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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06Q
管理番号 1305973
審判番号 不服2012-4626  
総通号数 191 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-11-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-03-09 
確定日 2015-10-13 
事件の表示 特願2001-585535「通信ネットワークにおけるサービスノードへ接続されたエンドユーザ端末へのねらいの定められたメッセージの送信」拒絶査定不服審判事件〔平成13年11月22日国際公開、WO01/89243、平成15年11月11日国内公表、特表2003-533834〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は,2001年5月18日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2000年5月18日,スウェーデン国)を国際出願日とする出願であって,平成23年3月18日付けの拒絶理由通知に対して平成23年9月26日付けで手続補正がなされたが,平成23年11月4日付けで拒絶査定がなされ,これに対して平成24年3月9日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに手続補正がなされ,平成24年9月11日付けの審尋に対して平成25年3月14日付けで回答書が提出され,平成25年6月4日付けの当審の拒絶理由通知に対して平成25年12月9日付けで手続補正がなされたものである。

2.本願発明
本願の請求項7に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,平成25年12月9日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項7に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

「 【請求項7】
通信ネットワークによってエンドユーザ移動体端末により選択されて接続され,さらにwebベースのプロトコルを用い,専用のインタフェースによって第1のメッセージと第2のメッセージおのおのの異なるタイプの端末に適合された少なくとも第1及び第2のバージョンを有したインターネット広告者ノードとに接続され,前記インターネット広告者ノードに保持された少なくとも1つのメッセージを前記端末に提供するサービスプロバイダノードであって,
前記インターネット広告者ノードから前記端末が情報を取り出す前記端末への配信のために,前記少なくとも1つのメッセージの配信を前記インターネット広告者に対して要求し,前記要求において前記インターネット広告者ノードから提供されることになる前記メッセージを選択するときに用いられる広告のサイズと前記端末のタイプについての情報を含むパラメータを指定する手段と,
前記パラメータに従って前記インターネット広告者ノードにより選択され提供された前記少なくとも1つのメッセージの適切なバージョンを受信する手段とを有することを特徴とするサービスプロバイダノード。」

3.引用例
(1)引用例1
当審で通知した拒絶理由において引用した「特開平11-265398号公報」(以下,「引用例1」という。)には,図面とともに,次の事項が記載されている。(下線は関連する箇所を示すために当審において付したものである。以下,同様である。)

(ア)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,広告,イベント情報などの様々な情報をパソコンや携帯情報端末(PDA)等を所持するユーザに提供する情報提供システム及びその制御プログラムを記録した記録媒体に関する。」

