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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1305788
審判番号 不服2014-13986  
総通号数 191 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-11-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-07-17 
確定日 2015-09-16 
事件の表示 特願2008-146971「格子整合基板上への窒化物系光電子/電子デバイス構造体の形成」拒絶査定不服審判事件〔平成21年 2月19日出願公開、特開2009- 38344〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 I.手続の経緯
本願手続の概要は、次のとおりである。

特許出願 平成20年 6月 4日
(パリ条約による優先権主張 2007年 6月 5日、米国)
手続補正書提出 平成23年 6月 1日
手続補正書提出 平成24年 1月25日
拒絶理由通知書発送 平成24年12月 4日
手続補正書提出 平成25年 4月 3日
拒絶理由通知書発送 平成25年 4月16日
手続補正書提出 平成25年 8月 9日
拒絶理由通知書発送 平成25年 9月10日
手続補正書提出 平成25年12月 4日
拒絶理由通知書発送 平成25年12月17日
手続補正書提出 平成26年 3月 5日
補正の却下の決定(起案日) 平成26年 3月13日
拒絶査定謄本送達 平成26年 3月18日
審判請求 平成26年 7月17日
手続補正書提出 平成26年 7月17日

II.平成26年7月17日付け手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成26年7月17日付け手続補正を却下する。

[理由]
1.本件補正の内容
平成26年7月17日付け手続補正(以下「本件補正」という。)は、本願特許請求の範囲の請求項1を、
「電子または光電子デバイス構造体の製造方法であって、
1層または複数層のAlInGaN合金を窒化物基板上にエピタキシャル成長させ、複合半導体デバイスを形成するステップと、
前記複合半導体デバイスのエピタキシャル成長した1層または複数層のAlInGaN合金の上にキャリアを付着させるステップと、
前記複合半導体デバイスから前記基板を取り除くと共に、前記複合半導体デバイスから前記キャリアを取り除いて、結果的に電子または光電子デバイス構造体を形成するステップと
を備え、
前記AlInGaN合金の少なくとも1層は、前記窒化物基板とは異なる物質を含み、前記電子または光電子デバイス構造体には成長の土台であった前記窒化物基板が存在しておらず、
前記窒化物基板は破砕によって前記複合半導体デバイスから除去され、前記除去された窒化物基板は、実質的に無傷であり、研磨及び再使用に適している方法。」
と補正することを含むものであって、特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものと認められるので、以下に、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)について、独立特許要件の検討を行う。

2.引用例
(1)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された特開2006-332681号公報(以下「引用例1」という。)には、図とともに次の記載がある(下線は当審による。)。

ア 「【0022】
しかし、前記従来の技術も次のような問題点がある。
【0023】
すなわち、エピ層を形成するための基板としてサファイア基板を使用するためエピ層であるGaN系と格子不整合によりエピ層の品質が低下して発光効率が悪化しESD(ElectroStatic Damage)レベルも低く、信頼性も悪化するなどの問題点がある。
【0024】
また、このようなサファイア基板の問題点を解決するために代替基板として窒化物半導体基板が研究されているが足りない現状であり、このような窒化物半導体基板は高価なので一回用の場合は製造コストがアップする難題がある。
【発明の開示】
【0025】
本発明は前述したような問題点を解決するために案出されたもので、その目的は窒化物半導体基板にLLO層とエピ層を形成し、レーザリフトオフ(Laser Lift-Off)を通じて窒化物半導体基板を分離することにより、エピ層の特性を向上させて高品位、高効率の発光ダイオードを製造することができる発光ダイオードの製造方法を提供するところにある。
【0026】
本発明の他の目的は、設けられたLLO層をレーザ光で除去して相対的に高価な窒化物半導体基板を分離してリサイクルできるようにして製造コストを節減できる低価格の発光ダイオードの製造方法を提供するところにある。」

