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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H05K
管理番号 1303780
審判番号 不服2014-7736  
総通号数 189 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-09-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-04-25 
確定日 2015-07-30 
事件の表示 特願2012-259458「シールドフィルム」拒絶査定不服審判事件〔平成26年6月19日出願公開、特開2014-112576〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成24年11月28日の出願であって、平成26年1月24日付け(発送日:1月28日)で拒絶査定がなされ、これに対し、平成26年4月25日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、その審判の請求と同時に手続補正がなされたものである。
そして、当審において、平成27年2月26日付けで拒絶の理由が通知され、それに対して平成27年4月28日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成27年4月28日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。

「【請求項1】
一方面全体に凹凸部が形成されたセパレートフィルムの当該凹凸部が形成された面側に、メラミン離型剤及びアクリル離型剤のうち少なくとも何れか一方である離型剤を介して樹脂をコーティングすることにより保護層を形成し、さらに電磁波シールド層を形成したシールドフィルムであって、
前記セパレートフィルムを前記保護層から剥離したときの前記保護層の表面粗さ(Ra)が、0.2μm?0.6μmであり、
前記シールドフィルムをプリント配線板上に載置して、前記シールドフィルムを加熱しながら前記プリント配線板側に加圧する前の前記セパレートフィルムの前記保護層に対する剥離強度は、1N/50mm?20N/50mmであり、
前記シールドフィルムをプリント配線板上に載置して、前記シールドフィルムを加熱しながら前記プリント配線板側に加圧した後の前記セパレートフィルムの前記保護層に対する剥離強度は、1N/50mm?4N/50mmであることを特徴とするシールドフィルム。」

第3 刊行物
当審の拒絶の理由に引用された、本願の出願日前に日本国内において頒布された特開2009-277980号公報(以下「刊行物」という。)には、「電磁波シールド性接着フィルムおよびその製造方法」に関し、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審で付与するものである。以下、同様。)。

ア.「【0001】
本発明は,繰り返し屈曲を受けるフレキシブルプリント配線板などに貼着して、電気回路から発生する電磁ノイズを遮蔽する用途に好適に用いられる電磁波シールド性接着性フィルム及びその製造方法に関する。」

イ.「【0014】
まず、本発明の電磁波シールド性接着性フィルムについて説明する。
本発明の電磁波シールド性接着フィルムは、剥離性フィルム1、フィルム状硬化性絶縁性ポリウレタンポリウレア樹脂組成物(II)、硬化性導電性ポリウレタンポリウレア接着剤層(I)、及び剥離性フィルム2が順次積層されてなるものである。
【0015】
剥離フィルム1は、片面あるいは両面に離型処理をしたフィルムや、片面あるいは両面に粘着剤を塗布したフィルムなどを使用することができる。
【0016】
・・・略・・・
【0017】
離型処理方法としては、離型剤をフィルムの片面あるいは両面に塗布したり、物理的にマット化処理する方法がある。
離型剤としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等の炭化水素系樹脂、高級脂肪酸及びその金属塩、高級脂肪酸石鹸、ワックス、動植物油脂、マイカ、タルク、シリコーン系界面活性剤、シリコーンオイル、シリコーン樹脂、フッ素系界面活性剤、フッ素樹脂、フッ素含有シリコーン樹脂などが用いられる。
離型剤の塗布方法としては、従来公知の方式、例えば、グラビアコート方式、キスコート方式、ダイコート方式、リップコート方式、コンマコート方式、ブレードコート方式、ロールコート方式、ナイフコート方式、スプレーコート方式、バーコート方式、スピンコート方式、ディップコート方式等により行うことができる。
【0018】
剥離フィルム1の表面粗さRaは、0.05?0.8、好ましくは0.07?0.5の範囲のものが使用できる。表面粗さRaが0.05未満の場合、電磁波シールド性フィルムの絶縁性層の表面平滑性が高くなり、目立ちやすく、製品の外観や見た目が悪くなる。さらには、表面の平滑性が高い為に、滑り性が悪い為に電磁波シールド性フィルム同士がくっつき易くなり、電子機器のヒンジ部分に使用される場合にはスムーズに動かないといった不具合が生じる。
また、表面粗さRaが0.8より大きい場合、絶縁性層の表面平滑性が低くなりすぎて、絶縁性層同士の擦れや、電子機器の筐体と擦れなどに対して弱く、絶縁性層が削れるという不具合が生じる。
【0019】
表面粗さRaが0.05?0.8の範囲の剥離フィルムは、前記フィルムの基材上に、フィラーが入ったマット化剤をコーティングした後、前記剥離剤を塗布したり、物理的にマット化されているフィルム上に剥離剤を塗布したり、前記剥離剤中にマット化剤を入れて前記フィルム上に塗布したり、さらには、基材フィルムにフィラー入りの粘着剤を塗布するなどの方法により作製することができる。
【0020】
本発明で規定する表面粗さRaは、JIS-B0601で定義されたものである。粗さ曲線からその中心線の方向に測定長さLの部分を抜き取り、この抜き取り部分の中心線と粗さ曲線との偏差の絶対値を算術平均したものである。表面粗さRaは一般に市販されている表面粗さ計を用いて求めることができる。具体的な表面粗さ計としては、東京精密製の表面粗さ計サーフコムなどがある。」

