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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G09F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G09F
管理番号 1305783
審判番号 不服2014-8944  
総通号数 191 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-11-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-05-14 
確定日 2015-09-16 
事件の表示 特願2011-537645「ディスプレイを剥離するための半自動化再生設備」拒絶査定不服審判事件〔平成22年 5月27日国際公開、WO2010/059921、平成24年 4月19日国内公表、特表2012-509514〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2009年11月20日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理 2008年11月20日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成25年6月26日付けで拒絶理由が通知され、同年10月1日に手続補正がなされたが、平成26年1月6日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年5月14日に拒絶査定不服審判請求がなされると同時に手続補正がなされ、同年8月6日付けで前置報告がなされ、同年10月16日に上申書が提出されたものである。

第2 平成26年5月14日になされた手続補正(以下「本件補正」という。)についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
本件補正を却下する。

[理由]
1 補正の内容
本件補正は、補正前(平成25年10月1日付け手続補正後のもの)の特許請求の請求項1につき、
「表面と、ディスプレイの表面に硬化接着剤層によって接着接合された基板とを有する接合ディスプレイを再生する方法を実行する装置であって、
a)前記接合ディスプレイを、そのディスプレイの端部または隅から、そのディスプレイの反対側の端部または反対側の隅に、線材を通り過ぎるように前進させる手段であって、その前進は、前記硬化接着剤層がその線材に接触して、その結果、前記基板がもはや前記ディスプレイに接合されていない状態にその接着剤層が切開されるような態様で行われる手段と、
b)剥離されたディスプレイおよび基板を得るために、前記ディスプレイから前記硬化接着剤層を取り除く手段と、
を含み、
前記線材が編組み材料を含み、前記線材の引張強さ(ポンド単位で測定される)対直径(ミリメートル単位で測定される)の値が少なくとも100ポンド/ミリメートルである、
装置。」
とあったものを、
「表面と、ディスプレイの表面に硬化接着剤層によって接着接合された基板とを有する接合ディスプレイを再生する方法を実行する装置であって、
a)前記接合ディスプレイを、そのディスプレイの端部または隅から、そのディスプレイの反対側の端部または反対側の隅に、線材を通り過ぎるように前進させる手段であって、その前進は、前記硬化接着剤層がその線材に接触して、その結果、前記基板がもはや前記ディスプレイに接合されていない状態にその接着剤層が切開されるような態様で行われる手段と、
b)剥離されたディスプレイおよび基板を得るために、前記ディスプレイから前記硬化接着剤層を取り除く手段と、
を含み、
前記線材が編組み材料を含み、前記線材の引張強さ(ポンド単位で測定される)対直径(ミリメートル単位で測定される)の値が少なくとも100ポンド/ミリメートルであり、前記線材に砥粒が固着していない、
装置。」
に補正する内容を含むものである(下線は請求人が付したとおりである。)。

2 補正の目的
本件補正は、補正前の請求項1において、「線材」に係り、「砥粒が固着していない」との限定を付加するものであるから、上記1の本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

3 独立特許要件について
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかどうか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定する要件を満たすか否か)について検討する。
(1)本願補正発明の認定
本願補正発明は、上記1において、本件補正後のものとして記載したとおりのものと認める。

