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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) C12P
管理番号 1305360
審判番号 不服2013-23726  
総通号数 191 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-11-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-12-03 
確定日 2015-09-11 
事件の表示 特願2008-270191「高度不飽和脂肪酸の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成22年 4月30日出願公開、特開2010- 94111〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯、本願発明
本願は、平成20年10月20日の出願であって、平成25年9月20日付けで拒絶査定がされたところ、同年12月3日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに同日付けで手続補正がなされ、平成27年3月18日付けで当審の拒絶理由が通知され、同年5月18日付けで意見書及び手続補正書が提出されたものである。
のである。
本願の請求項1、2に係る発明は、平成27年5月18日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1、2に記載された事項により特定されるとおりのものであり、そのうち本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、請求項1に記載される以下のとおりのものである。

「15?35℃の温度域において増殖性や脂質生産性が著しく低下することがない安定した増殖および脂質生産性を示す性質であるSchizochytrium sp. M-8(FERM P-19755)を用い、通気撹拌培養、振とう培養、あるいは静置培養で、該M-8菌株の性質に基づき他の海洋真核微生物のような培養温度を一点温度コントロールという厳密な温度コントロールを必要とせず、15?35℃の温度域コントロールで1?14日間培養し、高度不飽和脂肪酸を製造することを特徴とする、高度不飽和脂肪酸の製造方法。」

第2 当審拒絶理由
当審の拒絶理由の一つは、本願発明は、引用文献1,3?5に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

第3 引用例、引用発明
1.引用例
(1)引用文献1
当審の拒絶理由通知で引用文献1として引用された、本願出願日前に頒布された刊行物であるBiosci. Biotechnol. Biochem., 2007, vol.71, no.1, p.222-225には、以下の事項が記載されている。(英文であるため、当審による日本語訳を記載する。また、下線は当審が付した。)
ア「新たに単離されたthraustochytridsは、培地から細胞へのビタミンB12の取り込みを示した。1μg/mlのビタミンB12を含む培地中のthraustochytridsの培養は、細胞中のビタミンB12の割合を大きく増加させた。Schizochytrium limacinumと同様に、ビタミンB12で培養された新しい分離株の細胞では、奇数の脂肪酸が減少した。ビタミンB12富化されたthraustochytrids、mh0186株は、この細胞を唯一の餌として与えられたワムシの個体数の増加を強化した。」(222頁、要約)

イ「thraustochytridsの分離株は、500mlの振とうフラスコで28℃で4日間培養された。」(222頁右欄、下から9?8行)

ウ「表2 B12と共に、または無しで培養されたthraustochytridsの脂肪酸組成物


」(223頁)
*注:mh0186株の-B12、+B12列のC22:6 n-3 の行の値は、58.0 57.1である。

エ「B12富化thraustochytridsを与えたワムシは、海洋魚幼生の適切な成長のための餌として、十分に多量のDHAを含んでいた。一般に、魚幼生への給餌の数時間前に、DHAを含む市販食餌を供給することによって、ワムシはDHAで栄養的に富化されるが、一方、この研究では、B12富化thraustochytridsを与えたワムシがDHAを豊富に含む。これらの結果は、ワムシへのB12を富化したthraustochytridsの給餌が、栄養的な強化なしの海洋魚幼生生産のための新しい手順となることを示す。」(224頁左欄、12?22行)

