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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1304812
審判番号 不服2013-24421  
総通号数 190 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-10-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-12-12 
確定日 2015-08-27 
事件の表示 特願2008-196357号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成22年2月12日出願公開、特開2010-29529号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯の概要
本願は、平成20年7月30日の出願であって、平成25年2月12日付けで拒絶の理由が通知され、同年4月17日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年9月24日付けで拒絶査定がなされ(発送日:同年10月1日)、それに対し、同年12月12日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正書が提出され、当審にてさらに、平成26年12月17日付けで拒絶理由を通知したところ、平成27年2月2日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

2 本願発明
本願の請求項1?2に係る発明は、平成27年2月2日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?2に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。
「各々を識別可能な複数種類の識別情報を可変表示する可変表示部における識別情報の表示結果があらかじめ定められた特定表示結果となったときに、遊技者にとって有利な特定遊技状態に制御する遊技機であって、
前記特定表示結果とするか否かと、該特定表示結果とする場合に、前記特定遊技状態を第1特定遊技状態とするか、前記特定遊技状態を前記第1特定遊技状態とは前記特定遊技状態に制御可能な期間が異なる第2特定遊技状態とするかとを、識別情報の可変表示を開始できる状態になったときに決定する事前決定手段と、
前記事前決定手段の決定結果にもとづいて、識別情報の可変表示が開始されてから表示結果が導出表示されるまでに一旦仮停止させた後に全ての識別情報について可変表示を再度実行する再可変表示を所定回実行する再可変表示パターンを含む複数種類の可変表示パターンからいずれかの可変表示パターンを決定する可変表示パターン決定手段と、
前記可変表示パターン決定手段によって決定された前記可変表示パターンにもとづいて、前記可変表示部を制御する可変表示制御手段とを備え、
該可変表示制御手段は、前記事前決定手段により前記第1特定遊技状態とすると決定されたときには識別情報の表示結果が導出表示されるまでの間に第1特定演出を実行して識別情報の表示結果を導出表示する制御を行い、前記第2特定遊技状態とすると決定されたときには前記第1特定演出と異なる第2特定演出を実行して識別情報の表示結果を導出表示する制御を行い、
前記可変表示制御手段は、前記事前決定手段により前記第2特定遊技状態とすると決定された場合において、前記再可変表示パターンにもとづく可変表示が実行されるときに、識別情報の可変表示が開始されてから仮停止が行われるまでの期間に、前記第1特定演出を実行し、該仮停止が行われてから識別情報の表示結果が導出表示されるまでの期間に、前記第2特定演出を実行する演出実行手段を含む
ことを特徴とする遊技機。」

3 刊行物の記載
当審における拒絶の理由に刊行物1として提示された特開2007-215866号公報(以下「刊行物」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は審決で付した。以下同じ。)。
ア 「【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々を識別可能な複数種類の識別情報の可変表示を所定の演出パターンにより行い表示結果を導出表示する可変表示装置と、通常遊技状態において前記可変表示装置に表示結果が導出表示されたあとに前記通常遊技状態よりも遊技者にとって有利な第1の特定遊技状態または該第1の特定遊技状態よりも遊技者にとって有利な第2の特定遊技状態に制御する特定制御手段と、前記特定制御手段による前記第1の特定遊技状態または前記第2の特定遊技状態の制御が終了したのちに前記通常遊技状態よりも前記第1の特定遊技状態または前記第2の特定遊技状態に制御されやすい特別遊技状態に制御する特別制御手段と、前記特別制御手段によって前記特別遊技状態に制御された後に前記特定制御手段によって前記第1の特定遊技状態または前記第2の特定遊技状態に所定回数制御されたときに前記特別制御手段による前記特別遊技状態への制御を規制する規制手段とを備えた遊技機であって、
前記第1の特定遊技状態または前記第2の特定遊技状態のいずれかに制御するか否かを決定する決定手段と、
前記特別遊技状態に制御されるときに、前記所定の演出パターンのうちの特定演出パターンと、前記所定回数とを遊技者に提示する提示手段と、
前記特別遊技状態に制御されているときに、前記決定手段により前記第1の特定遊技状態に制御すると決定されたことを条件に、前記所定の演出パターンのうちの前記特定演出パターンとは異なる通常演出パターンを実行するとともに、前記決定手段により前記第2の特定遊技状態に制御すると決定されたことを条件に、前記提示手段により提示された前記特定演出パターンを実行する演出実行手段と、
前記特別遊技状態に制御されているときに、前記決定手段により前記第1の特定遊技状態および前記第2の特定遊技状態のいずれにも制御しないと決定されたことにもとづいて、前記通常演出パターンおよび前記特定演出パターンのいずれの実行も規制する演出規制手段とを備え、
前記提示手段は、前記演出実行手段により前記通常演出パターンまたは前記特定演出パターンが実行されたことにもとづいて、前記所定回数を更新して表示する更新手段を含む
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
特定演出パターンは、第1の演出パターンを実行した後に第2の演出パターンを実行することにより構成される演出パターンであり、
通常演出パターンは、前記第1の演出パターンのみまたは該第1の演出パターンを実行した後に前記第2の演出パターン以外の演出パターンを実行することにより構成される演出パターンである
請求項1記載の遊技機。」

イ 「【技術分野】
【0001】
本発明は、各々を識別可能な複数種類の識別情報の可変表示を行い表示結果を導出表示する可変表示装置と、通常遊技状態において可変表示装置に表示結果が導出表示されたあとに通常遊技状態よりも遊技者にとって有利な第1の特定遊技状態または該第1の特定遊技状態よりも遊技者にとって有利な第2の特定遊技状態に制御する特定制御手段と、特定制御手段による第1の特定遊技状態または第2の特定遊技状態の制御が終了したのちに通常遊技状態よりも第1の特定遊技状態または第2の特定遊技状態に制御されやすい特別遊技状態に制御する特別制御手段と、特別制御手段によって特別遊技状態に制御された後に特定制御手段によって第1の特定遊技状態または第2の特定遊技状態に所定回数制御されたときに特別制御手段による特別遊技状態への制御を規制する規制手段とを備えた遊技機に関する。」

