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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G06F 審判 査定不服 5項独立特許用件 取り消して特許、登録 G06F |
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管理番号 | 1304444 |
審判番号 | 不服2014-16745 |
総通号数 | 190 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2015-10-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2014-08-22 |
確定日 | 2015-09-01 |
事件の表示 | 特願2012-173304「電子装置及びその制御方法」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 2月21日出願公開、特開2013- 37688、請求項の数(15)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成24年8月3日(パリ条約による優先権主張2011年(平成23年)8月5日、米国;2011年(平成23年)10月13日、大韓民国)の出願であって、平成25年10月16日付けで拒絶理由通知がなされ、平成26年2月20日付けで手続補正がなされ、同年4月11日付けで拒絶査定がされ、これに対し、同年8月22日に拒絶査定不服審判が請求され、同時に手続補正がなされたものである。 第2 平成26年8月22日付け手続補正(以下、「本件補正」という。)についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成26年8月22日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1.補正の内容 本件補正は、特許請求の範囲の請求項1を、 「電子装置の制御方法において、 認識された音声に応じて第1タスクの少なくともいずれか一つを行うことができる音声タスクモードで、前記第1タスクを行うための音声ガイド情報を表示するステップと、 前記音声ガイド情報として表示された少なくともいずれか一つの音声アイテムのうち、 第1音声アイテムに対応する第1音声を認識するステップと、 前記第1タスクのうち、前記第1音声アイテムに対応するタスクを行うステップと、 前記音声タスクモードを保持する間、認識されたモーションに応じて第2タスクの少なくともいずれか一つを行うことができるモーションタスクモードにシフトするための予め設定されたモーションを示すモーション開始命令(Trigger Motion)が認識される場合、前記電子装置のモードをモーションタスクモードに切り替え、前記音声ガイド情報を前記第2タスクを行うためのモーションガイド情報に切り替えるステップと、 前記モーションガイド情報として表示された少なくともいずれか一つのモーションアイテムのうち、第1モーションアイテムに対応する第1モーションを認識するステップと、 前記第2タスクのうち、前記第1モーションアイテムに対応するタスクを行うステップと を含む電子装置の制御方法。」 から 「電子装置の制御方法において、 認識された音声に応じて第1タスクの少なくともいずれか一つを行うことができる音声タスクモードで、前記第1タスクを行うための音声ガイド情報を表示するステップと、 前記音声ガイド情報として表示された少なくともいずれか一つの音声アイテムのうち、 第1音声アイテムに対応する第1音声を認識するステップと、 前記第1タスクのうち、前記第1音声アイテムに対応するタスクを行うステップと、 前記音声タスクモードを保持する間、認識されたモーションに応じて第2タスクの少なくともいずれか一つを行うことができるモーションタスクモードにシフトするための予め設定されたモーションを示すモーション開始命令(Trigger Motion)が認識される場合、前記電子装置のモードをモーションタスクモードに切り替え、前記音声ガイド情報を前記第2タスクを行うためのモーションガイド情報に切り替えるステップと、 前記モーションガイド情報として表示された少なくともいずれか一つのモーションアイテムのうち、第1モーションアイテムに対応する第1モーションを認識するステップと、 前記第2タスクのうち、前記第1モーションアイテムに対応するタスクを行うステップと を含み、 前記切り替えるステップは、 前記音声ガイド情報が同一位置を保持しつつ、前記モーションガイド情報に切り替えることを特徴とする電子装置の制御方法。」 