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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H01L
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H01L
管理番号 1306335
審判番号 不服2013-22474  
総通号数 191 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-11-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-11-18 
確定日 2015-10-07 
事件の表示 特願2010-535211「チップアセンブリ、接続アセンブリ、LED、およびチップアセンブリの製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成21年 6月 4日国際公開、WO2009/067996、平成23年 2月17日国内公表、特表2011-505072〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯・本願発明
本願は、平成20年(2008年)11月21日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理 2007年11月28日、2008年4月30日、ドイツ)を国際出願日とする出願であって、平成23年8月30日に手続補正がなされ、平成25年2月13日付けで拒絶理由が通知され、同年5月14日に手続補正がなされたが、同年7月10日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年11月18日に拒絶査定不服審判請求がなされるとともに、これと同時に手続補正がなされ、その後、当審において平成26年9月24日付けで拒絶理由が通知され、平成27年3月31日に手続補正がなされたものである。
そして、本願の請求項に係る発明は、平成27年3月31日付け手続補正(以下「本願補正」という。)により補正された特許請求の範囲の請求項1?12に記載された事項により特定されるものであると認められるところ、その請求項1に係る発明は次のものである。
「電磁放射を放出する少なくとも1つの半導体チップ(1)を備えており、かつ接続アセンブリ(2)を備えている、オプトエレクトロニクス部品のチップアセンブリであって、
- 前記接続アセンブリ(2)が、互いに電気的に絶縁されている第1および第2の面(3,4)を有し、
- 少なくとも2つの電気的に絶縁されている導体(9,10)が、前記第1および第2の面(3,4)に配置されており、
- 前記第1および第2の面(3,4)のうち少なくとも1つが空洞(6)を有し、
- 前記半導体チップ(1)が、前記空洞(6)の中に配置されており、少なくとも2つの接続位置(7,8)を有し、
- 前記接続位置(7,8)のそれぞれが、それぞれの1つの前記導体(9,10)に導電接続されており、
- 前記第1および第2の面(3,4)のうち少なくとも前記第2の面(4)が放熱面であり、
- 少なくとも1つの第2の半導体チップ(1)が前記空洞(6)の中に設けられており、
- 前記第2の半導体チップ(1)が、同様に少なくとも2つの接続位置(7,8)を有し、
- 少なくとも2つの電気的に絶縁されているさらなる導体が、前記第1および第2の面(3,4)に配置されており、
- 前記第2の半導体チップ(1)の前記接続位置(7,8)のそれぞれが、前記さらなる導体のそれぞれの1つに導電接続されており、
- 前記第2の面(4)が電気的に絶縁されるように構成されており、
- 前記第1の面(3)および前記第2の面(4)のそれぞれはリードフレームを備え、
- 前記第1の面(3)のリードフレームは、前記少なくとも2つの電気的に絶縁されている導体と前記少なくとも2つの電気的に絶縁されているさらなる導体とを有し、
- 前記第1の面(3)と前記第2の面(4)の間および前記第2の面(4)の上に、前記第1および第2の面(3,4)を封止するためにプラスチックが射出成形法により配置されている、
チップアセンブリ。」(以下「本願補正発明」という。)

第2 平成26年9月24日付け拒絶理由通知の概要
平成26年9月24日付け拒絶理由通知の概要は、以下のとおりである。
『[理由1]
この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

(1)本願請求項1には、「面(3,4)」、「第1の面」及び「第2の面」に係り、下記の記載がある。
ア 「接続アセンブリ(2)が、互いに電気的に絶縁されている面(3,4)を有し」
イ 「少なくとも2つの電気的に絶縁されている導体(9,10)が、少なくとも2つの面(3,4)に配置されており」
ウ 「少なくとも1つの面(3,4)が空洞(6)を有し」
エ 「少なくとも一方の前記面(4)が放熱面であり」
オ 「少なくとも2つの電気的に絶縁されているさらなる導体が、少なくとも2つの面(3,4)に配置されており」
カ 「前記面(3,4)の少なくとも1つが電気的に絶縁されるように構成されており」
キ 「前記少なくとも2つの面(3,4)は第1の面および第2の面を含み」
ク 「前記第1の面および前記第2の面のそれぞれはリードフレームを備え」
ケ 「前記第1の面のリードフレームは、前記少なくとも2つの電気的に絶縁されている導体と前記少なくとも2つの電気的に絶縁されているさらなる導体とを有し」
コ 「前記第1の面と前記第2の面の間および前記第2の面の上に、前記少なくとも2つの面(3,4)を封止するためにプラスチックが射出成形法により配置されている」

(2)上記(1)によれば、「面(3,4)」、「第1の面」及び「第2の面」は下記のものとなる。
「面(3,4)」は、「接続アセンブリ(2)」が有するものであって、互いに電気的に絶縁され、少なくとも2つの電気的に絶縁されている「導体(9,10)」が配置され、少なくとも1つが「空洞(6)」を有し、少なくとも一方の「面(4)」が「放熱面」であり、少なくとも2つの電気的に絶縁されている「さらなる導体」が配置され、少なくとも1つが電気的に絶縁されるように構成されており、「第1の面」および「第2の面」を含み、
前記「第1の面」及び「第2の面」は、それぞれ「リードフレーム」を備え、「第1の面」の「リードフレーム」は、少なくとも2つの電気的に絶縁されている「導体」と少なくとも2つの電気的に絶縁されている「さらなる導体」とを有し、「第1の面」と「第2の面」の間、及び、「第2の面」の上に、「面(3,4)」を封止するためにプラスチックが射出成形法により配置されている。

(3)しかるところ、「面」は、通常は、2次元的な場所を指し、厚みをもたないものであるが、請求項1の記載は上記(2)のとおり、「面(3,4)」に「導体(9,10)」が配置され、「空洞(6)」を有し、「さらなる導体」が配置され、「第1の面」及び「第2の面」は、それぞれ「リードフレーム」を備え、「導体」、「さらなる導体」とを有するものとされている。
したがって、本願請求項1でいうところの「面」が何を意味するのか理解できない。
また、「面(3,4)」は、「導体(9,10)」及び「さらなる導体」が配置されるところ、「面(3,4)」が含む「第1の面」および「第2の面」がさらに「導体」及び「さらなる導体」とを有するとされ、「面(3,4)」、「第1の面」及び「第2の面」と、「導体(9,10)」及び「さらなる導体」の関係が理解できない。

