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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1303513
審判番号 不服2014-9569  
総通号数 189 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-09-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-05-22 
確定日 2015-07-23 
事件の表示 特願2011-547289「触感呈示装置および触感呈示装置の制御方法」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 6月30日国際公開、WO2011/077687〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成22年12月17日(優先権主張平成21年12月21日)を国際出願日とする出願であって、平成25年6月10日付けで拒絶の理由が通知され、これに対して同年8月13日に意見書及び手続補正書が提出され、平成26年2月17日付けで拒絶査定がなされ、同査定の謄本は同年2月25日に請求人に送達された。
これに対して、同年5月22日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同時に手続補正がなされたものである。


第2 平成26年5月22日付けの手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成26年5月22日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1.本件補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲についての補正を含むものであり、その特許請求の範囲の請求項1についての補正内容は次のとおりである。

(1)本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。)
「タッチセンサと、
前記タッチセンサのタッチ面を振動させる触感呈示部と、
表示部と、
前記タッチセンサのタッチ面に対する押圧荷重を検出する荷重検出部と、
アプリケーションソフトウェアから供給された触感を示す情報に基づいて、前記表示部に表示するオブジェクトに対して前記触感呈示部が呈示する触感を設定するとともに、前記オブジェクトに対する入力を検知している状態で、前記荷重検出部が触感を呈示する荷重基準を満たす押圧荷重を検出すると、当該アプリケーションソフトウェアからの触感呈示の指示を受けずに、前記タッチ面を押圧している押圧対象に対して、当該オブジェクトに対して設定した触感を呈示するように前記触感呈示部を制御するとともに、前記荷重基準を満たさなくなると、リリースのために設定された触感を呈示するように前記触感呈示部を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする触感呈示装置。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲の請求項1の記載
本件補正前の、平成25年8月13日付けの手続補正による特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「タッチセンサと、
前記タッチセンサのタッチ面を振動させる触感呈示部と、
表示部と、
前記タッチセンサのタッチ面に対する押圧荷重を検出する荷重検出部と、
アプリケーションソフトウェアから供給された触感を示す情報に基づいて、前記表示部に表示するオブジェクトに対して前記触感呈示部が呈示する触感を設定するとともに、前記オブジェクトに対する入力を検知している状態で、前記荷重検出部が触感を呈示する荷重基準を満たす押圧荷重を検出すると、当該アプリケーションソフトウェアからの触感呈示の指示を受けずに、前記タッチ面を押圧している押圧対象に対して、当該オブジェクトに対して設定した触感を呈示するように前記触感呈示部を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする触感呈示装置。」

(3)上記特許請求の範囲の請求項1についての補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である、荷重基準を満たす押圧荷重を検出すると押圧対象に対して触感を呈示するように触感提示部を制御する「制御部」について、「前記荷重基準を満たさなくなると、リリースのために設定された触感を呈示するように前記触感呈示部を制御する」という機能を追加するものである。

2.本件補正の適否
(1)上記補正によって追加された「前記荷重基準を満たさなくなると、リリースのために設定された触感を呈示するように前記触感呈示部を制御する」という機能は、「ユーザインタフェースを構成する既存のアプリケーションリソースを無駄にせずに、オブジェクトに対する操作者の操作に応じて触感を呈示する触感呈示装置を提供する。」という補正前の請求項1に係る発明が解決しようとした課題(本願明細書段落【0035】)とは異なる、「リソース触感の呈示を実現する」という課題に対応する機能であって、補正前の「制御部」が有していた機能の下位概念に属する機能であるとはいえない。
したがって、補正前の請求項1に係る発明の解決しようとする課題と補正後の請求項1に係る発明の解決しようとする課題とは同一であるといえず、また、「制御部」について上記機能を追加する上記補正事項は、補正前の発明を特定するために必要な事項を限定するものともいえない。
よって上記補正は、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当しない。
また、上記補正は、請求項の削除、誤訳の訂正、明りょうでない記載の釈明のいずれにも該当しない。

(2)以上のとおりであるから、本件補正は、特許第17条の2第5項に規定する要件に違反するものであり、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

(3)仮に、上記補正が特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するとしても、以下の、補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)についての検討により、本件補正は却下されるべきものである。


ア.本件補正発明
本件補正発明は、上記1.(1)に記載したとおりのものである。


イ.引用例の記載事項

(ア)引用例1

a.原査定の拒絶の理由で引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である、特開平11-212725号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに、次の記載がある。