ウ 「【0011】
そこで、本発明は、特定遊技状態の発生後に所定回数の特定遊技状態が発生するまで特別遊技状態(高確率状態)に移行させる遊技機において、特別遊技状態に移行された後の遊技興趣を向上させることができるとともに、ミッションが提示されている間常に特定遊技状態に対する期待感を持続させることができる遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明による遊技機では、各々を識別可能な複数種類の識別情報(例えば飾り図柄)の可変表示を所定の演出パターン(例えば、通常変動や、ノーマルリーチ、スーパーリーチの変動パターン、予告演出を含む変動パターンなど)により行い表示結果(例えば停止図柄)を導出表示する可変表示装置(例えば可変表示装置9)と、通常遊技状態において可変表示装置に表示結果(例えば、左中右の飾り図柄が同一図柄で揃った状態、あるいは中の飾り図柄だけが左右の飾り図柄と1コマずれた状態)が導出表示されたあとに通常遊技状態よりも遊技者にとって有利な第1の特定遊技状態(例えば2ラウンド大当り)または該第1の特定遊技状態よりも遊技者にとって有利な第2の特定遊技状態(例えば15ラウンド大当り)に制御する特定制御手段(例えば、遊技制御用マイクロコンピュータ560におけるステップS361?S366,S305,S306を実行する部分)と、特定制御手段による第1の特定遊技状態または第2の特定遊技状態の制御が終了したのちに通常遊技状態よりも第1の特定遊技状態または第2の特定遊技状態に制御されやすい特別遊技状態に制御する特別制御手段(例えば、遊技制御用マイクロコンピュータ560におけるステップS453,S454を実行する部分)と、特別制御手段によって特別遊技状態に制御された後に特定制御手段によって第1の特定遊技状態または第2の特定遊技状態に所定回数(例えば3回)制御されたときに特別制御手段による特別遊技状態への制御を規制する規制手段(例えば、遊技制御用マイクロコンピュータ560におけるステップS455,S456を実行する部分)とを備えた遊技機であって、第1の特定遊技状態または第2の特定遊技状態のいずれかに制御するか否かを決定する決定手段(例えば、遊技制御用マイクロコンピュータ560におけるステップS56,S61,S62を実行する部分)と、特別遊技状態に制御されるときに(例えば大当り遊技が終了するとき(エンディング演出の実行時);なお、大当りが発生してから大当り遊技の終了後1回目の変動が開始されるまでの間であればどのようなタイミングであってもよい。)、所定の演出パターンのうちの特定演出パターン(例えば、スーパーリーチ(AAリーチ?DDリーチ)の変動パターンや予告演出を含む変動パターン)と、所定回数(例えば、チャンス回数カウンタの値に応じた回数;なお、実施の形態では、チャンス回数カウンタの値に応じた回数としてセット期間中における残りチャンス回数を提示している)とを遊技者に提示する提示手段(例えば、遊技制御用マイクロコンピュータ560におけるステップS973においてミッションおよび残りチャンス回数を提示するミッション演出を実行する部分)と、特別遊技状態に制御されているときに(例えば、ステップS201のYおよびステップS813のY)、決定手段により第1の特定遊技状態に制御すると決定されたことを条件に(例えば、ステップS205のYでステップS207のN、およびステップS818のN)、所定の演出パターンのうちの特定演出パターンとは異なる通常演出パターン(例えば、ミッションとして提示されたスーパーリーチ以外のリーチの変動パターン、すなわちノーマルリーチのみやノーマルリーチを実行した後にミッションとして提示されたスーパーリーチに発展しないスーパーリーチの変動パターン、またはミッションとして提示された予告演出を含まない変動パターン)を実行するとともに、決定手段により第2の特定遊技状態に制御すると決定されたことを条件に(例えば、ステップS205のYでステップS207のY、およびステップS818のY)、提示手段により提示された特定演出パターン(例えば、ミッションとして提示されたスーパーリーチの変動パターン、またはミッションとして提示された予告演出を含む変動パターン)を実行する演出実行手段(例えば、遊技制御用マイクロコンピュータ560がステップS208?S210を実行したことにもとづいて、演出制御用マイクロコンピュータ100におけるステップS819(のノーマルリーチを決定する部分)?S821,S841,S843,S858を実行する部分)と、特別遊技状態に制御されているときに(例えば、ステップS201のY、ステップS813のY)、決定手段により第1の特定遊技状態および第2の特定遊技状態のいずれにも制御しないと決定されたことにもとづいて(例えば、ステップS205のN、ステップS818のN)、通常演出パターンおよび特定演出パターンのいずれの実行も規制する演出規制手段(例えば、遊技制御用マイクロコンピュータ560がステップS206,S210を実行したことにもとづいて、演出制御用マイクロコンピュータ100におけるステップS819(はずれのときの変動を決定する部分),S821,S841,S843,S858を実行する部分)とを備え、提示手段は、演出実行手段により通常演出パターンまたは特定演出パターンが実行されたことにもとづいて、所定回数を更新して表示する更新手段(例えば、演出制御用マイクロコンピュータ100がステップS622,S628にてカウントするチャンス回数カウンタの値にもとづいて、ステップS973にて実行するミッション演出において残りチャンス回数を更新して表示する部分)を含むことを特徴とする。
【0013】
特定演出パターンは、第1の演出パターン(例えばノーマルリーチ)を実行した後に第2の演出パターン(例えばミッションとして提示されたスーパーリーチを構成するリーチA?D)を実行することにより構成される演出パターン(例えば、スーパーリーチAA?DDの変動パターン)であり、通常演出パターンは、第1の演出パターン(例えばノーマルリーチ)のみまたは該第1の演出パターン(例えばノーマルリーチ)を実行した後に第2の演出パターン以外の演出パターン(例えばミッションとしてスーパーリーチAAが提示された場合にスーパーリーチAAを構成するリーチA以外のリーチB?D)を実行することにより構成される演出パターン(例えば、ノーマルリーチやスーパーリーチAA?DDの変動パターン)であってもよい。」

