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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04W
管理番号 1304310
審判番号 不服2014-7527  
総通号数 190 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-10-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-04-23 
確定日 2015-08-12 
事件の表示 特願2011-530148「ワイヤレス通信システムにおいて中継動作をサポートするための技法」拒絶査定不服審判事件〔平成22年 4月 8日国際公開、WO2010/039738、平成24年 2月23日国内公表、特表2012-504912〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由
1.手続の経緯

本願は、2009年9月29日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2008年9月30日、米国、2008年9月30日、米国、2008年10月2日、米国、2008年10月20日、米国、2009年9月28日、米国、)を国際出願日とする出願であって、平成25年1月28日付けで拒絶理由が通知され、平成25年8月12日付けで手続補正がなされ、平成25年12月12日付けで拒絶査定がされ、平成26年4月23日に拒絶査定不服審判が請求され、同時に手続補正がなされたものである。


2.本願発明

本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成26年4月23日付け補正(以下「本件補正」という。)の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものと認める。

「複数の無線フレームをカバーするビットマップを発生すること、ここで各無線フレームは複数のサブフレームを備え、前記ビットマップは前記複数の無線フレーム内で少なくとも2つのタイプのサブフレームを識別し、前記ビットマップは、中継局により発生されて前記UEsへ送信される;および
ユーザ機器(UEs)へ前記ビットマップを送信すること、ここで前記ビットマップは、前記少なくとも2つのタイプのサブフレームのうちの少なくとも1つのタイプを示すビットを少なくとも1つ含んでおり、
前記少なくとも2つのタイプのサブフレームは、マルチキャスト/ブロードキャスト単一周波数ネットワーク(MBSFN)サブフレームと、正規サブフレームを含んでいる
を備える、少なくとも1つの周波数チャネルを用いるワイヤレス通信のための方法。」

本願発明は、本件補正前の請求項5であるので、本件補正は請求項の削除に該当する。


3.引用例

原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願日前である2008年4月4日に公表された3GPP TSG-RAN WG2#61bis, R2-081807, Motorola, "MBSFN Sub-frame Allocation Signalling"(以下「引用例1」という。下線部は当審が付与。)には、次の事項が記載されている。

「1 Introduction
While MBMS is seen as a lower priority for Release 8, it has been agreed that the release 8 specs must ensure that introduction of MBMS in release 9 does not lead to forward compatibility problems. One such issue is the signaling of the sub-frames that are used for MBSFN (a.k.a., the MBSFN sub-frame configuration).
Measurement procedures depend on whether a sub-frame is a unicast sub-frame or MBSFN sub-frame. MBSFN sub-frames have far fewer reference symbols that the UE can use to perform cell specific measurements. Even unicast UEs need to know the MBSFN sub-frame configuration; not having this information leads to erroneous measurements. Here we provide a bitmap based mechanism to signal the MBSFN sub-frame configuration.」
(当審訳:
1 はじめに
MBMSはリリース8にとって優先度が低いと見られているが、リリース8の仕様は前方互換問題を引き起こさないリリース9におけるMBMSの導入を保証しなければならないことが合意された。このような論点の一つは、(MBSFNサブフレーム構成として知られている)MBSFNのために使われるサブフレームのシグナリングである。
測定手順は、サブフレームがユニキャストサブフレームであるかMBSFNサブフレームであるかに依存する。MBSFNサブフレームは、UEがセル固有の測定を実行できるよりも遙かに少ない参照シンボルを有している。ユニキャストUEはMBSFNサブフレーム構成を知る必要があり、この情報を有しないと誤った測定を導く。ここで、我々はMBSFNサブフレーム構成を通知する方法に基づいたビットマップを提供する。)

