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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 F24F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F24F
管理番号 1307187
審判番号 不服2014-18165  
総通号数 192 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-12-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-09-11 
確定日 2015-10-29 
事件の表示 特願2011-188374号「リモコンおよび空気調和機」拒絶査定不服審判事件〔平成25年3月14日出願公開、特開2013-50266号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成23年8月31日の出願であって、平成26年1月20日付けの拒絶理由に対して、平成26年3月27日に意見書及び手続補正書が提出され、平成26年7月14日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成26年9月11日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正がなされた。その後、平成26年12月10日に上申書が提出された。

第2 平成26年9月11日の手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]
平成26年9月11日の手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1を、補正前の
「空気調和機の室内機と通信するリモコンにおいて、
採点ボタンと、
採点結果を表示する表示部と、を備え、
前記採点ボタンが押下されたときに前記リモコンの現在の設定状態を省エネの観点から定められた採点ルールに従って採点することを特徴とするリモコン。」
から、
「空気調和機の室内機と通信するリモコンにおいて、
採点ボタンと、
採点結果を表示する表示部と、を備え、
設定状態毎に基準点、加算点及び減算点が予め記憶されており、
前記採点ボタンが押下されたときに前記リモコンの現在の設定状態を省エネの観点から定められた採点ルールに従って採点する手段を有し、
前記採点ルールは、前記リモコンの現在の設定状態が前記基準点に対して省エネになる設定である場合には前記基準点に前記加算点を加算し、且つ前記基準点に対して省エネに反する設定である場合には前記基準点から前記減算点を減算するルールであることを特徴とするリモコン。」
へと変更する補正事項を含むものである。

2 補正の目的
上記補正事項は、補正前の請求項1に係る発明を特定する事項である「前記採点ボタンが押下されたときに前記リモコンの現在の設定状態を省エネの観点から定められた採点ルールに従って採点すること」について「前記採点ボタンが押下されたときに前記リモコンの現在の設定状態を省エネの観点から定められた採点ルールに従って採点する手段」に限定し、かつ、「採点ルール」について「設定状態毎に基準点、加算点及び減算点が予め記憶されており」、「前記リモコンの現在の設定状態が前記基準点に対して省エネになる設定である場合には前記基準点に前記加算点を加算し、且つ前記基準点に対して省エネに反する設定である場合には前記基準点から前記減算点を減算するルールであること」に限定するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について検討する。

3 独立特許要件
(1)本願補正発明
本願補正発明は、本件補正後の明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、平成26年9月11日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項(上記「第2 1 補正の内容」の補正後の請求項1参照。)により特定されたとおりのものと認める。

(2)引用文献の記載事項
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された本願出願前に頒布された刊行物である特開昭56-157744号公報(以下「引用文献」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審にて付与した。)。

ア 「本発明は、空気調和機の最適制御の方式に関する。」(1頁右下欄7?8行)

イ 「本発明は、ユーザーに強・弱・微風の設定と、省エネルギー性の関連を適確に表示して知らせることにより、操作内容を設定する際の参考とし、もって省エネルギー運転を心掛けるようにする制御方式を提供しようとするものである。」(2頁左上欄7?11行)

ウ 「第1図は、その操作盤の表示状態図である。
101は操作盤、102は空気調和機のオン-オフの押釦スイッチ、103は風量設定部でスライドスイッチツマミ103aが強に設定していることを示し、104は冷房能力設定部で設定ツマミ104aがいま微にあることを表わし、105は室温設定部でスライドスイッチツマミが29℃に設定されており、106は省エネルギー指数のデジタル表示部で現在指数100であることを表わし、107は省エネルギーゾーンを示すマークである。
例えば、送風量での強10、弱8、微6
冷房能力での強6、弱8、微10
室温設定での30℃・10、29℃・8、
28℃・6、27℃・4、26℃・2
等と点数評価し、その合計点を空気調和機の見易い外表面またはリモートコントロールボックスのいずれか一方に設けた表示部106にデジタル数値表示あるいはランプ点灯等により表示される。
更に、省エネルギーボタン等の操作スイッチ(図示していない)を設け、これにより上記設定運転条件を省エネルギーに適したように、自動的に選定する手段も得られる。」(2頁左上欄14行?右上欄15行)

エ 「第4図は、その制御回路のブロック線図である。401はトランス、402は直流化回路、403は演算及び制御用IC素子、404はスイッチK_(1)?K_(6)のリレーコイル、405は制御盤、406は空気調和機の運転オンオフスイッチ(スイッチ102に関連する)、407は送風選定部で410は強、411は弱、412は微の接点、408は冷房能力選定部で413は強、414は弱、415は微の接点である。
409はサーモ設定部でセグメント416?420の位置を適宜選択すればそれに対応した設定温度が演算及び制御用IC素子403で演算される。
421はLED表示素子で演算及び制御された結果の各種データを発光ダイオードを介して表示するようにしている。
422はサーモコントロール用比較回路で423は増幅器、424?426は抵抗、427はサーミスタで現在温度を検出し、演算及び制御用IC素子403へ温度検出入力として与えている。」(2頁左下欄9行?右下欄6行)

