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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04Q
管理番号 1307258
審判番号 不服2014-7067  
総通号数 192 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-12-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-04-16 
確定日 2015-10-28 
事件の表示 特願2012-173077「映像表示装置及び遠隔制御装置並びにその動作方法」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 3月21日出願公開、特開2013- 55650〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯と本願発明
本願は、平成24年8月3日(パリ条約による優先権主張2011年9月5日、大韓民国)の出願であって、原審において平成25年6月13日付けで拒絶理由が通知され、同年9月17日付けで手続補正され、同年12月12日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成26年4月16日に拒絶査定不服の審判が請求されるとともに、同日付けで手続補正され、平成27年2月3日付けで当審より拒絶理由が通知され、同年5月11日付けで手続補正されたものである。

本願の請求項1ないし4に係る発明は、平成27年5月11日付けで手続補正された特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定されるものであるところ、そのうち、特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、特許請求の範囲、明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものと認める。

「IRブラスターメニュー画面を表示する段階と、
前記画面に含まれる電子機器のいずれか一つに対する選択入力を受信する段階と、
前記選択入力に基づいて、選択された電子機器の機器情報を遠隔制御装置に送信する段階と、を含み、
前記選択入力を受信する段階は、
前記遠隔制御装置から受信した個人情報に基づいてログインの制御をする段階を含み、
前記選択された電子機器の機器情報の送信は、RF通信方式で行われることを特徴とする映像表示装置の動作方法。」

第2 引用発明及び周知技術
1 引用例及び引用発明
当審の平成27年2月3日付け拒絶理由に引用された本願の優先権主張の日前に日本国内において頒布された刊行物である特開2007-13929号公報(平成19年1月18日公開、以下「引用例」という。)には図面とともに以下の事項が記載されている。

イ.「【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば制御信号を、テレビジョン受像機等の電子機器の制御に適用して好適な遠隔制御遠隔制御装置、及び遠隔制御遠隔制御装置と電子機器との間で信号の送受信を行う機器操作システム、ならびに遠隔制御遠隔制御方法に関する。」(3頁)

ロ.「【0013】
まず、本例の機器操作システムの構成例について図1を参照して説明する。テレビジョン受像機2は、図示しないアンテナより受信した放送波から信号を変換し、テレビジョン放送番組を受像する。また、外部に設置した周辺機器として、記録媒体にDVD規格に準拠した光ディスクを用いて記録・再生が可能なDVDレコーダ4と、ビデオテープの記録・再生が可能なビデオデッキ5がある。それぞれの機器は、テレビジョン受像機2に設置された映像、音声の再生信号をテレビジョン受像機2に供給する第1の入力端子30、第2の入力端子31にケーブル接続してある。このように、テレビジョン受像機2にDVDレコーダ4とビデオデッキ5とを接続し、遠隔制御装置1で操作可能としたシステム全体を、機器操作システム100としてある。テレビジョン受像機2には、液晶の表示パネル29と、表示パネル29の両側に音声出力するスピーカ26が設けてあり、テレビジョン放送、DVDレコーダ4、ビデオデッキ5から供給される画像、音声の再生を行う。また、テレビジョン受像機2には、選局、音量設定等の操作を行う操作部34が設置してある。
【0014】
テレビジョン受像機2に対して、ユーザが遠隔操作に用いる遠隔制御装置1は、モードを切換えることでDVDレコーダ4とビデオデッキ5についても遠隔操作を行うことができる。これらの遠隔制御装置1で遠隔操作を行う機器を、被制御対象機器と称する。遠隔制御装置1には、各種キーを備えた操作部11と、操作対象となるモードを表示する液晶パネルを設けた表示部14とを備える。また、赤外線信号を発光する発光素子15aと、赤外線信号を受光する受光素子12aとを備える。遠隔制御装置1の外部構成例、内部構成例、処理の詳細については後述する。
【0015】
DVDレコーダ4とビデオデッキ5には、遠隔制御装置1から発信される赤外線信号を受信する受信部41,51がそれぞれ備えてある。遠隔制御装置1には、切換えられた入力に対応して、被制御対象機器を切換えるための操作切換用のアップキー11k及びダウンキー11m(図2)が設置してある。ユーザは、操作切換用のアップキー11k又はダウンキー11mを選択して操作を行う被制御対象機器を切換える。例えば、遠隔制御装置1の操作切換用のアップキー11kを押して、例えば「DVD」と切換えると、ユーザは遠隔制御装置1を用いてDVDレコーダ4を遠隔操作することができる。」(5頁)

