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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H05K
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H05K
管理番号 1304605
審判番号 不服2014-21795  
総通号数 190 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-10-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-10-28 
確定日 2015-08-20 
事件の表示 特願2010-182469「電子部品のシールド構造、およびそれを用いた電子機器」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 3月 1日出願公開、特開2012- 43900〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成22年8月17日の出願であって、平成26年1月28日付けで拒絶理由が通知され、平成26年3月31日に意見書及び手続補正書が提出されたが、平成26年7月31日付け(平成26年8月5日:発送日)で拒絶の査定がなされ、これに対し、平成26年10月28日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に、手続補正書が提出されて明細書及び特許請求の範囲を補正する手続補正がなされたものである。

第2.平成26年10月28日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成26年10月28日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.本件補正の内容
平成26年10月28日付けの手続補正書による手続補正(以下、「本件補正」という。)は、特許請求の範囲の請求項1に関しては、本件補正により補正される前の(すなわち、平成26年3月31日付けの手続補正により補正された)下記Aに示す記載を、下記Bに示す記載へと補正するものである。
A 本件補正前の特許請求の範囲の請求項1
「 【請求項1】
電子部品が実装されるとともに、当該電子部品を覆うことで電磁的にシールドする導電性材料からなるシールドケースが実装された第1の回路基板と、
前記第1の回路基板に積層される第2の回路基板と、
前記シールドケースと前記第2の回路基板とを接着するフィルム状の接着シートと、を備え、
前記シールドケースには、その内外を貫通する孔が形成されて該孔から前記シールドケースの内部に樹脂が充填され、
前記第2の回路基板には、接地のためのグランドパターンが形成され、
前記接着シートは、その両面を電気的に導通させる導電性材料により形成され、その一面側が前記シールドケースの前記孔を含むその周囲に接着され、他面側が前記第2の回路基板の前記グランドパターンに接着されていることを特徴とする電子部品のシールド構造。」

B 本件補正後の特許請求の範囲の請求項1
「 【請求項1】
電子部品が実装されるとともに、当該電子部品を覆うことで電磁的にシールドする導電性材料からなるシールドケースが実装された第1の回路基板と、
前記第1の回路基板に積層される第2の回路基板と、
前記シールドケースと前記第2の回路基板とを接着するフィルム状の接着シートと、を備え、
前記シールドケースには、その内外を貫通する孔が上面に形成されて該孔から前記シールドケースの内部に樹脂が充填され、
前記第2の回路基板には、接地のためのグランドパターンが形成され、
前記接着シートは、その両面を電気的に導通させる導電性材料により形成され、その一面側が前記シールドケースの前記孔を全て覆うように上面全体に接着され、他面側が前記第2の回路基板の前記グランドパターンに接着されていることを特徴とする電子部品のシールド構造。」(アンダーラインは補正箇所を示すもので、請求人が付したものである。)

2.本件補正の目的
本件補正は、請求項1に関して、「前記シールドケースには、その内外を貫通する孔が形成されて」を「前記シールドケースには、その内外を貫通する孔が上面に形成されて」と補正(以下、「補正事項1」という。)し、また、「前記接着シートは、その両面を電気的に導通させる導電性材料により形成され、その一面側が前記シールドケースの前記孔を含むその周囲に接着され」を「前記接着シートは、その両面を電気的に導通させる導電性材料により形成され、その一面側が前記シールドケースの前記孔を全て覆うように上面全体に接着され」と補正(以下、「補正事項2」という。)するものである。
まず、補正事項1について検討すると、シールドケースの内外を貫通する「孔」の形成位置を、「上面」と限定するものである。
次に、補正事項2について検討すると、「接着シート」の「シールドケース」における接着位置を「孔を全て覆うように上面全体」と限定するものである。
そして、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正後の請求項1に関する補正事項1及び補正事項2は、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

3.独立特許要件
そこで、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本件補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて、以下に検討する。

3-1.引用刊行物とその記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願日前に頒布された刊行物である特開2006-147917号公報(以下、「刊行物」という。)には、「無線端末のシールド構造および無線端末」に関して、図面とともに、次の事項が記載されている。
ア.「【0001】
本発明は無線端末のシールド構造に関し、特に無線特性改善のためのシールドを構造的強度材として共用するシールド構造に関する。
【0002】
携帯電話機のような無線端末においては、通信のためにアンテナの先端部から放射される電磁波以外に、本体内の回路からも電磁波が放出され、それが本体から漏出して外部に影響を与えるおそれがあることが知られている。電磁波の人体に及ぼす影響はまだ不明ではあるが電磁波の人体への影響を抑制するために電磁シールドケースの内部に携帯電話を収納して使用することも提案されている(特許文献1、2参照)。」