(イ)「【0033】更に,請求項3の日時検出手段及び請求項4の個人情報保持手段は,それぞれ内部時計117及びユーザ情報ファイル132として具体化されている。図3に示す情報提供システムは,情報提供サーバ110,テレフォニーサーバ120,ユーザ管理サーバ130,地図サーバ140,店情報サーバ150及び広告イベント情報サーバ160を備えている。
【0034】図3に示すように,情報提供サーバ110,テレフォニーサーバ120,ユーザ管理サーバ130,地図サーバ140,店情報サーバ150及び広告イベント情報サーバ160は,LAN(ローカルエリアネットワーク)170を介して互いに接続されている。また,情報提供サーバ110はインターネット180に接続されている。テレフォニーサーバ120は通信回線250と接続されている。ユーザ管理サーバ130は位置情報提供サービス190と接続されている。
【0035】この形態で利用している位置情報提供サービス190は,PHS(パーソナルハンディホンシステム)端末からの信号に基づいてそのPHS端末の存在位置(緯度及び経度)を検出するサービスである。この形態においては,ユーザはパソコンや携帯情報端末(PDA)などのユーザ端末200からインターネット180を介してこの情報提供システムにアクセスできる。また,通信回線250を介して,この情報提供システムからユーザの所持する携帯情報端末や特定のFAX,ポケベル,携帯電話などに対して情報を自動送出することもできる。
【0036】情報提供サーバ110は,この情報提供システムに保持されている膨大な情報の中からユーザが必要としている特定の情報等を,ユーザ管理サーバ130,地図サーバ140,店情報サーバ150,広告イベント情報サーバ160と連携して抽出する。抽出された情報は,インターネット180又は通信回線250を介してユーザ端末200に提供される。
【0037】図4に示すように,情報提供サーバ110は,WWWサーバ118,データ合成装置114,セッション管理部115,制御部116及び内部時計117を備えている。WWWサーバ118は通信部111,ゲートウェイ112及びデータ管理部113で構成されている。制御部116は,情報提供サーバ110及びこれに接続されたテレフォニーサーバ120,ユーザ管理サーバ130,地図サーバ140,店情報サーバ150及び広告イベント情報サーバ160を統括して制御する。
【0038】制御部116の制御により,各サーバにおける情報の検索,検索結果のフィルタリング,抽出された情報の合成,ユーザ端末200への情報の配信などが実施される。WWWサーバ118は,データ管理部113に保持されるHTML形式データをインターネット180に送出したり,インターネット180からのユーザの入力を処理する。
【0039】セッション管理部115は,この情報提供システムと接続しているユーザのユーザID(ユーザ識別コード)やユーザに提供する地図などを管理する。内部時計117は,現在時刻及び日付の情報を制御部116に出力する。
【0040】テレフォニーサーバ120は,メディア変換装置121,回線接続装置122,課金管理部123及びモデムプール124を備えている。テレフォニーサーバ120は,通信回線250と接続されたモデムプール124を介して,各種通信手段,すなわち電話,FAX,ポケベル,PHS,携帯電話などに情報を配信できる。
【0041】地図サーバ140は,地図データ制御部141,地図データファイル142及びアイコンデータファイル143を備えている。地図データファイル142は様々な縮尺の膨大な地図データを保持している。アイコンデータファイル143は,様々なアイコン(絵文字),文字列,図形などの情報を保持している。地図データ制御部141は,情報提供サーバ110を介して入力されるユーザからの入力に従って,特定の範囲に限定された特定の縮尺の地図データを地図データファイル142から検索して抽出する。
【0042】また,地図データ制御部141は抽出した地図上に地名や代表的な目標物を表示するために,特定の図形や文字列をアイコンデータファイル143から抽出して地図データに合成し,合成されたデータを情報提供サーバ110に出力する。店情報サーバ150は,RDBMS(リレーショナルデータベース管理システム)151と店情報ファイル152を備えている。店情報ファイル152には,様々な店について,名称,住所,営業時間,料金,地図上の座標などの情報を保持している。
【0043】ユーザからの検索指示が情報提供サーバ110を介して入力されると,RDBMS151は該当する店を検索し,その店に関する詳細な情報を情報提供サーバ110に出力する。ユーザ管理サーバ130は,RDBMS131,ユーザ情報ファイル132,ログデータファイル133及び現在地情報取得管理部134を備えている。ユーザ情報ファイル132には,図13に示すようなユーザ情報テーブルが登録されている。
【0044】図13に示すように,このユーザ情報テーブルにはデータ項目として,「ユーザID」,「パスワード」,「氏名」,「氏名よみ」,「生年月日」,「性別」,「電子メールアドレス」,「住所1」,「住所2」,「電話番号1」?「電話番号5」,「FAX1」,「FAX2」,「受信方法順位」,「興味対象1」?「興味対象10」,「年収」,「職種コード」,「職業管理コード」及び「役職管理コード」の各項目が含まれている。
【0045】
(途中省略)
【0047】図4に示すログデータファイル133には,各ユーザの通信の記録やユーザ情報ファイル132の更新記録のデータが保存される。現在地情報取得管理部134は,位置検出が可能な登録されたユーザについて,定期的に現在位置の情報を取得して管理する。例えば,図13に示す「山田花子」さんのデータレコードを参照すると,PHS端末を所持していることがわかる。このため,位置情報提供サービス190を利用することにより,現在地情報取得管理部134では「山田花子」さんが所持するPHS端末の位置情報を必要に応じて取得できる。
【0048】RDBMS131は,情報提供サーバ110からの要求に応じて,ユーザ情報ファイル132,ログデータファイル133,現在地情報取得管理部134から特定のユーザの個人情報を取り出し,情報提供サーバ110の制御部116に渡す。制御部116は,ユーザの個人情報に基づいて,情報の選別や連絡先の決定などを実施する。