「2 Discussion
The MBSFN sub-frame configuration (MBSC) is used to indicate the set of all sub-frames that are used for MBSFN transmission. There is little available input to determine what proportion of the DL resources will be used by MBSFN in a shared carrier. The wide range of potential values for proportion of sub-frames used for MBSFN can lead to a large size for the MBSC information element.
The choice of sub-frames for MBSFN is restricted by other system requirements:
・Sub-frames 0 and 5 of each radio frame cannot be MBSFN sub-frames
・Sub-frames used for paging cannot be MBSFN sub-frames
・In case of TDD, uplink sub-frames cannot be MBSFN sub-frames
・Some number of sub-frames have to be available for DL unicast scheduling
Since the paging sub-frames and TDD UL/DL split is semi-static, shared carrier MBSFN operation would have to be based on a semi-statically configured pattern of sub-frames to be used for MBSFN.
The MBSC is essentially a repeating pattern of sub-frames that repeats every ‘MBSC-repetition-period’. It is assumed that operators pick MBSFN sub-frames with some repeating pattern (for example, sub-frames 1 and 6 in every radio-frame). The length of the pattern needs to be flexible to allow for adequate DL unicast scheduling.
We see three approaches to structuring and signaling the MBSC.
Option 1 : MBSC consists of a bitmap which indicates a repeating pattern and a repetition period.
Option 2 : A repetition period, higher order bitmap indicating which radio frames have MBSFN sub-frames and a lower order bitmap providing 8 bits (assuming FDD) for each radio frame that has MBSFN sub-frames.
Option 3 : A repetition period, MBSC duration and a bitmap. The MBSC duration represents the length of the bitmap and the bitmap indicates which sub-frames are MBSFN sub-frames within the MBSC duration.
We illustrate the above approaches using two cases of MBSFN sub-frame configuration in Figure 1 and Figure 2:
Case A (high duty cycle): Sub-frames 1 and 6 of every radio-frame is an MBSFN sub-frame.
Case B (low duty cycle): Sub-frame 6 in every 20th radio-frame is an MBSFN sub-frame.」
(当審訳:
2 ディスカッション
MBSFNサブフレーム構成(MBSC)は、MBSFN送信のために使用される全てのサブフレームのセットを示すために使用される。共有キャリアにおけるMBSFNとして使用されるDLリソースの割合を決定するのに少し利用可能な入力がある。MBSFNのためのサブフレームの割合の潜在的価値観の広い範囲はMBSC情報要素の大きいサイズを導くことができる。
MBSFNのためのサブフレームの選択は、他のシステム要件によって制限される。
・各無線フレームのサブフレーム0と5は、MBSFNサブフレームであることはできない。
・ページングのためのサブフレームは、MBSFNサブフレームであることはできない。
・TDDの場合、アップリンクサブフレームは、MBSFNサブフレームであることはできない。
・サブフレームの一部の数は、DLユニキャストスケジューリングのために使用可能でなければならない。
ページングサブフレームとTDD UL/DL分割が準静的であるので、共有キャリアMBSFN動作はMBSFNのために使用されるサブフレームの準静的構成パターンに基づいている。MBSCは本質的に「MBSC繰り返し周期」毎に繰り返すサブフレームの繰り返しパターンである。操作者が、いくつかの繰り返しパターン(例えば各無線フレームのサブフレーム1と6)をもつMBSFNサブフレームを選択しているとする。適切なDLユニキャストスケジューリングを可能にするため、パターンの長さは柔軟である必要がある。我々はMBSCの構造とシグナリングの3つのアプローチを示す。
オプション1:MBSCは、繰り返しパターンと繰り返し周期を示すビットマップで構成される。
オプション2:繰り返し周期、どの無線フレームがMBSFNサブフレームを有するかを含む高次ビットマップ、MBSFNサブフレームを有する各無線フレームのための(FDDと仮定して)8ビットで定められる低次ビットマップ
オプション3:繰り返し周期、MBSC周期とビットマップ。MBSC周期はビットマップの長さを表し、ビットマップはMBSC周期におけるどのサブフレームがMBSFNサブフレームであるかを示す。
我々は、図1と図2のMBSFNサブフレーム構成の2つのケースを用いて上記のアプローチを例示する。
ケースA(高デューティサイクル):無線フレーム毎のサブフレーム1および6は、MBSFNサブフレームである。
ケースB(低デューティサイクル):20無線フレーム毎のサブフレーム6は、MBSFNサブフレームである。)

また、低デューティサイクルのMBSFNを記載した図2には「オプション1の場合、ビットマップ='000010000000000000000000.....'(160ビット)」であることが記載されている。

