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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1304461
審判番号 不服2014-11852  
総通号数 190 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-10-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-06-23 
確定日 2015-08-10 
事件の表示 特願2011-147906「半導体発光デバイスおよびサブマウント、ならびにそれを形成するための方法」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 9月29日出願公開、特開2011-193030〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.本願発明
本願は、2004年11月24日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2003年12月9日、米国、2004年11月12日、米国)を国際出願日とする特願2006-543856号の一部を平成23年7月4日に新たな特許出願としたものであって、平成23年11月17日、平成25年2月20日及び同年8月16日に手続補正がなされ、平成26年2月19日付け拒絶査定がなされ、これに対し、平成26年6月23日に拒絶査定不服審判請求がなされたものである。そして、その請求項に係る発明は、平成25年8月16日に補正された特許請求の範囲の請求項1ないし16に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりである。

「半導体発光デバイスをパッケージングする方法であって、
前記発光デバイスをサブマウントの上に配置するステップと、および、
前記発光デバイスから放出された光を受け取り波長変換するために、中実波長変換部材を、前記サブマウント上に、前記発光デバイスを覆うように位置決めするステップとを含み、
前記中実波長変換部材は、前記発光デバイスのチップ形状の発光パターンに合致した光透過パターンを有する
ことを特徴とする方法。」

2.引用例
(1)引用例の記載
これに対して、原査定の拒絶理由に引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である米国特許出願公開第2002/0063520号明細書(以下「引用例」という。)には、図とともに次の記載がある(日本語訳は、当審による。なお、「cup 14」及び「pre-ferred」は、それぞれ、「cup 10」及び「pre-formed」の誤記と思われるので、日本語訳では後者とした。)。

「[0027] FIG.5 shows a cross-section of another embodiment of the LED device according to the invention. The LED device is a surface-mount LED device. The structure comprises a surface-mount holder 13 including a cup 14 as a reflector, two bonding wires 20, 21, a light-emitting chip 30, and a pre-formed fluorescent cap 53. It can be seen that the thickness of the pre-formed fluorescent cap 53 is made very uniform and the inner side as well as the outside of the fluorescent cap 53 are also smooth.
[0028] For the same reason as in the structure of FIG.3, the emitted light is collected and reflected by the cup 10 from the light emitting chip 30. The combined light then passes through the pre-ferred fluorescent cap 53 along the direction of the arrows 65 shown in FIG.5. If the combined light of the LED device is projected onto a sheet of white paper, it appears more uniform than the light emitted by a conventional LED device because the thickness and flatness of the pre-formed fluorescent cap 53 are more uniform.
[0029] The pre-formed fluorescent plate 52 and fluorescent cap 53 may be formed in various shapes to adjust the angle and intensity of the combined light. FIG.6 shows some examples. A typical pre-formed fluorescent plate 52a has flat surfaces on both sides. The pre-formed fluorescent plate 52b has a concave surface on one side. The pre-formed fluorescent plate 52c has a convex surface on one side. The pre-formed fluorescent plate 52d has convex surfaces on both sides of the fluorescent plate. The pre-formed fluorescent plate 52e has concave surfaced on both sides. The pre-formed fluorescent plate 52f combines a convex surface with a concave surface. A typical pre-formed fluorescent cap 53a has flat surfaces. The pre-formed fluorescent cap 53b has a concave upper surface. The pre-formed fluorescent cap 53c has a convex upper surface. 」
「[0027] 図5は、本発明によるLED装置の他の実施形態の断面を示す。このLED装置は、表面実装LED装置である。その構造は、反射器のカップ10を含む表面実装支持体13と、2本のボンディングワイヤ20、21と、光放射素子30と、予め成型された蛍光体キャップ53を含む。予め成型された蛍光体キャップ53の厚さは非常に均一であり、その内側は外側と同様に滑らかである。
[0028] 図3の構造と同様に、放射光は、光放射素子30からカップ10により反射され集められる。そして、この集められた結合光は、予め成型された蛍光体キャップ53を図5に示される矢印65の方向に通過する。もし、このLED装置の前記結合光が白紙のシートに投射されるなら、それは、前記予め成型された蛍光体キャップ53の厚さ及び平坦さがより均一であることにより、従来のLED装置によって放射される光よりも均一である。
[0029] 予め成型された蛍光体板52及び蛍光体キャップ53は、結合光の角度と強度を調節するために様々な形に成型される。図6は、いくつかの例を示す。典型的な予め成型された蛍光体板52aは、両側に平らな表面を有する。予め成型された蛍光体板52bは、片側に凹面を有する。予め成型された蛍光体板52cは、片側に凸面を有する。予め成型された蛍光体板52dは、その両側に凸面を有する。予め成型された蛍光体板52eは、両側に凹面を有する。予め成型された蛍光体板52fは、凸面に凹面を結合する。典型的な予め成型された蛍光体キャップ53aは、平らな両表面を有する。予め成型された蛍光体キャップ53bは、凹の上側表面を有する。予め成型された蛍光体キャップ53cは、凸の上側表面を有する。」

