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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H02K
管理番号 1306901
審判番号 不服2014-21761  
総通号数 192 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-12-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-10-28 
確定日 2015-10-15 
事件の表示 特願2012-256186号「ブラシレスモータ及びこれを搭載した洗濯機」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 6月 5日出願公開、特開2014-103827号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成24年11月22日の出願であって、平成26年9月12日付けで拒絶査定がされ、この査定に対し、平成26年10月28日に本件審判が請求されるとともに、その審判の請求と同時に手続補正(明りょうでない記載の釈明)がなされたものである。

第2 本願発明について
1.本願発明
本件出願の請求項1?5に係る発明は、平成26年10月28日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?5に記載された事項により特定されるものと認められるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりである。
「【請求項1】
ステータコアシートを積層してなるステータコアと巻線を有する巻線組立と、すくなくともロータコアと軸受をシャフトに固定してなるロータ組立と、前記巻線組立と前記ロータ組立を保持する2つのブラケットを備え、前記2つのブラケットで前記ステータコアの外周部分を軸方向に挟持するようにしたブラシレスモータであって、
前記ステータコアシートを互いに噛み合わせて固着するクランプ機構を、前記ステータコアシートのヨーク部より内側に位置する部分にのみ設け、前記ヨーク部には設けないことで、前記巻線組立の外周部分におけるスプリングバック力を抑えたことを特徴としたブラシレスモータ。」

2.引用刊行物とその記載事項
(1)原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に頒布された刊行物である特開昭59-191445号公報(以下「刊行物1」という。)には、小型電動機に関し、図面とともに、次の技術的事項が記載されている。

(ア)「2.特許請求の範囲
(1)外周に配線接続用の切欠きを有し、硅素鋼板や電気鉄板等からなる鉄板を複数枚切欠きが連続するように積層した鉄心に、この鉄心のヨーク部の円周に沿って切欠きの両側に形成する配線保護壁と、固定子巻線及び配線の絶縁部とを合成樹脂で一体形成したことを特徴とする小型電動機。」(第1頁左下欄第3?9行)
(イ)「以下本発明の実施例を第1図乃至第6図に基づいて説明すると、先づ第1図において(1)、(2)は小型電動機のブラケットで、このブラケット(1)、(2)は同じ金型で絞り成形され、特にブラケット(2)には回転軸(3)が貫通する貫通穴(4)が加工されている。(5)は回転子で上記回転軸(3)と、硅素鋼板もしくは電気鉄板からなる鉄板を積層した鉄心(6)と、鉄心(6)の周囲に接着されたフェライト材の永久磁石(7)とからなっている。(8)は回転軸(3)の軸受メタルで自動調心構造で支持されている。(9)は鉄心(10)、合成樹脂材(11)、固定子巻線(12)等からなる固定子であり第2図、第3図の如き構造をしている。すなわち第4図に示すように硅素鋼板や電気鉄板等からなりヨーク部の外周に磁路の妨げとならないように切欠き(13)を設けた鉄板(14)を複数枚切欠き(13)が連続するようにかしめ部(15)を用いて積層して鉄心(6)を構成し、この鉄心(6)に合成樹脂材(l1)で絶縁をすると共に、切欠き(13)の連続した所に周壁が合成樹脂で絶縁された保持筒(16)と、鉄心(6)のヨーク部の円周に側って保持筒(16)の両側に配線保護壁(17)、(18)と、固定子巻線(12)の支持棒(19)とが合成樹脂で一体成形されている。」(第2頁左上欄第7行?同右上欄第8行。)
(なお、「(9)は鉄心(10)、合成樹脂材(11)、固定子巻線(12)等からなる固定子であり第2図、第3図の如き構造をしている。すなわち」の後に記載されている「鉄心(6)」は、それぞれ「鉄心(10)」の誤記と認める。)
(ウ)第1図には、ブラケット(1)、(2)が、固定子(9)、及び、回転子(5)の回転軸(3)の軸受メタル(8)の部分を保持する構成が記載されている。
(エ)第4図には、鉄板(14)を積層し鉄心(6)を構成するかしめ部(15)を、鉄板(14)の外周のヨーク部より内側に位置するティース部分に設けた構成が記載されている。

