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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G03B
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G03B
管理番号 1307232
審判番号 不服2014-21281  
総通号数 192 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-12-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-10-21 
確定日 2015-10-26 
事件の表示 特願2010- 70752「インタラクティブボード用透過型スクリーン」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 6月16日出願公開、特開2011-118333〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成22年(2010年)3月25日(優先権主張 平成21年3月26日、平成21年8月28日、平成21年10月29日)を出願日とする特願2010-70752号であって、平成25年11月12日付けで拒絶理由が通知され、同年12月18日付けで意見書が提出され、同日付けで手続補正がなされ、平成26年2月17日付けで拒絶理由(最後)が通知され、同年4月22日付けで意見書が提出され、同日付けで手続補正がなされ、同年7月24日付けで、同年4月22日付けの手続補正に対する補正の却下の決定がなされ、同日付で拒絶査定がなされ、これに対して、同年10月21日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同時に手続補正がなされたものである。

第2 平成26年10月21日付けの手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]
平成26年10月21日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正について
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、平成25年12月18日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載の、

「入射光側にプリズム部を備えたフレネルレンズシートと、前記フレネルレンズのプリズム部とは反対の面側に設けられた光拡散部材と、前記光拡散部材の出射光側に設けられたハードコート層と、前記ハードコート層の出射光側に設けられた位置情報検出手段と、を少なくとも備えてなることを特徴とする、インタラクティブボード用透過型スクリーン。」から

「入射光側にプリズム部を備えたフレネルレンズシートと、前記フレネルレンズのプリズム部とは反対の面側に設けられた光拡散部材と、前記光拡散部材の出射光側に設けられたハードコート層と、前記ハードコート層の出射光側に設けられた位置情報検出手段と、を少なくとも備え、
前記光拡散部材は、出射光側から順に、基材中に微粒子を添加した光拡散層、および、前記光拡散層に接するようにして設けられた、光透過部と光吸収部とをスクリーン水平方向に交互に設けた水平方向視野角拡大層、を少なくとも備えてなることを特徴とする、インタラクティブボード用透過型スクリーン。」に補正された。(下線は補正箇所を示す。)

そして、この補正は、「光拡散部材」について、「出射光側から順に、基材中に微粒子を添加した光拡散層、および、前記光拡散層に接するようにして設けられた、光透過部と光吸収部とをスクリーン水平方向に交互に設けた水平方向視野角拡大層、を少なくとも備えてなる」た光であることを限定する補正事項からなり、特許請求の範囲のいわゆる限定的減縮を目的とする補正であるといえる。
すなわち、本件補正における請求項1に係る発明の補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる事項を目的とするものである。

2 独立特許要件違反についての検討
そこで、次に、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反しないか)について検討する。

(1)本願補正発明
本願補正発明は、平成26年10月21日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載されている事項により特定されるものである。(上記の「1 本件補正について」の記載参照。)

(2)引用例
ア 原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前に頒布された刊行物である特開2006-259028号公報(以下「引用例1」という。)には、次の事項が記載されている。(なお、下記「イ 引用例1に記載された発明の認定」に直接関与する記載に下線を付した。)

a「【0001】
本発明は、背面からプロジェクタで投写した際に画面のぎらつきが少なくて視野角が広い透過型スクリーンに関し、投写像が鮮明で比較的軽量の透過型スクリーンを従来よりも遙かに安価に製造する方法に関する。」

