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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G11B
管理番号 1303539
審判番号 不服2014-11613  
総通号数 189 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-09-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-06-18 
確定日 2015-07-22 
事件の表示 特願2012- 25604「情報記録媒体、情報記録媒体に記録されたデータを処理する方法及び装置」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 6月21日出願公開、特開2012-119057〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成15年10月27日(パリ条約に基づく優先権主張外国庁受理 2002年11月4日 韓国(KR))を国際出願日として出願した特願2004-549669の一部を平成24年2月8日に新たな特許出願としたものであって、平成25年4月12日付け拒絶理由通知に対する応答時、同年7月22日付けで手続補正がなされたが、平成26年2月7日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年6月18日付けで拒絶査定不服審判の請求及び手続補正がなされたものである。

2.補正の適否・本願発明
平成26年6月18日付け手続補正(以下、「本件補正」という。)により、特許請求の範囲の請求項1については、
本件補正前には、
「【請求項1】
複数の記録層を含む情報記録媒体において、
少なくとも一つの記録層は、
ストライプバーコードが形成されるバーストカッティングエリアと、
複数のトラックが形成されるリードイン領域と、
複数のトラックが形成されるデータ領域と、を含み、
前記ストライプバーコードは、前記リードイン領域及び前記データ領域に形成された前記トラックに対するトラッキング極性情報を含み、
前記トラッキング極性情報は、前記リードイン領域と前記データ領域に形成された前記トラックを追従する前に再生され、
前記トラッキング極性情報は、トラックの中心を基準にしてトラッキング信号の極性が(-)から(+)に変わるか、あるいは(+)から(-)に変わるかを示す情報を含み、前記トラッキング極性情報は複数反復して記録されていて、一つの情報に誤りが生じて読み取りが不可能であっても、他の情報を読み込むことができることを特徴とする情報記録媒体。」
とあったものが、
「【請求項1】
複数の記録層を含む情報記録媒体において、
少なくとも一つの記録層は、
ストライプバーコードが形成されるバーストカッティングエリアと、
複数のトラックが形成されるリードイン領域と、
複数のトラックが形成されるデータ領域と、を含み、
前記ストライプバーコードは、前記リードイン領域及び前記データ領域に形成された前記トラックに対するトラッキング極性情報を含み、
前記トラッキング極性情報が、前記リードイン領域と前記データ領域に形成された前記トラックを追従する前に再生され、
前記トラッキング極性情報は、トラックの中心を基準にしてトラッキング信号の極性が(-)から(+)に変わるか、あるいは(+)から(-)に変わるかを示す情報を含み、前記トラッキング極性情報は複数反復して記録されていて、一つの情報に誤りが生じて読み取りが不可能であっても、他の情報を読み込むことができることを特徴とする情報記録媒体。」
と補正された。

上記補正は、「前記トラッキング極性情報は、前記リードイン領域と前記データ領域に形成された前記トラックを追従する前に再生され」なる記載を、単に「前記トラッキング極性情報が、前記リードイン領域と前記データ領域に形成された前記トラックを追従する前に再生され」と補正するものであるが、
かかる補正は、「請求項の削除」、「特許請求の範囲の減縮」、拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてする「明りょうでない記載の釈明」のいずれを目的とするものにも該当しないことは明らかである。
また、請求項1の記載全体、及び明細書の発明の詳細な説明に照らしても、補正前の「前記トラッキング極性情報は、・・」を、「前記トラッキング極性情報が、・・」の誤記であったと解すべき理由は認められず、「誤記の訂正」を目的とするものでもない。
したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の各号に掲げられるいずれの事項を目的とするものにも該当しない。

以上のとおりであるから、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものであるが、本件補正の前後で請求項1に係る発明の実質的な内容の変更はないといえるから、上記特許法第17条の2第4項の規定違反は問わないこととする。

よって、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成26年6月18日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の上記請求項1に記載されたとおりのものである。

