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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G01R
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01R
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 G01R
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G01R
管理番号 1303585
審判番号 不服2012-25921  
総通号数 189 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-09-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-12-27 
確定日 2015-08-06 
事件の表示 特願2008-520441「互換性プローブインサートを有するプローブカードアセンブリ」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 1月18日国際公開、WO2007/008790、平成21年 1月 8日国内公表、特表2009-500633〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
平成18年 7月 7日:国際特許出願
(優先権 平成17年7月8日(以下「優先日」という。)及び平成17年12月21日 米国)
平成24年 2月 9日:拒絶理由通知
平成24年 8月24日(送達 同年同月28日):拒絶査定
平成24年12月27日:審判請求
平成24年12月27日:手続補正(以下「本件補正」という。)
平成25年 3月14日:前置報告
平成25年 8月 1日:審尋
平成25年12月 2日:回答(以下「本件回答」という。)

第2 補正却下の決定
[結論]
本件補正を却下する。

[理由]
1 補正の内容
(1) 本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の特許請求の範囲は,以下のとおりである。
「【請求項1】
第1構造体と,
電気接点を備える第2構造体と,
前記電気接点に対する複数の従順な電気接続部と,
前記第1構造体に対する前記第2構造体の方位を変化させるように構成された機構と,
試験される電子デバイスと接触するように配置された複数のプローブを備え,前記第2構造体に脱着されるように構成された第3構造体と,を備え,
前記第2構造体に装着されている間に,前記プローブのいずれかが前記電気接点のいずれかに電気接続する,
プローブカード装置。
【請求項2】
テスターに対するインタフェースをさらに備え,前記従順な電気接続部が前記テスターインタフェースを前記電気接点に電気接続する,請求項1に記載のプローブカード装置。
【請求項3】
前記従順な電気接続部が配線を備える,請求項2に記載のプローブカード装置。
【請求項4】
前記第3構造体が,
前記プローブを備えるプローブインサートと,
前記第2構造体に脱着可能で,前記プローブインサートを保持するように構成されたホルダと,を備える,請求項1に記載のプローブカード装置。
【請求項5】
前記ホルダが前記第2構造体から離脱している間に,前記プローブインサートを前記ホルダから離脱可能である,請求項4に記載のプローブカード装置。
【請求項6】
前記第3構造体を前記第2構造体に,一貫した反復可能な方位で取り付けるように構成された取り付け機構をさらに備える,請求項1に記載のプローブカード装置。
【請求項7】
前記第3構造体を特定の方位で前記第2構造体に装着し,前記第3構造体を前記第2構造体から離脱し,前記第3構造体を前記特定の方位で前記第2構造体に再度装着するように構成された取り付け機構を備える,請求項1に記載のプローブカード装置。
【請求項8】
組み立てられている間にテスターに対する電気的インタフェースを形成する複数の組立要素を備えるプローブカードアセンブリと,
試験されるべき電子デバイスに接触するように配置された複数のプローブを備えるプローブ構造体と,を備え,
前記プローブ構造体が,
前記プローブカードアセンブリに装着され,それによって前記プローブのいずれかが前記テスターインタフェースに電気的に接続され,
前記プローブカードアセンブリから離脱され,それによって前記プローブのいずれかが前記テスターインタフェースから電気的に切断されるように構成される,
プローブカード装置。
【請求項9】
前記プローブ構造体が,前記プローブが装着される第1ホルダおよびプローブインサートを備え,
前記プローブ構造体が前記プローブカードアセンブリから離脱している間に,前記プローブインサートが前記第1ホルダから離脱可能である,
請求項8に記載のプローブカード装置。
【請求項10】
前記テスターインタフェースが,前記プローブカードアセンブリに配置された第1導電接点を備え,
前記第1ホルダが前記プローブカードアセンブリに装着されている間に,前記第1ホルダが,前記第1接点の少なくとも1つと電気的に接触している前記プローブインサート上の第2導電接点の少なくとも1つを保持し,前記少なくとも1つの第2接点が前記プローブの少なくとも1つと電気的に接続する,
請求項9に記載のプローブカード装置。
【請求項11】
前記テスターからの通信路と電気的に接続するように構成された通信路コネクタを備える配線基板をさらに備える,請求項10に記載のプローブカード装置。
【請求項12】
前記第1接点を保持する第2ホルダをさらに備え,前記第1接点の少なくとも1つが,前記通信路コネクタの少なくとも1つと電気的に接続する,請求項11に記載のプローブカード装置。
【請求項13】
遮蔽電気導体をさらに備え,前記遮蔽電気導体の少なくとも1つが,前記少なくとも1つの第1接点を前記少なくとも1つの通信路コネクタに接続する,請求項12に記載のプローブカード装置。
【請求項14】
前記第1ホルダが前記第2ホルダに直接的に取り付け可能である,請求項12に記載のプローブカード装置。
【請求項15】
プローブカードアセンブリから,第1構成で配置されたプローブを備える第1プローブインサートを離脱させ,
前記第1プローブアセンブリを,第2構成で配置されたプローブを備える第2プローブインサートと交換することを含み,
前記第2構成が前記第1構成とは異なる,
プローブカード装置を再構成する方法。
【請求項16】
前記第1構成で,前記プローブが,第1半導体ダイの設計に対応する第1構成の端子と接触するように配置され,
前記第2構成で,前記プローブが,第2半導体ダイの設計に対応する第2構成の端子と接触するように配置され,
前記第1端子構成が前記第2端子構成とは異なる,
請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記離脱させるステップが,前記プローブカードアセンブリから,前記第1プローブインサートを保持するように構成されたホルダを引き離すことを含む,請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記引き離すステップが,
前記ホルダを保持ツール内に固定し,
その後に,前記ホルダを前記プローブカードアセンブリから解放することを含む,
請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記解放するステップが,前記ホルダを前記プローブカードアセンブリに保持する取り付け機構を外すことを含む,請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記解放するステップがさらに,前記保持ツールを通して前記取り付け機構にアクセスすることを含む,請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記解放するステップが,前記プローブカードアセンブリに,前記第2プローブインサートを保持するように構成されたホルダを装着することを含む,請求項15に記載の方法。
【請求項22】
前記装着するステップが,
前記ホルダを保持ツールに固定し,
その後に,前記ホルダを前記プローブカードアセンブリに装着することを含む,
請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記装着するステップがさらに,前記保持ツールを通して取り付け機構にアクセスすることを含む,請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記プローブカードアセンブリがテスターに対する電気的インタフェースを備え,
前記離脱させるステップが,前記第1プローブインサートの前記プローブを前記テスターインタフェースから切断することを含み,
前記交換するステップが,前記第2プローブインサートの前記プローブを前記テスターインタフェースに接続することを含む,
請求項15に記載の方法。
【請求項25】
前記プローブカードアセンブリが導電接点を備え,
前記離脱させるステップが,前記第1プローブインサートの前記プローブを前記接点から切断することを含み,
前記交換するステップが,前記第2プローブインサートの前記プローブを前記接点に接続することを含む,
請求項15に記載の方法。
【請求項26】
前記接点が,前記プローブカードアセンブリの特定の構造的要素に配置され,
前記離脱させるステップが,前記プローブインサートを前記特定の構造的要素から切り離すことを含み,
前記交換するステップが,前記第2プローブインサートを前記特定の構造的要素に取り付けることを含む,
請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記プローブカードアセンブリが,前記テスターからの通信路と電気的に接続する通信路コネクタを備える配線基板を備える,請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記特定の構造的要素が,前記接点を保持するように構成された保持機構を備え,前記接点が前記通信路コネクタと電気的に接続する,請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記特定の構造的要素が前記配線基板を備える,請求項27に記載の方法。」