イ.「【0005】
本発明の目的は、厚みや重量やコストを低減しながら、内部から放出される電磁波をシールドし、全体の構造的強度を維持できる無線端末のシールド構造を提供することにある。」

ウ.「【0014】
本発明は、無線特性改善のためのシールドを構造的強度材として共用することを特徴とする。具体的には、穴開きシールドケースとシールド板の間に穴塞ぎ用の導電性シートもしくは導電性両面テープを実装することを特徴とする。
【0015】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の第1の実施の形態の無線端末のキー構造部分とシールド構造部分の模式的断面図である。第1の実施の形態の無線端末1のキー構造部分とシールド構造部分は、両構造に共通の基板11と、基板11に実装された集積回路(IC)、トランジスタ、コンデンサ、抵抗等の電気部品16と、電気部品16から放射される電磁波をシールドするために電気部品16を取り囲んで基板11に設けられ上面の内側にメンテナンス用の開口部を有する穴開きシールドケース15と、基板11と対向する位置に設けられキーパッドが配設されるキー基板14と、基板11に取り付けられてキー基板14の基板11と対向する面を支持するキーフレーム12と、穴開きシールドケース15の上面の開口部周辺とキーフレーム12の下面との間に設けられた導電性シート13を有する。」

エ.「【0017】
穴開きシールドケース15は基板11上にはんだ付けされており、電気部品16からの不要電磁波の外部への漏洩防止のために設けられている。穴開きシールドケース15の上面には、メンテナンス用の開口が開けられているので、電磁波漏洩防止効果はこの開口をキーフレーム12に固着された導電性シート13により塞ぐことにより実現される。」

オ.「【0021】
次に、本発明の第2の実施の形態について図面を参照して説明する。図2は本発明の第2の実施の形態の無線端末のキー構造部分とシールド構造部分の模式的断面図である。第1の実施の形態の無線端末1では、キー基板14を薄いフレキシブル基板としてキーフレーム12によってキー基板14がキー押下により押された場合の構造的強度を向上させていたが、第2の実施の形態の無線端末2ではキー基板24をある程度の厚みと強度を持った基板としている。従ってキー押下により押された場合の構造的強度を向上させるためのキーフレームは必要がなく他の手段で無線端末2の筐体に保持されている。
【0022】
この構造に対応して、第2の実施の形態では、キー基板24の裏側に導体を露出させてキー基板24の裏側に直接導電性シート23を貼り付け、穴開きシールドケース25の上に密着させる構造とすることで、シールド効果を穴開きシールドケース25とキー基板24とで達成している。ここでも従来例の図6と比較して明らかなように従来例の金属蓋67が不要となり、無線端末2の薄型化や軽量化、コスト低減に効果がある。
【0023】
ここで、図2における導電性シート23を導電性両面テープに置き換えてもよい。導電性両面テープにすることで、キー基板24と穴開きシールドケース25とが接着され、構造的な強度をさらに向上させることが可能となる。
【0024】
第1の実施の形態と第2の実施の形態ではキーフレーム12やキー基板24を利用して金属蓋67を用いずに穴開きシールドケース15、25のシールド効果を得たが、筐体が導電性の材質であった場合に、この導電性筐体と導電性シートもしくは導電性両面テープによって、同様の構造と、同様の効果を得ることができる。」

カ.「【0031】
1、2、3、4、5、6 無線端末
11、21、31、41、51、61 基板
12、62 キーフレーム
13、23、33、43 導電性シート
14、24、64 キー基板
15、25、35、45、55、65 穴開きシールドケース
16、26、36、46、56、66 電気部品
37 導電性筐体
48 板金筐体
49、59 筐体
53 導電性両面テープ
57 導電性ラベル
67 金属蓋」

キ.記載事項ウ.の段落【0015】の「基板11に実装された集積回路(IC)、トランジスタ、コンデンサ、抵抗等の電気部品16と、電気部品16から放射される電磁波をシールドするために電気部品16を取り囲んで基板11に設けられ上面の内側にメンテナンス用の開口部を有する穴開きシールドケース15と」との記載及び記載事項カ.の「11、21、31、41、51、61 基板 ・・・略・・・ 14、24、64 キー基板 15、25、35、45、55、65 穴開きシールドケース 16、26、36、46、56、66 電気部品」との記載並びに図2によれば、基板21には、電気部品26が実装されるとともに、当該電気部品26を取り囲むことで電磁的にシールドする穴開きシールドケース25が実装されることが分かり、また、基板21には穴開きシールドケース25を介してキー基板24が積層されることが看てとれる。

