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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A47L
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A47L
管理番号 1304455
審判番号 不服2014-646  
総通号数 190 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-10-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-01-14 
確定日 2015-08-11 
事件の表示 特願2011-219200号「電気掃除機」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 4月19日出願公開、特開2012-75904号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成23年10月3日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2010年10月1日、英国)の出願であって、平成25年9月6日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成26年1月14日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。

第2 平成26年1月14日の手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]
平成26年1月14日の手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1を、次のとおりに補正しようとする補正事項を含むものである。
「【請求項1】
ピストルグリップハンドルを含む手持ち型電気掃除機を含むスティックバック掃除機であって、前記手持ち型電気掃除機は、細長い剛性のあるワンドの一端に取り付けられ、前記ワンドの他端に設けられた掃除機ヘッドに流体接続され、
前記掃除機ヘッドは、前記ワンドがその軸を中心に回転したときに前記掃除機ヘッドを床と平行平面接触した状態で指向的に操縦するための機械的操縦結合を介して前記ワンドに接続される、
ことを特徴とするスティックバック掃除機。」

上記補正事項は、補正前の請求項1に係る発明を特定する事項である「手持ち型電気掃除機」に関して、「ピストルグリップハンドルを含む」こと、及び「ワンドの一端に取り付けられ」ることを特定するものであり、また、補正前の請求項1に係る発明を特定する事項である「掃除機ヘッド」が設けられる「前記ワンドの端部」に関して、「前記ワンドの他端」であることを特定するものであって、かつ、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

2 独立特許要件についての検討
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて以下検討する。

(1)引用例1
原査定の拒絶の理由に引用され、本願優先日前に頒布された刊行物である特開昭64-15020号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。

(1a)第1頁左欄18、19行
「従来、掃除機本体に延長管,吸口を接続した状態で掃除が可能な、ほうき形掃除機においては、」

(1b)第1頁右欄20行?第2頁上段左欄3行
「上記目的は、一端より集じん部,電動送風機,コードリールを略直列に内蔵する本体ケースと、概本体ケースのコードリール側後端部より一体的に略U字状のハンドルを設けたものにおいて、」

(1c)第2頁上段左欄19行?右欄12行
「以下、本発明の一実施例を図面を用いて説明すると、第1図において、1は本体ケースであり、左右二分割されたケース1aおよび1bとを合せネジにて構成されている。2は、集じん部蓋体であり、蓋体2の一端には、延長管3との接続部4があり、集じん部内の袋状の紙フイルタ-5の内部と連通させている。6は電動送風機、7はコードリールであり、前記三者が直列に配置されている。本体ケース1のほぼ中央には、ケースと一体に、平面状の突出した受部8がある。一方、本体ケース1の後端部にはU字状のハンドル9が一体的に設けてあり、さらに本体ケース1の中心軸よりも傾斜させ、ハンドル9の下端部が、本体ケース1の下面よりも外側に出るようにしている。」

(1d)第2頁下段左欄1、2行
「さらに第3図において、27は床用の吸口である。」

(1e)第2頁下段左欄3?6行
「以上の構成において、動作を説明すると、掃除を始める際は、コードを引出して、ハンドル9を持ち、プラグ17を持ち引出し、コンセントに入れた後、掃除に使用する。」

(1f)上記(1a)?(1e)の記載とともに引用例1の第3図を参照すると、当該第3図には、掃除機本体に延長管3,床用の吸口27を接続した状態で掃除が可能な、ほうき形掃除機において、掃除機本体が本体ケース1と蓋体2とで構成されていることが理解できる。
また、上記(1a)及び(1d)の記載とともに引用例1の第3図を参照すると、当該第3図には、細長い延長管3の、一方の端部に掃除機本体が接続され、他方の端部に横長の床用の吸口27が接続される構成が示されていることが理解できる。
なお、第3図において「吸口」と考えられる部材に図番「28」が付されているが、引用例1の明細書において図番「28」で説明される部材はなく、上記(1d)に記載された「27」の、明らかな誤記と判断した。

(1g)引用例1に記載された発明
上記記載事項(1a)?(1f)を総合すると、引用例1には、次の発明が記載されていると認められる。
「U字状のハンドル9が一体的に設けられた本体ケース1と蓋体2から構成される掃除機本体を有するほうき形掃除機であって、
掃除機本体を構成する本体ケース1に電動送風機6が内蔵され、
掃除機本体は、細長い延長管3の一方の端部に接続され、
延長管3の他方の端部に床用の吸口27が接続される、ほうき形掃除機」(以下、「引用例1記載の発明」という。)