b「【0013】
本発明を図面によって説明すると、図1において、本発明に係る透過型スクリーン1を例示する。透過型スクリーン1には、ティント処理した有色透明のプラスチック基材2の裏面に薄い光拡散層3が形成されている。図1では、光拡散層3を形成する前にプラスチック基材2の両面に帯電防止性の表面処理層5をあらかじめ設け、図3では、プラスチック基材2の表面だけに表面処理層5をあらかじめ設け、図2のスクリーン6では、プラスチック基材2の裏面に光拡散層3を直接形成する。
【0014】
図1から図3に示すプラスチック基材2は厚さ1?5mmのように比較的厚く、その素材にはアクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、メタクリル酸メチル/ビニル系モノマー共重合樹脂などを用いる。特に、メタクリル樹脂は、プロジェクタにおける液晶の偏光特性を低下させる複屈折率が小さく且つ耐衝撃性が高いので好ましく、このメタクリル樹脂として、メタクリル酸メチル単独重合体、メタクリル酸メチルと共重合可能なビニル系モノマーを50重量%以下含む共重合体が好適である。この共重合可能なビニル系モノマーとして、アクリル酸メチル,アクリル酸エチルやアクリル酸ブチルのようなアクリル酸エステル、メタクリル酸エチル,メタクリル酸ブチルやメタクリル酸シクロヘキシルのようなメタクリル酸エステル、アクリル酸、メタクリル酸、スチレン、アクリロニトリルなどが例示できる。
【0015】
プラスチック基材2は、熱可塑性樹脂中に染料や顔料を添加するティント処理によって有色透明であり、この染料または顔料は最大吸収波長範囲が460?540nmである光吸収剤である。この光吸収剤において、顔料として微粉末のカーボンブラックやネオジウム化合物など、染料としてPlast Blue 8516(有本化学製)、Diaresin Red Z(三菱化学製)、Sumiplast Red 3B(住友化学工業製)、Sumiplast Yellow HLR(住友化学工業製)、Cromophtal Brown 5R(チバガイギー製)などが例示できる。
【0016】
図1または図3では、プラスチック基材2の両面または表面に、帯電防止性を賦与するために表面処理層5を薄く層状に設け、次に該プラスチック基材の裏面に光拡散層3を形成している。表面処理層5は、粒径0.2μm以下の超微粉末の酸化スズ、酸化亜鉛、酸化イリジウムなどを含有し、蒸着,コーティング,転写またはディッピング法などによって設けて硬化させる。
【0017】
表面処理層5として、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレートなどの多官能アクリレートに超微粉末の酸化スズ、酸化亜鉛、酸化イリジウムなどの導電性フィラーを添加した希釈コート液を用い、このコート液を表面付着させてから紫外線照射で硬化させてもよい。好適な表面処理層5は、表面抵抗率が高くて優れた帯電防止性を有し、温水浸漬しても帯電防止性を長期間維持する。この表面処理層5は、添加した酸化スズ、酸化亜鉛、酸化イリジウムが超微粉末であり、光の波長よりも小さいので透明性が良く、プラスチック基材2の高い光線透過率をほぼ維持できる。
【0018】
表面処理層5は、超微粉末の酸化スズ、酸化亜鉛、酸化イリジウムなどを添加した希釈コート液を用いる場合、厚さが0.5?5μmであると好ましい。この場合に、厚さ0.5μm未満であると帯電防止性や耐擦傷性が不十分になり、5μmを超えると光線透過率が低くなる。また、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化イリジウムの粒径は、粒径が0.2μm以下であると好ましい。この場合に、粒径が0.2μmより大きくなると、可視光線を散乱させるために、プラスチック基材2の透明性を低下させるおそれがある。
【0019】
他の表面処理層として、例えば、ハードコート層を設け、該ハードコート層はクリーン環境においてメタクリル酸などの不飽和化合物やエポキシ樹脂をディッピング法、スクリーン印刷法、スプレー法、ロールコータ法、カーテンフロー法などで表面付着させ、溶剤乾燥の後に紫外線照射によって架橋重合して短時間で硬化させる。表面処理層5であるハードコート層は、図1に示すように、ディッピング法などによってプラスチック基材2の両面に設けると好ましい。この場合には、表面処理層5を厚さ1?5mmのアクリル樹脂板などのプラスチック基材2の両面に薄く層状に塗布・硬化させると、該アクリル樹脂板に歪みが発生しない。
【0020】
別のハードコート層には、クリーン環境でプライマ塗装してから乾燥・加熱硬化させ、ついでハードコート塗装した後に遠赤外線ヒータや熱風炉を用いて80?130℃で乾燥・加熱硬化させて設けることも可能である。この場合に、良好な耐磨耗性を示すホスファゼン樹脂を被膜材料として用いてもよい。
【0021】
光拡散層3は、プラスチック基材2の裏面に形成し、シリカ粉末7を多量に含むことで白色不透明であり、これによって水性マーカなどでスクリーン表面に筆記するとその文字が容易に視認できる。光拡散層3は、透明樹脂8と屈折率が異なる無機質のシリカ粉末7および有機質のプラスチックビーズ10を混入してプラスチック基材2上に塗布することによって形成し、これらの粒子形状は、球形、扁平形状、円柱形などである。光拡散層3は、スクリーン印刷法を用いて塗布すると好ましく、またはロールコータなどで塗布したり、フィルム状に成形して貼り合わせることも可能である。
【0022】
光拡散層3に混入するシリカ粉末7は、透明樹脂8およびプラスチックビーズ10よりも光の屈折率が高く、薄い光拡散層3内を直進する光の通路に存在して効果的に散乱させて視野角を高くするために、平均粒径が1.0?5.0μmであることを要する。好ましくは、シリカ粉末7は、平均粒径が1.0?3.0μmであるゲルタイプの合成シリカである。この場合には、シリカ粉末7がゲルタイプであるから含水非結晶であるうえに形状がいっそう球形に近く、平均粒径が1.0?3.0μmであるとプラスチック基材2に超微細な凹凸面を形成でき、光の拡散性がいっそう良好になる。
【0023】
光拡散層3に混入するプラスチックビーズ10は、透明樹脂8との屈折率差が一般に0.05前後であり、平均粒径がシリカ粒径7よりも小さい0.5?5.0μmであることを要する。プラスチックビーズ10の平均粒径が5.0μmを超え且つシリカ粒径7のそれよりも大きいならば、投写画面が全体的に暗くなってしまうので望ましくない。好ましくは、プラスチックビーズ10の平均粒径は0.5?2.0μmである。プラスチックビーズ10が存在しない場合には、光源のホットスポットが投写画面に出やすく、且つ投写画面がぎらつくスペックル現象が発生しやすい。使用可能なプラスチックビーズ10は、架橋ポリスチレン、アクリル、ポリウレタンビーズなどであり、液晶の偏光特性を低下させることが少ない球形に近い架橋ポリスチレンビーズであると好ましく、例えば、架橋アクリルビーズではスクリーン1が若干黄色くなる。」