上記によれば、引用例1には、

「MBSFNサブフレーム構成として知られているMBSFNのために使われるサブフレームのシグナリングであって、
測定手順は、サブフレームがユニキャストサブフレームであるかMBSFNサブフレームであるかに依存し、MBSFNサブフレームは、UEがセル固有の測定を実行できるよりも遙かに少ない参照シンボルを有しており、ユニキャストUEはMBSFNサブフレーム構成を知る必要があり、この情報を有しないと誤った測定を導き、MBSFNサブフレーム構成を通知する方法に基づいたビットマップを提供し、
各無線フレームのサブフレーム0と5は、MBSFNサブフレームであることはできず、MBSFNサブフレーム構成(MBSC)は、MBSFN送信のために使用される全てのサブフレームのセットを示すために使用され、「MBSC繰り返し周期」毎に繰り返すサブフレームの繰り返しパターンであり、
20無線フレーム毎のサブフレーム6は、MBSFNサブフレームである場合のビットマップは'000010000000000000000000.....'(160ビット)である
シグナリング」(以下「引用発明」という。)

が記載されている。


4.本願発明と引用発明の対比

引用発明のMBSFNサブフレーム構成(MBSC)は、MBSFN送信のために使用される全てのサブフレームのセットを示すビットマップであって20無線フレームがMBSC繰り返し周期である場合は160ビットで構成されるから「複数の無線フレームをカバーするビットマップ」である。
そして、「サブフレームがユニキャストサブフレームであるかMBSFNサブフレームであるか」は、UEが誤ったセル固有の測定を導かないために知る必要のあるビットマップであるから、「UEへ送信」されていることは明らかであり、ビットマップの「1」がMBSFNサブフレームを示し、ビットマップの「0」がユニキャストサブフレームを示しているから、「前記ビットマップは前記複数のフレーム内で少なくとも2つのサブフレームを識別」しており、「前記少なくとも2つのサブフレームは、MBSFNサブフレームとユニキャストサブフレームを含んでいる」といえる。

したがって、本願発明と引用発明は、

「複数の無線フレームをカバーするビットマップを発生すること、ここで各無線フレームは複数のサブフレームを備え、前記ビットマップは前記複数の無線フレーム内で少なくとも2つのタイプのサブフレームを識別し、
ユーザ機器(UEs)へ前記ビットマップを送信すること、ここで前記ビットマップは、前記少なくとも2つのタイプのサブフレームのうちの少なくとも1つのタイプを示すビットを少なくとも1つ含んでおり、
前記少なくとも2つのタイプのサブフレームは、マルチキャスト/ブロードキャスト単一周波数ネットワーク(MBSFN)サブフレームと、その他のサブフレームを含んでいる
を備える、少なくとも1つの周波数チャネルを用いるワイヤレス通信のための方法。」

で一致し、下記の点で相違する。

相違点1

本願発明はビットマップが「中継局により発生されて」いるのに対し、引用発明は、ビットマップがUEへ送信されるものの、どの装置により発生されているか記載されていない点。

相違点2

2つのタイプのサブフレームが、本願発明は、MBSFNサブフレームと正規サブフレームであるのに対し、引用発明は、MBSFNサブフレームとユニキャストサブフレームである点。


5.当審の判断

上記相違点について検討する。

相違点1について

特開2008-118659号公報(以下「周知例1」という。)には、

「【0012】
中継局が処理するデータパケットのスケジューリングを制御するには、少なくとも2つの方法がある。1つのシナリオでは、中継局はデータパケットを受信し、それをバッファし、送信するデータパケットを勝手にリスケジュール(reschedule)する。他のシナリオでは、中継局が処理するデータパケットの送信のスケジューリング(scheduling)は基地局により制御される。」

の記載があるから、周知例1には、

「中継局が処理するデータパケットのスケジューリングを制御するには、2つの方法があり、1つは中継局は送信するデータパケットを勝手にリスケジュールし、他は中継局が処理するデータパケットの送信のスケジューリングは基地局により制御される」

