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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61K
管理番号 1305392
審判番号 不服2013-25365  
総通号数 191 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-11-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-12-24 
確定日 2015-09-10 
事件の表示 特願2010-523140「ニキビダニ属感染症の治療のための組成物及び方法」拒絶査定不服審判事件〔平成21年 3月12日国際公開、WO2009/032773、平成22年12月 9日国内公表、特表2010-538011〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成20年8月28日(パリ条約による優先権主張 2007年 8月29日 (US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、平成22年3月3日に手続補正書が提出され、平成22年11月26日に手続補正書が提出され、平成24年9月18日付け拒絶理由通知に対して平成25年3月22日に手続補正書と意見書が提出された後、平成25年8月20日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成25年12月24日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正がなされ、前置報告書を用いた平成26年8月14日付け審尋に対して平成26年11月18日に回答書が提出され、平成27年3月16日付けで審理の終結が通知された後、平成27年3月27日付けで上申書が提出されたものである。



2.平成25年12月24日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成25年12月24日付けの手続補正(以下、「本件補正」ともいう。)を却下する。


[理由]
(1)補正内容
本件補正は、特許請求の範囲を、
本件補正前(平成25年3月22日に提出された手続補正書参照)の
「【請求項1】
眼科的な使用のために製剤された組成物であって、該組成物は、(a)0.2%w/wから20%w/wのティートリーオイル、及び(b)粘膜付着性のポリマーと非イオン界面活性剤とを含む眼科的に許容される基剤、を含むことを特徴とする組成物。
【請求項2】
3%w/wから15%w/wのティートリーオイルを含むことを特徴とする請求項1記載の組成物。
【請求項3】
4%w/wから10%w/wのティートリーオイルを含むことを特徴とする請求項1記載の組成物。
【請求項4】
5%w/wのティートリーオイルを含むことを特徴とする請求項1記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物が目のニキビダニ属の治療に有効であることを特徴とする請求項1記載の組成物。
【請求項6】
前記粘膜付着性のポリマーがカルボマーを含むことを特徴とする請求項1記載の組成物。
【請求項7】
眼科的な使用のために製剤された組成物であって、該組成物は、本質的に(a)5%w/wから50%w/wのテルピネン-4-オル、及び(b)眼科的に許容される基剤からなることを特徴とする組成物。
【請求項8】
本質的に5%w/wから15%w/wのテルピネン-4-オルからなることを特徴とする請求項7記載の組成物。
【請求項9】
前記眼科的に許容される基剤が、粘膜付着性のポリマー及び非イオン界面活性剤を含むことを特徴とする請求項7記載の組成物。
【請求項10】
前記粘膜付着性のポリマーがカルボマーであることを特徴とする請求項9記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物が、目のニキビダニ属の治療に有効であることを特徴とする請求項7記載の組成物。」から、
本件補正後の
「【請求項1】
眼科的な使用のために製剤された組成物であって、該組成物は、(a)5%w/wから20%w/wまでのティートリーオイル、及び(b)粘膜付着性のポリマーと非イオン界面活性剤とを含む眼科的に許容される基剤、からなることを特徴とする組成物。
【請求項2】
5%w/wから15%w/wまでのティートリーオイルを含むことを特徴とする請求項1記載の組成物。
【請求項3】
5%w/wから10%w/wまでのティートリーオイルを含むことを特徴とする請求項1記載の組成物。
【請求項4】
5%w/wのティートリーオイルを含むことを特徴とする請求項1記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物が目のニキビダニ属の治療に有効であることを特徴とする請求項1記載の組成物。
【請求項6】
前記粘膜付着性のポリマーがカルボマーを含むことを特徴とする請求項1記載の組成物。
【請求項7】
眼科的な使用のために製剤された組成物であって、該組成物は、(a)有効成分として5%w/wから50%w/wのテルピネン-4-オル(ただし該組成物はティートリーオイルを含まない)、及び(b)眼科的に許容される基剤からなることを特徴とする組成物。
【請求項8】
本質的に5%w/wから15%w/wのテルピネン-4-オルからなることを特徴とする請求項7記載の組成物。
【請求項9】
前記眼科的に許容される基剤が、粘膜付着性のポリマー及び非イオン界面活性剤を含むことを特徴とする請求項7記載の組成物。
【請求項10】
前記粘膜付着性のポリマーがカルボマーであることを特徴とする請求項9記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物が、目のニキビダニ属の治療に有効であることを特徴とする請求項7記載の組成物。」(注:下線は、原文のとおり。)
に変更する補正である。

