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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06K
管理番号 1305772
審判番号 不服2013-14979  
総通号数 191 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-11-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-08-02 
確定日 2015-09-16 
事件の表示 特願2010-544382「モバイルデバイスのための生体測定スマートカード」拒絶査定不服審判事件〔平成21年 7月30日国際公開、WO2009/094327、平成23年 5月19日国内公表、特表2011-515724〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成21年1月20日を国際出願日(優先権主張日:2008年1月25日、米国)とする出願であって、平成24年7月11日付けで拒絶理由通知がなされ、平成24年11月19日付けで意見書の提出とともに手続補正がなされたが、平成25年3月29日付けで拒絶査定がなされ、これに対して平成25年8月2日付けで拒絶査定不服審判請求がなされるとともに同日付けで手続補正がなされ、平成25年11月5日付けの前置報告を引用した審尋に対して平成26年2月4日に回答がなされ、当審において平成26年10月27日付けで拒絶理由通知がなされ、平成27年1月22日付けで意見書の提出とともに手続補正がなされたものである。

2.平成26年10月27日付の拒絶理由通知の概要
当審において通知した拒絶理由通知の概要は以下のとおりである。
『A.(省略)
B.この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


・請 求 項 1-64
・引用文献
1.特開2002-297552号公報
2.FOMA F905i 取扱説明書、NTT DoCoMoグループ、2007年12月発行、2.3版、pp.108-123
3.特開2007-60023号公報
4.(省略)
5.(省略)
6.(省略)
7.特開2004-178141号公報

<<請求項10について>>
<引用文献1と本願の請求項10の対比>
・・・(途中省略)・・・
<<請求項7、19、28、35、52、61について>>
引用発明は、本人認証後あらかじめ設定された期間にわたってプロビジョニングデータへのアクセスを認可することは開示しない。しかしながら、引用文献7には、ICカードの不正使用を防止するために指紋による照合による照合を行って所有者に使用を許可し、一定時間経過後は使用状態を解除することが記載されている。特に【0022】を参照されたい。
・・・(以下、省略)・・・』

3.本願発明について
平成27年1月22日付けの手続補正書による特許請求の範囲の請求項7(以下、「本願発明」という。)は以下のとおりのものである。
「【請求項7】
モバイルデバイス用のスマートカードに記憶されたデータに対するアクセスを制御するための方法であって、
前記スマートカードに記憶された、ワイヤレスネットワークに対するアクセスを前記モバイルデバイスに提供するプロビジョニングデータを備えるデータについてのデータアクセス要求を受信することと、ここにおいて前記プロビジョニングデータは、前記モバイルデバイスが、電話の通話を行い、そして電話の通話を受信し、および電子メールにアクセスし、メッセージを送信し、そして受信することを可能にする;
認証プロセスを完了するようにユーザを促すことと、なお前記認証プロセスは、
候補生体測定特性を生成するために生体測定センサを使用するように前記ユーザを促すことと、
メモリに記憶された生体測定テンプレートと前記候補生体測定特性を比較することと、
前記生成された候補生体測定特性が、前記メモリに記憶された前記生体測定テンプレートとマッチする場合に、前記ユーザを認証することと、
を備える;
前記ユーザが、認証される場合だけに、前記スマートカードに記憶された前記データに対するアクセスを認可することと;
セキュリティ保護されていない代替的な緊急事態だけのプロビジョニングデータを提供し、前記候補生体測定特性と前記生体測定テンプレートとの間のマッチの不在にもかかわらず、前記代替的なプロビジョニングデータに対するアクセスを認可することと;
前記ユーザが認証された後に、あらかじめ設定された期間にわたって前記プロビジョニングデータに対するアクセスを認可することと、ここにおいて前記期間中、既に認証されたユーザが前記プロビジョニングデータへのアクセスを要求する度毎に認証を行う必要性が回避される;
を備える方法。」
なお、平成27年1月22日付けの意見書において、請求人が「補正後の独立請求項に係る発明は、請求項19の構成に、「期間中に、既に認証されたユーザがプロビジョニングデータにアクセスを要求する度毎に認証を行う必要性が回避されること」を考慮して期間が設定されることを追加した構成を備えています。」と記載しているように、上記請求項7は、平成25年8月2日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項19(請求項10を引用している)に上記構成を追加したものである。