イ 「【0033】
以下、添付した図面に基づき本発明の望ましい実施形態を説明すれば次の通りである。
【0034】
図3aないし図3cは本発明に係る発光ダイオードの製造方法を説明するための断面図であって、まず基板200の上部に照射されたレーザ光により除去されるLLO(Laser Lift-off)層210を含んでおり、少なくとも一つ以上の物質よりなる半導体膜(Film)220を形成する(図3a)。
【0035】
その後、前記半導体膜220の上部に第1極性を有する第1層230、活性層240と第1極性と逆の第2極性を有する第2層250を形成する(図3b)。
【0036】
ここで、図3a及び図3bの工程において、前記基板200の上部にLLO層210だけを形成し、LLO層210の上部に第1層230、活性層240と第2層250を形成しても良い。
【0037】
次いで、前記基板200を通じて前記LLO層210にレーザ光を照射して前記LLO層210を除去して前記基板200を離脱させる(図3c)。
【0038】
ここで、前記第2層250の上部に金属構造物または金属が含まれた構造物(Structure)をさらに形成して、図3cのような前記基板200の離脱工程で前記第1層230、活性層240と第2層250よりなる発光構造物を前記構造物をして堅固に保持(Holding)できるようになる。
【0039】
この際、前記構造物は前記第2層250の上部に蒸着(Deposition)工程と成長(Growth)工程のいずれか一つを含んだ工程を行って形成したり、あるいは前記第2層の上部に前記構造物を接着して形成することが望ましい。
【0040】
すなわち、前記第2層250の上部に金属を蒸着して金属構造物を形成したり、あるいはAlGaNのような金属が含まれた物質、化合物半導体のような金属以外の物質を前記第2層250の上部に成長させ、その後金属を蒸着させ構造物を形成する。
【0041】
従って、本発明はレーザ光により完全に除去できるLLO層を除去する基板と発光構造物との間に介して、基板の除去をさらに容易に行える長所がある。
【0042】
図4aまたは図4bは本発明に係る発光ダイオードの製造方法を説明するための断面図であって、LLO層210は図4aに示したように、離脱させるための基板200と接触されているか、あるいは図4bのように前記半導体膜220の内部に位置されていることが望ましい。
【0043】
図5a及び図5bは本発明の第1実施形態による発光ダイオードを製造するための一部工程を説明するための断面図であって、窒化物半導体基板310の上部にMOCVDの工程を行なって、LLO層311、ドーピングされないGaN層312、N-GaN層313、活性層314、P-GaN層315を積層し、前記P-GaN層315の不純物を活性化させるために600℃で約20分はど熱処理する(図5a)。
【0044】
前記活性層314はIn_(x)Ga_(1-x)Nなどよりなる。
【0045】
前記窒化物半導体基板310は半導体窒化物及びこれらの組合わせであって、望ましくはGaN、InGaN、AlGaNとAlInGaNのいずれか一つの物質よりなる基板であることがエピ層の特性の向上のために望ましい。 」

ウ 「【0090】
図9aないし図9dは本発明の第2実施形態による発光ダイオードの製造方法を説明するための断面図であって、キャリア(carrier)371をP-GaN層315に形成し、窒化物半導体基板310を除去した後前記キャリア371を除去することを特徴とする。
【0091】
まず、図9aに示したように、窒化物半導体基板の上部にGaN、InGaN、AlGaNとInAlGaNのうち少なくともいずれか一つ以上の物質よりなるLLO311層とN-GaN層313を形成し、前記N-GaN層313の上部に活性層314及びP-GaN層315を積層し、前記P-GaN層315上にキャリア371を形成する。
【0092】
その後、前記窒化物半導体基板310を通じて前記LLO層311にレーザ光を照射して、前記窒化物半導体基板310を分離させるレーザリフトオフ工程を行って、前記窒化物半導体基板310を離脱させる(図9b)。
【0093】
引き続き、前記N-GaN層313の下部にN-オーミックコンタクト層331、反射層332と金属支持部370を形成する。
【0094】
ここで、前記N-オーミックコンタクト層331と反射層332の形成は省略することができる。
【0095】
その後、前記P-GaN層315上に形成された前記キャリア371を除去し、前記P-GaN層315にP-オーミックコンタクト層316を形成する(図9d)。」