ハ.「【0021】
次に、本例の遠隔制御装置1の内部構成例について図3のブロック図を参照して説明する。操作部11内の各キーが操作されると、遠隔制御装置1の内部制御を行うマイクロコンピュータ17で検出される。メモリ19には、例えば、書換え可能なRAM(Random Access Memory)を用いて、一時的にデータを保存する。また、メモリ19には、例えば、読出しのみ可能なROM(Read Only Memory)を用いて、処理プログラム、パラメータ、操作キーに対応するコード等が記憶してある。制御部であるマイクロコンピュータ17は、キー操作の検出に対応したコードの遠隔制御信号を、送信部15に供給する。
【0022】
送信部15では、供給される遠隔制御信号を送信用に変調処理して、その変調された送信信号を送信部15内の発光素子15aに供給して発光させる。こうして、送信部15から、遠隔制御信号が送信される。一方、受信部12が備えるフォトトランジスタ、フォトディテクタ等の受光素子12aで、赤外線信号を光電変換し、受信部12で受信処理する。受信部12が受信する受信信号にはテレビジョン受像機2から送信されるステータス信号がある。このステータス信号は、テレビジョン受像機2に設けてある入力端子に接続した機器を示す信号である。受信部12で受信した受信信号は、マイクロコンピュータ17に供給する。マイクロコンピュータ17は、入力切換キー11gの操作による遠隔制御信号の送信後に、ステータス信号を受信したことを判断すると、そのステータス信号で示された機器(被制御対象機器)の操作モードを設定する。操作モードの設定により、この遠隔制御装置1で遠隔制御できる機器である被制御対象機器が切換わる。即ち、同じキーが操作されても、そのキー操作により出力される遠隔制御信号により制御できる機器が変わることになる。但し、テレビジョン受像機2を操作するための一部のキー(例えば音量アップキー11e、音量ダウンキー11f、入力切換キー11gなど)については、どの操作モードでも、テレビジョン受像機2の遠隔制御が行われる。そのモード設定を行うと、表示部14に「TV」、「DVD」等の切換えた被制御機器に関する情報(ここでは被制御機器の名称)を表示する。この表示は、メモリ19の記憶データに基づいて行われる。
【0023】
次に、本例のテレビジョン受像機2の内部構成例について、図4のブロック図を参照して説明する。この例では液晶表示パネルを表示部に使用した例としてある。テレビジョン受像機2は、例えば、NTSC(National Television Standards Committee)方式の放送電波をアンテナ21で受信し、チューナ22で希望する放送局を選局する。そして、チューナ22で選局した映像・音声信号を、入力切換を行う切換部23に供給する。本例のテレビジョン受像機2は、チューナ22とは別に2つの入力端子を設けてあり、テレビジョン受像機2に接続した外部機器からの映像・音声信号を第1の入力端子30、第2の入力端子31のいずれかから供給可能としてある。ユーザが視聴する際には、テレビジョン受像機2の入力を切換えて、第1の入力端子30、第2の入力端子31のいずれか又はチューナ22の出力の選択を行うようにする。音声再生については、切換部23より供給された音声信号を、オーディオ処理部24で処理し、オーディオアンプ25で音声信号を増幅して、2つのスピーカ26で放音する。
【0024】
映像再生については、切換部23より供給された信号を、映像処理部27で処理し、表示駆動部28に映像信号を供給する。表示駆動部28は、液晶を駆動する液晶コントローラ等から成り、映像信号に基づいて液晶画素に対する駆動信号を発生する。
【0025】
外部に設置したDVDレコーダ4、ビデオデッキ5からの映像・音声信号は、それぞれ第1の入力端子30、第2の入力端子31をインタフェースとして、テレビジョン受像機2に供給される。MPU(Micro Processing Unit)等の演算回路で構成してある制御部32は、テレビジョン受像機2の処理を制御し、プログラム、パラメータ等を保存してあるメモリ38のメモリ管理を行う。切換部23での切換えについても、制御部32が制御する。また、メモリ38は、例えば書き換え可能なRAM(Random Access Memory)であり、入力に対応する接続機器を下記のようにテーブルで管理する。
入力 接続機器
入力1 DVDレコーダ4
入力2 ビデオデッキ5
【0026】
テーブルを設定するため、例えばテレビジョン受像機のGUI表示に対応したユーザのキー操作による入力により、接続機器の対応テーブルを作り、遠隔制御装置1で取り込む。また、メモリ38には、直前までのユーザ操作や、放送画像を記憶するようにしてもよい。テレビジョン受像機2の前面には、各種操作キーを備えた操作部34を備える。また、遠隔制御装置1から供給される赤外線信号を受信する受信部35を備えて、受信した赤外線信号を復調処理して、制御部32に供給し、処理を行う。
【0027】
本例のテレビジョン受像機2は、遠隔制御装置1に対して、入力端子に接続された機器情報の信号であるステータス信号を、赤外線信号として無線送信する機能を有する。即ち、制御部32は、入力切換を行う切換部23での切換えを実行した際に、その切換えた入力端子に接続された機器をメモリ38のテーブルから判断し、その判断した機器を示す情報であるステータス信号を送信部36に供給する。送信部36では、供給されるステータス信号を赤外線信号として送信する。」(6?8頁)

