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審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F |
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管理番号 | 1307618 |
審判番号 | 不服2014-14772 |
総通号数 | 193 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2016-01-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2014-07-29 |
確定日 | 2015-11-13 |
事件の表示 | 特願2010-514201「デジタルコンテンツを提示する方法」拒絶査定不服審判事件〔平成20年12月31日国際公開、WO2009/001271、平成22年 9月24日国内公表、特表2010-531510〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、2008年(平成20年)6月23日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2007年(平成19年)6月28日、ヨーロッパ特許庁)を国際出願日とする出願であって、平成24年10月31日付けの拒絶の理由の通知に対し、平成25年2月5日付けで手続補正がなされ、平成25年6月26日付けの最後の拒絶の理由の通知に対し、平成25年10月1日付けで手続補正がなされたが、平成26年3月28日に平成25年10月1日付けの手続補正は決定をもって却下され、同日付けで拒絶査定がなされたものである。これを不服として平成26年7月29日に本件審判請求がなされ、同時に手続補正がなされた。 第2 平成26年7月29日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成26年7月29日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1.手続補正の内容 平成26年7月29日付けの手続補正(以下、「本件補正」という)は、特許請求の範囲を対象とするもので、補正前の請求項1を補正後の請求項1とする補正を含んでおり、それらの記載は次のとおりである(下線は補正により変更された部分を示す)。 [補正前の請求項1] デジタルコンテンツを提示する方法であって、 一連のコンテンツアイテムを表すデジタルデータを取得するステップと、 第1の提示モードにおいて前記一連のコンテンツアイテムを提示するステップであって、前記第1の提示モードでは、コンテンツアイテムを表すデータの第1の選択を行うステップ、及び、選択されたデータを、知覚可能な形式でデータをレンダリングするシステムに供給するステップが、各コンテンツアイテムに対して連続して自動的に実行される、ステップと、 前記レンダリングするシステムにおいてユーザによる動作を検出するステップと、 前記動作の検出に応答して、前記第1の提示モードから第2の提示モードへの遷移をもたらすステップであって、前記第2の提示モードでは、前記レンダリングするシステムが、前記動作が検出されたときに前記第1の提示モードにおいて提示されているコンテンツアイテムを表すデータのみの、前記第1の選択とは異なる第2の選択をレンダリングする、ステップとを含む、方法。 [補正後の請求項1] コンピュータを用いてデジタルコンテンツを提示する方法であって、 前記コンピュータにより、一連のコンテンツアイテムを表すデジタルデータを取得するステップと、 前記コンピュータにより、第1の提示モードにおいて前記一連のコンテンツアイテムを提示するステップであって、前記第1の提示モードでは、前記コンピュータが、一のコンテンツアイテムの概観を表すデータを第1の選択として選択するステップと、選択されたデータを、知覚可能な形式でデータをレンダリングするシステムに供給するステップとを、各コンテンツアイテムに対して連続して自動的に実行する、ステップと、 前記コンピュータにより、前記レンダリングするシステムにおいてユーザによるデータ入力動作以外の動作を検出するステップと、 前記コンピュータにより、前記動作の検出に応答して、前記第1の提示モードから第2の提示モードへの遷移をもたらすステップであって、前記第2の提示モードでは、前記レンダリングするシステムが、前記動作が検出されたときに前記第1の提示モードにおいて提示されているコンテンツアイテムの掘り下げた体験を表すデータを第2の選択としてレンダリングする、ステップとを含む、方法。 