(2)引用発明
上記ウによれば、引用例1には、
「窒化物半導体基板310の上部にLLO層311とN-GaN層313を形成し、前記N-GaN層313の上部に活性層314及びP-GaN層315を積層し、前記P-GaN層315上にキャリア371を形成し、前記窒化物半導体基板310を除去した後前記キャリア371を除去する発光ダイオードの製造方法。」(以下「引用発明」という。)
が記載されているものと認められる。
ここで、「窒化物半導体基板310」について、引用例1には、上記イの【0045】に「前記窒化物半導体基板310は半導体窒化物及びこれらの組合わせであって、望ましくはGaN、InGaN、AlGaNとAlInGaNのいずれか一つの物質よりなる基板であることがエピ層の特性の向上のために望ましい。」と記載されている。
また、「活性層314」について、引用例1には、上記イの【0044】に「前記活性層314はIn_(x)Ga_(1-x)Nなどよりなる。」と記載されている。
さらに、除去された窒化物半導体基板310について、引用例1には、上記イの【0026】に「本発明の他の目的は、設けられたLLO層をレーザ光で除去して相対的に高価な窒化物半導体基板を分離してリサイクルできるようにして製造コストを節減できる低価格の発光ダイオードの製造方法を提供するところにある。」と記載されている。

3.対比
本願補正発明と引用発明を対比する。
(1)引用発明は、「発光ダイオードの製造方法」であるから、本願補正発明と同様に「電子または光電子デバイス構造体の製造方法」といえる。
(2)本願補正発明の「窒化物基板」について、本願明細書には【0016】に「本明細書で使用している『窒化物基板』という用語は、その少なくともかなりの部分がGaNで構成される基板、例えば少なくとも60重量パーセント(「wt%」)のGa、少なくとも70wt%のGa、少なくとも75wt%のGa、少なくとも80wt%のGa、少なくとも90wt%のGa、少なくとも95wt%のGa、少なくとも99wt%のGaまたは100wt%のGaで構成される基板を指す。このような基板は、GaNを様々に含むものであってもよく、また、GaNで構成されてもよく、あるいは、事実上GaNで構成されてもよい。」と記載されているところ、引用例1には、引用発明の「窒化物半導体基板310」について、上記のごとく「GaN、InGaN、AlGaNとAlInGaNのいずれか一つの物質よりなる基板であることがエピ層の特性の向上のために望ましい。」と記載されているから、引用例1には、「窒化物半導体基板310」を「GaN」よりなる基板としたものが記載されているものと認められるところであり、引用発明の「窒化物半導体基板310」は、本願補正発明の「窒化物基板」に相当する。
また、本願補正発明の「AlInGaN合金」について、本願明細書には【0018】に「本明細書で使用しているように、『AlInGaN合金』という用語はIII族の金属から選択される窒化物合金を指す。AlInGaN合金は、概して、(Al,In,Ga)NまたはAl_(x)Ga_(y)In_(1-x-y)N、但し0≦x≦1、0≦y≦1及びx+y≦1、で表される。本明細書において一般式AlInGaNで特定される場合、『AlInGaN合金』は、AlInGaNの安定した合金形態を生み出すための各成分の他の成分に対する化学量論的に適切な任意の割合または量(即ち、化学量論的係数xとyの変動)のいかなるものをも包含するものと解釈されることを意図している。…。本明細書において別段の指摘のない限り、『AlInGaN合金』という用語は、AlInGaN合金混合物、ドープ物質(例えば、n型またはp型もしくは補償型)及び非ドープ物質も含む。」と記載されているから、引用発明の「N-GaN層313」、「P-GaN層315」及び「(In_(x)Ga_(1-x)Nなどよりなる)活性層314」が本願補正発明の「AlInGaN合金」に相当することは明らかであって、結局、引用発明において、「窒化物半導体基板310の上部にLLO層311とN-GaN層313を形成し、前記N-GaN層313の上部に活性層314及びP-GaN層315を積層」することは、本願補正発明の「1層または複数層のAlInGaN合金を窒化物基板上にエピタキシャル成長させ、複合半導体デバイスを形成するステップ」に相当する。
(なお、前記「N-GaN層313」ないし「P-GaN層315」がエピタキシャル成長により形成されたものであることは、引用例1の【0025】、【0045】等の「エピ層」の記載からも明らかである。)
(3)引用発明において、「前記P-GaN層315上にキャリア371を形成」することは、本願補正発明の「前記複合半導体デバイスのエピタキシャル成長した1層または複数層のAlInGaN合金の上にキャリアを付着させるステップ」に相当する。
(4)引用発明において、「前記窒化物半導体基板310を除去した後前記キャリア371を除去する」ことは、本願補正発明の「前記複合半導体デバイスから前記基板を取り除くと共に、前記複合半導体デバイスから前記キャリアを取り除いて、結果的に電子または光電子デバイス構造体を形成するステップ」に相当する。
(5)引用発明の「活性層314」には「In_(x)Ga_(1-x)N」が採用されるものと認められるところ、この「In_(x)Ga_(1-x)N」は、「窒化物半導体基板310」の「GaN」とは異なるから、引用発明は、本願補正発明と同様に「前記AlInGaN合金の少なくとも1層は、前記窒化物基板とは異なる物質を含」むものといえ、また、引用発明は、「窒化物半導体基板310を除去」するものであるから、本願補正発明と同様に「前記電子または光電子デバイス構造体には成長の土台であった前記窒化物基板が存在しておらず」というものであるといえる。
(6)引用発明において除去された「窒化物半導体基板310」は、上記したように「リサイクルできるように」分離したものであるから、本願補正発明の「窒化物基板」と同様に「前記除去された窒化物基板は、実質的に無傷であり、研磨及び再使用に適している」ものといえる。