4.当審の判断
(1)引用例
(1-1)当審の拒絶の理由に引用された、特開2002-297552号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。(なお、下線は当審において付加したものである。)
(a)「【0007】
【発明の実施の形態】[実施の形態の1]以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の第1の実施の形態となる携帯型端末システムの外観図である。図1(a)に示すように、携帯型端末システムは、システムの本体である携帯型端末装置1と、生体認証装置2とから構成される。携帯型端末装置1には、生体認証装置2を差し込むためのスロットが設けられており、このスロットに生体認証装置2を差し込んで携帯型端末装置1と生体認証装置2とを接続し、生体認証装置2により本人認証が行われると携帯型端末装置1にアクセスできるようになっている(図1(b))。
【0008】図2は携帯型端末装置1の構成を示すブロック図である。携帯型端末装置1は、生体認証装置2との接続のために前記スロットに配設された外部端子10と、生体認証装置2とのインタフェースとなるインタフェース装置11と、例えば基地局等との間で電波の送受信を行うアンテナ12と、アンテナ12を介して音声、画像又はテキスト等のデータの送受信を行う通信手段である無線送受信装置13と、端末装置全体を制御し、送受信データを処理する処理装置14と、情報記憶のための記憶装置15と、複数のキースイッチからなる入力装置16と、画面表示を行う液晶パネル等からなる表示装置17と、ユーザの音声をマイクロホンで集音して音声データに変換する音声入力装置18と、受信された音声データをアナログ音声信号に変換してスピーカから出力する音声出力装置19とを有している。
【0009】図3(a)は生体認証装置2の斜視図、図3(b)は生体認証装置2の構成を示すブロック図である。生体認証装置2は、携帯型端末装置1との接続のための外部端子20と、携帯型端末装置1とのインタフェースとなるインタフェース装置21と、ユーザの生体情報を読み取る生体情報読取手段となるセンサ22と、予め登録された正規ユーザの生体情報とこの正規ユーザの個人情報及びサービス情報とを記憶する記憶装置23と、センサ22で読み取った生体情報と記憶装置23に記憶された正規ユーザの生体情報とを照合して本人認証を行い、認証結果が照合一致を示す場合のみ、記憶装置23に記憶された個人情報及びサービス情報を携帯型端末装置1に送信する処理装置24とを有している。生体認証装置2は、外部端子20以外の全ての機能が1つのLSIチップに搭載されている形でもよいし、その他の構成でもよい。
【0010】以下、本実施の形態の携帯型端末システムの動作を図4を用いて説明する。ここでは、ユーザの生体情報として指紋を用いるものとして説明する。まず、携帯型端末装置1を使って電話をかけようとするユーザは、自身が所持する生体認証装置2を携帯型端末装置1のスロットに差し込む(図4ステップ101)。これにより、携帯型端末装置1と生体認証装置2とが外部端子10,20を介して接続される。
【0011】生体認証装置2の記憶装置23には、正規ユーザの指紋画像データと、この正規ユーザの個人識別番号、氏名、住所、生年月日及びクレジットカード番号等の個人情報と、電話帳のデータ、電子メールアドレス帳のデータ及びパスワード等のサービス情報とが予め記憶されている。個人識別番号は、通信事業者が正規ユーザに付与した識別番号であり、例えば正規ユーザの電話番号である。携帯型端末装置1の記憶装置15には、通信処理やデータ処理等の携帯型端末装置1の動作に必要なプログラムが格納されているが、前記個人情報及びサービス情報は格納されていない。
【0012】次に、ユーザは、生体認証装置2による本人認証を受けるべく、センサ22上に指を載せる(ステップ102)。センサ22は、ユーザの指紋画像を読み取る(ステップ103)。処理装置24は、センサ22によって読み取られた指紋画像と記憶装置23に予め登録された正規ユーザの指紋画像とを照合して本人認証を行う(ステップ104)。処理装置24における認証アルゴリズムには様々な方式があり、センサ22で読み取った指紋画像の特徴点を抽出して正規ユーザの指紋画像の特徴点と比較する特徴点抽出方式や、センサ22で読み取った指紋画像を正規ユーザの指紋画像と直接比較するパタンマッチング方式などがある。
【0013】処理装置24は、指紋画像が一致し、認証結果がOKである場合(ステップ105においてYES)、生体認証装置2を所持するユーザを正規ユーザと判断して、このユーザによる携帯型端末装置1へのアクセスを許可する。すなわち、処理装置24は、個人識別番号等の個人情報と、電話帳のデータ、電子メールアドレス帳のデータ及びパスワード等のサービス情報とを記憶装置23から読み出し、読み出した個人情報及びサービス情報をインタフェース装置21を介して携帯型端末装置1に送出する(ステップ106)。また、処理装置24は、指紋画像が一致せず、認証結果がNGである場合、生体認証装置2を所持するユーザが正規ユーザではない判断して、携帯型端末装置1への個人情報及びサービス情報の送出を拒否する(ステップ107)。
【0014】次に、携帯型端末装置1の処理装置14は、生体認証装置2から送られた個人情報及びサービス情報をインタフェース装置11を介して受信し記憶装置15に格納する(ステップ108)。記憶装置15に個人情報及びサービス情報が格納されることにより、携帯型端末装置1を使用することが可能になる(ステップ109)。
【0015】ステップ109において、例えばユーザが入力装置16を操作して電話帳のデータから着信先の電話番号を選択し、入力装置16の発信ボタンを押下すると、処理装置14は、記憶装置15に記憶された個人識別番号と選択された着信先電話番号とを無線送受信装置13に出力する。無線送受信装置13は、個人識別番号と着信先電話番号とを無線信号に変換してアンテナ12に出力し、アンテナ12は、無線信号をネットワーク(移動網の基地局)に送出する。
【0016】携帯型端末装置1からの発呼に応じて、基地局は、受信した無線信号に含まれる着信先電話番号を基に着信先の電話機を呼び出し、着信先の電話機が応答すると、携帯型端末装置1と着信先の電話番号とを回線接続する。着信先の電話機からの音声は、アンテナ12で受信された無線信号が無線送受信装置13で復調され、復調された音声データが音声出力装置19でアナログ音声信号に変換されて音声出力装置19のスピーカから出力されることにより、再生される。
【0017】一方、携帯型端末装置1のユーザの音声は、音声入力装置18のマイクロホンで集音されて音声入力装置18で音声データに変換され、無線送受信装置13で無線信号に変換されてアンテナ12から送信される。以上で、携帯型端末装置1を携帯電話機として使用することが可能になる。
【0018】また、ステップ109において、ユーザが入力装置16を操作して電子メールを作成し、電子メールアドレス帳から着信先の電子メールアドレスを選択して、入力装置16の発信ボタンを押下すると、携帯型端末装置1の処理装置14は、記憶装置15に記憶された個人識別番号と所定の着信先電話番号(例えばメールサービスに割り当てられた番号)とを上記音声通信の場合と同様にネットワークに送出する。
【0019】ネットワークを介してメールサーバと回線接続された後、処理装置14は、記憶装置15に記憶されたユーザの電子メールアドレスと、選択された着信先の電子メールアドレスと、作成された電子メールの内容とを含むデータをネットワークに送出する。一方、電子メールの受信の場合には、アンテナ12で受信された無線信号が無線送受信装置13で復調され、復調されたデータが処理装置14で文字データに変換されることにより、受信した電子メールの内容が記憶装置15に格納され、表示装置17の画面に表示される。以上で、携帯型端末装置1を携帯型メール端末装置として使用することが可能になる。」
(b)図3(a)には、「生体認証装置2」の斜視図として、縦と横の長さに対し、厚みが薄いカード状の装置が示されている。