2.補正の適否 (1)特許請求の範囲の減縮 この補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって、その補正前後の請求項1に記載の発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものであるから、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定された特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そこで、補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という)が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定された特許出願の際独立して特許を受けられるものであるか否かについて以下検討する。 (2)独立特許要件 ア.本願補正発明 本願補正発明は、上記[補正後の請求項1]の記載により特定される次のとおりのものである。 [本願補正発明] コンピュータを用いてデジタルコンテンツを提示する方法であって、 前記コンピュータにより、一連のコンテンツアイテムを表すデジタルデータを取得するステップと、 前記コンピュータにより、第1の提示モードにおいて前記一連のコンテンツアイテムを提示するステップであって、前記第1の提示モードでは、前記コンピュータが、一のコンテンツアイテムの概観を表すデータを第1の選択として選択するステップと、選択されたデータを、知覚可能な形式でデータをレンダリングするシステムに供給するステップとを、各コンテンツアイテムに対して連続して自動的に実行する、ステップと、 前記コンピュータにより、前記レンダリングするシステムにおいてユーザによるデータ入力動作以外の動作を検出するステップと、 前記コンピュータにより、前記動作の検出に応答して、前記第1の提示モードから第2の提示モードへの遷移をもたらすステップであって、前記第2の提示モードでは、前記レンダリングするシステムが、前記動作が検出されたときに前記第1の提示モードにおいて提示されているコンテンツアイテムの掘り下げた体験を表すデータを第2の選択としてレンダリングする、ステップとを含む、方法。 イ.刊行物1の記載事項・刊行物1発明 原査定の拒絶の理由で引用された本願の優先権主張の日前に頒布された刊行物である特開2006-227409号公報(以下、「刊行物1」という)には、図面とともに次の事項が記載されている。 「【0001】 本発明は、手持ち状態および載置状態の双方で用いられる表示装置に関する。」 「【0007】 以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態について説明する。 (第一の実施形態) 図1は、本発明の第一の実施形態による画像表示装置を説明する三面図である。図1において、画像表示装置は、液晶表示素子20を有する表示部11と、操作キー15およびスタイラス入力部材16を有する操作部(ベース部)12とがヒンジ13によって一体化される。ヒンジ13は、回動軸Oを中心軸として回動自在に構成され、表示部11および操作部12間の相対角を任意の角度で支持する。操作部(ベース部)12の重量は、表示部11の重量より重いように構成されていることが望ましい。 【0008】 画像表示装置の使用形態について説明する。 (ブックモード) 図1の画像表示装置は、ブックモードにおける使用形態を例示したものである。ブックモードにおける画像表示装置は、たとえば、表示部11の液晶表示素子20側の面(以下表示面と呼ぶ)11aと、操作部12の操作キー15やスタイラス入力部材16側の面(以下操作面と呼ぶ)12aとが使用者(とくに目)の方向を向くように、ヒンジ13が折り畳み状態(開閉角0とする)から約180度開かれた状態で、使用者によって手持ちされる。 【0009】 使用者は、表示部11の液晶表示素子20に表示される画像や当該画像に関する情報を見ながら、操作キー15を押下操作したり、スタイラスペン17を用いてスタイラス入力部材16へ書き込み入力したりする。液晶表示素子20に表示させる画像は、操作キー15やスタイラス入力部材16からの操作信号によって画像表示装置に指示される。 