(4)よって、請求項1における、「面(3,4)」、「第1の面」及び「第2の面」に係る記載は、不明確である。
同様の記載を有する請求項9、11も同様である。
また、「第3の面」との記載を含む請求項5も同様に不明確である。

[理由2]
本件出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

・請求項1?12に対して
引用文献1:国際公開第2006/089512号(特表2008-532299号公報参照)
引用文献2:国際公開第2006/059828号(特表2008-512867号公報参照)

1 本願発明について
上記の[理由1]で述べたように、請求項1?12の記載は不明確なものであるが、明細書の記載に基づいて解釈して、以下では、請求項1ないし12に係る発明をそれぞれ、本願発明1ないし12という。

2 引用文献及び引用発明
(1)本願優先日前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である引用文献1には、以下の記載がある(訳文を付した。なお、ドイツ語の"a-umlaut","o-umlaut","u-umlaut"及び"Eszett"は、それぞれ、"ae","oe","ue"及び"ss"と、それぞれ表記する。下線は当審にて付した。以下同じ。)。
ア 「1. Modul mit einer regelmaessigen Anordnung von einzelnen, strahlungs- emittierenden Halbleiterkoerpern (1) , die auf einer Montageflaeche (6) eines Traegers (2) aufgebracht sind, wobei eine Drahtverbindung (5) zwischen zwei benachbarten, Strahlungsemittierenden Halbleiterkoerpern (1) auf einer der Montageflaeche (6) gegenueberliegenden Oberseite der beiden Strahlungsemittierenden Halbleiterkoerper (1) angebracht ist .
2. Modul nach Anspruch 1, wobei die regelmaessige Anordnung einer Matrix aus Spalten und Zeilen entspricht .・・・
6. Modul nach einem der Ansprueche 2 bis 5, wobei die Strahlungsemittierenden Halbleiterkoerper (1) innerhalb einer Spalte seriell verschaltet sind.・・・
8. Modul nach einem der Ansprueche 2 bis 7, wobei die Oberseite eines Strahlungsemittierenden Halbleiterkoerpers eine Schicht eines ersten Leitungstyps und die Oberseite eines in der Spalte benachbarten, strahlungsemittie- renden Halbleiterkoerpers eine Schicht eines zweiten Leitungstyps aufweist.
9. Modul nach Anspruch 8, wobei der Traeger (2) auf der Montageflaeche (6) eine Metallisierung (4) aufweist.)(特許請求の範囲)
(【請求項1】
支持体(2)に設けられた搭載面(6)に被着されている、規則的に配置された、放射線を発する個々の半導体(1)を有するモジュールにおいて、互いに隣接し合った2つの、放射線を発する半導体(1)の間のワイヤ接続部(5)が、該両半導体(1)の、前記搭載面(6)とは反対の側の上面に取り付けられていることを特徴とする、放射線を発する半導体を備えたモジュール。
【請求項2】
規則的な配置が、複数の列と複数の行とから成るマトリックスに相当している、請求項1記載のモジュール。・・・
【請求項6】
同一列内の、放射線を発する半導体(1)が、直列に接続されている、請求項2から5までのいずれか1項記載のモジュール。・・・
【請求項8】
放射線を発する1つの半導体の上面が、第1の電気伝導タイプの層を有しており、該半導体に同一列内で隣接した、放射線を発する別の半導体の上面が、第2の電気伝導タイプの層を有している、請求項2から7までのいずれか1項記載のモジュール。
【請求項9】
支持体(2)が、搭載面(6)にメタライジング部(4)を有している、請求項8記載のモジュール。)

イ 「Ein erfindungsgemaesses Modul weist vorteilhafterweise einen Traeger auf, der ein elektrisch isolierendes Material enthaelt. Als verschleissfest, korrosionsbestaendig, UV-stabil und vor allem sehr gut waermeleitend zeichnet sich ein Traeger aus, der ein Keramikmaterial, zum Beispiel AL_(2)O_(3) oder AlN, enthaelt.」(8頁17?21行)
(本発明によるモジュールは、電気的に絶縁性の材料を含有する支持体を有していると有利である。セラミック材料、たとえばAl_(2)O_(3)またはAlNを含有する支持体が、耐摩耗性、耐食性、UV安定性およびとりわけ良熱伝導性の点ですぐれている。)

ウ 「Zum Schutz des Moduls vor schaedigenden aeusseren Einwirkungen koennen die einzelnen, Strahlungsemittierenden Halbleiterkoerper beziehungsweise kann das gesamte Modul vorzugsweise mit einer Formmasse umhuellt sein. Als Materialien eignen sich Reaktionsharze wie beispielsweise Epoxidharze, Acryl-Harze, Silicon-Harze und Polyurethan-Harze. Ferner koennen sich Hybridmaterialien wie zum Beispiel Mischungen aus Epoxidharzen und Silikon als besonders geeignet herausstellen, wobei die Hybridmaterialien beispielsweise gegenueber Epoxidharzen den Vorteil gesteigerter UV-Stabilitaet aufweisen.」(9頁18?27行)
(有害な外部作用からモジュールを保護するためには、放射線を発する個々の半導体もしくはモジュール全体が、有利には成形材料によって被覆されていてよい。材料としては、反応樹脂、たとえばエポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂およびポリウレタン樹脂が適している。さらに、ハイブリッド材料、たとえばエポキシ樹脂とシリコーンとから成る混合物が特に適していることが判る。この場合、ハイブリッド材料は、たとえばエポキシ樹脂に比べて、UV安定性の向上の利点を有している。)

エ 「In Figur 3 ist eine schematische Schnittansicht des ersten und zweiten Ausfuehrungsbeispiels dargestellt. Der Schnitt A-A verlaeuft entlang einer Spalte.
Auf dem Traeger 2 ist eine Metallisierung 4 aufgebracht, die in der Mitte des Traegers 2 eine Unterbrechung aufweist. Ferner sind auf dem Traeger 2 randseitig Bondpads 3 aufgebracht. Diese Bondpads 3 dienen dem elektrischen Anschluss der strah- lungsemittierenden Halbleiterkoerper 1. Die Halbleiterkoerper 1 sind in Zweiergruppen auf eine gemeinsame Metallisierung 4 montiert. Wie in der Figur 3 dargestellt bestehen diese Zweiergruppen aus zwei zueinander invers angeordneten, strah- lungsemittierenden Halbleiterkoerpern 1.