に変更する補正事項を含むものである。 なお、下線は変更箇所を表している。 そして、上記補正事項は、本件補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「前記電子装置のモードをモーションタスクモードに切り替え、前記音声ガイド情報を前記第2タスクを行うためのモーションガイド情報に切り替えるステップ」という事項を「前記電子装置のモードをモーションタスクモードに切り替え、前記音声ガイド情報を前記第2タスクを行うためのモーションガイド情報に切り替えるステップ」であって「前記切り替えるステップは、前記音声ガイド情報が同一位置を保持しつつ、前記モーションガイド情報に切り替えることを特徴とする」に限定するものであって、特許法第17条の2第5項第2号にいう「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 2.独立特許要件 そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」と呼ぶ。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものか否か(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について検討するに、当審は、以下の理由により、本願補正発明は特許出願の際、独立して特許を受けることができるものではないと判断する。 本願補正発明は明確でないから、本件補正後の特許請求の範囲の記載は特許法第36条第6項第2号の要件を満たしていない。 理由は、次のとおりである。 すなわち、本件補正後の請求項1には、「前記切り替えるステップは、前記音声ガイド情報が同一位置を保持しつつ、前記モーションガイド情報に切り替えることを特徴とする」という記載(以下、「記載A」という。)があるが、その記載Aがどのような事項を表しているのかが不明確である。 以下、詳述する。 記載A中の「位置」は、「音声ガイド情報が表示される位置」のことを表しているとしか解することができず、記載A中の「前記音声ガイド情報が同一位置を保持しつつ」という記載は、「音声ガイド情報が同一位置に表示されたまま」といった意味に解するほかはないから、記載Aは、「前記切り替えるステップは、音声ガイド情報が同一位置に表示されたまま、前記モーションガイド情報に切り替えることを特徴とする」という意味であると解される。 一方、その「前記切り替えるステップ」の前記された箇所では、「切り替えるステップ」は、「前記音声ガイド情報を前記第2タスクを行うためのモーションガイド情報に切り替えるステップ」であるとされており、この記載は、「切り替えるステップ」が、「音声ガイド情報の表示をモーションガイド情報の表示に切り替えるステップ」であること、換言すれば、「音声ガイド情報の表示を取りやめて替わりにモーションガイド情報を表示をする」といった事項を表しているとしか解することができない。 結局、本件補正後の請求項1の記載からは、「切り替えるステップ」が、音声ガイド情報の表示を継続したままにすることを要件とするステップなのか、音声ガイド情報の表示を取りやめることを要件とするステップなのかが不明確である。 以上の点は、発明の詳細な説明を参酌しても、明確であるとはいえない。 よって、本願補正発明は明確でない。 3.むすび 以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 第3 上記補正却下の決定を踏まえた本願についての検討 <本願請求項1に係る発明について> 1.本願発明 本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願発明1」と呼ぶ。)は、平成26年2月20日付け手続補正の特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものであり、上記「第2」の「1.」の欄に本件補正前のものとして転記したとおりのものである。 2.原査定の理由の概要 原査定の理由の概要は、次のとおりである。 「 この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 (引用文献等については引用文献等一覧参照) ・請求項1-15 ・引用文献等1-4 ・備考 引用文献1(特に、段落【0027】-【0032】を参照。)には、音声に応じてタスクを行うことができる音声タスクモードにおいて音声を認識し、モーションに応じてタスクを行うことができるモーションタスクモードにおいてモーションを認識する、電子装置の制御方法、が記載されている。 