「【0008】
【発明の目的】この発明は上記のような従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、操作部が実質的な押し込みストロークを持たなくても確実な操作感を与えることができる情報表示装置を提供することを第1の目的とする。」

「【0010】また、この発明の第3の目的は、指を表示画面上ですべらせつつ目的の操作領域に到達させる操作方法(なぞり操作)を許容し、そのようななぞり操作においては目的の操作領域で実際に押圧操作を行うまでは装置側が誤った反応を示さないようにすることである。
【0011】さらに、この発明の第4の目的は、押圧操作を行った場所や操作力によって装置側からの反応を異なったものとし、それによって操作感を多彩なものとすることである。」

「【0042】図2において、この情報表示装置100は略箱状のハウジング101を備えており、このハウジング101に収容された部分は、操作者側に面した表示操作部DPと、その裏側の制御回路部CTとに大別されている。
【0043】ハウジング101の主面MSには略矩形の操作面11が露出している。この操作面11は透明または半透明であり、操作面11を介して情報表示面21(図3参照)の表示内容を目視することができる。また、固定の押しボタンスイッチ102も主面MS上に配置しておくことができる。
【0044】図3は、図2のIII-III断面のうち表示操作部DPに相当する部分を示す一部省略断面図である。また、図4は図3のIV方向から見た透視平面図である。図3において、この表示操作部DPは窓41を有するケース40内に液晶表示パネル20を収容しており、この液晶表示パネル20の主面が情報表示面21となっている。
【0045】図4に示すように、液晶表示パネル20の四隅にそれぞれ隣接して、4個の圧電素子E1?E4が配置されている。圧電素子E1?E4は、力学的作用と電気信号とを双方向で変換可能な双方向機能手段30の要素としての単位機能手段である。 これらの圧電素子E1?E4は図3のケース40の底面に固定されており、それらの頂部によって透明または半透明の操作パネル10の四隅付近が支持されている。この操作パネル10はたとえばガラス板、アクリル板などであり、略矩形の平面形状を有している。
【0046】液晶表示パネル20には種々の情報を可変に表示可能であるが、図4の例では銀行の自動現金出納のメニューが表示されている。これらのメニューが表示された領域R1?R7は銀行利用者による操作領域ともなっている。たとえば、「お預入れ」が表示された領域R1の上を銀行利用者が指で所定以上の力で押圧すると、後述する動作によってこの情報表示装置100は「お預入れ」が選択されたことを検知し、銀行のホストコンピュータにその旨を通知するとともに、現金を受け入れることができるような状態になる。また、それに同期して、この情報表示面21における表示は、現金の受け入れのためのガイダンスおよび新たな操作メニューが表示された画面へと変化する。なお、この操作領域R1?R7の大きさと位置は任意に設定可能である。また、図4中の領域R0は、情報表示面21のうち操作領域R1?R7となっていない領域を示している。
【0047】そして、この第1実施形態の装置では、銀行利用者が操作領域R1?R7のいずれを押圧したかを検知するための検知手段と、その押圧に応じて操作パネル10を細かく振動させるための駆動手段との双方を兼ねた要素として、図3の圧電素子E1?E4が利用されている。」

