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審決分類 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 H04L
審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない。 H04L
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 H04L
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04L
管理番号 1303639
審判番号 不服2014-6926  
総通号数 189 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-09-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-04-14 
確定日 2015-07-27 
事件の表示 特願2011-179872「バーストモードクロック、データ復元装置、および方法」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 3月 1日出願公開、特開2012- 44671〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成23年8月19日(パリ条約による優先権主張2010年8月19日 大韓民国、2011年8月18日 大韓民国)の出願であって、原審において平成24年10月30日付けで拒絶理由が通知され、平成25年2月1日付けで手続補正され、同年4月22日付けで最後の拒絶理由が通知され、同年8月7日付けで手続補正されたが、同年12月6日付けで補正の却下の決定がなされるとともに、同日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成26年4月14日に拒絶査定不服の審判が請求されるとともに、同日付けで手続補正されたものである。

第2 補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成26年4月14日付けの手続補正を却下する。

[理由1]
(1)本件補正
平成26年4月14日付け手続補正(以下、「本件補正」という。)は、特許請求の範囲の請求項1ないし11を次のように補正するものである。

(補正前)
「【請求項1】
複数の光ネットワークユニットからパケットデータを含む光信号をそれぞれ受信する受信部と、
前記受信した光信号に対応する一定のパワーの電気的な信号に復旧するパワー復旧部と、
前記復旧した電気的な信号のうち前記パケットデータが存在しない時間区間にダミーデータを挿入するデータ挿入部と、
復旧したデータに含まれた上位レイヤ情報を用いて無音区間の正確な開始時点及び終了時点を判断し、前記無音区間の正確な開始時点及び終了時点を含む制御信号を生成してパワー復旧部及びバーストアダプテーションブロックに前記制御信号を送信するMACと、
を備えることを特徴とする光回線端末。
【請求項2】ないし【請求項7】(略)
【請求項8】
光ネットワークユニットからパケットデータを含む光信号を受信する受信部と、
前記パケットデータに同期化されたダミーデータを生成するダミーデータ生成部と、
前記光信号のうち前記パケットデータが存在しない時間区間に前記ダミーデータを挿入するダミーデータ挿入部と、
復旧したデータに含まれた上位レイヤ情報を用いて無音区間の正確な開始時点及び終了時点を判断し、前記無音区間の正確な開始時点及び終了時点を含む制御信号を生成してパワー復旧部及びバーストアダプテーションブロックに前記制御信号を送信するMACと、
を備えることを特徴とする光回線端末。
【請求項9】ないし【請求項11】(略)」

(補正後)
「【請求項1】
複数の光ネットワークユニットからパケットデータを含む光信号をそれぞれ受信する受信部と、
前記受信した光信号に対応する一定のパワーの電気的な信号に復旧するパワー復旧部と、
前記復旧した電気的な信号のうち前記パケットデータが存在しない時間区間にダミーデータを挿入するデータ挿入部と、
前記ダミーデータが挿入された前記復旧した電気的な信号から前記パケットデータを復元するデータ及びクロック復元部と、
前記復元したパケットデータに含まれる無音区間情報を用いて無音区間の開始時点及び終了時点を判断し、前記開始時点及び前記終了時点を含む制御信号を生成して、前記パワー復旧部及び前記データ挿入部に前記制御信号を送信するMACと、
を備え、
前記データ挿入部は、前記制御信号に基づいて、前記開始時点から前記終了時点まで前記ダミーデータを挿入し、
前記パワー復旧部は、前記制御信号に基づいて、前記開始時点から前記終了時点までは動作をしないことを特徴とする光回線端末。
【請求項2】ないし【請求項7】(略)
【請求項8】
光ネットワークユニットからパケットデータを含む光信号を受信する受信部と、
前記受信した光信号に相応する一定のパワーの電気的な信号に復旧するパワー復旧部と、
前記パケットデータに同期化されたダミーデータを生成するダミーデータ生成部と、
前記光信号のうち前記パケットデータが存在しない時間区間に前記ダミーデータを挿入するデータ挿入部と、
前記ダミーデータが挿入された前記復旧した電気的な信号から前記パケットデータを復元するデータ及びクロック復元部と、
前記復元したパケットデータに含まれる無音区間情報を用いて無音区間の開始時点及び終了時点を判断し、前記開始時点及び前記終了時点を含む制御信号を生成して前記パワー復旧部及び前記データ挿入部に前記制御信号を送信するMACと、
を備え、
前記データ挿入部は、前記制御信号に基づいて、前記開始時点から前記終了時点まで前記ダミーデータを挿入し、
前記パワー復旧部は、前記制御信号に基づいて、前記開始時点から前記終了時点までは動作をしないことを特徴とする光回線端末。
【請求項9】ないし【請求項11】(略)」