(2) 本件補正後の特許請求の範囲
本件補正後の特許請求の範囲は,以下のとおりである。
「【請求項1】
第1構造体と,
電気接点を備える第2構造体と,
前記電気接点に対する複数の電気接続部と,
前記第1構造体に対する前記第2構造体の方位を変化させるように構成された機構と,
試験される電子デバイスと接触するように配置された複数のプローブを備え,前記第2構造体に脱着されるように構成された第3構造体と,
前記第3構造体を前記第2構造体に,一貫した反復可能な方位で取り付けるように構成された取り付け機構と,を備え,
前記第3構造体が前記第2構造体に装着されている間に,前記プローブのいずれかが前記電気接点のいずれかに電気接続する,
プローブカード装置。
【請求項2】
テスターに対するインタフェースをさらに備え,前記電気接続部が前記テスターインタフェースを前記電気接点に電気接続する,請求項1に記載のプローブカード装置。
【請求項3】
前記電気接続部が配線を備える,請求項2に記載のプローブカード装置。
【請求項4】
前記第3構造体が,
前記プローブを備えるプローブインサートと,
前記第2構造体に脱着可能で,前記プローブインサートを保持するように構成されたホルダと,を備える,請求項1に記載のプローブカード装置。
【請求項5】
前記ホルダが前記第2構造体から離脱している間に,前記プローブインサートを前記ホルダから離脱可能である,請求項1に記載のプローブカード装置。
【請求項6】
前記第3構造体を特定の方位で前記第2構造体に装着し,前記第3構造体を前記第2構造体から離脱し,前記第3構造体を前記特定の方位で前記第2構造体に再度装着するように構成された取り付け機構を備える,請求項1に記載のプローブカード装置。
【請求項7】
組み立てられている間にテスターに対する電気的インタフェースを形成する複数の組立要素を備えるプローブカードアセンブリと,
試験されるべき電子デバイスに接触するように配置された複数のプローブを備えるプローブ構造体と,
前記プローブ構造体を前記プローブカードアセンブリに,一貫した反復可能な方位で取り付けるように構成された取り付け機構と,を備え,
前記プローブ構造体が,
前記プローブカードアセンブリに装着され,それによって前記プローブのいずれかが前記テスターインタフェースに電気的に接続され,
前記プローブカードアセンブリから離脱され,それによって前記プローブのいずれかが前記テスターインタフェースから電気的に切断されるように構成される,
プローブカード装置。
【請求項8】
前記プローブ構造体が,前記プローブが装着される第1ホルダおよびプローブインサートを備え,
前記プローブ構造体が前記プローブカードアセンブリから離脱している間に,前記プローブインサートが前記第1ホルダから離脱可能である,
請求項7に記載のプローブカード装置。
【請求項9】
前記テスターインタフェースが,前記プローブカードアセンブリに配置された第1導電接点を備え,
前記第1ホルダが前記プローブカードアセンブリに装着されている間に,前記第1ホルダが,前記第1接点の少なくとも1つと電気的に接触している前記プローブインサート上の第2導電接点の少なくとも1つを保持し,前記少なくとも1つの第2接点が前記プローブの少なくとも1つと電気的に接続する,
請求項8に記載のプローブカード装置。
【請求項10】
前記テスターからの通信路と電気的に接続するように構成された通信路コネクタを備える配線基板をさらに備える,請求項9に記載のプローブカード装置。
【請求項11】
前記第1接点を保持する第2ホルダをさらに備え,前記第1接点の少なくとも1つが,前記通信路コネクタの少なくとも1つと電気的に接続する,請求項10に記載のプローブカード装置。
【請求項12】
遮蔽電気導体をさらに備え,前記遮蔽電気導体の少なくとも1つが,前記少なくとも1つの第1接点を前記少なくとも1つの通信路コネクタに接続する,請求項11に記載のプローブカード装置。
【請求項13】
前記第1ホルダが前記第2ホルダに直接的に取り付け可能である,請求項11に記載のプローブカード装置。」