すると、刊行物1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が開示されているものということができる。
「鉄板(14)を積層した鉄心(10)、合成樹脂材(11)、固定子巻線(12)等からなる固定子(9)と、
回転軸(3)と、硅素鋼板もしくは電気鉄板からなる鉄板を積層した鉄心(6)と、鉄心(6)の周囲に接着されたフェライト材の永久磁石(7)とからなっている回転子(5)と、
固定子(9)、及び、回転子(5)の回転軸(3)の軸受メタル(8)の部分を保持するブラケット(1)、(2)を備えた小型電動機であって、
鉄板(14)を積層し鉄心(10)を構成するかしめ部(15)を、鉄板(14)の外周のヨーク部より内側に位置するティース部分に設けた小型電動機。」

(2)原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に頒布された刊行物である国際公開2012/147310号(以下「刊行物2」という。)には、モータの固定子に関し、図面とともに、次の技術的事項が記載されている。
(ア)「[0037] クランプ部125は、互いに積層された複数の板状体の各板状体に設けられた局部的な屈曲部(以下、局部的屈曲部という)によって構成され、各板状体に設けられた局部的屈曲部が互いに嵌合することによって互いに積層された複数の板状体を互いに固定するように機能する。・・・」
(イ)「[0043] さらに、図6Cに示す工程においては、複数の板状体130が積層された状態で、積層された複数の板状体130の表面から凸型のプレス機150によりプレスを行い、領域125aを変形させる。本実施形態においては、複数の板状体130の一対の第2辺125cと領域125a内の第2辺125cに平行な第3辺125dとを境に折り曲げられ、一の板状体130の一部が当該一の板状体130が接している他の板状体130に食い込むようにかしめられる。これにより、複数の板状体130は、互いに固定される。また、クランプ部125は、ここでは、板状体におけるその周囲の部分と両側が切断され、かつ直線状の折り目を有するように折り曲げられた態様に形成されている。」

すると、刊行物2には、次の発明(以下「刊行物2記載の発明」という。)が開示されているものということができる。
「一の板状体130の一部が当該一の板状体130が接している他の板状体130に食い込むようにかしめられることによって、複数の板状体130を互いに固定するクランプ部125。」

3.本願発明と引用発明との対比
(1)両発明の対応関係
(a)引用発明の「鉄板(14)」は、本願発明の「ステータコアシート」に相当し、以下同様に、「鉄板(14)を積層した鉄心(10)」は、「ステータコアシートを積層してなるステータコア」に、
「固定子巻線(12)」は、「巻線」に相当する。
そして、引用発明の「鉄板(14)を積層した鉄心(10)、合成樹脂材(11)、固定子巻線(12)等からなる固定子(9)」は、本願発明の「ステータコアシートを積層してなるステータコアと巻線を有する巻線組立」に相当する。
(b)引用発明の「鉄心(6)」は、本願発明の「ロータコア」に相当し、以下同様に、
「回転軸(3)」は「シャフト」に相当する。
そして、引用発明の「回転軸(3)と、硅素鋼板もしくは電気鉄板からなる鉄板を積層した鉄心(6)と、鉄心(6)の周囲に接着されたフェライト材の永久磁石(7)とからなっている回転子(5)」と、本願発明の「すくなくともロータコアと軸受をシャフトに固定してなるロータ組立」とは、「すくなくともロータコアをシャフトに固定してなるロータ組立」で共通する。
(c)引用発明の「ブラケット(1)、(2)」は、本願発明の「2つのブラケット」に相当する。
そして、引用発明の「固定子(9)、及び、回転子(5)の回転軸(3)の軸受メタル(8)の部分を保持するブラケット(1)、(2)」は、本願発明の「前記巻線組立と前記ロータ組立を保持する2つのブラケット」に相当する。
(d)引用発明の「小型電動機」は、「フェライト材の永久磁石(7)とからなっている」ものであるから、本願発明の「ブラシレスモータ」に相当する。
(e)引用発明の「鉄板(14)の外周のヨーク部より内側に位置するティース部分」は、本願発明の「ステータコアシートのヨーク部より内側に位置する部分」に相当する。
そして、引用発明の「鉄板(14)を積層し鉄心(10)を構成するかしめ部(15)」が、固着する機構であることは明らかなので、引用発明の「鉄板(14)を積層し鉄心(10)を構成するかしめ部(15)を、鉄板(14)の外周のヨーク部より内側に位置するティース部分に設けた」構成と、本願発明の「ステータコアシートを互いに噛み合わせて固着するクランプ機構を、前記ステータコアシートのヨーク部より内側に位置する部分にのみ設け、前記ヨーク部には設けないことで、巻線組立の外周部分におけるスプリングバック力を抑えた」構成とは、「ステータコアシートを互い固着する機構を、前記ステータコアシートのヨーク部より内側に位置する部分に設けた」構成である点で共通する。