ニ.「【0028】
次に、本例の遠隔制御装置1の動作モードの切換え処理の例について、図5のフローチャートを参照して説明する。図5のフローチャートは、右側が遠隔制御装置1での処理を示し、左側がテレビジョン受像機2での処理を示す。テレビジョン受像機2は視聴中であるとする。まず、遠隔制御装置1の入力切換キー11gが操作されたことをマイクロコンピュータ17が判別すると(ステップST1)、該当する入力切換を指示する遠隔制御信号を送信する(ステップST2)。この遠隔制御信号の受信をテレビジョン受像機2の制御部32が判別すると(ステップST11)、制御部32は、テレビジョン受像機2の入力を指示された状態に選択する(ステップST12)。そして、テレビジョン受像機2の制御部32は、切換えた入力端子に接続してある外部機器を示すステータス信号を生成して、そのステータス信号を送信部36から送信させる(ステップST13)。
【0029】
遠隔制御装置1のマイクロコンピュータ17では、ステータス信号の受信があるか否か判断し(ステップST3)、ステップST2での遠隔制御信号の送信からある程度の時間が経過してもステータス信号が受信できない場合には、エラー処理を行う(ステップST4)。エラー処理としては、例えば表示部14で、文字などでエラーを表示させる。
【0030】
ステップST3でステータス信号を受信したことをマイクロコンピュータ17が判断すると、マイクロコンピュータ17は、その受信したステータス信号で指示された外部機器を遠隔制御できる動作モードを設定する(ステップST5)。遠隔制御装置1は、接続される可能性のある様々な機器のキーコードをプリセット又は学習によって保持することで、モードの切換えにより対応する種々の電子機器のコードを発信できる。なお、エラー表示としては、文字を点滅させる等の処理をしても良い。
【0031】
ここで、GUIメニューによる機器切換の例を、図6を参照して説明する。図6には、テレビジョン受像機2の表示パネル29にGUIメニューを表示させている。GUIメニューでは、入力切換に加えて、選局操作等が行える。今、メニューM1はCS放送の選局、メニューM2は外部入力の切換設定を行うメニューである。ユーザは、まずメニューM2の外部入力切換メニューを選択する。選択操作は、方向指示キー11hと決定キー11iの操作により、カーソルC1が上下左右に移動して決定できる。テレビジョン受像機2に設けてある外部入力として、例えば第1?2の入力がある場合、予め、第1の入力に「DVD(DVDレコーダ4)」、第2の入力に「VTR(ビデオデッキ5)」が設定してある。このとき、例えば操作する電子機器をDVDレコーダ4とする場合、ユーザは方向指示キー11hでカーソルC1を移動させて、決定キー11iの操作で入力1(DVD)を決定する。このとき、遠隔制御装置1からテレビジョン受像機2に対して遠隔制御信号が送信される。そして、テレビジョン受像機2は、第1の入力に切換え、第1の入力に対応するステータス信号を遠隔制御装置1に送信する。遠隔制御装置1は、このステータス信号を受信し、自身のモードを「DVD」に切換えると共に、表示部14に「DVD」と表示させる。このようにして、ユーザは、DVDレコーダ4の操作を行うことができる。」(8頁)