3.引用例
3-1.引用例1
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された国際公開第02/086873号(国際公開日:2002年10月31日、以下、「引用例1」という。)には、「光ディスクおよびそれを用いた情報記録/再生方法および情報記録/再生装置」について、図面とともに以下の各記載がある(なお、下線は当審で付与した)。
(1)「(実施の形態1)
図2(a)は、実施の形態1による2層構造を有する光ディスクの模式断面図である。また、図2(b)は、当該光ディスクに情報を記録/再生する方法(方向、順番)を示した模式断面図である。さらに、本発明の光ディスクに情報を記録/再生するための装置の構成を示すブロック図を図3に示す。以下図2(a)、図2(b)、および図3を用いて実施の形態1について説明する。
図2(a)に示すように本実施の形態の光ディスクは、樹脂やガラスの基板4に2つの記録可能な記録層(L1層5、L0層6)を接着層7によって積層している。L0層6およびL1層5はともに、基板からみて遠い側に情報面がある。L0層6は約70μm?約85μm、接着層は約30μmに設定されているので、ディスク表面からL1層の情報面までの距離は約100μm?約115μmである。本実施の形態の光ディスクでは、最内周のクランプエリア3から、それぞれL0、L1層ともバーコードエリア(システムエリア)11、12、リードインエリア21、22、ギャップエリア31、32、テストエリア41、42、交替情報エリア51、52、交替エリア61、62が内周のシステムエリア120,121として配置されており、データエリア122,123を挟んで、交替エリア71、72、交替情報エリア81、82、リードアウトエリア91、92が外周のシステムエリア124、125として配置されている。」(13頁19行?20頁10行)

(2)「それぞれのエリアの目的、役割について説明する。バーコードエリア11、12では、ディスク成形後に記録面の反射膜をレーザカッティング等の手法を用いて部分的に除去したり、印刷またはインクの塗布などを行うことにより、その表面にバーコードが生成される。バーコードの情報としては、著作権保護のための鍵情報、サポート管理のためのシリアルNo.など、またはそのディスクの種類、層数、タイプ(記録型、追記型、再生専用)などがある。このようにして、バーコードエリア11、21には、基本特性が付加された情報が予め記録されている。」(14頁17?23行)

(3)「(実施形態5)
次に、記録層がさらに増加した場合について、図10に示すような4層ディスクの場合について説明する。
図10は、記録層を4層に積層した4層ディスクの一実施形態である。・・」(31頁23?26行)

(4)「(実施の形態8)
図17は、本発明の実施の形態5の光ディスクの概念を示す平面図である。実施の形態8は、多層構造を有する光ディスクの各層における最適なディスクレイアウトの一例を示す。図17に示すように、ディスク個体情報(層数、容量、トラックピッチ、ROM/RAMの種別などの書き換えおよび追記の必要のないコントロール情報)は、1層目のリードインエリア、ディスク表面の黒色のバーコード(以下BBCと称す)に記録されてもよいし、特定の一部の領域の記録膜を意図的に透明にし、その記録膜の下のアルミ膜をバースト的レーザではがすこと(以下BCAと称す)によって記録されてもよい。初期起動の際に、ディスク表面または最下層のL0層(光源からみて最も近い層)にフォーカスをかけ、ディスク個体情報を読み込み、記録/再生条件およびサーボ条件を確定する。その後、所定の起動処理を進めて記録/再生可能な状態に立ち上げる。・・」(42頁4?15行)