(2)両発明の一致点
「ステータコアシートを積層してなるステータコアと巻線を有する巻線組立と、すくなくともロータコアをシャフトに固定してなるロータ組立と、前記巻線組立と前記ロータ組立を保持する2つのブラケットを備えたブラシレスモータであって、
前記ステータコアシートを互いに固着する機構を、前記ステータコアシートのヨーク部より内側に位置する部分に設けたブラシレスモータ。」

(3)両発明の相違点
ア.相違点1
ロータ組立が、本願発明は、「軸受」をシャフトに固定してなるものであるのに対し、引用発明は、軸受の固定に関して不明である点。

イ.相違点2
2つのブラケットによる巻線組立の保持が、本願発明は、「2つのブラケットでステータコアの外周部分を軸方向に挟持するようにした」ものであるのに対し、引用発明は、巻線組立の保持構成が不明である点。

ウ.相違点3
ステータコアシートを互いに固着する機構が、本願発明は、「ステータコアシートを互いに噛み合わせて固着するクランプ機構」であるのに対し、引用発明は、「かしめ部(15)」である点。

エ.相違点4
ステータコアシートを互いに固着する機構を設ける部位が、本願発明は、ステータコアシートのヨーク部より内側に位置する部分に「のみ」設け、「前記ヨーク部には設けない」ものであり、かつ、そのことで「巻線組立の外周部分におけるスプリングバック力を抑えた」ものであるのに対し、引用発明は、そのように特定されていない点。

4.本願発明の容易推考性の検討
(1)相違点1.について
回転電機において軸受をシャフトに固定することは、例えば、特開2001-275284号公報(【請求項3】【0022】等参照)、特開昭59-70155号公報(特許請求の範囲(1)等参照)等に記載されているように、本願出願前周知の技術である。
そして、引用発明の回転子(5)保持構成を、該周知技術のものとして、本願発明の相違点1.に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

(2)相違点2.について
回転電機の巻線組立の保持手法として、2つのブラケットでステータコアの外周部分を軸方向に挟持することは、請求人も本願明細書で特開昭59-178943号公報等を従来例としており、他にも例えば、国際公開第2008/012880号(特に、[0017]、[図1]、[図4]を参照)、特開平10-94200号公報(特に、【0010】、【図2】を参照)等に記載されているように、本願出願前周知の技術である。
そして、引用発明のブラケットによる巻線組立の保持を、該周知技術で具現化して、本願発明の相違点2.に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