「【0081】<1-4. 圧電素子E1?E4による押圧力検知>図7において、操作パネル10に結合されている圧電素子E1?E4のそれぞれの端子電圧ek(k=1?4)は演算部51に並列的に与えられる。
【0082】図8はこの演算部51の内部構成を示している。演算部51内の信号変換部51aには、圧電素子E1?E4に加わる力と端子電圧との数値関係があらかじめ設定されている。圧電素子E1?E4のそれぞれの端子電圧ekは、この信号変換部51aによって圧電素子E1?E4に加わっている力fk(k=1?4)を表現する信号Sfkに変換され、これらの信号Sfkは位置演算部51bと操作力検出部51cとに並列的に与えられる。
【0083】位置演算部51bにはまた、定数記憶部51cにあらかじめ記憶させておいた距離定数a、b(図6参照)も与えられており、位置演算部51bは既述した数16,数17によって操作点の位置座標(x,y)を算出する。なお、数15,数16のかわりに数14,数15を使用するときには、自重成分(W・cosθ)に関する値も定数記憶部51cに記憶させておき、それも利用する。
【0084】一方、操作力検出部51dでは、力fk(k=1?4)の総和Σfkを求める。操作パネル10の自重をも考慮するときにはさらに、定数記憶部51cからの(W・cosθ)の値も考慮して、数11から操作力Fを求める。なお、この操作力演算部51dで求めた操作力Fの値を位置演算部51bにおける演算(たとえば数16,17)の分母の値として使用させれば、位置演算部と操作力演算部との双方で和Σfkの計算を行わなくても済む。
【0085】これらの結果、演算部51からは、操作位置P(x,y)を示す操作位置信号SPと、操作力Fを示す操作力信号SFとが出力される。操作位置信号SPは(x,y)の2成分を有する。
【0086】<1-5. 操作位置(操作領域)の判定>図7に戻って、演算部51で得られた操作位置信号SPは領域判定部52へ与えられる。この領域判定部52には、領域区分記憶部53から、図4の操作領域R1?R7のそれぞれの頂点座標(図9参照)を表現した情報(xi-、xi+、yi-、yi+:i=1?7)が入力される。これらの頂点座標の情報は、後述する情報処理部60(図7)から、その時点での表示内容に応じてロードされている。
【0087】領域判定部52は、比較判定部52a(図10)において、操作点Pの座標値(x,y)を、上記のようにして得られている操作領域R1?R7の各頂点座標と比較し、操作点Pがこれらの操作領域R1?R7および領域R0のいずれにあるかを判定する。たとえば、比較判定部52aのうち領域R2に関する部分では、
【0088】
【数18】x2- ≦ x ≦ x2+ かつ y2- ≦ y ≦ y2+
であるかどうかを比較演算し、この数18が成立すれば、現在の操作点Pは操作領域R2内にあると判定される。
【0089】また、操作点Pの座標値(x,y)が、液晶表示画面中の操作領域R1?R7以外の領域(非操作領域)R0にあるかどうかも判定される。」

「【0091】<1-6. 操作力の判定>一方、図7において、操作力Fを示す操作力信号SFは操作力判定部54へ与えられる。この操作力判定部54には、操作力区分記憶部55から、図11の操作力区分F0?F4を規定する複数の閾値Fh1?Fh4が入力される。これらの閾値Fh1?Fh4の情報も、後述する情報処理部60から、その時点での表示内容に応じてロードされている。また、ここでの例では4つの操作力区分F0?F4が規定されているが、その時点での表示内容に応じて力の区分数を変化させることもできる。
【0092】さらに、領域判定部52からの領域判定信号SRもまた領域区分記憶部55に入力されている。そして、その時点での操作位置Pが属する領域(以下、「操作中領域R」)がいずれであるかに応じて閾値Fh1?Fh4の値を変更可能になっている。したがって、たとえば、操作領域R1?R6については閾値Fh1?Fh4の値を小さくし、操作領域R7については閾値Fh1?Fh4の値を大きくすることができる。これらの対応関係は図7の情報処理部60中にあらかじめテーブル形式で記憶しておくが、これらの閾値の具体的変更方法については後述する。
【0093】ただし、いずれの場合でも、閾値Fh1?Fh4のうちの最小閾値Fh1は、それより小さい操作力Fでの押圧はメニューの選択操作とはみなさないための閾値であり、なぞり操作を可能とするためのものである。すなわち、なぞり操作のばあいに単に指をそれぞれ操作面11上で移動させているときにはほとんど操作力は加わっていないため、最小閾値Fh1によって操作力を弁別することによりなぞり中の誤動作を防止可能である。最小閾値Fh1はこのような意味を有しているため、この最小閾値Fh1については操作領域や表示内容にかかわらずに一定値としておくことが好ましい。」