以上、(a)及び(b)の記載によれば、引用例1には以下の発明(以下、「引用発明」という)が記載されていると認められる。
「携帯型端末システムは、システムの本体である携帯型端末装置1と、生体認証装置2とから構成され、携帯型端末装置1には、生体認証装置2を差し込むためのスロットが設けられており、このスロットに生体認証装置2を差し込んで携帯型端末装置1と生体認証装置2とを接続し、生体認証装置2により本人認証が行われると携帯型端末装置1にアクセスできるようになっており、
生体認証装置2は、携帯型端末装置1との接続のための外部端子20と、携帯型端末装置1とのインタフェースとなるインタフェース装置21と、ユーザの生体情報を読み取る生体情報読取手段となるセンサ22と、予め登録された正規ユーザの生体情報とこの正規ユーザの個人情報及びサービス情報とを記憶する記憶装置23と、センサ22で読み取った生体情報と記憶装置23に記憶された正規ユーザの生体情報とを照合して本人認証を行い、認証結果が照合一致を示す場合のみ、記憶装置23に記憶された個人情報及びサービス情報を携帯型端末装置1に送信する処理装置24とを有しており、縦と横の長さに対し、厚みが薄いカード状の装置であり、
ユーザの生体情報として指紋を用いるものとして、
携帯型端末装置1を使って電話をかけようとするユーザは、自身が所持する生体認証装置2を携帯型端末装置1のスロットに差し込む(図4ステップ101)、
生体認証装置2の記憶装置23には、正規ユーザの指紋画像データと、この正規ユーザの個人識別番号、氏名、住所、生年月日及びクレジットカード番号等の個人情報と、電話帳のデータ、電子メールアドレス帳のデータ及びパスワード等のサービス情報とが予め記憶されており、個人識別番号は、通信事業者が正規ユーザに付与した識別番号であり、例えば正規ユーザの電話番号であり、
次に、ユーザは、生体認証装置2による本人認証を受けるべく、センサ22上に指を載せる(ステップ102)、
センサ22は、ユーザの指紋画像を読み取る(ステップ103)、
処理装置24は、センサ22によって読み取られた指紋画像と記憶装置23に予め登録された正規ユーザの指紋画像とを照合して本人認証を行う(ステップ104)、
処理装置24は、指紋画像が一致し、認証結果がOKである場合(ステップ105においてYES)、生体認証装置2を所持するユーザを正規ユーザと判断して、このユーザによる携帯型端末装置1へのアクセスを許可し、
すなわち、処理装置24は、個人識別番号等の個人情報と、電話帳のデータ、電子メールアドレス帳のデータ及びパスワード等のサービス情報とを記憶装置23から読み出し、読み出した個人情報及びサービス情報をインタフェース装置21を介して携帯型端末装置1に送出する(ステップ106)、
また、処理装置24は、指紋画像が一致せず、認証結果がNGである場合、生体認証装置2を所持するユーザが正規ユーザではない判断して、携帯型端末装置1への個人情報及びサービス情報の送出を拒否する(ステップ107)、
携帯型端末装置1の処理装置14は、生体認証装置2から送られた個人情報及びサービス情報をインタフェース装置11を介して受信し記憶装置15に格納する(ステップ108)、
記憶装置15に個人情報及びサービス情報が格納されることにより、携帯型端末装置1を使用することが可能になり(ステップ109)、
ステップ109において、例えばユーザが入力装置16を操作して電話帳のデータから着信先の電話番号を選択し、入力装置16の発信ボタンを押下すると、処理装置14は、記憶装置15に記憶された個人識別番号と選択された着信先電話番号とを無線送受信装置13に出力し、無線送受信装置13は、個人識別番号と着信先電話番号とを無線信号に変換してアンテナ12に出力し、アンテナ12は、無線信号をネットワーク(移動網の基地局)に送出し、また、携帯型端末装置1からの発呼に応じて、基地局は、受信した無線信号に含まれる着信先電話番号を基に着信先の電話機を呼び出し、着信先の電話機が応答すると、携帯型端末装置1と着信先の電話番号とを回線接続し、着信先の電話機からの音声は、アンテナ12で受信された無線信号が無線送受信装置13で復調され、復調された音声データが音声出力装置19でアナログ音声信号に変換されて音声出力装置19のスピーカから出力されることにより、再生され、携帯型端末装置1のユーザの音声は、音声入力装置18のマイクロホンで集音されて音声入力装置18で音声データに変換され、無線送受信装置13で無線信号に変換されてアンテナ12から送信され、携帯型端末装置1を携帯電話機として使用することが可能になるものであり、
ステップ109において、ユーザが入力装置16を操作して電子メールを作成し、電子メールアドレス帳から着信先の電子メールアドレスを選択して、入力装置16の発信ボタンを押下すると、携帯型端末装置1の処理装置14は、記憶装置15に記憶された個人識別番号と所定の着信先電話番号(例えばメールサービスに割り当てられた番号)とを上記音声通信の場合と同様にネットワークに送出し、一方、電子メールの受信の場合には、アンテナ12で受信された無線信号が無線送受信装置13で復調され、復調されたデータが処理装置14で文字データに変換されることにより、受信した電子メールの内容が記憶装置15に格納され、表示装置17の画面に表示され、以上で、携帯型端末装置1を携帯型メール端末装置として使用することが可能になる、方法。」

(1-2)当審の拒絶の理由に引用された、「FOMA F905i 取扱説明書、NTT DoCoMoグループ、2007年12月発行、2.3版、pp.108-123」(以下、「引用例2」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。(なお、下線は当審において付加したものである。)
(c)「◆認証操作を指紋認証のみで行うかどうかを設定する<指紋のみ認証設定>
・指紋のみ認証設定を「ON」にする場合は、異なる指での指紋登録および利用設定が2件以上必要です。
・指紋のみ認証設定を「ON」とすると、端末暗証番号での認証操作ができなくなります。お客様の使用状況や指の状態、指紋センサーの故障などにより、登録したいずれの指による認証もできない場合は、ご契約者本人であることが確認できる書類(運転免許証など)やFOMA端末、FOMAカードをドコモショップ窓口までご持参いただく必要があります。」(第109頁右欄第19行-第31行)
(d)「オールロック
他の人が使用できないようにする
オールロックを起動すると、各種メニュー機能の操作などができなくなり、他人が不正にFOMA端末を使用するのを防げます。
オールロック中に緊急通報(110番、119番、118番)を行うには、待受画面で緊急通報番号を入力して『音声電話開始』を押します。
※端末暗証番号入力画面で入力した緊急通報番号は「*」で表示されます。
■指紋認証のとき
待受画面で『MENU』を押し、指紋認証画面で緊急通報番号を入力して『音声電話開始』を押します。
■指紋のみ認証設定が「ON」のとき
待受画面で『MENU』『音声電話開始』を押し、緊急通報番号を入力して『音声電話開始キー』を押します。
・・・(途中省略)・・・
1 『MENU』>[設定/NWサービス]
>『4』『1』『2』>認証操作
待受画面に「オールロック中」と表示されます。
解除する:待受画面で端末暗証番号を入力
・指紋認証を設定している場合は、『MENU』を押してから認証操作を行います。」(なお、『』はキーの刻印を、また、>は黒三角を表す。)(第111頁第1行-第27行)