【0049】図4に示すように,広告イベント情報サーバ160にはRDBMS161,広告イベント情報ファイル162及びログ情報ファイル163が備わっている。広告イベント情報ファイル162には,図14,図15に示すような広告イベント情報テーブルが登録されている。図14を参照すると,この広告イベント情報テーブルのデータ項目には,「広告イベントID」,「名称」,「名称よみ」,「住所」,「郵便番号」,「電話番号」,「連絡先名称」,「連絡先住所」,「連絡先郵便番号」,「連絡先電話番号」,「分類」,「開始日時」,「終了日時」,「掲載開始日時」,「掲載終了日時」,「掲載緯度MIN」,「掲載緯度MAX」,「掲載経度MIN」,「掲載経度MAX」,「キャッチフレーズ」,「URL」,「表示雛形ファイル」,「緯度」,「経度」,「アイコンNo.」,「対象ユーザ1」?「対象ユーザ5」,「対象年齢MIN」,「対象年齢MAX」,「対象性別」,「対象年収MIN」,「対象年収MAX」,「対象職種」及び「対象職業」が含まれている。
【0050】
(途中省略)
【0051】また,掲載(提供)対象ユーザを識別するための趣向が「対象ユーザ1」?「対象ユーザ5」の各項目に示されている。同様に,年齢の範囲が3歳から100歳に限定され,年収の範囲が「0」?「9999999999」に定めてある。また,対象ユーザの性別,職種,職業についても指定されている。図4に示すRDBMS161は,情報提供サーバ110の制御部116からの要求に従って,広告イベント情報ファイル162の内容を検索し,抽出された広告イベント情報のデータを情報提供サーバ110に渡す。ログ情報ファイル163には,広告イベント情報ファイル162の更新の記録や,広告掲載の記録が保存される。
【0052】ユーザが,ユーザ端末200からインターネット180を介してこの情報提供システムにアクセスすると,ユーザ端末200の表示画面上には,例えば図16の上側に示された地図情報表示エリアのような地図情報が表示される。また,ユーザの能動的な入力操作に応じて,表示される地図の縮尺や表示範囲が切り替わる。このようにユーザが地図の検索を実施するときに,この情報提供システムは図5に示す処理を実施する。
【0053】図5の処理によって,図16の上側の地図情報表示エリアに地図情報が表示されるだけでなく,図16の下側の広告イベント情報表示エリアには特別な広告イベント情報が表示される。広告イベント情報表示エリアに表示される情報は,ユーザが能動的に取り出したものではなく,情報提供システムが自動的に選択してユーザに提供するものである。
【0054】図5の処理は制御部116により実行される。図5に示すステップS13においては,ユーザからの入力に応答して,特定の領域の地図画像データD1を生成する。すなわち,地図サーバ140を用いて,特定領域の地図を抽出する。
【0055】ステップS14においては,ユーザからの入力に応答して,特定の条件に適合する店情報D2を検索する。すなわち,店情報サーバ150に蓄積された店情報の中から特定の店情報D2を抽出する。ステップS15では,ステップS13で抽出した地図画像データD1とステップS14で抽出した店情報D2を合成してフレーム情報D0を生成する。このフレーム情報D0が,図16に示す地図情報表示エリアに表示される。
【0056】なお,ステップS13,S14,S15におけるフレーム情報D0の生成については,従来のシステムで実施されている情報提供のための処理と基本的に違いはない。次のステップS16においては,ステップS13で生成した地図画像データD1の地図の中心位置の座標を,ユーザの注目位置とみなして取得する。
【0057】ステップS17においては,ユーザIDに基づいて,ユーザ管理サーバ130に登録されている様々なユーザ情報のうち,ユーザの属性と趣向の情報を取得する。ここで使用するユーザIDは,ユーザがこの情報提供システムと接続する際にユーザがIDとして入力した情報である。このユーザIDはステップS11で取得される。
【0058】ステップS17で取得するユーザの属性には,年齢,性別,年収,職種及び職業が含まれる。なお,年齢の情報については,生年月日の情報に基づき計算により取得する。また,ステップS17で取得するユーザの趣向には,図13のデータ項目に示される「興味対象1」?「興味対象10」の各項目のデータレコードが含まれる。
【0059】ステップS18では,情報提供サーバ110の内部時計117から,現在の日時の情報を入力する。ステップS19では,ステップS16で取得した注目位置の情報と,ステップS17で取得したユーザの属性及び趣向の情報と,ステップS18で取得した現在の日時に基づいて,広告イベント情報D3の検索を実施する。
【0060】ステップS19の詳細が図6に示されている。図6のステップS32においては,次に示す9個の条件の全てに適合する提供情報(広告イベント情報)を,広告イベント情報サーバ160の広告イベント情報ファイル162の中から検索する。
1.注目位置の経度Cxが広告イベント情報テーブルのデータ項目(図14参照)の「掲載経度MIN」(Cxmin)と「掲載経度MAX」(Cxmax)との範囲内にあること。
【0061】
(途中省略)
【0066】図5のステップS20においては,ステップS19で抽出された広告イベント情報D3と表示雛形ファイルの内容とに基づいて,例えば図10,図12に示すようなフレーム情報D4を生成する。ステップS20の詳細を図7に示す。図7のステップS41においては,広告イベント情報の表示雛形ファイルのデータを広告イベント情報サーバ160の広告イベント情報ファイル162から読み込む。
【0067】
(途中省略)
【0077】ユーザが候補の選択を変えない場合には,優先度の初期値が最大の「電子メール」が送付先として自動的に選択される。また,領域D4iに表示された「送付希望」をユーザがマウスなどでクリックすると,資料送付を要求する情報が広告イベント情報の提供者宛に転送される。図7の処理が終了すると,図5の処理に戻りステップS21を実行する。ステップS21では,ステップS15で生成されたフレーム情報D0とステップS20で生成されたフレーム情報D4とを合成して,情報ページD6を生成する。この情報ページD6は,例えば図16に示すように,地図の情報と自動的に選択された広告イベント情報との両方を含んでいる。」