が記載されている。

国際公開第2008/036784号(以下「周知例2」という。当審訳としてファミリ文献の特表2010-504705号公報を参照する。下線部は当審が付与。)には、

「[0017] The specification of this application describes, among others, implementations of systems and techniques for scheduling wireless transmission of data blocks between a base station (BS) and one or more relay stations (RSs) . The scheduling can be based on one or more factors such as the quality of the transmission links between the base station and the relay stations, the amount of the data and the type of data for the relay stations to support the subscriber stations (SS' s) or mobile stations (MS' s) in the relay station cell coverage areas. In one aspect, the scheduling can include assigning frequency blocks and time slots to each of the relay stations for receiving or transmitting data blocks. The data blocks may include the trunk traffics for the relay station' s cell and its subordinate cells if any.
[0018] In another aspect, a method for transmitting data streams between a base station and relay stations is disclosed. The method includes receiving protocol data units (PDU' s) from a network for subscriber stations or mobile stations, encapsulating received PDU' s to the same designated relay station, creating relay protocol data units (R-PDU' s), and allocating pre-defined frequency blocks and pre-defined time slots for base station's downlink transmission. A designated relay station can be configured to decode the downlink traffic according to known schedule information. A transmission or reception schedule can include, in some implementations, channel resources allocation information for a downlink or uplink subframe.
[0019] In another aspect, the downlink schedule information is predefined and known to relay stations in the wireless system. In this configuration, a transmission or reception schedule is not transmitted from the base station to the one more relay stations.
[0020] In another aspect, downlink schedule information is produced by the base station and transmitted in the downlink subframe. For example, this schedule information can be included in a base station downlink MAP or a relay station specific downlink MAP, or a special downlink information element (IE).
[0021] In another aspect, downlink schedule information is produced by a relay station and transmitted in the downlink subframe. For example, this schedule information can be included in part of a general downlink MAP or a relay station specific downlink MAP, or a special downlink information element (IE).」
(当審訳:【0012】-【0016】参照。
[0017] 本出願の明細書では、特に、基地局(BS)と、1つ以上の中継局(RS)との間のデータブロックの無線伝送のスケジューリングのためのシステムと技術の具体例を開示する。スケジューリングは、1つ以上の要素、例えば、基地局と中継局との間の伝送リンクの品質、中継局が、中継局のセルのカバレッジエリア内の加入者局(SS)又は移動局(MS)に対してサポートするデータの量及びデータのタイプ等に基づいて行うことができる。一側面においては、スケジューリングは、各中継局がデータブロックを受信又は送信するための各中継局への周波数ブロック及びタイムスロットの割当を含むことができる。データブロックは、中継局のセル及び、存在する場合、下位のセルのトランクトラヒックを含んでいてもよい。
[0018] 他の側面として、基地局と中継局との間でデータストリームを送信する方法を開示する。この方法は、ネットワークから加入者局又は移動局のためのプロトコルデータユニット(protocol data unit:PDU)を受信し、受信したPDUを同じ指定された中継局にカプセル化し、中継プロトコルデータユニット(relay protocol data unit:R-PDU)を生成し、基地局のダウンリンク送信のために予め定義された周波数ブロック及び予め定義されたタイムスロットを割り当てることを含む。指定された中継局は、既知のスケジュール情報に基づいて、ダウンリンクトラヒックを復号するように構成できる。幾つかの具体例では、送信スケジュール又は受信スケジュールは、ダウンリンクサブフレーム又はアップリンクサブフレームのためのチャンネルリソース割当情報を含むことができる。
[0019] 他の側面では、ダウンリンクスケジュール情報は、予め定義され、無線システム内の中継局にとって既知である。この構成では、送信スケジュール又は受信スケジュールは、基地局から1つ以上の中継局に送信されない。
[0020] 他の側面では、ダウンリンクスケジュール情報は、基地局によって生成され、ダウンリンクサブフレーム内で送信される。例えば、このスケジュール情報は、基地局のダウンリンクMAP、中継局固有のダウンリンクMAP又は特別なダウンリンク情報要素(information element:IE)に含ませることができる。
[0021] 他の側面では、ダウンリンクスケジュール情報は、中継局によって生成され、ダウンリンクサブフレーム内で送信される。例えば、このスケジュール情報は、包括的なダウンリンクMAP、中継局固有のダウンリンクMAP、又は特別なダウンリンク情報要素(IE)の一部に含ませることができる。)