ホ.「【0042】
また、上述した実施の形態では、赤外線信号を無線送受信する遠隔制御装置に適用したが、その他の信号方式の高周波無線信号を送受信してもよい。あるいは、通信ケーブルにより有線接続した遠隔制御装置にも適用可能である。」(10頁)

上記引用例の記載及び図面並びにこの分野における技術常識を考慮すると、上記ロ.の【0013】における「本例の機器操作システムの構成例について図1を参照して説明する。テレビジョン受像機2は、図示しないアンテナより受信した放送波から信号を変換し、テレビジョン放送番組を受像する。また、外部に設置した周辺機器として、記録媒体にDVD規格に準拠した光ディスクを用いて記録・再生が可能なDVDレコーダ4と、ビデオテープの記録・再生が可能なビデオデッキ5がある。それぞれの機器は、テレビジョン受像機2に設置された映像、音声の再生信号をテレビジョン受像機2に供給する第1の入力端子30、第2の入力端子31にケーブル接続してある。このように、テレビジョン受像機2にDVDレコーダ4とビデオデッキ5とを接続し、遠隔制御装置1で操作可能としたシステム全体を、機器操作システム100としてある。」との記載、及び図1によれば、引用例の機器操作システム(100)は、テレビジョン受像機(2)と、DVDレコーダ(4)及びビデオデッキ(5)と、遠隔制御装置(1)とからなる。
また、上記ニ.の【0031】における「GUIメニューによる機器切換の例を、図6を参照して説明する。図6には、テレビジョン受像機2の表示パネル29にGUIメニューを表示させている。GUIメニューでは、入力切換に加えて、選局操作等が行える。」との記載、及び図6における、GUIメニューによる機器切換の例に着目すれば、前述のテレビジョン受像機(2)は、(α)GUIメニューを表示している。
また、上記ニ.の【0028】における「遠隔制御装置1の動作モードの切換え処理の例について、図5のフローチャートを参照して説明する。図5のフローチャートは、右側が遠隔制御装置1での処理を示し、左側がテレビジョン受像機2での処理を示す。テレビジョン受像機2は視聴中であるとする。まず、遠隔制御装置1の入力切換キー11gが操作されたことをマイクロコンピュータ17が判別すると(ステップST1)、該当する入力切換を指示する遠隔制御信号を送信する(ステップST2)。この遠隔制御信号の受信をテレビジョン受像機2の制御部32が判別すると(ステップST11)、制御部32は、テレビジョン受像機2の入力を指示された状態に選択する(ステップST12)。」との記載、同ニ.の【0031】における「GUIメニューでは、・・・ユーザは、まずメニューM2の外部入力切換メニューを選択する。選択操作は、方向指示キー11hと決定キー11iの操作により、カーソルC1が上下左右に移動して決定できる。テレビジョン受像機2に設けてある外部入力として、例えば第1?2の入力がある場合、予め、第1の入力に「DVD(DVDレコーダ4)」、第2の入力に「VTR(ビデオデッキ5)」が設定してある。