(ウ)引用例1の図5には,ステップS22において,「情報ページD6をユーザに送出する」ことが記載されている。

引用例1の上記(ア)?(ウ)の記載及び図面の記載を総合すれば,引用例1には,次の発明(以下,「引用例1発明」という。)が記載されていると認められる。

「広告,イベント情報などの様々な情報をパソコンや携帯情報端末(PDA)等を所持するユーザに提供する情報提供システムにおける情報提供サーバ110であって,
情報提供システムは,情報提供サーバ110,ユーザ管理サーバ130,地図サーバ140,店情報サーバ150及び広告イベント情報サーバ160を備えており,
情報提供サーバ110,ユーザ管理サーバ130,地図サーバ140,店情報サーバ150及び広告イベント情報サーバ160は,LAN(ローカルエリアネットワーク)170を介して互いに接続されており,
情報提供サーバ110はインターネット180に接続されていて,ユーザはパソコンや携帯情報端末(PDA)などのユーザ端末200からインターネット180を介してこの情報提供システムにアクセスでき,
情報提供サーバ110は,この情報提供システムに保持されている膨大な情報の中からユーザが必要としている特定の情報等を,ユーザ管理サーバ130,地図サーバ140,店情報サーバ150,広告イベント情報サーバ160と連携して抽出し,抽出された情報は,インターネット180を介してユーザ端末200に提供され,
情報提供サーバ110は,WWWサーバ118,データ合成装置114,セッション管理部115,制御部116及び内部時計117を備え,制御部116は,情報提供サーバ110及びこれに接続されたユーザ管理サーバ130,地図サーバ140,店情報サーバ150及び広告イベント情報サーバ160を統括して制御するものであり,
制御部116の制御により,各サーバにおける情報の検索,検索結果のフィルタリング,抽出された情報の合成,ユーザ端末200への情報の配信などが実施され,
地図サーバ140は,地図データ制御部141及び地図データファイル142を備え,
地図データ制御部141は,情報提供サーバ110を介して入力されるユーザからの入力に従って,特定の範囲に限定された特定の縮尺の地図データを地図データファイル142から検索して抽出し,
店情報サーバ150は,RDBMS(リレーショナルデータベース管理システム)151と店情報ファイル152を備え,店情報ファイル152には,様々な店について,名称,住所,営業時間,料金,地図上の座標などの情報を保持しており,
ユーザからの検索指示が情報提供サーバ110を介して入力されると,RDBMS151は該当する店を検索し,その店に関する詳細な情報を情報提供サーバ110に出力し,
ユーザ管理サーバ130は,RDBMS131,ユーザ情報ファイル132,ログデータファイル133及び現在地情報取得管理部134を備えており,ユーザ情報ファイル132には,ユーザ情報テーブルが登録されており,
ユーザ情報テーブルにはデータ項目として,「ユーザID」,「パスワード」,「氏名」,「生年月日」,「性別」,「興味対象1」?「興味対象10」,「年収」,「職種コード」,「職業管理コード」及び「役職管理コード」の各項目が含まれており,
ログデータファイル133には,各ユーザの通信の記録やユーザ情報ファイル132の更新記録のデータが保存され,現在地情報取得管理部134は,位置検出が可能な登録されたユーザについて,定期的に現在位置の情報を取得して管理し,
RDBMS131は,情報提供サーバ110からの要求に応じて,ユーザ情報ファイル132,ログデータファイル133,現在地情報取得管理部134から特定のユーザの個人情報を取り出し,情報提供サーバ110の制御部116に渡し,制御部116は,ユーザの個人情報に基づいて,情報の選別を実施し,
広告イベント情報サーバ160にはRDBMS161,広告イベント情報ファイル162及びログ情報ファイル163が備わっており,広告イベント情報ファイル162には,広告イベント情報テーブルが登録されており,この広告イベント情報テーブルのデータ項目には,「広告イベントID」,「名称」,「開始日時」,「終了日時」,「掲載開始日時」,「掲載終了日時」,「掲載緯度MIN」,「掲載緯度MAX」,「掲載経度MIN」,「掲載経度MAX」,「緯度」,「経度」,「対象ユーザ1」?「対象ユーザ5」,「対象年齢MIN」,「対象年齢MAX」,「対象性別」,「対象年収MIN」,「対象年収MAX」,「対象職種」及び「対象職業」が含まれており,
掲載(提供)対象ユーザを識別するための趣向が「対象ユーザ1」?「対象ユーザ5」の各項目に示され,年齢の範囲が「対象年齢MIN」?「対象年齢MAX」に限定され,年収の範囲が「対象年収MIN」?「対象年収MAX」に定めてあり,また,対象ユーザの性別,職種,職業についても指定されており,
RDBMS161は,情報提供サーバ110の制御部116からの要求に従って,広告イベント情報ファイル162の内容を検索し,抽出された広告イベント情報のデータを情報提供サーバ110に渡し,ログ情報ファイル163には,広告掲載の記録が保存され,
ユーザが,ユーザ端末200からインターネット180を介してこの情報提供システムにアクセスすると,ユーザ端末200の表示画面上には,上側の地図情報表示エリアに地図情報が表示されるとともに,下側の広告イベント情報表示エリアには特別な広告イベント情報が表示され,この広告イベント情報表示エリアに表示される情報は,ユーザが能動的に取り出したものではなく,情報提供システムが自動的に選択してユーザに提供するものであり,
ユーザからの入力に応答して,特定の領域の地図画像データD1を生成し(ステップS13),
ユーザからの入力に応答して,特定の条件に適合する店情報D2を検索し(ステップS14),
ステップS13で抽出した地図画像データD1とステップS14で抽出した店情報D2を合成してフレーム情報D0を生成し,このフレーム情報D0が,地図情報表示エリアに表示され(ステップS15),
ステップS13で生成した地図画像データD1の地図の中心位置の座標を,ユーザの注目位置とみなして取得し(ステップS16),
ユーザIDに基づいて,ユーザ管理サーバ130に登録されている様々なユーザ情報のうち,ユーザの属性と趣向の情報を取得し(ステップS17),
ここで使用するユーザIDは,ユーザがこの情報提供システムと接続する際にユーザがIDとして入力した情報であり,ステップS17で取得するユーザの属性には,年齢,性別,年収,職種及び職業が含まれており,また,ステップS17で取得するユーザの趣向には,「興味対象1」?「興味対象10」の各項目のデータレコードが含まれており,
情報提供サーバ110の内部時計117から,現在の日時の情報を入力し(ステップS18),
ステップS16で取得した注目位置の情報と,ステップS17で取得したユーザの属性及び趣向の情報と,ステップS18で取得した現在の日時に基づいて,条件に適合する提供情報(広告イベント情報)を,広告イベント情報サーバ160の広告イベント情報ファイル162の中から検索し(ステップS19),
ステップS19で抽出された広告イベント情報D3と表示雛形ファイルの内容とに基づいて,フレーム情報D4を生成し(ステップS20),
ステップS15で生成されたフレーム情報D0とステップS20で生成されたフレーム情報D4とを合成して,情報ページD6を生成し(ステップS21),
この情報ページD6をユーザに送出する(ステップS22),
情報提供システムにおける情報提供サーバ110。」

(2)引用例2
当審で通知した拒絶理由において引用した「特開2000-132566号公報」(以下,「引用例2」という。)には,図面とともに,次の事項が記載されている。

(ア)「【0041】(用語説明)「端末属性情報」とは,端末装置の性能に関する情報であり,例えば画面サイズ,色数,入力装置,HTMLページを読み込めるメモリ量,機器のタイプ,CPUの種類やクロック数などのデータである。端末装置としては,インターネットテレビ,カーナビゲーション,デスクトップ型パソコン,携帯パソコン,PDA(いわゆる電子手帳などの個人向けの簡易な情報端末),携帯電話などがある。
【0042】(作用)ユーザは,ユーザ属性情報をプラットフォームへ送信する際に,自らが利用する端末装置の属性に関する端末属性情報をも送信する。プラットフォームは,ユーザ属性情報の中に端末属性情報をも蓄える。そして,ユーザが所望した情報を送信する場合,情報編集手段が端末属性情報に合わせて送信する情報を編集して編集情報とし,送信手段がその編集情報を送信する。
【0043】ユーザは,端末装置の属性に合わせた情報を得ることができる。例えば,画面の粗いインターネットテレビが端末であれば,情報編集手段が表示ドット数を落とすので,見やすいものとなる。また,端末の画面サイズに制約がある場合には,配信可能なコンテンツ選択やコンテンツ提供者が記述するコンテンツ属性情報に基づいてコンテンツの削除,組み替えなどの加工を行い,ユーザの使用している端末の画面に表示可能なコンテンツを送信することとしている。」

(イ)「【0073】(コンテンツ編集・配信システムの詳細)コンテンツ編集・配信システムとは,図4に示すように,ユーザが所望したコンテンツを,ユーザが使用している端末に合わせて最適化処理し,配信するためのシステムである。ユーザが使用している端末装置のスペックが低いのにデータ量の大きな情報を配信しても,受信に時間が掛かったり,ユーザが必要としていない情報までを送信することとなる可能性があるからである。
【0074】まず,ユーザがメニューから順にアクセスしたコンテンツについて,ユーザ属性情報,コンテンツ属性情報に該当するコンテンツをコンテンツリソースデータベースから抽出する。次に,抽出したリソース情報から,該当するコンテンツ読み込みと複数のコンテンツ編集を行う。
【0075】続いて,ユーザが使用している端末に合わせて,配信すべきコンテンツの最適化を行う。ユーザの使用端末についての属性情報は,ユーザのアクセス時に取得する。例えば,情報家電端末(コンピュータではない,例えばインターネットテレビなど)の端末属性を,HTTPのヘッダ情報から認識し,予めデータベースに記憶させておく。属性情報としては,画面サイズ,色数,入力装置,HTMLページを読み込めるメモリ量,機器のタイプ,CPUの条件などのデータであり,それらをデータベースに蓄える。そして,あらかじめ端末種類ごとに設定されたコンテンツ最適化処理を行う。例えば,画像サイズ調整,画像フォーマット変換,フレーム処理,ALT挿入,タグの削減などである。最後に,最低化したコンテンツを,ユーザの利用端末へ配信する。」