(2)引用例2
原査定の拒絶の理由に引用され、本願優先日前に頒布された刊行物である特開2000-83879号公報(以下、「引用例2」という。)には、図面とともに、次のことが記載されている。

(2a)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、使用者が手元ハンドルを操作することで簡単に吸口体の角度を任意に操作することのできる吸口体を備えた電気掃除機に関するものである。」

(2b)「【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記従来の電気掃除機の吸口体は、吸口体を手元ハンドルを介して前後方向に移動させて掃除するために横長の吸口を基調として形成され、床面を効率良く清掃するようにしている。そして、テーブルの下や隙間の清掃性を向上するために前記した2つの継手を備えることで、手元ハンドルの操作で吸口体を床面に密着させたまま手元ハンドルの上下動や吸口体自体の回転を可能にしている。」

(2c)「【0009】本発明の目的は、騒音や塵埃つまりを軽減して、手元ハンドルのひねり動作で吸口本体を床面に対して広範囲に回転させることのできる清掃性が良好な電気掃除機を提供することにある。」

(2d)「【0013】先ず、図1を参照して、本実施形態に係る電気掃除機を説明する。符号1で総括的に示すのは電気掃除機であり、塵埃を集塵室に吸い込むための図示しない機構、例えば送風機を備えた電気掃除機本体100と、一端が前記電気掃除機本体100に取り付けられ、前記送風機に連通する柔軟性のある吸引ホース200と、前記吸引ホース200の他端に取り付けられて前記送風機に連通する手元ハンドル300と、前記手元ハンドル300に取り付けられて前記吸引ホース200に連通する吸引管400と、前記吸引管400に取り付けられ、該吸引管400に連通する吸口体500とから構成される。
【0014】前記電気掃除機本体100は、内部に使い捨て塵埃袋を備えた集塵室を備え、一対の大車輪101と1個の自在車輪102とで、前記吸引ホース200を介して移動させることができる。また、前記電気掃除機本体100の運転制御は、該電気掃除機本体100の上面に設けた運転表示部内の赤外線受光部103で、手元ハンドル300から発信される操作信号を受けて操作される。」

(2e)「【0018】さらに該手元ハンドル300は、前記接続管400の長手方向、すなわち、前記接続管400の中心軸B2の延長線上の上端に、前記中心軸B2と90度以上160度以下、好ましくは100度から120度前後の角度(図中のα)を持って、その長手方向B4が吸引ホース200と前記接続管400の接続方向と略一致する位置にハンドル301を備えている。このハンドル301により、前記吸引ホース200を介して前記電気掃除機本体100を移動させることができ、更に、吸口体500の動きを操作することができる。
【0019】特に、このハンドル部301によれば、ひねり動作、即ち中心軸B2を中心とした回転P1を容易に行うことができる。しかも、このひねり動作では、前記手元ハンドル300に対して前記吸引ホース200が重力により常に前記ハンドル部301の下方に位置するように回転可能に取付けられているので、ハンドル部301のひねり動作で吸引ホース200を引き上げないので、手首に係る負担を軽減できる。この際、ハンドル部301を上部に設けているので、下方に設けた吸引ホース200が前記ひねり動作を邪魔することがない。これにより、後述の如く吸口体500を床面(清掃面)上で90度以上回転させることができる(図中のP2)。また、上述したハンドル部301の形状により、吸口体500の回転操作を比較的容易に行なうことができる。この理由は、ハンドル部301に角度(図中のα)をつけることで、ハンドル部301をひねった際に回転モーメントが生じるためである。
【0020】また、前記ハンドル部301には、使用者が保持するハンドルカバー307が回転可能に設けられているので、前記ハンドル部301のひねり動作にともなう角度の変化を前記ハンドルカバー307がハンドル部301を回転することで吸収することができるので、手首に係る負担を軽減できる。」