また、引用文献2(特に、段落【0040】-【0046】を参照。)には、イメージやテキストを用いてガイド情報を表示させること、が記載されている。 また、引用文献3(特に、段落【0034】-【0039】を参照。)には、それぞれの入力に対して、互いに異なるタスクを割り当てること、が記載されている。 また、引用文献4(特に、段落【0026】-【0027】を参照。)には、音声入力に応じてチャネルショートカットを行うこと、が記載されている。 請求項1-15に係る発明は、引用文献1に記載された発明に、引用文献2-4に開示された技術を適用することにより、当業者が容易に想到し得たものと認められる。 引 用 文 献 等 一 覧 1.特開2010-103721号公報 2.特開2008-052590号公報 3.特開平11-184669号公報 4.特開2002-101315号公報 出願人は意見書において、『補正後の請求項1の『前記音声タスクモードを保持する間、認識されたモーションに応じて第2タスクの少なくともいずれか一つを行うことができるモーションタスクモードにシフトするための予め設定されたモーションを示すモーション開始命令(Trigger Motion)が認識される場合、前記電子装置のモードをモーションタスクモードに切り替え、前記音声ガイド情報を前記第2タスクを行うためのモーションガイド情報に切り替える』特徴は、引用文献1(特開2010-103721号公報)、引用文献2(特開2008-052590号公報)、引用文献3(特開平11-184669号公報)及び引用文献4(特開2002-101315号公報)の何れにも記載されておらず、請求項1に係る発明は、これらに基づき当業者が容易に成し得るものでないと思料致します。』と主張している。 上記主張について検討するに、先の引用文献1に記載された発明においては、検出部フラグDFの値に基づいて音声タスクモードとモーションタスクモードを切り替えることが記載されているが、どのようにして切り替えがなされるかは明確でない。しかし、ユーザの動作に応じてモーション検知を切り替えることは、『国際公開第2008/093683号』の[0027]?[0028]、「特開2010-045730号公報」の段落【0123】?【0124】に記載されているように周知技術であるので、モーション開始命令の入力によってモーションタスクモードへ切り替えることに格別の技術的困難性は認められない。 よって、上記主張は認められず、本願請求項1?15に係る発明は、先の引用文献1?4に記載された発明及び上記周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものと認められる。」 3.当審の判断 (1)引用発明 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1(特開2010-103721号公報)には、以下の記載がある。 「【0001】 この発明は、表示部及び操作部を備え、音関連機能を含む複数の機能を並行して動作可能な端末装置及びプログラムに関する。 【背景技術】 【0002】 近年、携帯電話機の処理能力が年々向上し、音楽を聴きながら受信メールを読んだり、Webアクセスをしたりといった並列処理が可能となってきている。この場合、メイン処理(フォアグランド処理)として、受信メールを閲覧する機能、あるいはインターネット上のwebページを閲覧する機能を動作させ、バックグラウンド処理として音楽プレイヤ機能を動作させている状態において、選曲のような音楽に関する操作を行なう場合には、音楽プレイヤ機能を一時的にメイン処理として切り替えたのち、バックグラウンド処理に戻すという手順を踏む必要があり、ユーザに負担をかけることになる。 そこで、従来では、第2の操作部を備えることでバックグラウンド処理での音楽プレイヤ機能でも操作可能となるようにした技術が開示されている(特許文献1参照)。 【特許文献1】特開2004-173137号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0003】 上述した先行技術にあっては、音楽再生とそれ以外の機能を並行して実行している場合、バックグラウンド処理として動作中の音楽に関連する機能に対する操作を可能とするために、専用の操作部を備えることで、音楽再生以外の機能を終了させることなく、音楽に関する操作を行うことができるが、専用の操作部を設けることは、コスト高を招くと共に、小型化の支障となる。 【0004】 この発明の課題は、音関連機能を含む複数の機能が並行して動作している場合に、音関連機能に対して専用の操作部を設けなくても、バックグラウンド処理として動作中の音関連機能に対する操作を実行できるようにすることである。 ・・・ (中略) ・・・ 【発明を実施するための最良の形態】 【0016】 以下、図1?図10を参照して本発明の実施形態を説明する。 この実施形態は、携帯端末装置として携帯電話装置に適用した場合を例示したもので、図1は、この携帯電話装置の基本的な構成要素を示したブロック図である。 この携帯電話機は、通話機能、電子メール機能、インターネット接続機能(Webアクセス機能)、音楽再生機能、カメラ機能、録音機能、万歩計(登録商標)機能など、各種の機能を備えている。制御部1は、二次電池を備えた電源部2からの電力供給によって動作し、記憶部3内の各種のプログラムに応じてこの携帯電話機の全体動作を制御するもので、この制御部1にはCPU(中央演算処理装置)やメモリなどが設けられている。 ・・・ (中略) ・・・ 【0019】 音楽プレイヤ7は、音楽再生機能を構成するもので、再生対象としてユーザ操作によって任意に選択された音楽コンテンツを記憶部3から読み出して、サウンドスピーカ8から出力させる。表示部9は、例えば、高精細液晶あるいは有機ELなどを使用し、アイコン、文字データ、待受画像、撮影画像などを表示するもので、その表示パネル上に指、器具などの物体の接触位置(座標位置)を検出する座標位置検出部(タッチ操作面を構成する透明な接触センサ)10を積層配設することによってタッチスクリーン(タッチ画面)TDを構成している。このタッチ画面TDを構成する座標位置検出部10は、タッチ画面TD(表示部9)上においてその座標位置を入力する座標入力操作(タッチ操作)を検出する座標入力手段である。 【0020】 このタッチ画面TD上で行われる使用者(ユーザ)の動作として、後述する1点タップ、1点ダブルタップ、2点ダブルタップなどのタッチ操作が行われたことを座標位置検出部10によって検出されると、制御部1は、この使用者の動作(1点タップ、1点ダブルタップ、2点ダブルタップなど)に応じた処理を実行する。また、タッチ画面TD上に必要に応じて配置されたタッチキー(ソフトフェアキー)へのタッチ操作で、そのタッチキーに対応するキー操作信号が座標位置検出部10から出力されると、制御部1は、このキー操作信号に応じた処理を実行する。このように表示部9及び座標位置検出部10によって構成されたタッチ画面TDは、タッチキー操作部として利用されるほか、使用者の動作(タッチ)を検出する動作検出部としても利用される。 【0021】 撮像部11は、静止画撮影のほかに動画撮影も可能なカメラ機能を構成するもので、撮影レンズ、レンズ・ミラーブロック、撮像素子、その駆動系のほか、測距センサ、光量センサ、アナログ処理回路、信号処理回路、圧縮伸張回路などを備え、光学ズームを調整制御したり、オートフォーカス時の駆動を制御したり、シャッター駆動を制御したり、露出、ホワイトバランスなどを制御したりする。制御部1は、撮像部11によって撮像された画像を解析して、例えば、“指を上に振る”、“指を右に振る”などの使用者の動作を検出し、この使用者の動作(ジェスチャ)に応じた処理を実行するようにしている。このように撮像部11は、カメラ機能として利用されるほか、使用者の動作を検出する動作検出部としても利用される。 【0022】 集音部12は、音楽コンテンツなどを録音する録音機能を構成するほか、使用者の音声を入力するマイクで、制御部1は、集音部12からの入力音声を解析(音声認識)することによって、例えば、“うえ(上)”、“さいせい(再生)”、“ていし(停止)”などの音声指示を使用者の動作として検出し、この使用者の動作(音声指示)に応じた処理を実行するようにしている。このように集音部12は、録音機能として利用されるほか、使用者の動作を検出する動作検出部としても利用される。 【0023】 筐体動作検出部13は、例えば、3軸タイプの加速度センサによって構成され、万歩計(登録商標)機能を構成するもので、制御部1は、この筐体動作検出部13からの検出結果に応じて装置本体を振ったときの振り方向、例えば、“筐体を上に振る”、“筐体を下に振る”、“筐体を前に突き出す”、“筐体を右に振る”、“筐体を左に振る”を使用者の動作として検出し、この使用者の動作(筐体の振り)に応じた処理を実行するようにしている。このように筐体動作検出部13は、万歩計(登録商標)機能として利用されるほか、使用者の動作を検出する動作検出部としても利用される。スタイル検出部14は、装置本体を構成する複数の筐体の連結状態に応じて装置本体のスタイルを検出するもので、例えば、磁気センサ、マイクロスイッチ、機械的スイッチなどを有する構成で、制御部1は、スタイル検出部14からの各検出信号に基づいて装置本体の各スタイルを判別するようにしている。 ・・・ (中略) ・・・ 【0026】 図3は、フラグメモリFMを説明するための図である。 フラグメモリFMは、動作中フラグMF、検出部フラグDF、スタイルフラグSFを記憶するもので、図3(1)?(3)は、動作中フラグMF、検出部フラグDF、スタイルフラグSFの内容を示している。動作中フラグMFは、音関連機能(音関連アプリケーション)の動作状態を示すフラグである。すなわち、動作中フラグMFは、音楽プレイヤ7の動作状態を示すフラグで、図3(1)に示すように、その値が“0”のときには、音楽プレイヤ7が動作していないことを示し、その値が“1”のときには、音楽プレイヤ7がメイン処理(フォアグランド処理)として動作中であることを示し、その値が“2”のときには、音楽プレイヤ7がバックグランド処理として動作中であることを示している。 【0027】 検出部フラグDFは、音楽プレイヤ7がバックグランド処理として動作している場合に、使用者の動作(タッチ、音声指示、筐体の振り、ジェスチャ)に応じた各種の操作手段のうち、どの操作手段をバックグランド処理に対する操作手段として使用するかを示すフラグである。すなわち、検出部フラグDFは、図3(2)に示すように、その値が“0”のときには、バックグランド処理として動作中の音楽プレイヤ7に対する操作を行わないことを示し、その値が“1”のときには、バックグランド処理として動作中の音楽プレイヤ7に対する操作手段として、座標位置検出部10からの検出結果を使用することを示している。また、検出部フラグDFの値が“2”のときには、バックグランド処理として動作中の音楽プレイヤ7に対する操作手段として、撮像部11からの検出結果を使用することを示し、その値が“3”のときには、集音部12からの検出結果を使用することを示し、その値が“4”のときには、筐体動作検出部13からの検出結果を使用することを示している。 【0028】 スタイルフラグSFは、メイン操作部4が使用不可能となる特定スタイルであることを示すフラグで、図3(3)に示すように、その値が“0”のときには、ビュースタイル以外のスタイル(特定スタイル以外のスタイル)であることを示し、その値が“1”のときには、メイン操作部4が使用不可能となるビュースタイル(特定スタイル)であることを示している。なお、この実施形態では、2軸ヒンジタイプの携帯電話機に適用した場合を例示したが、操作部筐体Aの上を表示部筐体Bがスライドすることによって開閉するスライドタイプの携帯電話機の場合、メイン操作部4が使用不可能となるのは、操作部筐体Aの上に表示部筐体Bが重なる閉状態であるから、スタイルフラグSFの値が“0”のときには、操作部筐体Aと表示部筐体Bとが開いている開状態を示し、“1”のときには、閉状態を示す。 【0029】 図4は、動作テーブルMTを説明するための図である。 動作テーブルMTは、バックグランド処理として動作している音関連機能(音関連アプリケーション)に対する操作手段として、使用者の各種の動作(タッチ、音声指示、筐体の振り、ジェスチャ)に応じた操作手段をそれぞれ定義するためのテーブルである。この動作テーブルMTには、「音関連機能に対する操作内容」、「検出部フラグ別の使用者の動作」の項目を有している。ここで、検出部フラグDFの値が“1”の場合において、「使用者の動作」には“2点間拡大ドラッグ”、“2点間縮小ドラッグ”、“1点タップ”、“1点ダブルタップ”、“2点ダブルタップ”が設定されている。この“2点間拡大ドラッグ”は、タッチ画面TD上において2本の指の間隔を徐々に開きながらドラッグするタッチ動作で、これに対応する「操作内容」には音楽プレイヤ7の設定音量を上げることを指示する“音量アップ”が設定されている。 【0030】 “2点間縮小ドラッグ”は、タッチ画面TD上において2本の指の間隔を徐々に狭めながらドラッグするタッチ動作で、これに対応する「操作内容」には音楽プレイヤ7の設定音量を下げることを指示する“音量ダウン”が設定されている。“1点タップ”は、タッチ画面TD上の1点を1回タッチする動作で、これに対応する「操作内容」には“再生”、“停止”が設定されており、音楽プレイヤ7が停止している状態で“1点タップ”の動作が行われると、音楽プレイヤ7に対して再生を指示し、音楽プレイヤ7の再生中に“1点タップ”の動作が行われると、音楽プレイヤ7に対して再生の“停止”を指示する。“1点ダブルタップ”は、タッチ画面TD上の1点を2回連続してタッチする動作で、これに対応する「操作内容」には次の音楽コンテンツを再生対象として指定する“次コンテンツ”が設定されている。“2点ダブルタップ”は、タッチ画面TD上の2点を2回連続してタッチする動作で、これに対応する「操作内容」には一つ前の音楽コンテンツを再生対象として指定する“前コンテンツ”が設定されている。 