(2)引用文献3
当審の拒絶理由通知で引用文献3として引用された、本願出願日前に頒布された刊行物である国際公開第2008/090989号には、以下の事項が記載されている。(下線は当審が付した。)
オ「【0012】
微生物を用いて長鎖高度不飽和脂肪酸を含む油脂含有物あるいは長鎖高度不飽和脂肪酸を含む油脂を製造するに際し、微生物として高度不飽和脂肪酸産生能を有するストラメノパイルを用いる。すなわち、本発明の高度不飽和脂肪酸の製造方法は、長鎖高度不飽和脂肪酸を含む油脂含有物あるいは長鎖高度不飽和脂肪酸を含む油脂を製造する方法である。
本発明の高度不飽和脂肪酸の製造方法は、高度不飽和脂肪酸産生産生能を有するストラメノパイルを、脂肪酸不飽和化酵素を阻害する物質を含有する培地で培養することを特徴とする。ストラメノパイルとは、鞭毛に中空の小毛を持つ単細胞真核生物の一群である。本発明におけるストラメノパイルとは、高度不飽和脂肪酸を産生する能力を有するものであり、特に好ましくはラビリンチュラ網に分類される微生物であり、特に好ましくはラビリンチュラ属(Labyrinthula)、アルトルニア属(Althornia)、アプラノキトリウム属(Aplanochytrium)、イァポノキトリウム属(Japonochytrium)、ラビリンチュロイデス属(Labyrinthuloides)、シゾキトリウム属(Schizochytrium)、ヤブレツボカビ属(Thraustochytrium)、またはウルケニア属(Ulkenia)に属する微生物またはそれらの混合物から選択される。微生物は、上述の任意のものに由来する突然変異株、ならびにそれらの混合物から成る群より選択される。
なお、本発明における前記微生物の分類は、「海洋と生物」,生物研究社,2001年,第23巻,第1号,p.9に記載された分類体系にしたがっている。
【0013】
このストラメノパイルを通常用いられる固体培地あるいは液体培地等で、脂肪酸不飽和化酵素を阻害する物質の存在下にて、常法により培養する。この時、用いられる培地としては、例えば炭素源としてグルコース、フルクトース、サッカロース、デンプン、グリセリン等、また窒素源として酵母エキス、コーンスティープリカー、ポリペプトン、グルタミン酸ナトリウム、尿素、酢酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸ナトリウム等、また無機塩としてリン酸カリウム等、その他必要な成分を適宜組み合わせた培地であり、ラビリンチュラ類を培養するために通常用いられるものであれば特に限定されないが、特に好ましくは酵母エキス・グルコース寒天培地(GY培地)が用いられる。
培地は調製後、pHを3.0?8.0の範囲内に調整した後、オートクレーブ等により殺菌して用いる。培養は、10?40℃、好ましくは15?35℃にて、1?14日間、通気撹拌培養、振とう培養、あるいは静置培養で行えば良い。」

(3)引用文献4
当審の拒絶理由通知で引用文献4として引用された、本願出願日前に頒布された刊行物である特開平10-72590号公報には、以下の事項が記載されている。(下線は当審が付した。)
カ「【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上記のような(n-6)系ドコサペンタエン酸(DPA)の含有量の高い油脂を高生産する微生物を広く海洋性微生物に求めた。
【0014】
【課題を解決するための手段】この結果、本発明者らは、ある種の海洋性微生物(シゾキトリウム属に属する新種)が(n-6)系DPAの含有量の高い油脂を高生産することを見い出した。また、この微生物が、(n-6)系DPAの含有量だけでなく、(n-3)系DHAの含有量も高く、かつEPAの含有量の低い油脂、即ち、種々の食品、飼料あるいは餌料への添加用に有用な脂肪酸組成を有する油脂を高生産することを見い出した。」

キ「【0044】培地を調製した後、適当な酸または塩基を用いてpHを4.0?6.5の範囲に調整し、オートクレーブにより殺菌する。菌の培養は、10?35℃、好ましくは17?30℃にて通常3?7日間、通気撹拌培養、振蘯培養あるいは静置培養などによって行う。」

(4)引用文献5
当審の拒絶理由通知で引用文献5として引用された、本願出願日前に頒布された刊行物である特開2006-304686号公報には、以下の事項が記載されている。(下線は当審が付した。)
ク「【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ラビリンチュラ類の形質転換系が開発されれば、遺伝子破壊を可能にし、ラビリンチュラ類のDHA の合成経路を解明することができ、このような問題を解決するとともに、カロテノイドの生合成機構の解明にもつながり、この微生物での分子育種も可能にし、多種機能性脂質の生産系の開発につながる。また、このような微生物からDHA やカロテノイドの生合成にかかわる遺伝子が取り出されれば、それを他の微生物や植物などに導入することにより、新たなDHA やカロテノイド供給源を提供することが可能となる。同じストラメのパイルには、渇藻、珪藻、卵菌などが属しており、これらにおいてはすでに数種の微生物において形質転換系が開発されているが、ラビリンチュラ類の形質転換系は全く開発されていない。そこで、本発明では、PUFA やカロテノイドなどの脂質生合成機構の解明とその制御による高生産系の構築及び新規機能性脂質分子の設計開発を可能とするようなラビリンチュラ類の形質転換系を提供することを目的とした。即ち、本発明は、ラビリンチュラ類に外来遺伝子を導入して形質転換することを可能にするラビリンチュラ類への遺伝子導入法を提供することを解決すべき課題とした。」

ケ「【0013】
好ましくは、ラビリンチュラ類細胞は、Schizochytrium sp である。」

コ「【0033】
菌の培養温度は一般的には10?45℃であり、好ましくは20?37℃である。培養温度は、目的油脂組成を生産しうる培養温度に制御することが好ましい。培養時のpHは一般的には3.5?9.5であり、好ましくはpH4.5?9.5である。特に好ましいpHは目的によって異なる。
培養期間は、例えば3?7日間とすることができ、通気攪拌培養、振とう培養又は静置培養で培養を行なうことができる。」

