ折りした左側辺3との角隅部に、水平の切れ目線aを設けた注出口を形成しており、
注出口先端の切れ目線aは、切断により注出口6を形成するものであり、前記二つ折りした左側辺3に直交する方向に形成されている、
軟質包装袋。」

3.対比
本願発明と刊行物発明とを比較すると、
(ア)
刊行物発明の「外面樹脂フィルム層」、「内面シーラント層」、「積層樹脂フィルム」は、各々、本願発明の「基材」、「シーラント層」、「積層体」に相当する。
また、刊行物発明の「軟質包装袋」は、「詰替え用の調味料や化粧品や洗剤類などを収容する」ものである(上記2.(ア)参照)から、本願発明の「詰替え容器」に相当する。
ゆえに、刊行物発明の「外面樹脂フィルム層と内面シーラント層とを積層して成る積層樹脂フィルム製の、転倒させるなどしてボトル容器などに詰替えることができる軟質包装袋であって」は、本願発明の「基材とシーラント層を少なくとも有する積層体からなる詰替え容器であって」に相当する。
(イ)
刊行物発明における「底板」は、本願発明における「底テープ」に相当する。
また、刊行物発明は、「外面樹脂フィルム層と内面シーラント層とを積層して成る積層樹脂フィルム製」であって、「左側辺3で積層樹脂フィルムを二つ折りして」、「上辺2と右側辺4とをそれぞれ熱融着して成」るものであることから、以下のa.?c.が明らかである。
a.「左側辺3」は折り曲げ部といえること
b.二つ折りした際に、「詰め替え容器」の本体の表面側となる「積層樹脂フィルム」と本体の裏面側となる「積層樹脂フィルム」を有していること
c.表面側となる「積層樹脂フィルム」と裏面側となる「積層樹脂フィルム」のそれぞれの「内面シーラント層」同士を対向させ、周囲をシールしてなり、1枚の積層体を、「内面シーラント層」を内側にして、左側辺3を単一の折り曲げ線として、折り曲げることで、折り曲げ部と前記「本体の表面側となる「積層樹脂フィルム」」と前記「本体の裏面側となる「積層樹脂フィルム」」を形成すること
さらに、刊行物発明における「注出口」は、内容物を注ぎ出すための「流出路」であるといえ、「左側辺3」は、「熱融着した上辺2」と共に、前記「注出口」を形成していることも明らかであるから、前記「熱融着した上辺2」における「熱融着した」部分は「注出口シール部」であるといえる。
また、「左側辺3」は折り曲げ部といえる(上記3.(イ)a.参照)。
ゆえに、刊行物発明の「左側辺3で積層樹脂フィルムを二つ折りして、底部の内側に別葉の積層樹脂フィルム製の底板を折込んで装着して、底辺5の周辺部を熱融着して、上辺2と右側辺4とをそれぞれ熱融着して成り」、「この熱融着した上辺2と二つ折りした左側辺3との角隅部に、水平の切れ目線aを設けた注出口を形成しており」と、本願発明の「本体表面積層体と本体裏面積層体と底テープを有し、それぞれのシーラント層同士を対向させ、周囲をシールしてなり、1枚の積層体をシーラント層を内側にして天部の単一の折り曲げ線で折り曲げて、折り曲げ部と前記本体表面積層体と前記本体裏面積層体を形成し」、「前記折り曲げ部は、注出口シール部と共に、内容物を注ぎ出すための注出ノズルを形成しており」とは、「本体表面積層体と本体裏面積層体と底テープを有し、それぞれのシーラント層同士を対向させ、周囲をシールしてなり、1枚の積層体をシーラント層を内側にして単一の折り曲げ線で折り曲げて、折り曲げ部と前記本体表面積層体と前記本体裏面積層体を形成し」、「前記折り曲げ部は、注出口シール部と共に、内容物を注ぎ出すための注出ノズルを形成しており」という限りにおいて一致する。
(ウ)
刊行物発明において、「表裏の積層樹脂フィルムとそれぞれ底辺5の周辺部を熱融着され」た部分は、「軟質包装袋」の「底部」のシール部を形成することが明らかである。
ゆえに、刊行物発明の「前記底板は軟質包装袋の底部にあって折り曲げられ、表裏の積層樹脂フィルムとそれぞれ底辺5の周辺部を熱融着されて軟質包装袋の底面を構成しており」は、本願発明の「前記底テープは、容器の下部にあって折り曲げられており、底テープの一端は本体表面積層体と、他端は本体裏面積層体とそれぞれボトムシール部を形成して容器底面を構成し」に相当する。
(エ)
刊行物発明において、「切れ目線a」は、これに沿って切断、すなわち、切り離されることにより、「注出口6」を形成するものであるから、「開封予定線」といえる。
ゆえに、刊行物発明の「注出口先端の切れ目線aは、切断により注出口6を形成するものであり」と、本願発明の「該注出ノズルの先端は開封予定線に沿って切り離すことにより注出口を形成し、前記開封予定線は、本体表面積層体および本体裏面積層体の外側面に連続して設けたハーフカット線であって」とは、「該注出ノズルの先端は開封予定線に沿って切り離すことにより注出口を形成しており」という限りおいて一致する。
(オ)
刊行物発明の「前記二つ折りした左側辺3に直交する方向に形成されて」と本願発明の「前記折り曲げ部に直交する方向に形成されており、該開封予定線長をA(mm)とし、注出口の開口部幅をB(mm)としたときに、
A-4(mm)≦B(mm)≦A-0.5(mm)
の関係を満たす」とは、「前記開封予定線は、前記折り曲げ部に直交する方向に形成されて」という限りにおいて一致する。