Der Strahlungsemittierende Halbleiterkoerper Ia weist an der der Montageflaeche abgewandten Seite eine p-Kontaktierung auf und ist mittels einer Drahtverbindung 5 an ein Bondpad 3 angeschlossen. Die n-Kontaktierung erfolgt mittels der Metallisierung 4, auf die der Strahlungsemittierende Halbleiterkoerper mittels eines Lotes oder Leitklebers montiert ist.

Der Halbleiterkoerper Ib weist hingegen auf der der Montage- flaeche 6 abgewandten Seite eine n-Kontaktierung und auf der der Montageflaeche 6 zugewandten Seite eine p-Kontaktierung auf . Die Strahlungsemittierenden Halbleiterkoerper Ia und Ib sind mittels der gemeinsamen Metallisierung 4, auf dem sich die beiden Halbleiterkoerper befinden, miteinander seriell verschaltet.

Die elektrische Verbindung des Halbleiterkoerpers Ib mit dem Halbleiterkoerper Ic, wobei die Metallisierung 4 zwischen den beiden Halbleiterkoerpern unterbrochen ist, erfolgt mittels einer Drahtverbindung 5 auf der der Montageflaeche 6 abgewandten Seite. Der Strahlungsemittierende Halbleiterkoerper Ic ist dabei in Bezug auf den Strahlungsemittierenden Halbleiterkoerper Ib invers angeordnet.

Der Halbleiterkoerper Id ist wiederum invers zum strahlungs- emittierenden Halbleiterkoerper Ic angeordnet und befindet sich mit diesem auf einer gemeinsamen Metallisierung 4. Die elektrische Verbindung ist mittels einer Drahtverbindung 5 zu einem Bondpad 3 hergestellt.

Die dargestellten Strahlungsemittierenden Halbleiterkoerper Ia bis Id sind somit seriell verschaltet.

Die Drahtverbindungen 5 verlaufen vorzugsweise auf der der Montageflaeche 6 abgewandten Seite der Strahlungsemittierenden Halbleiterkoerper Ia bis Id und sind auf einer Kontaktflaeche 8 der Strahlungsemittierenden Halbleiterkoerper 1 aufgebracht.」(13頁7行?14頁22行)
(図3には、第1実施例および第2実施例の概略的な断面図が示されている。断面A-Aは1つの列に沿って延びている。

支持体2にはメタライジング部4が被着されている。このメタライジング部4は支持体2の中央部に1つの中断部7を有している。さらに、支持体2の縁側にはボンディングパッド3が被着されている。これらのボンディングパッド3は、放射線を発する半導体1の電気的な接続のために働く。半導体1は2グループに分かれてそれぞれ1つの共通のメタライジング部4に搭載されている。図3に図示されているように、これらの2グループは互いに逆向きに反転配置された2つの、放射線を発する半導体1から成っている。

放射線を発する半導体1aは搭載面6とは反対の側にp-コンタクティング部を有していて、ワイヤ接続部5によって1つのボンディングパッド3に接続されている。n-コンタクティングはメタライジング部4によって行なわれ、このメタライジング部4には、はんだまたは導電性接着剤によって、放射線を発する半導体1が搭載されている。

それに対して、半導体1bは搭載面6とは反対の側にn-コンタクティング部を有し、搭載面6に面した側にp-コンタクティング部を有している。両放射線を発する半導体1a,1bは、これら両半導体が搭載されている共通のメタライジング部4によって互いに直列に接続されている。

半導体1bと半導体1cとの電気的な接続(両半導体1b,1cの間でメタライジング部4は中断されている)は、搭載面6とは反対の側でワイヤ接続部5によって行われる。放射線を発する半導体1cはこの場合、放射線を発する半導体1bに対して反転配置されている。

半導体1dはやはり放射線を発する半導体1cに対して反転配置されていて、この半導体1cと共に共通のメタライジング部4に載設されている。電気的な接続はワイヤ接続部5によってボンディングパッド3に対して形成されている。

したがって、図示の放射線を発する半導体1a,1b,1c,1dは直列に接続されている。

ワイヤ接続部5は有利には、放射線を発する半導体1a?1dの、搭載面6とは反対の側に延びていて、各放射線を発する半導体1のコンタクト面8に被着されている。)

オ 図3は、以下のものである。


カ 引用発明1
上記オの図3を参照して上記アないしエの摘記事項の記載を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「支持体に設けられた搭載面に被着されている、規則的に配置された、放射線を発する個々の半導体を有するモジュールであって、
互いに隣接し合った2つの、放射線を発する半導体の間のワイヤ接続部が、該両半導体の、前記搭載面とは反対の側の上面に取り付けられ、
前記規則的な配置が、複数の列と複数の行とから成るマトリックスに相当し、
同一列内の、前記放射線を発する半導体が、直列に接続され、
前記放射線を発する1つの半導体の上面が、第1の電気伝導タイプの層を有しており、該半導体に同一列内で隣接した、放射線を発する別の半導体の上面が、第2の電気伝導タイプの層を有し、
前記支持体が、前記搭載面にメタライジング部を有しており、
前記支持体は良熱伝導性であり、
前記モジュール全体が、成形材料によって被覆され、
放射線を発する半導体1aは前記搭載面とは反対の側にp-コンタクティング部を有していて、ワイヤ接続部によって1つのボンディングパッドに接続され、
n-コンタクティングは前記メタライジング部によって行なわれ、このメタライジング部には、はんだまたは導電性接着剤によって、放射線を発する半導体が搭載され、
半導体1bは前記搭載面とは反対の側にn-コンタクティング部を有し、前記搭載面に面した側にp-コンタクティング部を有し、
両放射線を発する半導体1a,1bは、これら両半導体が搭載されている共通のメタライジング部によって互いに直列に接続されている、放射線を発する半導体を備えたモジュール。」