2 判断(目的要件違反)
本件補正は,本件補正前の請求項8に「前記プローブ構造体を前記プローブカードアセンブリに,一貫した反復可能な方位で取り付けるように構成された取り付け機構と,」の記載を追加し,本件補正後の請求項7とする補正(以下「補正事項1」という。)を含む。
しかしながら,補正事項1は,本件補正前の請求項8に記載した発明(以下「本願発明」という。)を特定するために必要な事項を限定するものではない。すなわち,本願発明は,「プローブカードアセンブリ」及び「プローブ構造体」を発明特定事項とするものであるところ,本件補正後の請求項7に記載した発明(以下「本件補正後発明」という。)の「取り付け機構」は,本願発明の「プローブカードアセンブリ」の構成の一部ではなく,また,「プローブ構造体」の構成の一部でもない。
したがって,補正事項1は,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項2号の「特許請求の範囲の減縮(第三十6条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであつて,その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る。)」に該当しない。
また,補正事項1が,「請求項の削除」(1号),「誤記の訂正」(3号),「明瞭でない記載の釈明」(4号)のいずれにも該当しないことは,明らかである。
そうしてみると,本件補正は,平成18年法律第55号改正附則3条1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法17条の2第4項の規定に違反するものであり,特許法159条1項で準用する特許法53条1項の規定により却下すべきものである。
また,本件補正は,請求項5について,引用先を請求項4から請求項1に変更する補正を含んでおり,この点からも,本件補正が特許請求の範囲の減縮を目的としたものとはいえない。

