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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1303515
審判番号 不服2014-9852  
総通号数 189 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-09-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-05-27 
確定日 2015-07-23 
事件の表示 特願2013-150814「情報処理装置及び情報処理プログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 2月 2日出願公開、特開2015- 22567〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯

本願は、平成25年7月19日の出願であって、平成26年3月26日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年26年5月27日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに同日付けで手続補正がなされたものである。

第2.補正却下の決定
[結論]
平成26年5月27日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.本願発明と補正後の発明
平成26年5月27日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲についてする補正であって、補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載された

「【請求項1】
順位づけされた位置に配置される複数の画像を表示する画像表示部と、
前記複数の画像から選択された画像を前記複数の画像から該選択された画像を除いた画像のいずれかに再配置する際に、前記選択された画像の位置より前記再配置する位置が下位の場合には、再配置の位置の画像と該画像より下位に配置された画像との間に標識画像を表示する標識表示部と、を備える情報処理装置。」

という発明(以下、「本願発明」という。)を

「【請求項1】
順位づけされた位置に配置される複数の画像を接触せずに表示する画像表示部と、
前記接触せずに表示された複数の画像から選択された画像を前記複数の画像から該選択された画像を除いた画像のいずれかに再配置する際に、前記選択された画像の位置より前記再配置する位置が下位の場合には、再配置の位置の画像の配置の位置と該画像より下位に配置された画像の配置の位置との間に標識画像を表示する標識表示部と、を備える情報処理装置。」

という発明(以下、「補正後の発明」という。)に補正する補正事項を含むものである(下線は補正箇所を示している。)。

2.補正の適否
(1)補正の目的要件
上記補正事項のうちの「再配置の位置の画像と該画像より下位に配置された画像との間」を、「再配置の位置の画像の配置の位置と該画像より下位に配置された画像の配置の位置との間」と補正する補正事項については、特許法第17条の2第5項第2号でいう「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものとは認められない。なぜならば、「『再配置の位置の画像の配置の位置』と『該画像より下位に配置された画像の配置の位置』との間」は2つの「位置」の間を指すのに対して、「『再配置の位置の画像』と『該画像より下位に配置された画像』との間」は、2つの「位置」の間ではなく2つの「画像」の間を指すことが、その文言上明らかであるから、前者は後者の下位概念とはいえず、当該補正事項は特許請求の範囲を変更するものであって、特許請求の範囲を限定的に減縮するものとはいえないからである。また、当該補正事項が、請求項の削除、誤記の訂正及び明りょうでない記載の釈明のいずれの事項をも目的としていないことは明らかである。
したがって、特許請求の範囲についてする本件補正の目的は、特許法第17条の2第5項(補正の目的)の各号のいずれにも該当しない。

(2)独立特許要件について
上記(1)に記載したとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項(補正の目的)の各号のいずれにも該当しない事項を目的とする補正事項を含むものであって、それだけで却下すべきものであるが、上記補正が、仮に、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるとして、上記補正後の発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるのか否かについても、念のため以下検討する。

(2-1)補正後の発明
上記「1.本願発明と補正後の発明」の項で「補正後の発明」として認定したとおりである。

(2-2)引用発明1
2009年10月22日に一般発売を開始され、遅くとも本願の出願の日の前日である平成25年7月18日までには世界中で広く利用されていたことが明らかなWindows(登録商標)7を搭載したパソコンのデスクトップ画面で、アイコンの再配置を行うと以下のように再配置がされる。

「アイコンの自動整列」が設定されている状態で、アイコンを選択しマウスでドラッグしアイコンを選択した位置より、下位の位置に移動を行うと、アイコンとアイコンの間に線が表示され、線が表示されている状態でアイコンをドロップすると、該線の上側のアイコンの位置に選択したアイコンが移動し、選択したアイコンがあった位置を埋めるように、選択したアイコンの一つ下位のアイコンから前記線の上側のアイコンまでが一づつ上位の位置へと移動する。