エ 「【0031】
可変表示装置9は、特別図柄表示器8による特別図柄の可変表示期間中に、装飾用(演出用)の図柄としての飾り図柄の可変表示を行う。飾り図柄の可変表示を行う可変表示装置9は、演出制御基板に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータによって制御される。特別図柄の可変表示を行う特別図柄表示器8は、遊技制御基板に搭載されている遊技制御用マイクロコンピュータによって制御される。」

オ 「【0048】
なお、確変中における遊技機内部の制御としては、後述するように、大当りの判定において大当りと決定された場合に、大当りのラウンド数を抽選し、抽選結果が15ラウンドであった場合に、ミッションとして提示した所定の表示態様のリーチを実行することに決定する制御が行われる。この実施の形態において、「ミッションを達成したことを条件に15ラウンド大当りを発生させる」や「15ラウンド大当りを発生させる条件であるミッション」というように記載するときもあるが、実際には、内部的に15ラウンド大当りが発生すると決定されたことにもとづいてミッションを達成させているのであって、ミッションが達成されたことにもとづいて15ラウンドの大当りを発生させているわけではない。
・・・
【0052】
図2は、主基板(遊技制御基板)31における回路構成の一例を示すブロック図である。なお、図2には、払出制御基板37および演出制御基板80等も示されている。主基板31には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1を制御する基本回路(遊技制御手段に相当)53が搭載されている。基本回路53は、ゲーム制御(遊技進行制御)用のプログラム等を記憶するROM54、ワークメモリとして使用される記憶手段としてのRAM55、およびプログラムに従って制御動作を行うCPU56を有する遊技制御用マイクロコンピュータ560と、I/Oポート部57とを含む。この実施の形態では、ROM54およびRAM55は遊技制御用マイクロコンピュータ560に内蔵されている。すなわち、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、1チップマイクロコンピュータである。1チップマイクロコンピュータは、少なくともRAM55が内蔵されていればよく、ROM54は外付けであっても内蔵されていてもよい。また、I/Oポート部57は、遊技制御用マイクロコンピュータ560に内蔵されていてもよい。その場合には、遊技制御用マイクロコンピュータ560に、I/Oポート部も含まれる。」

カ 「【0060】
演出制御基板80は、演出制御用CPU101およびRAMを含む演出制御用マイクロコンピュータ100を搭載している。なお、RAMは外付けであってもよい。演出制御基板80において、演出制御用マイクロコンピュータ100は、内蔵または外付けのROM(図示せず)に格納されたプログラムに従って動作し、中継基板77を介して入力される主基板31からのストローブ信号(演出制御INT信号)に応じて、入力ドライバ102および入力ポート103を介して演出制御コマンドを受信する。また、演出制御用マイクロコンピュータ100は、演出制御コマンドにもとづいて、VDP(ビデオディスプレイプロセッサ)109に、LCDを用いた可変表示装置9の表示制御を行わせる。」

キ 「【0109】
図6は、主基板31に搭載される遊技制御用マイクロコンピュータ560が実行する特別図柄プロセス処理(ステップS25)のプログラムの一例を示すフローチャートである。上述したように、特別図柄プロセス処理では特別図柄表示器8を制御するための処理が実行される。
【0110】
遊技制御用マイクロコンピュータ560は、特別図柄プロセス処理を行う際に、遊技盤6に設けられている始動入賞口14に遊技球が入賞したことを検出するための始動口スイッチ14aがオンしていたら、すなわち遊技球が始動入賞口14に入賞する始動入賞が発生していたら(ステップS311)、保留記憶数が上限値に達していないことを条件に(ステップS312)、保留記憶数を示す保留記憶カウンタの値を1増やす(ステップS313)。その後、内部状態(具体的には、特別図柄プロセスフラグの値)に応じて、ステップS300?S307のうちのいずれかの処理を行う。
・・・
【0114】
変動パターン設定処理(ステップS302):特別図柄の可変表示の変動パターン(ここでは変動時間に相当)を、遊技状態が確変状態であるか否かと、大当りになることが決定されているか否かと、大当りになると決定されている場合には大当りのラウンド数とに応じて決定する。また、決定された変動パターンにもとづいて、特別図柄が可変表示され導出表示されるまでの可変表示時間(変動時間)を特別図柄プロセスタイマにセットした後、特別図柄プロセスタイマをスタートさせる。このとき、演出制御基板80に対して、変動パターンを指令する情報(変動パターンコマンド)を送信する。そして、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS303に応じた値に更新する。」

ク 「【0121】
図7に示す例において、コマンド8000(H)?8003(H)は、特別図柄の可変表示に対応して可変表示装置9において可変表示される飾り図柄の変動パターン(変動時間)を指定する演出制御コマンド(変動パターンコマンド)である。なお、変動パターンを指定する演出制御コマンドは、変動開始を指定するためのコマンドでもある。」

ケ 「【0139】
図9は、特別図柄プロセス処理における特別図柄通常処理(ステップS300)を示すフローチャートである。特別図柄通常処理において、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、特別図柄の変動を開始することができる状態(特別図柄プロセスフラグの値がステップS300を示す値となっている場合、つまり、特別図柄表示器8において特別図柄の変動表示がなされておらず、かつ、大当り遊技中でもない場合)には(ステップS51)、始動入賞記憶数(保留記憶数)を確認する(ステップS52)。具体的には、始動入賞カウンタのカウント値を確認する。
【0140】
始動入賞記憶数が0でなければ、始動入賞記憶数=1に対応する保存領域に格納されている各乱数値を読み出してRAM55の乱数バッファ領域に格納するとともに(ステップS53)、始動入賞記憶数の値を1減らし、かつ、各保存領域の内容をシフトする(ステップS54)。すなわち、始動入賞記憶数=n(n=2,3,4)に対応する保存領域に格納されている各乱数値を、始動入賞記憶数=n-1に対応する保存領域に格納する。
【0141】
次いで、CPU56は、乱数格納バッファから大当り判定用乱数を読み出し(ステップS55)、大当り判定処理モジュールを実行する(ステップS56)。大当り判定モジュールは、あらかじめ決められている大当り判定値と大当り判定用乱数値とを比較し、それらが一致したら大当りとすることに決定する処理を実行するプログラムである。」