(2)刊行物の記載及び引用発明
ア 原査定における拒絶理由に引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である特開2003-288028号公報(以下「引用文献1」という。)には、以下の記載がある(下線は当審にて付した。以下同じ。)。
(ア)「【0054】図1に示す分解装置は、粘着部材2で接合された画像表示部1と支持体3とからなる画像表示装置を分解する際に用いる受け台10と、画像表示装置の粘着部材2を切断する工程の制御と、画像表示部1と支持体3とを分離する工程の制御とを司る制御部11とを有している。この分解装置は、画像表示装置の支持体3を保持する構造を有している。具体的には受け台10に支持体3が密着した状態を保持する構造として、支持体の端部を保持する爪1001を4箇所に設けている。この爪により支持体を固定した状態で切断を行う。これらの爪は分解する表示装置を受け台10上の所定位置に配置した後、支持体3が爪に係止されるように受け台10及び制御部11に差し込まれる。特に上部の2つの爪は切断部12を接着部材2の上部にあてがった後に差し込む構成としている。
【0055】制御部11の側面には、導電性材料である鉄系の金属からなる、直径が0.3mm程度のワイヤー形状(線状)を成す切断部12を備えた切断アーム14が、制御部11に鉛直方向に延びた状態に設けられたガイド部16に沿って鉛直方向の上下に移動可能に設けられている。(途中省略)
【0057】次に、上記のように構成された分解装置による画像表示装置の分解動作を、図1から図3を参照して説明する。図3は、図1に示した分解装置による画像表示装置の分解動作を示すフローチャートである。
【0058】画像表示装置を分解する際には、まず、テレビセットのカバー類や電気回路を分離した画像表示装置を、受け台10の上に画像表示部1の短辺が天地方向になるように鉛直に設置し、固定手段である爪1001によって受け台10に支持体3を支持する(ステップ1)。
【0059】次に、制御部11を操作して切断部12へ通電を行い、切断部12を発熱させて約200℃程度に加熱する(ステップ2)。
【0060】次に、切断部12を画像表示部1と支持体3の隙間の、ちょうど粘着部材2の短辺部分に沿った位置に挿入し(ステップ3)、制御部11を操作して切断アーム14を下降させる(ステップ4)。このとき、切断部12の移動方向は、長方形形状の画像表示部1の長辺と平行である。切断部12が粘着部材2に当接すると、粘着部材2は加熱された切断部12からの熱伝導によりアクリル系の材料からなる粘着層とポリオレフィン系の材料からなる基材が軟化し、切断部12が下降するときに生じる機械的な破断力によって切断される。この下降動作がゆっくりと進んでいくのにつれて、粘着部材2は上端側の部分から徐々に切断されていく。ここでは接着部材である粘着部材2を切断する構成を採用しているが、接着部材の切断としては、接着部材をその中間(中央に限るものではない)で切断する場合を一例として挙げることができる。この場合は、切断後に支持体3側と表示部1側の双方に切断された接着部材の一部が残る。また、接着部材の切断としては、接着部材と支持体とが接着されたところを切断する、すなわち、接着部材と支持体とを剥離する様にしても良い。また接着部材と表示部とが接着されたところを切断する、すなわち、接着部材と表示部とを剥離するようにしても良い。切断部を支持体3もしくは表示部1に接触させながら移動させていくことにより、接着部材の切断を、接着部材と支持体3との間、もしくは接着部材と表示部1との間で行うことができる。この場合は支持体3と表示部1の一方には切断後に接着部材が残らないようにすることができる。
【0061】そして、粘着部材2の切断が画像表示部1の長辺長さの1/4程度まで進んだ時に、粘着部材2の切断動作を維持したまま、制御部11を操作して分離部13を画像表示部1と支持体3の隙間に挿入し(ステップ5)、分離アーム15を下降させる(ステップ6)。このとき、分離部13の挿入方向は切断部12の挿入方向と一致している。分離部13は下端が鋭利な楔形形状を成しており、分離部13が下降するときに画像表示部1と支持体3に作用する力は、画像表示部1を支持体3から分離する力となる。つまり、分離アーム15が下降するにつれて、画像表示部1は支持体3から徐々に距離が離されていく。これに伴って、粘着部材2には粘着部材2を裂き分ける方向に力が加えられるので、切断部12による粘着部材2の切断を促進させることが可能になる。支持体3から分離された表示部1が倒れないように、表示部1を支えておくと良い。
【0062】その後、切断アーム14が移動行程の最下端に達し、切断部12が粘着部材2のすべてを切断したところで、切断アーム14の下降動作を終了する(ステップ7)。その直後に分離アーム15も動作行程の最下端に達して下降動作を終了する(ステップ8)。そして、制御部11は切断部12に対する通電を終了する(ステップ9)。
【0063】以上の動作により、画像表示部1が支持体3から完全に分離(分解)される(ステップ10)。(途中省略)
【0065】以上に説明したように、本実施形態によれば、画像表示装置を分解する際に、切断部12を画像表示部1と支持体3との間に挿入して粘着部材2を切断することにより、画像表示部1と支持体3に負担を与えることなく画像表示部1と支持体3とを互いに分離することができる。そのため、画像表示部1と支持体3を破損することなく安全に分離でき、さらには分離した画像表示部1と支持体3をリサイクルすることも可能になる。」