(2f)「【0064】このように、本実施形態に係る自在連結部1500によれば、回転部が直行する2つの回転部Q1、Q2、即ち、高低方向Yの第1の回転部1503と、左右方向の第2の回転部1504とを備えているので、手元ハンドル300のひねり動作の回転P1をそのまま吸口体500の旋回動作の回転P2に変換することができる。しかも、この自在連結部1500によれば、前記2つの回転構造、特に第2の回転部1504をシンプルな回転構造としているので、製造も容易であるとともに、外観上も凹凸なくシンプルにできるから、意匠性を向上できるとともに、指を挟む等の安全対策や清掃性を向上することができる。
【0065】次に、図10に基づいて、手元ハンドル300の動作にともなう自在連結部の動きをさらに説明する。図10において、(a)図は、本実施形態にかかる吸口体500を後方からみた概略斜視図、(b)図は、第1の腕部と第2の腕部の取付け位置を上下に反転させた吸口体500aを示している。
【0066】今(a)(b)図に示す状態では、手元ハンドル300を時計方向と反対側にひねった状態を示している。例えば(a)図の実施形態では、手元ハンドル300の回転P1は接続管400により、自在連結部1500に伝達され、吸口本体1000の長手方向の左側を下方に、右側を上方に振るように動作させる。しかし、使用状態においては前記吸口本体1000の底面は清掃面により支持されるので、前記翼を振るような動作は阻止される。
【0067】しかし、この実施形態では第2の回転部1504の回転面Fが清掃面に対して傾斜しているので、前記第2の腕部1502に伝達される中心軸B2の回転P1は第2の回転部1504が回転して、第1の腕部1501と第2の腕部1502が第2の回転部1504で屈曲して、該第2の回転部1504をに横(U1方向)に逃げるように動作させる。この際、第1の回転部1503は吸口本体1000の底面を清掃面に密着しながら高低方向Yの角度を大きくするようにU2方向に動作して前記第2の回転部1504の動作に連動して動作する。この第2の回転部1504がU1方向に横に逃げる動作により、吸口体500の後方がU1方向にお尻を振るように動作して吸口体500の回転P2が行われる。」

(2g)「【0080】図11、図12において、手元ハンドル300は、ハンドル部301と第1の連結管部305を構成するハンドル本体308と、第2の連結管部306とから構成される。
【0081】前記ハンドル本体308は、中央に略三角形状の貫通穴316を備えた略三角形状の外観形状を備え、この三角形状の上部の1辺を操作スイッチ配置部308aとし、他の上部の1辺をハンドル部301が構成されるグリップ配置部308bとし、三角形状の底辺を第1の連結管部305を備えた連結管配置部408cとしている。そして、前記操作スイッチ配置部308aの長手方向を前記接続管400の中心軸B2と一致させるように、前記操作スイッチ配置部308aと連結管配置部408cの角部408dを介して前記接続管部400に取付けるようにしている。
【0082】また、この実施形態では、操作スイッチ配置部308aとグリップ配置部308bと連結管配置部408cをほぼ直線状に形成している。これにより、操作スイッチ配置部308aにおいては板状の操作基板302a(図13で図示)の取付けを向上し、グリップ配置部308bにおいては回転するハンドルカバー307の取付けを向上し、連結管配置部350cにおいては第2の連結管部306の回転空間を確保している。
【0083】この構造によれば、接続管400と第1の連結管部304を騒音の発生し難い緩やかな角度で連結することを可能にするとともに、この連結管部304の上部に使用者にとって保持し易い握りグリップ(ハンドル部301)を前記接続管400の中心軸B2上に握り易い角度で位置させ、更に、前記ハンドル部301の配置にともなう空間(操作スイッチ配置部308a)を利用して操作性のよい位置に操作部302を配置することができる。これにより、内部実装効率に優れたコンパクトな形態で、しかも、強度的にも強く、操作性に優れた手元ハンドル300を実現することができる。」

(2h)「【0092】図において、先ず、この手元ハンドル300は、前記接続管400の中心軸B2と、連結管部の管軸方向B1と、吸引ホース部200の管軸方向B3と、ハンドル部301の長手方向B4とを考慮して設計されている。これを図14の使用状態を基に説明する。
【0093】図14において、先ず、本実施形態に係る電気掃除機1では、使用者は立ち姿勢で手元ハンドル300を保持することにより、接続管400を介して吸口体500を操作して床面の掃除を行うことができる。この際、吸引ホース部200を介して手元ハンドル300に連結される電気掃除機本体100には一対の大車輪101と1個の自在車輪102が備えられているので、移動しながら清掃を行うことができる。
【0094】一般に、日本女性の平均身長は157センチであるが、この使用者が自然に手元ハンドル300を持った状態で、接続管400を介し吸口体500を前後させて掃除をしようとした場合には、手元ハンドル300と床面との垂直方向の距離が78センチ以下であれば手や腕に負担をかけることなく掃除をすることができる。その角度は垂直方向に45度とする使用者の最も操作される動作範囲に設定され、45度以上であれば逆に手や腕に負担をかけることになる。
【0095】図12及び図13において、本実施形態では、前記接続管400の中心軸B2が床面と成す角度θ4を45度となるように接続管400の長さを設定している。そして、手元ハンドル300のハンドル部301の長手方向B4が前記中心軸B2と成す角度θ3を90度?150の範囲で設定しているので、該ハンドル部301を把持する使用者は前記接続管400の角度が45度の状態で前後方向の動きを楽にすることができる。」