コ 「【0151】
図11は、特別図柄プロセス処理における変動パターン設定処理(ステップS302)を示すフローチャートである。変動パターン設定処理において、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、まず、確変フラグがセットされているか否かを確認する(ステップS201)。確変フラグがセットされていないとき(ステップS201のN)、すなわち、遊技状態が通常遊技状態であるときは、大当りフラグがセットされているか否かを確認する(ステップS202)。大当りフラグがセットされていないときは(ステップS202のN)、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、乱数格納バッファから変動パターン決定用乱数を読み出す(ステップS203)。そして、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、読み出した変動パターン決定用乱数の値にもとづき、変動パターン決定用テーブルを用いて、通常遊技状態のときのはずれ時の変動パターンを決定する(ステップS204)。
【0152】
変動パターン決定用テーブルには、図8に示した通常変動の変動パターン♯1と、ノーマルリーチの変動パターン♯3と、AAリーチ、BBリーチ、CCリーチおよびDDリーチの変動パターン♯4とが設定され、それらの変動パターンに所定数の判定値が割り当てられている。遊技制御用マイクロコンピュータ560は、変動パターン決定用乱数の値と一致する判定値に対応する変動パターンを、特別図柄の変動パターンと決定する。このように、遊技状態が通常遊技状態のときは、はずれの場合にもリーチを伴う変動パターンが所定の割合で決定されることになる。」

サ 「【0231】
次に、スーパーリーチの変動態様について説明する。図21は、スーパーリーチを伴う変動パターンの表示例を示す説明図である。なお、図21では、遊技状態が確変状態のときにスーパーリーチが発生する場合を例に説明する。スーパーリーチを伴う変動では、最初、左中右の飾り図柄が高速で変動する通常変動が可変表示装置9において行われる。なお、図中の矢印は、変動中であることを示している。この実施の形態では、遊技状態が確変状態のときは、大当りのときにしかリーチが発生しないので(ステップS201のY、S205?S209参照)、リーチが発生すると大当りの発生が確定していることになる。従って、遊技者は、通常変動が行われているときはリーチの発生をまず期待する。
【0232】
図21に示すように、飾り図柄の変動が開始されてから所定時間経過すると、リーチ(ノーマルリーチ)の発生を予告する予告演出が実行される。図21に示す例では、「UFO」が出現することによりリーチの発生を予告している。このとき、遊技者は、予告演出の実行によりリーチの発生を認識し、リーチの発生により15ラウンド大当りの発生を期待する。
【0233】
その後、左右の飾り図柄が同一図柄「7」で停止することにより、ノーマルリーチに発展する。そして、ノーマルリーチに発展してから所定時間が経過すると、中の飾り図柄が「8」で停止する。このとき、図21に示すように、可変表示装置9には「787」の飾り図柄が停止表示されている。このままスーパーリーチに発展せずに「787」の図柄が停止図柄として確定すると(変動が終了すると)、遊技者にとって望ましくない2ラウンドの大当りが発生することになる。従って、このとき、遊技者は、スーパーリーチに発展して15ラウンドの大当りが確定することを期待する。
【0234】
図21に示す例では、「787」の図柄は仮停止された状態であって、再び、中の飾り図柄の変動が開始される。これにより、スーパーリーチに発展する。遊技者は、スーパーリーチに発展したことにより15ラウンドの大当りが発生することを認識する。図21に示すスーパーリーチの変動では、キャラクタ(人のキャラクタ)が登場するとともに、中の飾り図柄が低速で変動している。なお、スーパーリーチの変動パターンとして図8に示したようにあらかじめ複数種類用意されているが、確変状態のときに実行されるスーパーリーチの変動パターンは、前回の大当りの終了時にミッションとして提示されたスーパーリーチの変動パターン(複数のスーパーリーチが提示されたときはそのうちの一の変動パターン)である。
【0235】
そして、所定時間経過後に、中の飾り図柄が左右の飾り図柄と同一の図柄「7」で停止することによって、左中右の飾り図柄が同一図柄で揃った状態(「777」)となり、15ラウンドの大当りが発生する。」

シ 上記ア、ウ、オの記載事項によると、遊技機が大当り判定モジュールにおいて大当りと決定された場合に、大当りのラウンド数を抽選し、第1の特定遊技状態(2ラウンド大当り)または第2の特定遊技状態(15ラウンド大当り)のいずれかに制御するか否かを決定する決定手段(遊技制御用マイクロコンピュータ560の一部分)を備えることが記載されている。

上記ア?サの記載事項、上記シの認定事項を総合すると、刊行物1には、次の発明が記載されていると認められる(以下「刊行物発明」という。)。
「各々を識別可能な複数種類の識別情報の可変表示を行う可変表示装置に表示結果が導出表示されたあとに通常遊技状態よりも遊技者にとって有利な第1の特定遊技状態(2ラウンド大当り)または該第1の特定遊技状態(2ラウンド大当り)よりも遊技者にとって有利な第2の特定遊技状態(15ラウンド大当り)に制御する遊技機であって、
特別図柄の変動を開始することができる状態になると、あらかじめ決められている大当り判定値と大当り判定用乱数値とを比較し、それらが一致したら大当りとすることに決定する処理を実行する大当り判定モジュールを実行する遊技制御用マイクロコンピュータ560と、
大当り判定モジュールにおいて大当りと決定された場合に、大当りのラウンド数を抽選し、第1の特定遊技状態(2ラウンド大当り)または第2の特定遊技状態(15ラウンド大当り)のいずれかに制御するか否かを決定する決定手段(遊技制御用マイクロコンピュータ560の一部分)と、
遊技状態が確変状態であるか否かと、大当りになることが決定されているか否かと、大当りになると決定されている場合には大当りのラウンド数とに応じて、最初、左中右の飾り図柄が高速で変動する通常変動が可変表示装置9において行われ、その後、ノーマルリーチに発展してから「787」の飾り図柄を仮停止し、その後、再び、中の飾り図柄の変動が開始されてスーパーリーチに発展し、左中右の飾り図柄が同一図柄で揃った状態(「777」)となるスーパーリーチを伴う変動パターンを含む変動パターンから、変動パターン決定用乱数の値と一致する判定値に対応する変動パターンを、特別図柄の変動パターンと決定する遊技制御用マイクロコンピュータ560と、
変動パターンを指定する演出制御コマンド(変動パターンコマンド)にもとづいて、可変表示装置9における可変表示の表示制御を行わせる演出制御用マイクロコンピュータ100とを備え、
演出実行手段(演出制御用マイクロコンピュータ100の一部分)は、特別遊技状態(高確率状態)に制御されているときに、決定手段(遊技制御用マイクロコンピュータ560の一部分)により第1の特定遊技状態に制御すると決定されたことを条件に、所定の演出パターンのうちの特定演出パターンとは異なる通常演出パターン(例えば、ノーマルリーチのみ)を実行し、ノーマルリーチに発展してから、「787」の図柄が停止図柄として確定する(変動が終了する)とともに、決定手段(遊技制御用マイクロコンピュータ560の一部分)により第2の特定遊技状態に制御すると決定されたことを条件に、提示手段により提示された特定演出パターン(ミッションとして提示されたスーパーリーチの変動パターン)を実行し、ノーマルリーチに発展してから、「787」の飾り図柄を仮停止し、その後、スーパーリーチに発展し、左中右の飾り図柄が同一図柄で揃った状態(「777」)とし、
演出実行手段(演出制御用マイクロコンピュータ100の一部分)は、特別遊技状態(高確率状態)に制御されているときに、決定手段(遊技制御用マイクロコンピュータ560の一部分)により第2の特定遊技状態に制御すると決定されたことを条件に、演出制御コマンド(変動パターンコマンド)にもとづいて、可変表示装置9において可変表示を行うに際して、ノーマルリーチに発展してから、「787」の飾り図柄を仮停止し、その後、スーパーリーチに発展し、左中右の飾り図柄が同一図柄で揃った状態(「777」)とした
遊技機。」