引用例2の上記(ア)(イ)の記載及び図面の記載を総合すれば,引用例2には,次の事項(以下,「引用例2記載事項」という。)が記載されていると認められる。

「インターネットテレビ,カーナビゲーション,デスクトップ型パソコン,携帯パソコン,PDA,携帯電話などの端末のユーザが,自らが利用する端末装置の属性,すなわち,画面サイズ,色数,入力装置,HTMLページを読み込めるメモリ量,機器のタイプ,CPUの種類やクロック数などの端末属性情報をプラットフォームに送信すると,プラットフォームは,データベースのユーザ属性情報の中に端末属性情報を蓄えておき,ユーザが所望したコンテンツ情報を送信する場合に,情報編集手段が端末属性情報に合わせて送信するコンテンツ情報を編集して編集情報とし,送信手段がその編集情報をユーザの利用端末へ送信する。」

(3)引用例3
当審で通知した拒絶理由において引用した「森 永輔,モバイル向けWebページを生成-アクセス時に表示形式を変換するソフトが登場-,日経コンピュータ no.495,日経BP社,2000年05月08日,第495号,p42?44」(以下,「引用例3」という。)には,図面とともに,次の事項が記載されている。

(ア)「iモード携帯電話をはじめ,各種のモバイル端末からインターネット経由でWebぺージにアクセスするモバイル・コンピューティングの市場が本格的に立ち上がろうとしている。こうした中で,モバイル端末向けWebぺージの作成や保守を容易にする新しいソフト製品が登場し始めた。パソコンのWebブラウザで表示するために作成されたWebぺージのファイル形式を,アクセス要求があったときに動的に変換して,iモード携帯電話, Windows CE搭載機,携帯情報端末のWorkPadやPalm などから閲覧できるようにする「Webぺージ変換ソフト」である(図1)。」(第42頁左欄第1行?同頁中欄第6行)

(イ)「端末ごとにWebべージを自動生成
契約件数がすでに600万件を超えたNTTドコモのiモードをはじめ,IDO(日本移動通信,東京都千代田区)のEZaccess ,DDI(第二電電)のEZweb ,J-フォン・グループのJ-スカイなど,携帯電話からWebぺージにアクセスできるようにするサービスは,利用者に大きな利便性をもらたした。その一方で,こうしたサービスのコンテンツ・プロバイダや,モバイル・コンピューティングに取り組む企業にとっては,Webぺージの作成・保守作業が大きな負担になりつつある。同じコンテンツのWebぺージを,端末の種類ごとに異なるファイル形式で作成したり,メンテンナンスしなければならないからだ。
Webぺージは通常,パソコンのWeb ブラウザで表示することを前提にHTML (ハイパーテキスト・マークアップ・ランゲージ)形式で作成する。これに対して,iモード向けのWebぺージは,HTMLのサブセットであるC-HTML(コンパクトHTML)形式で作成しなければならい。同様に,EZwebやEZaccess向けにはHDML(ハンドヘルド・デバイス・マークアップ・ランゲージ)形式,J-スカイ向けにはMML(モバイル・マークアップ・ランゲージ)形式のファイルを用意する必要がある。
Webぺージ変換ソフトを使えば,基本的にはHTML形式のWebぺージだけを用意すればすむ。Webぺージ変換ソフトがモバイル端末からのアクセス要求を受け取って,各端末に合ったWebぺージを自動生成してくれるからだ。コンテンツ・プロバイダや,モバイル端末を業務システムのクライアントとして利用する企業のほか,ASP(アプリケーション・サービス・プロバイダ)にとっても便利である。」(第42頁右欄第7行?第43頁左欄末行)

(ウ)「変換方法をあらかじめ定義しておく
(途中省略)
Webぺージ変換ソフトは,モバイル端末からのアクセス要求に応じてWebサーバーからWebぺージを受け取り,あらかじめ設定しておいた定義情報に基づいて,別の形式のWebぺージに変換する。変換後のデータはキャッシュしておくので,一度アクセスされたWebぺージに再びアクセス要求が来た場合は,結果を素早く返せる。」(第43頁中欄第1?20行)

(エ)「多様な端末に対応するPortal-to-go
それでは,製品ごとの特徴を見ていこう。
(途中省略)
日本オラクルのPortal-to-goは,最も多様なモバイル端末に対応する。C-HTML,HDML,MMLの各形式のほか,TTML(タグド・テキスト・マークアップ・ランゲージ)形式とWML(ワイヤレス・マークアップ・ランゲージ)形式のWebぺージも生成できる。TTMLはぺージャ向け,WMLはノキアやエリクソンの携帯電話向けである。」(第44頁左欄第1行?同欄末行)

引用例3の上記(ア)?(エ)の記載及び図面の記載を総合すれば,引用例3には,次の事項(以下,「引用例3記載事項A」「引用例3記載事項B」という。)が記載されていると認められる。