c「【0030】
透過型スクリーン1は、有色透明のプラスチック基材2、表面処理層5、光拡散層3について添加剤の種類や添加量を適宜に調整して光線透過率を75?87%に定め、特に光線透過率を82±3%に定めると、投写画面の適度な明るさを保持しながら外光の反射をさらに低減化できるので好ましい。透過型スクリーン1には、偏光フィルタを貼着したり、特定の反射防止層を形成することも可能である。また、プラスチック基材2の片面をフレネルレンズ面または両面を該レンズ面とレンチキュラーレンズ面としたり、透過型スクリーン1をフレネルレンズと組み合わせて使用したり(図5参照)、該レンズとレンチキュラーレンズを組み合わせて使用することも可能である。
【0031】
図1から図3の透過型スクリーンにおいて、裏側に位置する保護シート12は、厚さ1?2mmの透明プラスチック材であり、その素材は基体のプラスチック基材2と同じまたは異なる無色透明板である。保護シート12は、薄い光拡散層3と隣接し、光拡散層3を変形や破損から保護する役目を有する。保護シート12における光源側の面14には、エンボス仕上げ加工などによってアンチグレア処理を施し、外光の映り込みを減らすことによってスクリーンの視認性をいっそう高めてもよい。
【0032】
透過型スクリーン1は、通常、表面寸法が60?100インチ程度の大きさであり、プラスチック基材2と保護シート12を単独でパネル状に立設させるか、または金属フレームなどに取り付けて立設させる。透過型スクリーン1は、キャスタ付きの架台15(図4)などに取り付けて移動可能とすると好ましい。表面処理層5を設けてスクリーン表面に筆記可能とするならば、水性マーカなどで書き込む際に凹まないように、プラスチック基材2がある程度の厚みを有することが必要である。このため、プラスチック基材2の厚みは2mm以上に定め、通常は立設支持や搬送および重さなどの点を考慮して厚さ5mm程度のものを使用すると好ましい。
【0033】
画像を投写するプロジェクタ16(図4)は、一般に液晶プロジェクタであり、例えば、60インチ画面で投映距離を約1.3mに短縮する短焦点レンズを搭載するプロジェクタ(商品名:LP-XU33、三洋電機製)などを用いる。また、非球面ミラーを採用したプロジェクタ(商品名:ミラープロジェクタWT600J、NEC製)であると、投映距離を60インチで26cmに短縮できるのでスクリーン装置の敷設面積が著しく小さくなり、該プロジェクタを透過型スクリーンに組み込むことも可能である。
【0034】
図5は、透過型スクリーン1をプロジェクションテレビに組み込んだ例を示し、テレビ受像機34において、スクリーン1を受像機前面に垂直に取り付け、その後側にフレネルレンズ板36を重合するように配置する。テレビ受像機34内の下方上向きに設置したプロジェクタ38から出た投影光は、受像機後方の鏡40で全反射され、フレネルレンズ板36を通過してスクリーン1に画像が投写される。プロジェクタ38は任意の市販製品であればよく、保護シート12は不要である。プロジェクションテレビ受像機34は、60インチのような大型化がきわめて容易であり、通常のブラウン管または液晶テレビ受像機に比べて鮮明な画像を投写することができる。」