4 対比
刊行物発明と本願発明とを対比する(以下、「刊行物発明」、「本願発明」を、それぞれ「前者」、「後者」という。)。
ア 前者における「各々を識別可能な複数種類の識別情報の可変表示を行う可変表示装置に表示結果が導出表示されたあとに通常遊技状態よりも遊技者にとって有利な第1の特定遊技状態(2ラウンド大当り)または該第1の特定遊技状態(2ラウンド大当り)よりも遊技者にとって有利な第2の特定遊技状態(15ラウンド大当り)に制御する遊技機」と、後者における「各々を識別可能な複数種類の識別情報を可変表示する可変表示部における識別情報の表示結果があらかじめ定められた特定表示結果となったときに、遊技者にとって有利な特定遊技状態に制御する遊技機」とを対比する。
前者における「遊技者にとって有利な第1の特定遊技状態(2ラウンド大当り)または該第1の特定遊技状態(2ラウンド大当り)よりも遊技者にとって有利な第2の特定遊技状態(15ラウンド大当り)」は、後者における「遊技者にとって有利な特定遊技状態」に相当する。
したがって、前者の「各々を識別可能な複数種類の識別情報の可変表示を行う可変表示装置に表示結果が導出表示されたあとに通常遊技状態よりも遊技者にとって有利な第1の特定遊技状態(2ラウンド大当り)または該第1の特定遊技状態(2ラウンド大当り)よりも遊技者にとって有利な第2の特定遊技状態(15ラウンド大当り)に制御する遊技機」は、後者の「各々を識別可能な複数種類の識別情報を可変表示する可変表示部における識別情報の表示結果があらかじめ定められた特定表示結果となったときに、遊技者にとって有利な特定遊技状態に制御する遊技機」に相当する。

イ 前者における「特別図柄の変動を開始することができる状態になると、あらかじめ決められている大当り判定値と大当り判定用乱数値とを比較し、それらが一致したら大当りとすることに決定する処理を実行する大当り判定モジュールを実行」し、「大当り判定モジュールにおいて大当りと決定された場合に、大当りのラウンド数を抽選し、第1の特定遊技状態(2ラウンド大当り)または第2の特定遊技状態(15ラウンド大当り)のいずれかに制御するか否かを決定する」「決定手段(遊技制御用マイクロコンピュータ560の一部分)」と、後者における「特定表示結果とするか否かと、該特定表示結果とする場合に、特定遊技状態を第1特定遊技状態とするか、特定遊技状態を第1特定遊技状態とは特定遊技状態に制御可能な期間が異なる第2特定遊技状態とするかとを、識別情報の可変表示を開始できる状態になったときに決定する事前決定手段」とを対比する。
まず、前者における「特別図柄の変動を開始することができる状態になる」ことは、後者における「識別情報の可変表示を開始できる状態になったとき」に相当する。
そして、前者における「あらかじめ決められている大当り判定値と大当り判定用乱数値とを比較し、それらが一致したら大当りとすること」は、「大当り」が通常遊技状態よりも遊技者にとって有利な遊技状態であることから、後者における「特定表示結果とするか否か」に相当する。
また、前者における「大当りと決定された場合に、大当りのラウンド数を抽選し、第1の特定遊技状態(2ラウンド大当り)または第2の特定遊技状態(15ラウンド大当り)のいずれかに制御するか否かを決定する」ことは、後者における「特定表示結果とする場合に、特定遊技状態を第1特定遊技状態とするか、特定遊技状態を第1特定遊技状態とは特定遊技状態に制御可能な期間が異なる第2特定遊技状態とするかとを」「決定する」ことに相当する。
したがって、前者における「遊技制御用マイクロコンピュータ560」は、後者における「事前決定手段」に相当する。

ウ 前者における「遊技状態が確変状態であるか否かと、大当りになることが決定されているか否かと、大当りになると決定されている場合には大当りのラウンド数とに応じて、最初、左中右の飾り図柄が高速で変動する通常変動が可変表示装置9において行われ、その後、ノーマルリーチに発展してから「787」の飾り図柄を仮停止し、その後、再び、中の飾り図柄の変動が開始されてスーパーリーチに発展し、左中右の飾り図柄が同一図柄で揃った状態(「777」)となるスーパーリーチを伴う変動パターンを含む変動パターンから、変動パターン決定用乱数の値と一致する判定値に対応する変動パターンを、特別図柄の変動パターンと決定する遊技制御用マイクロコンピュータ560」と、後者における「事前決定手段の決定結果にもとづいて、識別情報の可変表示が開始されてから表示結果が導出表示されるまでに一旦仮停止させた後に全ての識別情報について可変表示を再度実行する再可変表示を所定回実行する再可変表示パターンを含む複数種類の可変表示パターンからいずれかの可変表示パターンを決定する可変表示パターン決定手段」とを対比する。