このとき、例えば操作する電子機器をDVDレコーダ4とする場合、ユーザは方向指示キー11hでカーソルC1を移動させて、決定キー11iの操作で入力1(DVD)を決定する。このとき、遠隔制御装置1からテレビジョン受像機2に対して遠隔制御信号が送信される。」との記載、図5及び図6によれば、前述の遠隔制御装置(1)は、テレビジョン受像機(2)に対して遠隔制御信号を送信し、方向指示キー(11h)と決定キー(11i)の操作によりGUIメニューに表示されるDVDレコーダ(4)及びビデオデッキ(5)のうちDVDレコーダ(4)を決定している。ここで、テレビジョン受像機(1)から見れば、遠隔制御装置(1)が、テレビジョン受像機(2)に対して遠隔制御信号を送信し、GUIメニューに表示されるDVDレコーダ(4)及びビデオデッキ(5)のうちDVDレコーダ(4)を決定する遠隔制御信号を送信しているから、テレビジョン受像機(1)は、(β)GUIメニューに表示されるDVDレコーダ(4)及びビデオデッキ(5)のうちDVDレコーダ(4)を決定する遠隔制御信号を受信しているということができる。
また、上記ニ.の【0028】における「(テレビジョン受像機2)の制御部32は、テレビジョン受像機2の入力を指示された状態に選択する(ステップST12)。そして、テレビジョン受像機2の制御部32は、切換えた入力端子に接続してある外部機器を示すステータス信号を生成して、そのステータス信号を送信部36から送信させる(ステップST13)。」との記載、同ニ.の【0031】における「決定キー11iの操作で入力1(DVD)を決定する。このとき、遠隔制御装置1からテレビジョン受像機2に対して遠隔制御信号が送信される。そして、テレビジョン受像機2は、第1の入力に切換え、第1の入力に対応するステータス信号を遠隔制御装置1に送信する。遠隔制御装置1は、このステータス信号を受信し、自身のモードを「DVD」に切換えると共に、表示部14に「DVD」と表示させる。このようにして、ユーザは、DVDレコーダ4の操作を行うことができる。」との記載、図5及び図6によれば、テレビジョン受像機(2)は、(γ)DVDレコーダ(4)を決定する遠隔制御信号に基づいて、決定されたDVDレコーダ(4)を示すステータス信号を遠隔制御装置(1)に送信している。ここで、上記ハ.の【0027】における「テレビジョン受像機2は、遠隔制御装置1に対して、入力端子に接続された機器情報の信号であるステータス信号を、赤外線信号として無線送信する機能を有する。」との記載によれば、前述のDVDレコーダ(4)を示すステータス信号は、DVDレコーダ(4)の機器情報の信号ということができる。また、前述の決定されたDVDレコーダ(4)の機器情報の信号を遠隔制御装置(1)に送信するための通信方式は、赤外線方式で行われているということができる。