オ 「このように、現在温度の検出と各選定部の設定により、演算及び制御用IC素子403で演算された省エネルギー指数がLED表示素子421に表示されることから、ユーザーはその表示指数の多い方へ選定部の設定を選択することができる。
かくして本発明によれば、各種操作スイッチの選定がその操作盤上等において省エネルギー指数として明示されるように図解状に配置されているので、ユーザーは空気調和機の最適条件での運転が可能となる。」(2頁右下欄10?19行)

カ 上記記載事項ア?オ及び図面の記載を総合すると、引用文献には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
「空気調和機のリモートコントロールボックスであって、
該リモートコントロールボックスには省エネルギー指数のデジタル表示部106が設けられ、
該デジタル表示部106には、省エネルギー指数がデジタル数値表示され、
該省エネルギー指数は、現在温度の検出と風量設定部103、冷房能力設定部104、室温設定部105の各選定部のスライドスイッチツマミ103a、設定ツマミ104a、スライドスイッチツマミの設定により、送風量での強10、弱8、微6、冷房能力での強6、弱8、微10、室温設定での30℃・10、29℃・8、28℃・6、27℃・4、16℃・2等と点数評価し、その合計点として、演算及び制御用IC素子403で演算され、
各種操作スイッチの選定がその操作盤101上のデジタル表示部106において省エネルギー指数として明示され、ユーザーはその表示指数の多い方へ選定部の設定を選択することができる、
空気調和機のリモートコントロールボックス。」

(3)対比・判断
ア 本願補正発明と引用発明とを対比する。
引用発明の「空気調和機」は、その構成上、室内機を備えていることは明らかであり、また、「空気調和機のリモートコントロールボックス」が、空気調和機の室内機と有線又は無線による通信を行い、運転情報を送受信することで、空気調和機の運転を制御する装置であることも技術常識である。よって、引用発明の「空気調和機のリモートコントロールボックス」は、本願補正発明の「空気調和機の室内機と通信するリモコン」に相当する。

引用発明の「省エネルギー指数」は、「現在温度の検出と風量設定部103、冷房能力設定部104、室温設定部105の各選定部のスライドスイッチツマミ103a、設定ツマミ104a、スライドスイッチツマミの設定により、送風量での強10、弱8、微6、冷房能力での強6、弱8、微10、室温設定での30℃・10、29℃・8、28℃・6、27℃・4、16℃・2等と点数評価し、その合計点として、演算及び制御用IC素子403で演算され」る「数値」であり、また、「各種操作スイッチの選定が」「デジタル表示部106において省エネルギー指数として明示され、ユーザーはその表示指数の多い方へ選定部の設定を選択することができる」ことから、省エネルギー指数の多い方が省エネルギーの程度が優れていることを示唆している。そうすると、上記「省エネルギー指数」とは、省エネルギーの優劣の程度を示す指標であって、空気調和機の各選定部の設定を演算により点数評価した数値であるということができる。そして、「採点」という語が「点数をつけて成績の優劣を表すこと。」(株式会社岩波書店 広辞苑第六版)という意味であることを踏まえれば、上記「省エネルギー指数」は、省エネルギーを採点して点数評価した数値であり、省エネルギーの採点結果であると言い換えることができる。
よって、引用発明の「省エネルギー指数」は、本願補正発明の「リモコンの現在の設定状態を省エネの観点から」「採点」した「採点結果」に相当し、引用発明の「省エネルギー指数がデジタル数値表示され」る「デジタル表示部106」は、本願補正発明の「採点結果を表示する表示部」に相当する。

また、引用発明の「省エネルギー指数」を「現在温度の検出と風量設定部103、冷房能力設定部104、室温設定部105の各選定部のスライドスイッチツマミ103a、設定ツマミ104a、スライドスイッチツマミの設定により、送風量での強10、弱8、微6、冷房能力での強6、弱8、微10、室温設定での30℃・10、29℃・8、28℃・6、27℃・4、16℃・2等と点数評価し、その合計点として演算」することは、本願補正発明の「リモコンの現在の設定状態を省エネの観点から定められた採点ルールに従って採点する」ことに相当し、引用発明の「省エネルギー指数」を「演算する」「演算及び制御用IC素子403」は、本願補正発明の「リモコンの現在の設定状態を省エネの観点から」「採点する手段」に相当する。