上記(c)及び(d)の記載によれば、引用例2には以下の技術(以下、「引用例2記載技術」という。)が記載されている。
「FOMA端末において、認証操作を指紋認証のみで行う設定ができ、オールロックを起動すると、各種メニュー機能の操作などができなくなり、他人が不正にFOMA端末を使用するのを防げ、オールロックを解除するには『MENU』を押してから認証操作を行うことで行い、オールロック中に緊急通報(110番、119番、118番)を行うには、指紋のみ認証設定が「ON」のとき、待受画面で『MENU』『音声電話開始』を押し、緊急通報番号を入力して『音声電話開始キー』を押すことにより、認証操作なしで緊急通報が可能である技術。」

(1-3)当審の拒絶の理由に引用された、特開2007-60023号公報(以下、「引用例3」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。(なお、下線は当審において付加したものである。)
(e)「【0008】
本発明の携帯移動端末は、ダイヤル接続して通信可能な携帯移動端末であって、入力されたダイヤル接続番号を識別するダイヤル番号識別手段と、前記識別されたダイヤル接続番号を基にダイヤル接続を行うダイヤル接続手段と、前記ダイヤル接続による通信時間が制限値に達したか否かを判別する制限判別手段と、前記通信時間が前記制限値に達した場合、前記携帯移動端末を使用するユーザの認証を行う通信時認証手段と、前記認証が成功した場合、正規ユーザの利用であるとして通信を継続させ、一方、前記認証が失敗した場合、通信を強制的に終了させる制限手段とを備えるものである。
これにより、携帯移動端末側で不意の紛失や盗難等による不正利用を防止でき、しかも正規ユーザが利用した場合、事前に設定された制限を越えても通話等の通信が可能である。」
(f)「【0039】
まず、ユーザからの電話番号の入力を受け付ける(ステップS21)。さらに、通話開始キー33cの入力を受け付ける(ステップS22)。この後、不揮発性メモリ32内の利用開放番号部32fから利用開放番号を取得する(ステップS23)。ここで、利用開放番号とは、正規ユーザの設定に関わりなく、利用者が自由に通話可能な番号である。図7は本実施形態に用いる利用開放番号の一例を示すテーブルである。このテーブルには、利用開放番号として、警察の「110」、電話故障係の「113」、海上保安本部への緊急通報である「118」、救急・消防の「119」、災害用伝言ダイヤルの「171」、着信課金(フリーダイヤルなど)の「0120/0800」などが示されている。
【0040】
取得した利用開放番号に入力番号が含まれているか否か、つまり通話開始キー33cを押下した時の通話番号が利用開放番号に属するか否かを判別する(ステップS24)。利用開放番号に入力番号が含まれている場合、無制限通話を開始し(ステップS25)、本処理を終了する。この無制限通話では、通話料金、時間による制限、および本人確認による利用者の制限を解除し、通話を無制限に利用できる。一方、ステップS24で利用開放番号に入力番号が含まれていない場合、そのまま本処理を終了する。」
・・・(途中省略)・・・
【0049】
図12は上記ステップS5、S35、S53における本人確認処理手順を示すフローチャートである。この本人確認では、入力データと認証データが一致することで正規ユーザであることを確認する。本人確認の方法としては、特に限定されることなく、暗号認証、音声認証、顔認証、虹彩認証、網膜認証、指紋認証など、様々な認証方法を用いることができる。本実施形態では、暗証認証が行われるが、指紋スキャナ31を用いて指紋認証を行うことも可能である。まず、ディスプレイパネル35に本人確認の開始を表示する(ステップS61)。この本人確認の開始を表示する際、その入力を促す表示とともにスピーカ34aから所定の音を発する。不揮発性メモリ32内の認証データ部32gから認証データを取得する(ステップS62)。」

上記(e)及び(f)の記載によれば、引用例3には以下の技術(以下、「引用例3記載技術」という。)が記載されている。
「ダイヤル接続して通信可能な携帯移動端末であって、通信時間が前記制限値に達した場合、前記携帯移動端末を使用するユーザの認証を行う通信時認証手段と、前記認証が成功した場合、正規ユーザの利用であるとして通信を継続させ、一方、前記認証が失敗した場合、通信を強制的に終了させる制限手段とを備えることにより、携帯移動端末側で不意の紛失や盗難等による不正利用を防止できるものにおいて、ユーザの認証方法として音声認証、顔認証、虹彩認証、網膜認証、指紋認証などを用いることができ、また、正規ユーザの設定に関わりなく、利用者が自由に通話可能な番号である利用開放番号を示すテーブルを備え、このテーブルには、利用開放番号として、警察の「110」、電話故障係の「113」、海上保安本部への緊急通報である「118」、救急・消防の「119」、災害用伝言ダイヤルの「171」、着信課金(フリーダイヤルなど)の「0120/0800」などが含まれ、ユーザからの電話番号の入力を受け付けると、利用開放番号に入力番号が含まれている場合、無制限通話を開始し、この無制限通話では、通話料金、時間による制限、および本人確認による利用者の制限を解除し、通話を無制限に利用できるようにした技術。」

(1-4)当審の拒絶の理由に引用された、特開2004-178141号公報(以下、「引用例4」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。(なお、下線は当審において付加したものである。)
(g)「【0021】
次に、本実施例におけるICカードの動作について説明する。始めに、ICカード1に搭載された指紋認証モジュール2にて所有者本人の指紋を読み取り、指紋データ9を登録しておく。指紋認証モジュール2にて読み取った指紋データ9は、制御部5を介してメモリ6に保存され、所有者のデータとして登録される。次に所有者がICカード1を使用するとき、指紋認証モジュール2にて所有者本人の指紋を読み取り、指紋データ10を制御部5を介してメモリ6に保存する。
【0022】
保存された指紋データ10と、予め所有者のデータとして登録された指紋データ9を制御部5が比較し、データが一致した場合のみICカード1が使用可能となり、制御部5がICチップに必要な信号またはデータを送信する。また、制御部5はICカード1が使用可能状態となった時、状態表示ランプ3を点灯させ、所有者に使用可能状態となったことを知らせる。その後、制御部5は時間監視を行い、一定時間経過後に使用状態を解除し、メモリ6に保存していた指紋データ10を消去する。同時に状態表示ランプ3を消灯させ、所有者に使用できない状態となったことを知らせる。このことにより、使用可能状態となったICカード1を紛失・盗難した場合でも、所有者本人の指紋データを再度読み取らせる必要があるため、所有者以外の不正使用・なりすまし使用を防止することができる。」