Windows(登録商標)7を搭載したパソコンは情報処理装置といえ、また、「「アイコンの自動整列」が設定されている状態」では、複数の順序づけされた位置にアイコンが配置され表示されるものであり、そして、Windows(登録商標)7を搭載したパソコンが該表示を行う手段を有しているといえる。
さらに、「線が表示されている状態でアイコンをドロップすると、該線の上側のアイコンの位置に選択したアイコンが移動」するのであるから、「該線の上側のアイコンの位置」が再配置の位置であり、線は再配置の位置のアイコンの配置の位置と該アイコンより下位に配置されたアイコンの配置の位置との間に表示されているといえ、そして、Windows(登録商標)7を搭載したパソコンが該表示を行う手段を有しているといえる。

したがって、本願出願の日前である平成25年7月18日には、以下の発明(以下、「引用発明1」という。)が公然知られたものであると認められる。

「順序づけされた位置に配置された複数のアイコンを接触せずに表示する手段と、
前記接触せずに表示された複数のアイコンから選択されたアイコンを前記複数のアイコンから該選択されたアイコンを除いたアイコンのいずれかに再配置する際に、前記選択されたアイコンの位置より前記再配置する位置が下位の場合には、再配置の位置のアイコンの配置の位置と該アイコンより下位に配置されたアイコンの配置の位置との間に線を表示する手段と、を備える情報処理装置。」

(2-3)対比

補正後の発明と引用発明1とを対比すると、引用発明1の「アイコン」、「線」は、それぞれ、補正後の発明の「画像」、「標識画像」に相当するものといえるから、両者は、全ての発明特定事項において一致し、両者の間に相違点はない。


(2-4)まとめ

以上によれば、補正後の発明は、本願の出願前に公然知られた発明であり、特許法第29条第1項第1号の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3.結語
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第5項の各号に掲げるいずれの事項を目的とするものにも該当せず、特許法第17条の2第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
仮にそうでない(特許法第17条の2第5項第2号に掲げる事項を目的とするものである)としても、補正後の発明は、特許法第29条第1項第1号の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3.本願発明について
1.本願発明
平成26年5月27日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願発明は、上記「第2.1.本願発明と補正後の発明」の項で、「本願発明」として認定したとおりである。

2.引用発明2
原査定の拒絶の理由において引用された、特開2011-186742号公報(以下、「引用例」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

(ア)「【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のように枠の色を変更しても、複数の枠が近接して配置されている場合や、枠が配置されている背景の絵柄や色、ドラッグされるオブジェクトの形状や色などの要因によって、ユーザは直感的にオブジェクトの移動先が分かりにくいことがあった。」(3頁3?8行)

(イ)「【0011】
図2は、本実施例のレイアウト編集装置100が電子アルバムに含まれる複数のページの整列順序を変更する動作のフローを示す。以下に説明する動作は、レイアウト編集装置100のCPU108がHDD111からOSやアルバム編集プログラムを読み出して起動し、これらにしたがって上述の各種モジュールを制御することによって実現される。
【0012】
まず、CPU108は電子アルバムに含まれるページに関するページデータをHDD111から読み込む(S201)。ページデータは、各ページの順序や各ページに配置される画像データやテキストデータのファイルパス、画像データやテキストデータの配置場所等の属性情報を含む。なお、CPU108はネットワーク115上のサーバ装置からページのデータをダウンロードしてHDD111に格納してから読み込んでもよい。
【0013】
CPU108はステップS201で読み込んだ各ページのページ順序を比較し、比較結果に応じて順番に整列して複数のページをページ一覧領域に表示する(S202)。」(4頁41行?5頁4行)