(7)以上のことから、両者は、
「電子または光電子デバイス構造体の製造方法であって、
1層または複数層のAlInGaN合金を窒化物基板上にエピタキシャル成長させ、複合半導体デバイスを形成するステップと、
前記複合半導体デバイスのエピタキシャル成長した1層または複数層のAlInGaN合金の上にキャリアを付着させるステップと、
前記複合半導体デバイスから前記基板を取り除くと共に、前記複合半導体デバイスから前記キャリアを取り除いて、結果的に電子または光電子デバイス構造体を形成するステップと
を備え、
前記AlInGaN合金の少なくとも1層は、前記窒化物基板とは異なる物質を含み、前記電子または光電子デバイス構造体には成長の土台であった前記窒化物基板が存在しておらず、
前記除去された窒化物基板は、実質的に無傷であり、研磨及び再使用に適している方法。」の点で一致する。

(8)一方、窒化物基板の除去について、本願補正発明では、「前記窒化物基板は破砕によって前記複合半導体デバイスから除去され、」とされているのに対し、引用発明では、レーザリフトオフを通じて窒化物半導体基板を分離するとされ、「破砕によって」除去するとはされていない点で、両者は相違する。

4.判断
上記相違点について検討する。
基板の除去に関して、平成25年4月3日提出の手続補正書までは、本願特許請求の範囲の請求項に「前記窒化物基板は研削、エッチング、光学的分離または破砕の何れかによって除去される」(請求項10)及び「前記窒化物基板は破砕によって除去され、前記破砕はイオンインプランテーション及びアニーリングによって実行される」(請求項11)と記載され、平成25年8月9日提出の手続補正書においても「前記窒化物基板は研削、エッチング、光子衝突、または破砕の何れかによって除去される」(請求項10)及び「前記窒化物基板は破砕によって除去され、前記破砕はイオンインプランテーション及びアニーリングによって実行される」(請求項11)と記載されていたことに鑑みれば、本願補正発明でいう「破砕によって」基板を除去するとは、レーザリフトオフのような「光学的分離」や「光子衝突」によって基板を除去することを意味するものではなく、「イオンインプランテーション及びアニーリングによって実行される」ような基板の除去を意味するものと認められるところ、前記「前記窒化物基板は破砕によって除去され、前記破砕はイオンインプランテーション及びアニーリングによって実行される」を発明特定事項とする請求項に係る発明に対する拒絶理由として、平成24年12月4日ないし平成25年9月10日発送の拒絶理由通知書において通知された国際公開第2007/025497号(以下「引用例2」という。)には、成長基板が再利用できるようにイオンインプランテーション及びアニーリングによってGaNの成長基板を分離することが記載されているから(第2頁4?8行の「Weiterhin … besteht.」の記載及び25頁2行?26頁2行の請求項1ないし4の記載参照。)、引用発明における「窒化物半導体基板310」の除去を引用例2に記載された技術でもって行い、上記相違点に係る本願補正発明の発明特定事項とすることに格別の困難性は認められない。

