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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F26B 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 F26B |
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管理番号 | 1303636 |
審判番号 | 不服2014-194 |
総通号数 | 189 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2015-09-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2014-01-07 |
確定日 | 2015-07-27 |
事件の表示 | 特願2013-82560号「魚節原料の乾燥方法及び魚節原料の乾燥装置」拒絶査定不服審判事件〔平成26年2月20日出願公開、特開2014-32003号〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成25年4月11日(優先権主張平成24年7月9日)の出願であって、平成25年10月8日付けで拒絶査定がされ、これに対し、平成26年1月7日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正がなされたものである。 第2 平成26年1月7日付けの手続補正についての補正却下の決定 1 補正却下の決定の結論 平成26年1月7日付けの手続補正を却下する。 2 理由 (1)補正の内容 平成26年1月7日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)は、特許請求の範囲についての補正を含むものであって、請求項1について補正前後の記載を示すと以下のとおりである。 (補正前の請求項1) 「魚節原料から頭、内臓を除去し、除去後、煮熟又は蒸煮し、その後、乾燥させる魚節原料の乾燥方法であって、 前記魚節原料を乾燥させるものは魚節原料の乾燥装置であり、 この魚節原料の乾燥装置は、 密閉された空間を有すると共に、乾燥させる魚節原料の搬入、搬出のための第1の扉を設けた本体と、 この本体内に設けられ、前記本体内の空気中の水分を除去する水分除去手段と、 前記本体内に設けられ、前記水分除去手段により水分を除去された空気を加熱する加熱手段と、 前記本体内に設けられた送風機と、 前記本体内に設けられ、前記送風機の吸い込み側に設けられた吸い込み通路と、 吸気口を前記本体内に位置させ、排出口を前記吸い込み通路に接続すると共に、内部に前記乾燥させる魚節原料を載置する複数の載置部材を有する載置体とを備え、 前記複数の載置部材に前記乾燥させる魚節原料を載置し、 前記吸い込み通路へ流入する空気は、前記吸気口を介して前記載置体内を経由した空気のみであり、 前記本体内の温度を約35℃?約55℃に保ち、前記載置体内の圧力を-250Pa?-350Paに減圧して、前記吸気口を介して流入する空気を前記乾燥させる魚節原料に接触させて、前記魚節原料を乾燥させる ことを特徴とする魚節原料の乾燥方法。」 (補正後の請求項1) 「魚節原料から頭、内臓を除去し、除去後、煮熟又は蒸煮し、その後、乾燥させる魚節原料の乾燥方法であって、 前記魚節原料を乾燥させるものは魚節原料の乾燥装置であり、 この魚節原料の乾燥装置は、 密閉された空間を有すると共に、乾燥させる魚節原料の搬入、搬出のための第1の扉を設けた本体と、 この本体内に設けられ、前記本体内の空気中の水分を除去する水分除去手段と、 前記本体内に設けられ、前記水分除去手段により水分を除去された空気を加熱する加熱手段と、 前記本体内に設けられた送風機と、 前記加熱手段により加熱された空気を前記本体内に送風する送風口と、 前記本体内に設けられ、前記送風機の吸い込み側に設けられた吸い込み通路と、 前記送風口とは別個である吸気口を前記本体内に位置させ、排出口を前記吸い込み通路に接続すると共に、内部に前記乾燥させる魚節原料を載置する複数の載置部材を有する載置体とを備え、 前記複数の載置部材に前記乾燥させる魚節原料を載置し、 前記吸い込み通路へ流入する空気は、前記吸気口を介して前記載置体内を経由した空気のみであり、 前記本体内の温度を約35℃?約55℃に保ち、前記載置体内の圧力を-250Pa?-350Paに減圧して、前記吸気口を介して流入する空気を前記乾燥させる魚節原料に接触させて、前記魚節原料を乾燥させる ことを特徴とする魚節原料の乾燥方法。」 (2)補正の適否 上記補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「魚節原料の乾燥装置」について、「前記加熱手段により加熱された空気を前記本体内に送風する送風口」を備える旨の限定を付加するとともに、「吸気口」について、「前記送風口とは別個である」との限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する特許法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。 ア 本願補正発明 本願補正発明は、本件補正後の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである(上記(1)の(補正後の請求項1)参照。)。 イ 刊行物に記載された事項 (ア)刊行物1に記載された事項 原査定で文献1として引用され、本願優先権主張日前に頒布された刊行物である「特開2007-202503号公報」(以下、「刊行物1」という。)には、以下の事項が記載されている。 (刊1-1)「【請求項1】 生魚を乾燥室に収納して遠赤外線を照射する干物製造装置において、 前記乾燥室の内壁面はセラミックスで構成し、 前記乾燥室内又は室外には前記セラミックスを加熱するための加熱手段と前記乾燥室内の空気を強制的に循環させる送風手段とを設け、 前記加熱手段を用いて前記セラミックスを加熱し、前記送風手段を用いて前記乾燥室内の空気を強制的に循環させつつ生魚を乾燥するようにした干物製造装置 【請求項2】 乾燥室の対向する壁面の外側及び天井の外側に暖気流路を設け、前記対向する一方の壁面には暖気流路と乾燥室とを連通する流入口を設け、他方の壁面には乾燥室と暖気流路とを連通する排気口を設け、この排気口には吸気ファンを配設し、この吸気ファンの外側の暖気流路に加熱装置を配設した、 請求項1記載の干物製造装置」 (刊1-2)「【発明の効果】 【0013】 この発明によれば、乾燥室内壁面をセラミックスで構成すると共に乾燥室内の空気を強制的に循環させる送付手段を設けたので、乾燥室内部に収納される大量の生魚に均一に遠赤外線を照射することができる。さらに、送風手段を設けて乾燥室内の空気を循環させることとしたので、遠赤外線照射と送風乾燥を同時にできるだけでなく、室内温度を一様にすることもできるので、生魚に照射される遠赤外線の照射温度を一様にすることができ、生魚の遠赤外線照射及び乾燥を均一にムラなく行うことができる。 そして、遠赤外線の照射温度を60度C程度として1時間生魚に照射することにより、生魚内に存在するイノシン酸フォスファターゼ等のイノシン酸分解酵素を完全に失活させて魚体中のイノシン酸の分解を抑止でき、味のよい干物を製造するとともに、鮮度のよい良質な干物を製造することができる。」 (刊1-3)「【0014】 図1はこの発明の干物製造装置の実施例の断面図を示したものであり、干物製造装置1の構成は以下のとおりである。 平面方形とした乾燥室2の一方の壁面の外側に外側に上下に亘り暖気流路3を設け、この暖気流路3に加熱装置(例えばボイラー)4が設置してある。前記暖気流路3の設けられた壁面と対向する乾燥室2の壁面の外側に上下に亘り暖気流路5を設け、乾燥室2の天井外側に前記暖気流路3と暖気流路5を連結する暖気流路6を設けてある。 乾燥室2の内壁面は全面が遠赤外線セラミックス7で構成してある。 前記加熱装置4が備えられた暖気流路3と乾燥室2の間には吸気口が設けてあり、この吸気口には乾燥室2内の空気を取り入れる吸気ファン8が取り付けてある。また、前記暖気流路5と乾燥室2との間には送風口9が設けてある。 図中符号10は乾燥棚、11は魚である。 【0015】 前記加熱装置4は温度設定が可能としてあり、遠赤外線セラミックス7から生魚に照射される遠赤外線の温度が60度Cとなるように乾燥室2内には温度センサーが設けられており、この温度センサーからの信号によって常に遠赤外線の温度が60度Cとなるように加熱手段4の自動制御ができるようになっている。 図中符号41は加熱装置の空気取入口、42は排気口である。 【0016】 上記装置の作動は以下のとおりである。 加熱装置4によって加熱された空気は、図中矢印のように、暖気流路3から暖気流路6、暖気流路5を通り、送風口9から乾燥室2内に流入する。乾燥室2内の暖気は前記吸気ファン8によって反対側へ引かれ、乾燥室2を横断して吸気口から加熱装置が設置された暖気流路3に戻り、ここで再加熱され前記と同様に循環する。 前記において、暖気は前記暖気流路の通過中にセラミックス7を加熱し、乾燥室2内においてもセラミックス7を加熱するので、遠赤外線セラミックス7からは加熱温度に応じた温度の遠赤外線を生魚に照射する。 【0017】 次に、この装置を用いた干物の製造方法を説明する。 干物にする生魚を背開き又は腹開きして内臓を除去した後、10分?15分塩水に浸す。