上記(g)の記載によれば、引用例4には以下の技術(以下、「引用例4記載技術」という。)が記載されている。
「所有者がICカードを使用するとき、指紋認証モジュールにて所有者本人の指紋を読み取り、指紋データを制御部を介してメモリに保存し、保存された指紋データと、予め所有者のデータとして登録された指紋データを制御部が比較し、データが一致した場合のみICカードが使用可能となり、その後、制御部は時間監視を行い、一定時間経過後に使用状態を解除し、メモリに保存していた指紋データを消去することにより、使用可能状態となったICカードを紛失・盗難した場合でも、所有者本人の指紋データを再度読み取らせる必要があるため、所有者以外の不正使用・なりすまし使用を防止することができる技術。」

(2)対比
そこで、本願発明と引用発明とを比較する。
(ア)本願発明の「スマートカード」と引用発明の「生体認証装置2」を比較する。
引用発明の「生体認証装置2」は、「携帯型端末装置1との接続のための外部端子20」、「携帯型端末装置1とのインタフェースとなるインタフェース装置21」、「ユーザの生体情報を読み取る生体情報読取手段となるセンサ22」、「予め登録された正規ユーザの生体情報とこの正規ユーザの個人情報及びサービス情報とを記憶する記憶装置23」、「センサ22で読み取った生体情報と記憶装置23に記憶された正規ユーザの生体情報とを照合して本人認証を行い、認証結果が照合一致を示す場合のみ、記憶装置23に記憶された個人情報及びサービス情報を携帯型端末装置1に送信する処理装置24」とを有し、「縦と横の長さに対し、厚みが薄いカード状の装置」である。
また、上記「記憶装置23」には、「正規ユーザの指紋画像データと、この正規ユーザの個人識別番号、氏名、住所、生年月日及びクレジットカード番号等の個人情報と、電話帳のデータ、電子メールアドレス帳のデータ及びパスワード等のサービス情報」が記載されており、この「個人識別番号」は、「通信事業者が正規ユーザに付与した識別番号であり、例えば正規ユーザの電話番号」である。
そして、引用発明では、「携帯型端末装置1を使って電話をかけようとするユーザは、自身が所持する生体認証装置2を携帯型端末装置1のスロットに差し込む(図4ステップ101)」、「次に、ユーザは、生体認証装置2による本人認証を受けるべく、センサ22上に指を載せる(ステップ102)」、「センサ22は、ユーザの指紋画像を読み取る(ステップ103)」、「処理装置24は、センサ22によって読み取られた指紋画像と記憶装置23に予め登録された正規ユーザの指紋画像とを照合して本人認証を行う(ステップ104)」、「処理装置24は、指紋画像が一致し、認証結果がOKである場合(ステップ105においてYES)、生体認証装置2を所持するユーザを正規ユーザと判断して、このユーザによる携帯型端末装置1へのアクセスを許可し」、「すなわち、処理装置24は、個人識別番号等の個人情報と、電話帳のデータ、電子メールアドレス帳のデータ及びパスワード等のサービス情報とを記憶装置23から読み出し、読み出した個人情報及びサービス情報をインタフェース装置21を介して携帯型端末装置1に送出する(ステップ106)」との各ステップが実行され、さらに「携帯型端末装置1の処理装置14は、生体認証装置2から送られた個人情報及びサービス情報をインタフェース装置11を介して受信し記憶装置15に格納する(ステップ108)」及び「記憶装置15に個人情報及びサービス情報が格納されることにより、携帯型端末装置1を使用することが可能になり(ステップ109)」とのステップの実行により「携帯型端末装置1」の使用が可能となるものである。
また、この「携帯型端末装置1」が使用可能となると、「ステップ109において、例えばユーザが入力装置16を操作して電話帳のデータから着信先の電話番号を選択し、入力装置16の発信ボタンを押下すると、処理装置14は、記憶装置15に記憶された個人識別番号と選択された着信先電話番号とを無線送受信装置13に出力し、無線送受信装置13は、個人識別番号と着信先電話番号とを無線信号に変換してアンテナ12に出力し、アンテナ12は、無線信号をネットワーク(移動網の基地局)に送出し、また、携帯型端末装置1からの発呼に応じて、基地局は、受信した無線信号に含まれる着信先電話番号を基に着信先の電話機を呼び出し、着信先の電話機が応答すると、携帯型端末装置1と着信先の電話番号とを回線接続し、着信先の電話機からの音声は、アンテナ12で受信された無線信号が無線送受信装置13で復調され、復調された音声データが音声出力装置19でアナログ音声信号に変換されて音声出力装置19のスピーカから出力されることにより、再生され、携帯型端末装置1のユーザの音声は、音声入力装置18のマイクロホンで集音されて音声入力装置18で音声データに変換され、無線送受信装置13で無線信号に変換されてアンテナ12から送信され、携帯型端末装置1を携帯電話機として使用することが可能になるものであり」と記載されているように、当該「携帯型端末装置1」に上記「個人識別番号」が格納されることにより「携帯電話機として使用することが可能になるもの」であり、これにより電話の通話を行い、そして電話の通話を受信することが可能となるものである。なお、当該「携帯型端末装置1」は上記記載からもワイヤレスネットワークにアクセスするモバイルデバイスであることは明らかである。
また、同様に「携帯型端末装置1」が使用可能となると、「ステップ109において、ユーザが入力装置16を操作して電子メールを作成し、電子メールアドレス帳から着信先の電子メールアドレスを選択して、入力装置16の発信ボタンを押下すると、携帯型端末装置1の処理装置14は、記憶装置15に記憶された個人識別番号と所定の着信先電話番号(例えばメールサービスに割り当てられた番号)とを上記音声通信の場合と同様にネットワークに送出し、一方、電子メールの受信の場合には、アンテナ12で受信された無線信号が無線送受信装置13で復調され、復調されたデータが処理装置14で文字データに変換されることにより、受信した電子メールの内容が記憶装置15に格納され、表示装置17の画面に表示され、以上で、携帯型端末装置1を携帯型メール端末装置として使用することが可能になる」ものであり、これも当該「携帯型端末装置1」に上記「個人識別番号」が格納されることにより、電子メールにアクセスし、メッセージを送信し、そして受信することが可能となるものである。
したがって、引用発明の「生体認証装置2」は、「縦と横の長さに対し、厚みが薄いカード状の装置」であって、「記憶装置23」に「個人識別番号」が記憶され、該「個人識別番号」が「携帯型端末装置1」に格納されることにより、当該「携帯型端末装置1」をワイヤレスネットワークにアクセスするモバイルデバイスとして機能させることを可能とするものであり、当該「携帯型端末装置1」が、電話の通話を行い、そして電話の通話を受信すること、及び、電子メールにアクセスし、メッセージを送信し、そして受信することが可能となるものである。
ここで、本願発明の「スマートカード」と引用発明の「生体認証装置2」を詳細に比較すると、引用発明の「個人識別番号」は「携帯型端末装置1」をワイヤレスネットワークにアクセスするモバイルデバイスとして機能させ、電話の通話を行い、そして電話の通話を受信すること、及び、電子メールにアクセスし、メッセージを送信し、そして受信することを可能とすることからみて、本願発明の「プロビジョニングデータ」に相当し、また、「正規ユーザの個人識別番号、氏名、住所、生年月日及びクレジットカード番号等の個人情報と、電話帳のデータ、電子メールアドレス帳のデータ及びパスワード等のサービス情報」は、本願発明でいう「プロビジョニングデータを備えるデータ」に相当するものであり、また、引用発明の「携帯型端末装置1」は本願発明の「モバイルデバイス」に相当するものである。