(2)本願優先日前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である引用文献2には、以下の記載がある(訳文を付した。)。
ア 「[68] Referring to Fig. 7, the lead terminals 140 are cut to a desired length and bent at a desired angle such that they can be mounted on a PCB substrate (not shown).
[69] Further, as shown in Fig. 8, the heat sink 153 is inserted from below the second package housing 151 and fixed to the package main body. At this time, the heat sink 153 may protrude downward beyond the bottom surface of the second package housing 151. Therefore, the surface of the downward protruding heat sink 140 can be brought into direct contact with the PCB substrate to thereby maximize a heat dissipation effect.・・・
[72] Referring to Fig. 10, in the inner space of the first package housing 150 is formed a first molding resin 165 which transmits light emitted from the LED die 160 while protecting the LED die 160 and the bonding wires 162.」(段落[68]ないし [72] )
([68]図7を参照すれば、PCB基板(図示せず)に表面実装されるように、リード端子140は、所定の長さ及び角度をもって折り曲げられる。
[69]また、図8に示したように、ヒートシンク153は、第2パッケージハウジング151の下部から挿入固定され、パッケージ本体に結合される。この時、ヒートシンク153は、第2パッケージハウジング151の下部面より下方に突出できる。したがって、下方に突出したヒートシンク153の面がPCB基板に直接接触することができるので、放熱効果を最大化させることができる。・・・
[72]図10を参照すれば、第1パッケージハウジング150の内部空間にLEDダイ160及びボンディングワイヤー162を保護すると共に、LEDダイ160から発光される光を透過させる第1のモールド樹脂165が形成される。)

イ 図7、8及び10は、以下のものである。


ウ 上記アを踏まえて、上記イの図7、8及び10をみると、パッケージ本体は、第1パッケージハウジング150及びヒートシンク153が内部空間を形成し、前記内部空間にLEDダイ160が配置され、前記LEDダイ160はボンディングワイヤー162でリード端子140と接続され、前記内部空間に前記LEDダイ160及びボンディングワイヤー162を保護すると共に、前記LEDダイ160から発光される光を透過させる第1のモールド樹脂165が形成されるものであることがみてとれる。

エ 引用発明2
上記ウによれば、引用文献2には、次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。
「第1パッケージハウジング150及びヒートシンク153が内部空間を形成し、前記内部空間にLEDダイ160が配置され、前記LEDダイ160はボンディングワイヤー162でリード端子140と接続され、前記内部空間に前記LEDダイ160及びボンディングワイヤー162を保護すると共に、前記LEDダイ160から発光される光を透過させる第1のモールド樹脂165が形成されるパッケージ本体。」

3 対比・判断
(1)本願発明1について
ア 対比
(ア)引用発明1の「『半導体』及び『半導体1a』」、「『半導体』及び『半導体1b』」、「『(半導体1aの搭載面とは反対の側の)p-コンタクティング部』及び『半導体1bの搭載面とは反対の側の)n-コンタクティング部』」、「『(良熱伝導性の)支持体』及び『メタライジング部』」、「(メタライジング部によってn-コンタクティングされる半導体1aの)n-コンタクティング部」、「(半導体1bの搭載面に面した側の)p-コンタクティング部」、「ボンディングパッド」及び「モジュール」は、本願発明1の「半導体チップ(1)」、「第2の半導体チップ(1)」、「接続位置(7)」、「(放熱面である)導体(10)」、「接続位置(8)」、「導体(9)」及び「チップアセンブリ」にそれぞれ相当するから、両者は、
「電磁放射を放出する少なくとも1つの半導体チップを備えており、かつ接続アセンブリを備えている、オプトエレクトロニクス部品のチップアセンブリであって、
前記接続アセンブリが、互いに電気的に絶縁され、
少なくとも2つの電気的に絶縁されている導体が配置されており、
前記半導体チップが、少なくとも2つの接続位置を有し、
前記接続位置のそれぞれが、それぞれの1つの前記導体に導電接続されており、
少なくとも一方が放熱面であり、
前記第2の半導体チップが、同様に少なくとも2つの接続位置を有し、
少なくとも2つの電気的に絶縁されているさらなる導体が、配置されており、
前記第2の半導体チップの前記接続位置のそれぞれが、前記さらなる導体のそれぞれの1つに導電接続されており、
電気的に絶縁されるように構成されている、
封止するためにプラスチックが成形法により配置されている、チップアセンブリ。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

本願発明1は「面(3,4)」、「第1の面」及び「第2の面」を備え、「面(3,4)」は、「接続アセンブリ(2)」が有するものであって、互いに電気的に絶縁され、少なくとも2つの電気的に絶縁されている「導体(9,10)」が配置され、少なくとも1つの面が「空洞(6)」を有し、少なくとも一方の「面(4)」が「放熱面」であり、少なくとも2つの電気的に絶縁されている「さらなる導体」が配置され、少なくとも1つが電気的に絶縁されるように構成されており、「第1の面」および「第2の面」を含み、前記「第1の面」及び「第2の面」は、それぞれ「リードフレーム」を備え、「第1の面」の「リードフレーム」は、少なくとも2つの電気的に絶縁されている「導体」と少なくとも2つの電気的に絶縁されている「さらなる導体」とを有し、「第1の面」と「第2の面」の間、及び、「第2の面」の上に、「面(3,4)」を封止するためにプラスチックが射出成形法により配置されているものであるが、引用発明1は、このような「面(3,4)」、「第1の面」及び「第2の面」を備えるものであるか明らかではなく、また、「空洞(6)」及び「リードフレーム」を備えるものと特定されるものではない点(以下「相違点」という。)。