3 判断(独立特許要件違反)
念のため,補正事項1が特許請求の範囲の減縮を目的としたものであると仮定して,本件補正後発明が,特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるかについて,以下に検討する。
(1) 引用例に記載の事項及び引用発明
原査定の拒絶の理由に引用され,本件出願の優先日前に頒布された刊行物である特開平7-231018号公報(発明の名称:「プローブ装置」,出願人:「東京エレクトロン株式会社(外1)」,公開日:平成7年8月29日,以下「引用例」という。)には,図面とともに,以下の事項が記載されている。
ア 「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,例えば半導体ウエハのチップ等の被検査体の電気的特性を検査するプローブ装置に関する。」
イ 「【0009】
【発明が解決しようとする課題】前述のようなプローブ装置におけるプローブカードの針先高さの傾き修正手段では,まず顕微鏡による目視観察によって傾き度合を適確に把握することがなかなかできないと共に,ヘッドプレート下側のどの位置にどの程度の厚さのスペーサを入れたら良いか判断が難しく,職人的技術が必要であって,とてもユーザーのオペレータでは修正が不可能で,プローバーメーカーの技術者が出張して何度も修正作業を繰り返さなければならず,多く労力との作業時間を必要とする問題があった。
【0010】特に,プローブカードの製造においては,実際のプローブ装置への取付けセット状況に合わせた作り方をしておらず,どのプローブカードも一つ一つ固有の変形を生じる要因があり,実際にセットした状態で上側に重いテストヘッドが搭載されると,更に異なった傾きが発生し,この修正も大変面倒であった。
【0011】本発明は前記事情に鑑みなされ,その目的とするところは,プローブカードの製作誤差や変形や取付けミス等によるプローブ針群の針先高さの傾きを実際のセット状態で検出して,そのまま傾き修正を非常に簡便且つ確実に行うことができるようになる高精度なプローブ装置を提供することにある。」
ウ 「【0026】
【実施例】以下,本発明のプローブ装置を半導体ウエハ上に形成された半導体チップの電気的特性を試験検査するウエハプローバに適用した各実施例を説明する。図1乃至図7は第1の実施例を示す。まず,図6において,符号11は全体的にボックス状をなすプローブ装置本体を示し,この略中央には架台12を介してメインステージ13が設けられている。このメインステージ13は,被検査体である半導体ウエハ(以下単にウエハと略称する)14を載置して真空チャックするウエハ載置台15を後述する如く移動制御可能に備えている。」
【図6】


エ 「【0027】前記装置本体11の上部には,前記ウエハ載置台15と共通の架台12から立設した強固な支持枠16に保持させてヘッドプレート17が水平に設けられている。このヘッドプレート17の略中央開口部に位置決め嵌合するインサートリング18を介してプローブ機構21が設けられている。
【0028】このプローブ機構21は,プローブカード22を主体とする。このプローブカード22は,後述する如く,多数本のプローブ針23が実装されており,且つこの針付きプローブカード22がこの周囲から嵌合保持するカードホルダー25に予め位置決め保持されて一つの集合体状とされている。この集合体状のプローブ機構21がカードホルダー25を前記インサートリング18に支持させることで前記ウエハ載置台15の上方対向する位置に取付けセットされている。また,このプローブ機構21の上側にはプローブカード22と電気的に接続するコンタクトリング26が設けられている。
【0029】こうしたプローブ機構21を位置決めセットした装置本体11上にテストヘッド27が搭載支持される。このテストヘッド27は前記プローブ機構21のプローブカード22の各プローブ針23とコンタクトリング25電気的に接続すると共に,外部テスタ28と電気的に接続される。更に,そのテストヘッド27中央上方から前記プローブカード22の中央開口を介してウエハ載置台15上のウエハ14及びこれに接触するプローブ針先等を監視する顕微鏡もしくはテレビカメラ29が備えられている。
【0030】前記装置本体11の右側には被検査体オートローダ31が設置されている。このオートローダ31には,多数枚のウエハ14を収容したウエハカセット32を交換可能に挿入セットできるカセット載置台33が昇降駆動可能に設けられている。その隣側に該ウエハカセット32内のウエハ14を一枚ずつ取り出すローダステージ34が設けられている。このローダステージ34により搬出されたウエハ14は予備アライメントステージ(図示省略)に載せられ,そこでウエハ14のオリエンテーションフラット等を基準にした予備アライメントが行われるようになっている。また,その予備アライメントされたウエハ14を前記ウエハ載置台15上面に移載する手段としてウエハハンドリングアーム35が設けられている。なお,これらローダステージ34及びウエハハンドリングアーム35は検査済みのウエハ14をウエハ載置台15上から取り上げて再びウエハカセット32に戻す働きも行う。
【0031】また,前記装置本体11内の中央手前側には,図示していないが,アラインメントユニットが設けられている。このユニットには,前記ウエハ載置台15上に載置されたウエハ14を,このスクライブライン等を基準として正確にアラインメントすべく,CCDカメラやレーザーを用いたアライメント機構が設けられていると共に,ウエハ載置台15のZ方向の位置検出並びにその上に載置されたウエハ14等の厚さを検出すべく,図1に想像線で示しているように静電容量センサー36aを用いた検出回路36が設けられて,これらの下側にまで前記ウエハ載置台15が移動可能となっている。
【0032】一方,前記装置本体11の左側にはプローブカード交換器37が設けられている。このプローブカード交換器37内にはカード収納棚38が設けられ,この収納棚38に前述したカードホルダー25付きの各種のプローブカード22が挿脱可能に収納保管されている。これらプローブカード22は,必要に応じ前記カード収納棚38から取り出して,前記装置本体11のヘッドプレート17中央のインサートリング18に取付けセットされる。このプローブカード22の取付け並びに交換作業は,オペレータが手動的に,或いは図示しないが前記ウエハハンドリングアーム16と同様の装置を介して自動的に行われる。そのプローブカード自動交換装置は例えば米国特許No.4,966,520に記載されているものと同様で良い。」
オ 「【0037】前記プローブカード22の詳細を図1及び図2に示す。即ち,このプローブカード22は,中央に開口を有したプリント基板であるカード本体24の該中央開口両側縁部から斜め下方に向けて多数本のプローブ針23をウエハ14上の一個或いは複数個のチップの電極パッドに対応して突設した構成である。このプローブカード22の針23付きのカード本体24がリング状のカードホルダー25の段部に嵌合してピンやねじ等により位置決め固定されている。」
【図1】