<引用例3記載事項A>
「Webぺージは通常,パソコンのWebブラウザで表示することを前提にHTML形式で作成されているため,携帯電話からWebぺージにアクセスできるようにするためには,iモード向けのWebぺージは,HTMLのサブセットであるC-HTML形式で作成しなければならず,また,EZwebやEZaccess向けにはHDML形式,J-スカイ向けにはMML形式のファイルを用意する必要があるところ,パソコンのWebブラウザで表示するために作成されたWebぺージのファイル形式を,アクセス要求があったときに動的に変換して,iモード携帯電話, Windows CE搭載機,携帯情報端末のWorkPadやPalm などから閲覧できるようにする「Webぺージ変換ソフト」であるPortal-to-goは,C-HTML,HDML,MMLの各形式のほか,ぺージャ向けのTTML形式や,ノキアやエリクソンの携帯電話向けのWML形式のWebぺージも生成することができる。」

<引用例3記載事項B>
「変換後のデータはキャッシュしておくので,一度アクセスされたWebぺージに再びアクセス要求が来た場合は,結果を素早く返せる。」

4.対比
本願発明と引用例1発明とを対比する。

(ア)引用例1発明において,情報提供サーバ110は,広告,イベント情報などの様々な情報を,インターネット180を介して,パソコンや携帯情報端末(PDA)などのユーザ端末200に提供しているから,引用例1発明の「インターネット180」「携帯情報端末(PDA)などのユーザ端末200」「情報提供サーバ110」がそれぞれ本願発明の「通信ネットワーク」「エンドユーザ移動体端末」「サービスプロバイダノード」に相当する。また,引用例1発明の「情報提供サーバ110」と本願発明の「サービスプロバイダノード」とは,共に「通信ネットワークによってエンドユーザ移動体端末に接続され」ている点で共通している。

(イ)引用例1発明の「広告イベント情報サーバ160のRDBMS161」は,「情報提供サーバ110の制御部116」からの要求に従って,広告イベント情報ファイル162の内容を検索し,抽出された広告イベント情報は,インターネット180を介してユーザ端末200に提供されるから,引用例1発明の「広告イベント情報サーバ160」が本願発明の「インターネット広告者ノード」に相当する。
引用例1発明では,広告イベント情報サーバ160において抽出された広告イベント情報のデータは情報提供サーバ110に渡され,インターネット180を介してユーザ端末200に提供されるから,引用例1発明の「広告イベント情報」が本願発明の「メッセージ」に相当する。
また,引用例1発明の広告イベント情報サーバ160の広告イベント情報ファイル162に,「複数」の広告イベント情報が蓄積されていることは,例えば引用例1の図15の記載からみても自明のことであり,引用例1発明の「複数の広告イベント情報」が本願発明の「第1のメッセージと第2のメッセージ」に相当するから,引用例1発明の「広告イベント情報サーバ160」と本願発明の「インターネット広告者ノード」とは,「第1のメッセージと第2のメッセージを有したインターネット広告者ノード」の点で共通している。
そして,情報提供サーバ110は,LAN170を介して広告イベント情報サーバ160(インターネット広告者ノード)に「接続され」ているから,引用例1発明の「情報提供サーバ110」と本願発明の「サービスプロバイダノード」とは,「第1のメッセージと第2のメッセージを有したインターネット広告者ノードに接続され」ている点で共通している。

(ウ)引用例1発明において,「広告イベント情報(メッセージ)」が,「広告イベント情報サーバ160(インターネット広告者ノード)」に「保持され」た「少なくとも1つの広告イベント情報(メッセージ)」であることは自明であり,「情報提供サーバ110(サービスプロバイダノード)」が,「広告イベント情報(メッセージ)」を「ユーザ端末200(端末)」に「提供」していることも自明であるから,引用例1発明の「情報提供サーバ110」と本願発明の「サービスプロバイダノード」とは,「インターネット広告者ノードに保持された少なくとも1つのメッセージを前記端末に提供する」点で共通している。

(エ)上記(ア)?(ウ)のことから,引用例1発明と本願発明とは,後記する点で相違するものの,「通信ネットワークによってエンドユーザ移動体端末に接続され,さらに第1のメッセージと第2のメッセージを有したインターネット広告者ノードに接続され,前記インターネット広告者ノードに保持された少なくとも1つのメッセージを前記端末に提供するサービスプロバイダノード」の点で共通している。

(オ)引用例1発明では,広告イベント情報サーバ160のRDBMS161が,情報提供サーバ110の制御部116からの「要求」に従って,広告イベント情報ファイル162の内容を検索し,抽出された広告イベント情報のデータを情報提供サーバ110に渡しており,このとき,情報提供サーバ110の制御部116が,広告イベント情報サーバ160へ広告イベント情報の検索を「要求」していることは明らかであるから,引用例1発明の「情報提供サーバ110の制御部116から広告イベント情報サーバ160へ広告イベント情報の検索を要求」することが本願発明の「少なくとも1つのメッセージの配信をインターネット広告者(当審注:「インターネット広告者」は,「インターネット広告者ノード」の誤記と認められる。)に対して要求」することに相当する。
また,当該「要求」が,「広告イベント情報サーバ160(インターネット広告者ノード)からユーザ端末200(端末)が情報を取り出す,前記ユーザ端末200(端末)への配信のために」行われていることは自明のことである。

(カ)引用例1発明において,広告イベント情報サーバ160における広告イベント情報の検索に際しては,ユーザ管理サーバ130から取得した「ユーザの属性と趣向の情報」に基づいて,条件に適合する提供情報(広告イベント情報)を検索しており,引用例1発明の「広告イベント情報」は,「広告イベント情報サーバ160(インターネット広告者ノード)から提供されることになる広告イベント情報(メッセージ)」であるから,引用例1発明の「ユーザの属性と趣向の情報」が本願発明の「インターネット広告者ノードから提供されることになるメッセージを選択するときに用いられるパラメータ」に相当する。
そして,情報提供サーバ110の制御部116が,広告イベント情報サーバ160への検索の「要求」において前記「パラメータ」を「指定」していることは明らかであるから,情報提供サーバ110が,「パラメータを指定する手段」を有していることは自明のことである。
してみれば,引用例1発明の「情報提供サーバ110」と本願発明の「サービスプロバイダノード」とは,「要求においてインターネット広告者ノードから提供されることになるメッセージを選択するときに用いられるパラメータを指定する手段」を有する点で共通している。