「【0105】このゲート回路56を通過した領域判定信号SRは、情報処理部60内の第1処理部61に入力される。この第1処理部61は、この領域判定信号SRによって操作者が選択操作したメニュー項目に応じた情報処理および装置各部への制御信号を発生するとともに、必要に応じて外部機器(たとえばホストコンピュータ)にその旨を伝える。たとえば、図3の領域R2に相当する「お引き出し」が選択されたときには、ディスプレイドライバ71を介して液晶表示パネル20を駆動することにより、引き出し金額の入力操作画面に切り換える。
【0106】一方、ゲート回路56を迂回して情報処理部60へ入力した領域判定信号SRは、情報処理部60内の第2処理部62に入力される。この第2処理部62では操作者による最小閾値Fh1以上の力での実質的な押圧操作がまだ行われなくても、操作面11のいずれかの領域に操作者の指がある程度の力で接触してときには所定の処理を行う。たとえば、その時点で指が触れている領域の表示色を変化させことにより、「その位置で押下すればどの領域での操作とみなされるか」を操作者に教えることができる。また、「そこは『お引き出し』です」というような音声案内を行わせてもよい。
【0107】<1-8. 駆動モード選択>一方、領域判定信号SRと操作力判定信号FBとを入力した図7の振動モード選択部72は、操作中領域および操作力Fの区分に応じた駆動モードを選択する。この駆動モードは、操作面11をどのような態様で振動させるかを規定するものである。
【0108】具体的には、図13に示すように、領域判定信号SRが領域R1?R0のいずれに属するかを第1の指標とし、操作力判定信号FBが表現している区分が操作力区分F1?F4のいずれに属するかを第2の指標として、それら第1と第2の指標の組合せに対してどの駆動モードを選択すべきかが、テーブル72aにあらかじめ格納されている。図13中の記号S11,S12、…は、たとえば図14のような各種の駆動モードのいずれかを選択して指定するためのコードである。
【0109】図14は駆動モード記憶部73に記憶されている種々の駆動モードを模式的に示したものである。たとえば、図14(a)は小振幅で継続的振動を行うモードを示し、図14(b)は大振幅の振動モードである。図14(c)は図14(a)、(b)とは周波数が異なる振動モードを示し、また、図14(d)、(e)はそれぞれ、単時間の振動を1回または2回行う例を示している。さらに図14(f)は1回の振動(ワンショットパルス)のみを与えるような振動モードである。なお、これ以外のモードの例は後に説明する。
【0110】これらの駆動モードは所定のパラメータコードで識別可能となっており、図14(d)の例では、振動周波数VF、振動振幅VDおよび振動持続時間VTなどがそれらのパラメータである。
【0111】図13に戻って、テーブル72aの記憶内容を変更することにより、操作面11の駆動にバリエーションを与えることができる。たとえば、操作領域R1?R6については弱い振動を与えたいときには図14(a)の振動モードを指定するようにS11?S64の範囲のコードを決めればよい。また、操作力Fが大きいほど振動の強さを大きくしたいときには、図13の操作力区分F1、F2では図14(a)の振動モードを、操作力区分F3,F4では図14(b)の振動モードをそれぞれ指定しておけばよい。非操作領域R0についてのコードS01?S04は、「駆動なし」を指定することが好ましいが、弱い振動を与えてもかまわない。
【0112】このようにして領域判定信号SRと操作力判定信号FBとによってひとつの駆動モードが選択されると、その駆動モードを規定するパラメータ値が図14の駆動モード記憶部73から読出され、図7の圧電素子駆動部75に与えられる。それに応じて圧電素子E1?E4に振動電圧が与えられて圧電素子E1?E4が振動または微少変形するとともに、その振動または微少変位が操作面11に伝播する。これは、操作者が操作領域R1?R7のいずれかを所定以上の力で押下したときに、操作面11を振動ないしは微少にスライドさせることにより、その操作が受け付けられたことを操作者に触覚的に知らせるという作用を生じさせる。」

「【0119】さらに、図13のテーブル72aは、液晶表示パネル20に表示する画面ごとに書き換える方が好ましい。すなわち、液晶表示パネル20に表示している内容が切り替わったときには、その新たな表示内容中の操作領域ごとに、また操作力Fが属する操作力区間ごとに、選択する駆動モードを変更することにより、操作面11の各種の駆動モードを多彩に利用することができる。たとえば、「お引き出し」のメニュー項目を選択して引き出し金額の入力画面に変更したときには、操作領域はテンキーを模した領域になるが、それらででは押下するごとに、たとえば、図14(f)のようなワンショット変位を与えるようにしてもよい。このようなワンショット変位の場合はいわゆるクリック感を操作者に与えることができる。
【0120】このように、画面が切り換わるごとテーブル72aの内容を書き換えるために、情報処理部60から駆動モード選択部72にテーブル書き換え情報が入力されるようになっている。すなわち、液晶表示パネル20に表示されている画面が変化することと同期して、図7の情報処理部60は、操作領域区分記憶部53へ新たな操作領域を規定する座標値を、操作力区分記憶部55へ新たな操作力区分を規定する閾値群を、そして、駆動モード選択部72へ駆動モード選択テーブル72bの新たな内容を、それぞれロードすることになる。」