【図2】


カ 「【0038】こうしたプローブカード22は,カードホルダー25を前記インサートリング18の下面部に接合して図示しないが締結具による締結或いは自動セット用の上下動可能な支持リングによる挟み付けにより,前記ウエハ載置台15の上方の対向位置に交換可能に取付けセットされている。
【0039】なお,前記プローブカード22は,前述のようにカード本体24に対し各プローブ針23を斜めに装着した斜針タイプのものに代え,各プローブ針を垂直に支持した垂直針タイプの例えば多ピン用高密度プローブカード(VTPC)などでも良い。
【0040】こうしたプローブカード22をインサートリング18に取付けセットすることで,このカード本体(プリント基板)24の多数の電極が該インサートリング18に装着したコンタクトリング26と電気的に接続される。この結果,各プローブ針23がコンタクトリング26とポゴピンを介して前述のテストヘッド27と電気的に接続される。これで該プローブ針23の針先にウエハ載置台15の上昇によりウエハ14の半導体チップの各電極パッドが接触することで,該チップ(素子)の電気的特性をテスタ28により検査できるようになる。
【0041】前記ウエハ14の半導体チップの検査(テスト)時のウエハ載置台の上昇(Zアップ)は,最下位基準位置からプローブカード22の下側近傍まで高速で行われ,その後低速で該ウエハ14の半導体チップの電極パットがプローブ針23に接触する接触高さ(コンタクトポイント)まで上昇し,更に該コンタクトポイントよりも僅かであるが所定量上昇(オーバドライブ)して停止される。その初期の高速上昇距離は操作時間の短縮の面で約20mm程度,低速上昇距離はプローブカード22の製造誤差や品種等により異なる針先高さを考慮し余裕を持って約3?8mm程度,オーバドライブ量はプローブ針23と半導体チップの電気パッドとの電気的接触をより確実にするために50?100μm 程度に設定するのが良い。
【0042】ところで,装置本体11上部のヘッドプレート17はウエハ載置台15と共通の架台12に強固な支持枠16を介し水平に支持され,このヘッドプレート17の略中央の円形穴の内周段部17a上にインサートリング18が水平に載架嵌合されて,該ウエハ載置台15上面とヘッドプレート17とインサートリング18との3者の一様の平行度がとられているが,このインサートリング18に実際にプローブカード22を位置決めセットし,更にその上側にコンタクトリング26を介し重いテストヘッド27を載置した状態では,ヘッドプレート17やインサートリング18やプローブカード22の取付けミス或いはプローブカード22自体の製作誤差や固有の変形等により,該プローブカード22が多数本のプローブ針23群の針先高さの傾きを生じている場合が多々ある。
【0043】このプローブカード22の針先高さの傾き(水平度)を検出して修正する手段として,まず,図1及び図2に示す如く,円環状の前記インサートリング18が,この外周を前記ヘッドプレート17の略中央の円形穴の内周段部17a上に載架するように嵌合位置決めされていると共に,そのインサートリング18の周方向に等間隔を存した複数箇所(実施例では3箇所)を支持して後述する修正指示に従って傾き調整ができる傾き修正機構51が備えられている。
【0044】即ち,その傾き修正機構51は,前記インサートリング18の周囲を3点支持するもので,その3箇所の支点のうち,1箇所がボールヒンジ機構52で,他の2箇所の支点A,Bが支持高さ調整ねじ機構53で構成されている。
【0045】前記1箇所のボールヒンジ機構52は,ヘッドプレート17の内周段部17a上面凹部とインサートリング18から外周に突設した突片部18a下面凹部との間に介挿された鋼球製の1個のボール52aと,これを中心にその両側近傍で該突片部18aをヘッドプレート17に締結する止めねじ52bとを用いた構成である。
【0046】前記残り2箇所の支点A,Bの支持高さ調整ねじ機構53は,インサートリング18からそれぞれ外周に突設した突片部18bに縦軸的に螺貫した手動調整ねじ53aと,この手動調整ねじ53aの段付き中心孔に貫挿してヘッドプレート17に螺合締め付けられる止めねじ53bとを用いた構成である。なお,その手動調整ねじ53aは,この頭部に目盛り53c付きダイアル操作部53dを持つ構成で,その目盛り53cを選択して基準矢印に合わせるように該操作部53dを正逆回転操作することで,インサートリング18の突片部18bを所望の支持高さに可変調整できる。
【0047】また,前述の如く実際にセットしたプローブカード22の多数本のプローブ針23群の針先高さを検出する手段として,後述する如く,複数の独立した検知領域を持ち且つ前記ウエハ載置台15上面にウエハ14と同様に載置される接触式変位センサー55と,この接触式変位センサー55の各検知領域がプローブ針23と接触したとき発生する電圧変化を各々検出する検出回路60とが備えられている。この検出器60からの各信号とウエハ載置台15の上昇量を基に該プローブ針23群の前後左右箇所の針先高さをそれぞれ認識しプローブ針23群の針先高さの傾き度合並びに傾き方向を演算して修正指示を出す手段として制御系70が備えられている。」
キ 「【0106】
【発明の効果】本発明のプローブ装置は,以上説明した構成としたので,プローブカードの製作誤差や変形や取付けミス等によるプローブ針群の針先高さの傾きを実際のセット状態で検出して,そのまま傾き修正を非常に簡便且つ確実に行うことができ,セットアップが楽で且つプローブ針と被検査体との接触精度を向上して検査精度のアップが図れる。」