まず、前者における「遊技状態が」「大当りになることが決定されているか否か」「に応じ」ることは、大当りになるか否かが「大当り判定モジュール」により判定されることである。そして、上記イにおいて検討したように、前者における「大当り判定モジュール」は、後者における「事前決定手段」に含まれるものである。したがって、前者における「遊技状態が」「大当りになることが決定されているか否か」「に応じ」ることは、後者における「事前決定手段の決定結果にもとづ」くことに相当する。

次に、前者における「スーパーリーチを伴う変動パターン」は、通常変動が開始されてから同一図柄で揃った状態(「777」)となるまでの間に、「左中右の飾り図柄」が「仮停止」された後に、中の飾り図柄の変動が開始されるものである。
そして、前者では、スーパーリーチにおいて仮停止を1回行うものであるから、前者における「スーパーリーチ」は、後者における「再可変表示を所定回実行する」ことに相当する。
したがって、前者における「スーパーリーチを伴う変動パターン」と後者における「再可変表示パターン」とは、「識別情報の可変表示が開始されてから表示結果が導出表示されるまでに一旦仮停止させた後に識別情報について可変表示を再度実行する再可変表示を所定回実行する再可変表示パターン」である点で共通する。

また、前者における「変動パターンから、変動パターン決定用乱数の値と一致する判定値に対応する変動パターンを、特別図柄の変動パターンと決定する遊技制御用マイクロコンピュータ560」は、後者における「複数種類の可変表示パターンからいずれかの可変表示パターンを決定する可変表示パターン決定手段」に相当する。

ゆえに、前者における「遊技状態が確変状態であるか否かと、大当りになることが決定されているか否かと、大当りになると決定されている場合には大当りのラウンド数とに応じて、最初、左中右の飾り図柄が高速で変動する通常変動が可変表示装置9において行われ、その後、ノーマルリーチに発展してから「787」の飾り図柄を仮停止し、その後、再び、中の飾り図柄の変動が開始されてスーパーリーチに発展し、左中右の飾り図柄が同一図柄で揃った状態(「777」)となるスーパーリーチを伴う変動パターンを含む変動パターンから、変動パターン決定用乱数の値と一致する判定値に対応する変動パターンを、特別図柄の変動パターンと決定する遊技制御用マイクロコンピュータ560」と、後者における「事前決定手段の決定結果にもとづいて、識別情報の可変表示が開始されてから表示結果が導出表示されるまでに一旦仮停止させた後に全ての識別情報について可変表示を再度実行する再可変表示を所定回実行する再可変表示パターンを含む複数種類の可変表示パターンからいずれかの可変表示パターンを決定する可変表示パターン決定手段」とは、「事前決定手段の決定結果にもとづいて、識別情報の可変表示が開始されてから表示結果が導出表示されるまでに一旦仮停止させた後に識別情報について可変表示を再度実行する再可変表示を所定回実行する再可変表示パターンを含む複数種類の可変表示パターンからいずれかの可変表示パターンを決定する可変表示パターン決定手段」である点で共通する。

エ 前者における「変動パターンを指定する演出制御コマンド(変動パターンコマンド)にもとづいて、可変表示装置9における可変表示の表示制御を行わせる演出制御用マイクロコンピュータ100」と、後者における「可変表示パターン決定手段によって決定された可変表示パターンにもとづいて、可変表示部を制御する可変表示制御手段」とを対比する。
前者における「演出制御コマンド(変動パターンコマンド)」は、遊技制御用マイクロコンピュータ560」により決定されるものである。
そして、前者における「可変表示装置9における可変表示の表示制御を行わせる」「演出制御用マイクロコンピュータ100」は、後者における「可変表示部を制御する」「可変表示制御手段」に相当する。
したがって、前者における「変動パターンを指定する演出制御コマンド(変動パターンコマンド)にもとづいて、可変表示装置9における可変表示の表示制御を行わせる演出制御用マイクロコンピュータ100」は、後者における「可変表示パターン決定手段によって決定された可変表示パターンにもとづいて、可変表示部を制御する可変表示制御手段」に相当する。

オ 前者における「演出実行手段(演出制御用マイクロコンピュータ100の一部分)は、」「決定手段(遊技制御用マイクロコンピュータ560の一部分)により第1の特定遊技状態に制御すると決定されたことを条件に、所定の演出パターンのうちの特定演出パターンとは異なる通常演出パターン(例えば、ノーマルリーチのみ)を実行し、ノーマルリーチに発展してから、「787」の図柄が停止図柄として確定する(変動が終了する)とともに、決定手段(遊技制御用マイクロコンピュータ560の一部分)により第2の特定遊技状態に制御すると決定されたことを条件に、提示手段により提示された特定演出パターン(ミッションとして提示されたスーパーリーチの変動パターン)を実行し、ノーマルリーチに発展してから、「787」の飾り図柄を仮停止し、その後、スーパーリーチに発展し、左中右の飾り図柄が同一図柄で揃った状態(「777」)とした」ことと、後者における「該可変表示制御手段は、事前決定手段により第1特定遊技状態とすると決定されたときには識別情報の表示結果が導出表示されるまでの間に第1特定演出を実行して識別情報の表示結果を導出表示する制御を行い、第2特定遊技状態とすると決定されたときには第1特定演出と異なる第2特定演出を実行して識別情報の表示結果を導出表示する制御を行」うこととを対比する。

まず、前者における「演出実行手段(演出制御用マイクロコンピュータ100の一部分)」、「決定手段(遊技制御用マイクロコンピュータ560の一部分)」は、それぞれ、上記エ、イにおいて検討したように、後者における「可変表示制御手段」、「事前決定手段」に相当する。

