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審決分類 |
審判 査定不服 特174条1項 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F |
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管理番号 | 1306060 |
審判番号 | 不服2014-12171 |
総通号数 | 191 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2015-11-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2014-06-25 |
確定日 | 2015-10-01 |
事件の表示 | 特願2012-286250「入力装置および入力装置の制御方法」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 3月28日出願公開、特開2013- 58269〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成21年1月28日に出願した特願2009-017322号(以下、「原出願」という。)の一部を平成24年12月27日に新たな特許出願としたものであって、平成25年1月28日付けで手続補正がなされ、同年8月13日付けで拒絶理由通知がなされ、平成26年3月18日付けで拒絶査定がなされ、同年6月25日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、その後当審において、平成27年5月11日付けで拒絶理由を通知し、同年7月13日付けで手続補正がなされたものである(平成27年7月13日付けの手続補正を、以下、「本件補正」という。)。 2.当審が通知した拒絶理由 平成27年5月11日付けで当審が通知した拒絶理由は、 「1.本願の出願日について 本願の特許請求の範囲に記載された事項は、下の(1)、(2)に示す理由で、原出願(特願2009-17322号)の出願当初の明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「原出願当初明細書等」という。)に記載された事項の範囲内のものとは認められない。 したがって、本願の出願日は、原出願の出願日(平成21年1月28日)には遡及せず、本願の実際の出願日(平成24年12月27日)である。 (1)請求項1の「前記制御部は、前記表示部に表示されたオープンしている全てのフォルダをクローズするために、所定の荷重基準を満たす押圧荷重が前記荷重検出部により検出されることを少なくとも1つの要件とするように制御する」という発明特定事項(以下、「発明特定事項A」という。)は、原出願当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものである。 なぜならば、発明特定事項Aは、原出願当初明細書等の段落0089-0100、図13、14(以下、「根拠箇所A」という。)に記載された技術的事項を上位概念化して記載したものと認められるが、その上位概念化により、原出願当初明細書等に記載した事項以外の技術的事項が追加されているからである。 説明するに、根拠箇所Aの記載からは、「『第1の荷重基準を満たす状態から、第1の荷重基準よりも低い第2の荷重基準を満たさない状態への変化が検出される』という条件が満たされた場合に、オープンしている全てのフォルダをクローズする」といった程度の技術的事項が記載されていると理解されるだけであって、「『第1の荷重基準を満たす状態から、第1の荷重基準よりも低い第2の荷重基準を満たさない状態への変化が検出される』という条件は満たされないが、『所定の荷重基準を満たす押圧荷重が前記荷重検出部により検出される』という条件が満たされる場合に、オープンしている全てのフォルダをクローズする」という技術的事項や「『第1の荷重基準を満たす状態から、第1の荷重基準よりも低い第2の荷重基準を満たさない状態への変化が検出される』という条件に加えて更なる何らかの条件が満たされた場合に初めて、オープンしている全てのフォルダをクローズする」という技術的事項までが記載されているとは理解できないが、発明特定事項Aは、そのような技術的事項を明らかに含むものである。 請求項3の「前記工程において、表示されたオープンしている全てのフォルダをクローズするために、所定の荷重基準を満たす押圧荷重が前記荷重検出部により検出されることを少なくとも1つの要件とする」という発明特定事項についても同様である。 (2)・・・(略)・・・」 という認定を前提にしたものであり、当該拒絶理由のうち、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていないことを理由とするものは、次のとおりである。 「(1)平成25年1月28日付けでした手続補正は、下記の点で願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。 記 本願の出願当初の明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「本願当初明細書等」という。)の記載内容は、原出願当初明細書等の記載内容と同じであり、上記1.で指摘した発明特定事項A、Bは、いずれも、平成25年1月28日付けでした手続補正により導入されたものである。 したがって、上記1.と同様の理由で、上記発明特定事項A、Bは、本願当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係においても、新たな技術的事項を導入するものである。」 3.当審の判断 当審は、本件補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものでなく、上記特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていないことを理由とする拒絶理由は、解消していないと判断する。 理由は次のとおりである。 本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載は下の<本件補正後の請求項1>の欄に転記するとおりであるが、そのうちの下線を施した「前記制御部は、前記表示部に表示されたオープンしている全てのフォルダをクローズするために、第1の荷重基準を満たす状態から、該第1の荷重基準よりも低い第2の荷重基準を満たさない状態への変化が検出されることを少なくとも1つの要件とするように制御する」という発明特定事項(以下、「発明特定事項A’」という。)は、本願の出願当初の明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という。)等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項に該当するものといわざるを得ず、そのことは、本件補正が、当初明細書等に記載した事項の範囲内でされたものでないことを意味し、上記平成27年5月11日付けで当審が通知した拒絶理由であって、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たさないことを理由とする拒絶理由が解消していないことを意味する。 <本件補正後の請求項1> 「 【請求項1】 フォルダのオブジェクトを表示する表示部と、 入力部と、 前記入力部に対する押圧荷重を検出する荷重検出部と、 前記表示部に表示されたオープンしている全てのフォルダをクローズするように制御する制御部と、を備え、 前記制御部は、前記表示部に表示されたオープンしている全てのフォルダをクローズするために、第1の荷重基準を満たす状態から、該第1の荷重基準よりも低い第2の荷重基準を満たさない状態への変化が検出されることを少なくとも1つの要件とするように制御する、 ことを特徴とする入力装置。」 ここで、当審が、上記発明特定事項A’は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項に該当する、と判断する理由は次のとおりである。 発明特定事項A’は、その「・・・を少なくとも1つの要件とするように制御する」という文言からみて、上記当審が通知した拒絶理由の中で指摘した「『第1の荷重基準を満たす状態から、第1の荷重基準よりも低い第2の荷重基準を満たさない状態への変化が検出される』という条件に加えて更なる何らかの条件が満たされた場合に初めて、オープンしている全てのフォルダをクローズする」という技術的事項、換言すれば、「『第1の荷重基準を満たす状態から、第1の荷重基準よりも低い第2の荷重基準を満たさない状態への変化が検出される』という条件が満たされても、他の何らかの条件が満たされない場合には、オープンしている全てのフォルダをクローズするという動作は行わない場合がある」という技術的事項を明らかに含んでいるが、そのような技術的事項は、当初明細書等に記載されていないし、当業者に自明な事項であるとも認められない。 なお、発明特定事項A’が含んでいることが明らかな上記「『第1の荷重基準を満たす状態から、第1の荷重基準よりも低い第2の荷重基準を満たさない状態への変化が検出される』という条件に加えて更なる何らかの条件が満たされた場合に初めて、オープンしている全てのフォルダをクローズする」という技術的事項までが当初明細書等に記載されているとは理解できない、ということは、上述したように上記当審が通知した拒絶理由の中で指摘した事項であるが、審判請求人はそれに対する何らの反論もしていない。 4.むすび 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第3項の要件を満たさないものである。 したがって、本願は、他の拒絶の理由について検討するまでもなく、特許法第49条第1号の規定により拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2015-07-30 |
結審通知日 | 2015-08-04 |
審決日 | 2015-08-18 |
出願番号 | 特願2012-286250(P2012-286250) |
審決分類 |
P
1
8・
55-
WZ
(G06F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 岩崎 志保、涌井 智則 |
特許庁審判長 |
和田 志郎 |
特許庁審判官 |
小曳 満昭 山澤 宏 |
発明の名称 | 入力装置および入力装置の制御方法 |
代理人 | 杉村 憲司 |
代理人 | 大倉 昭人 |