そうしてみると,引用例には,以下の発明が記載されている(以下「引用発明」という。)。
「 ウエハ載置台15と共通の架台12に強固な支持枠16を介し水平に支持されたヘッドプレート17,ヘッドプレート17の略中央の円形穴の内周段部17a上に水平に載架嵌合されたインサートリング18,及び,インサートリング18に装着したコンタクトリング26と,
プローブカード22が,この周囲から嵌合保持するカードホルダー25に予め位置決め保持されて一つの集合体状とされているプローブ機構21と,を備え,
プローブカード22は,中央に開口を有したプリント基板であるカード本体24の中央開口両側縁部から斜め下方に向けて多数本のプローブ針23がウエハ14上の一個或いは複数個のチップの電極パッドに対応して突設され,カードホルダー25を前記インサートリング18の下面部に接合し,締結具による締結により,前記ウエハ載置台15の上方の対向位置に交換可能に取付けセットされ,カード本体24の多数の電極がインサートリング18に装着したコンタクトリング26と電気的に接続され,プローブ針23がコンタクトリング26とポゴピンを介してテストヘッド27と電気的に接続される,
半導体ウエハ上に形成された半導体チップの電気的特性を試験検査するウエハプローバ。」

(2) 対比
本件補正後発明と引用発明を対比すると,以下のとおりである。
ア プローブカードアセンブリ
引用発明は,「ウエハ載置台15と共通の架台12に強固な支持枠16を介し水平に支持されたヘッドプレート17,ヘッドプレート17の略中央の円形穴の内周段部17a上に水平に載架嵌合されたインサートリング18,及び,インサートリング18に装着したコンタクトリング26と,」の構成,並びに,「プローブ針23がコンタクトリング26とポゴピンを介してテストヘッド27と電気的に接続される,」の構成を具備するから,引用発明の,ヘッドプレート17,インサートリング18及びコンタクトリング26を併せた構成は,本件補正後発明の「組み立てられている間にテスターに対する電気的インタフェースを形成する複数の組立要素を備えるプローブカードアセンブリ」に相当する。
イ プローブ構造体
引用発明は,「プローブカード22が,この周囲から嵌合保持するカードホルダー25に予め位置決め保持されて一つの集合体状とされているプローブ機構21と,」及び「プローブカード22は,中央に開口を有したプリント基板であるカード本体24の中央開口両側縁部から斜め下方に向けて多数本のプローブ針23がウエハ14上の一個或いは複数個のチップの電極パッドに対応して突設され,」の構成を具備するから,引用発明の「プローブ機構21」は,本件補正後発明の「試験されるべき電子デバイスに接触するように配置された複数のプローブを備えるプローブ構造体」に相当する。
ウ 取り付け機構
引用発明は,「カードホルダー25を前記インサートリング18の下面部に接合し,締結具による締結により,前記ウエハ載置台15の上方の対向位置に交換可能に取付けセットされ,」の構成を具備するから,引用発明の「締結具による締結」の構成と,本件補正後発明の「取り付け機構」は,「前記プローブ構造体を前記プローブカードアセンブリに」,「取り付けるように構成された取り付け機構」の点で共通する。
エ テスターインタフェース
引用発明は,「カードホルダー25を前記インサートリング18の下面部に接合し,締結具による締結により,前記ウエハ載置台15の上方の対向位置に交換可能に取付けセットされ,カード本体24の多数の電極がインサートリング18に装着したコンタクトリング26と電気的に接続され,プローブ針23がコンタクトリング26とポゴピンを介してテストヘッド27と電気的に接続される,」の構成を具備するから,引用発明のプローブ機構21は,本件補正後発明の「前記プローブカードアセンブリに装着され,それによって前記プローブのいずれかが前記テスターインタフェースに電気的に接続され」に相当する構成を具備する。
オ プローブカード装置
本件補正後発明及び引用発明の構成,並びに,上記アないしエの対比結果を総合的に勘案すると,引用発明の「ウエハプローバ」は,本件補正後発明の「プローブカード装置」に相当する。