本件補正前後の発明特定事項を対比すると、本件補正は、補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「0.2%w/wから20%w/wのティートリーオイル」を「5%w/wから20%w/wまでのティートリーオイル」と限定し、「(a)・・・、及び(b)・・・、を含むこと」を「(a)・・・、及び(b)・・・、からなること」に限定し、補正前の請求項2に記載された発明を特定するために必要な事項である「3%w/wから15%w/wのティートリーオイル」を「5%w/wから15%w/wまでのティートリーオイル」に限定し、補正前の請求項3に記載された発明を特定するために必要な事項である「4%w/wから10%w/wのティートリーオイル」を「5%w/wから10%w/wまでのティートリーオイル」に限定し、補正前の請求項7に記載の組成物を「ティートリーオイルを含まない」ものに限定し、さらに、補正前の請求項7の明瞭でない記載「本質的に」を削除し、補正前の請求項7に記載された発明を特定するために必要な事項である「(a)5%w/wから50%w/wのテルピネン-4-オル、及び(b)眼科的に許容される基剤からなる」を「(a)有効成分として5%w/wから50%w/wのテルピネン-4-オル、及び(b)眼科的に許容される基剤からなる」に限定するものである。

そうすると、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号にいう特許請求の範囲の減縮、及び、特許法第17条の2第5項第4号にいう明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後の前記請求項7に係る発明(以下、「本件補正発明」ともいう。なお、当該請求項は、平成26年11月18日付け回答書、及び、平成27年3月27日付け上申書において、請求人が特許性を有すると主張する請求項である。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。


(2)引用例
原審の拒絶査定に引用された文献1(本願国際出願日前に頒布された刊行物である国際公開2006/119174号)(以下、「引用例1」という。)には、以下の事項が記載されている。
なお、引用例1は英文で記されているため翻訳文を併記する。

(a)「1. A method for treating ocular Demodex or Demodex-induced blepharitis in a patient in need thereof, comprising: administrating to the patient a composition comprising a therapeutically effective amount of an isoprenoidal essential oil.
2. The method of Claim 1, wherein the isoprenoidal essential oil comprises Tea Tree Oil.
6. The method of Claim 1, wherein the percent of the isoprenoidal essential oil in the composition is from about 20% to about 100%.
7. A method for treating ocular Demodex or Demodex-induced blepharitis in a patient in need thereof, comprising: administering to the patient a composition comprising a therapeutically effective amount of a substance chosen from at least one of Terpinen-4-ol having the formula:

; and
(+) - Carvone having the formula:

.
(1.必要とする患者における眼のニキビダニまたはニキビダニ誘発性眼瞼炎を治療するための方法であって、治療有効量のイソプレノイダル精油を含む組成物を患者に投与する方法。
2.請求項1に記載の方法において、イソプレノイダル精油がティートリーオイルからなる。
6.請求項1に記載の方法において、該組成物におけるイソプレノイダル精油の濃度が約20?100%である。
7.必要とする患者における眼のニキビダニまたはニキビダニ誘発性眼瞼炎を治療するための方法であって、治療有効量のテルピネン-4-オルまたは(+)-カルボンから選ばれる有効成分を含む組成物を患者に投与する方法。)」(第48頁?第49頁「CLAIMS」参照。)