「[0037] In the example in FIG. 4, the downlink subframe includes data bursts transmitted from the base station 100 to its relay stations, data bursts transmitted from one relay station to another relay station, and the data bursts transmitted from relay stations to the associated subscriber stations. The downlink burst allocation can be provided by the Downlink Map (DL-MAP) in IEEE 802.16 networks which describe a Medium Access Control (MAC) message that defines burst start times for both time division multiplex (TDD) and time division multiple access (TDMA) by a subscriber station on the downlink. Other downlink messages different from DL-MAP can also be used. In other implementations, the burst allocation signals can be provided by its parent base stations or relay stations. Similarly the uplink subframe can include the data bursts from subscriber stations to the designate relay stations, and the data bursts from the relay stations to the base station. The uplink burst allocation can be provided by the Uplink Map (UL-MAP) or other uplink messages. In other implementations, the burst allocation signals can be provided by its parent, superordinate base stations or superordinate relay stations.」
(当審訳:【0032】参照。
[0037] 図4の具体例では、ダウンリンクサブフレームは、基地局100からその中継局に送信されたデータバースト、1つの中継局から他の中継局に送信されたデータバースト及び中継局から関連する加入者局に送信されたデータバーストを含む。ダウンリンクバースト割当は、ダウンリンク上の加入者局による時分割複信(time division multiplex:TDD)及び時分割多元接続(time division multiple access:TDMA)の両方のためのバースト開始時刻を定義するメディアアクセス制御(Medium Access Control:MAC)メッセージを記述するIEEE802.16ネットワーク内のダウンリンクマップ(DL-MAP)によって提供できる。また、DL-MAPとは異なる他のダウンリンクメッセージを用いることもできる。他の具体例として、バースト割当信号は、その親基地局又は中継局によって提供してもよい。同様に、アップリンクサブフレームは、加入者局から指定中継局(designate relay station)へのデータバースト及び中継局から基地局へのデータバーストを含むことができる。アップリンクバースト割当は、アップリンクマップ(UL-MAP)又は他のアップリンクメッセージによって提供できる。他の具体例として、バースト割当信号は、親である上位の基地局又は上位の中継局によって提供してもよい。」

の記載があるから、周知例2には、

「スケジューリングは、1つ以上の要素、例えば、基地局と中継局との間の伝送リンクの品質、中継局が、中継局のセルのカバレッジエリア内の加入者局(SS)又は移動局(MS)に対してサポートするデータの量及びデータのタイプ等に基づいて行うことができ、
ダウンリンクスケジュール情報は、基地局によって生成され、他の側面では、ダウンリンクスケジュール情報は、中継局によって生成され、
ダウンリンクサブフレームが、基地局100からその中継局に送信されたデータバースト、1つの中継局から他の中継局に送信されたデータバースト及び中継局から関連する加入者局に送信されたデータバーストを含む場合、
バースト割当信号は、その親基地局又は中継局によって提供してもよい。」

が記載されている。

つまり、周知例1及び周知例2によれば、「中継局を介して加入者局に対してダウンリンクを送信する場合のダウンリンクのスケジュールは、基地局によって割当ても中継局によって割当ても良い」ことは周知であり、中継局がスケジュールを割り当てるのであれば、ダウンリンクのスケジュールである「MBSFNサブフレーム構成」を中継局が生成するのは当然である。

したがって、引用発明において、ダウンリンクのスケジュールである「MBSFNサブフレーム構成」を中継局が送信するようにすることは容易である。

相違点2について

3GPP TSG-RAN WG2 Meeting #62, R2-082162, Nokia Corporation, Nokia Siemens Networks, "Signalling of MBSFN subframe allocation on mixed carrier"(以下「周知例3」という。下線部は当審が付与。)には、