5.むすび
したがって、本願補正発明は、引用発明における「窒化物半導体基板310」の除去を引用例2に記載された技術により行うことによって、当業者が容易に発明できたものと認められ、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。
よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

III.本願発明について
1.本願発明
本件補正は上記のとおり却下され、平成26年3月5日付けの手続補正も却下されているので、本願の請求項に係る発明は、平成25年12月4日に提出された手続補正書の特許請求の範囲の請求項1ないし18に記載された事項によって特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりである。

「電子または光電子デバイス構造体の製造方法であって、
1層または複数層のAlInGaN合金を窒化物基板上にエピタキシャル成長させ、複合半導体デバイスを形成するステップと、
前記複合半導体デバイスのエピタキシャル成長した1層または複数層のAlInGaN合金の上にキャリアを付着させるステップと、
前記複合半導体デバイスから前記基板を取り除くと共に、前記複合半導体デバイスから前記キャリアを取り除いて、結果的に電子または光電子デバイス構造体を形成するステップと
を備え、
前記AlInGaN合金の少なくとも1層は、前記窒化物基板とは異なる物質を含み、前記電子または光電子デバイス構造体には成長の土台であった前記窒化物基板が存在しておらず、
前記窒化物基板を研削、エッチング、または破砕の何れかによって前記複合半導体デバイスから除去する方法。」

2.判断
本願発明は、本願補正発明における「前記窒化物基板は破砕によって前記複合半導体デバイスから除去され、前記除去された窒化物基板は、実質的に無傷であり、研磨及び再使用に適している」を「前記窒化物基板を研削、エッチング、または破砕の何れかによって前記複合半導体デバイスから除去する」としたものである。
してみると、本願発明において、窒化物基板を破砕によって前記複合半導体デバイスから除去する点については、上記II.[理由]2.?4.において検討したとおりであって、引用発明において、窒化物半導体基板310の除去を引用例2に記載された技術でもって行い、本願発明のごとく、破砕によって除去するようにすることに格別の困難性は認められない。
また、引用発明は、窒化物半導体基板を分離してリサイクルできるようにするために、LLO層をレーザ光で除去するようにしているが、引用発明は、引用例1の【0023】?【0025】の記載から明らかなように、基板として従来のサファイア基板に代えて窒化物半導体基板を採用したことにより、エピ層の特性が向上して高品位、高効率の発光ダイオードが得られるという利点を有するものであるところ、この利点は、窒化物半導体基板をリサイクルしなくても得られるものであることが当業者に明らかであり、リサイクルを要しない基板の除去方法として、研削やエッチングによる基板の除去方法は、平成25年12月17日発送の拒絶理由通知書において、特開2004-47918号公報(例えば、【0055】の「成長基板を窒化物半導体層から分離(除去)する方法としては、レーザ光照射、研磨、ケミカルポリッシュ(CMP処理)などが挙げられる。」の記載参照。)及び特開2006-310657号公報(例えば、【0046】の「基板分離は、成長基板13の材質に応じて、研磨、ドライエッチ、ウェットエッチ、レーザリフトオフ法等を用いる。」の記載参照。)を引用して指摘したように本願の優先日時点で周知であるから、引用発明における「窒化物半導体基板310」の「除去」をこれらの周知の技術を用いて、本願発明のごとく研削やエッチングによって行うようにすることは当業者が容易になし得たものと認められる。

3.むすび
以上のとおりであって、本願発明は、引用発明及び引用例2に記載の技術事項に基づいて、また、引用発明及び上記周知技術に基づいて当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-04-15 
結審通知日 2015-04-21 
審決日 2015-05-07 
出願番号 特願2008-146971(P2008-146971)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01L)
P 1 8・ 575- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 村井 友和  
特許庁審判長 吉野 公夫
特許庁審判官 星野 浩一
▲高▼ 芳徳
発明の名称 格子整合基板上への窒化物系光電子/電子デバイス構造体の形成  
代理人 田中 光雄  
代理人 山崎 宏  
代理人 大畠 康  
代理人 磯江 悦子  

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