(b)「Although warnings that Tea Tree Oil and other isoprenoidal essential oils should be kept away from the eye are found on Material Safety Data Sheets and containers of commercially available samples of these oils, we have now discovered a method of using these compositions to treat ocular demodex, blepharitis, and disorders affecting facial skin, even in areas near the eyes.
(ティートリーオイルや、その他のイソプレノイダル精油は、眼には近づけないようにすべきである旨の警告が、MSDSやこれらのオイルの市販サンプルの容器に見られるにも関わらず、今般、我々は、目の近くの領域においてすら、眼のニキビダニ、眼瞼炎、および顔の皮膚に影響を与える疾患を治療するために、これらの組成物を使用する方法を発見した。)」(第10頁段落[0040]参照。)

(c)「In addition, we have carried out further experiments to show that Terpinen-4-ol is indeed an active ingredient.
(さらに、我々は、テルピネン-4-オルが確かに有効成分であることを示すために、さらなる実験を行った。)」(第18頁段落[0050]参照。)

(d)「In a one embodiment, the composition of the present invention are administered by scrubbing an eyelid margin and lashes of the patient, or an affected area of the skin, with the composition.
(ある実施形態において、本発明の組成物は、患者の眼瞼周辺や睫毛、または病気に冒された皮膚の領域を、当該組成物で洗うことにより、投与される。)」(第19頁段落[0053]参照。)

(e)「A disclosed composition can be mixed with excipients that are pharmaceutically acceptable and compatible with the compositon, and in amounts suitable for use in the therapeutic methods described herein.
(開示された組成物は、薬学的に許容され、当該組成物と混合可能であり、本明細書に記載の治療方法における使用に適した量の賦形剤と、混合され得る。)」(第21頁段落[0063]参照。)

以上、特に記載事項(a)の請求項7、及び、記載事項(c)より、引用例1には、「治療有効量のテルピネン-4-オルを有効成分として含む、眼のニキビダニまたはニキビダニ誘発性眼瞼炎を治療するための組成物。」が記載されているものと認められる(以下、「引用発明」ともいう。)。


(3)対比・判断
ここで、本件補正発明と引用発明を対比する。
本願明細書【0014】には、「方法は、眼のニキビダニ属感染症又はニキビダニ属により誘発される眼瞼炎の治療(或いはこのような状態に関連する症状の緩和)のためのものである。ここで方法は、約0.2%から約20%w/wのティートリーオイル及び眼科的に許容される基剤(例:軟膏基剤)を有する眼科的組成物を、それを必要とする対象の眼瞼領域に塗布すること、組成物を眼瞼辺縁及び睫毛の毛根にマッサージすること、塗布及びマッサージの工程を繰り返すことを含む。」と記載されている(下線は当審で付した。)ことから、本件補正発明における「眼科的な使用」には、「眼のニキビダニまたはニキビダニ誘発性眼瞼炎を治療すること」が包含されるものと認められる。よって、引用発明の「眼のニキビダニまたはニキビダニ誘発性眼瞼炎を治療するための組成物」は、本件補正発明の「眼科的な使用のために製剤された組成物」に相当する。
また、引用発明の「テルピネン-4-オルを有効成分として含む」は、本件補正発明の「有効成分としてテルピネン-4-オル」に相当する。


そうすると、両発明は、
「眼科的な使用のために製剤された組成物であって、該組成物は、有効成分としてテルピネン-4-オルを含むことを特徴とする組成物。」
で一致し、次の相違点A?Cで一見、相違する。

相違点A.本件補正発明では、構成成分として「眼科的に許容される基剤」が含まれるのに対し、引用発明では、それに対応する発明特定事項がない点。
相違点B.本件補正発明では、ティートリーオイルを含まないことが特定されているのに対し、引用発明では、それに対応する発明特定事項がない点。
相違点C.本件補正発明ではテルピネン-4-オルの含有量が「5%w/w?50%w/w」であると特定されているのに対し、引用発明では単に治療有効量としか特定されていない点。