次に、前者における「第1の特定遊技状態に制御すると決定されたこと」は、後者における「第1特定遊技状態とすると決定されたとき」に相当する。

そして、前者における「「787」の図柄が停止図柄として確定する(変動が終了する)」ことは、後者における「識別情報の表示結果が導出表示される」ことに相当する。
また、前者における「通常演出パターン(例えば、ノーマルリーチのみ)」は、識別情報の表示結果が導出表示されるまでの間に実行されるものであるから、前者における「通常演出パターン(例えば、ノーマルリーチのみ)を実行し、ノーマルリーチに発展してから、「787」の図柄が停止図柄として確定する(変動が終了する)」ことは、後者における「識別情報の表示結果が導出表示されるまでの間に第1特定演出を実行」することに相当する。
したがって、前者における「所定の演出パターンのうちの特定演出パターンとは異なる通常演出パターン(例えば、ノーマルリーチのみ)を実行し、ノーマルリーチに発展してから、「787」の図柄が停止図柄として確定する(変動が終了する)」ことは、後者における「識別情報の表示結果が導出表示されるまでの間に第1特定演出を実行して識別情報の表示結果を導出表示する制御を行」うことに相当する。

また、前者における「第2の特定遊技状態に制御すると決定されたこと」は、後者における「第2特定遊技状態とすると決定されたとき」に相当する。

さらに、前者における「提示手段により提示された特定演出パターン(ミッションとして提示されたスーパーリーチの変動パターン)を実行し」、「スーパーリーチに発展し、左中右の飾り図柄が同一図柄で揃った状態(「777」)とし」たことは、スーパーリーチ演出を行う特定演出パターンがノーマルリーチ演出のみを行う通常演出パターンと異なるものであるから、後者における「第1特定演出と異なる第2特定演出を実行して識別情報の表示結果を導出表示する制御を行」うことに相当する。

ゆえに、前者における「演出実行手段(演出制御用マイクロコンピュータ100の一部分)は、」「決定手段(遊技制御用マイクロコンピュータ560の一部分)により第1の特定遊技状態に制御すると決定されたことを条件に、所定の演出パターンのうちの特定演出パターンとは異なる通常演出パターン(例えば、ノーマルリーチのみ)を実行し、ノーマルリーチに発展してから、「787」の図柄が停止図柄として確定する(変動が終了する)とともに、決定手段(遊技制御用マイクロコンピュータ560の一部分)により第2の特定遊技状態に制御すると決定されたことを条件に、提示手段により提示された特定演出パターン(ミッションとして提示されたスーパーリーチの変動パターン)を実行し、ノーマルリーチに発展してから、「787」の飾り図柄を仮停止し、その後、スーパーリーチに発展し、左中右の飾り図柄が同一図柄で揃った状態(「777」)とした」ことは、後者における「該可変表示制御手段は、事前決定手段により第1特定遊技状態とすると決定されたときには識別情報の表示結果が導出表示されるまでの間に第1特定演出を実行して識別情報の表示結果を導出表示する制御を行い、第2特定遊技状態とすると決定されたときには第1特定演出と異なる第2特定演出を実行して識別情報の表示結果を導出表示する制御を行」うことに相当する。

カ 前者における「演出実行手段(演出制御用マイクロコンピュータ100の一部分)は、」「決定手段(遊技制御用マイクロコンピュータ560の一部分)により第2の特定遊技状態に制御すると決定されたことを条件に、演出制御コマンド(変動パターンコマンド)にもとづいて、可変表示装置9において可変表示を行うに際して、ノーマルリーチに発展してから、「787」の飾り図柄を仮停止し、その後、スーパーリーチに発展し、左中右の飾り図柄が同一図柄で揃った状態(「777」)とした」ことと、後者における「可変表示制御手段は、事前決定手段により第2特定遊技状態とすると決定された場合において、再可変表示パターンにもとづく可変表示が実行されるときに、識別情報の可変表示が開始されてから仮停止が行われるまでの期間に、第1特定演出を実行し、該仮停止が行われてから識別情報の表示結果が導出表示されるまでの期間に、第2特定演出を実行する演出実行手段を含む」こととを対比する。

前者における「演出制御コマンド(変動パターンコマンド)にもとづいて、可変表示装置9において可変表示を行うに際して」は、後者における「再可変表示パターンにもとづく可変表示が実行されるときに」に相当する。
そして、前者における「ノーマルリーチに発展してから、「787」の飾り図柄を仮停止」することは、「ノーマルリーチ」が「仮停止」するまでの間に行われるものであるから、後者における「識別情報の可変表示が開始されてから仮停止が行われるまでの期間に、第1特定演出を実行」することに相当する。
また、前者における「その後、スーパーリーチに発展し、左中右の飾り図柄が同一図柄で揃った状態(「777」)とした」ことは、後者における「該仮停止が行われてから識別情報の表示結果が導出表示されるまでの期間に、第2特定演出を実行する」ことに相当する。

したがって、前者における「演出実行手段(演出制御用マイクロコンピュータ100の一部分)は、」「決定手段(遊技制御用マイクロコンピュータ560の一部分)により第2の特定遊技状態に制御すると決定されたことを条件に、演出制御コマンド(変動パターンコマンド)にもとづいて、可変表示装置9において可変表示を行うに際して、ノーマルリーチに発展してから、「787」の飾り図柄を仮停止し、その後、スーパーリーチに発展し、左中右の飾り図柄が同一図柄で揃った状態(「777」)とした」ことは、後者における「可変表示制御手段は、事前決定手段により第2特定遊技状態とすると決定された場合において、再可変表示パターンにもとづく可変表示が実行されるときに、識別情報の可変表示が開始されてから仮停止が行われるまでの期間に、第1特定演出を実行し、該仮停止が行われてから識別情報の表示結果が導出表示されるまでの期間に、第2特定演出を実行する演出実行手段を含む」ことに相当する。