(2i)「【0102】図13に戻り、前記構造を持つハンドルカバー307によれば、例えば、前記接続管400の中心軸B2を矢印のようにひねって回転することにより、使用者の手に保持されたハンドルカバー307は前記中心軸B2を矢印と反対方向に回転することができるので、ひねり動作にともなう手首の動きを無理なく吸収することができる。この逆のひねり動作も同様である。これにより、ひねり動作を人間の体系に合わせて無理なく行うことができる。」

(2j)「【0111】特に、本実施形態によれば、前記状態では、手元ハンドル300のひねり動作の回転P1と吸口体500の回転P2が連動しているので、V2方向に前後する清掃動作において、吸口体500の左右のブレを手元ハンドル300で押さえることができるとともに、手元ハンドル300のひねり動作の回転P2で吸口体500を回転させてV1方向の清掃動作が可能なのでベッド奥の狭い隙間の清掃性を向上させることができる。」

(2k)【図1】の記載から、電気掃除機1が所謂シリンダ型であることは明らかであり、上記(2a)?(2f)、(2i)、(2j)の記載並びに【図1】、【図6】、【図10】、【図11】及び【図13】の記載から、引用例2には、
「所謂シリンダ型の電気掃除機1において、横長の吸口体500で床面を効率良く清掃し、テーブルの下や隙間の清掃性を向上することを課題に、手元ハンドル300のひねり動作で吸口体500を床面に密着させたまま吸口体500自体の回転を可能にしていること」、
「手元ハンドル300のひねり動作による回転P1を接続管400により伝達され、伝達された回転P1を吸口本体1000の底面を清掃面に密着しながら吸口体500の回転P2に変える、自在連結部1500を、電気掃除機に備えること」、
が記載されているといえる。

(2l)上記(2e)、(2g)、(2h)の記載並びに【図1】、【図11】、【図13】及び【図14】の記載から、引用例2には、
「手元ハンドル300は、接続管400の中心軸B2の延長線上の上端に、中心軸B2と90度以上160度以下の角度を持つ、まっすぐなハンドル部301を備えていること」、
「ハンドル部301と接続管400の中心軸B2と成す角を90度以上160度以下の範囲で設定しているため、ハンドル部301をひねった際に回転モーメントが生じ、吸込体500の回転操作を容易にしていること」、
が記載されているといえる。

(2m)上記(2h)の記載並びに【図14】の記載から、引用例2には、
「使用者が自然に手元ハンドル300を持った状態で床面と接続管400の中心軸B2の成す角度は45度とする使用者の最も操作する動作範囲に設定すること」、
「使用者が自然に手元ハンドル300を持った状態でハンドル部301を握っている使用者の前腕が接続管400と一直線状になること」、
「手元ハンドル300のハンドル部301と接続管400の中心軸B2と成す角を90度以上160度以下の範囲で設定しているので、床面と接続管400中心軸B2と成す角が45度の状態での前後方向の動きを楽にしていること」、
が記載されているといえる。