(キ)上記(オ)(カ)のことから,引用例1発明の「情報提供サーバ110」と本願発明の「サービスプロバイダノード」とは,後記する点で相違するものの,「インターネット広告者ノードから端末が情報を取り出す前記端末への配信のために,少なくとも1つのメッセージの配信を前記インターネット広告者ノードに対して要求し,前記要求において前記インターネット広告者ノードから提供されることになる前記メッセージを選択するときに用いられるパラメータを指定する手段」を有する点で共通している。

(ク)引用例1発明では,広告イベント情報サーバ160のRDBMS161が抽出した広告イベント情報のデータを情報提供サーバ110に渡しているから,引用例1発明の「情報提供サーバ110」が,「広告イベント情報(メッセージ)を受信する手段」を有していることは明らかである。
また,引用例1発明の「広告イベント情報サーバ160のRDBMS161が抽出した広告イベント情報」が本願発明の「パラメータに従ってインターネット広告者ノードにより選択され提供された少なくとも1つのメッセージ」に相当する。
してみれば,引用例1発明の「情報提供サーバ110」と本願発明の「サービスプロバイダノード」とは,後記する点で相違するものの,「パラメータに従ってインターネット広告者ノードにより選択され提供された少なくとも1つのメッセージを受信する手段」を有する点で共通している。

そうすると,本願発明と引用例1発明とは,

「通信ネットワークによってエンドユーザ移動体端末により接続され,さらに第1のメッセージと第2のメッセージを有したインターネット広告者ノードに接続され,前記インターネット広告者ノードに保持された少なくとも1つのメッセージを前記端末に提供するサービスプロバイダノードであって,
前記インターネット広告者ノードから前記端末が情報を取り出す前記端末への配信のために,前記少なくとも1つのメッセージの配信を前記インターネット広告者ノードに対して要求し,前記要求において前記インターネット広告者ノードから提供されることになる前記メッセージを選択するときに用いられるパラメータを指定する手段と,
前記パラメータに従って前記インターネット広告者ノードにより選択され提供された前記少なくとも1つのメッセージを受信する手段とを有するサービスプロバイダノード。」

の点で一致し,次の点で相違する。

[相違点1]
本願発明では,サービスプロバイダノードが,エンドユーザ移動体端末により「選択されて」接続されるのに対して,引用例1発明では,情報提供サーバ110が,ユーザ端末200に「選択されて」いるかどうか明らかではない点。

[相違点2]
本願発明では,サービスプロバイダノードとインターネット広告者ノードとが,「webベースのプロトコルを用い,専用のインタフェースによって」接続されているのに対して,引用例1発明は,情報提供サーバ110と広告イベント情報サーバ160とが,LAN170によって接続されている点。

[相違点3]
本願発明では,インターネット広告者ノードが第1のメッセージと第2のメッセージについて,「おのおのの異なるタイプの端末に適合された少なくとも第1及び第2のバージョン」を有しており,サービスプロバイダノードが,メッセージの配信要求において,「端末のタイプについての情報を含む」パラメータを指定すると,インターネット広告者ノードは,当該パラメータに従って,メッセージの「適切なバージョン」を選択して提供するのに対して,引用例1発明はそのような構成となっていない点。

[相違点4]
本願発明では,サービスプロバイダノードが,メッセージの配信要求において,「広告のサイズについての情報を含む」パラメータを指定しているのに対して,引用例1発明は,そのような構成となっていない点。

5.当審の判断
上記相違点について検討する。

[相違点1]について
例えば引用例1の段落【0002】?【0003】の【従来の技術】に「パソコンや携帯情報端末等を所持するユーザは,例えばインターネットを介して,それに接続された膨大な情報源の何れかに順次にアクセスできる。膨大な情報源の中からユーザが必要とする特定の情報源を探しだして選択するために,一般にユーザは試行錯誤により様々な入力操作を繰り返す。例えば,特定のキーワードに対応づけられた情報源をインターネット上に設けられた検索システムを用いて抽出したり,取得した情報に含まれるリンクを順次にたどって目的とする情報源を探すことになる。」と記載されているように,インターネットに接続された複数の情報源の中から特定の情報源を選択して情報を取得することは周知技術である。
してみれば,引用例1発明において,地図情報を提供する情報提供システムに加えて,他の情報を提供する複数の情報提供システムを設け,ユーザが所望の情報提供システムを「選択」できるようにすること,すなわち,ユーザに選択された情報提供システムの情報提供サーバ110が,ユーザ端末200により,「選択されて」接続されるように構成することは当業者が容易に想到し得たことである。

[相違点2]について
LANを介して通信を行う際に,HTTPなどの「webベースのプロトコル」を用いることは,例えば特開2000-122952号公報(特に段落【0016】の記載参照),特開平11-149448号公報(特に段落【0024】?【0026】,図3の記載参照),特開平10-334023号公報(特に段落【0046】の記載参照)等に記載されているように周知技術である。
また,引用例1発明において,情報提供サーバ110と広告イベント情報サーバ160との間を「専用のインタフェースによって」接続するようにすることは,当業者が適宜なし得る設計的事項である。
してみれば,引用例1発明において,LANを介して通信を行う,情報提供サーバ110と広告イベント情報サーバ160との間を,「webベースのプロトコルを用い,専用のインタフェースによって」接続するように構成することは,当業者が容易に想到し得たことである。