「【0132】<2. 第2実施形態>図15はこの発明の第2実施形態である情報表示装置の表示操作部DPに相当する部分を示す一部省略断面図であり、図3の構造と置換して使用される。この第2実施形態の情報の利用態様例および外観は、図1および図2と同様である。
【0133】図15において、この第2実施形態の表示操作部DPは操作者による操作位置の特定をタッチパネル10Tによって行う。このタッチパネル10Tは、たとえば抵抗膜式のものであり、透明基板上にXY面内でM行N列の直行マトリクス状に配置された透明電極を有している。それらの各交点がスイッチ部となっており、マトリクスの各セルを単位としてXY方向の操作位置信号を出力する。
【0134】このタッチパネル10Tは、抵抗膜式のものに限らず、(1) 発光素子からデータ光が受光素子に入射するのを指などで遮断または減衰させてその操作位置を検出する光電式のタッチパネル、(2) 超音波発振素子から出た超音波が受振素子に入るのを指などで遮断または減衰させてその操作位置を検出する超音波式のタッチパネル、(3) 静電容量の変化によって指などが触れた位置を検出する静電容量式のタッチパネル、などであってもよい。
【0135】タッチパネル支持板42はタッチパネル10Tの補強のためのものであり、図示例のようにタッチパネル10Tに対応する部分をくり抜いて枠体形状にする場合には不透明部材であってもよい。枠体形状にせずに平板状にする場合には透明または半透明部材で形成することが好ましい。また、タッチパネル10T自身が押し込み操作によっても変形しない程度の強度を有している場合には、このタッチパネル支持板42を設けなくてもよい。
【0136】図15の表示操作部DPの残余の構成は図3のものと同様であるが、この図15の表示操作部DPでは操作位置の検出はタッチパネル10Tが行い、圧電素子E1?E4は操作面11への操作力の検出と、操作面11への力学的駆動との目的で使用される。
【0137】図16は、図15の表示操作部DPを利用する場合の制御回路部CTの構成図であり、図7と同様にハード回路として記載されているが、それらの機能はソフト的に実現することもできる。この図16の制御回路部CTの多くの要素は図7の場合と同じ構成と機能を有しており、以下では図16と図7とを比較しつつ図7と異なる部分について説明する。
【0138】図16において、タッチパネル10Tの操作位置が操作位置特定部51Tで特定される。ただし、タッチパネル10TがM行N列のマトリクス配列であることから、この操作位置を示す操作位置信号SPはタッチパネル10Tの各セルのサイズを単位とした値となる。
【0139】この操作位置信号SPが操作領域R1?R7のいずれに相当するかは領域判定部52によって判定されるが、この領域判定部52の構成と動作は図7のものと基本的に同一である。
【0140】一方、圧電素子E1?E4のそれぞれの端子電圧ek(k=1?4)は演算部51Fに並列的に与えられるが、この演算部51Fは図8の構成から位置演算部51bを省略したものに相当する。すなわち、この第2実施形態における操作位置の特定はタッチパネル10Tを使用して行うため、圧電素子E1?E4の出力電圧からはトータルな操作力Fだけを演算すればよい。
【0141】演算部51Fの出力である操作力信号SFは操作力判定部54に出力されて、その操作力Fがいずれの操作力区分F0?F4(図11)のうちのいずれに属するかが判定される。
【0142】以後の構成および動作は第1実施形態と同様である。この第2実施形態では第1実施形態の装置における利点のほか、操作位置の検出における誤差が特に少ないという利点がある。すなわち、圧電素子E1?E4の端子電圧ek(k=1?4)によって操作位置を特定する場合は、既述したように操作パネル10の自重などの影響がある。操作領域R1?R7のそれぞれを比較的大きくとっている場合には、この誤差はほとんど問題にならないが、操作領域のそれぞれの面積を特に小さくしたい場合にはより正確な操作位置検出が求められる。このような場合は第2実施形態のようにタッチパネル10Tを使用することが好ましい。
【0143】また、タッチパネル10Tを利用すると、端子電圧ek(k=1?4)からの位置演算が不要になるため、操作領域の特定を高速で行うことができるという利点もある。」


b.引用例1の上記記載事項を、関連図面と技術常識に照らし、その第2実施形態についての記載に着目すれば、以下のことがいえる。

(a)上記の段落【0133】の記載及び図15から引用例1の装置100は、タッチパネル10Tを有している。

(b)上記の段落【0136】の記載及び図15から、圧電素子E1?E4はタッチパネル10Tの操作面11を振動させる触覚呈示手段である。よって、引用例1の装置100は、タッチパネル10Tの操作面11を振動させる触覚呈示手段である圧電素子E1?E4を有しているといえる。