そして、引用発明の「省エネルギー指数」を「現在温度の検出と風量設定部103、冷房能力設定部104、室温設定部105の各選定部のスライドスイッチツマミ103a、設定ツマミ104a、スライドスイッチツマミの設定により、送風量での強10、弱8、微6、冷房能力での強6、弱8、微10、室温設定での30℃・10、29℃・8、28℃・6、27℃・4、16℃・2等と点数評価し、その合計点として演算」することと、本願補正発明の「採点ルールは、前記リモコンの現在の設定状態が前記基準点に対して省エネになる設定である場合には前記基準点に前記加算点を加算し、且つ前記基準点に対して省エネに反する設定である場合には前記基準点から前記減算点を減算するルールである」こととは、省エネの観点から定められた採点ルールが、リモコンの現在の設定状態を点数により演算するルールである点で共通する。

イ よって、本願補正発明は、引用発明とは、
「空気調和機の室内機と通信するリモコンにおいて、
採点結果を表示する表示部、を備え、
前記リモコンの現在の設定状態を省エネの観点から定められた採点ルールに従って採点する手段を有し、
前記採点ルールは、リモコンの現在の設定状態を点数により演算するルールである、リモコン。」
である点で一致し、次の点で相違する。

(相違点1)
採点に関して、本願補正発明においては、採点ボタンを備え、前記採点ボタンが押下されたときに採点し、採点結果を表示するものであるのに対して、引用発明においては、採点ボタンを備えておらず、省エネルギー指数は各選定部の設定により演算されてデジタル表示部に表示される点。

(相違点2)
リモコンの現在の設定状態を点数により演算する採点ルールについて、本願補正発明においては、設定状態毎に基準点、加算点及び減算点が予め記憶されており、リモコンの現在の設定状態が前記基準点に対して省エネになる設定である場合には前記基準点に前記加算点を加算し、且つ前記基準点に対して省エネに反する設定である場合には前記基準点から前記減算点を減算するルールであるのに対して、引用発明においては、現在温度の検出と風量設定部103、冷房能力設定部104、室温設定部105の各選定部のスライドスイッチツマミ103a、設定ツマミ104a、スライドスイッチツマミの設定により、送風量での強10、弱8、微6、冷房能力での強6、弱8、微10、室温設定での30℃・10、29℃・8、28℃・6、27℃・4、16℃・2等と点数評価し、その合計点として演算するものであるが、そのような基準点及び、送風量での強10、弱8、微6、冷房能力での強6、弱8、微10、室温設定での30℃・10、29℃・8、28℃・6、27℃・4、16℃・2等の点数評価が予め記憶されているかどうかは明らかでない点。

ウ そこで、上記各相違点について検討する。
まず、上記相違点1について検討する。
空気調和機のリモコンの表示部について、空気調和機のエネルギー消費に関する指標を、空気調和機のリモコンの当該指標表示用のボタンを押すことによって当該リモコンの表示部に表示させ、当該指標を知りたいときだけ表示し得るようにすることは、例えば特開2008-261630号公報(【0042】?【0043】、【図3】の節約お知らせボタン13、電気料金表示部11bに関する記載等参照)にみられるように、本願出願前の周知技術である。
そして、引用発明の省エネルギー指数は空気調和機のエネルギー消費に関するひとつの指標といい得るところ、当該指数を知りたいときだけ表示し得るように、引用発明のリモートコントロールボックスに省エネルギー指数表示用のボタンを設け、当該ボタンが押されたときにデジタル表示部に表示させるようにすることは、上記周知技術を知り得た当業者であれば容易になし得ることである。そして、その際、省エネルギー指数の演算のタイミングをボタンを押したときに行うようにする程度のことは、最低限当該指数の演算が表示部への表示前に行われていればよいことを考慮すれば、当業者が適宜に採用し得た設計的事項であって、それにより作用効果上格段の差異を生じさせるものでもない。
したがって、引用発明において上記相違点1に係る本願補正発明の構成を採用することは当業者が容易になし得ることである。