そして、上記(α)?(γ)より、引用例には、テレビジョン受像機(1)の動作方法について記載されているということができる。

したがって、上記引用例には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

「GUIメニューを表示する段階と、
前記GUIメニューに表示されるDVDレコーダ(4)及びビデオデッキ(5)のうちDVDレコーダ(4)を決定する遠隔制御信号を受信する段階と、
前記DVDレコーダ(4)を決定する遠隔制御信号に基づいて、決定されたDVDレコーダ(4)の機器情報の信号を遠隔制御装置(1)に送信する段階と、を含み、
前記決定されたDVDレコーダ(4)の機器情報の信号の送信は、赤外線方式で行われるテレビジョン受像機(2)の動作方法。」

2 周知例及び周知技術
(A)周知例1
当審の平成27年2月3日付け拒絶理由に引用された本願の優先権主張の日前に日本国内において頒布された刊行物である特開2010-16583号公報(平成22年1月21日公開、以下「周知例1」という。)には図面とともに以下の事項が記載されている。

イ.「【技術分野】
【0001】
本発明は視聴装置に関するものである。」(2頁)

ロ.「【0004】
一方、最近の情報家電を含む各種の情報機器においては、ユーザである利用者を識別する為のIDを持ち、当該ID毎にそれぞれ対応した、各種のプロファイル情報を設定、利用するものが知られている。即ち、利用者個人の趣味や嗜好に合わせた利用者毎のプロファイル情報を用いたものである。利用者毎のプロファイル情報は、デザインや必要な機能を整理したGUI(Graphic User Interface)メニューの状態設定情報、あるいは、利用者に適した情報を提供する為のキーワード情報などである。この利用者毎のプロファイル情報を予め設定しておく。そして、情報機器の利用時に現在の利用者を、名称、記号等のIDにより識別する事で、プロファイル情報を呼び出す。そして、情報機器の持つ各種のサービス機能に利用していた。利用者を識別するために、情報機器を利用開始する際に、利用者に何らかのログイン操作を行わせていた。何らかのログイン操作とは、例えば、利用者個人の持つIDやパスワードを入力したり、あるいは表示画面上に自分に割り当てられたボタンを選択して押させたり、あるいは、リモコン装置に配置されたユーザボタンを押させるなどの操作であった。」(2頁)

(B)周知例2
当審の平成27年2月3日付け拒絶理由に引用された本願の優先権主張の日前に日本国内において頒布された刊行物である特開2005-332117号公報(平成17年12月2日公開、以下「周知例2」という。)には図面とともに以下の事項が記載されている。

ハ.「【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置および方法、記録媒体、並びにプログラムに関し、特に、機器の管理者を明確にし、管理者が許可したユーザのみが、その機器を使用することができるようにした情報処理装置および方法、記録媒体、並びにプログラムに関する。」(3頁)

ニ.「【0030】
図1は、本発明を適用したホームネットワークシステムの構成例を示すブロック図である。このシステムは、デジタルテレビジョン受像機(DTV:Digital Television)1、DVHS(Digital Video Home System)2、HDD(Hard Disc Drive)3、およびHDD4で構成されており、各機器は、IEEE1394シリアルバス5を介して相互に接続されている。
【0031】
・・・DTV1は、ユーザがどの機器を使用することができるかを管理しておくためのユーザ機器管理テーブルを作成し、それを内蔵するFLASH ROM26(図3)に記憶する。
【0032】?【0035】(略)
【0036】
図1の説明に戻る。ユーザは、LCD11に表示されたGUIに基づいて、DTV1に付属するリモートコマンダ12を操作し、IEEE1394シリアルバス5に接続されているDVHS2、HDD3、またはHDD4が実行する処理を指示することができる。DTV1は、ユーザからの指示に基づいて、制御信号を生成し、IEEE1394シリアルバス5を介して、各機器に、その制御信号を送信する。DVHS2は、受信した制御信号に基づいて、例えば、コンテンツの記録または再生等の処理を行う。HDD3およびHDD4は、受信した制御信号に基づいて、例えば、コンテンツの書き込みまたは読み出し等の処理を行う。」(7?8頁)

ホ.「【0045】
ユーザ認証部41は、ユーザを特定するためのユーザ情報を取得し、そのユーザが既に登録されているか否か(テーブル管理部47により、ユーザ機器管理テーブルで管理されているユーザであるか否か)の認証を行う。登録されているユーザの場合、ユーザ認証部41は、個別設定部42に、登録ユーザの個別設定情報を読み出すように指示する。・・・
【0046】
なお、ユーザ情報を取得する方法としては、例えば、DTV1の電源投入時に、ユーザがログインするか、携帯電話機1の赤外線通信やBluetooth(登録商標)などの無線通信により、個人情報をDTV1に送信するか、あるいは、専用装置を用いて指紋認証を行うなどが考えられるが、ここでは、特に、その方法は問わない。」(8?9頁)

(C)周知例3
当審の平成27年2月3日付け拒絶理由に引用された本願の優先権主張の日前に日本国内において頒布された刊行物である特開2000-308164号公報(平成12年11月2日公開、以下「周知例3」という。)には図面とともに以下の事項が記載されている。

ヘ.「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、携帯電話端末を用いて、被制御機器の遠隔操作を行う遠隔制御システムに関するものである。」(3頁3欄)