(c)上記の段落【0140】及び図16には、タッチパネル10Tの押圧力を圧電素子E1?E4で検知して端子電圧e_(k)を出力し、当該端子電圧e_(k)に基づいて演算部51Fが操作力Fを求めることが記載されている。よって、引用例1の装置100は、圧電素子E1?E4及び操作力演算部51Fによって操作力Fを検知するものであるといえる。

(d)上記の段落【0119】-【0120】及び図13-14には、情報処理部60からクリック感を含む駆動モードの書き換え情報が入力され、メニュー操作領域R1?R7に対する駆動モードを設定することが記載されている。また、この設定は制御回路部CT内で行われている処理といえる。

(e)上記の段落【0107】-【0109】、【0112】及び図7、13-14には、メニュー操作領域R1?R7に対する操作を検知するとともに、閾値F_(h1)以上(つまり閾値F_(h1)を満たす)の操作力Fを検出したときに、メニュー操作領域R1?R7に対して設定した駆動モードにより触覚を呈示することが記載されている。
加えて、上記の段落【0046】、【0105】には、操作者は指で操作面11を操作することが記載されている。
よって、触覚の呈示は、操作面11を押下している指に対してなされるものであるといえる。

(f)上記(e)の触覚の呈示の処理は、全て図7の制御回路部CTで行われており、情報処理部60からの触覚の呈示の指示を受けずに行われている処理といえる。


c.以上を踏まえると、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。
「タッチパネル10Tと、
前記タッチパネル10Tの操作面11を振動させる触覚呈示手段である圧電素子E1?E4と、
液晶表示パネル20と、
前記タッチパネル10Tの操作面11に対する操作力Fを検知する『圧電素子E1?E4及び操作力演算部51F』と、
情報処理部60から供給された駆動モードを示す情報に基づいて、前記液晶表示パネルに表示するメニュー操作領域R1?R7に対して前記触覚呈示手段が呈示する駆動モードを設定するとともに、前記メニュー操作領域R1?R7に対する操作を検知している状態で、前記『圧電素子E1?E4及び操作力演算部51F』が駆動モードを呈示する閾値F_(h1)を満たす操作力Fを検出すると、情報処理部60からの触覚呈示の指示を受けずに、前記操作面11を押下している指に対して、当該メニュー操作領域R1?R7に対して設定した駆動モードを呈示するように前記触覚呈示手段を制御する制御回路部CTと、
を備える装置100」


(イ)引用例2

a.本願の優先日前に頒布された刊行物である、特開2008-123453号公報(以下、「引用例2」という。)には、次の記載がある。

「【0138】
CPU32は、例えば、入力検出手段45が押下判定閾値Fthを越える入力検出情報D2を検出したとき、触覚”A”を起動し、その後、押下判定閾値Fthを下回る入力検出情報D2を検出したとき、触覚”B”を起動するようにアクチュエータ駆動回路37を制御する。このようにすると、操作者の指30a等の”加圧力”に合わせた異なる振動パターンを発生させることができる。」

「【0149】
図14A及びBは、触覚”A”及びBに係る振動パターン例を示す波形図である。図14A及びBにおいて、いずれも横軸は、時間tである。縦軸は振動制御信号Sa,Sb等の電圧(振幅Ax)[V]である。この例では、ボタンアイコン29a等において、それを押し込む時は触覚”A”を与え、それを離す時は触覚”B”を与える場合を前提とする。」