ウ.「【0051】
次に本発明の硬化性電磁波シールド性接着性フィルムの製造方法の具体的態様について説明する。
例えば、・・・略・・・
【0052】
あるいは、特定の表面粗さを呈する剥離性フィルム1の一方の面に、前記硬化性樹脂組成物を塗工・乾燥し、フィルム状硬化性絶縁性ポリウレタンポリウレア樹脂組成物(II)を形成し、
該フィルム状硬化性絶縁性ポリウレタンポリウレア樹脂組成物(II)上に、前記硬化性導電性樹脂組成物を塗工・乾燥し、硬化性導電性ポリウレタンポリウレア接着剤層(I)を形成し、該硬化性導電性ポリウレタンポリウレア接着剤層(I)上に剥離性フィルム2を重ね合わせる。
【0053】
・・・略・・・
【0054】
例示したような製造方法により、剥離性フィルム2/硬化性導電性ポリウレタンポリウレア接着剤層(I)/フィルム状硬化性絶縁性ポリウレタンポリウレア樹脂組成物(II)/特定の表面粗さを呈する剥離性フィルム1/という積層状態の硬化性電磁波シールド性接着性フィルムを得ることができる。特定の表面粗さを呈する剥離性フィルム1を用いることによって、その表面粗さに対応する表面粗さを有する、絶縁性ポリウレタンポリウレア樹脂組成物の硬化フィルムを得ることができる。」

エ.「【0055】
最後に本発明の硬化性電磁波シールド性接着性フィルムの使い方の具体的態様を説明する。
前記硬化性電磁波シールド性接着性フィルムから、剥離性フィルム2を剥がし、硬化性導電性ポリウレタンポリウレア接着剤層(I)を露出させる。その硬化性導電性ポリウレタンポリウレア接着剤層(I)を被着体に重ね合わせ、加熱することにより、硬化性導電性ポリウレタンポリウレア接着剤層(I)及びフィルム状硬化性絶縁性ポリウレタンポリウレア樹脂組成物(II)中の、ポリウレタンポリウレア樹脂(A)とエポキシ樹脂(B)、ポリウレタンポリウレア樹脂(C)とエポキシ樹脂(D)を反応させ、両層(I)(II)を硬化させる。接触界面近傍において、ポリウレタンポリウレア樹脂(A)とエポキシ樹脂(D)、ポリウレタンポリウレア樹脂(C)とエポキシ樹脂(B)の反応も生じる場合もある。そして、両層(I)(II)の硬化後に、剥離性フィルム1を剥がすことによって、被着体を電磁波から遮蔽することが可能となる。
【0056】
本発明の硬化性電磁波シールド性接着性フィルムを貼着することのできる被着体としては、例えば、繰り返し屈曲を受けるフレキシブルプリント配線板を代表例として挙げることができる。もちろん、リジッドプリント配線板にも適用できる。」

オ.「【0069】
(2)耐屈曲性の評価
幅6mm、長さ120mmの硬化性電磁波シールド性接着性フィルムから剥離性フィルム2を剥がし、露出した硬化性導電性接着剤層(I)を、別に作製したフレキシブルプリント配線板(厚み25μmのポリイミドフィルム上に、厚み12μmの銅箔からなる回路パターンが形成されており、さらに回路パターン上に、接着剤付きの、厚み40μmのカバーフィルムが積層されてなる配線板)のカバーフィルム面に150℃、1MPa、30minの条件で圧着し、導電性接着剤層(I)及びフィルム状絶縁性組成物(II)を硬化させた。
剥離フィルム1を除去し、曲率半径0.38mm、荷重500g、速度180回/minの条件でMIT屈曲試験機にかけ、回路パターンが断線するまでの回数により耐屈曲性を評価した。評価基準は以下の通りである。
・・・略・・・」