イ 判断
上記相違点について検討する。
上記[理由1]で示したとおり、引用発明1の「面(3,4)」、「第1の面」及び「第2の面」に係る記載は、不明確である
しかしながら、引用発明1は、上記一致点に係り本願発明1と同様の構成を有するものであるから、引用発明1でいうところの「面(3,4)」、「第1の面」及び「第2の面」に対応する面が存在するものと認められる。
そして、引用発明1は、モジュールであって、適宜のパッケージングとすべきものであるところ、引用文献2には「第1パッケージハウジング150及びヒートシンク153が内部空間を形成し、前記内部空間にLEDダイ160が配置され、前記LEDダイ160はボンディングワイヤー162でリード端子140と接続され、前記内部空間に前記LEDダイ160及びボンディングワイヤー162を保護すると共に、前記LEDダイ160から発光される光を透過させる第1のモールド樹脂165が形成されるパッケージ本体。」の発明(引用発明2)が記載されており(引用発明2)、引用発明1のモジュールを引用発明2のパッケージ構造となすことは、当業者にとって格別の困難性はない。
よって、本願の請求項1に係る発明は、引用発明1及び引用発明2に基づいて、当業者が容易に発明できたものである。

(2)本願発明2?12について
本願発明2?12によって本願発明1に付加される構成は、引用発明1ないし2の構成ないし従来周知の構成であるから、これらのものは、格別なものとは認められず、本願の請求項2?12に係る発明は、引用発明1及び引用発明2に基づいて、当業者が容易に発明できたものである。』

第3 当審の判断
1 [理由1](特許法第36条第6項第2号)について
(1)本願補正は、請求項1において、「面(3、4)」ないし「少なくとも2つの面(3、4)」であったものを「第1および第2の面(3、4)」と補正し(計5ヶ所)、「第1の面」ないし「第2の面」であったものを「第1の面(3)」ないし「第2の面(4)」と補正し(計6ヶ所)、あわせて、「少なくとも1つの面(3,4)が空洞(6)を有し」、「少なくとも一方の前記面(4)が放熱面であり」、「前記面(3,4)の少なくとも1つが電気的に絶縁されるように構成されており」、「前記少なくとも2つの面(3,4)は第1の面および第2の面を含み、- 前記第1の面および前記第2の面のそれぞれはリードフレームを備え」であったものを、「前記第1および第2の面(3,4)のうち少なくとも1つが空洞(6)を有し」、「前記第1および第2の面(3,4)のうち少なくとも前記第2の面(4)が放熱面であり」、「前記第2の面(4)が電気的に絶縁されるように構成されており」、「前記第1の面(3)および前記第2の面(4)のそれぞれはリードフレームを備え」にそれぞれ補正するものである。

(2)上記補正に伴い、請求人は、平成27年3月31日付けの意見書(1頁下から10行ないし2頁19行)において、
「(1)理由1について
今回、本願発明における『面』が何を意味するのか理解できない、また、『面(3,4)』、『第1の面』及び『第2の面』と、『導体(9,10)』及び『さらなる導体』の関係が理解できない、とのご指摘を受けました。
本願発明における『面』はドイツ語のEbene (Ebenen)の訳語です。ちなみにこの語は英語ではlevel (levels)或いはplane (planes)等のように表現されます。すなわち、この『面』は、いわば『表面』のような、厚みを持たない2次元的な概念とは異なり、いわば『階層』のような、厚みを持つ3次元的な概念を意味しています。したがって、『導体(9,10)』や『さらなる導体』を配置することや『空洞(6)』を有すること等も可能です。
また、本願発明において、『面(3,4)』のうち面(3)は『第1の面』であり、『面(3,4)』のうち面(4)は『第2の面』であり、これらは互いに異なる高さレベルに位置し、重ね合わされる、積層関係にあります。
これらの事項は、本願の図1、2、5、6等に記載されているとおりです。
また、図3B及び明細書段落[0050]に記載されているとおり、少なくとも2つの電気的に絶縁されている導体(9,10)と、少なくとも2つの電気的に絶縁されているさらなる導体とが、いずれも『第1の面(3)』の階層において外側に導かれています。この場合、第2の面(4)の階層は、放熱面として設けられ、また電気絶縁性とすることができますが、第1の面(3)の階層にて外側に導かれた導体およびさらなる導体はいずれも、図2等に示されているとおり、そのような放熱面として設けられた電気絶縁性の第2の面(4)の階層に進入して延在するように導かれています。したがって、請求項1等に明確に記載されているとおり、第1の面(3)のリードフレームは、少なくとも2つの電気的に絶縁されている導体と少なくとも2つの電気的に絶縁されているさらなる導体とを有しており、また、第1の面(3)だけでなく、放熱面である電気絶縁性の第2の面(4)も、リードフレームを備えています。
なお、請求項5に記載の『第3の面』の『面』も、『第1の面』及び『第2の面』と同様、いわば『階層』のような、厚みを持つ3次元的な概念を意味しています。これは、本願の図6等に記載されているとおりです。
以上より、本願の各請求項に係る発明は明確になったと思料致します。」と主張する。

(3)しかしながら、「本願発明における『面』はドイツ語のEbene (Ebenen)の訳語で・・・いわば『表面』のような、厚みを持たない2次元的な概念とは異なり、いわば『階層』のような、厚みを持つ3次元的な概念を意味しています。」との上記(2)の請求人の主張を踏まえても、

ア 「少なくとも2つの電気的に絶縁されている導体(9,10)が、前記第1および第2の面(3,4)に配置され」、

イ 「少なくとも2つの電気的に絶縁されているさらなる導体が、前記第1および第2の面(3,4)に配置され」、

ウ 「前記第1の面(3)および前記第2の面(4)のそれぞれはリードフレームを備え、- 前記第1の面(3)のリードフレームは、前記少なくとも2つの電気的に絶縁されている導体と前記少なくとも2つの電気的に絶縁されているさらなる導体とを有し」ている