(イ)図1及び3は次のものである。


(ウ)引用発明1
上記(ア)及び(イ)によれば、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「粘着部材2で接合された画像表示部1と支持体3とからなる画像表示装置を分解する際に用いる受け台10と、画像表示装置の粘着部材2を切断する工程の制御と、画像表示部1と支持体3とを分離する工程の制御とを司る制御部11とを有し、
前記制御部11の側面には、導電性材料である鉄系の金属からなる、直径が0.3mm程度のワイヤー形状(線状)を成す切断部12を備えた切断アーム14が、制御部11に鉛直方向に延びた状態に設けられたガイド部16に沿って鉛直方向の上下に移動可能に設けられ、
前記切断部12を画像表示部1と支持体3の隙間の、ちょうど粘着部材2の短辺部分に沿った位置に挿入し、前記制御部11を操作して切断アーム14を下降させ、
前記粘着部材2は上端側の部分から徐々に切断されていき、
前記切断後に支持体3側と表示部1側の双方に切断された接着部材の一部が残り、
その後、前記切断アーム14が移動行程の最下端に達し、切断部12が粘着部材2のすべてを切断し、
以上の動作により、画像表示部1が支持体3から完全に分離(分解)され、
分離した画像表示部1と支持体3をリサイクルすることも可能にする、分解装置。」