カ.「【0072】
(5)硬化性電磁波シールド性接着性フィルムのPCT耐性の評価
幅20mm、長さ50mmの硬化性電磁波シールド性接着性フィルムから剥離性フィルム2を剥がし、露出した硬化性導電性接着剤層(I)を、別に作製したフレキシブルプリント配線板(厚み12.5μmのポリイミドフィルム上に、厚み18μmの銅箔からなり、電気的に接続されてはいない回路2A、2Bが形成されており、回路2A上に、接着剤付きの、厚み37.5μm、直径1.6mmのスルーホールを有するカバーフィルムが積層されてなる配線板)に150℃、1MPa、30minの条件で圧着し、導電性接着剤層(I)及びフィルム状絶縁性組成物(II)を硬化させた(図1参照)。
圧着後、剥離フィルム1を除去し、図1-(3)に示す2A-2B間の抵抗値を三菱化学製「ロレスターGP」の四探針プローブを用いて、PCT(121℃、100%RH、2気圧)の前後で測定した。評価基準は以下の通りである。
・・・略・・・」

キ.上記イに記載のとおり「電磁波シールド性接着フィルムは、剥離性フィルム1、フィルム状硬化性絶縁性ポリウレタンポリウレア樹脂組成物(II)、硬化性導電性ポリウレタンポリウレア接着剤層(I)、及び剥離性フィルム2が順次積層されてなる」ものであるが、使用の際には、上記エ、オ、カのとおり、剥離性フィルム2は剥がして用いられるものであるから、剥離性フィルム1、フィルム状硬化性絶縁性ポリウレタンポリウレア樹脂組成物(II)及び硬化性導電性ポリウレタンポリウレア接着剤層(I)からなる電磁波シールド性接着フィルムの発明を把握することができる。

ク.上記エ、オ及びカに記載のとおり、電磁波シールド性接着性フィルムは被着体であるフレキシブルプリント配線板等に加熱しながら加圧して硬化性導電性ポリウレタンポリウレア接着剤層(I)及びフィルム状硬化性絶縁性ポリウレタンポリウレア樹脂組成物(II)を硬化させてから剥離性フィルム1を剥がして用いられるものである。

これら記載事項、図示内容及び認定事項を総合して、本願発明に則って整理すると、刊行物には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

「物理的にマット化されているフィルム上に離型剤を塗布した剥離性フィルム1に、硬化性樹脂組成物を塗工・乾燥し、フィルム状硬化性絶縁性ポリウレタンポリウレア樹脂組成物(II)を形成し、該フィルム状硬化性絶縁性ポリウレタンポリウレア樹脂組成物(II)上に、硬化性導電性樹脂組成物を塗工・乾燥し、硬化性導電性ポリウレタンポリウレア接着剤層(I)を形成した電磁波シールド性接着性フィルムであって、
剥離性フィルム1の表面粗さRaが0.05?0.8であり、
フレキシブルプリント配線板等に加熱しながら加圧して硬化性導電性ポリウレタンポリウレア接着剤層(I)及びフィルム状硬化性絶縁性ポリウレタンポリウレア樹脂組成物(II)を硬化させてから剥離性フィルム1を剥がして用いられる
電磁波シールド性接着性フィルム。」