(3)相違点3.について
ア.刊行物2記載の発明の「板状体130」は、本願発明の「ステータコアシート」に相当し、以下同様に、
「クランプ部125」は、「クランプ機構」に相当する。
そして、刊行物2記載の発明の「一の板状体130の一部が当該一の板状体130が接している他の板状体130に食い込むようにかしめられることによって、複数の板状体130を互いに固定するクランプ部125」は、本願発明の「ステータコアシートを互いに噛み合わせて固着するクランプ機構」に相当する。
イ.そして、引用発明の「鉄板(14)を積層し鉄心(10)を構成するかしめ部(15)」を、刊行物2記載の「板状体・・が・・他の板状体・・に食い込むようにかしめられることによって・・固定するクランプ部」として、本願発明の相違点3.に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

(4)相違点4.について
ア.ステータコアシートを互いに固着する機構を設ける部位に関して
引用発明のかしめ部(15)は、「鉄板(14)の外周のヨーク部より内側に位置するティース部分に設けた」ものであって、刊行物1の第4図、その他の図面、及び、明細書の記載全体を見ても、それ以外の部位のかしめ部は発見されない。
また、かしめ部(15)を刊行物1の第4図のヨーク部より内側に位置するティース部分以外に設けなければならない特段の事情も発見できない。
そうすると、引用発明の「かしめ部(15)を、鉄板(14)の外周のヨーク部より内側に位置するティース部分に設けた」構成は、当業者は、かしめ部(15)を、鉄板(14)のヨーク部より内側に位置するティース部分にのみ設け、ヨーク部には設けない構成と解するのが自然であって、ステータコアシートを互いに固着する機構を設ける部位が、本願発明は、ステータコアシートのヨーク部より内側に位置する部分に「のみ」設け、「前記ヨーク部には設けない」ものであることは、実質的な相違点ではない。

イ.「巻線組立の外周部分におけるスプリングバック力を抑えた」ことに関して
(a)本願明細書には、本願発明における「巻線組立の外周部分におけるスプリングバック力を抑えた」ことに関して以下の様に記載されている。
「【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前記ステータコアシート12のヨーク部より内側に位置するように前記クランプ機構15を配置し、ヨーク部には前記クランプ機構15を配置しないことを特徴とする。
【0010】
このような構成により、前記ブラケット30を介して前記ねじ40により前記巻線組立を締め付けた際に、積層された前記ステータコアシート12のスプリングバック力が締め付け力に対し十分に小さい値となるため積厚偏差を最小限とすることができ、前記ブラケット30が傾くことなく保持固定されることで前記ロータ組立20と前記巻線組立10との芯ずれを最小限とし、モータ騒音の悪化を抑えたブラシレスモータの提供が可能となる。」
「【0022】
前記クランプ機構により互いに積層された前記ステータコアシート間には微小な隙間が生じており、それが全体としてスプリングバック力を発生させることで、ねじで締付けた時の締め付け力に反発する力となっている。
【0023】
本形態の特徴として、前記ブラケットが前記巻線組立を押さえる場所が前記巻線絶縁物を避けるためステータコアの外周から数ミリの範囲であることから、前記ヨーク部に配置された前記クランプ機構によるスプリングバック力が、以下に述べる積厚偏差の発生に大きく影響し、内側に配置された前記クランプ機構によるスプリングバック力は影響しないことが容易に推察される。
【0024】
このスプリングバック力は前記ステータコアシート間の微小な隙間を潰すように締付けるに従い大きくなり、全体では数kN?数十kNの大きさとなる。ねじ締付けによる軸推力の十数kNに対し著しく大きい場合や軸推力にばらつきがある場合、一様に均等な締付けができずに場所によって締まった部位と良く締まっていない部位とが存在することとなりこれが積厚偏差の原因となる。」
(b)そうすると、本願発明における「巻線組立の外周部分におけるスプリングバック力を抑えた」は、本願請求項1で既に特定されている「・・2つのブラケットで前記ステータコアの外周部分を軸方向に挟持するようにした・・・であって、
・・クランプ機構を、前記ステータコアシートのヨーク部より内側に位置する部分にのみ設け、前記ヨーク部には設けない」構成(すなわち、相違点2、及び上記ア.に係る構成)によって生じる作用を記載したものと解される。
(c)そして、該ア.に係る構成は、上記ア.に記載した様に実質的な相違点ではないので、本願発明の「巻線組立の外周部分におけるスプリングバック力を抑えた」なる作用は、上記(2)の引用発明のブラケットによる巻線組立の保持を、周知技術で具現化することにともなって必然的に生じる作用と認められる。