イ 同じく、本願の優先日前に頒布された刊行物である特開2004-184677号公報(以下「引用文献2」という。)には、以下の記載がある。
(ア)「【0013】
【発明の実施の形態】
本発明は、平面表示装置の表示パネルとそれを支えるシャーシとの間に設けられた接合部材を切断手段を用いて切断する平面表示装置の表示パネル分離方法である。
切断手段のひとつとしては鋸が有効であり、接合部材のみを切断するため、シャーシの形状を損なわずに分離することができる。
また鋸の刃の形状は、胴体部を中心に互い違いに刃を突出させたことを特徴とするものでは鋸の刃が交互に突出しているため、切断時に生じる接合部材の切断くずを効率よく表示パネルの外側に排出することができ、切断性を損なわなわないように表示パネルとシャーシを分離することができる。なお、この鋸の刃の最大突出量が接合部材の厚みより小さいことなおよい効果を生じるものである。
また切断手段である鋸の刃のスライド量が、表示パネルの切断している辺の長さの半分以上であるものである平面表示装置の表示パネル分離方法である。鋸の刃を表示パネルの切断する辺の長さの半分以上スライドさせるため、切断時に生じる接合部材の切断くずを効率よく表示パネルの外部に排出することができるため、切断性を損なわずに効率よく表示パネルとシャーシを分離することができる。また本発明は、表示パネルとシャーシの間に設けられた接合部材を切断し表示パネルとシャーシを分離する平面表示装置の表示パネル分離方法において、切断手段として縒ったワイヤを使用することを特徴とするものである。縒ったワイヤはそのスライド量が表示パネルの切断する辺の長さの半分以上であるとよりよい効果をもたらすものである。これは縒ったワイヤを切断方向に対し垂直方向に大きくスライドさせるため、切断時に生じる接合部材の切断くずを表示パネルの外側に排出することができ、切断性を損なわないため表示パネルとシャーシを分離することができるためである。ワイヤの種類として、例えば硬鋼線、ピアノ線、ステンレス鋼線、スチール鋼線であると、より効率的に切断が行われ、よりよい効果を得ることができる。
また、本発明の平面表示装置の表示パネル分離方法において、表示パネルとシャーシの間に設けられた接合部材を切断する切断手段として、加熱したワイヤを用いることを特徴とするものである。ワイヤを加熱しながら切断方向へスライドさせるため、粘着性のある接合部材であっても切断面は溶かされるために切断くずは発生せず、切断性の低下がなく表示パネルとアルミシャーシを分離することができる。加熱するワイヤとしては、ニッケルクロム線、銅ニッケル線、銅マンガン線、鉄クロム線、ニッケル線、ニッケル銅合金線、洋白線を用いると、より効率よく接合部材を切断することができる。(途中省略)
【0016】
(実施の形態1)
本発明の第1の実施の形態例を図1を用いて説明する。図1は表示パネル分離装置であり、表示パネルを切断しようとする状態を表している。
図1(a)は表示パネル分離装置の平面図であり、表示パネルであるPDP20を切断するところである。図1(b)は表示パネル分離装置の正面図である。この図において、PDP20は前面ガラス基板10と背面ガラス基板12を封着材料11にて封着して密閉されて構成されている。そしてアルミ製のシャーシ(以下、アルミシャーシと記す)14は背面ガラス基板12との間に設けられた接合部材13にて張り合わされている。接合部材13は粘着質で、ある程度の粘度のあるものが一般的である。
表示パネル分離装置は、鋸30と、この鋸30を駆動制御するための制御手段31を備えている。
表示パネル分離装置の鋸30はPDP20の表示面に平行に往復運動(スライド)し、またPDP20の短辺から接合部材13に挿入してパネル長手方向に切り進むことで、PDP20とアルミシャーシ14を分離することができる。この鋸30の往復運動量(以下、スライド量と記す)は、例えば前面ガラス基板10もしくは背面ガラス基板12の短辺長さの半分以上にすることで、接合部材13が切断されたときに生じる切断くずを、背面ガラス基板12とアルミシャーシ14の間から排出することができる。接合部材13は粘度があるため、鋸30で切断して細かなくず状になってもそれぞれが鋸30に付着してしまうが、往復運動量(スライド量)を背面ガラス基板12の短辺長さの半分以上にすることで、鋸30の切断性の低下がなく良好に表示パネル20とアルミシャーシ14の分離を行うことができる。
なお、図1ではPDP20の短辺から接合部材13に挿入してパネル長手方向に切り進む例を示したが、必ずしも短辺側からでなく、長辺側または斜め方向から接合部材13に鋸30を挿入させて切り進んでもよく、それらのばあいでも同様の効果を得ることができる。