との記載では、「第1の面(3)」及び「第2の面(4)」と、「導体(9,10)」及び「さらなる導体」との関係が理解できず、「第1の面(3)」及び「第2の面(4)」との関係で、「導体(9,10)」及び「さらなる導体」がそれぞれ具体的にどのようなものであるのか理解できない。
したがって、本願補正によっても、請求項1の記載は、当審が平成26年9月24日付け拒絶理由の[理由1]の(3)で指摘した、「また、『面(3,4)』は、『導体(9,10)』及び『さらなる導体』が配置されるところ、『面(3,4)』が含む『第1の面』および『第2の面』がさらに『導体』及び『さらなる導体』とを有するとされ、『面(3,4)』、『第1の面』及び『第2の面』と、『導体(9,10)』及び『さらなる導体』の関係が理解できない」点を解消するものとは認められない。

(4)よって、本願補正によっても、本願請求項1の記載は、明確であるとはいえないから、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

2 [理由2](特許法第29条第2項)について
(1)本願補正により補正された特許請求の範囲の請求項9に係る発明は次のものである。
「オプトエレクトロニクス部品の接続アセンブリであって、
- 前記接続アセンブリが、互いに電気的に絶縁されている複数の面から構築されており、
- 電気的に絶縁されている少なくとも2つの導体が第1および第2の面(3,4)に配置されており、
- 個々の前記第1および第2の面(3,4)がプラスチックによって封止されており、
- 前記接続アセンブリの前記第1の面(3)が接続面であり、
- 前記接続アセンブリの前記第2の面(4)が放熱面であり、
- 少なくとも2つの電気的に絶縁されているさらなる導体が、前記第1および第2の面(3,4)に配置されており、
- 前記第2の面(4)が電気的に絶縁されるように構成されており、
- 前記第1の面(3)および前記第2の面(4)のそれぞれはリードフレームを備え、
- 前記第1の面(3)のリードフレームは、前記少なくとも2つの電気的に絶縁されている導体と前記少なくとも2つの電気的に絶縁されているさらなる導体とを有し、
- 前記第1の面(3)と前記第2の面(4)の間および前記第2の面(4)の上に、前記第1および第2の面(3,4)を封止するためにプラスチックが射出成形法により配置されている、
接続アセンブリ。」(以下「本願発明」という。)

(2)引用文献及び引用発明
ア 当審において拒絶の理由に引用した、国際公開第2006/089512号(以下「引用文献1」という。特表2008-532299号公報参照。)には、上記第2[理由2]2(1)に摘記した事項、及び、下記の事項が記載されている。
(ア)「Ein erfindungsgemaesses Modul weist vorteilhafterweise einen Traeger auf, der ein elektrisch isolierendes Material enthaelt. Als verschleissfest, korrosionsbestaendig, UV-stabil und vor allem sehr gut waermeleitend zeichnet sich ein Traeger aus, der ein Keramikmaterial, zum Beispiel AL_(2)O_(3) oder AlN, enthaelt. 」(8頁17?21行)
(本発明によるモジュールは、電気的に絶縁性の材料を含有する支持体を有していると有利である。セラミック材料、たとえばAl_(2)O_(3)またはAlNを含有する支持体が、耐摩耗性、耐食性、UV安定性およびとりわけ良熱伝導性の点ですぐれている。)

(イ)「Zum Schutz des Moduls vor schaedigenden aeusseren Einwirkungen koennen die einzelnen, Strahlungsemittierenden Halbleiterkoerper beziehungsweise kann das gesamte Modul vorzugsweise mit einer Formmasse umhuellt sein. Als Materialien eignen sich Reaktionsharze wie beispielsweise Epoxidharze, Acryl-Harze, Silicon-Harze und Polyurethan-Harze. 」(8頁17?21行)
(有害な外部作用からモジュールを保護するためには、放射線を発する個々の半導体もしくはモジュール全体が、有利には成形材料によって被覆されていてよい。材料としては、反応樹脂、たとえばエポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂およびポリウレタン樹脂が適している。)

イ また、同じく、国際公開第2006/059828号(以下「引用文献2」という。特表2008-512867号公報参照。)には、上記第2[理由2]2(2)に摘記した事項、及び、下記の事項が記載されている。
「[53] In addition, the connection frame 141 is fixed to an outer frame through the lead terminals 140 and support leads 142. The outer frame is configured to surround the connection frames 141.」
([53]また、連結フレーム141は、リード端子140及び支持リード142を介して連結フレーム141を取り囲む外部フレームに固定される。)

ウ そして、引用文献1、及び、引用文献2には、上記第2[理由2]2のとおり、下記のとおりの引用発明1、
「支持体に設けられた搭載面に被着されている、規則的に配置された、放射線を発する個々の半導体を有するモジュールであって、
互いに隣接し合った2つの、放射線を発する半導体の間のワイヤ接続部が、該両半導体の、前記搭載面とは反対の側の上面に取り付けられ、
前記規則的な配置が、複数の列と複数の行とから成るマトリックスに相当し、
同一列内の、前記放射線を発する半導体が、直列に接続され、
前記放射線を発する1つの半導体の上面が、第1の電気伝導タイプの層を有しており、該半導体に同一列内で隣接した、放射線を発する別の半導体の上面が、第2の電気伝導タイプの層を有し、
前記支持体が、前記搭載面にメタライジング部を有しており、
前記支持体は良熱伝導性であり、
前記モジュール全体が、成形材料によって被覆され、
放射線を発する半導体1aは前記搭載面とは反対の側にp-コンタクティング部を有していて、ワイヤ接続部によって1つのボンディングパッドに接続され、
n-コンタクティングは前記メタライジング部によって行なわれ、このメタライジング部には、はんだまたは導電性接着剤によって、放射線を発する半導体が搭載され、
半導体1bは前記搭載面とは反対の側にn-コンタクティング部を有し、前記搭載面に面した側にp-コンタクティング部を有し、
両放射線を発する半導体1a,1bは、これら両半導体が搭載されている共通のメタライジング部によって互いに直列に接続されている、放射線を発する半導体を備えたモジュール。」
及び、下記のとおりの引用発明2、
「第1パッケージハウジング150及びヒートシンク153が内部空間を形成し、前記内部空間にLEDダイ160が配置され、前記LEDダイ160はボンディングワイヤー162でリード端子140と接続され、前記内部空間に前記LEDダイ160及びボンディングワイヤー162を保護すると共に、前記LEDダイ160から発光される光を透過させる第1のモールド樹脂165が形成されるパッケージ本体。」
が記載されている。