ト.「【0047】図1は本実施形態の遠隔制御システムの概略構成を示すブロック図である。図1において、1は携帯電話端末、2は携帯電話端末1により遠隔制御される被制御機器としてのテレビ受信機である。ここで、携帯電話端末1は、指示入力に応じた赤外線リモコン信号を送信して、テレビ受信機2における各種制御を行うことを可能としている。」(5頁8欄?6頁9欄)

チ.「【0058】ここで、例えば利用者がテレビ受信機2へのスケジュール登録を行おうとしている場合、登録を希望する日時、項目の入力等、必要な情報が揃ったと判断されるまで、表示部15を通してユーザに「日付は?」、「時間は?」、「登録内容は?」といったように、ガイド表示を行いながら、必要情報の入力を対話的に促す(ステップ5,6)。
【0059】被制御機器制御機能管理部14は、続いてID取得部18を通じて、当該携帯電話端末1固有のID番号である電話番号を、メモリ16内の自電話番号保持部16bより取得し(ステップ8)、前記制御内容コードに付加することにより、テレビ受信機2への送信コードを作成する。該送信コードは、テレビ受信機2に適合する赤外線信号として送信される(ステップ9)。
【0060】一方、図5は本実施形態の遠隔制御システムにおけるテレビ受信機2の処理を示すフローチャートである。携帯電話端末1より赤外線信号を受信する(ステップ1)と、受信信号解析部22において、指示制御内容を取得する(ステップ2)とともに、信号送信端末のID番号を取り出す。該ID番号は、メモリ23中の利用者登録テーブルと照合されて、信号送信者(利用者)が特定される(ステップ3)。」(6頁10欄)

(D)したがって、上記周知例1ないし3の上記記載にみられるように、「映像表示装置を遠隔制御装置から制御する場合に、個人に基づいた映像表示を行うために、受信した個人情報に基づいてログインの制御をすること」は、本願の優先権主張の日前、周知の技術(以下「周知技術」という。)ということができる。

第3 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
a.上記引用例の上記ロ.の【0014】における「遠隔制御装置1には、・・・赤外線信号を発光する発光素子15aと、赤外線信号を受光する受光素子12aとを備える。」との記載、同ロ.の【0015】における「DVDレコーダ4とビデオデッキ5には、遠隔制御装置1から発信される赤外線信号を受信する受信部41,51がそれぞれ備えてある。」との記載、上記ニ.の【0030】における「(遠隔制御装置1の)マイクロコンピュータ17は、その受信したステータス信号で指示された外部機器を遠隔制御できる動作モードを設定する・・・。遠隔制御装置1は、接続される可能性のある様々な機器のキーコードをプリセット又は学習によって保持することで、モードの切換えにより対応する種々の電子機器のコードを発信できる。」との記載によれば、引用例の遠隔制御装置(1)は、ステータス信号を受信し、DVDレコーダ(4)とビデオデッキ(5)とに適合した赤外線、すなわち、IR(Infra Red)信号をDVDレコーダ(4)とビデオデッキ(5)との受信部に送信する機能を備えるものである。一方、本願明細書段落【0015】には、「IRブラスター機能は、主に、所定フォーマットの制御信号を受信し、周辺機器の制御に適合したIR信号を周辺機器の受光部に送信する機能のことを指す。」との記載がある。したがって、引用発明の「遠隔制御装置(1)」は、IRブラスター機能を備えているということができる。
そうすると、引用発明の「GUIメニュー」は、上記引用例の上記ニ.の【0031】における「GUIメニューによる機器切換の例・・・テレビジョン受像機2は、第1の入力に切換え、第1の入力に対応するステータス信号を遠隔制御装置1に送信する。遠隔制御装置1は、このステータス信号を受信し、自身のモードを「DVD」に切換える」との記載、及び図6によれば、遠隔制御装置(1)に対して、前述のIRブラスター機能のモード切換えをするために用いるメニュー画面であるから、「IRブラスターメニュー画面」ということができる。
b.引用発明の「GUIメニューに表示される」は、GUIメニューに表示された映像情報にDVDレコーダ(4)とビデオデッキ(5)とが含まれるから、上記a.の対比を考慮すると、「IRブラスターメニュー画面に含まれる」ということができる。
c.引用発明の「DVDレコーダ(4)、ビデオデッキ(5)」及び「テレビジョン受像機(1)」は、本願発明の「電子機器」及び「映像表示装置」にそれぞれ対応する構成であり両者の間に実質的な差異はない。
d.引用発明の「DVDレコーダ(4)を決定する遠隔制御信号」は、DVDレコーダ(4)及びビデオデッキ(5)のうちDVDレコーダ(4)を決定する、すなわち、DVDレコーダ(4)を選択入力することにより遠隔制御信号を遠隔制御装置(1)に送信するから、上記c.の対比を考慮すると、「電子機器のいずれか一つに対する選択入力」ということができる。
e.引用発明の「機器情報の信号」は、「機器情報」ということができる。
f.引用発明の「赤外線方式」と、本願発明の「RF通信方式」とは、後述する相違点を除いて、「特定の通信方式」という点で一致する。