制御手段31は、鋸30のスライド量を調整をするとともに、切断方向に鋸30を移動させるものである。
また図2に鋸刃に付着した切断くずを除去するため、例えば布やブラシにより切断くずを取り除くクリーニング装置33を備えた例を示す。クリーニング装置33は鋸30の一部を覆うように配置され、接合部材13の切断箇所がクリーニング装置33を通過するたび
に、鋸30に付着した切断くずを取り除く。切断くずが取り除かれた鋸30は接合部材13を摩擦も少なく効率よく接合部材13を切断できる。
また、クリーニング装置として、例えばウォータージェットなどを利用すると、鋸30から切断くずを取り除くことができるとともに、水により切断くずの発生を抑えることもでき、効率の高い作業を行うことができる。
図3は、本実施の形態の鋸の一例を示したもので、図3(a)が鋸30の拡大図、図3(b)はPDPの接合部材13を切断する状態を示すものである。鋸30は、胴体部分41を中心に鋸刃40が互い違いに突出させた構成をとっている。この構成により、接合部材13の切りくずをPDPから外部に排出することを可能にしている。また鋸刃40の突出量45が接合部材13の厚さより小さい鋸刃を用いることで、接合部材13のみを切断し、隣接するアルミシャーシ14や背面ガラス基板12に損傷を与えず分離することができる。
図4には別の表示パネル分離装置の構成を示す。図1の表示パネル分離装置とは鋸の形状とその駆動方法が異なっている。図4の表示パネル分離装置は、短部が繋がれてリング状になった鋸34と、鋸34を回転運動させる駆動手段32と、鋸34を支持する回転体35を備えている。駆動手段32は、例えばモータのような回転動力発生源と、その動力を鋸34に伝える伝達部分から構成されている。
駆動手段32は、その動力をリング状の鋸34に伝え、一定方向に鋸34を回転させるとともに鋸34および回転体35を移動させて、接合部材13を切断していく。
図4の表示パネル分離装置では、鋸34を一定方向に回転させるとともに、回転体35と駆動手段32で切断位置の両端で鋸34を支えているため、鋸34のブレが少なく抑えることができ、精度の高い切断が実現できる。また鋸34を一定方向に回転させていることで、接合部材13の切りくずを一致方向に押し出すことができ、効率よい作業を行える。また往復運動する鋸を備える表示パネル分離装置よりもリング状の鋸を回転させる構成のほうが、装置の小型化を実現できる。
図5は切断手段を移動させる構造を備える表示パネル分離装置を示す。図5(a)の51は表示パネル設置台、52は切断手段である鋸30およびその駆動手段31を支持する支持体52である。支持体52は移動体53と接続されている。この表示パネル分離装置では、PDPが表示パネル設置台51上に固定されてから、移動体53が表示パネル設置台51に沿って平行移動させることで、支持体52も水平方向に移動するので、接合部材13内を鋸30が切断して進むものである。一方、図5(b)は、支持体55は表示パネル設置台51に固定されているとともに、表示パネル設置台51には複数の回転体54が並べられ、その上を表示パネルであるPDP20が切断手段の鋸30に向かって移動する表示パネル分離装置の一例である。
図5(a)、図5(b)の表示パネル分離装置のように、表示パネル設置台51を備えたものであれば、表示パネルまたは切断手段が固定されるので、接合部分13を精度よく切断することができ、特に表示パネルが大きいほど、その効果は大きいものとなる。
切断手段としては、上述した鋸のほかに図6に示すような縒ったワイヤ60も有効である。制御手段61によって縒ったワイヤ60を往復運動させ、PDP20の短辺側から接合部材13に挿入しPDPの長手方向へ切り進むと、表示パネル20とアルミシャーシ14を分離することができる。縒ったワイヤ60のスライド量も、縒ったワイヤ60を挿入する辺、例えば前面ガラス基板10もしくは背面ガラス基板12の短辺、の長さの半分以上にスライドさせることで、接合部材13が切断されたときに生じる切断くずを背面ガラス基板12とアルミシャーシ14の間から排出することができ、縒ったワイヤ60の切断性の低下がなく良好にPDP20とアルミシャーシ14の分離を行うことができる。
もちろん縒ったワイヤ60を切断手段とした場合でも、上述したようにクリーニング装置を備えてもよく、例えばウォータージェット等を併用して切断面を濡らすことで切断された接合部材13の切りくず同士が再接着することを防止でき、また縒ったワイヤをリング状にして、一方向に回転させて切断させてもよい。縒ったワイヤ60は、例えば硬鋼線、ピアノ線、ステンレス線、スチール鋼線を用いると、さらに良好に表示パネル20とアル
ミシャーシ14の分離を行うことができる。」