そうしてみると,本件補正後発明と引用発明の一致点及び(一応の)相違点は,以下のとおりとなる。

(一致点)
「 組み立てられている間にテスターに対する電気的インタフェースを形成する複数の組立要素を備えるプローブカードアセンブリと,
試験されるべき電子デバイスに接触するように配置された複数のプローブを備えるプローブ構造体と,
前記プローブ構造体を前記プローブカードアセンブリに,取り付けるように構成された取り付け機構と,を備え,
前記プローブ構造体が,
前記プローブカードアセンブリに装着され,それによって前記プローブのいずれかが前記テスターインタフェースに電気的に接続される,
プローブカード装置。」

(相違点1)
取り付け機構に関し,本件補正後発明は,前記プローブ構造体を前記プローブカードアセンブリに,「一貫した反復可能な方位で」取り付けるように構成されたものであるのに対し,引用発明は,これが明らかでない点。

(相違点2)
プローブ構造体に関し,本件補正後発明は,「前記プローブカードアセンブリから離脱され,それによって前記プローブのいずれかが前記テスターインタフェースから電気的に切断されるように構成される」としているのに対し,引用発明は,これが明らかではない点。

(3) 判断
(相違点1)
引用発明は,「カード本体24の多数の電極がインサートリング18に装着したコンタクトリング26と電気的に接続され,」の構成を具備するから,(a)引用発明のコンタクトリング26が,カード本体24の多数の電極に対向する多数の電極を具備すること,及び,(b)プローブカード22のセット時に,両者の電極が正確に位置決めされる必要があることは,明らかである(電気的に接続されるために,必要不可欠である。)。さらに,引用発明は,「カードホルダー25を前記インサートリング18の下面部に接合して締結具による締結により,前記ウエハ載置台15の上方の対向位置に交換可能に取付けセットされ,」の構成を具備するところ,引用例の段落【0032】の記載を勘案すると,引用発明のプローブカード22は,測定対象に応じ,手動で交換されるものである。
そうしてみると,引用発明において,締結具による取り付けを「一貫した反復可能な方位で」行われるようにすることは,交換作業の効率からみて必須であり,引用発明において相違点1に係る構成を採用することは,当業者が容易になし得ることである。

(相違点2)
引用発明のプローブ機構21が,本件補正後発明の「前記プローブカードアセンブリに装着され,それによって前記プローブのいずれかが前記テスターインタフェースに電気的に接続され」に相当する構成を具備すること(前記「(2) 対比」の「エ テスターインタフェース」)にかんがみると,その裏返しとして,引用発明のプローブ機構21が,本件補正後発明の「前記プローブカードアセンブリから離脱され,それによって前記プローブのいずれかが前記テスターインタフェースから電気的に切断されるように構成される」に相当する構成を具備することは,明らかである。
そうしてみると,相違点2は相違点ではないか,少なくとも,引用発明において相違点2に係る構成を採用することは,当業者が容易になし得ることである。

したがって,本件補正後発明は,引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,同法第29条第2項の規定により特許出願の際に独立して特許を受けることができないものである。

(4) 小括
本件補正は,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明
1 本願発明について
本件補正は上記のとおり却下されたので,本件出願の請求項1ないし29に係る発明は,明細書及び図面の記載からみて,前記「第2 補正却下の決定」「1 補正の内容」「(1) 本件補正前の特許請求の範囲」に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ,その請求項8に係る発明は次のとおりである(再掲:本願発明)。
「【請求項8】
組み立てられている間にテスターに対する電気的インタフェースを形成する複数の組立要素を備えるプローブカードアセンブリと,
試験されるべき電子デバイスに接触するように配置された複数のプローブを備えるプローブ構造体と,を備え,
前記プローブ構造体が,
前記プローブカードアセンブリに装着され,それによって前記プローブのいずれかが前記テスターインタフェースに電気的に接続され,
前記プローブカードアセンブリから離脱され,それによって前記プローブのいずれかが前記テスターインタフェースから電気的に切断されるように構成される,
プローブカード装置。」