また、両者とも「カード状の装置」である点で共通するものである。
そうすると、本願発明と引用発明は、後記する点で相違するものの、
「前記カード状の装置に記憶された、ワイヤレスネットワークに対するアクセスを前記モバイルデバイスに提供するプロビジョニングデータを備えるデータと、ここにおいて前記プロビジョニングデータは、前記モバイルデバイスが、電話の通話を行い、そして電話の通話を受信し、および電子メールにアクセスし、メッセージを送信し、そして受信することを可能にする」
点で共通している。
(イ)引用発明の「携帯型端末装置1を使って電話をかけようとするユーザは、自身が所持する生体認証装置2を携帯型端末装置1のスロットに差し込む(図4ステップ101)」、「次に、ユーザは、生体認証装置2による本人認証を受けるべく、センサ22上に指を載せる(ステップ102)」、及び「センサ22は、ユーザの指紋画像を読み取る(ステップ103)」との各ステップよると、「本人認証」のプロセスとして、まず「センサ22」を使用して「ユーザの指紋画像」を読み取る処理を行うものであり、当該「ユーザの指紋画像」はユーザの「生体測定特性」であり、また、この「ユーザの指紋画像」を読み取る処理は、ユーザの生体測定特性を生成する処理であるともいえる。
また、読み取られた「ユーザの指紋画像」は、その次のステップである「処理装置24は、センサ22によって読み取られた指紋画像と記憶装置23に予め登録された正規ユーザの指紋画像とを照合して本人認証を行う(ステップ104)」における「正規ユーザの指紋画像」と比較対象となる「候補」であることも自明である。
そうすると、本願発明の「認証プロセスを完了するようにユーザを促すことと、なお前記認証プロセスは、候補生体測定特性を生成するために生体測定センサを使用するように前記ユーザを促すことと」と引用発明の上記各ステップは、後記する点で相違するものの、
「認証プロセスは、候補生体測定特性を生成するために生体測定センサを使用することと」
点で共通している。
(ウ)引用発明の「処理装置24は、センサ22によって読み取られた指紋画像と記憶装置23に予め登録された正規ユーザの指紋画像とを照合して本人認証を行う(ステップ104)」とのステップにおいて、前記「記憶装置23に予め登録された正規ユーザの指紋画像」は、本願発明の「メモリに記憶された生体測定テンプレート」に相当し、また、「センサ22によって読み取られた指紋画像と記憶装置23に予め登録された正規ユーザの指紋画像」を「照合」することは、本願発明でいう「比較」することに相当することは明らかである。
そうすると、本願発明の「メモリに記憶された生体測定テンプレートと前記候補生体測定特性を比較することと」と引用発明の上記ステップは、後記する点で相違するものの、
「メモリに記憶された生体測定テンプレートと前記候補生体測定特性を比較することと」
である点で共通している。
(エ)引用発明の「処理装置24は、指紋画像が一致し、認証結果がOKである場合(ステップ105においてYES)、生体認証装置2を所持するユーザを正規ユーザと判断して、このユーザによる携帯型端末装置1へのアクセスを許可し」のステップによると、「センサ22によって読み取られた指紋画像」と「記憶装置23に予め登録された正規ユーザの指紋画像」が一致した場合に、「生体認証装置2を所持するユーザを正規ユーザと判断」するものであり、これは本願発明の「前記ユーザを認証すること」に相当するものである。
そうすると、本願発明の「前記生成された候補生体測定特性が、前記メモリに記憶された前記生体測定テンプレートとマッチする場合に、前記ユーザを認証することと」と引用発明の上記ステップは、後記する点で相違するものの、
「前記生成された候補生体測定特性が、前記メモリに記憶された前記生体測定テンプレートとマッチする場合に、前記ユーザを認証することと、を備える」
点で共通している。
(オ)引用発明の「処理装置24は、指紋画像が一致し、認証結果がOKである場合(ステップ105においてYES)、生体認証装置2を所持するユーザを正規ユーザと判断して、このユーザによる携帯型端末装置1へのアクセスを許可し」、「すなわち、処理装置24は、個人識別番号等の個人情報と、電話帳のデータ、電子メールアドレス帳のデータ及びパスワード等のサービス情報とを記憶装置23から読み出し、読み出した個人情報及びサービス情報をインタフェース装置21を介して携帯型端末装置1に送出する(ステップ106)」、「また、処理装置24は、指紋画像が一致せず、認証結果がNGである場合、生体認証装置2を所持するユーザが正規ユーザではない判断して、携帯型端末装置1への個人情報及びサービス情報の送出を拒否する(ステップ107)」、「携帯型端末装置1の処理装置14は、生体認証装置2から送られた個人情報及びサービス情報をインタフェース装置11を介して受信し記憶装置15に格納する(ステップ108)」、及び、「記憶装置15に個人情報及びサービス情報が格納されることにより、携帯型端末装置1を使用することが可能になり(ステップ109)」との各ステップによれば、ユーザの指紋画像が一致した場合にのみ、「個人識別番号等の個人情報と、電話帳のデータ、電子メールアドレス帳のデータ及びパスワード等のサービス情報とを記憶装置23から読み出し、読み出した個人情報及びサービス情報をインタフェース装置21を介して携帯型端末装置1に送出する」処理が行われることで、「生体認証装置2」に記憶された前記各種データに対するアクセスが許可されるものであり、「携帯型端末装置1」は「記憶装置15に個人情報及びサービス情報が格納されること」により使用可能となるものである。
そうすると、本願発明の「前記ユーザが、認証される場合だけに、前記スマートカードに記憶された前記データに対するアクセスを認可することと」と引用発明の上記各ステップは、後記する点で相違するものの、
「前記ユーザが、認証される場合だけに、前記カード状の装置に記憶された前記データに対するアクセスを認可することと」
である点で共通している。
(カ)引用発明の各ステップは、「携帯型端末装置1」に接続される「生体認証装置2」に記憶されたデータに対するアクセスを制御するためのものであることは明らかである。
そうすると、本願発明と引用発明は、後記する点で相違するものの、
「モバイルデバイス用のカード状の装置に記憶されたデータに対するアクセスを制御するための方法」
である点で共通する。
(キ)以上の(ア)乃至(カ)から、本願発明と引用発明は、
「モバイルデバイス用のカード状の装置に記憶されたデータに対するアクセスを制御するための方法であって、
前記カード状の装置に記憶された、ワイヤレスネットワークに対するアクセスを前記モバイルデバイスに提供するプロビジョニングデータを備えるデータと、ここにおいて前記プロビジョニングデータは、前記モバイルデバイスが、電話の通話を行い、そして電話の通話を受信し、および電子メールにアクセスし、メッセージを送信し、そして受信することを可能にする、
認証プロセスは、候補生体測定特性を生成するために生体測定センサを使用することと、
メモリに記憶された生体測定テンプレートと前記候補生体測定特性を比較することと
前記生成された候補生体測定特性が、前記メモリに記憶された前記生体測定テンプレートとマッチする場合に、前記ユーザを認証することと、
前記ユーザが、認証される場合だけに、前記カード状の装置に記憶された前記データに対するアクセスを認可することと、
を備える方法。」
である点で一致し、以下の点で相違している。