ウ.相違点4の容易推考性のまとめ
そうすると、上記(2)に記載した様に、相違点2に係る構成が、引用発明のブラケットによる巻線組立の保持を、周知技術で具現化することで、当業者が容易になし得たものであり、上記ア.に記載した様に、本願発明のステータコアシートのヨーク部より内側に位置する部分に「のみ」設け、「前記ヨーク部には設けない」構成は、実質的に引用発明と相違するものではないので、上記(2)に記載した、引用発明のブラケットによる巻線組立の保持を、周知技術で具現化することにより、本願発明の相違点4.に係る構成とすることも、当業者が容易に想到し得たことといえる。

(5)総合判断
本願発明の作用効果は、引用発明、刊行物2記載の発明、及び周知技術から当業者であれば予測できた範囲のものである。
したがって、本願発明は、引用発明、刊行物2記載の発明、及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

5.補正の目的に関しての予備的判断
(a)上記「第1」において、平成26年10月28日付け手続補正(以下「本件補正」という。)補正の目的を、明りょうでない記載の釈明を目的としたものとして取り扱ったが、仮に、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるとした場合についても検討しておく。
なお、請求人は補正の目的についての説明はしていない。
(b)仮に、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるとした場合、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について、検討することとなる。
(c)そして、本願補正発明は、上記1.の本願発明であって、結局上記2.?4.で検討したように、本願補正発明は、引用発明、刊行物2記載の発明、及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないので、本願補正発明は、特許出願の際に独立して特許を受けることができない。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものとなる。
(d)そうすると、本願の請求項1?5に係る発明は、平成26年6月16日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?5に記載された事項により特定されるものとなるところ、そのうちの請求項1に係る発明(以下「本願発明(補正前)」という。)は、次のとおりである。
「【請求項1】
ステータコアシートを積層してなるステータコアと巻線を有する巻線組立と、すくなくともロータコアと軸受をシャフトに固定してなるロータ組立と、前記巻線組立と前記ロータ組立を保持する2つのブラケットを備え、前記2つのブラケットで前記ステータコアの外周部分を軸方向に挟持するようにしたブラシレスモータであって、
前記ステータコアシートを互いに噛み合わせて固着するクランプ機構を、前記ステータコアシートのヨーク部より内側に位置する部分にのみ設け、前記ヨーク部には設けないことを特徴としたブラシレスモータ。」
そして、本願発明(補正前)の構成を全て含むとともに、本願発明(補正前)の構成に更に限定を付加した本願補正発明が、前記「1.」?「4.」に記載したのと同様に、引用発明、刊行物2記載の発明、及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明(補正前)も本願補正発明と同様の理由により、引用発明、刊行物2記載の発明、及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであることになる。
(e)従って、本件補正が特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるとしても、結論が変わるものではない。

6.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明、刊行物2記載の発明、及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
そうすると、このような特許を受けることができない発明を包含する本願は、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-08-14 
結審通知日 2015-08-18 
審決日 2015-09-01 
出願番号 特願2012-256186(P2012-256186)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H02K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 松永 謙一西山 智宏津久井 道夫  
特許庁審判長 新海 岳
特許庁審判官 矢島 伸一
中川 真一
発明の名称 ブラシレスモータ及びこれを搭載した洗濯機  
代理人 前田 浩夫  
代理人 鎌田 健司  
代理人 藤井 兼太郎  

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