したがって、本願発明と引用発明は、以下の点で一致ないし相違している。

(一致点)
「IRブラスターメニュー画面を表示する段階と、
前記画面に含まれる電子機器のいずれか一つに対する選択入力を受信する段階と、
前記選択入力に基づいて、選択された電子機器の機器情報を遠隔制御装置に送信する段階と、を含み、
前記選択された電子機器の機器情報の送信は、特定の通信方式で行われる映像表示装置の動作方法。」

(相違点1)
「選択入力を受信する段階」に関し、
本願発明は、「前記選択入力を受信する段階は、前記遠隔制御装置から受信した個人情報に基づいてログインの制御をする段階を含む」のに対し、引用発明は、その様な構成を備えていない点。

(相違点2)
「特定の通信方式」に関し、
本願発明は、「RF通信方式」であるのに対し、引用発明は、赤外線方式であり、「RF通信方式」でない点。

第4 判断
そこで、まず、上記相違点1について検討する。
上記「第2 2 周知例及び周知技術」の項の(D)のとおり、「映像表示装置を遠隔制御装置から制御する場合に、個人に基づいた映像表示を行うために、受信した個人情報に基づいてログインの制御をすること」は周知の技術(周知技術)である。そして、映像表示装置において、個人に基づいた映像表示を行う課題は周知の課題である。
そうすると、上記周知技術に接した当業者であれば、個人に基づいた映像表示を行うために、引用発明の「遠隔制御信号を受信する段階」を、「遠隔制御装置から受信した個人情報に基づいてログインの制御をする段階を含む」構成とすること、すなわち、上記相違点1に係る構成とすることは、容易に想到し得るものである。

次に、上記相違点2について検討する。
上記引用例の上記ホ.の【0042】における「赤外線信号を無線送受信する遠隔制御装置に適用したが、その他の信号方式の高周波無線信号を送受信してもよい。」との記載によれば、テレビジョン受像機(2)と遠隔制御装置(1)との間の通信方式は、赤外線方式、あるいは高周波無線方式、すなわち、RF通信方式のいずれでもよいものである。
そうすると、引用発明の「赤外線方式」に換え、本願発明のように「RF通信方式」とすることは、当業者が適宜選択し得るものである。

そして、本願発明の作用効果も、引用発明及び周知技術から当業者が容易に予測できる範囲のものである。

第5 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願はその余の請求項について論及するまでもなく拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。

 
審理終結日 2015-05-27 
結審通知日 2015-06-02 
審決日 2015-06-15 
出願番号 特願2012-173077(P2012-173077)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H04Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 宮田 繁仁  
特許庁審判長 大塚 良平
特許庁審判官 中野 浩昌
萩原 義則
発明の名称 映像表示装置及び遠隔制御装置並びにその動作方法  
代理人 中村 健一  
代理人 河合 章  
代理人 南山 知広  
代理人 青木 篤  
代理人 鶴田 準一  

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