2.引用発明
上記ア、イより、引用文献1には、スラウストキトリッド(thraustochytrids)株、mh0186を28℃で4日間振とう培養したことが記載されていると認められる。
したがって、引用文献1には、
「スラウストキトリッド株、mh0186を用い、振とう培養で、28℃の温度で4日間培養する方法。」の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

第4 当審の判断
1.対比
本願発明と、引用発明を対比する。
引用発明の、スラウストキトリッド株、mh0186は、本願明細書の段落【0008】?【0009】の「・・・本発明で用いる微生物は、シゾキトリウム属(Schizochytorium)に属する微生物であり、特に好ましくはSchizochytrium sp. M-8が用いられる。Schizochytrium sp. M-8株は、特開2005-287380号公報に既に報告されており、・・・また独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(茨城県つくば市東1-1-1 つくばセンター 中央第6)に受託番号FERM P-19755として平成16年3月29日に国内寄託されている。
【0009】
また当該微生物は、その後の文献においてSchizochytorium sp. mh0186、Aurantiochytirum sp. mh0186、あるいはAurantiochytrium limacinum mh0186と呼ばれている。・・・」の記載からみて、Schizochytrium sp. M-8に相当すると認められる。
したがって、両者は、
「Schizochytrium sp. M-8(FERM P-19755)を用い、振とう培養で培養する方法。」である点で一致し、以下の点で相違している。
(相違点1)
本願発明は、「高度不飽和脂肪酸の製造方法」であるのに対して引用発明は、「培養する方法」である点。
(相違点2)
本願発明では、Schizochytrium sp. M-8(FERM P-19755)について、「15?35℃の温度域において増殖性や脂質生産性が著しく低下することがない安定した増殖および脂質生産性を示す性質である」ことが特定されているのに対して、引用発明ではそのような特定はない点。
(相違点3)
本願発明では、培養条件について、「該M-8菌株の性質に基づき他の海洋真核微生物のような培養温度を一点温度コントロールという厳密な温度コントロールを必要とせず、15?35℃の温度域コントロールで1?14日間培養し」と特定されているのに対して、引用発明では、28℃の温度で4日間培養する点。

2.判断
(1)相違点1について
上記ウに記載されるように、スラウストキトリッドのmh0186株の培養物は、脂肪酸としてC22:6 n-3、すなわちDHAを多量に含んでおり、 引用発明の方法でスラウストキトリッドmh0186株を培養することによって、DHAに富む培養物が得られることが理解される。さらに、上記エに記載される、ワムシがDHAを多量に含むことは、DHAに富むスラウストキトリッド培養物をワムシの餌とすることでもたらされると理解される。
そして、食品等としても有用なDHAを製造することは、当業者にとって自明の技術課題であるから、引用発明の培養する方法によって、DHAを含む培養物を得て、さらに培養物からDHA、すなわち高度不飽和脂肪酸を製造することは、当業者が容易になし得ることである。

(2)相違点2について
「15?35℃の温度域において増殖性や脂質生産性が著しく低下することがない安定した増殖および脂質生産性を示す性質である」とは、微生物株の持つ性質であり、つまりこの記載は、「Schizochytrium sp. M-8(FERM P-19755)」という株であれば有している性質を単に説明するものと認められ、引用発明のスラウストキトリッド株、mh0186も有している性質であるといえるから、この点の特定の有無は、実質的な相違点とはいえない。