【0010】 ブックモードでは、液晶表示素子20が縦長画面として観察される。画像表示装置は、縦長画面としての液晶表示素子20に通常の横長画像を再生表示させる。この場合、再生表示画像の長辺(水平方向)を液晶表示素子20の短辺に対応させて表示し、再生表示画像の短辺方向(垂直方向)の余白領域(図1において符号21)に、当該再生画像データに付加されている情報(Exif情報)をテキスト表示する。図1の例では、Exif情報として、画像データファイル名「DSCNxxx1.JPG」、撮影日「2004/8/5」、撮影時刻「10:45」、撮影条件としてのシャッタースピード、絞り値「1/250 F2.8」が、再生画像の下部領域21に表示されている。Exif情報として表示する項目は、操作キー15からの操作によって適宜変更可能に構成されている。 【0011】 スタイラスペン17によってスタイラス入力部材16から書き込み入力された情報「04年 ヨーロッパ旅行」は、Exif情報とともに画像データファイル内に記録可能に構成されている。したがって、画像データファイル内に付加記録された書き込み入力情報は、次回の再生表示時に他のExif情報とともに自動的に領域21内に表示させることができる。 【0012】 (フレームモード1) 図2は、画像表示装置のフレームモード1における使用形態を例示する図である。ヒンジ13が折り畳み状態から約290度開かれ、操作部12の操作面12aを下側にして、机上などの平面に載置されている。表示部11と操作部12との挟角は約70度である。使用者は、表示部11の液晶表示素子20に表示される画像を鑑賞する。 【0013】 液晶表示素子20に表示される画像は、たとえば、後述するメモリカード18(図4)に記憶されている複数の画像ファイルに対応する画像データによる再生画像であり、これらを順次スライドショー表示したものである。また、複数の再生画像を順次スライドショー表示する代わりに、メモリカード18に記憶されている所定の画像(たとえば、操作キー15からの操作信号によってあらかじめ指定されている画像)を再生表示するように構成してもよい。 【0014】 画像表示装置は、横長画面としての液晶表示素子20に通常の横長画像を再生表示させる。この場合、再生表示画像の長辺(水平方向)を液晶表示素子20の長辺に対応させて表示する。Exif情報のテキスト表示を省略し、再生表示画像の表示サイズをブックモードにおいて液晶表示素子20に表示される再生表示画像の表示サイズより大きくする。」 「【0016】 図4は、画像表示装置の構成を説明するブロック図である。図4において、表示部11側には液晶表示素子20と、液晶駆動回路20cと、バックライト20aと、バックライト駆動回路20bとが含まれる。液晶駆動回路20cは、後述する制御回路31から出力される表示データに応じて液晶パネル駆動信号を生成し、生成した駆動信号で液晶表示素子20を駆動する。具体的には、液晶表示素子20の液晶層(不図示)に対して表示データに応じた電圧を画素ごとに印加する。電圧が印加された液晶層は液晶分子の配列が変わり、当該液晶層の光の透過率が変化する。 【0017】 バックライト駆動回路20bは、制御回路31から出力される点灯指示に応じてバックライト20aを指示された輝度で点灯させる。点灯したバックライト20aは、液晶表示素子20を照明する。バックライト20aによる照明光が液晶表示素子20の液晶層を透過して変調されることにより、表示データによる再生像が表示される。 【0018】 操作部12側には、制御回路31と、加速度センサ19と、スタイラス入力部材16と、操作キー15と、バッテリ14aを有する電源14と、カメラ25とが含まれ、挿抜可能に構成されるメモリカード18が装着されている。制御回路31は、制御プログラムに基づいて、画像表示装置を構成する各部から入力される信号を用いて所定の演算を行うなどして、画像表示装置の各部に対する制御信号を送出することにより、カメラ動作、画像表示動作をそれぞれ制御する。なお、制御プログラムは制御回路31内の不図示の不揮発性メモリに格納されている。 【0019】 時計回路31aは制御回路31に内蔵されており、クロック信号(不図示)を分周して時刻情報を生成する。加速度センサ19は画像表示装置の揺動を検出し、検出信号を制御回路31へ出力する。制御回路31は、検出信号に変化があれば揺動状態にあると判断し、検出信号に変化がなければ載置状態にあると判断する。 【0020】 スタイラス入力部材16は、使用者による入力操作に応じた入力信号を制御回路31へ出力する。