d「【0035】
本発明に係る透過型スクリーンは、有色透明のプラスチック基材に薄い光拡散層を形成し、該光拡散層に微細なシリカ粉末を多量に混入することにより、背面からプロジェクタで投写すると投写像のコントラストが高くて鮮明であり、高い投写画素数であっても光の干渉によって生じるモアレ現象が発生しない。この光拡散層には、シリカ粉末よりも光の屈折率が低い微細なプラスチックビーズが少量添加されているので、投写画面がぎらつくスペックル現象が発生することがなく、光源のホットスポットが画面に投写されず、全面が均等な明るさの投写画面を表示できる。
【0036】
本発明の透過型スクリーンは、フレネルレンズやレンチキュラー加工などの型付け加工を必要とせず、構造が単純であって製造工程も少ないので安価である。本発明の透過型スクリーンは、投写光源が有する可視光線の波長以外の蛍光灯や太陽光線などがスクリーン表面から反射されることが少なく、その結果として投写画像のコントラストが向上している。また、この透過型スクリーンは、有色透明のプラスチック基材と乳白色の光拡散層によって投写光源としての3原色の光線透過率が高く、部屋を暗くしなくても投写像を容易に視認することが可能である。
【0037】
本発明の透過型スクリーンが表面処理層を有する場合、この表面処理層は帯電防止性であるので使用時に埃やマーカ跡などが付着せず、さらにこの表面処理層によって筆記具などで筆記しても画面に傷が付かない。本発明の透過型スクリーンは、60インチ以上の大型パネル式のホワイトボードであり、比較的硬質で湾曲や変形を起こさないので架台に取り付けたままで移動でき、特別な保管場所を必要としないうえに、市販黒板並みの大型ボードであって画面に筆記しやすく、教育現場などでホワイトボードとの兼用も可能である。」

e「【図1】


f「【図5】



イ 引用例1に記載された発明の認定
上記アのcの【0030】における「透過型スクリーン1をフレネルレンズと組み合わせて使用したり(図5参照)」の記載について、fの【図5】を参照すれば、フレネルレンズ板36が透過型スクリーン1の光源側、すなわち、光拡散層3の裏面側に設けられることが見て取れる。
上記記載(図面の記載も含む)を総合すれば、引用例1には、
「プラスチック基材2の裏面に薄い光拡散層3が形成された透過型スクリーン1であって、
プラスチック基材2の表面には、表面処理層5が薄く層状に設けられ、
光拡散層3の光源側には、フレネルレンズ板36が設けられ、
表面処理層5によって筆記具などで筆記しても画面に傷が付かず、スクリーン表面に筆記可能で、教育現場などでホワイトボードとの兼用も可能である透過型スクリーン1。」の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

ウ 原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前に頒布された刊行物である特開2001-154274号公報(以下「引用例2」という。)には、次の事項が記載されている。(下線は、当審において付した。)

a「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は投写形表示装置の映像を拡大表示するスクリーンの構造に関するものである。」

b「【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明による実施の形態を、幾つかの実施例を用い、図を参照して説明する。以下、図1?図4を用いて本発明によるスクリーンユニット及びそれを用いた投写形表示装置の第一実施例について説明する。図1は投写形表示装置の斜視図であり、一般的な70インチ程度の表示スクリーンユニット1aを搭載した投写形表示装置1を示したものである。最近、投写形表示装置1をプレゼンテーション等で使用する際の付加機能としてスクリーンユニット1aに直接、説明者3が指もしくは専用ペンなどで画面入力可能な機能を搭載した電子黒板の製品の市場が伸びてきている。
【0013】 図2は投写形表示装置の内部側面図であり、投写形表示装置1は、映像光4aを出射する投写ユニット4及び前記映像光4aをスクリーンユニット1aに向けて反射させるミラー2a、2b等を配備し、各部の保持手段を有するキャビネット2で構成されている。また、スクリーンユニット1aの四辺周囲には、画面入力の専用ペン3aの座標位置を検知するセンサ5aを内蔵した装飾枠5が取り付けられている。」