キ 上記ア?カより、前者と後者とは、
「各々を識別可能な複数種類の識別情報を可変表示する可変表示部における識別情報の表示結果があらかじめ定められた特定表示結果となったときに、遊技者にとって有利な特定遊技状態に制御する遊技機であって、
前記特定表示結果とするか否かと、該特定表示結果とする場合に、前記特定遊技状態を第1特定遊技状態とするか、前記特定遊技状態を前記第1特定遊技状態とは前記特定遊技状態に制御可能な期間が異なる第2特定遊技状態とするかとを、識別情報の可変表示を開始できる状態になったときに決定する事前決定手段と、
前記事前決定手段の決定結果にもとづいて、識別情報の可変表示が開始されてから表示結果が導出表示されるまでに一旦仮停止させた後に識別情報について可変表示を再度実行する再可変表示を所定回実行する再可変表示パターンを含む複数種類の可変表示パターンからいずれかの可変表示パターンを決定する可変表示パターン決定手段と、
前記可変表示パターン決定手段によって決定された前記可変表示パターンにもとづいて、前記可変表示部を制御する可変表示制御手段とを備え、
該可変表示制御手段は、前記事前決定手段により前記第1特定遊技状態とすると決定されたときには識別情報の表示結果が導出表示されるまでの間に第1特定演出を実行して識別情報の表示結果を導出表示する制御を行い、前記第2特定遊技状態とすると決定されたときには前記第1特定演出と異なる第2特定演出を実行して識別情報の表示結果を導出表示する制御を行い、
前記可変表示制御手段は、前記事前決定手段により前記第2特定遊技状態とすると決定された場合において、前記再可変表示パターンにもとづく可変表示が実行されるときに、識別情報の可変表示が開始されてから仮停止が行われるまでの期間に、前記第1特定演出を実行し、該仮停止が行われてから識別情報の表示結果が導出表示されるまでの期間に、前記第2特定演出を実行する演出実行手段を含む
遊技機。」
の点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点]
再可変表示パターンに関して、
本願発明は、仮停止させた後に全ての識別情報について可変表示を再度実行するのに対して、
刊行物発明は、仮停止させた後に、中の飾り図柄の変動が開始されるが、全ての識別情報について可変表示を再度実行するものでない点。

5 当審の判断
(1)上記相違点について検討する。
変動パターンに仮停止を含む遊技機の技術分野おいて、リーチ変動に伴う仮停止後に識別情報を再変動させるに際して、全ての識別情報の可変表示を再度実行させることは、本願出願前に周知の技術事項である(例えば、特開2004-16575号公報の【0080】、【図7】(f)、特開2005-87501号公報の【0035】、【図10】、特開2005-334465号公報の【0075】、【図21】を参照。)。
したがって、刊行物発明に記載された、リーチ変動に伴う仮停止を含む再可変表示パターンに上記周知の技術事項を適用して、全ての識別情報を仮停止させた後に全ての識別情報について可変表示を再度実行することにより上記相違点に係る本願発明の構成にすることは、当業者が適宜成し得たものである。

(2)請求人の主張について
請求人は、平成27年2月2日の意見書において、「本願発明は、基本的に、第1特定遊技状態になる場合には第1特定演出を実行し、第2特定遊技状態になる場合には第2特定演出を実行するものの、第2特定遊技状態になる場合であって再可変表示パターンにもとづく可変表示が実行されるときには、仮停止前に第1特定演出を実行してから第2特定演出を実行するという発明です(上記の(d),(e)より)。
すなわち、第2特定遊技状態になる場合に、再可変表示パターンにもとづく可変表示が実行されるときには、まず、第1特定遊技状態になる場合に実行される第1特定演出を実行するという発明です。つまり、再可変表示パターンによる可変表示が実行されるときに、遊技者に第1特定遊技状態になることを想起させ、その後に(具体的には、再可変表示を挟んで)、第2特定遊技状態になることを想起させるという発明です。
刊行物1に記載された発明は、刊行物1の図21に記載されているように、まず、第1特定遊技状態(刊行物1では、2ラウンド大当り)になるのか第2特定遊技状態(刊行物1では、15ラウンド大当り)になるのかを不明にしておいて、その後に、第1特定遊技状態であるか第2特定遊技状態であるかを明らかにするという発明であって、本願発明にように、まず、異なる遊技状態を想起させる(第2特定遊技状態になるが、まず、第1特定遊技状態を想起させる)という概念を含んでいません。
換言すれば、本願発明と刊行物1に記載された発明とでは、第1特定演出と第2特定演出との活用に関して、基本になる概念が異なっています。」(第4頁第27?44行)と主張する。

しかしながら、刊行物に「図21に示すように、可変表示装置9には「787」の飾り図柄が停止表示されている。このままスーパーリーチに発展せずに「787」の図柄が停止図柄として確定すると(変動が終了すると)、遊技者にとって望ましくない2ラウンドの大当りが発生することになる。従って、このとき、遊技者は、スーパーリーチに発展して15ラウンドの大当りが確定することを期待する。図21に示す例では、「787」の図柄は仮停止された状態であって、再び、中の飾り図柄の変動が開始される。これにより、スーパーリーチに発展する。遊技者は、スーパーリーチに発展したことにより15ラウンドの大当りが発生することを認識する。」(前記3 サ)と記載されているように、刊行物発明においても、スーパーリーチになることが決定されている場合であっても、まず、ノーマルリーチが発生することから、遊技者は、ノーマルリーチが発生した段階で、ノーマルリーチが単独で終了し、スーパーリーチに発展しないのか、あるいは、ノーマルリーチからスーパーリーチに発展するのかについての確証を得ることができないものであるから、刊行物発明は、本願発明と同様に、「第2特定遊技状態になるが、まず、第1特定遊技状態を想起させる」という概念を含むものである。
したがって、請求人の意見書における上記主張は採用できない。

(3)小括
上記(1)?(2)において検討したように、本願発明は、当業者が刊行物発明及び周知の技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものである。
また、本願発明により奏される効果は、当業者が、刊行物発明及び周知の技術事項から予測し得る範囲内のものであって、格別のものではない。

6 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は他の請求項について検討するまでもなく拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-06-25 
結審通知日 2015-06-30 
審決日 2015-07-13 
出願番号 特願2008-196357(P2008-196357)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 ▲高▼藤 啓  
特許庁審判長 中田 誠
特許庁審判官 長崎 洋一
瀬津 太朗
発明の名称 遊技機  
代理人 塩川 誠人  
代理人 眞野 修二  
代理人 岩壁 冬樹  

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