その後、水洗い・水切りを行った後、加熱手段31によって予め60度Cの遠赤外線が照射されている乾燥室2内に収納し、照射温度が60度の遠赤外線を生魚6に1時間照射する。このとき、乾燥室の室温も60度Cとなるよう調整する。遠赤外線を照射する間、送風手段4を用いて乾燥室5内の空気を循環させて乾燥を行う。乾燥工程が終了した後、干物を乾燥室内から出し、完成品として適宜包装する。」 (刊1-4)第1図から、乾燥室2の内部に乾燥させる魚11を載置する乾燥棚10を有することが看取できる。 (イ)刊行物2に記載された事項 原査定で文献2として引用され、本願優先権主張日前に頒布された刊行物である「特開平9-75048号公報」(以下、「刊行物2」という。)には、以下の事項が記載されている。 (刊2-1)「【0009】このような構成によって、食品乾燥過程では乾燥剤と食品の間の空気を循環させる。乾燥剤により相対湿度を低下させた空気は食品を乾燥する。食品は水分を蒸発することにより低温になるが、一方で乾燥剤の吸着熱が等量発生するため乾燥空気は湿潤空気よりも高温となり、潜熱により低温となった食品を常温に戻す。このため乾燥速度の低下はない。脱着水分を含む空気を乾燥した食品に触れさせると食品が再び濡れると共に臭くなる。このため、乾燥剤乾燥過程では外気を食品収納部から乾燥剤収納部に流す。」 (ウ)刊行物3に記載された事項 原査定で文献3として引用され、本願優先権主張日前に頒布された刊行物である「特開平9-56327号公報」(以下、「刊行物3」という。)には、以下の事項が記載されている。 (刊3-1)「【0015】尚、この空気流の循環は、除湿機等の除湿手段、加熱・冷却フィン等の送風機、温度センサー等の温度調整手段、ダクトや外気取入孔若しくは排気孔等の通気手段を介して行われる。」 (刊3-2)「【0024】このように構成される本発明の乾燥装置は、電源スイッチを入れることにより、前記温度調節手段3、送風機4等が作動して略30℃に調整された空気が前記送風機4にてダクト5,6へ送り込まれ、次いで、該ダクト5,5…の吹出口(図示せず)から前記棚2,2…に直下すべく吹き出された空気が、棚2,2…を通過して下位の空気流路7に到達し、然る後、徐湿器8を経て、再度、温度調節手段3、送風機4,4…へと循環されものであり、斯かる循環対流を繰り返しながら棚2,2…に載置されている野菜又は果実等の被乾燥物をゆっくりと時間をかけて風乾することができるものである。」 (エ)刊行物4に記載された事項 原査定で文献4として引用され、本願優先権主張日前に頒布された刊行物である「特開2004-125387号公報」(以下、「刊行物4」という。)には、以下の事項が記載されている。 (刊4-1)「【請求項18】 請求項1-17のどれか1項に記載の含水物質の乾燥装置において、 前記乾燥室容器(1)に空気除湿器(44)・空気加熱器(45)・および送風器(46)を空気循環可能に連通させ、 この送風器(46)で送風される乾燥用空気は、まず空気除湿器(44)で除湿したのち、空気加熱器(45)で温度上昇させて相対湿度を低下させておき、 次いで乾燥室容器(1)内で遠心方向拡散移送装置(2)および求心方向集束移送装置(3)を通過する段階で、拡散用載せ板(8)上で拡散操作手段(9)により拡散移動させられて行く被乾燥物(5)と、集束用載せ板(11)上で集束操作手段(12)により集束移動させられて行く被乾燥物(5)とから水分を吸収して、これらの被乾燥物(5)(5)を乾燥させて行き、 そして再び空気除湿器(39)で除湿したのち、空気加熱器(40)に戻して温度上昇させてから、乾燥室容器(1)に循環させるように構成した、 ことを特徴とする含水物質の乾燥装置。」 (オ)刊行物5に記載された事項 原査定で文献5として引用され、本願優先権主張日前に頒布された刊行物である「特開平8-247648号公報」(以下、「刊行物5」という。)には、以下の事項が記載されている。 (刊5-1)「【請求項2】多数の被乾燥体を棚状に収納した載置台を直線状に複数台収容することのできる乾燥室の上部に遠赤外線ヒータを所定間隔おきに複数台配設し、この遠赤外線ヒータからの熱により前記乾燥室内を平均加熱するとともに、前記乾燥室内に連通する給気手段と排気手段とを配設し、前記給気手段により前記乾燥室内に外部の空気を導入する一方、前記排気手段により前記乾燥室内の空気を排出して前記乾燥室内の圧力を常時減圧状態に維持させるようにした被乾燥体の乾燥システムであって、 前記乾燥室内の対向する一対の側壁面のうち一方の側壁面に、対向する他方の側壁面に向かって略水平方向の空気流を生じさせる循環送風手段を配設し、この循環送風手段から送出される空気により、前記載置台の内方に水平方向の空気流の流れを形成したことを特徴とする被乾燥体の乾燥システム。」 (刊5-2)「【0011】また、上記第2の構成による本発明によれば、遠赤外線ヒータにより乾燥室内を均一に加熱し、さらに、乾燥室内を減圧状態に維持し、また略水平方向への空気流の流れを形成して、室内の気流を循環させているので、載置台に収容された多数の被乾燥体を、少ない投入エネルギーでしかも短時間のうちに表面のみならず内部からも水分を蒸発することができる。」 (刊5-3)「【0030】このような乾燥システム50では、給気手段56を介して外部の新鮮な空気が第2の部屋52を介して供給され、さらに乾燥室51内に供給され、乾燥室51では全体として気流が循環されている。また、排気手段57を介して乾燥室51内の空気が外部に排出されている。さらに、乾燥室51内では、給気能力に比べて排気能力を大幅に増やすことにより、圧力が例えば、大気圧より3mb以上、好ましくは10mb以上低い圧力に維持されている。」 (刊5-4)「【0037】また、乾燥室51内で乾燥するものとしては、例えば、アジ、サバ、サケ、片口鰯、畳鰯、鰈などの魚類の他、タコ、ホタテ、アサクサノリ、コンブ、桜貝、海鼠などの他の海産物が挙げられる。」 (刊5-5)「【0045】本発明のシステムでは、乾燥に要する時間が従来に比べて極めて短くて済み、しかも、乾燥する際の温度や圧力は遠赤外線ヒータ、給気手段および排気手段で自由に調整することができるので、最もイノシン酸が多いときに乾燥を終了するように調整することが可能である。したがって、いかなる被乾燥体を乾燥する場合にも、最もイノシン酸の量を多く含む乾燥物を得ることができる。本システム中、たとえば生の魚を乾燥する場合、乾燥温度としては、例えば0?50℃好ましくは10?40℃の範囲であり、初期の乾燥には30℃で20時間、次いで10℃で30時間をかけ、その後38℃にするなど適宜温度を調整してイノシン酸を多く含む乾燥物を得ることができる。」 (カ)刊行物6に記載された事項 原査定で文献6として引用され、本願優先権主張日前に頒布された刊行物である「特開平7-50986号公報」(以下、「刊行物6」という。)には、以下の事項が記載されている。 (刊6-1)「【請求項3】 煮熟された鰹の肉を燻煙させて乾燥させる鰹節の焙乾方法において、本体内に煮熟された鰹の肉を載置し、前記本体内を温度35℃?55℃、湿度50%?80%で、燻煙の雰囲気中に保持して前記鰹の肉表面に燻煙成分を付着させる煙付工程と、この煙付工程の後、前記本体内の湿度を下げて前記鰹の肉を乾燥させる乾燥工程とからなることを特徴とする鰹節の焙乾方法。」 (刊6-2)「【0020】先ず、温度の高低を自由に調整するために、薪の燃焼による温度の上昇に頼ることなく、独立した熱源を高熱の熱交換器3(高温側)、蒸発器4(低温側)からとり、又、加湿を加湿手段5(例えば、加湿ノズル)、除湿を蒸発器4により行ない、温度、湿度の調整を温度制御手段9、湿度制御手段10により制御している。」 (刊6-3)「【0025】本体2内は、側壁から天井部にかけて逆L字状に通路18が設けられ、通路18内には、通路18内の空気流れに沿って蒸発器4、高熱の熱交換器3、ファン11が順次配列されている。」 (刊6-4)「【0028】先ず、本体2内に煮熟された鰹の肉21を載置し、本体2内を温度35℃?55℃、湿度50%?80%(より望ましくは、温度35℃?55℃、湿度70%)で、燻煙の雰囲気中に保持して鰹の肉21表面に燻煙成分を付着させる煙付工程(例えば、鰹の肉3Kgの場合、約2時間程度)と、この煙付工程の後、本体2内の湿度(例えば、湿度20%以下)を下げて鰹の肉21の表面側を乾燥させる乾燥工程(例えば、鰹の肉3Kgの場合、約3時間程度、設定温度55℃)、この乾燥工程の後、本体内の温度(例えば、設定温度10℃?30℃、より望ましくは、設定温度15℃?20℃)を下げて鰹の肉21の中心水分を鰹の肉21の表面側に引き出すために、本体2内の温度を下げる冷却工程と、この冷却工程の後、鰹の肉21の表面の劣化を防止すると共に鰹の肉21の水分の均一化を図るために、温度25℃?35℃、湿度80%以上に保つあん蒸工程(例えば、鰹の肉3Kgの場合、約1時間程度)とからなるもので、この一連の煙付工程→乾燥工程→冷却工程→あん蒸工程を10?13回程度、順次繰り返して鰹節を焙乾する。」 (キ)刊行物7に記載された事項 原査定で文献7として引用され、本願優先権主張日前に頒布された刊行物である「特開平9-9920号公報」(以下、「刊行物7」という。)には、以下の事項が記載されている。 (刊7-1)「【0025】 【実施例1】本発明では図1に示す節用生魚肉1に細い管状の突き刺し具2を突き刺し、その突き刺し具2を通して節用生魚肉1に液体調味料を注入する。この場合、節用生魚肉1として、かつお、そうだかつお、まぐろ、さば、あじ、いわし等の赤身魚を用いる。