[相違点3]について
サーバから端末に送信するコンテンツを,端末の属性(端末のタイプ)に応じたものとすることは周知技術(以下,「周知技術A」という。)である。
引用例2には,前記のとおり,
「インターネットテレビ,カーナビゲーション,デスクトップ型パソコン,携帯パソコン,PDA,携帯電話などの端末のユーザが,自らが利用する端末装置の属性,すなわち,画面サイズ,色数,入力装置,HTMLページを読み込めるメモリ量,機器のタイプ,CPUの種類やクロック数などの端末属性情報をプラットフォームに送信すると,プラットフォームは,データベースのユーザ属性情報の中に端末属性情報を蓄えておき,ユーザが所望したコンテンツ情報を送信する場合に,情報編集手段が端末属性情報に合わせて送信するコンテンツ情報を編集して編集情報とし,送信手段がその編集情報をユーザの利用端末へ送信する。」
との事項(引用例2記載事項)が記載されている。
また,引用例3には,前記のとおり,
「Webぺージは通常,パソコンのWebブラウザで表示することを前提にHTML形式で作成されているため,携帯電話からWebぺージにアクセスできるようにするためには,iモード向けのWebぺージは,HTMLのサブセットであるC-HTML形式で作成しなければならず,また,EZwebやEZaccess向けにはHDML形式,J-スカイ向けにはMML形式のファイルを用意する必要があるところ,パソコンのWebブラウザで表示するために作成されたWebぺージのファイル形式を,アクセス要求があったときに動的に変換して,iモード携帯電話, Windows CE搭載機,携帯情報端末のWorkPadやPalm などから閲覧できるようにする「Webぺージ変換ソフト」であるPortal-to-goは,C-HTML,HDML,MMLの各形式のほか,ぺージャ向けのTTML形式や,ノキアやエリクソンの携帯電話向けのWML形式のWebぺージも生成することができる。」
との事項(引用例3記載事項A)が記載されている。

一方,複数のバージョンのコンテンツを予め作成しておき,その中から所望のバージョンを選択して提供するようにすれば,コンテンツの提供速度が速くなることは,引用例3記載事項Bに「変換後のデータはキャッシュしておくので,一度アクセスされたWebぺージに再びアクセス要求が来た場合は,結果を素早く返せる。」と記載されているように,自明のことであるから,コンテンツを提供する際に,コンテンツの提供速度をより速くするべく,複数のバージョンのコンテンツを予め作成しておくことは,当業者が必要に応じて適宜なし得る設計的事項である。

してみれば,引用例1発明において,コンテンツを端末に送信するにあたり,コンテンツを,端末のタイプに応じたものとし,その際,複数のバージョンのコンテンツを予め作成しておき,その中から所望のバージョンを選択して提供するように構成することは,当業者が容易に想到し得たことである。

[相違点4]について
例えば引用例2記載事項に見られるように,端末のタイプによって,画面サイズやメモリ量に制約があることは,よく知られていることであるから,引用例1発明に上記周知技術Aを適用する際,「端末のタイプ」に加えて,画面サイズやメモリ量に適合する「広告のサイズ」も指定するように構成することは,当業者が容易に想到し得たことである。

そして,本願発明の作用効果も,引用例1発明,引用例2,3記載事項及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。

6.審判請求人の主張について
審判請求人は,平成25年12月9日の意見書において,以下のとおり主張している。
「引用文献1では広告者イベント情報サーバがLANを介して1つの情報提供サーバに接続され広告情報が提供されるのに対し,補正後の本願発明では複数のサービスプロバイダノードに共通に接続されたインターネット広告者ノードを備え,そのノードが移動体端末のタイプに対応した広告メッセージを備えるようにした点で両者は相違します。
補正後の本願発明によれば,webベースのプロトコルを用い,専用のインタフェースを介して複数のサービスプロバイダノードにインターネット広告者ノードが接続されるので,移動体端末によりどんなサービスプロバイダノードが選択されるのかに係らず,同じ広告情報を選択されたサービスプロバイダノードからその移動体端末に呈示することができます。
・・・
しかしながら,引用文献1には,補正後の本願発明にように専用のインタフェースを介して複数のサービスプロバイダノードにインターネット広告者ノードが接続される構成が開示されていませんし,その示唆すらもありません。例えば,引用文献1の図3のシステム構成の場合,ユーザ端末に接続されるのは1つの情報提供サーバであり,その1つの情報提供サーバが1つの広告イベント情報サーバにLANを介して接続される構成が開示されるのみです。
従って,引用文献1では,ユーザ端末が別のサービスプロバイダノードにアクセスした場合,前記インターネット広告者ノードには接続されず,そのユーザ端末に前記インターネット広告者ノードが意図した広告が提示されません。また,広告イベント情報サーバと情報提供サーバとはLANで接続されているので,これら2つのサーバは互いに距離が離れて設置されることもありません。このシステムは局所的なシステムであると言わざるを得ません。このようにLANで接続されていることからも,複数のサービスプロバイダが存在することを引用文献1が示唆しているとは言えません。」

しかしながら,本願発明(請求項7)には,「複数のサービスプロバイダノードに共通に接続されたインターネット広告者ノードを備え」るとの構成が具体的に特定されているとは認められない。
また,仮に,本願発明において,そのような構成が特定されたとしても,引用例1発明の情報提供システムにおいて,例えば,提供するコンテンツ等に対応して複数の情報提供システムを設け,その際,共通の構成である広告イベント情報サーバ160を複数の情報提供システムで共用するために,一つの広告イベント情報サーバ160を複数の情報提供システムにネットワークを介して接続するように構成することは,当業者であれば適宜なし得る設計的事項であり,また,そのように構成すれば,「移動体端末によりどんなサービスプロバイダノードが選択されるのかに係らず,同じ広告情報を選択されたサービスプロバイダノードからその移動体端末に呈示することができる」との効果を奏することは,当業者にとって自明のことである。

6.むすび
以上のとおり,本願発明は,引用例1発明,引用例2,3記載事項及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって,本願は他の請求項について検討するまでもなく拒絶されるべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-05-12 
結審通知日 2014-05-16 
審決日 2014-05-28 
出願番号 特願2001-585535(P2001-585535)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G06Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 貝塚 涼  
特許庁審判長 西山 昇
特許庁審判官 清田 健一
須田 勝巳
発明の名称 通信ネットワークにおけるサービスノードへ接続されたエンドユーザ端末へのねらいの定められたメッセージの送信  
代理人 大塚 康弘  
代理人 下山 治  
代理人 木村 秀二  
代理人 大塚 康徳  
代理人 高柳 司郎  

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