操作キー15は、使用者による操作に応じた操作信号を制御回路31へ出力する。メモリカード18はフラッシュメモリなどの不揮発性メモリによって構成され、制御回路31の指令によりデータの書き込み、保存および読み出しが可能である。電源14は、DC/DC変換回路などで構成され、バッテリ14aの電圧を画像表示装置内の各部で必要な直流電圧に変換し、変換後の電圧を各ブロックへ供給する。 【0021】 カメラ25はイメージセンサおよびイメージセンサ上に被写体像を結像する撮影レンズを含む。カメラ25は、制御回路31の撮影指示によって被写体像を撮像し、画像データに所定の信号処理を施した上で当該画像データを制御回路31へ送出する。イメージセンサとしては、CCDやCMOS撮像素子などが用いられる。カメラ25は、フレームモード1の使用形態において、表示部11の表示面11aと対向する主要被写体を撮影するように構成されている。 【0022】 ヒンジ13には開閉角度検出センサ13aおよびねじれ角度検出センサ13bが内蔵されている。開閉角度検出センサ13aは、回動軸Oを中心に回動したヒンジ13の開閉角の大きさに応じた検出信号を制御回路31へ出力する。ねじれ角度検出センサ13bについては後述する。 【0023】 以上の画像表示装置において、表示部11の液晶表示素子20にメモリカード18に記録されている画像データによる再生画像を表示させるには、制御回路31がメモリカード18から画像データを読み出し、読み出した画像データを用いて液晶表示素子20の表示画素数に応じた表示データを生成し、生成した表示データを液晶駆動回路20cへ送出するとともに、バックライト駆動回路20bへ点灯指示を送る。 【0024】 制御回路31で行われるモード切替え処理について、図5に示すフローチャートを参照して説明する。制御回路31は、画像表示装置の電源スイッチ(不図示)がオンされている状態において、図5による処理を繰り返す。なお、フレームモード2は、電源スイッチ(不図示)がオフされている状態において使用される。 【0025】 図5のステップS1において、制御回路31は、加速度センサ19からの検出信号が所定時間(たとえば、5分間)継続して変化しないか否かを判定する。制御回路31は、入力信号に変化がなかった場合にステップS1を肯定判定してステップS3へ進み、入力信号に変化があった場合にはステップS1を否定判定し、ステップS2へ進む。ステップS2へ進む場合は画像表示装置が手持ち状態もしくは使用者による操作中とみなす場合であり、ステップS3へ進む場合は画像表示装置が載置状態とみなす場合である。 【0026】 ステップS2において、制御回路31は、ブックモードへの切替えを行ってステップS1へ戻る。ブックモードへの切替え処理では、液晶表示素子20の表示態様として下記a1?f1の内容が液晶駆動回路20cおよびバックライト駆動回路20bに指示される。階調特性、彩度特性、および輪郭強調特性の変更に必要な画像処理は、制御回路31によって行われる。 a1.縦長画面としての液晶表示素子20に通常の横長画像を再生表示させる。 b1.再生表示画像の短辺方向の余白領域21(図1)に、当該再生画像データに付加されているExif情報をテキスト表示する。 c1.表示輝度(明るさ)を標準設定値にする。 d1.階調特性(コントラストおよびγ特性を含む)を標準設定値にする。 e1.彩度特性を標準設定値にする。 f1.輪郭強調特性を標準設定値にする。 【0027】 ステップS3において、制御回路31は、フレームモード1への切替えを行ってステップS4へ進む。フレームモード1への切替え処理では、液晶表示素子20の表示態様として以下の内容が液晶駆動回路20cおよびバックライト駆動回路20bに指示される。 a2.横長画面としての液晶表示素子20に通常の横長画像を再生表示させる。 b2.Exif情報の表示を省略する。 c2.表示輝度(明るさ)を標準設定値より高める(明るくする)。 d2.階調特性の設定値を、画像を派手に表示するように標準設定値から変更する。 e2.彩度特性の設定値を、画像をあざやかに表示するように標準設定値から変更する。 f2.輪郭強調特性を標準設定値より強くする。 【0028】 ステップS4において、制御回路31は、カメラ25によって得られるAF(オートフォーカス)情報が所定距離より遠方に対応するか否かを判定する。制御回路31は、カメラ25から送信された画像データを用いて周知のAF演算処理(たとえば、山登りAF)を行うことにより、最至近の被写体までの距離を算出する。即ち、カメラ25、制御回路31は測距手段(回路)として機能する。