すなわち、本件補正は、以下の補正事項a.を含むものである。

a.「前記ダミーデータが挿入された前記復旧した電気的な信号から前記パケットデータを復元するデータ及びクロック復元部」という発明特定事項を、補正前の請求項1及び8に追加する補正。

(2)特許法第17条の2第5項に適合するかについての検討
上記補正事項a.の上記発明特定事項は、本件補正前の請求項1及び8に記載されておらず、また、上記発明特定事項の上位概念的な記載も存在しないから、上記補正事項a.は、特許法第17条の2第5項第2号の「(第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであつて、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る。)」に該当しない。よって、特許請求の範囲の減縮を目的とするものではない。また、上記補正事項a.は、請求項の削除、誤記の訂正あるいは明瞭でない記載の釈明を目的とするものではないことは明らかである。

したがって、本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定に違反してなされたものである。

(3)むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

[理由2]
1.独立特許要件について
本件補正は、上記のとおり特許法第17条の2第5項の規定に違反するが、仮に限定的減縮を目的とするものに該当するとして、上記補正後の発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるのかどうか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否か)について以下に検討する。

(1)特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしているかについての検討
本願の発明の詳細な説明に、当業者が請求項1及び8に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されているかどうかについて、以下に検討する。

本願明細書には、以下のとおり、イ.ないしハ.の記載がある。

イ.「【0023】
OLTは受信した光は信号のパワーを復旧する。各光信号のパワーが復旧すると、第1ONUが送信した光信号231および第2ONUが送信した光信号233のパワーと同一になる。無音区間232には光信号が存在しない。」

ロ.「【0032】
MAC350は、CDR340で復旧したデータおよびクロックを用いてデータを処理する。一側によると、MAC350は、復旧したデータに含まれた上位レイヤ情報を用いて無音区間の正確な開始時点および終了時点を判断することができる。この場合に、MAC350は、制御信号を生成してパワー復旧部320およびバーストアダプテーションブロック330の動作を制御してもよい。」

ハ.「【0048】
MAC550は、復元されたパケットデータから上位レイヤ情報を抽出する。上位レイヤ情報は、光ネットワークユニットから送信された光信号において正確な無音区間情報を含んでもよい。MAC550が無音区間の正確な開始時点および終了時点を判断できると、MAC550は、パワー復旧部520またはデータ挿入部530を制御するための制御信号を生成してもよい。」

ニ.そこで、例示的な実施形態のMAC(350)について見ると、上記ロ.の段落【0032】の記載及び図3のとおり、発明の詳細な説明には、「MAC350は、復旧したデータに含まれた上位レイヤ情報を用いて無音区間の正確な開始時点および終了時点を判断することができる。」との記載、また、別の実施形態のMAC(550)について見ると、上記ハ.の段落【0048】の記載及び図5のとおり、発明の詳細な説明には、「MAC550は、復元されたパケットデータから上位レイヤ情報を抽出する。上位レイヤ情報は、光ネットワークユニットから送信された光信号において正確な無音区間情報を含んでもよい。」との記載があるにすぎず、具体的に復旧したデータに含まれた上位レイヤ情報(正確な無音区間情報)を用いて、どのようにして無音区間の正確な開始時点および終了時点を判断するのか何ら記載されていない。