これらの原料魚は丸(魚体)のまま、又は魚体を生切りして、内臓のみを除去、頭と内臓を除去、頭と腹面と内臓を除去、二枚卸、三枚卸、四つ割卸、万切り卸等の適宜の形態に切り分けて節用生魚肉1として用いる。」 (刊7-2)「【0031】本発明では前記の様に液体調味料を注入した節用生魚肉1を加熱により蛋白質凝固させてなまり節とする。このときの加熱は煮熟や蒸煮、又は遠赤外線、マイクロ波、高周波等の照射、或は通電(ジュール熱)加熱等によつて行なう。何れの場合も節用生魚肉1の蛋白質が十分に熱凝固するように加熱しなければならないので、節用生魚肉1の中心温度が少なくとも60℃以上となるように加熱する必要がある。このようにして節用生魚肉1をなまり節とする。」 (刊7-3)「【0033】また、本発明では前記の様にして得られたなまり節を常法により加工して味付け魚煮干しとすることもある。この場合の加工は、なまり節のうち、いわし、あじ、さば等の小形魚や仔魚を原料としたなまり節を常法により、乾燥加工して、味付け魚煮干しとする。」 ウ 刊行物1に記載された発明 上記記載事項から、刊行物1には、 「生魚を乾燥室に収納して遠赤外線を照射する干物製造装置において、 平面方形とした乾燥室2の一方の壁面の外側に上下に亘り暖気流路3を設け、この暖気流路3に加熱装置4が設置してあり、前記暖気流路3の設けられた壁面と対向する乾燥室2の壁面の外側に上下に亘り暖気流路5を設け、乾燥室2の天井外側に前記暖気流路3と暖気流路5を連結する暖気流路6を設け、 前記暖気流路5と乾燥室2との間には送風口9が設けてあり、 前記加熱装置4が備えられた暖気流路3と乾燥室2の間には吸気口が設けてあり、この吸気口には乾燥室2内の空気を取り入れる吸気ファン8が取り付けてあり、 乾燥室2の内部に乾燥させる魚11を載置する乾燥棚10を有し、 加熱装置4によって加熱された空気は、暖気流路3から暖気流路6、暖気流路5を通り、送風口9から乾燥室2内に流入し、乾燥室2内の暖気は前記吸気ファン8によって反対側へ引かれ、乾燥室2を横断して吸気口から加熱装置が設置された暖気流路3に戻り、ここで再加熱され前記と同様に循環する 干物にする生魚の乾燥方法」 の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているということができる。 エ 対比 本願補正発明と引用発明とを対比すると、 引用発明の「送風口9」及び「吸気口」は、その機能に照らし、それぞれ本願補正発明の「吸気口」及び「排出口」に相当する。 引用発明の「生魚」と本願補正発明の「魚節原料」とは、「魚原料」との限度で一致する。 引用発明の「干物製造装置」は、「生魚を乾燥室に収納して」「干物にする生魚の乾燥」を行うから、本願補正発明の「魚節原料の乾燥装置」と、少なくとも「魚原料を乾燥させるもの」であって「魚原料の乾燥装置」である限度で一致する。 また、引用発明の「干物製造装置」は、「加熱装置4によって加熱された空気は、暖気流路3から暖気流路6、暖気流路5を通り、送風口9から乾燥室2内に流入し、乾燥室2内の暖気は前記吸気ファン8によって反対側へ引かれ、乾燥室2を横断して吸気口から加熱装置が設置された暖気流路3に戻り、ここで再加熱され前記と同様に循環する」ものであるから、加熱された空気が筐体内の密閉された空間内を循環することは明らかであり、「干物製造装置」の筐体は、本願補正発明の「密閉された空間を有する」「本体」に相当する。 引用発明の「加熱装置」は、「干物製造装置」の筐体内に設けられ、空気を加熱するものであるから、本願補正発明の「本体内に設けら」れた「空気を加熱する加熱手段」に相当する。 引用発明の「吸気ファン8」は、「干物製造装置」の筐体内に設けられているから、本願補正発明の「前記本体内に設けられた送風機」に相当する。 引用発明の「暖気流路3」と「暖気流路6」を連結する箇所は、暖気流路3に設置された加熱装置4によって加熱された空気を、「干物製造装置」の筐体内に送風する箇所といえるから、本願補正発明の「前記加熱手段により加熱された空気を前記本体内に送風する送風口」に相当する。 本願補正発明の「吸い込み通路」は、「送風機の吸い込み側に設けられた」ものであるところ、「排出口を前記吸い込み通路に接続する」ものであることや、明細書及び図面の記載を考慮すれば、「送風機の吸い込み側に設け」るとは、送風機による空気流れの下流側に設けることを意味すると認められる。そうしてみると、引用発明の「暖気流路3」は、「干物製造装置」の筐体内に設けられており、「暖気流路3と乾燥室2の間には吸気口が設けてあり、この吸気口には乾燥室2内の空気を取り入れる吸気ファン8が取り付けてあ」り、吸気ファン8による空気流れの下流側に設けられた通路といえるから、本願補正発明の「前記本体内に設けられ、前記送風機の吸い込み側に設けられた吸い込み通路」に相当する。 