(イ)引用発明2
上記(ア)によれば、引用文献2には、次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。
「表示パネル分離装置の鋸30は、PDP20とアルミシャーシ14を分離することができ、切断手段としては、鋸のほかに縒ったワイヤ60も有効である、切断時に生じる接合部材の切断くずを表示パネルの外側に排出することができる、表示パネル分離装置。」

ウ 同じく、本願の優先日前に頒布された刊行物である特開2008-197376号公報(以下「引用文献3」という。)には、以下の記載がある。
(ア)「【背景技術】
【0002】
薄型表示パネルの1例として、プラズマディスプレイパネル(以下、PDP)では、前面ガラス板と背面ガラス板が貼り合わされ、背面ガラス板側に接着シートを介して放熱板のアルミシャーシが貼り合わされる。このようなPDPでは、省資源化、環境保全のため、使用済みのPDPを回収し、各部材をそのまま分解し、リサイクルや分別回収に供することが望まれている。また、製造工程における工程不良品を再利用するためにもPDPの分解作業が必要とされることがある。」

(イ)「【0034】
なお、誘導加熱により導電板15が加熱され、導電板15と接着剤層14との界面側が加熱することから、ガラス板部13と導電板15とが分離される際には、接着剤層14の大半がガラス板部13側に接着した状態で、ガラス板部13は落下することとなる。かかる場合において、ガラス板部13側に接着した状態の接着剤層14は、ガラス板部13から簡単に剥がす又は溶剤による除去することが可能であり、ガラス板部13及び導電板15の原型を留めてそのまま分離し回収することが可能となる。」

(ウ)引用文献3に記載の技術
上記(ア)及び(イ)によれば、引用文献3には、次の技術(以下「引用文献3に記載の技術」という。)が記載されていると認められる。
「使用済みの、薄型表示パネルの1例であるPDPを回収し、各部材をそのまま分解し、リサイクルや分別回収に供し、また、製造工程における工程不良品を再利用するための分解作業において、ガラス板部13と導電板15とが分離された後、前記ガラス板部側に接着した状態の接着剤層を、ガラス板部から簡単に剥がす又は溶剤による除去することで、ガラス板部13及び導電板15の原型を留めてそのまま分離し回収することを可能とする技術。」

(3)対比・判断
ア 対比
(ア)本願補正発明と引用発明1を対比すると、引用発明1の「粘着部材2」、「画像表示部1」、「支持体3」、「画像表示装置」及び「ワイヤー形状(線状)を成す切断部12」は、本願補正発明の「硬化接着剤層」、「ディスプレイ」、「基板」、「接合ディスプレイ」及び「線材」にそれぞれ相当する。

(イ)引用発明1の「画像表示装置」は、「粘着部材2で接合された画像表示部1と支持体3とからなる」から、支持体3が画像表示部1の表面に粘着部材2で接合されたものであることは明らかである。
したがって、引用発明1の、「粘着部材2で接合された画像表示部1と支持体3とからなる」「画像表示装置」は、本願補正発明の「表面と、ディスプレイの表面に硬化接着剤層によって接着接合された基板とを有する」「接合ディスプレイ」と相当関係にある。

(ウ)引用発明1の「分解装置」は、「分離した画像表示部1と支持体3をリサイクルすることも可能にする」ものであるから、本願補正発明の「接合ディスプレイを再生する方法を実行する装置」と相当関係にある。