(ウ)「【0014】
図3は、CPU108がアルバム編集プログラムのウィンドウ300のページ一覧領域302に電子アルバムの複数のページを順に整列して表示する様子を示す。ページ一覧領域302では、見開き2ページを一組として、ページの縮小画像301が隣接して表示される。なお、縮小画像の代わりに各ページと対応するアイコンを表示してもよい。先頭ページの縮小画像301から順に、ページ一覧領域302の左上から右下方向へ並べて表示される。なお、表示順の方向についてはこれに限定されるものではない。また、ページ一覧領域302には、電子アルバムに現在、含まれているページだけでなく、新規ページと対応するアイコン305も表示される。ユーザがポインティングデバイス106を操作することに応じて、マウスカーソル303を移動させることによって、縮小画像301または新規ページ挿入アイコン305によって表されるページのいずれかを選択する。
【0015】
CPU108はページが選択されたか否かを判定する(S203)。CPU108はページ一覧領域302に表示された縮小画像301または新規ページ挿入アイコン305がドラッグされると、ページが選択されたと判定する。ステップS203でページが選択されたと判定されれば、CPU108は新規ページの挿入を指示されたか否かを判定し(S204)、新規ページの挿入の指示と判定されれば、新規ページの挿入処理を実行する(S205)。ステップS204で、CPU108は新規ページ挿入アイコン305がドラッグされれば、新規ページ挿入の指示を受けたと判定し、縮小画像301がドラッグされればページの移動または入れ替えの指示を受けたと判定する。
【0016】
一方、ステップS204で新規ページの挿入の指示でないと判定されれば、ページの移動を指示されたか否かを判定する(S206)。ステップS206でCPU108はドラッグされているページの縮小画像と、他のページの縮小画像との重なりの面積を算出し、所定値より小さければページの移動を指示されたと判定し、所定値より大きければページの入れ替えを指示されたと判定する。なお、ステップS206の判定では、重なりの面積の大きさではなく、キーボード104を用いたショートカット操作や、メニューからの選択操作やポインティングデバイス106の所定のボタンのクリック操作の有無によって判定してもよい。ステップS206でページの移動の指示と判定されれば、ページの移動処理を実行し(S207)、そうでなければ、ページの入れ替えの指示と判定して、ページの入れ替え処理を実行する(S208)。そして、変更後の順序にしたがって電子アルバムの複数のページを並べ替えてページ一覧領域302に表示し(S209)、本動作を終了する。」(5頁5?37行)

(エ)「【0017】
図4は、CPU108がステップS207で移動処理を実行する動作のフローを示す。まず、CPU108は移動対象ページAの順序を示す順序属性値“x”と、移動先ページEの順序属性値“y”とを比較する(S401)。ステップS402の比較の結果、xがyより小さい場合、前方から後方へのページ移動と判断し、CPU108は移動先ページEを整列位置から整列方向と水平に前方にずらして表示する(S402)。
【0018】
図5(a)は、図3に示す状態から移動対象ページAの縮小画像500が移動先ページEの整列位置502にドラッグされ、移動先ページEの縮小画像501が整列位置502から前方にずれて表示されている状態を示す。このとき、移動対象ページAの整列位置503は空欄となり、グレイアウトして表示される。これにより、ユーザは移動対象ページの移動先とともに、この移動によって移動先のページが前方にずれることも容易に視認することができる。
【0019】
CPU108が、移動対象ページAの移動先が移動先ページEの整列位置に決定したことを検出すると(S403でYes)、各ページの順序属性値を更新する(S404)。ステップS404でCPU108は移動対象ページAの順序属性値を移動先ページEの順序属性値の値“y”で更新し、移動先ページEおよび、順序属性値が“y”よりも小さく、“x”よりも大きなページB?Dの順序属性値から“1”を減算する。
【0020】
このようにして各ページの順序属性値が変更される。よって、ステップS209にてCPU108は変更後の順序属性値にしたがって、ページの縮小画像を並べ替えてページ一覧領域302に表示する。
【0021】
図5(b)はステップS209でCPU108がページ一覧領域302に表示する内容を示す。移動対象ページAの縮小画像が移動先ページEの元の整列位置に表示され、移動先ページEおよび、移動対象ページAと移動先ページEの間に存在していたページB?Dの縮小画像が1ページ分ずつ繰り上がった整列位置に表示される。」(5頁38行?6頁15行)