c「【図1】 【図2】



エ 本願の優先日前に頒布された刊行物である特開2004-4148号公報(以下「引用例3」という。)には、次の事項が記載されている。(下線は、当審において付した。)

a「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、LCD(液晶表示装置)、DMD(Digital Micro-mirror Device)等のようなセル構造を有する画像光源からの画像を斜めに投射して観察するのに適したプロジェクションスクリーン用シート又はフィルム、プロジェクションスクリーン、及びプロジェクションディスプレイ装置、並びに、光拡散シート又はフィルム、この光拡散シート又はフィルムを用いたプロジェクションスクリーンに関する。」

b「【0129】
【実施例2】
・・・省略・・・
(第6実施形態及び第7実施形態)
図11及び図12は、本発明の第六及び第七実施形態の光拡散シート又はフィルムS1及びS2の水平断面を示す図である。これらの図においては、図面右側に映像光源が配置され、図面の左側に観察者が位置している。
【0130】
図11は、本発明の第六実施形態の光拡散シートS1を示している。この光拡散シートS1は、観察者側から映像光源方向に順に、拡散剤入りシート101、単位レンズ102、ベースシート103が張り合わされて配置されている。単位レンズ102は高屈折率N1を有する物質により形成されている。さらに、隣接する単位レンズ102、102にはさまれた断面形状三角形の部分(以下において「レンズ間部分107」という。)には、N1より小さな屈折率N2を備えた透明な物質(以下において「透明低屈折率物質106」という。)中に光吸収粒子105が添加された材料で埋められている。
【0131】
本実施形態においては、高屈折率部102の屈折率N1と、透明低屈折率物質106の屈折率N2との比は、光拡散シートS1の光学特性を得るために所定の範囲に設定されている。また、レンズ間部分107と高屈折率部102とが接する斜辺が、出光面の法線(当該光拡散シートS1に対する垂直入射光に平行である。)となす角度は所定の角度θに形成されている。
【0132】高屈折率部102は通常、電離放射線硬化性を有するエポキシアクリレートなどの材料にて構成されている。また、透明低屈折率物質106として通常、電離放射線硬化性を有するウレタンアクリレートなどの材料が使用されている。光吸収粒子105は市販の着色樹脂微粒子が使用可能である。また、拡散剤入りシート101、及びベースシート103は、高屈折率部102と略同一の屈折率を有する材料にて構成されている。拡散剤入りシート101の観察者側には、反射防止層、ハードコート層、偏光フィルター層、帯電防止層、防眩処理層、防汚処理層、タッチセンサ層などの機能層が適宜設けられている。
【0133】
次に光拡散シートS1の単位レンズ102内に入光した光の光路について、図11を参照しつつ簡単に説明する。なお、図11において、光L11?L14の光路は模式的に示されたものである。いま、図11において、映像光源側から単位レンズ102の中央部付近に入射した垂直光L11は、そのまま光拡散シートS1の内部を直進して通過し、観察者に至る。映像光源側から単位レンズ102の端部付近に入射した垂直光L12は、高屈折率部102と透明低屈折率物質106との屈折率差により斜辺にて全反射され、所定の角度をもって観察者側に出光される。映像光源側から単位レンズ102の端部付近に角度をもって入射した光L13は、斜辺にて全反射され、入射時とは反対方向にさらに大きな角度をもって観察者側に出光される。斜辺に所定以上の大きな角度をもって入射する迷光L14aは、高屈折率部102と低屈折率物質106との屈折率差によっても反射されることなくレンズ間部分107の内部に入光して、光吸収粒子105に吸収され、観察者側に至ることはない。また、観察者側からレンズ間部分107に入光した迷光L14bは、光吸収粒子に吸収されるので、観察者側に反射光となって、出光されることがない。このようにして水平方向に広い視野角をもち、コントラスト、輝度の高い光拡散シートS1を得ることができる。」