(エ)引用発明1の「分解装置」は、「画像表示装置」を、「導電性材料である鉄系の金属からなる、直径が0.3mm程度のワイヤー形状(線状)を成す切断部12を備えた切断アーム14が、制御部11に鉛直方向に延びた状態に設けられたガイド部16に沿って鉛直方向の上下に移動可能に設けられ、前記切断部12を画像表示部1と支持体3の隙間の、ちょうど粘着部材2の短辺部分に沿った位置に挿入し、前記制御部11を操作して切断アーム14を下降させ、前記粘着部材2は上端側の部分から徐々に切断されていき、前記切断後に支持体3側と表示部1側の双方に切断された接着部材の一部が残り、その後、前記切断アーム14が移動行程の最下端に達し、切断部12が粘着部材2のすべてを切断」するものであるから、引用発明1は、画像表示部1の上端側の部分から最下端にワイヤー形状(線状)を成す切断部12を、鉛直方向の上下に移動させる手段、及び、鉛直方向の上下に移動することで、「切断部12を画像表示部1と支持体3の隙間の、ちょうど粘着部材2の短辺部分に沿った位置に挿入し、前記制御部11を操作して切断アーム14を下降させ、前記粘着部材2は上端側の部分から徐々に切断され」て、「その後、前記切断アーム14が移動行程の最下端に達し、切断部12が粘着部材2のすべてを切断し、以上の動作により、画像表示部1が支持体3から完全に分離(分解)され」る手段を備えるといえる。
そして、引用発明1の「切断」は、「粘着部材2」が「ワイヤー形状(線状)を成す切断部12」に接触して行われることは明らかである。
したがって、引用発明1の、「導電性材料である鉄系の金属からなる、直径が0.3mm程度のワイヤー形状(線状)を成す切断部12を備えた切断アーム14が、制御部11に鉛直方向に延びた状態に設けられたガイド部16に沿って鉛直方向の上下に移動可能に設けられ、前記切断部12を画像表示部1と支持体3の隙間の、ちょうど粘着部材2の短辺部分に沿った位置に挿入し、前記制御部11を操作して切断アーム14を下降させ、前記粘着部材2は上端側の部分から徐々に切断されていき、前記切断後に支持体3側と表示部1側の双方に切断された接着部材の一部が残り、その後、前記切断アーム14が移動行程の最下端に達し、切断部12が粘着部材2のすべてを切断」することは、本願補正発明の「前記接合ディスプレイを、そのディスプレイの端部または隅から、そのディスプレイの反対側の端部または反対側の隅に、線材を通り過ぎるように前進させる手段」、及び、「その前進は、前記硬化接着剤層がその線材に接触して、その結果、前記基板がもはや前記ディスプレイに接合されていない状態にその接着剤層が切開されるような態様で行われる手段」を含むことと相当関係にある。

(オ)上記(ア)ないし(エ)によれば、本願補正発明と引用発明1は、
「表面と、ディスプレイの表面に硬化接着剤層によって接着接合された基板とを有する接合ディスプレイを再生する方法を実行する装置であって、
a)前記接合ディスプレイを、そのディスプレイの端部または隅から、そのディスプレイの反対側の端部または反対側の隅に、線材を通り過ぎるように前進させる手段であって、その前進は、前記硬化接着剤層がその線材に接触して、その結果、前記基板がもはや前記ディスプレイに接合されていない状態にその接着剤層が切開されるような態様で行われる手段、
を含む装置。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

a 本願補正発明の「装置」は、「剥離されたディスプレイおよび基板を得るために、前記ディスプレイから前記硬化接着剤層を取り除く手段」を含むのに対して、引用発明1の「分割装置」は、このような手段を備えるか否か明らかではない点(以下「相違点1」という。)。

b 本願補正発明の「線材」は、「編組み材料を含み」、「砥粒が固着していない」のに対して、引用発明1の「ワイヤー形状(線状)を成す切断部12」の構造が明らかではない点(以下「相違点2」という。)。

c 本願補正発明の「線材」は、「引張強さ(ポンド単位で測定される)対直径(ミリメートル単位で測定される)の値が少なくとも100ポンド/ミリメートルであ」るのに対して、引用発明1の「ワイヤー形状(線状)を成す切断部12」は、引張強さ対直径の値が特定されない点(以下「相違点3」という。)。

イ 判断
(ア)上記相違点1について検討する。
引用発明1の「分解装置」は、「分離した画像表示部1と支持体3をリサイクルすることも可能にする」ものであるから、切断後に支持体3側と表示部1側の双方に切断された接着部材の一部が残らないことが好ましいことは自明の課題であるところ、引用文献3に、「使用済みの、薄型表示パネルの1例であるPDPを回収し、各部材をそのまま分解し、リサイクルや分別回収に供し、また、製造工程における工程不良品を再利用するための分解作業において、ガラス板部側に接着した状態の接着剤層を、ガラス板部から簡単に剥がす又は溶剤による除去することで、ガラス板部13及び導電板15の原型を留めてそのまま分離し回収することを可能とする技術」(引用文献3に記載の技術)が記載されており、引用発明1の、表示部1をリサイクルするために切断後に接着部材が残らないようにする手段として、上記引用文献3に記載の技術を適用して、上記相違点1に係る本願補正発明の構成となすことは、当業者が容易になし得ることである。