・上記引用例1に記載の「光ディスクおよびそれを用いた情報記録/再生方法および情報記録/再生装置」のうちの「光ディスク」は、上記(1)、(3)の記載事項、及び図2(a)、図10によれば、2層や4層といった複数の記録層を積層した多層構造を有する光ディスクであり、
各記録層は、最内周のクランプエリアから、それぞれ順にバーコードエリア(システムエリア)、リードインエリア、データエリア、リートアウトエリアが配置されてなるものである。
・上記(2)、(4)の記載事項によれば、バーコードエリアでは、例えば記録膜の下のアルミ膜(反射膜)をバースト的レーザではがすことによってバーコードが生成され、ディスク表面または最下層の層(光源からみて最も近い層)ではバーコードの情報として例えばディスク個別情報が予め記録され、初期起動の際にディスク個別情報を読み込み、記録/再生条件およびサーボ条件を確立し、その後、所定の起動処理を進めて記録/再生可能な状態に立ち上げられるものである。

したがって、特に、(実施の形態8)に着目して上記記載事項及び図面を総合勘案すると、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「複数の記録層を積層した多層構造を有する光ディスクであって、
各記録層は、最内周のクランプエリアから、それぞれ順にバーコードエリア、リードインエリア、データエリア、リートアウトエリアが配置されてなり、
前記バーコードエリアでは、記録膜の下のアルミ膜(反射膜)をバースト的レーザではがすことによってバーコードが生成され、
ディスク表面または最下層の層(光源からみて最も近い層)では前記バーコードの情報として例えばディスク個別情報が予め記録され、初期起動の際に前記ディスク個別情報を読み込み、記録/再生条件およびサーボ条件を確立し、その後、所定の起動処理を進めて記録/再生可能な状態に立ち上げるようにした光ディスク。」

3-2.引用例2
同じく原査定の拒絶の理由に引用された特開平11-167733号公報(以下、「引用例2」という。)には、「光ディスク装置及び光ディスク」について、図面とともに以下の各記載がある(なお、下線は当審で付与した)。
(1)「【請求項9】 凹凸状のガイド溝が形成された基板を有する光ディスクであって、前記光ディスク上に設けられた識別信号領域に、前記ガイド溝の深さに関する情報及び/又は再生光学系のトラッキング極性に関する情報が記録されていることを特徴とする光ディスク。
【請求項10】 前記識別信号領域が管理領域である請求項9に記載の光ディスク。」

(2)「【0087】なお、カートリッジ、あるいは光ディスクの管理領域又はアドレス部に記録する情報を、溝深さに関する情報ではなく、光ディスク装置の再生光学系のトラッキング極性に関する情報とすることもできる。例えば、極性反転回路33が信号S1をそのまま通過させるか、信号S1の極性を反転させて通過させるかのいずれを選択するかに関する情報を記録しておくことができる。光ディスク装置は、この情報を読み取ることにより、トラッキング極性を適切に設定でき、目的とするグルーブトラック又はランドトラックに正しくトラッキング制御することができる。」

(3)「【0092】本実施の形態の光ディスクは、RAM領域の情報トラック66のグルーブトラック64及びランドトラック65にレーザ光5を照射し、情報を記録再生して使用される。RAM領域62の記録再生条件は、図2の、凹凸ピットからなる管理領域61にあらかじめ記録された条件を読み出すことによって決められる。
【0093】例えば、管理領域61に、ビームスポットが情報トラック66のグルーブトラック64及びランドトラック65を走査する際のトラッキング極性を示す情報を記録しておく。あるいは、情報トラック66の溝深さの情報を記録しておく。記録再生前にこれらの情報を光ディスク装置に読み取らせることにより、光ディスク装置に目的とするグルーブトラック64又はランドトラック65を正しく走査させることができる。
・・・・・(中 略)・・・・・
【0096】以上のように、本実施の形態の光ディスクを光ディスク装置に装着した時に、光ディスク装置が最初に管理領域に記録された上記の情報を読み出すことにより、目的とするグルーブトラック又はランドトラックに安定な記録再生動作を行うことが可能となる。」