c「【図11】



(3)本願補正発明と引用発明との対比
ア 対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。
(ア)プリズム部を備えた「フレネルレンズ」は周知の技術的事項である(必要とあらば、原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前に頒布された刊行物である特開2003-149744号公報(【0034】【図1】等)参照)ことから、引用発明の「フレネルレンズ板36」と、本願補正発明の「入射光側にプリズム部を備えたフレネルレンズシート」とは、「プリズム部を備えたフレネルレンズシート」である点で一致する。
また、その機能から、引用発明の「光拡散層3」が、本願補正発明の「光拡散部材」に相当し、また、引用発明の「筆記具などで筆記しても画面に傷が付か」ない「表面処理層5」が、本願補正発明の「ハードコート層」に相当する。
そして、引用発明において「プラスチック基材2の裏面に薄い光拡散層3が形成され」、「プラスチック基材2の表面には、表面処理層5が薄く層状に設けられ」、「光拡散層3の光源側には、フレネルレンズ板36が設けられ」ていることは、引用発明においては、光源側から、フレネルレンズ板3、光拡散層3、表面処理層5(「ハードコート層」に相当)の順で設けられていることを意味していることに鑑みれば、引用発明の「プラスチック基材2の裏面に薄い光拡散層3が形成され」、「プラスチック基材2の表面には、表面処理層5が薄く層状に設けられ」、「光拡散層3の光源側には、フレネルレンズ板36が設けられ」ていることと、本願補正発明の「入射光側にプリズム部を備えたフレネルレンズシートと、前記フレネルレンズのプリズム部とは反対の面側に設けられた光拡散部材と、前記光拡散部材の出射光側に設けられたハードコート層」「とを少なくとも備え」たこととは、「プリズム部を備えたフレネルレンズシートと、前記フレネルレンズのプリズム部とは反対の面側に設けられた光拡散部材と、前記光拡散部材の出射光側に設けられたハードコート層」「とを少なくとも備え」点で一致する。

(イ)引用発明の「表面処理層5によって筆記具などで筆記しても画面に傷が付かず、スクリーン表面に筆記可能で、教育現場などでホワイトボードとの兼用も可能である透過型スクリーン1」と、本願補正発明の「インタラクティブボード用透過型スクリーン」とは、「筆記可能なボード用透過型スクリーン」である点で一致している。

イ 一致点
よって、本願補正発明と引用発明は、
「プリズム部を備えたフレネルレンズシートと、前記フレネルレンズのプリズム部とは反対の面側に設けられた光拡散部材と、前記光拡散部材の出射光側に設けられたハードコート層とを少なくとも備えた筆記可能なボード用透過型スクリーン。」の発明である点で一致し、次の各点で相違する。

ウ 相違点
(ア)相違点1
「プリズム部を備えたフレネルレンズシート」について、本願補正発明では、プリズム部が「入射光側」に設けられているのに対して、引用発明においては、そのような特定がない点。

(イ)相違点2
本願補正発明の透過型スクリーンは、ハードコート層の出射光側、すなわち、スクリーンの前面側に「位置情報検出手段」が設けられ、「インタラクティブ」ボード用透過型スクリーンとなっているのに対して、引用発明においては、そのような特定がない点。

(ウ)相違点3
光拡散部材が、本願補正発明においては、「出射光側から順に、基材中に微粒子を添加した光拡散層、および、前記光拡散層に接するようにして設けられた、光透過部と光吸収部とをスクリーン水平方向に交互に設けた水平方向視野角拡大層、を少なくとも備えてなる」のに対し、引用発明においては、そのような特定がない点。

(4)当審の判断
ア 上記の相違点について検討する。
(ア)相違点1について
フレネルレンズにおいて、プリズム部を光の入射側に設けるか、出射側に設けるかは、当業者が必要に応じて適宜選択し得る事項であり、上記相違点1については、単なる設計的事項にすぎない。

(イ)相違点2について
画面入力可能ボード用透過型スクリーンにおいてスクリーンの前面側に「位置情報検出手段」を設けることは、引用例2(【0013】及び【図2】参照)に記載されている事項である。そして、スクリーンの前面側に「位置情報検出手段」を設け、当該「位置情報検出手段」で得た位置情報を他の端末装置等と共有してインタラクティブボードとすることは、例えば、特開2003-136892号公報(【0002】【図1】参照)、特開2003-276399号公報(【0002】【0003】参照)、登録実用新案公報第3093288号(【0004】参照)にも記載されているように周知の技術的事項であることからして、引用例2においても「位置情報検出手段」を用いてインタラクティブボードとすることは自明の事項といえる。
引用発明は「スクリーン表面に筆記可能で、教育現場などでホワイトボードとの兼用も可能である」スクリーンであるから、スクリーン表面に筆記したデータを記憶したり,他の端末と共有するために送信したりすることを可能にすることは自明の技術課題といえるから、当該自明の技術課題を解決すべく、引用発明に、引用例2に記載された「スクリーンの前面側に「位置情報検出手段」を設け」る技術的事項を採用し、そしてそれによって「インターラクティブ」ボード用透過型スクリーンとすること、すなわち、上記相違点2に係る本願補正発明の発明特定事項を得ることは、当業者が容易に想到し得たことにすぎない。