上記引用例の記載及び関連する図面ならびにこの分野の技術常識を考慮すると、

a.上記(イ)の段落【0011】の記載によれば、レイアウト編集装置100のCPU108がHDD111からOSやアルバム編集プログラムを読み出して起動している。

b.上記(イ)の段落【0012】の記載によれば、CPU108は電子アルバムに含まれるページに関する、各ページの順序や各ページに配置される画像データやテキストデータのファイルパス、画像データやテキストデータの配置場所等の属性情報を含むページデータをHDD111から読み込んでいる。
さらに、段落【0013】の記載によれば、CPU108は読み込んだ各ページのページ順序を比較し、比較結果に応じて順番に整列して複数のページをページ一覧領域に表示することが、さらに、上記(ウ)の段落【0014】の記載によれば、CPU108がアルバム編集プログラムのウィンドウ300のページ一覧領域302に電子アルバムの複数のページを順に整列して表示し、ページ一覧領域302では、見開き2ページを一組として、ページの縮小画像301が隣接して表示している。
したがって、引用例には、CPUは電子アルバムに含まれるページに関する、各ページの順序や各ページに配置される画像データやテキストデータのファイルパス、画像データやテキストデータの配置場所等の属性情報を含むページデータをHDDから読み込み、読み込んだ各ページのページ順序を比較し、比較結果に応じて順番に整列して、アルバム編集プログラムのウィンドウのページ一覧領域に電子アルバムの複数のページを順に整列して表示し、ページ一覧領域では、見開き2ページを一組として、ページの縮小画像が隣接して表示することが記載されているといえる。

c.上記(ウ)の段落【0015】の記載によれば、CPU108はページ一覧領域302に表示された縮小画像301がドラッグされると、ページが選択されたと判定し、さらに、CPU108は縮小画像301がドラッグされればページの移動または入れ替えの指示を受けたと判定し、また、段落【0016】の記載によれば、CPU108はドラッグされているページの縮小画像と、他のページの縮小画像との重なりの面積を算出し、所定値より小さければページの移動を指示されたと判定し、ページの移動処理を実行している。
したがって、引用例には、CPUはページ一覧領域に表示された縮小画像がドラッグされると、ページが選択されたと判定し、ドラッグされているページの縮小画像と、他のページの縮小画像との重なりの面積を算出し、所定値より小さければページの移動を指示されたと判定し、ページの移動処理を実行することが記載されているといえる。

d.上記(エ)の段落【0017】の記載によれば、CPU108は移動対象ページAの順序を示す順序属性値“x”と、移動先ページEの順序属性値“y”とを比較し、xがyより小さい場合、前方から後方へのページ移動と判断し、CPU108は移動先ページEを整列位置から整列方向と水平に前方にずらして表示している。
さらに、段落【0018】の記載、及び、図5を参照すると、移動先ページEが整列位置から整列方向と水平に前方にずれたことによって出現した整列位置502は、グレイアウト表示されている整列位置503と同様な表示がされていることから、該出現した整列位置502もグレイアウト表示されていると認められる。
したがって、引用例には、CPUは移動対象ページAの順序を示す順序属性値“x”と、移動先ページEの順序属性値“y”とを比較し、xがyより小さい場合、前方から後方へのページ移動と判断し、移動先ページEを整列位置から整列方向と水平に前方にずらして表示し、該移動先ページがずれたことによって出現した前記整列位置をグレイアウト表示することが記載されているといえる。