・上記(1)?(3)の記載事項、及び図2によれば、光ディスクのRAM領域よりも内周側に設けられた管理領域に、RAM領域のトラックを走査する際のトラッキング極性を示す情報があらかじめ記録されてなるものである。
・上記(2)、(3)の記載事項によれば、光ディスクを光ディスク装置に装着した時、最初(記録再生前)に管理領域に記録されたトラッキング極性を示す情報を読み出すことにより、トラッキング極性を適切に設定でき、目的とするトラックを正しく走査させて安定な記録再生動作を行うことが可能となるものである。

したがって、上記記載事項及び図面を総合勘案すると、引用例2には、次の技術事項が記載されている。
「光ディスクのRAM領域よりも内周側に設けられた管理領域に、RAM領域のトラックを走査する際のトラッキング極性を示す情報をあらかじめ記録しておくこと。」
及び、
「光ディスクを光ディスク装置に装着した時、最初(記録再生前)に管理領域に記録されたトラッキング極性を示す情報を読み出すことにより、トラッキング極性を適切に設定でき、目的とするトラックを正しく走査させて安定な記録再生動作を行うことができる」こと。

4.対比
そこで、本願発明と引用発明とを対比すると、
(1)引用発明における「記録層」、「光ディスク」は、それぞれ本願発明における「記録層」、「情報記録媒体」に相当し、
引用発明における「複数の記録層を積層した多層構造を有する光ディスクであって」によれば、
本願発明と引用発明とは、「複数の記録層を含む情報記録媒体において」の点で一致する。

(2)引用発明における「リードインエリア」、「データエリア」は、それぞれ本願発明における「リードイン領域」、「データ領域」に相当し、
引用発明における「各記録層は、最内周のクランプエリアから、それぞれ順にバーコードエリア、リードインエリア、データエリア、リートアウトエリアが配置されてなり、前記バーコードエリアでは、記録膜の下のアルミ膜(反射膜)をバースト的レーザではがすことによってバーコードが生成され」によれば、
(a)引用発明の「バーコードエリア」は、記録膜の下のアルミ膜(反射膜)をバースト的レーザではがすことによってバーコードが生成されてなるものであるから、本願発明における、ストライプバーコードが形成される「バーストカッティングエリア」に相当するものであり、
(b)また、引用発明の「リードインエリア」や「データエリア」が、複数のトラックが形成されてなるものであることも技術常識といえることである。
したがって、本願発明と引用発明とは、「少なくとも一つの記録層は、ストライプバーコードが形成されるバーストカッティングエリアと、複数のトラックが形成されるリードイン領域と、複数のトラックが形成されるデータ領域と」を含む点で一致する。

(3)本願発明でいう「トラッキング極性情報」についても個々の情報記録媒体毎に与えられる情報であり、「ディスク個別情報」の一つであるとみることができる点を踏まえると、
引用発明における「ディスク表面または最下層の層(光源からみて最も近い層)では前記バーコードの情報として例えばディスク個別情報が予め記録され、初期起動の際に前記ディスク個別情報を読み込み、記録/再生条件およびサーボ条件を確立し、その後、所定の起動処理を進めて記録/再生可能な状態に立ち上げるようにした」によれば、
本願発明と引用発明とは、後述の相違点を除いて「前記ストライプバーコードは、所定のディスク個別情報を含み、前記所定のディスク個別情報が、所定の時点に再生され」るものである点で共通するといえる。

よって、本願発明と引用発明とは、
「複数の記録層を含む情報記録媒体において、
少なくとも一つの記録層は、
ストライプバーコードが形成されるバーストカッティングエリアと、
複数のトラックが形成されるリードイン領域と、
複数のトラックが形成されるデータ領域と、を含み、
前記ストライプバーコードは、所定のディスク個別情報を含み、
前記所定のディスク個別情報が、所定の時点に再生されることを特徴とする情報記録媒体。」
である点で一致し、次の点で相違する。