(イ)上記相違点2について検討する。
引用発明1の「ワイヤー形状(線状)を成す切断部12」は、「導電性材料である鉄系の金属からなる、直径が0.3mm程度のワイヤー形状(線状)を成す」ものであるところ、引用文献2には、「表示パネル分離装置の鋸30は、PDP20とアルミシャーシ14を分離することができ、切断手段としては、鋸のほかに縒ったワイヤ60も有効である、切断時に生じる接合部材の切断くずを表示パネルの外側に排出することができる、表示パネル分離装置。」(引用発明2)が記載されており、引用発明1においても、切断時に生じる粘着部材2の切断くずを画像表示装置の外側に排出しなければならことは、自明の課題であるから、当該課題を解決する手段として、引用発明1の「ワイヤー形状(線状)を成す切断部12」に、上記引用発明2の、切断手段を縒ったワイヤとなす構成を適用することは、当業者において格別困難なこととはいえない。
また、引用発明1の「ワイヤー形状(線状)を成す切断部12」に係り、引用文献1をみても、砥粒が固着されていると特定されるものではないから、引用発明1の「ワイヤー形状(線状)を成す切断部12」は「砥粒が固着していない」ものであってよい。
よって、引用発明1において、引用発明2を適用して、上記相違点2に係る本願補正発明の構成となすことは、当業者が容易になし得ることである。

(ウ)上記相違点3について検討する。
引用発明1の「ワイヤー形状(線状)を成す切断部12」は、発明を実施するに際して、粘着部材2の種類、あるいは、画像表示装置の大きさ等に基づいて必要とされる引張力が定まるところ、切断に際して「ワイヤー形状(線状)を成す切断部12」が切れることのないよう、引張強さ対直径の値を設定することは、当業者が普通に行うことであって、本願補正発明の「100ポンド/ミリメートル」という数値に格別な技術的意味もないことを考慮すれば、引張強さ対直径を少なくとも100ポンド/ミリメートルとして、上記相違点3に係る本願補正発明の構成となすことは、当業者が容易にななし得ることにすぎない。

(4)まとめ
したがって、本願補正発明は、引用発明1、引用発明2及び引用文献3に記載の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

4 本件補正についてのむすび
上記3の検討によれば、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
上記のとおり、本件補正は却下されたので、本願の特許請求の範囲の各請求項に係る発明は、平成25年10月1日付けで補正された特許請求の範囲に記載されたとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、前記第2、[理由]1において、補正前のものとして示したとおりのものである。

2 刊行物の記載及び引用発明
上記第2、[理由]3(2)のとおりである。

3 対比・判断
上記「第2、[理由]2 補正の目的」のとおり、本願補正発明は、本願発明に限定を付加したものである。
そして、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに限定を付加した本願補正発明が、引用発明1、引用発明2及び引用文献3に記載の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである以上、上記第2、[理由]3での検討と同様の理由により、本願発明は、引用発明1、引用発明2及び引用文献3に記載の技術に基づいて、当業者が容易に発明し得るものである。

4 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明1、引用発明2及び引用文献3に記載の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-04-15 
結審通知日 2015-04-21 
審決日 2015-05-07 
出願番号 特願2011-537645(P2011-537645)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G09F)
P 1 8・ 121- Z (G09F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小野 博之  
特許庁審判長 伊藤 昌哉
特許庁審判官 井口 猶二
松川 直樹
発明の名称 ディスプレイを剥離するための半自動化再生設備  
復代理人 主代 静義  
復代理人 松本 克  
代理人 特許業務法人 谷・阿部特許事務所  
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