次に、上記相違点2について検討する。
本願補正発明と引用発明の採点ルールは、ともにリモコンの現在の設定状態を点数により演算するものである点で軌を一にするものであり、その演算結果についても、本願補正発明においては基準点に対する高低で評価し、引用発明は各選定部の設定の点数評価の合計点で評価しているものの、両者とも、点数(指数)が高いほど省エネルギーの程度が優れていると評価している点で差異はない。
そして、本願補正発明において基準点をどのように設定するかが何ら特定されておらず、例えば基準点が「0」点にも設定され得るものであることを踏まえれば、引用発明の各選定部の設定の点数評価の合計点で評価するルールは、本願補正発明において基準点を「0」点に設定して、リモコンの現在の設定状態が前記基準点に対して省エネになる設定である場合には前記基準点に前記加算点を加算し、且つ前記基準点に対して省エネに反する設定である場合には前記基準点から前記減算点を減算するルールと同じことになる(なお、基準点を「0」点に設定した場合、実際上は、全ての設定状態は加算点評価とされ、減算するルールは形式上のものとなる。)。
また、引用文献には「更に、省エネルギーボタン等の操作スイッチ(図示していない)を設け、これにより上記設定運転条件を省エネルギーに適したように、自動的に選定する手段も得られる。」(記載事項(2)ウ参照)ことが記載され、省エネルギーに適したように自動的に選定される運転条件が予め設定されていることから、当該自動的に選定される運転条件での省エネルギー指数も予めユーザーに認知されたものとなる。そして、ユーザーは、風量設定部、冷房能力設定部、室温設定部の各選定部を個別に設定したときの省エネルギー指数について、予めユーザーに認知された上記省エネルギー指数に対する優劣を把握できることとなる。そうすると、予めユーザーに認知された上記省エネルギー指数は、省エネルギーの観点からの設定状態を示すひとつの基準点として理解することができるものである。よって、本願補正発明の「基準点」が、例えば標準的な省エネ運転となる設定状態を基準とする場合(基準点が「0」点でない場合)を意図するものとしても、引用文献に記載された事項に比して格別なものということはできない。
そうすると、本願補正発明の採点ルールは、引用発明のものとは具体的な演算内容に差異があるとしても、引用発明の採点ルールを含み得る程度の微差にすぎず、それにより作用効果上格段の差異が生じるものでもないから、当業者が実施に際して適宜容易に採用し得た設計的事項というべきものである。
また、引用発明において、演算及び制御用IC素子403に、省エネルギー指数の演算にあたって、演算に必要な「送風量での強10、弱8、微6、冷房能力での強6、弱8、微10、室温設定での30℃・10、29℃・8、28℃・6、27℃・4、16℃・2等」の「点数評価」を記憶させておく程度のことは、当業者であれば当然に配慮すべき設計的事項である。
したがって、引用発明において上記相違点2に係る本願補正発明の構成を採用することは当業者が容易になし得ることである。

そして、上記相違点1及び2に係る事項をあわせみても、本願補正発明の奏する効果は引用発明及び上記周知技術から当業者が予測し得る範囲内のものであって、格別顕著なものとはいえない。

よって、本願補正発明は、引用発明及び上記周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4)小括
したがって、本願補正発明は、引用発明及び上記周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

4 むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成26年3月27日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項(上記「第2 1 補正の内容」の補正前の請求項1参照。)により特定されるとおりのものと認める。

2 引用文献
原査定の拒絶理由に引用された引用文献及びその記載事項並びに引用発明は、前記「第2 3(2)引用文献の記載事項」に記載したとおりである。

3 対比・判断
本願発明は、本願補正発明の「前記採点ボタンが押下されたときに前記リモコンの現在の設定状態を省エネの観点から定められた採点ルールに従って採点する手段」について「前記採点ボタンが押下されたときに前記リモコンの現在の設定状態を省エネの観点から定められた採点ルールに従って採点すること」として「手段」であることの限定を省き、かつ、「採点ルール」について「設定状態毎に基準点、加算点及び減算点が予め記憶されており」、「前記リモコンの現在の設定状態が前記基準点に対して省エネになる設定である場合には前記基準点に前記加算点を加算し、且つ前記基準点に対して省エネに反する設定である場合には前記基準点から前記減算点を減算するルールであること」との限定を省くものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項をすべて含むものに相当する本願補正発明が、前記「第2 3(3)対比・判断」に記載したとおり、引用発明及び上記周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様に、引用発明及び上記周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

なお、請求人は平成26年12月10日の上申書において補正案を提示している。
しかしながら、当該補正案において特定された「前記室内機の停止時にも採点可能である」点については、空気調和機のリモコンにおいて、当該リモコンが室内機とは別個の電源(電池)を備え、リモコンでの各種設定等に関する表示を空気調和機の運転と独立させて表示可能とし、空気調和機の運転が停止しているときにおいてもリモコンの表示部に各種設定等を表示させてユーザーが確認できるようにしていることが本願出願時においては例を挙げるまでもなく周知の技術であることを踏まえれば、格別困難なことではない。
よって、当該補正案に係る発明についても、引用発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものというほかない。

4 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び上記周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-08-31 
結審通知日 2015-09-01 
審決日 2015-09-14 
出願番号 特願2011-188374(P2011-188374)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (F24F)
P 1 8・ 575- Z (F24F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 河内 誠仲村 靖  
特許庁審判長 鳥居 稔
特許庁審判官 千壽 哲郎
窪田 治彦
発明の名称 リモコンおよび空気調和機  
代理人 稲葉 忠彦  
代理人 松井 重明  
代理人 村上 加奈子  
代理人 倉谷 泰孝  

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