【0031】 また、検出部フラグDFの値が“2”の場合において、「使用者の動作」には“指を上に振る”、“指を下に振る”、“指を前に突き出す”、“指を右に振る”、“指を左に振る”が設定され、これに対応する「操作内容」には、“音量アップ”、“音量ダウン”、“再生”/“停止”、“次コンテンツ”、“前コンテンツ”が設定されている。なお、“指を前に突き出す”に対応する「操作内容」には“再生”、“停止”が設定されており、音楽プレイヤ7が停止している状態で“指を前に突き出す”の動作が行われると、音楽プレイヤ7に対して再生を指示し、音楽プレイヤ7の再生中に“指を前に突き出す”の動作が行われると、音楽プレイヤ7に対して再生の“停止”を指示する。 【0032】 検出部フラグDFの値が“3”の場合において、「使用者の動作」には“音声(うえ)”、“音声(した)”、“音声(さいせい)”、“音声(ていし)”、“音声(つぎ)”、“音声(まえ)”が設定され、これに対応する「操作内容」には、“音量アップ”、“音量ダウン”、“再生”、“停止”、“次コンテンツ”、“前コンテンツ”が設定されている。検出部フラグDFの値が“4”の場合において、「使用者の動作」には“筐体を上に振る”、“筐体を下に振る”、“筐体を前に突き出す”、“筐体を右に振る”、“筐体を左に振る”が設定され、これに対応する「操作内容」には、“音量アップ”、“音量ダウン”、“再生”/“停止”、“次コンテンツ”、“前コンテンツ”が設定されている。なお、“筐体を前に突き出す”に対応する「操作内容」には“再生”、“停止”が設定されており、音楽プレイヤ7が停止している状態で“筐体を前に突き出す”の動作が行われると、音楽プレイヤ7に対して再生を指示し、音楽プレイヤ7の再生中に“筐体を前に突き出す”の動作が行われると、音楽プレイヤ7に対して再生の“停止”を指示する。」 そして、引用文献1の図1に示される「携帯電話装置」は、本願発明の「電子装置」に相当し、段落[0032]記載の「検出部フラグDFの値が“3”の場合」は、本願発明の「音声タスクモード」に相当し、同段落[0032]記載の「検出部フラグDFの値が“4”の場合」は、本願発明の「モーションタスクモード」に相当するものと考えることができるから、引用文献1には、次の点で本願発明と一致する発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。 「電子装置の制御方法において、 認識された音声に応じて第1タスクの少なくともいずれか一つを行うことができる音声タスクモードで、第1音声を認識するステップと、 前記第1タスクのうち、前記第1音声に対応するタスクを行うステップと、 認識されたモーションに応じて第2タスクの少なくともいずれか一つを行うことができるモーションタスクモードで、第1モーションを認識するステップと、 前記第2タスクのうち、前記第1モーションに対応するタスクを行うステップと を含む電子装置の制御方法。」 (2)対比 本願発明1と引用発明とは、次の点で相違する。 (相違点1) 本願発明1は、「第1タスクを行うための音声ガイド情報を表示するステップ」を備えており、それに伴い本願発明1においては、「第1音声」が「音声ガイド情報として表示された少なくともいずれか一つの音声アイテムのうち第1音声アイテムに対応する第1音声」であり、「第1音声に対応するタスク」が「第1音声アイテムに対応するタスク」であるのに対し、引用発明は、「第1タスクを行うための音声ガイド情報を表示するステップ」を備えておらず、引用発明においては、「第1音声」は「音声ガイド情報として表示された少なくともいずれか一つの音声アイテムのうち第1音声アイテムに対応する第1音声」ではなく、「第1音声に対応するタスク」は「第1音声アイテムに対応するタスク」ではない点。 (相違点2) 本願発明1は「音声タスクモードを保持する間、認識されたモーションに応じて第2タスクの少なくともいずれか一つを行うことができるモーションタスクモードにシフトするための予め設定されたモーションを示すモーション開始命令(Trigger Motion)が認識される場合、電子装置のモードをモーションタスクモードに切り替え、音声ガイド情報を前記第2タスクを行うためのモーションガイド情報に切り替えるステップ」を有するのに対し、引用発明はそのようなステップを有しない点。 (相違点3) 本願発明1においては、「第1モーション」が「モーションガイド情報として表示された少なくともいずれか一つのモーションアイテムのうち第1モーションアイテムに対応する第1モーション」であり、「第1モーションに対応するタスク」が「第1モーションアイテムに対応するタスク」であるのに対し、引用発明においては、「第1モーション」は「モーションガイド情報として表示された少なくともいずれか一つのモーションアイテムのうち第1モーションアイテムに対応する第1モーション」ではなく、「第1モーションに対応するタスク」は「第1モーションアイテムに対応するタスク」ではない点。 (3)判断 ア.(相違点2)について 以下の事情を総合すると、引用発明において上記相違点2に係る本願発明1の構成を採用することについては、当業者が容易に推考し得たこととはいえない。 a.上記相違点2に係る本願発明1の構成は、モーションタスクモードにシフトする前の「音声タスクモードを保持する間」に、「予め設定されたモーションを示すモーション開始命令(Trigger Motion)」、すなわち、「本願明細書の段落【0292】に示されるような特定のモーション」が認識される場合に、モーションタスクモードに切り替えるというものであり、そのことは、モーションタスクモードではない「音声タスクモードを保持する間」においても、「特定のモーション」については認識できるようにしておく必要があることを意味するが、引用発明において、音声タスクモード(検出部フラグDFの値が“3”の場合)からモーションタスクモード(検出部フラグDFの値が“4”の場合)への切り替えを、そのようなこと(「音声タスクモードを保持する間」においても、「特定のモーション」については認識できるようにしておくこと)が必要な、「特定のモーション」の認識により行うようにすべき理由はない。 b.拒絶査定で引用された引用文献1?4は、いずれも、モーションタスクモードではないモードからモーションタスクモードへの切り替えを、特定のモーションの認識により行うようにすることを示唆するものではないし、拒絶査定で新たに提示された周知例(国際公開第2008/093683号の段落[0027]?[0028]、特2010-045730号公報の段落【0123】?【0124】の記載)も、モーションタスクモードではないモードからモーションタスクモードへの切り替えを、特定のモーションの認識により行うようにすることを示唆するものとはいえないから、拒絶査定に引用された引用文献1以外の文献を参酌しても、引用発明において上記相違点2に係る本願発明1の構成を採用することは、当業者が容易に推考し得たこととはいえない。 c.ほかに、引用発明において上記相違点2に係る本願発明1の構成を採用することが当業者にとって容易であったといえる理由を発見しない。 イ.まとめ 以上によれば、(相違点2)以外の点について検討するまでもなく、本願発明1は「引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができた発明」ではない。 また、引用文献1からは、上記引用発明以上に本願発明1に近似した発明を見出すことはできない。 したがって、本願発明1は、原査定の理由によって拒絶すべきものということはできない。 <本願請求項2-14に係る発明について> 本願請求項2-14に係る発明は、いずれも、上で検討した本願発明1が具備する要件の全てを要件として具備する発明であるから、本願発明1と同様に、原査定の理由によって拒絶すべきものということはできない。 <本願請求項15に係る発明について> 本願請求項15に係る発明は、上で検討した本願発明1を「装置」の観点から表現し直したものであり、上で検討した本願発明1と引用発明との間の相違点2に係る本願発明1の構成に対応する構成を、要件として実質的に具備する発明である。 したがって、本願請求項15に係る発明も、本願発明1と同様に、「刊行物1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができた発明」ということはできない。 <むすび> 以上のとおりであるから、本願の請求項1-15に係る発明は、原査定の理由によって拒絶すべきものということはできない。 したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2015-08-19 |
出願番号 | 特願2012-173304(P2012-173304) |
審決分類 |
P
1
8・
575-
WY
(G06F)
P 1 8・ 121- WY (G06F) P 1 8・ 537- WY (G06F) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 山口 大志 |
特許庁審判長 |
和田 志郎 |
特許庁審判官 |
小曳 満昭 白石 圭吾 |
発明の名称 | 電子装置及びその制御方法 |
代理人 | 伊東 忠彦 |
代理人 | 伊東 忠重 |
代理人 | 大貫 進介 |