第4 対比
a.引用発明の「剥離フィルム1」は、その機能、構造等からみて、本願発明の「セパレートフィルム」に相当し、同様に、「フィルム状硬化性絶縁性ポリウレタンポリウレア樹脂組成物(II)」は「保護層」に、「硬化性導電性ポリウレタンポリウレア接着剤層(I)」は「電磁波シールド層」に、「電磁波シールド性接着性フィルム」は「シールドフィルム」に、それぞれ相当する。
b.引用発明において「物理的にマット化されている」ことは、本願発明の「一方の面全体に凹凸が形成され」ていることに相当し、また、引用発明において「塗工・乾燥」することは、本願発明の「コーティングする」ことに相当する。
c.引用発明の「剥離フィルム1」は、表面粗さRaが0.05?0.8であるところ、該「Ra」はJIS規格の「算術平均粗さ」を表すものであるから、引用発明の表面粗さの単位は「μm」である。
d.記載ウの段落【0054】のとおり、フィルム状硬化性絶縁性ポリウレタンポリウレア樹脂組成物(II)は、剥離フィルム1の表面粗さに対応する表面粗さを有するものであるから、剥離フィルム1を剥離したときのフィルム状硬化性絶縁性ポリウレタンポリウレア樹脂組成物(II)の表面粗さRaは、0.05?0.8μmであり、その表面粗さRaは本願発明の範囲を包含する。

以上とおりであるから、本願発明と引用発明とは、次の点で一致する。
[一致点]
「一方面全体に凹凸部が形成されたセパレートフィルムの当該凹凸部が形成された面側に、離型剤を介して樹脂をコーティングすることにより保護層を形成し、さらに電磁波シールド層を形成したシールドフィルムであって、
前記セパレートフィルムを前記保護層から剥離したときの前記保護層の表面粗さ(Ra)が、0.2μm?0.6μmであるシールドフィルム。」

[相違点]
本願発明では、離型剤が「メラミン離型剤及びアクリル離型剤のうち少なくとも何れか一方であ」り、「前記シールドフィルムをプリント配線板上に載置して、前記シールドフィルムを加熱しながら前記プリント配線板側に加圧する前の前記セパレートフィルムの前記保護層に対する剥離強度は、1N/50mm?20N/50mmであり、前記シールドフィルムをプリント配線板上に載置して、前記シールドフィルムを加熱しながら前記プリント配線板側に加圧した後の前記セパレートフィルムの前記保護層に対する剥離強度は、1N/50mm?4N/50mmである」のに対し、引用発明では、離型剤が特定されておらず、「フレキシブルプリント配線板等に加熱しながら加圧して硬化性導電性ポリウレタンポリウレア接着剤層(I)及びフィルム状硬化性絶縁性ポリウレタンポリウレア樹脂組成物(II)を硬化させてから剥離性フィルム1を剥がして用いられる」ものの、剥離フィルム1の剥離強度が明らかでない点。

第5 当審の判断
シールドフィルムの技術分野において、セパレートフィルムに用いられる離型剤として、メラミン離型剤及びアクリル離型剤はいずれも周知であり(必要ならば、特開2003-33994号公報(段落【0010】、【0029】)、特開2006-286318号公報(段落【0015】、【0034】)、特開2010-240863号公報(段落【0007】、【0032】)、特開2012-104710号公報(段落【0034】)参照。以下「周知の技術事項」という。)、また、刊行物には離型剤としてメラミン離型剤及びアクリル離型剤を除外する旨の記載もないから(記載イの段落【0017】)、メラミン離型剤及びアクリル離型剤から離型剤を選択することは、当業者が適宜成し得たことである。
そして、セパレートフィルムに関し、作業時には、意図せぬ剥離を起こしてしまうことがなく、かつ、作業後剥離の際(除去時)には、容易かつ確実に剥離することができるように、その剥離強度について配慮することは、剥離作業における技術常識である(例えば、特開2003-103682号公報の段落【0022】等参照)。
してみると、引用発明の剥離フィルム1は、電磁波シールド性接着性フィルムの装着作業時にフィルム状硬化性絶縁性ポリウレタンポリウレア樹脂組成物(II)を保護し、電磁波シールド性接着性フィルムがフレキシブルプリント配線板上に積層・硬化された後は、除去されるものであるから、引用発明においても、上記技術常識のように、作業時と除去時の剥離強度が技術的課題となることは明らかであって、作業性に応じて剥離強度の範囲を設定することは当業者が容易に想到し得たことである。

そして、本願発明の奏する作用効果が格別のものともいえない。

したがって、本願発明は、引用発明及び周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第6 まとめ
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-05-28 
結審通知日 2015-06-02 
審決日 2015-06-16 
出願番号 特願2012-259458(P2012-259458)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H05K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 遠藤 邦喜  
特許庁審判長 小柳 健悟
特許庁審判官 森川 元嗣
島田 信一
発明の名称 シールドフィルム  
代理人 特許業務法人梶・須原特許事務所  
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