「【0151】
図14Bに示す第2の振動パターンPbは触覚”B”を与える波形である。その触覚”B”の駆動条件bは、ボタンアイコン29a等が押し込まれた後に、そのボタンアイコン29aが放されたとき、押下判定閾値Fthと加圧力Fとの関係がFth>Fとなる場合であって、第1段階iで約0.1秒間、[fx Ax Nx]=[80 8 2]で振動し、同様にして、第2段階iiでは、約0.1秒間、[fx Ax Nx]=[40 8 2]の振動パターンで振動する。このような振動パターンに基づいて入力検出面を振動すると、サイバースイッチ等の触覚を得ることができる。」


b.上記記載から、引用例2には、次の技術が記載されている。
「押下の加圧力が基準閾値を満たさなくなると、離す時のために設定された触覚を呈示する制御を行う技術。」


ウ.引用発明との対比
(ア)本件補正発明と引用発明とを対比する。

a.引用発明の「タッチパネル10T」は、本件補正発明の「タッチセンサ」に相当する。

b.引用発明の「前記タッチパネル10Tの操作面11を振動させる触覚呈示手段である圧電素子E1?E4」は、本件補正発明の「前記タッチセンサのタッチ面を振動させる触感呈示部」に相当する。

c.引用発明の「液晶表示パネル20」は、本件補正発明の「表示部」に相当する。

d.引用発明の「操作力F」、「圧電素子E1?E4及び操作力演算部51F」は、それぞれ本件補正発明の「押圧荷重」、「荷重検出部」に相当する。

e.引用発明の「駆動モード」、「メニュー操作領域R1?R7」は、
それぞれ本件補正発明の「触感」、「オブジェクト」に相当し、
そのため、引用発明の制御回路部CTが「供給された駆動モードを示す情報に基づいて、前記液晶表示パネルに表示するメニュー操作領域R1?R7に対して前記触覚呈示手段が呈示する駆動モードを設定する」構成は、
本件補正発明の制御部が「供給された触感を示す情報に基づいて、前記表示部に表示するオブジェクトに対して前記触感呈示部が呈示する触感を設定する」構成に相当する。

f.引用発明の「メニュー操作領域R1?R7」、「駆動モード」、「閾値F_(h1)」、「操作力F」、「指」は、
それぞれ本件補正発明の「オブジェクト」、「触感」、「荷重基準」、「押圧荷重」、「押圧対象」に相当し、
そのため、引用発明の制御回路部CTが「前記メニュー操作領域R1?R7に対する操作を検知している状態で、前記『圧電素子E1?E4及び操作力演算部51F』が駆動モードを呈示する閾値F_(h1)を満たす操作力Fを検出すると、触覚呈示の指示を受けずに、前記操作面11を押下している指に対して、当該メニュー操作領域R1?R7に対して設定した駆動モードを呈示するように前記触覚呈示手段を制御する」構成は、
本件補正発明の制御部が「前記オブジェクトに対する入力を検知している状態で、前記荷重検出部が触感を呈示する荷重基準を満たす押圧荷重を検出すると、触感呈示の指示を受けずに、前記タッチ面を押圧している押圧対象に対して、当該オブジェクトに対して設定した触感を呈示するように前記触感呈示部を制御する」構成に相当する。

(イ)以上のことから、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。

(一致点)
「タッチセンサと、
前記タッチセンサのタッチ面を振動させる触感呈示部と、
表示部と、
前記タッチセンサのタッチ面に対する押圧荷重を検出する荷重検出部と、
供給された触感を示す情報に基づいて、前記表示部に表示するオブジェクトに対して前記触感呈示部が呈示する触感を設定するとともに、前記オブジェクトに対する入力を検知している状態で、前記荷重検出部が触感を呈示する荷重基準を満たす押圧荷重を検出すると、触感呈示の指示を受けずに、前記タッチ面を押圧している押圧対象に対して、当該オブジェクトに対して設定した触感を呈示するように前記触感呈示部を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする触感呈示装置。」である点。

(相違点1)
本件補正発明は、設定する触感を示す情報が「アプリケーションソフトウェアから」供給されるものであり、「当該アプリケーションソフトウェアからの」触感呈示の指示を受けずに触感を呈示するのに対し、
引用発明は、設定する駆動モードを示す情報が「情報処理部60から」供給されるものであり、「当該情報処理部60からの」触覚呈示の指示を受けずに駆動モードを呈示する点。

(相違点2)
本件補正発明は、制御部が「前記荷重基準を満たさなくなると、リリースのために設定された触感を呈示するように前記触感提示部を制御する」構成を有しているのに対し、引用発明は、制御回路部CTがそれに相当する構成を有していない点。