ホ.一方、請求人は、審判請求書の【請求の理由】の(3)(c)記載のとおり、「無音区間の開始時点及び終了時点については、本発明の出願日の以前に発行された国際標準(ITU-T 984.2、3、EPONの場合にはIEEE802.3av)のシナリオとして定義されている。無音区間の長さは、光線路の論理的な最大の長さ(60km)を光速で割った時間として考慮される。すなわち、無音区間の長さは約200nsの値として与えられる。例えば、パケットに含まれた、パケットが送信された時刻情報または受信した時刻情報が無音区間の開始時点となり、この開始時点に無音区間の長さ200nsを加えた値が無音区間の終了時点になり得る。そして、上記の方法は、最初のONUを識別するときの無音区間の終了時点を求めるためにも使用することができる。
また、本発明では、パケットに含まれる情報を用いて無音区間の終了時点を判断することができる。ONUが識別された後、ONUから送信されたパケットは送信時刻(start time)及びパケットサイズ(Grant size)の情報を含むので、無音区間の終了時刻は、送信時刻(start time)にパケットサイズ(Grant size)を加えることによって計算できる。なお、ビットレートはネットワークによって与えられることになる。
これらの送信時刻(start time、16ビット情報)及びパケットサイズ(Grant size、16ビット情報)を含む、ONUから送信されるパケットについての内容は、2010年10月に最終的に承認されたITU-TG.987.3標準ドキュメントのFig.8.1及びFig.8.2などに記載されている。」旨主張している。
しかしながら、仮に、請求人の主張のとおり、「無音区間の長さは約200nsの値として与えられる。例えば、パケットに含まれた、パケットが送信された時刻情報または受信した時刻情報が無音区間の開始時点となり、この開始時点に無音区間の長さ200nsを加えた値が無音区間の終了時点になり得る。」とすると、無音区間は、ONU自身が送信したパケットの送信時刻またはパケットを受信した受信時刻に基づいているから、ONU自身の無音区間を意味することとなる。
一方、上記(1)の上記イ.のとおり、発明の詳細な説明における、「OLTは受信した光は信号のパワーを復旧する。各光信号のパワーが復旧すると、第1ONUが送信した光信号231および第2ONUが送信した光信号233のパワーと同一になる。無音区間232には光信号が存在しない。」との記載及び図2によれば、無音区間は、第1ONUの光信号の終了時点(すなわち、無音区間の開始時点)から、第2ONUの光信号の開始時点(すなわち、無音区間の終了時点)を意味すると定義されている。
そうすると、請求人の主張は、発明の詳細な説明の記載の無音区間情報の開始時点及び終了時点の定義と異なる無音区間の定義に基づくものであるから、採用することはできない。そして、発明の詳細な説明における無音区間の定義によれば、無音区間は、第1ONUの光信号の終了時点(すなわち、無音区間の開始時点)から、第2ONUの光信号の開始時点(すなわち、無音区間の終了時点)であるから、無音区間の開始時点に固定の長さ200nsを加えた値は、無音区間の終了時点と見なすことができないことは明らかである。
また、仮に、請求人の主張のとおり、「ONUから送信されたパケットは送信時刻(start time)及びパケットサイズ(Grant size)の情報を含むので、無音区間の終了時刻は、送信時刻(start time)にパケットサイズ(Grant size)を加えることによって計算できる。」とすると、ONUから送信されたパケットの送信時刻にパケットサイズを加えた時刻は、無音区間の開始時刻になり得ても、無音区間の終了時刻になり得ないことは明らかである。
さらに、国際標準(ITU-T 984.2、3、ITU-TG.987.3)について見ても、ONU自身のパケットの送信時刻(start time)及びパケットサイズ(Grant size)の情報が記載されているにすぎず、発明の詳細な説明の記載の無音区間情報の開始時点及び終了時点ついては記載されていない。
したがって、本願の優先権主張の日前の技術常識に照らしても、復旧したデータに含まれた上位レイヤ情報(正確な無音区間情報)を用いて、どのようにして無音区間の正確な開始時点および終了時点を判断するのか明らかではない。