3 対比、判断
(1)本願補正発明と引用例1記載の発明とを対比する。
引用例1記載の発明の「延長管3」、「床用の吸口27」は、その形状・構造からみて、本願補正発明の「ワンド」、「掃除機ヘッド」に相当する。また、引用例1記載の発明の「掃除機本体」を構成する「本体ケース1」には「U字状のハンドル9」が一体的に設けられており、また、「電動送風機6」を内蔵していることから、引用例1記載の発明の「掃除機本体」は、本願補正発明の「手持ち型電気掃除機」に相当する。引用例1記載の発明の「ほうき形掃除機」は、「掃除機本体」に細長い「延長管3」及び「床用の吸口27」を組み合わせたものであり、本願補正発明の「スティックバック掃除機」は「第2の種類のスティックバック掃除機は、手持ち型電気掃除機からの派生物であり、ユーザが立ったままで床面を掃除できるように効果的に床まで届く剛性のある細長い吸引ワンドと組み合わせた手持ち型電気掃除機を含む。」(【0007】)ものであるから、引用例1記載の発明の「ほうき形掃除機」は、本願補正発明の「スティックバック掃除機」に相当するといえる。よって、引用例1記載の発明の「U字状のハンドル9が一体的に設けられた本体ケース1と蓋体2から構成される掃除機本体を有する、ほうき形掃除機」と、本願補正発明の「ピストルグリップハンドルを含む手持ち型電気掃除機を含むスティックバック掃除機」とは、「ハンドルを含む手持ち型電気掃除機を含むスティックバック掃除機」である点で共通する。
また、引用例1記載の発明の「ほうき形掃除機」は、「細長い延長管3」の一方の端部に接続された「掃除機本体」の「U字上のハンドル9」を持って、他方の端部に接続された「床用の吸口27」を操作して掃除を行うものであるから、引用例1記載の発明の「細長い延長管3」は、「床用の吸口27」を操作可能とする剛性を備えることは明らかであり、本願補正発明の「細長い剛性のあるワンド」に相当する。
また、引用例1記載の発明の「細長い延長管3」の一方の端部には「電動送風機6」が内蔵された「掃除機本体」が接続され、他方の端部に「床用の吸口27」が接続されており、これらが流体的に接続されていることは明らかであるから、引用例1記載の発明の「掃除機本体は、細長い延長管3の一方の端部に接続され、延長管3の他方の端部に床用の吸口27が接続される」ことは、本願補正発明の「前記手持ち型電気掃除機は、細長い剛性のあるワンドの一端に取り付けられ、前記ワンドの他端に設けられた掃除機ヘッドに流体接続され」ることに相当する。

したがって、本願補正発明と引用例1記載の発明は、
「ハンドルを含む手持ち型電気掃除機を含むスティックバック掃除機であって、前記手持ち型電気掃除機は、細長い剛性のあるワンドの一端に取り付けられ、前記ワンドの他端に設けられた掃除機ヘッドに流体接続される、スティックバック掃除機。」
である点で一致し、次の点で相違する。

[相違点1]
掃除機ヘッドとワンドとの接続について、本願補正発明では、ワンドがその軸を中心に回転したときに掃除機ヘッドを床と平行平面接触した状態で指向的に操縦するための機械的操縦結合を介しているのに対して、引用例1記載の発明では、この点の構成は明らかでない点。