(3)対比・判断
ア 本願発明と引用発明1との対比
(ア)引用発明1の「モジュール」は、「支持体に設けられた搭載面に被着されている、規則的に配置された、放射線を発する個々の半導体を有する」ものであって、「両放射線を発する半導体1a,1bは、これら両半導体が搭載されている共通のメタライジング部によって互いに直列に接続されている」から、本願発明の「オプトエレクトロニクス部品の接続アセンブリ」と相当関係にある。

(イ)引用発明1の「支持体」は、「良熱伝導性であり」、「搭載面」が「設けられ」、「前記搭載面にメタライジング部を有して」いるものであるところ、上記1(2)の請求人の主張を踏まえて、「『階層』のような、厚みを持つ3次元的な概念」を「面」として、上記第2[理由2]2(1)オの図3をみると、「支持体2」は、搭載面が設けられ、前記搭載面にメタライジング部を有する、良熱伝導性の放熱する「面」をなすものであるといえる。
そうすると、引用発明1の、搭載面が設けられ、前記搭載面にメタライジング部を有する、良熱伝導性の支持体の「面」をなす「支持体」は、本願発明の、「放熱面であ」る「接続アセンブリ」の「第2の面(4)」と相当関係にある。

(ウ)引用発明1の「メタライジング部」は、「支持体」が「搭載面」に有するものであって、「n-コンタクティング」が行なわれ、「共通のメタライジング部」によって「両放射線を発する半導体1a,1b」は、「互いに直列に接続され」るものであり、また、引用発明1の「ボンディングパッド」は、「ワイヤ接続部」により、「p-コンタクティング」を行うものであるところ、上記1(2)の請求人の主張を踏まえて、「『階層』のような、厚みを持つ3次元的な概念」を「面」として、上記第2[理由2]2(1)オの図3をみると、メタライジング部は、支持体が搭載面に有する、n-コンタクティングが行なわれ、共通のメタライジング部によって両放射線を発する半導体1a,1bが互いに直列に接続されるものであり、また、ボンディングパッドは、ワイヤ接続部によりp-コンタクティングを行う、接続する「面」をなすものであるといえる。
そうすると、引用発明1の、n-コンタクティングが行なわれる「メタライジング部」及びp-コンタクティングを行う「ボンディングパッド」とがなす「面」は、本願発明の、「接続面であ」る「接続アセンブリ」の「第1の面(3)」と、相当関係にある。

(エ)引用発明1の「モジュール」全体は、「成形材料によって被覆され」るから、引用発明1の、「面」をなす「支持体」及び、「面」をなす「メタライジング部」及び「ボンディングパッド」は、「成形材料によって被覆され」るところ、当該「成形材料」に係り、引用文献1に、「有害な外部作用からモジュールを保護するためには、放射線を発する個々の半導体もしくはモジュール全体が、有利には成形材料によって被覆されていてよい。材料としては、反応樹脂、たとえばエポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂およびポリウレタン樹脂が適している。」(上記(1)ア(イ))と記載されていることに照らして、引用発明1の、「面」をなす「メタライジング部」及び「ボンディングパッド」は、樹脂からなる「成形材料によって被覆され」るといえる。
そうすると、引用発明1の、樹脂からなる「成形材料によって被覆され」る、「面」をなす「メタライジング部」及び「ボンディングパッド」は、本願発明の「プラスチックによって封止されて」いる「個々の前記第1および第2の面(3,4)」と相当関係にある。
また、引用発明1の、全体が、樹脂からなる「成形材料によって被覆され」る「モジュール」は、本願発明の「前記第1の面(3)と前記第2の面(4)の間および前記第2の面(4)の上に、前記第1および第2の面(3,4)を封止するためにプラスチックが射出成形法により配置されている」点と「前記第1の面(3)と前記第2の面(4)の間および前記第2の面(4)の上に、前記第1および第2の面(3,4)を封止するためにプラスチックが成形法により配置されている」点で相当関係にある。

(オ)引用発明1の「支持体」に係り、引用文献1に、「本発明によるモジュールは、電気的に絶縁性の材料を含有する支持体を有していると有利である」(上記(1)ア(ア))と記載されていることに照らして、引用発明1の、「面」をなす「支持体」は「電気的に絶縁性」といえる。
また、「面」をなす「支持体」は「電気的に絶縁性」であるから、支持体が搭載面に有する、「面」をなす「メタライジング部」及び「ボンディングパッド」と、面をなす「支持体」とは電気的に絶縁されているといえる。
そうすると、引用発明1の、「面」をなす電気的に絶縁性の「支持体」、及び、「面」をなす「メタライジング部」及び「ボンディングパッド」と、面をなす「支持体」とは電気的に絶縁されている「モジュール」は、本願発明の、「電気的に絶縁されるように構成されて」いる「第2の面(4)」、及び、「互いに電気的に絶縁されている複数の面から構築されて」いる「接続アセンブリ」とそれぞれ相当関係にある。