そうすると、両者は、
「基材とシーラント層を少なくとも有する積層体からなる詰替え容器であって、
本体表面積層体と本体裏面積層体と底テープを有し、それぞれのシーラント層同士を対向させ、周囲をシールしてなり、
1枚の積層体をシーラント層を内側にして単一の折り曲げ線で折り曲げて、折り曲げ部と前記本体表面積層体と前記本体裏面積層体を形成し、
前記底テープは、容器の下部にあって折り曲げられており、底テープの一端は本体表面積層体と、他端は本体裏面積層体とそれぞれボトムシール部を形成して容器底面を構成し、
前記折り曲げ部は、注出口シール部と共に、内容物を注ぎ出すための注出ノズルを形成しており、
該注出ノズルの先端は開封予定線に沿って切り離すことにより注出口を形成し、前記開封予定線は、前記折り曲げ部に直交する方向に形成されて」
いる点で一致し、次の点で相違する。

[相違点1]
「本体表面積層体と本体裏面積層体と底テープを有し、それぞれのシーラント層同士を対向させ、周囲をシールしてなり、1枚の積層体をシーラント層を内側にして単一の折り曲げ線で折り曲げて、折り曲げ部と前記本体表面積層体と前記本体裏面積層体を形成し」、「前記折り曲げ部は、注出口シール部と共に、内容物を注ぎ出すための注出ノズルを形成しており」という事項について、本願発明では、「単一の折り曲げ線」が「天部」にあり、「折り曲げ部」が前記「天部」の「単一の折り曲げ線」で折り曲げることで形成されているのに対し、刊行物発明では、「単一の折り曲げ線」が「左側辺3」であり、「折り曲げ部」が前記「左側辺3」で折り曲げることで形成されている点。

[相違点2]
「該注出ノズルの先端は開封予定線に沿って切り離すことにより注出口を形成しており」という事項について、本願発明では、「開封予定線」が、「本体表面積層体および本体裏面積層体の外側面に連続して設けたハーフカット線」であるのに対し、刊行物発明では、「切れ目線a」が、表面側となる「積層樹脂フィルム」と裏面側となる「積層樹脂フィルム」の外側面に連続して設けたハーフカット線であるとは特定されていない点。

[相違点3]
「前記開封予定線は、前記折り曲げ部に直交する方向に形成されて」という事項について、本願発明では、さらに、「該開封予定線長をA(mm)とし、注出口の開口部幅をB(mm)としたときに、A-4(mm)≦B(mm)≦A-0.5(mm)の関係を満たす」とされているのに対し、刊行物発明では、切れ目線長さと注出口幅の関係について特定されていない点。

4.相違点の検討
[相違点1について]
詰替え容器において折り曲げ部を天部に配置し、注出ノズルを、前記天部に配置された折り曲げ部とその周囲に設けられるシール部とで形成することは、例えば、特開2011-31971号公報(段落0030-0033、図1)、特開平4-215957号公報(段落0011-0017、図1)に示すように周知技術であり、その採否は、注出ノズルを設ける方向(注出ノズルからの内容物の注出方向)や、その製造コスト等を勘案し、当業者が適宜決定し得たことである。
したがって、刊行物発明において、「左側辺3」を折り曲げ部とすることに代えて、軟質包装袋(詰替え容器)の天部が折り曲げ部とするようにその構造を変更することで、「単一の折り曲げ線」が「天部」にあり、「折り曲げ部」が前記「天部」の「単一の折り曲げ線」で折り曲げることで形成されるようにすることは、当業者が適宜なし得たことである。
[相違点2について]
注出口の開封性を向上するために、注出口に備える切れ目線を半切れ状、すなわちハーフカットとすることは、例えば刊行物1の段落0016、0019にも示されるように周知の技術であり、その採否は、採用に伴う製造コストや注出口に求められる開封性等を考慮して、当業者が適宜決定し得た設計的な事項である。
したがって、刊行物発明において、「切れ目線a」を、表面側となる「積層樹脂フィルム」と裏面側となる「積層樹脂フィルム」の外側面に連続して設けたハーフカット線とすることは、当業者であれば適宜なし得た事項にすぎない。
[相違点3について]
液体収納袋として必要なシール幅を確保する一方で、内容物の注出がスムーズとなるように十分な開口部幅を残しておくことは、当業者であれば当然考慮する事項である。
また、上記相違点3に係る関係は、数式を変形すると、注出口シール幅(A-B)の数値範囲が、
0.5(mm)≦A-B(mm)≦4(mm)
であることと同じであって、当業者が通常採用するシール幅の範囲を特定したに過ぎない(例えば、特開2006-117263号公報(段落0024、0037、図1)等を参照)。
したがって、刊行物発明において、さらに、注出口のシール部(上辺2の熱融着した部分)のシール幅を上記数値範囲にものとし、上記相違点3に係る本願発明の構成とすることは、当業者にとって容易である。

しかも、本願発明が奏する作用、効果も、刊行物発明、及び、上記周知技術から当業者が予測できたものであり、格別なものとはいえない。

よって、本願発明は、刊行物発明、及び、上記周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。


5.むすび
以上のとおり、本願発明は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本件出願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-05-15 
結審通知日 2015-05-19 
審決日 2015-06-03 
出願番号 特願2009-184457(P2009-184457)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (B65D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 高橋 裕一  
特許庁審判長 渡邊 豊英
特許庁審判官 熊倉 強
渡邊 真
発明の名称 詰替え容器  
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