測距手段によって算出された情報に対応する距離が、たとえば、1mより遠い場合にステップS4を肯定判定してステップS5へ進む。制御回路31は、算出した距離が1m以下の場合にはステップS4を否定判定し、ステップS1へ戻る。なお、上記の測距手段は、三角測量の原理を用いた測距手段、レーザ、音波等を用いた測距手段、もしくは位相差方式の測距手段であってもよい。 【0029】 ステップS5において、制御回路31は、液晶駆動回路20cへさらに強調を指示してステップS1へ戻る。さらなる強調の指示が既に行われている場合には、当該強調を維持してステップS1に戻ればよい。さらなる強調指示では、液晶表示素子20の表示態様として以下の内容が液晶駆動回路20cに指示される。 d3.階調特性を通常のフレームモード1における設定値よりもさらに派手にする。 e3.彩度特性を通常のフレームモード1における設定値よりもさらにあざやかにする。 f3.輪郭強調特性を通常のフレームモード1における設定値よりもさらに強くする。 【0030】 以上説明した第一の実施形態によれば、次の作用効果が得られる。 (1)加速度センサ19からの検出信号に基づいた判定によって画像表示装置が手持ち状態もしくは操作中であるとみなした場合、自動的にブックモードへ切替え(ステップS2)、画像表示装置が載置状態であるとみなした場合には自動的にフレームモード1に切替える(ステップS3)ようにしたので、使用者による切替え操作を不要にできる。 【0031】 (2)ブックモードでは、縦長画面としての液晶表示素子20に再生画像を表示するとともに、余白領域21に当該画像データに付随するExif情報を表示するようにしたので、使用者は、撮影日や撮影条件などの確認が容易に行える上に、スタイラス入力部材16を用いてExif情報に情報を付加することも容易である。 【0032】 (3)ブックモードでは、液晶表示素子20の表示特性について上記c1?f1の内容にしたので、メモリカード18に記憶されている画像データによる再生画像が、表示特性を変えないでそのまま表示される。これにより使用者は、画像データが有する細かいグラデーションや解像感を観察できる。 【0033】 (4)フレームモード1では、画像データに付随するExif情報の表示を省略し、横長画面としての液晶表示素子20の画面いっぱいに再生画像を大きくフルサイズ表示したので、使用者は、画像表示装置から離れた位置から表示画像を観察できる。 【0034】 (5)フレームモード1では、液晶表示素子20の画像表示についてのパラメータを変更し、表示特性について上記c2?f2の内容にしたので、メモリカード18に記憶されている画像データによる再生画像が、表示特性を変えて強調表示される。これにより使用者は、離れた位置からでも再生画像を鑑賞できる。なお、強調する内容は、上記c2?f2のうち少なくとも1つでもよい。 【0035】 (6)フレームモード1において、最至近の被写体までの距離を算出し、算出した距離が1mより遠い場合には再生画像の画像表示についてのパラメータを変更し、表示特性をさらに強調するようにしたので、使用者は、より離れた位置からでも再生画像を鑑賞できる。なお、強調する内容は、上記d3?f3のうち少なくとも1つでもよい。」 ここで、上記記載事項を刊行物1の関連図面を含むその他の箇所の記載と技術常識に照らすと次のことがいえる。 刊行物1には、制御回路31を備えた画像表示装置が記載され(【0016】、【図4】)、この制御回路31は、「制御プログラムに基づいて・・画像表示動作を・・制御する」(【0018】)ものであり、より具体的には、制御回路31は、「液晶表示素子20に・・画像データによる再生画像を表示する」(【0023】)ものである。 したがって、画像表示装置の制御回路31の動作を方法として捉えると、刊行物1には、「画像表示装置の制御回路31が、制御プログラムに基づいて、液晶表示素子20に、画像データによる再生画像を表示する方法」が記載されているといえる。 「液晶表示素子20に表示される画像は、たとえば、後述するメモリカード18(図4)に記憶されている複数の画像ファイルに対応する画像データによる再生画像」(【0013】)であり、「制御回路31がメモリカード18から画像データを読み出」す(【0023】)から、刊行物1に記載の上記方法は、「メモリカード18から複数の画像ファイルに対応する画像データを読み出」す動作を含んでいる。 