2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は,以下の理由3及び4を含むものである。
(理由3) この出願の請求項1ないし3及び8に係る発明は,その優先日前に日本国内において頒布された引用例に記載された発明であるから,特許法第29条第1項第3号に該当し,特許を受けることができない。
(理由4) この出願の請求項1ないし3及び8に係る発明は,その優先日前に日本国内において頒布された引用例に記載された発明に基づいて,その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

3 引用例に記載の事項及び引用発明
原査定の拒絶の理由に引用された引用例に記載の事項及び引用発明は,前記「第2 補正却下の決定」「3 判断(独立特許要件違反)」「(1) 引用例に記載の事項及び引用発明」に記載したとおりである。

4 対比及び判断
本願発明は,前記「第2 補正却下の決定」「3 判断(独立特許要件違反)」で検討した本件補正後発明から「前記プローブ構造体を前記プローブカードアセンブリに,一貫した反復可能な方位で取り付けるように構成された取り付け機構と,」の発明特定事項を省いたものである。
そうすると,本願発明の発明特定事項をすべて含み,さらに他の発明特定事項を付加したものに相当する本件補正後発明が,前記「第2 補正却下の決定」「3 判断(独立特許要件違反)」の「(2) 対比」及び「(3) 判断」で説示したとおり,引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであることを考慮すると,本願発明も,同様の理由により,引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。また,「前記プローブ構造体を前記プローブカードアセンブリに,一貫した反復可能な方位で取り付けるように構成された取り付け機構と,」の構成が,前記「第2 補正却下の決定」「3 判断(独立特許要件違反)」「(2) 対比」の(相違点1)に対応する構成であることを考慮すると,本願発明は,引用発明と同一であるともいえる。

第4 補正案について
審判請求人は,本件回答において,以下の補正案を提示している。
「【請求項1】
第1構造体と,
電気接点を備える第2構造体と,
前記電気接点に対する複数の電気接続部と,
前記第1構造体に対する前記第2構造体の方位を変化させるように構成された機構と,
試験される電子デバイスと接触するように配置された複数のプローブを備え,前記第2構造体に脱着されるように構成された第3構造体と,
前記第3構造体を,前記第1構造体に対する前記第2構造体の方位を変化させるように構成された機構に取り付けるように構成された取り付け機構と,を備え,
前記取り付け機構は,前記第3構造体の頂部から延在する第1締結部と,前記第1締結部と接続される,前記第1構造体に対する前記第2構造体の方位を変化させるように構成された機構が有する第2締結部と,を含み,
前記第3構造体が前記第2構造体に装着されている間に,前記プローブのいずれかが前記電気接点のいずれかに電気接続する,
プローブカード装置。」

しかしながら,本件出願の明細書(発明の詳細な説明)を参照しても,「第1締結部」及び「第2締結部」なる用語は存在しない。審判請求人は,「第1締結部」及び「第2締結部」を,それぞれ,「ボルト232」及び「ナット290」に相当する部材として説明しているが,補正案の請求項1に記載された構成は,「第1締結部」及び「第2締結部」であって,「ボルト232」及び「ナット290」ではない(新たな技術的事項を導入しないものであるとはいえない)から,補正案は,直ちに特許査定可能なものとはいえず,さらに審理を重ねることを要するものである。

第5 結び
以上のとおり,本願発明は,その優先日前に日本国内において頒布された引用例に記載された発明であるから,特許法第29条第1項第3号に該当し,特許を受けることができず,また,本願発明は,その優先日前に日本国内において頒布された引用例に記載された発明に基づいて,その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって,他の請求項に係る発明について審理するまでもなく,本願は拒絶すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-04-24 
結審通知日 2014-04-25 
審決日 2014-05-08 
出願番号 特願2008-520441(P2008-520441)
審決分類 P 1 8・ 113- Z (G01R)
P 1 8・ 121- Z (G01R)
P 1 8・ 572- Z (G01R)
P 1 8・ 575- Z (G01R)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 柳 重幸関根 洋之  
特許庁審判長 飯野 茂
特許庁審判官 森 竜介
樋口 信宏
発明の名称 互換性プローブインサートを有するプローブカードアセンブリ  
代理人 稲葉 良幸  
代理人 大貫 敏史  

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