「3.4 Further observations
Without any further optimization, as mentioned earlier the added signalling cost (with given length of allocation period) of this proposal compared to that in [2] is one additional bit. One obvious way to save on signalling is to have an allocation period of, say, 160ms instead of 320ms. It is also easy to come up with other ways, for instance, the allocation order of subframes in the basic period of two radio frames could be defined by allocating more than one subframes at each step, i.e. grouping more than one subframes under the same number in Figure 1. Also the maximum allocation could be limited to be less than all possible subframes. Moreover, in some cases such as very sparse MBSFN allocations, the full radio-frame level bitmap may be too inefficient signalling. This can be optimized e.g. by alternatively only signalling a list of locations of 1's in the bitmap, or by truncating the bitmap (and signalling the truncated length) if the remainder is all 0's.
To serve different operator requirements, it may be useful to specify more than one subframe allocation orders the likes of the one in Figure 1, e.g. including one where the different radio frames are filled with MBSFN subframes at equal pace. This would require that the applied allocation order is then also signalled.

4 Monitoring MBSFN subframes for possible DL allocations by Rel-8 terminals
Because of the typically variable bitrate of MBMS service content, subframes of a given MCH originally reserved for MBSFN transmission in a cell may be left unused by the MBSFN transmission, which allows the transmission of such subframes as regular unicast subframes containing unicast DL allocations.」
(当審訳:
3.4 更なる観測
任意の更なる最適化なしに、前記したように、この提案の(割当期間の所定長を伴う)追加シグナリングコストを[2]の追加ビットと比較した。シグナリングを節約する一つの明白な方法は割当期間を例えば320msの代わりに160msとすることである。他の方法を提案することも簡単であり、例えば2無線フレームの基本周期内のサブフレームの割り当て順序は各ステップにおいて複数サブフレームの割り当て、すなわち、図1に記載される同じ番号の複数のサブフレームをグループ化することによって定義することができる。また、最大割り当ては全ての可能サブフレームよりも小さくなるように制限されることができる。さらに、非常に疎なMBSFN割り当てのような場合には、全無線フレームレベルビットマップはあまりに非効率なシグナリングである。これは、最大限に利用され、例えば代わりに、ビットマップの「1」の場所のリストだけをシグナリングするか、残りが全て0であれば、ビットマップを切り詰め(て、長さの切り詰められたシグナリング)る。
異なる操作者の要求に応えるために、図1のような割り当て順序の複数サブフレームを特定することが有用であり、例えば異なる無線フレームが同じペースのMBSFNサブフレームで満たされるものを含む。割り当て順序が適用される要求は通知される。
4 リリース8端末による可能なDL割り当てのためのMBSFNサブフレームのモニタリング
MBMSサービスコンテンツの典型的な可変ビットレートのため、セル内のMBSFN送信のためにもともと予約され与えられていたMCHのサブフレームは、MBSFN転送のために使用されないかもしれず、そのサブフレームはユニキャストDL割り当てを含む正規ユニキャストサブフレームのようなサブフレームの送信を許す。)

が記載されているから、周知例3によれば「MBSFN割り当てをビットマップでシグナリングするシステムにおいて、MBSFN転送のために使用されないサブフレームは、正規ユニキャストサブフレームの送信を許す」ことは周知である。

そうすると、引用発明において、MBSFNサブフレームでない「ユニキャストサブフレーム」として、「正規ユニキャストサブフレーム」すなわち「正規サブフレーム」とすることは容易である。

そして、本願発明のように構成したことによる効果も引用発明及び周知技術から予測できる範囲のものである。
したがって、本願発明は、引用発明および周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものである。


6.むすび

以上のとおり、本願発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-03-17 
結審通知日 2015-03-24 
審決日 2015-03-31 
出願番号 特願2011-530148(P2011-530148)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04W)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 久松 和之  
特許庁審判長 江口 能弘
特許庁審判官 吉田 隆之
寺谷 大亮
発明の名称 ワイヤレス通信システムにおいて中継動作をサポートするための技法  
代理人 井上 正  
代理人 福原 淑弘  
代理人 蔵田 昌俊  
代理人 岡田 貴志  
代理人 河野 直樹  
代理人 峰 隆司  
代理人 井関 守三  
代理人 野河 信久  
代理人 堀内 美保子  
代理人 砂川 克  
代理人 佐藤 立志  

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