[相違点2]
ハンドルについて、本願補正発明では、ピストルグリップであるのに対して、引用例1記載の発明では、U字状である点。

(2)そこで上記相違点について検討する。まず相違点1について検討する。
引用例2には、所謂シリンダ型の電気掃除機において、横長の吸口体で床面を効率良く清掃し、テーブルの下や隙間の清掃性を向上することを課題に、手元ハンドルのひねり動作で吸口体を床面に密着させたまま吸口体自体の回転を可能にしていることが記載されている(上記(2k)参照)。
また、引用例2には、手元ハンドル300のひねり動作による回転P1を接続管400により伝達され、伝達された回転P1を吸口本体1000の底面を清掃面に密着しながら吸口体500の回転P2に変える、自在連結部1500を電気掃除機に備えることが記載されており(上記(2k)参照)、当該記載から、吸口体とハンドルの操作を伝える管状の部材との接続において、ハンドルの操作を伝える管状の部材の回転を、床面に密着している吸口体に伝達する機械的連結構造を介して接続する技術的事項が認められる。
そして、引用例2記載の、「吸口体」及び「管状の部材」は本願補正発明の「掃除機ヘッド」及び「ワンド」に相当し、吸口体とハンドルの操作を伝える管状の部材との接続において、ハンドルの操作を伝える管状の部材の回転を、床面に密着している吸口体に伝達する機械的連結構造を介して接続することは、本願補正発明の「掃除機ヘッド」と「ワンド」との接続について「ワンドがその軸を中心に回転したときに掃除機ヘッドを床と平行平面接触した状態で指向的に操縦するための機械的操縦を介してワンドに接続される」ことに相当する。
ここで、上記「横長の吸口体で床面を効率良く清掃し、テーブルの下や隙間の清掃性を向上する」という課題は、細長い延長管の先に接続された横長の吸口体をハンドルで操作して用いる一般的な電気掃除機が有する自明な課題であるところ(例えば、特開平8-289861号公報の【0003】?【0005】、【0032】及び【図7(a)】を参照。)、当該課題は、同じく延長管の先に接続された横長の吸口をハンドルで操作して用いる引用例1記載の発明のほうき形掃除機においても内在する課題であるといえるから、引用例1記載の発明のほうき形掃除機に、引用例2記載の吸口体とハンドルの操作を伝える管状の部材との接続において、ハンドルの操作を伝える管状の部材の回転を、床面に密着している吸口体に伝達する機械的連結構造を介して接続する技術的事項を適用しようとする動機付けは存在する。
また、引用例1記載の発明の電気掃除機は、ほうき形であるのに対し、引用例2記載のものは、所謂シリンダ型であるという、電気掃除機の形式の違いが両者にはあるものの、ともにハンドル、細長い延長管及び横長の吸口を、使用者の操作力が伝達可能な連結構成としている点で軌を一にするものであり、ハンドル操作による吸口の向きの変更は、ハンドル、細長い延長管及び横長の吸口の3つの部材でなしえることを考慮すれば、電気掃除機の形式の違いは、引用例1記載の発明のほうき形掃除機に、引用例2記載のハンドルの操作を伝える管状の部材の回転を、床面に密着している吸口体に伝達する機械的連結構造を管状の部材と吸口体との間に設ける技術的事項を適用する際の阻害要因とはならない。
そうすると、引用例1記載の発明のほうき形掃除機に、引用例2記載のハンドルの操作を伝える管状の部材の回転を、床面に密着している吸口体に伝達する機械的連結構造を管状の部材と吸口体との間に設ける技術的事項を適用すること、すなわち、本願補正発明の上記相違点1に係る構成を得ることは、当業者が容易になし得ることである。

次に上記相違点2について検討する。
本願補正発明の「ピストルグリップハンドル」は、その用語からは、どのような形状・構造のものか明らかでないので、明細書の記載を参酌すると、明細書の「手持ち型電気掃除機は、ピストルグリップハンドルを含むことができる。本発明によるスティックバック掃除機では、ピストルグリップハンドルによってユーザの前腕が(ピストルの銃身に類似する)ワンドと一直線になる傾向にあるので、手持ち型電気掃除機にピストルグリップハンドルを提供することが特に有利であると考えられる。この結果、主にユーザにとって快適かつ自然な前腕の回外及び回内運動によって掃除機の操縦を制御することができる。」(【0018】)、「ピストルグリップハンドルはまた、ハンドルと掃除機ヘッドの間で(ワンドを介して)操縦トルクを効果的に伝えるための良好な力も提供し、特に、ハンドルを回転させて掃除機ヘッドを操縦したときに、ユーザの手がハンドルの『上限を超えて』回転する傾向を抑える。ワンドに対して垂直に延びる真っ直ぐなピストルグリップを提供することは、この点で特に有益であると考えられる。」(【0019】)
という記載から、少なくとも、ユーザーが持った時にユーザーの前腕がワンドと一直線になる傾向となるもので、ワンドに対して垂直に伸びる真っ直ぐな、形状・構造を有するものと認められる。
一方、引用例2記載の「ハンドル部301」は、「接続管400の中心軸B2の延長線上の上端に、中心軸B2と90度以上160度以下の角度を持つまっすぐなハンドル部301」であり(上記(2l)参照)、「使用者が自然に手元ハンドル300を持った状態でハンドル301部を握っている使用者の前腕が接続管400と一直線状になる」ハンドル部である(上記(2m)参照)。そして、引用例2記載の「ハンドル部301」の「接続管400の中心軸B2」との角度は「垂直」にあたる90度を含んでおり、また、使用者の前腕が「連結管400の中心軸B2」と一直線になることが「自然に」持った状態で生じることから、使用者の前腕が「連結管400の中心軸B2」と一直線になる「傾向」となるといえるから、引用例2記載の「接続管400の中心軸B2の延長線上の上端に、中心軸B2と90度以上160度以下の角度を持つまっすぐなハンドル部301」は、本願補正発明の「ピストルグリップハンドル」に相当するものである。
ここで、引用例2記載の「使用者が自然に手元ハンドル300を持った状態でハンドル部301を握っている使用者の前腕が接続管400と一直線状になる」状態は、使用者が自然に「手元ハンドル300」を持った状態で床面と「連結管400」の「中心軸B2」との成す角を45度となるように設定したときの状態であり(上記(2m)参照)、引用例2記載の「ハンドル部301」と「接続管400」の「中心軸B2」との成す角度が90度以上160度以下の角度を持つことは、この床面と「連結管400」の「中心軸B2」との成す角が45度のときでの前後方向の動きを楽にしていることから(上記(2m)参照)、当業者であれば、ハンドル部301の形状・構造を採用することにより、吸口体の前後方向の操作を楽にすることができるという課題を解決していることが理解できる(上記(2h)参照)。前後方向の動きを楽にすることは、細長い延長管の先に接続された横長の吸口体をハンドルで操作して用いる一般的な電気掃除機が有する自明な課題であるところ、当該課題は、同じく延長管の先に接続された横長の吸口をハンドルで操作して用いる引用例1記載の発明のほうき形掃除機においても内在する課題であるといえるから、引用例1記載の発明のほうき形掃除機のU字状のハンドルに、引用例2記載のハンドル部を適用しようとする動機付けは存在する。
また、引用例1記載の発明の電気掃除機は、ほうき形であるのに対し、引用例2記載のものは、所謂シリンダ型の掃除機であるという、電気掃除機の形式の違いが両者にはあるものの、ともにハンドル、細長い延長管及び横長の吸口を、使用者の操作力が伝達可能に連結構成している点で軌を一にするものであり、ハンドル操作による吸口の前後の方向の動きはハンドル、細長い延長管及び横長の吸口の3つの部材でなしえていることを考慮すれば、電気掃除機の形式の違いは、引用例1記載の発明のほうき形掃除機のU字状のハンドルに、引用例2記載のハンドル部301を適用する際の阻害要因とはならない。
そうすると、引用例1記載の発明のほうき形掃除機のU字状のハンドルに、引用例2記載のハンドル部を適用すること、すなわち、本願補正発明の上記相違点2に係る構成を得ることは、当業者が容易になし得ることである。