引用発明の「乾燥棚10」及び該乾燥棚10に「乾燥させる魚11を載置する」は、本願補正発明の「前記乾燥させる魚節原料を載置する複数の載置部材」及び「前記複数の載置部材に前記乾燥させる魚節原料を載置」すると、それぞれ、「前記乾燥させる魚原料を載置する載置部材」及び「載置部材に前記乾燥させる魚原料を載置」するとの限度で一致する。 引用発明の「乾燥室2」は、暖気流路5との間に送風口9を「干物製造装置」の筐体内に位置させており、上記送風口9が「暖気流路3」と「暖気流路6」を連結する上記箇所とは別個であって、また、「暖気流路3と乾燥室2の間には吸気口が設けてあ」ることから吸気口を暖気流路3に接続するといえ、さらに、「乾燥室2の内部に乾燥させる魚11を載置する乾燥棚10を有し」ていることから、本願補正発明の「載置体」とは「前記送風口とは別個である吸気口を前記本体内に位置させ、排出口を前記吸い込み通路に接続すると共に、内部に前記乾燥させる魚原料を載置する載置部材を有する載置体」との限度で一致する。 引用発明の「暖気流路3」へ流入する空気について、「送風口9から乾燥室2内に流入し、乾燥室2内の暖気は前記吸気ファン8によって反対側へ引かれ、乾燥室2を横断して吸気口から加熱装置が設置された暖気流路3に戻」ることは、本願補正発明の「前記吸い込み通路へ流入する空気は、前記吸気口を介して前記載置体内を経由した空気のみであり」に相当する。 引用発明の「干物にする生魚の乾燥方法」は、送風口9から乾燥室2内に流入する空気を乾燥させる魚11に接触させることが明らかであるから、本願補正発明の「魚節原料の乾燥方法」とは、「前記吸気口を介して流入する空気を前記乾燥させる魚原料に接触させて、前記魚原料を乾燥させる」「魚原料の乾燥方法」との限度で一致する。 そうすると、両者は、 「魚原料を乾燥させるものは魚原料の乾燥装置であり、 この魚原料の乾燥装置は、 密閉された空間を有する本体と、 前記本体内に設けられ、空気を加熱する加熱手段と、 前記本体内に設けられた送風機と、 前記加熱手段により加熱された空気を前記本体内に送風する送風口と、 前記本体内に設けられ、前記送風機の吸い込み側に設けられた吸い込み通路と、 前記送風口とは別個である吸気口を前記本体内に位置させ、排出口を前記吸い込み通路に接続すると共に、内部に前記乾燥させる魚原料を載置する載置部材を有する載置体とを備え、 前記載置部材に前記乾燥させる魚原料を載置し、 前記吸い込み通路へ流入する空気は、前記吸気口を介して前記載置体内を経由した空気のみであり、 前記吸気口を介して流入する空気を前記乾燥させる魚原料に接触させて、前記魚原料を乾燥させる 魚原料の乾燥方法。」の点で一致し、以下の各点で相違している。 [相違点1] 本体について、本願補正発明は、「乾燥させる魚節原料の搬入、搬出のための第1の扉を設けた」ものであるのに対し、引用発明は、そのような特定がなされていない点。 [相違点2] 本願補正発明は、「本体内に」、「本体内の空気中の水分を除去する水分除去手段」を有し、「水分除去手段により水分を除去された空気」を加熱するのに対し、引用発明は、そのような特定がなされていない点。 [相違点3] 載置体が有する載置部材が、本願補正発明は、複数であるのに対し、引用発明は、そのような特定がなされていない点。 [相違点4] 魚原料の乾燥方法について、本願補正発明は、「魚節原料から頭、内臓を除去し、除去後、煮熟又は蒸煮し、その後、乾燥させる魚節原料の乾燥方法であって」、その際の乾燥条件が、「前記本体内の温度を約35℃?約55℃に保ち、前記載置体内の圧力を-250Pa?-350Paに減圧して」いるのに対し、引用発明は、「干物にする生魚の乾燥方法」である点。 オ 判断 (ア)[相違点1]について 引用発明は、魚原料の搬入、搬出のための扉を設けることの特定がなされていないが、刊行物1の第【0017】段落に「干物にする生魚を・・・乾燥室2内に収納し、・・・乾燥工程が終了した後、干物を乾燥室内から出し、・・・」と記載されているように、製造装置内に魚原料の搬入、搬出のための構成が必要であるから、搬入、搬出のための構成として慣用技術である扉を設けることは、当業者が容易に想到し得たことである。 (イ)[相違点2]について 魚を始めとする食品の乾燥方法として、湿度を下げることにより乾燥することは、刊行物2の摘示(刊2-1)及び(刊2-2)並びに刊行物3の摘示(刊3-1)及び摘示(刊3-2)にも例示されるように、本願優先権主張日前に周知の事項であるとともに、また、乾燥用空気を除湿した上で加熱することも刊行物3の摘示(刊3-1)及び摘示(刊3-2)、刊行物4の摘示(刊4-1)並びに刊行物6の摘示(刊6-2)及び摘示(刊6-3)、にも例示されるように、本願優先権主張日前に周知の事項であるところ、引用発明の乾燥方法において、単に空気を加熱するだけでなく、より効率的に魚原料を乾燥させるために、上記周知の事項を適用することにより、相違点2に係る本願補正発明の構成となすことは当業者が容易に想到し得たことである。 (ウ)[相違点3]について 魚を含む海産物等の乾燥方法として、載置部材を複数設けて多くの被乾燥体を乾燥させることは、刊行物5の摘示(刊5-1)及び(刊5-4)にも例示されるように、本願優先権主張日前に周知の事項であることから、引用発明の乾燥方法において、より多くの被乾燥体を乾燥させるために上記周知の事項を適用することにより、相違点3に係る本願補正発明の構成となすことは当業者が容易に想到し得たことである。 (エ)[相違点4]について 魚節の製造において、魚節原料から頭、内臓を除去し、除去後、煮熟又は蒸煮し、その後、乾燥させることは、刊行物6の摘示(刊6-1)及び(刊6-4)並びに刊行物7の摘示(刊7-1)、(刊7-2)及び(刊7-3)にも例示されるように、本願優先権主張日前に周知の事項である。 また、刊行物5には、摘示(刊5-1)ないし(刊5-5)より、乾燥室内の圧力を常時減圧状態に維持させるようにした魚類の乾燥システムにおいて、乾燥室51内では、給気能力に比べて排気能力を大幅に増やすことにより、圧力が例えば、大気圧より3mb低い圧力に維持され、被乾燥体を少ない投入エネルギーでしかも短時間のうちに表面のみならず内部からも水分を蒸発することができる技術事項が記載されている。 刊行物5に記載された「乾燥室」は、本願補正発明の「載置体」に相当し、また、1mbは100Paであることから、刊行物5に記載された乾燥室51内で圧力が大気圧より3mb低い圧力に維持されることは、大気圧より300Pa低い圧力に維持されることを意味しており、本願補正発明の「載置体内の圧力を-250Pa?-350Paに減圧して」に相当する。 引用発明と、魚節原料を乾燥させる上記周知の事項とは、魚原料を乾燥させる点で共通しており、引用発明の乾燥方法により、単に対象を変更するだけで、生魚以外の魚原料を乾燥できることも当業者には明らかである。 してみれば、引用発明において、乾燥対象を生魚から魚節原料に変更し、魚節原料の乾燥方法とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。そして、その際の乾燥条件、つまり、装置内の温度や載置体内の圧力等は、魚原料の種類、大きさ、乾燥目的等に応じて適宜設定し得るところ、少ない投入エネルギーでしかも短時間のうちに乾燥させるという一般的な課題を解決するために、刊行物5の乾燥室内の圧力を常時減圧状態、例えば、大気圧より300Pa低い圧力に維持させる技術的事項を適用しつつ、本体内の温度について、刊行物5の摘示(刊5-5)の例えば0?50℃好ましくは10?40℃の範囲や、刊行物6の摘示(刊6-4)の35℃?55℃の煙付工程及び55℃の乾燥工程の温度範囲等を参考に本願補正発明のように設定することは、当業者が容易に想到し得たことである。 よって、相違点4に係る本願補正発明の構成は、当業者が容易に想到し得たことである。 そして、本願補正発明の効果について、請求人は審判請求書において、乾燥させる魚節原料の水分を魚節原料の中心部から表面側へと移行させると共に、表面側へと移行した水分は、本件発明者が試行錯誤した結果見出した-250Pa?-350Paの減圧下にあって蒸散が促進され、蒸散された水分は乾燥空気に移行され、その結果、魚節原料の内部までも乾燥させることができる(以下「アの効果」という。)点、被乾燥対象の魚節原料の乾燥が進むと、魚節原料が縮小化し、そのままでは、載置体内の圧力が上昇するが、載置体内の圧力を、大気圧より250Pa?350Paの範囲内に保つことにより、魚節原料の縮小化にも対応することができる(以下「イ’の効果」という。)点、及び減圧する部位を本体内空間全体ではなく、送風口とは別個である吸気口を本体内に位置させ、排出口を吸い込み通路に接続すると共に、内部に乾燥させる魚節原料を載置する複数の載置部材を有する載置体としているため、減圧したい部位を載置体が置かれている本体内部空間全体ではなく乾燥させたい載置体内部と減圧部位を小さくして、送風機の吸引による載置体内の圧力低下を効率良く行うことができる(以下「ウ’の効果」という。)点を主張するので、検討する。 ア及びイ’の効果について、上記のとおり、刊行物5には乾燥室内の圧力を常時減圧状態(例えば、大気圧より300Pa低い圧力)に維持させ、表面のみならず内部からも水分を蒸発することができる技術事項が記載されており、圧力に関する最適値は魚原料の種類、大きさ、乾燥目的等に応じて適宜設定し得るものであるから、引用発明、周知の事項及び刊行物5に示される技術事項から当業者が予測できた範囲内のものであり、格別に顕著な効果ではない。 