エ.判断
以下、相違点について検討する。

(ア)(相違点1)について
以下の事情を総合すると、引用発明において、相違点1に係る本件補正発明の構成を採用することは、当業者が容易に想到し得たことというべきである。

a.引用例1の上記の段落【0105】には、情報処理部60内において操作者が選択操作したメニュー項目に応じた情報処理などの処理を行うことが記載されている。技術常識を考慮すると、この情報処理などの処理は何らかのプログラムによって行われていることは明らかである。

b.また一般的に、情報処理装置においてプログラムの一種であるアプリケーションソフトウェアを実行することは、通常の構成である。よって、引用発明の情報処理部60においてアプリケーションソフトウェアを実行する構成とし、設定する駆動モードを示す情報が当該アプリケーションソフトウェアから供給され、また駆動モードによる振動の呈示時に、当該アプリケーションソフトウェアの触覚呈示の指示を受けない構成とすることは、当業者が容易に想到し得る。

c.以上のことは、引用発明において、相違点1に係る本件補正発明の構成を採用することが、当業者にとって容易であったことを意味する。

(イ)(相違点2)について
以下の事情を総合すると、引用発明において、相違点2に係る本件補正発明の構成を採用することは、当業者が容易に想到し得たことというべきである。

a.引用例2には、上記イ.(イ)のとおり、スイッチの触覚を与えられるようにするために、押下の加圧力が基準閾値を満たさなくなると離す時のため(リリースのため)に設定された触覚を呈示する制御を行う技術が記載されている。

b.引用発明の技術分野と引用例2の技術分野はともにタッチパネルの振動制御という分野であり、引用発明における制御回路部CTの制御として、引用例2に記載された技術を採用し、加圧力が基準閾値を満たさなくなるとリリースのための触覚を呈示するという制御も行うようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

(ウ)そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本件補正発明の奏する効果は、引用発明及び引用例2に記載された発明の奏する効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

(エ)したがって、本件補正発明は、引用例1ないし2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。


(4)本件補正の適否についてのむすび
以上のとおり、本件発明は、特許法第17条の2第5項に規定する要件に違反するものであり、
そうでないとしても、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。


第3 本願発明について
1.本願発明
平成26年5月22日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成25年8月13日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1ないし2に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、明細書及び図面の記載からみて、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1.(2)に記載のとおりのものである。再掲すれば、次のとおり。
「タッチセンサと、
前記タッチセンサのタッチ面を振動させる触感呈示部と、
表示部と、
前記タッチセンサのタッチ面に対する押圧荷重を検出する荷重検出部と、
アプリケーションソフトウェアから供給された触感を示す情報に基づいて、前記表示部に表示するオブジェクトに対して前記触感呈示部が呈示する触感を設定するとともに、前記オブジェクトに対する入力を検知している状態で、前記荷重検出部が触感を呈示する荷重基準を満たす押圧荷重を検出すると、当該アプリケーションソフトウェアからの触感呈示の指示を受けずに、前記タッチ面を押圧している押圧対象に対して、当該オブジェクトに対して設定した触感を呈示するように前記触感呈示部を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする触感呈示装置。」

2.引用例の記載事項
原査定の拒絶の理由で引用された引用例1の記載事項は、前記第2[理由]2.(3)イ.(ア)に記載したとおりである。

3.対比・判断
本願発明は、前記第2[理由]2.(3)で検討した本件補正発明から、「前記荷重基準を満たさなくなると、リリースのために設定された触感を呈示するように前記触感呈示部を制御する」制御部という限定事項(引用例2に記載された技術に係る事項)を削除したものである。
したがって、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は、前記第2[理由]2.(3)ウ.(イ)に記載した(一致点)と(相違点1)と同一であり、その(相違点1)についての判断は、前記第2[理由]2.(3)エ.(ア)に記載したとおりである。また、本願発明の奏する効果も、特別顕著なものということはできない。

4.むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。したがって、本願は、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-05-19 
結審通知日 2015-05-26 
審決日 2015-06-08 
出願番号 特願2011-547289(P2011-547289)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G06F)
P 1 8・ 572- Z (G06F)
P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 緑川 隆  
特許庁審判長 小曳 満昭
特許庁審判官 山澤 宏
桜井 茂行
発明の名称 触感呈示装置および触感呈示装置の制御方法  
代理人 大倉 昭人  
代理人 杉村 憲司  
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