(3)相違点3について
引用発明の「スラウストキトリッド株、mh0186」のような微生物の培養条件について、本願出願前の技術文献の記載をみると、ヤブレツボカビ属(スラウストキトリウム)、シゾキトリウム属などのラビリンチュラ綱に分類される微生物を培養して高度不飽和脂肪酸を生産することに関する引用文献3には、「培養は、10?40℃、好ましくは15?35℃にて、1?14日間、通気撹拌培養、振とう培養、あるいは静置培養で行えば良い。」(上記オ)と記載され、15?35℃にて、1?14日間、通気撹拌培養、振とう培養、あるいは静置培養することが好ましいことが示されている。また、シゾキトリウム属の微生物を培養してDHAを生産することに関する引用文献4には、「菌の培養は、10?35℃、好ましくは17?30℃にて通常3?7日間、通気撹拌培養、振蘯培養あるいは静置培養などによって行う。」(上記キ)と記載され、さらに、シゾキトリウム属のようなラビリンチュラ類の微生物を培養してDHAを生産することに関する引用文献5には、「菌の培養温度は一般的には10?45℃であり、好ましくは20?37℃である。培養温度は、目的油脂組成を生産しうる培養温度に制御することが好ましい。・・(省略)・・ 培養期間は、例えば3?7日間とすることができ、通気攪拌培養、振とう培養又は静置培養で培養を行なうことができる。」(上記コ)と記載されている。そうすると、本願出願前の技術文献の記載からみて、高度不飽和脂肪酸生産のための、シゾキトリウム属のようなラビリンチュラ綱に属する微生物の培養温度、培養期間の条件として、「“15?35℃の温度域”、“1?14日間”の範囲」は、適当な条件として一般的なものであると認められ、引用文献3?5の記載に接した当業者は、この範囲内の温度であれば、いずれの温度でも培養に好ましいと理解するといえる。
そして、この「“15?35℃の温度域”、“1?14日間”の範囲」での培養を実施する際に、当業者は、培養温度を管理する周知の様々な手段や装置(温度を厳密にコントロールするもの、厳密なコントロールではないもの、積極的な温度管理はせずに室温行うものなど)から、目的、コストなどに応じて、適宜採用すると考えられ、そのような手段や装置を用いた培養条件には、全期間を一定の温度に厳密にコントロールする態様だけでなく、ある程度の温度幅を許容しつつ温度を維持する態様や、温度域内で温度が変化する態様なども包含されると認められる。つまり、当業者であれば、シゾキトリウム属のようなラビリンチュラ綱に属する微生物を、「培養温度を一点温度コントロールという厳密な温度コントロールを必要とせず、15?35℃の温度域コントロールで1?14日間」に該当する条件で培養するという態様も採用し得るといえる。
したがって、引用発明のmh0186(M-8)株は、シゾキトリウム属に属するから、引用発明における培養条件、28℃で4日間について、「培養温度を一点温度コントロールという厳密な温度コントロールを必要とせず、15?35℃の温度域コントロールで1?14日間」に該当する条件に変更することは、当業者が容易になし得ることである。
以上のとおり、本願発明は、引用文献1、3?5に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4)効果について
本願発明において、公知のSchizochytrium sp. M-8株を一般的な方法で培養して高度不飽和脂肪酸を製造する際に、「該M-8菌株の性質に基づき他の海洋真核微生物のような培養温度を一点温度コントロールという厳密な温度コントロールを必要とせず」培養したことによって、当業者が予測できないような格別の効果が奏されたとは認められない。
本願明細書の図1、2には、5?40℃の範囲で、5℃刻みの培養実験を行ったデータが示されており、15?35℃の範囲の実験で、良好な結果が得られたことが示されているが、この実験は、15?35℃の範囲のそれぞれの一定の温度で、4日間振とう培養する、という実験条件によるもの、つまり、本願発明にいう「培養温度を一点温度コントロールという厳密な温度コントロール」をする方法についての実験であると認められるから、本願発明の効果を裏付ける実験結果として採用することはできない。また、15?35℃の範囲は、引用文献3?5に好ましい範囲として示されていたから、良好な結果が得られることは、当業者が予測し得るといえる。

3.審判請求人の主張について
審判請求人は、平成27年5月18日付け意見書において、以下の点を主張をしている。
(1)いずれの文献にも、ある範囲の温度域であればいずれの温度でも良いことは記載されていない。
(2)「本発明により、Schizochytrium sp. M-8株を用いることで、他の海洋真核微生物のような厳密な温度コントロールを必要とせず、工程管理の労力や発酵タンクの冷却・加温のコストを大幅に削減する等、工業的に安定的且つ効率的な高度不飽和脂肪酸の製造が可能である。」なる顕著な効果を奏する。

(1)について
上記2.(3)のとおり、引用文献3?5には、シゾキトリウム属のようなラビリンチュラ綱に属する微生物の培養温度の条件として、本願発明が特定する“15?35℃の温度域”と重複する範囲の温度が、好ましい温度として記載されており、引用文献3?5の記載に接した当業者は、引用文献3?5において好ましいとされた範囲内の温度であれば、いずれの温度でも培養に好ましいと理解するといえる。

(2)について
本願発明は、「該M-8菌株の性質に基づき他の海洋真核微生物のような培養温度を一点温度コントロールという厳密な温度コントロールを必要とせず」と特定しているのみで、15℃や35℃のような、28℃とは大きく異なる温度で培養することを要件とするものではなく、また、工程管理の労力や発酵タンクの冷却・加温のコストを大幅に削減することが可能となるような、何らかの具体的な方法を特定するものでもない。
したがって、請求人の主張は採用できない。

第5 まとめ
以上のとおり、本願発明は、引用文献1、3?5に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないので、本願は、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-07-10 
結審通知日 2015-07-14 
審決日 2015-07-27 
出願番号 特願2008-270191(P2008-270191)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (C12P)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 川合 理恵  
特許庁審判長 中島 庸子
特許庁審判官 高堀 栄二
▲高▼ 美葉子
発明の名称 高度不飽和脂肪酸の製造方法  
代理人 須藤 阿佐子  
代理人 須藤 晃伸  
代理人 須藤 阿佐子  
代理人 須藤 晃伸  

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