(カ)以上(ア)ないし(オ)によれば、引用発明1と本願発明は、
「オプトエレクトロニクス部品の接続アセンブリであって、
- 前記接続アセンブリが、互いに電気的に絶縁されている複数の面から構築されており、
- 個々の前記第1および第2の面(3,4)がプラスチックによって封止されており、
- 前記接続アセンブリの前記第1の面(3)が接続面であり、
- 前記接続アセンブリの前記第2の面(4)が放熱面であり、
- 前記第2の面(4)が電気的に絶縁されるように構成されており、
- 前記第1の面(3)と前記第2の面(4)の間および前記第2の面(4)の上に、前記第1および第2の面(3,4)を封止するためにプラスチックが成形法により配置されている、
接続アセンブリ。」の点で一致し、下記の点で相違する。

a 本願発明は、第1および第2の面(3,4)を封止するためにプラスチックが「射出成形法」により配置されているのに対して、引用発明1の成形材料は、成形方法が特定されない点(以下「相違点1」という。)。

b 本願発明は、「電気的に絶縁されている少なくとも2つの導体が第1および第2の面(3,4)に配置されており」、「少なくとも2つの電気的に絶縁されているさらなる導体が、前記第1および第2の面(3,4)に配置されており」、「前記第1の面(3)および前記第2の面(4)のそれぞれはリードフレームを備え」、「前記第1の面(3)のリードフレームは、前記少なくとも2つの電気的に絶縁されている導体と前記少なくとも2つの電気的に絶縁されているさらなる導体とを有し」ているのに対して、引用発明1は、このような「導体」、「さらなる導体」及び「リードフレーム」を有すると特定されない点(以下「相違点2」という。)。

イ 判断
(ア)相違点1について検討する。
引用発明1は、「モジュール全体が、成形材料によって被覆され」るものであるところ、当該成形材料は、具体的には、「材料としては、反応樹脂、たとえばエポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂およびポリウレタン樹脂が適している。」(引用発明1 上記(1)ア(イ))とされる。
しかるところ、モジュール全体をエポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂及びポリウレタン樹脂、いわゆるプラスチックの成形材料で被覆するに際して適宜の方法が採用され得るところであって、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂及びポリウレタン樹脂の成形材料を本願の優先日時点で周知の射出成形方法により成形し被覆することとなし、上記相違点1に係る本願発明の構成とすることが当業者において格別困難なこととはいえない。

(イ)相違点2について検討する。
a 引用発明1の支持体は良熱伝導性であり、また、引用文献1には、「本発明によるモジュールは、電気的に絶縁性の材料を含有する支持体を有していると有利である。セラミック材料、たとえばAl_(2)O_(3)またはAlNを含有する支持体が、耐摩耗性、耐食性、UV安定性およびとりわけ良熱伝導性の点ですぐれている。」(上記(1)ア(ア))と記載されているところ、引用文献2には、「第1パッケージハウジング150及びヒートシンク153が内部空間を形成し、前記内部空間にLEDダイ160が配置され、前記LEDダイ160はボンディングワイヤー162でリード端子140と接続され、前記内部空間に前記LEDダイ160及びボンディングワイヤー162を保護すると共に、前記LEDダイ160から発光される光を透過させる第1のモールド樹脂165が形成されるパッケージ本体。」(引用発明2)が記載されており、より良熱伝導性の支持体として、引用発明1の支持体及びメタライジング部にかえて、引用発明2に記載された、第1パッケージハウジング150、ヒートシンク153及びリード端子140を有するパッケージ本体を適用することは当業者が容易に想到し得たことである。

b そして、その際に、引用発明2に係り、上記第2[理由2]2(2)イの図10をみると、電気的に絶縁されている2つのリード端子140(リードフレーム)の、第1パッケージング150の外側に位置する部分、及び、第1パッケージング150の内部空間側に位置する部分は、一定の厚さの階層に各々が配置されているから、請求人のいう「『階層』のような、厚みを持つ3次元的な概念」としての「面」(上記1(2))にわたって配置されているものといえる。
また、同じく、上記第2[理由2]2(2)イの図7及び8をみると、引用発明2は、2つの電気的に絶縁されているさらなる導体142(引用文献2 上記(1)イ 支持リード142)がLEDダイ160が配置される「面」に配置されるものである。
加えて、支持リード142をどの「面」に配置するかは設計的事項というべきものである。

c そうすると、引用発明1の支持体及びメタライジング部にかえて、引用発明2に記載された、第1パッケージハウジング150、ヒートシンク153、LEDダイ160が配置される「面」及びヒートシンク153が配置される「面」にわたって配置されるリード端子140、及び、2つの電気的に絶縁されているさらなる支持リード142が配置されているパッケージ本体を適用し、支持リード142を適宜の「面」に配置することで、「電気的に絶縁されている2つのリード端子140をLEDダイ160が配置される「面」及びヒートシンク153が配置される「面」に配置し、2つの電気的に絶縁されているさらなる支持リード142をLEDダイ160が配置される「面」及びヒートシンク153が配置される「面」に配置し、前記LEDダイ160が配置される「面」及び前記ヒートシンク153が配置される「面」のそれぞれがリード端子140(リードフレーム)を備え、前記LEDダイ160が配置される「面」のリード端子140(リードフレーム)が、前記気的に絶縁されている2つのリード端子140と前記2つの電気的に絶縁されているさらなる支持リード142とを有するものとなし、上記相違点2に係る本願発明の構成となすことは当業者が容易に想到し得たことである。

ウ 小括
以上の検討によれば、本願発明は、引用発明1、引用発明2及び周知の技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。
また、本願発明によってもたらされる効果は、引用発明1、引用発明2及び周知の技術に基いて当業者が予測し得る程度のものである。

3 むすび
以上のとおり、この出願は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
また、本願発明は、引用発明1、引用発明2及び周知の技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものであるから、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-05-11 
結審通知日 2015-05-12 
審決日 2015-05-25 
出願番号 特願2010-535211(P2010-535211)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H01L)
P 1 8・ 537- WZ (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 金高 敏康  
特許庁審判長 吉野 公夫
特許庁審判官 近藤 幸浩
松川 直樹
発明の名称 チップアセンブリ、接続アセンブリ、LED、およびチップアセンブリの製造方法  
代理人 鷲田 公一  

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