そして、本願補正発明が奏する作用効果は、引用例1記載の発明及び引用例2記載の技術的事項から予測し得る範囲内のものであって、格別顕著なものとは認められない。

したがって、本願補正発明は、引用例1記載の発明及び引用例2記載の技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

4 むすび
以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし12に係る発明は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1ないし12に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明は、次のとおりのものである。

「【請求項1】
細長い剛性のあるワンドに取り付けられ、前記ワンドの端部に設けられた掃除機ヘッドに流体接続された手持ち型電気掃除機を含むスティックバック掃除機であって、
前記掃除機ヘッドは、前記ワンドがその軸を中心に回転したときに前記掃除機ヘッドを床と平行平面接触した状態で指向的に操縦するための機械的操縦結合を介して前記ワンドに接続される、
ことを特徴とするスティックバック掃除機。」(以下、「本願発明」という。)

2 引用例
引用例1:特開昭64-15020号公報
引用例2:特開2000-83879号公報

原査定の拒絶の理由に引用され、本願優先日前に頒布された引用例1及び引用例2の記載内容については、上記第2の2に記載したとおりである。

3 対比・判断
本願発明は、上記第2で検討した本願補正発明における「手持ち型電気掃除機」について、「ピストルグリップハンドルを含む」こと、及び「ワンドの一端に取り付けられ」ることの特定と、本願補正発明における「掃除機ヘッド」が設けられる「前記ワンドの端部」に関して、「前記ワンドの他端」であることの特定とを除くものである。
そうすると、本願発明の特定事項を全て含み、さらに他の特定を付加したものに相当する本願補正発明が、上記第2の3に記載したとおり、上記引用例1記載の発明及び上記引用例2記載の技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、上記引用例1記載の発明及び上記引用例2記載の技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1記載の発明及び引用例2記載の技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-03-13 
結審通知日 2015-03-16 
審決日 2015-04-01 
出願番号 特願2011-219200(P2011-219200)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A47L)
P 1 8・ 121- Z (A47L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 木戸 優華  
特許庁審判長 千壽 哲郎
特許庁審判官 山崎 勝司
森本 康正
発明の名称 電気掃除機  
代理人 鈴木 博子  
代理人 弟子丸 健  
代理人 辻居 幸一  
代理人 松下 満  
代理人 倉澤 伊知郎  
代理人 熊倉 禎男  
代理人 井野 砂里  
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