[相違点1]
本願発明の「カード状の装置」は「スマートカード」であるのに対し、引用発明は「生体認証装置2」である点。

[相違点2]
本願発明では「ワイヤレスネットワークに対するアクセスを前記モバイルデバイスに提供するプロビジョニングデータを備えるデータ」についての「データアクセス要求を受信する」ものであるのに対し、引用発明ではそのようになっていない点。

[相違点3]
本願発明では「認証プロセスを完了するようにユーザを促すこと」及び「候補生体測定特性を生成するために生体測定センサを使用する」ように「前記ユーザを促すこと」が行われているのに対し、引用発明ではそのようになっていない点。

[相違点4]
本願発明では「セキュリティ保護されていない代替的な緊急事態だけのプロビジョニングデータを提供し、前記候補生体測定特性と前記生体測定テンプレートとの間のマッチの不在にもかかわらず、前記代替的なプロビジョニングデータに対するアクセスを認可する」ようになっているのに対し、引用発明ではそのようになっていない点。

[相違点5]
本願発明では「前記ユーザが認証された後に、あらかじめ設定された期間にわたって前記プロビジョニングデータに対するアクセスを認可することと、ここにおいて前記期間中、既に認証されたユーザが前記プロビジョニングデータへのアクセスを要求する度毎に認証を行う必要性が回避される」ようになっているのに対し、引用発明ではそのようになっていない点。