[相違点1]
ストライプバーコードが含む所定のディスク個別情報について、本願発明では、「前記リードイン領域及び前記データ領域に形成された前記トラックに対するトラッキング極性情報」であり、「前記トラッキング極性情報は、トラックの中心を基準にしてトラッキング信号の極性が(-)から(+)に変わるか、あるいは(+)から(-)に変わるかを示す情報を含み、前記トラッキング極性情報は複数反復して記録されていて、一つの情報に誤りが生じて読み取りが不可能であっても、他の情報を読み込むことができる」旨特定するのに対し、引用発明では、そのような特定を有してない点。

[相違点2]
所定のディスク個別情報を再生する所定の時点が、本願発明では、「前記リードイン領域と前記データ領域に形成された前記トラックを追従する前」と特定するのに対し、引用発明では、そのような明確な特定を有していない点。

5.判断
上記[相違点1]及び[相違点2]について検討すると、
引用例2(上記「3-2.」を参照)には、「光ディスクのRAM領域よりも内周側に設けられた管理領域に、RAM領域のトラックを走査する際のトラッキング極性を示す情報をあらかじめ記録しておくこと」が記載されているところ、上記「4.(3)」でも述べたように、かかる「トラッキング極性を示す情報」は「ディスク個別情報」の一つであるとみることができるものであり、引用発明においても、バーコードの情報であるディスク個別情報として、情報を記録/再生するための領域のトラックを走査する際のトラッキング極性を示す情報〔かかる情報が、本願発明でいう「トラックの中心を基準にしてトラッキング信号の極性が(-)から(+)に変わるか、あるいは(+)から(-)に変わるかを示す情報」を意味することは自明である。〕を含むものとすることは当業者であれば容易になし得ることである。
そしてその際、引用発明においてもディスク個別情報を再生する時点について、「初期起動の際に前記ディスク個別情報を読み込み、記録/再生条件およびサーボ条件を確立し、その後、所定の起動処理を進めて記録/再生可能な状態に立ち上げる」とあることに加えて、上記引用例2(上記「3-2.」を参照)に「光ディスクを光ディスク装置に装着した時、最初(記録再生前)に管理領域に記録されたトラッキング極性を示す情報を読み出すことにより、トラッキング極性を適切に設定でき、目的とするトラックを正しく走査させて安定な記録再生動作を行うことができる」ことが記載されているように、あらかじめトラッキング極性を示す情報を読み込む(再生する)ことによって、リードインエリアやデータエリアといった情報を記録/再生するための領域のトラックを正しく走査(追従)することができることは明らかである。
また、管理情報のような重要な情報を、一つの情報に誤りが生じて読み取りが不可能であっても、他の情報を読み込むことができるように複数反復して記録することは、例えば原査定において提示した特開平2-83793号公報(3頁右上欄5?13行、第3図、第4図を参照)、同じく原査定において提示した特開平7-130102号公報(【請求項4】、段落【0006】?【0008】、図1を参照)に記載のように周知の技術事項であり、引用発明においても、かかる周知の技術事項を採用し、上述のようにディスク個別情報としてトラッキング極性を示す情報を含むものとした際、当該トラッキング極性を示す情報を複数反復して記録するようにすることは当業者であれば適宜なし得ることである。

そして、上記相違点を総合的に勘案しても本願発明が奏する効果は、引用発明、引用例2に記載の技術事項及び周知の技術事項から当業者が十分に予測できたものであって、格別顕著なものがあるとはいえない。

6.むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用発明、引用例2に記載の技術事項及び周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-02-17 
結審通知日 2015-02-24 
審決日 2015-03-09 
出願番号 特願2012-25604(P2012-25604)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G11B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 中野 和彦  
特許庁審判長 丹治 彰
特許庁審判官 酒井 朋広
井上 信一
発明の名称 情報記録媒体、情報記録媒体に記録されたデータを処理する方法及び装置  
代理人 伊東 忠重  
代理人 伊東 忠彦  
代理人 大貫 進介  

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