ヘ.また、請求人は、平成25年8月7日付け意見書の【意見書の内容】2.のとおり、「MACが無音区間の開始時点及び終了時点を判断する原理は下記の通りです。

1)一般的に、パケットのデータは、パケットの送信開始時刻及びパケットの送信期間など多様な情報を含んでもよい。
2)複数の光ネットワークユニット(ONU)の各々は、自身が送信するパケットデータ内に、パケットの送信開始時刻及びパケットの送信期間を含めてもよい。
3)MACは、複数の光ネットワークユニットから複数のパケットデータを受信してもよく、受信された複数のパケットデータ内に含まれる送信開始時刻及び送信期間の情報を参照して、どんな光ネットワークユニットでもパケットデータが送信されない時間帯を判断してもよい。従って、MACは復元されたパケットデータを用いて、(どんな光ネットワークユニットでもパケットデータが送信されない)無音区間の開始時点及び終了時点を計算することができる。
4)また、複数の光ネットワークユニットの各々は、パケットデータ内に第1無音区間情報を含めてもよい。ここで、光ネットワークユニットによって含まれた第1無音区間情報は、光ネットワークユニット自身がパケットデータを送信しない区間を意味してもよい。
5)MACは、複数の光ネットワークユニットから複数の第1無音区間情報を受信してもよく、複数の第1無音区間情報から共通する部分を利用することによって、複数の光ネットワークユニットのうちどんな光ネットワークユニットでもパケットデータが送信されない第2無音区間の開始時点及び終了時点を判断することができる。
6)上述した4)?5)の構成によれば、各光ネットワークユニットは他の光ネットワークユニットがパケットデータを送信する区間を知る必要がない。

上述した1)?6)の構成は、本願の出願時に当業者に広く知られた自明な構成です。
また、新請求項1,7では、パケットデータ内に無音区間の情報自体が直接的に含まれたものではなく、パケットデータを利用することによって無音区間が判断されます。
したがって、拒絶理由通知書によれば「本願の『復旧したデータ』には、『光ネットワークユニットから送信された光信号において正確な無音区間情報を含んで』いる」とのご認定ですが、そうではなく、必ずしも光ネットワークユニットが無音区間情報そのものを生成し、パケットデータ内に含ませる必要はないのです。」旨主張している。

ト.しかしながら、上記意見書の1)ないし3)の主張は、上記ホ.で検討したとおり、採用することはできない。
また、上記意見書の4)ないし6)の主張について検討すると、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1及び8には、「前記復元したパケットデータに含まれる無音区間情報を用いて無音区間の開始時点及び終了時点を判断し」との記載がある。
そして、上記(1)の上記ヘ.のとおり、上記意見書の4)によれば、「複数の光ネットワークユニットの各々は、パケットデータ内に第1無音区間情報を含めてもよい。ここで、光ネットワークユニットによって含まれた第1無音区間情報は、光ネットワークユニット自身がパケットデータを送信しない区間を意味してもよい。」旨主張している。してみれば、無音区間情報は、光ネットワークユニット(ONU)自身がパケットデータを送信しない区間を意味するものも含まれ、無音区間情報の開始時点及び終了時点は、光ネットワークユニット(ONU)自身の無音区間の開始時点及び終了時点を含むものと解される。
一方、上記(1)の上記イ.のとおり、発明の詳細な説明における、「OLTは受信した光は信号のパワーを復旧する。各光信号のパワーが復旧すると、第1ONUが送信した光信号231および第2ONUが送信した光信号233のパワーと同一になる。無音区間232には光信号が存在しない。」との記載及び図2によれば、無音区間は、第1ONUの光信号の終了時点(すなわち、無音区間の開始時点)から、第2ONUの光信号の開始時点(すなわち、無音区間の終了時点)を意味すると定義されている。
そうすると、上記意見書の4)ないし6)の主張は、発明の詳細な説明の記載の無音区間情報の開始時点及び終了時点の定義と異なる無音区間の定義に基づくものであり、発明の詳細な説明の記載に基づかない主張であるから、採用することはできない。