ク.記載事項エ.の「穴開きシールドケース15の上面には、メンテナンス用の開口が開けられているので、電磁波漏洩防止効果はこの開口をキーフレーム12に固着された導電性シート13により塞ぐことにより実現される。」との記載、記載事項オ.の段落【0023】の「ここで、図2における導電性シート23を導電性両面テープに置き換えてもよい。」との記載及び記載事項カ.の「13、23、33、43 導電性シート ・・・略・・・ 15、25、35、45、55、65 穴開きシールドケース」との記載並びに図2によれば、穴開きシールドケース25には、その内外を貫通する開口が上面に形成されことが看てとれ、また、穴開きシールドケース25は、その開口を、導電性材料からなる導電性両面テープに置き換え可能である導電性シート23により塞がれることにより、電磁波漏洩防止効果を奏するものであるから、穴開きシールドケース25が導電性材料からなることは明らかである。

ケ.記載事項オ.の段落【0022】の「第2の実施の形態では、キー基板24の裏側に導体を露出させてキー基板24の裏側に直接導電性シート23を貼り付け、穴開きシールドケース25の上に密着させる構造とすることで、シールド効果を穴開きシールドケース25とキー基板24とで達成している。」との記載及び記載事項オ.の段落【0023】の「ここで、図2における導電性シート23を導電性両面テープに置き換えてもよい。導電性両面テープにすることで、キー基板24と穴開きシールドケース25とが接着され、構造的な強度をさらに向上させることが可能となる。」との記載並びに図2によれば、キー基板24は、露出される導体が設けられ、導電性両面テープの一面側が穴開きシールドケース15の開口を全て覆うように上面に接着され、他面側が前記キー基板24の前記導体に接着されていることが分かり、また、導電性両面テープは、その両面を電気的に導通させる導電性材料により形成されることは明らかである。

上記記載事項、認定事項及び図示内容を総合して、本件補正発明に則って整理すると、刊行物には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

「電気部品26が実装されるとともに、当該電気部品26を取り囲むことで電磁的にシールドする導電性材料からなる穴開きシールドケース25が実装された基板21と、
前記基板21に積層されるキー基板24と、
前記穴開きシールドケース25と前記キー基板24とを接着する導電性両面テープと、を備え、
前記穴開きシールドケース25には、その内外を貫通する開口が上面に形成され、
前記キー基板24には、露出される導体が設けられ、
前記導電性両面テープは、その両面を電気的に導通させる導電性材料により形成され、その一面側が前記穴開きシールドケース15の前記開口を全て覆うように上面に接着され、他面側が前記キー基板24の前記露出される導体に接着されている電気部品26のシールド構造。」

3-2.本件補正発明と引用発明との対比
本件補正発明と引用発明とを対比すると、引用発明における「電気部品26」は、その技術的意義及び機能からみて、本件補正発明における「電子部品」に相当し、以下同様に、「取り囲む」は「覆う」に、「穴開きシールドケース25」は「シールドケース」に、「基板21」は「第1の回路基板」に、「キー基板24」は「第2の回路基板」に、「導電性両面テープ」は「フィルム状の接着シート」及び「接着シート」に、それぞれ相当する。
また、引用発明における「露出される導体」は、キー基板24に設けられているものであって、それには何らかのパターンが形成されていることは明らかであるから、「導体パターン」という限りにおいて、本件補正発明における「接地のためのグランドパターン」と共通し、また、引用発明における「露出される導体が設けられ」は、「導体パターンが形成され」という限りにおいて、本件補正発明における「接地のためのグランドパターンが形成され」と共通する。

したがって、本件補正発明と引用発明は、
「電子部品が実装されるとともに、当該電子部品を覆うことで電磁的にシールドする導電性材料からなるシールドケースが実装された第1の回路基板と、
前記第1の回路基板に積層される第2の回路基板と、
前記シールドケースと前記第2の回路基板とを接着するフィルム状の接着シートと、を備え、
前記シールドケースには、その内外を貫通する孔が上面に形成され、
前記第2の回路基板には、導体パターンが形成され、
前記接着シートは、その両面を電気的に導通させる導電性材料により形成され、その一面側が前記シールドケースの前記孔を全て覆うように上面に接着され、他面側が前記第2の回路基板の前記導体パターンに接着されている電子部品のシールド構造。」
の点で一致し、以下の点で相違している。

[相違点1]
本件補正発明においては、シールドケースには、「孔が上面に形成されて当該孔から、シールドケースの内部に樹脂が充填され」るのに対し、引用発明においては、穴開きシールドケース25(本件補正発明における「シールドケース」に相当。)には、開口(本件補正発明における「孔」に相当。)が上面に形成されているものの、開口から穴開きシールドケース25の内部に樹脂が充填されるものではない点(以下、「相違点1」という。)。