(ウ)相違点3について
引用例3の【0130】に記載の光拡散シートS1について、「拡散剤入りシート101」が本願補正発明の「基材中に微粒子を添加した拡散層」に相当し、「単位レンズ102」が本願補正発明の「光透過部」に相当し、また、「光吸収粒子105が添加された材料で埋められている」「断面形状三角形の部分」が本願補正発明の「光吸収部」に相当する。また、【0133】には「水平方向に広い視野角をもち、コントラスト、輝度の高い光拡散シートS1を得ることができる」と記載され、さらに【図11】から、「単位レンズ102」と「光吸収粒子105が添加された材料で埋められている」「断面形状三角形の部分」がスクリーン水平方向に交互に設けられた層が、「拡散剤入りシート101に接するようにして設けられ」ていることが見て取れる。
これらの記載を参酌すれば、引用例3には、「出射光側から順に、基材中に微粒子を添加した光拡散層、および、前記光拡散層に接するようにして設けられた、光透過部と光吸収部とをスクリーン水平方向に交互に設けた水平方向視野角拡大層、を少なくとも備えてなる」「光拡散部材」が記載されていることは明らかである。
引用発明においても、引用例1の【0001】や【0136】の記載から、「水平方向視野拡大」や「コントラストの向上」を技術課題としていることは明らかであり、当該技術課題の解決のため、引用発明の光拡散層として、上記の引用例3に記載の光拡散シートを採用し、上記相違点3に係る本願補正発明の発明特定事項を得ることは、当業者が容易に想到し得たことにすぎにない。

イ 本願補正発明の奏する作用効果
そして、本願補正発明によってもたらされる効果は、引用発明、引用例2及び3に記載された技術的事項、並びに、周知の技術的事項から当業者が予測し得る程度のものである。

ウ まとめ
以上のとおり、本願補正発明は、引用発明、引用例2及び3に記載された技術的事項、並びに、周知の技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

3 むすび
したがって、本願補正発明は特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるということができないから、本件補正は、特許法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成25年12月18日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである。(上記「第2 平成26年10月21日付けの手続補正についての補正の却下の決定」の「1 本件補正について」の記載参照。)

2 引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例の記載事項及び引用発明については、上記「第2 平成26年10月21日付けの手続補正についての補正の却下の決定」の「2 独立特許要件違反についての検討」の「(2)引用例」の「ア」、「イ」及び「ウ」に記載したとおりである。

3 対比・判断
本願発明と引用発明とを対比すると、上記「第2 平成26年10月21日付けの手続補正についての補正の却下の決定」の「2 独立特許要件違反についての検討」の「(3)本願補正発明と引用発明との対比」の「ア 対比」において記載したのと同様の対比の手法及び結果により、本願発明と引用発明は、「イ 一致点」と同じ一致点で一致し、また、「ウ 相違点」における「(ア)相違点1」に相当する相違点(すなわち、上記「(ア)相違点1」において「本願補正発明」を「本願発明」と置き換えたもの)のみで相違する。
そして、上記の相違点1については、上記「第2 平成26年10月21日付けの手続補正についての補正の却下の決定」の「2 独立特許要件違反についての検討」の「(4)当審の判断」の「ア」における「(ア)相違点1について」で、検討したとおりである。
また、本願発明によってもたらされる効果は、引用発明、引用例2に記載された技術的事項及び周知の技術的事項から当業者が予測し得る程度のものであることから、本願発明は、引用発明、引用例2に記載された技術的事項及び周知の技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明、引用例2に記載された技術的事項及び周知の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、その余の請求項に係る発明について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-08-21 
結審通知日 2015-08-25 
審決日 2015-09-08 
出願番号 特願2010-70752(P2010-70752)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G03B)
P 1 8・ 121- Z (G03B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小野 博之  
特許庁審判長 伊藤 昌哉
特許庁審判官 森林 克郎
井口 猶二
発明の名称 インタラクティブボード用透過型スクリーン  
代理人 永井 浩之  
代理人 勝沼 宏仁  
代理人 浅野 真理  
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