e.上記(エ)の段落【0019】の記載によれば、 CPU108が、移動対象ページAの移動先が移動先ページEの整列位置に決定したことを検出すると、各ページの順序属性値を更新し、移動対象ページAの順序属性値を移動先ページEの順序属性値の値“y”で更新し、移動先ページEおよび、順序属性値が“y”よりも小さく、“x”よりも大きなページB?Dの順序属性値から“1”を減算している、さらに、段落【0020】、及び段落【0021】の記載によれば、CPU108は変更後の順序属性値にしたがって、ページの縮小画像を並べ替えてページ一覧領域302で、移動対象ページAの縮小画像が移動先ページEの元の整列位置に、移動先ページEおよび、移動対象ページAと移動先ページEの間に存在していたページB?Dの縮小画像が1ページ分ずつ繰り上がった整列位置に表示している。
したがって、引用例には、CPUが、移動対象ページAの移動先が移動先ページEの整列位置に決定したことを検出すると、各ページの順序属性値を更新し、移動対象ページAの順序属性値を移動先ページEの順序属性値の値“y”で更新し、移動先ページEおよび、順序属性値が“y”よりも小さく、“x”よりも大きなページB?Dの順序属性値から“1”を減算し、変更後の順序属性値にしたがって、ページの縮小画像を並べ替えてページ一覧領域で、移動対象ページAの縮小画像が移動先ページEの元の整列位置に、移動先ページEおよび、移動対象ページAと移動先ページEの間に存在していたページB?Dの縮小画像が1ページ分ずつ繰り上がった整列位置に表示することが記載されているといえる。

したがって、引用例には、次の発明(以下、「引用発明2」という。)が開示されていると認められる。

「レイアウト編集装置のCPUがHDDからOSやアルバム編集プログラムを読み出して起動し、
CPUは、電子アルバムに含まれるページに関する、各ページの順序や各ページに配置される画像データやテキストデータのファイルパス、画像データやテキストデータの配置場所等の属性情報を含むページデータをHDDから読み込み、読み込んだ各ページのページ順序を比較し、比較結果に応じて順番に整列して、アルバム編集プログラムのウィンドウのページ一覧領域に電子アルバムの複数のページを順に整列して表示し、ページ一覧領域では、見開き2ページを一組として、ページの縮小画像が隣接して表示し、
CPUは、ページ一覧領域に表示された縮小画像がドラッグされると、ページが選択されたと判定し、ドラッグされているページの縮小画像と、他のページの縮小画像との重なりの面積を算出し、所定値より小さければページの移動を指示されたと判定し、ページの移動処理を実行し、
CPUは移動対象ページAの順序を示す順序属性値“x”と、移動先ページEの順序属性値“y”とを比較し、xがyより小さい場合、前方から後方へのページ移動と判断し、移動先ページEを整列位置から整列方向と水平に前方にずらして表示し、該移動先ページがずれたことによって出現した前記整列位置をグレイアウト表示し、
CPUが、移動対象ページAの移動先が移動先ページEの整列位置に決定したことを検出すると、各ページの順序属性値を更新し、移動対象ページAの順序属性値を移動先ページEの順序属性値の値“y”で更新し、移動先ページEおよび、順序属性値が“y”よりも小さく、“x”よりも大きなページB?Dの順序属性値から“1”を減算し、変更後の順序属性値にしたがって、ページの縮小画像を並べ替えてページ一覧領域で、移動対象ページAの縮小画像が移動先ページEの元の整列位置に、移動先ページEおよび、移動対象ページAと移動先ページEの間に存在していたページB?Dの縮小画像が1ページ分ずつ繰り上がった整列位置に表示する、レイアウト編集装置。」


3.対比・判断

a)引用発明2の「レイアウト編集装置」は、電子アルバムのページの移動を行うものであるから、情報を処理しているといえ、本願発明と同じく「情報処理装置」に含まれる。

b)引用発明2の「CPUは、電子アルバムに含まれるページに関する、各ページの順序や各ページに配置される画像データやテキストデータのファイルパス、画像データやテキストデータの配置場所等の属性情報を含むページデータをHDDから読み込み、読み込んだ各ページのページ順序を比較し、比較結果に応じて順番に整列して、アルバム編集プログラムのウィンドウのページ一覧領域に電子アルバムの複数のページを順に整列して表示し、ページ一覧領域では、見開き2ページを一組として、ページの縮小画像が隣接して表示し」は、一つの「ページ一覧領域」の画面に全ての「ページの縮小画像」をページ順に整列して表示するものであるから、「ページ一覧領域」画面の中での各ページの位置は順序づけされた位置となっており、引用発明2の「CPU」と、本願発明の「順位づけされた位置に配置される複数の画像を表示する画像表示部」は、「順位づけされた位置に配置される複数の画像を表示する手段」で共通する。