そこで、これらの相違点について検討する。

(A)相違点Aについて
組成物を所望の剤形にするために、何らかの基剤を用いることは、技術常識であり、引用例1には、組成物が引用例1の治療方法における使用に適した量の賦形剤を含みうることが記載されている(記載事項(e)参照。)。その上で、上記(3)で示したとおり、引用発明は、「眼科的な使用のために製剤された組成物」であり、引用例1には、引用発明が、患者の眼瞼周辺や睫毛を洗うことにより投与されることも記載されている(記載事項(d)参照。)ことから、当該組成物に含まれる賦形剤は、眼科的に許容される成分であって、組成物を眼科的に適した剤形にする基材に相当することは自明である。
よって、相違点Aは、実質的な相違点とは認められない。

(B)相違点Bについて
引用発明は、テルピネン-4-オルが有効成分であることが特定されており、引用例1には、特段の追加有効成分が必要であるとの記載も存在しないことから、「ティートリーオイルを含まないこと」は、明示的に特定されてはいないものの、自明の事項であると認められる。
よって、相違点Bは、実質的な相違点とは認められない。

(C)相違点Cについて
医薬組成物において、その有効成分の含有量を、治療効果や副作用の存在を考慮した上で、最適化することは当業者がごく一般に行うことにすぎない。
また、引用例1には、ティートリーオイルを有効成分とする際には、具体的な組成物として、ティートリーオイルを20?100%含む組成物が記載されており(記載事項(a)参照)、ティートリーオイルには、テルピネン-4-オルが30?48%含まれていることは広く知られていた(要すれば、ISO4730-2004参照。)ことを勘案すると、当業者であれば、これらの事情を参酌した上で、テルピネン-4-オルの含有量を6%w/w(=20%×30%)?48%w/w(=100%×48%)の範囲とすることになんら困難性はなく、かつ、十分な動機づけがあるものと認められる。
その上で、本願明細書の記載からは、テルピネン-4-オルの含有量を5%w/w?50%w/wとすることによる格別な効果も認められない。
よって、引用発明において、テルピネン-4-オルの含有量を5%w/w?50%w/wとすることは、当業者が容易になし得たものと認められる。


したがって、本件補正発明は、引用例1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。


(4)むすび
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであるから、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。



3.原査定について
(1)本願発明
平成25年12月24日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?11に係る発明は、平成25年3月22日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?11に記載された事項により特定されるとおりのものと認められる。そのうち請求項7に係る発明(以下、同項記載の発明を「本願発明」という。)は次のとおりである。
「眼科的な使用のために製剤された組成物であって、該組成物は、本質的に(a)5%w/wから50%w/wのテルピネン-4-オル、及び(b)眼科的に許容される基剤からなることを特徴とする組成物。」


(2)引用例
拒絶査定の理由に引用された文献1は、引用例1であり、その記載事項は、前記「2.(2)」に記載したとおりである。


(3)対比、判断
本願発明は、前記「2.」で検討した本件補正発明から、「(a)有効成分として5%w/wから50%w/wのテルピネン-4-オル(ただし該組成物はティートリーオイルを含まない)、及び(b)眼科的に許容される基剤からなる」との発明特定事項から、「有効成分として」との特定を省き、「(ただし該組成物はティートリーオイルを含まない)」との特定を省くことによって、「(a)5%w/wから50%w/wのテルピネン-4-オル、及び(b)眼科的に許容される基剤からなる」と拡張したものである。

そうすると、本件補正発明が、前記「2.(3)」に記載したとおり、引用例1に記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件補正発明の発明特定事項を全て含むものに相当する本願発明も、同様の理由により、引用例1に記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。


(4)むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。それ故、他の請求項について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-03-16 
結審通知日 2015-03-18 
審決日 2015-04-30 
出願番号 特願2010-523140(P2010-523140)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A61K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 渡邊 倫子  
特許庁審判長 蔵野 雅昭
特許庁審判官 辰己 雅夫
前田 佳与子
発明の名称 ニキビダニ属感染症の治療のための組成物及び方法  
代理人 清原 義博  
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