(3)当審の判断
(3-1)相違点1について
スマートカードとは、「CPUやメモリが格納されたICチップを備えたICカードのこと」(情報学事典、弘文堂発行、第1版、2002年6月発行)である。
これに対し、引用発明の「生体認証装置2」も、「記憶装置23」と「処理装置24」を備え、「縦と横の長さに対し、厚みが薄いカード状の装置」であることから、当該「生体認証装置2」をスマートカードで構成することは、当業者であれば容易になし得たことである。
(3-2)相違点2について
引用発明のモバイルデバイスである「携帯型端末装置1」が使用可能となるためには、「生体認証装置2」の「記憶装置23」に記憶された「個人識別番号」が必要であり、また、一般に記憶装置からのデータの読み出しは、その要求が記憶装置側に発せられて読み出し処理が実行されるのが普通である。
してみれば、引用発明においても、上記「生体認証装置2」の「記憶装置23」に記憶された「個人識別番号」等、すなわち「プロビジョニングデータを備えるデータ」についても、当該データについての「データアクセス要求を受信する」ことにより読み出し処理を実行するように構成することは、技術常識を考慮して当業者が適宜なし得たことである。
(3-3)相違点3について
引用発明の「携帯型端末装置1を使って電話をかけようとするユーザは、自身が所持する生体認証装置2を携帯型端末装置1のスロットに差し込む(図4ステップ101)」とのステップが実行されれば、「携帯型端末装置1」及び「生体認証装置2」は互いに接続されたことを認識し、その後ユーザを認証するための各ステップによる処理が順次実行されることになる。
また、上記ステップの実行により、「携帯型端末装置1」及び「生体認証装置2」は互いに接続されたことを認識し、「生体認証装置2」はユーザを認証するための次のステップである「次に、ユーザは、生体認証装置2による本人認証を受けるべく、センサ22上に指を載せる(ステップ102)」を実行するために、「処理装置24」、「記憶装置23」及び「センサ22」等の初期起動を行うことになるのが普通である。
その際、ユーザは起動が完了しセンサによる指紋の読み取りが可能な状態になったか否かはわからないことから、例えば「携帯型端末装置1」のディスプレイなどに指紋読み取りが可能となったこと等のメッセージを表示して、ユーザに次の動作であるセンサ上に指を載せるように促すことは、ユーザインタフェースとして単なる技術常識程度のことである。
よって、引用発明において、ユーザに対してセンサの使用など次の動作を促すようなユーザインタフェースを採用することは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
(3-4)相違点4について
上記引用例2記載技術及び引用例3記載技術で示すように、一般に携帯電話において、指紋認証による認証処理なしでも、緊急通報(110番、119番、118番)が可能であることはよく知られている。
また、例えば、特表2006-520122号公報の第【0003】段落の「携帯電話はさまざまな方法で不登録となることがあり得る。例えば、携帯電話はもはやどの無線ネットワークにも有効加入していないことがある。また、携帯電話は、ユーザーが個人識別番号(PIN)などのパスワードを適切に入力するのに失敗したロックモードにあることもあるし、現在の訪問ネットワークは加入者のホームネットワークとのローミング協定を有さないこともある。あるいは、携帯電話はモバイル通信用グローバルシステム(GSM)型携帯電話のための加入者識別モジュール(SIM)カードまたは符号分割多重アクセス(CDMA)型携帯電話のための取り外し可能ユーザー識別モジュール(R-UIM)などの必要なユーザーモジュールが欠けていることもある。SIMまたはR-UIMを備えた携帯電話に対して、その携帯電話が不登録となり、ロックモードになると、SIMまたはR-UIMの中に含まれている情報はアクセス不可能となる。しかしながら、登録されていない携帯電話またはロックモードにある携帯電話は、それでもなお、限られた能力で動作して、緊急サービスセンターへの緊急コールを開始することができる。緊急サービスセンターへの緊急コールは、緊急使用専用の予め記憶された電話番号、例えば、米国では「911」、ヨーロッパでは「112」、によって見分けることができる。しかしながら、動作のロックモードにある携帯電話は、緊急サービスセンターからのコールバックを含むいずれの着信コールも受信することを許可されない。」、また、特表2007-533277号公報の第【0004】段落の「公共携帯電話ネットワークにおいて知られている方法、特にGSM形式のネットワークは、無線電話端末のユーザが、自分の位置する場所をカバーするネットワークへのアクセス権利を持っていない場合でも、さらにユーザの端末にはSIM(加入者識別モジュール)カードがない場合でも、救助センターに電話するために、ユーザがそのネットワーク内で緊急接続を確立することを可能にする。この知られている方法は、端末が、ユーザを認証するための手続を満たさなければならなくなる前ですら、ユーザが、基地局および基地局制御装置を経由して移動サービススイッチングセンタ(mobile service switching centre)にアクセスすることを許可するものである。したがって、移動サービススイッチングセンタは、呼び出された番号を受信し、それが緊急電話番号であることを見分けることが可能である。この場合、移動サービススイッチングセンタは、認証手続を開始しないが、要求された接続を設定する。」と記載されているように、SIMカード等に記憶されている情報にアクセス不可能な場合であっても、通常の通話のためのネットワーク接続とは別の接続手順により携帯電話からの緊急コールを可能とすることも周知の技術であり、この場合にはこの別の接続手順を行うように携帯電話をセットアップすることが必要となることも自明である。
してみれば、上記引用例2記載技術及び引用例3記載技術で示すように指紋認証により使用者を制限する場合であっても、緊急通報を可能とすることは利用者の生命や財産を守るために必要であることは明らかであるから、引用発明においても、候補生体測定特性と生体測定テンプレートとの間のマッチの不在であっても、緊急通報を行えるようにすること、例えば認証された場合に使用されるプロビジョニングデータが使用できない場合でも、別の接続手順を行うようにモバイルデバイスをセットアップするための、セキュリティ保護されていない代替的な緊急事態だけのプロビジョニングデータを提供することにより、緊急通報を可能とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
(3-5)相違点5について
上記相違点5である「前記ユーザが認証された後に、あらかじめ設定された期間にわたって前記プロビジョニングデータに対するアクセスを認可することと、ここにおいて前記期間中、既に認証されたユーザが前記プロビジョニングデータへのアクセスを要求する度毎に認証を行う必要性が回避される」ことは、つまりユーザが指紋認証により認証された場合に、あらかじめ設定された期間については再度指紋認証を行うことなしにプロビジョニングデータに対するアクセスが認可され、前記期間経過後は再度指紋認証を必要とするものと認められ、この点について明細書の第【0042】段落には「・・・そのような特徴は、アプリケーションが、修正されたSIM105上のデータにアクセスを要求する度毎に、認証プロシージャを実行する必要性を回避する。あらかじめ決定された期間は、あらかじめ設定された経過時間とすることができ、あるいはモバイルデバイスが電源投入されたままである限り、存続することができる。一実施形態は、電源投入時に、またはある種のアプリケーションが開始されたときだけに再認証を必要とする可能性がある。このようにして、ユーザは、反復する認証プロシージャについての必要性を取り除きながら、修正されたSIM105上に記憶された慎重な扱いを要するデータについてのセキュリティを提供することができる可能性がある。」と記載されている。
この点について、上記引用例4には「所有者がICカードを使用するとき、指紋認証モジュールにて所有者本人の指紋を読み取り、指紋データを制御部を介してメモリに保存し、保存された指紋データと、予め所有者のデータとして登録された指紋データを制御部が比較し、データが一致した場合のみICカードが使用可能となり、その後、制御部は時間監視を行い、一定時間経過後に使用状態を解除し、メモリに保存していた指紋データを消去することにより、使用可能状態となったICカードを紛失・盗難した場合でも、所有者本人の指紋データを再度読み取らせる必要があるため、所有者以外の不正使用・なりすまし使用を防止することができる技術。」(「引用例4記載技術」)が記載されており、指紋認証により所有者本人が認証された場合に一定時間のみ使用可能として再度の指紋認証は不要であり、当該一定時間経過後は再度指紋認証を必要とすることにより、所有者以外の不正使用・なりすまし使用を防止することは公知である。
してみれば、引用発明においても不正使用・なりすまし使用の防止等のセキュリティを強化するために、上記引用例4記載技術を適用することにより、上記相違点5の構成とすることは当業者であれば容易になし得たことである。
(3-6)そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本願発明の奏する作用効果は、引用発明、引用例2記載技術、引用例3記載技術、引用例4記載技術、及び周知技術の作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

(4)まとめ
以上のとおりであるから、本願発明は、引用発明、引用例2記載技術、引用例3記載技術、引用例4記載技術、及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
そして、本願発明の作用効果も、引用発明、引用例2記載技術、引用例3記載技術、引用例4記載技術、及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。

5.むすび
以上のとおり、請求項7に係る発明は、引用発明、引用例2記載技術、引用例3記載技術、引用例4記載技術、及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その余の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-04-16 
結審通知日 2015-04-21 
審決日 2015-05-07 
出願番号 特願2010-544382(P2010-544382)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G06K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 久保 正典  
特許庁審判長 手島 聖治
特許庁審判官 小田 浩
金子 幸一
発明の名称 モバイルデバイスのための生体測定スマートカード  
代理人 赤穂 隆雄  
代理人 峰 隆司  
代理人 河野 直樹  
代理人 中村 誠  
代理人 岡田 貴志  
代理人 福原 淑弘  
代理人 井上 正  
代理人 井関 守三  
代理人 堀内 美保子  
代理人 蔵田 昌俊  
代理人 砂川 克  
代理人 野河 信久  
代理人 佐藤 立志  
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