[相違点2]
基板に導体パターンが形成される点に関して、本件補正発明においては、「第2の回路基板」には、「シールドケース」と接続される「接地のためのグランドパターン」が形成されているのに対し、引用発明においては、「キー基板24」(本件補正発明における「第2の回路基板」に相当。)には、「穴開きシールドケース25」と接続される「露出される導体」が設けられているものの、この「露出される導体」が、「接地のためのグランドパターン」であるかどうかが明らかでない点(以下、「相違点2」という。)。

[相違点3]
本件補正発明においては、「接着シート」が、「シールドケースの孔を全て覆うように上面全体に接着され」るのに対し、引用発明においては、「導電性両面テープ」(本件補正発明における「接着シート」に相当。)が、「穴開きシールドケース15の前記開口を全て覆うように上面に接着され」るものの、「上面全体」に接着されるかどうかが明らかでない点(以下、「相違点3」という。)。

3-3.当審の判断
まず、相違点1について検討する。
携帯電話等の無線端末に関する技術分野において、実装される電子部品の剥離防止のために固定手段としての樹脂を設けることを目的として、シールドケースの上面に孔を形成し、当該孔から、シールドケースの内部に樹脂を充填することは周知の技術(以下、「周知技術1」という。例えば、特開2008-270518号公報の長穴4及び補強樹脂103(段落【0036】ないし【0038】、図3及び図4)並びに国際公開2005/101931号の樹脂注入用開口20及び発泡ウレタン樹脂14(第6ページ第12ないし16行及び第3図)等参照。)である。
そして、引用発明も周知技術1と同様に、携帯電話等の無線端末に用いられるものであり、また、引用発明にも実装される電子部品の剥離防止という一般的な課題が内在することは明らかであるから、引用発明に上記周知技術1を適用することにより、引用発明における開口を、樹脂を充填するためものとし、穴開きシールドケース15の内部に樹脂を充填して、上記相違点1に係る本件補正発明の発明特定事項とすることは当業者が容易に想到し得たことである。

次に、相違点2について検討する。
携帯電話等の無線端末に関する技術分野において、基板に、シールドケースと接続される接地のためのグランドパターンを形成することは周知の技術(以下、「周知技術2」という。例えば、特開2009-117602号公報の基板5の接地部(段落【0041】及び図10)及び特開2010-109761号公報の基板24に形成されるグランドパターン(段落【0036】及び図6)等参照。)である。
そして、引用発明および上記周知技術2は、携帯電話等の無線端末という共通の技術分野に属するものであるから、引用発明に上記周知技術2を適用することにより、引用発明におけるキー基板23に形成される導体を、グランドパターンとして、上記相違点2に係る本件補正発明の発明特定事項とすることは当業者が容易に想到し得たことである。

次に、相違点3について検討する。
接着シートを接着対象となるシールドケースの「上面全体」に設ける程度のことは接着力等を考慮しつつ当業者が必要に応じて適宜なし得る設計的事項(設計例として、特開2004-31538号公報の両面接着テープ7及び図1参照。)にすぎない。
してみると、引用発明において、引用発明における穴開きシールドケース15の開口を全て覆うように接着される接着シートを、穴開きシールドケース15の「上面全体」に接着されるようにして、上記相違点3に係る本件補正発明の発明特定事項とすることは当業者が容易に想到し得たことである。

また、本件補正発明は、全体としてみても、引用発明並びに上記周知技術1及び2から予測できる作用効果以上の顕著な作用効果を奏するとも認められない。

したがって、本件補正発明は、引用発明並びに上記周知技術1及び2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際に独立して特許を受けることができないものである。

3-4.むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3.本願発明について
1.本願発明の内容
平成26年10月28日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本件出願の請求項1ないし3に係る発明は、平成26年3月31日付けの手続補正により補正された明細書及び特許請求の範囲並びに願書に最初に添付した図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定されるとおりのものと認められ、そのうち、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、前記第2.[理由]1.Aに記載したとおりである。

2.引用刊行物とその記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物(特開2006-147917号公報)の記載事項は、前記第2.[理由]3-1.に記載したとおりである。

3.対比・判断
本件補正発明は、前記第2.[理由]2.で検討したように、本願発明の発明特定事項を限定したものに相当する。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含む本件補正発明が、前記第2.[理由]3-3.に記載したとおり、引用発明並びに上記周知技術1及び2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明並びに上記周知技術1及び2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.まとめ
以上のとおり、本願発明は、引用発明並びに上記周知技術1及び2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

第4.むすび
したがって、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-06-15 
結審通知日 2015-06-16 
審決日 2015-07-06 
出願番号 特願2010-182469(P2010-182469)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H05K)
P 1 8・ 575- Z (H05K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 遠藤 邦喜  
特許庁審判長 森川 元嗣
特許庁審判官 大内 俊彦
中川 隆司
発明の名称 電子部品のシールド構造、およびそれを用いた電子機器  
代理人 松尾 直樹  
代理人 森 隆一郎  
代理人 棚井 澄雄  

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