c)引用発明2の「CPUは、ページ一覧領域に表示された縮小画像がドラッグされると、ページが選択されたと判定し、ドラッグされているページの縮小画像と、他のページの縮小画像との重なりの面積を算出し、所定値より小さければページの移動を指示されたと判定し、ページの移動処理を実行し」において、「ページの縮小画像」の「移動」は再配置といえる。
そして、引用発明2の「CPUは移動対象ページAの順序を示す順序属性値“x”と、移動先ページEの順序属性値“y”とを比較し、xがyより小さい場合、前方から後方へのページ移動と判断し」において、「前方から後方へのページ移動」は、選択した「ページの縮小画像」の位置より移動先の位置が下位の場合である。
さらに、引用発明2の「CPUは移動先ページEを整列位置から整列方向と水平に前方にずらして表示し、該移動先ページEがずれたことによって出現した前記整列位置をグレイアウト表示し」において、「出現した前記整列位置」は「移動先ページE」と「移動先ページE」より下位に配置された「ページの縮小画像」の間の領域であり、引用発明2は、この領域をグレイアウト表示するものであり、また、グレイアウト表示はその位置が移動先であることを指し示しており標識画像といえる。
したがって、引用発明2の「CPU」と、本願発明の「標識画像を表示する標識表示部」は、「複数の画像から選択された画像を前記複数の画像から該選択された画像を除いた画像のいずれかに再配置する際に、前記選択された画像の位置より前記再配置する位置が下位の場合には、再配置の位置の画像と該画像より下位に配置された画像との間に標識画像を表示する手段」で共通する。

したがって、本願発明と引用発明2は、以下の点で一致ないし相違する。

(一致点)
「順位づけされた位置に配置される複数の画像を表示する手段と、
前記複数の画像から選択された画像を前記複数の画像から該選択された画像を除いた画像のいずれかに再配置する際に、前記選択された画像の位置より前記再配置する位置が下位の場合には、再配置の位置の画像と該画像より下位に配置された画像との間に標識画像を表示する手段と、を備える情報処理装置。」


(相違点)
上記画像を表示する手段、及び上記標識画像を表示する手段が、本願発明では、それぞれ画像表示部、及び、標識表示部であるのに対して、引用発明2では,一つのCPUであり、「画像表示部」、「標識表示部」といい得る部分に分化されているとは限らない点。


以下、上記相違点について検討する。
引用発明2のCPUが、プログラムに従って動作することで、各手段の機能を実現するものであることは明らかであるが、そのようなCPUとプログラムによって実現される各手段を、各手段の機能毎に分けて構成することは、プログラムのモジュール化として知られるように常套手段といい得ることであり、引用発明2においても、各手段として実現すべき機能毎にプログラムをモジュール化することは、当業者が容易に想到し得たことである。そして、そのようにすることは、引用発明2において、相違点に係る本願発明の構成を採用するこのとにほかならない。

本願発明の効果も、引用発明2から当業者が予測できる範囲のものである。

したがって、本願発明は、上記引用例に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものである。

4.むすび
以上のとおり、本願発明は、上記引用例に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められるから、本願は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-05-12 
結審通知日 2015-05-19 
審決日 2015-06-08 
出願番号 特願2013-150814(P2013-150814)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G06F)
P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小林 正和萩島 豪  
特許庁審判長 小曳 満昭
特許庁審判官 山田 正文
山澤 宏
発明の名称 情報処理装置及び情報処理プログラム  
代理人 特許業務法人はるか国際特許事務所  

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