よって、請求項1及び8に係る発明は、どのようにして「復元したパケットデータに含まれる無音区間情報を用いて無音区間の開始時点及び終了時点を判断す」るのか不明である。

したがって、本願の発明の詳細な説明には、請求項1及び8に係る発明を当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されているということはできない。

以上のとおり、本願の明細書の発明の詳細な説明の記載が、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていないから、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

2.むすび
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

[結語]
以上のとおり、本件補正は、[理由1]又は[理由2]により、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1.本願発明
平成26年4月14日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願発明は、上記「第2 補正却下の決定 [理由1](1)本件補正(補正前)」の項に記載したとおりのものと認める。

2.原審の平成25年4月22付け最後の拒絶理由の概要
平成25年4月22付け最後の拒絶理由の概要は、以下のとおりである。

「理由
この出願は、発明の詳細な説明の記載が下記の点で、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。

・請求項1、8に、「復旧したデータに含まれた上位レイヤ情報を用いて無音区間の正確な開始時点及び終了時点を判断」することが記載されている。
しかしながら、明細書の段落【0048】に、「MAC550は、復元されたパケットデータから上位レイヤ情報を抽出する。上位レイヤ情報は、光ネットワークユニットから送信された光信号において正確な無音区間情報を含んでもよい。MAC550が無音区間の正確な開始時点および終了時点を判断できると、MAC550は、パワー復旧部520またはデータ挿入部530を制御するための制御信号を生成してもよい。」と記載されている。つまり、本願の「復旧したデータ」には、「光ネットワークユニットから送信された光信号において正確な無音区間情報を含んで」いることが開示されている。
しかしながら、どのようにして、データを送信するONUが、「正確な無音区間情報」を生成し、パケットに含ませるかが当業者が発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていない。
特に、通常、無音区間の前後のパケットは、異なったONUから送信されているから、パケットを送信するONUが、自分のパケットの後に送信する別のOUNの次のパケットを送信する時間を正確に掴むことをどのようにしてして実現しているかが開示されていない。
よって、この出願の発明の詳細な説明は、当業者が請求項1、8に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものでない。また、請求項1、8を引用する請求項2-7、9-11も実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものでない。」

3.当審の判断
本願発明の請求項1及び8における「復旧したデータに含まれた上位レイヤ情報を用いて無音区間の正確な開始時点及び終了時点を判断し」との構成は、補正後の発明の請求項1及び8における「前記復元したパケットデータに含まれる無音区間情報を用いて無音区間の開始時点及び終了時点を判断し」と共通する構成であるから、上記「第2 補正却下の決定 [理由2]1.独立特許要件について (1)特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしているかについての検討」の項で検討したとおりである。
そして、本願発明の請求項2ないし7は、請求項1を直接又は間接的に引用する請求項であり、また、請求項9ないし11は、請求項8を直接引用する請求項であるから、同様に、どのようにして「復旧したデータに含まれた上位レイヤ情報を用いて無音区間の正確な開始時点及び終了時点を判断す」るのか不明である。
したがって、本願の発明の詳細な説明には、請求項1ないし11に係る発明を当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されているということはできない。

3.むすび
以上のとおり、本願の明細書の発明の詳細な説明の記載が、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていないから、特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。

 
審理終結日 2015-02-27 
結審通知日 2015-03-03 
審決日 2015-03-16 
出願番号 特願2011-179872(P2011-179872)
審決分類 P 1 8・ 536- Z (H04L)
P 1 8・ 575- Z (H04L)
P 1 8・ 537- Z (H04L)
P 1 8・ 572- Z (H04L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大石 博見  
特許庁審判長 菅原 道晴
特許庁審判官 萩原 義則
山本 章裕
発明の名称 バーストモードクロック、データ復元装置、および方法  
代理人 橘谷 英俊  
代理人 勝沼 宏仁  

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