また、ウ’の効果に関連して、請求人は、「本願発明は「前記送風口とは別個である吸気口・・・」と明確に補正したように、文献1の送風口と本願の発明の吸気口とは対応してい」ない点を主張するが、前記「第2 2(2)エ」で検討したとおり、引用発明の「暖気流路3」と「暖気流路6」を連結する箇所が、本願補正発明の「前記加熱手段により加熱された空気を前記本体内に送風する送風口」に相当し、引用発明の「送風口9」が、本願補正発明の「吸気口」に相当するから、請求人の主張は採用できない。 さらに、ウ’の効果に関連して、請求人は、本願補正発明の本体内の空間が、審判請求書の図に示す空間ABCD、すなわち引用発明の乾燥室2であり、本願補正発明の載置体の空間が、審判請求書の図に示す空間abcd、すなわち引用発明の乾燥棚10の一部である旨の主張をするが、本願補正発明の本体は、「密閉された空間を有すると共に、乾燥させる魚節原料の搬入、搬出のための第1の扉を設けた本体」であって、その本体内に、少なくとも「水分除去手段」、「加熱手段」、「送風機」及び「吸い込み通路」が設けられていることから、請求人が主張するような対応関係が適切でないことは明らかであって、前記「第2 2(2)エ」で検討したとおり、引用発明の「干物製造装置」の筐体が、本願補正発明の「密閉された空間を有する」「本体」に相当し、引用発明の「乾燥室」と本願補正発明の「載置体」が、「前記送風口とは別個である吸気口を前記本体内に位置させ、排出口を前記吸い込み通路に接続すると共に、内部に前記乾燥させる魚原料を載置する載置部材を有する載置体」との限度で一致することから、請求人の主張は採用できない。 そうしてみると、ウ’の効果についても、引用発明、周知の事項及び刊行物5に示される技術事項から当業者が予測できた範囲内のものであり、格別に顕著な効果ではない。 カ むすび 以上のとおり、本願補正発明は、引用発明、周知の事項及び刊行物5に示される技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際、独立して特許を受けることができない。 したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明 本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成25年9月3日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである(第2 2(1)(補正前の請求項1)参照。)。 第4 刊行物に記載された事項 原査定の拒絶の理由に引用された刊行物及びその記載事項は、前記「第2 2(2)イ」のとおりであり、刊行物1に記載された発明は、前記「第2 2(2)ウ」のとおりである。 第5 判断 本願発明は、前記「第2」で検討した本願補正発明から、「前記加熱手段により加熱された空気を前記本体内に送風する送風口」を備える旨の限定事項及び吸気口について「前記送風口とは別個である」との限定事項を省いたものである。 そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の限定を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「第2 2(2)」に記載したとおり、引用発明、周知の事項及び刊行物5に示される技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用発明、周知の事項及び刊行物5に示される技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第6 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明、周知の事項及び刊行物5に示される技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることはできない。 したがって、本願は、その余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2015-05-19 |
結審通知日 | 2015-05-26 |
審決日 | 2015-06-09 |
出願番号 | 特願2013-82560(P2013-82560) |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(F26B)
P 1 8・ 121- Z (F26B) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 北村 悠美子 |
特許庁審判長 |
紀本 孝 |
特許庁審判官 |
佐々木 正章 小野 孝朗 |
発明の名称 | 魚節原料の乾燥方法及び魚節原料の乾燥装置 |
代理人 | 入江 一郎 |