(2)引用発明
上記記載によれば、引用例には、
「反射器のカップ10を含む表面実装支持体13と、2本のボンディングワイヤ20、21と、光放射素子30と、予め成型された蛍光体キャップ53を含む表面実装LED装置であって、光放射素子30からの放射光が集められた結合光は、予め成型された蛍光体キャップ53を通過し、予め成型された蛍光体キャップ53は、結合光の角度と強度を調節するために様々な形に成型される表面実装LED装置。」(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

3.対比
本願発明と引用発明を対比する。
(1)引用発明は、「表面実装LED装置」の発明であるが、その作成には、
「光放射素子30を表面実装支持体13の上に配置するステップと、および、
前記光放射素子30から放射された光が通過するように、予め成型された蛍光体キャップ53を、前記表面実装支持体13上に、前記光放射素子30を覆うように位置決めするステップとを含む光放射素子30をパッケージングする方法。」が採用されることは、当業者に明らかであり、本願発明が方法の発明であることによる引用発明との格別の差異は認められない。
(2)そして、引用発明の「光放射素子30」、「表面実装支持体13」及び「予め成型された蛍光体キャップ53」は、それぞれ、本願発明の「半導体発光デバイス」、「サブマウント」及び「(発光デバイスから放出された光を受け取り波長変換するための)中実波長変換部材」に相当するものと認められる。
(3)したがって、本願発明と引用発明は、
「半導体発光デバイスをパッケージングする方法であって、
前記発光デバイスをサブマウントの上に配置するステップと、および、
前記発光デバイスから放出された光を受け取り波長変換するために、中実波長変換部材を、前記サブマウント上に、前記発光デバイスを覆うように位置決めするステップとを含む方法。」の点で一致する。
(4)一方、両者は次の点で相違する。
本願発明では、「中実波長変換部材」が、「発光デバイスのチップ形状の発光パターンに合致した光透過パターンを有する」とされているのに対し、引用発明の「予め成型された蛍光体キャップ53」がこのようなものであるか不明な点。

4.判断
上記相違点について検討するに、引用発明の「予め成型された蛍光体キャップ53」は、「(通過する)結合光の角度と強度を調節するために様々な形に成型されるもの」、すなわち、「(通過する結合光の角度と強度を調節するための)光透過パターン」を有するものであるところ、調節すべき結合光の角度や強度が光放射素子30のチップ形状の発光パターンの影響を受けるであろうことは当業者に明らかであるから、引用発明の「予め成型された蛍光体キャップ53」の光透過パターンを光放射素子30のチップ形状の発光パターンに合致したものとすることは、当業者が容易に想到し得たものといえる。

5.むすび
したがって、本願発明は、引用例に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものと認められ、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-03-13 
結審通知日 2015-03-17 
審決日 2015-03-31 
出願番号 特願2011-147906(P2011-147906)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 古田 敦浩  
特許庁審判長 吉野 公夫
特許庁審判官 山村 浩
近藤 幸浩
発明の名称 半導体発光デバイスおよびサブマウント、ならびにそれを形成するための方法  
代理人 特許業務法人浅村特許事務所  

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