フレームモード1において、液晶表示素子20に表示される画像は、「メモリカード18(図4)に記憶されている複数の画像ファイルに対応する画像データによる再生画像」であり、「これらを順次スライドショー表示したもの」(【0012】、【0013】)である。また、「フレームモード1では、画像データに付随するExif情報の表示を省略し、横長画面としての液晶表示素子20の画面いっぱいに再生画像を大きくフルサイズ表示」(【0033】)する。 したがって、刊行物1に記載の上記方法は、「フレームモード1において、前記画像データを順次スライドショー表示し、この場合、画像データに付随するExif情報の表示を省略し、横長画面としての液晶表示素子20の画面いっぱいに再生画像を大きくフルサイズ表示」する動作を含んでいる。 刊行物1には、【図5】に、制御回路31で行われるモード切替え処理についてのフローチャートが記載されており、「加速度センサ19からの検出信号が所定時間(たとえば、5分間)継続して変化しないか否かを判定する。・・・入力信号に変化があった場合にはステップS1を否定判定し、ステップS2へ進む。ステップS2へ進む場合は画像表示装置が手持ち状態もしくは使用者による操作中とみなす場合であり、」(【0025】)と記載され、さらに、「ステップS2において、制御回路31は、ブックモードへの切替えを行ってステップS1へ戻る」(【0026】)と記載されている。 したがって、刊行物1に記載の上記方法は、「画像表示装置の加速度センサ19からの検出信号が所定時間継続して変化しないか否かを検出し、変化があった場合には、画像表示装置が手持ち状態もしくは使用者による操作中とみなし、ブックモードへの切り替え処理を行」う動作を含んでいる。 刊行物1には、「ブックモードでは、縦長画面としての液晶表示素子20に再生画像を表示するとともに、余白領域21に当該画像データに付随するExif情報を表示するようにした」(【0031】)と記載され、さらに、「スタイラスペン17によってスタイラス入力部材16から書き込み入力された情報「04年 ヨーロッパ旅行」は、Exif情報とともに画像データファイル内に記録可能に構成されている。したがって、画像データファイル内に付加記録された書き込み入力情報は、次回の再生表示時に他のExif情報とともに自動的に領域21内に表示させることができる。」(【0011】)と記載されている。 したがって、刊行物1に記載の上記方法は、「ブックモードでは、縦長画面としての液晶表示素子20に再生画像を表示するとともに、余白領域21に当該画像データに付随する、Exif情報、及び、スタイラスペンによって書き込み入力された情報(例えば「04年 ヨーロッパ旅行」)を表示する」動作を含んでいる。 以上をまとめると、刊行物1には、次の発明(以下、「刊行物1発明」という)が記載されていると認められる。 [刊行物1発明] 画像表示装置の制御回路31が、制御プログラムに基づいて、液晶表示素子20に、画像データによる再生画像を表示する方法であって、 メモリカード18から複数の画像ファイルに対応する画像データを読み出し、 フレームモード1において、前記画像データを順次スライドショー表示し、この場合、画像データに付随するExif情報の表示を省略し、横長画面としての液晶表示素子20の画面いっぱいに再生画像を大きくフルサイズ表示し、 画像表示装置の加速度センサ19からの検出信号が所定時間継続して変化しないか否かを検出し、変化があった場合には、画像表示装置が手持ち状態もしくは使用者による操作中とみなし、ブックモードへの切り替え処理を行い、 ブックモードでは、縦長画面としての液晶表示素子20に再生画像を表示するとともに、余白領域21に当該画像データに付随するExif情報、及び、スタイラスペンによって書き込み入力された情報(例えば「04年 ヨーロッパ旅行」)を表示する、方法。 ウ.本願補正発明と刊行物1発明との対比 (ア)本願補正発明の「コンピュータを用いてデジタルコンテンツを提示する方法」について 刊行物1発明は、「画像表示装置の制御回路31が、制御プログラムに基づいて、液晶表示素子20に、画像データによる再生画像を表示する方法」であり、この方法において、制御プログラムに基づいて動作する制御回路31は、「コンピュータ」といえ、画像データによる再生画像の表示は、「デジタルコンテンツ」の「提示」といえる。 したがって、本願補正発明と刊行物1発明とは、「コンピュータを用いてデジタルコンテンツを提示する方法」である点で一致する。 (イ)本願補正発明の「前記コンピュータにより、一連のコンテンツアイテムを表すデジタルデータを取得するステップ」について 刊行物1発明は、「メモリカード18から複数の画像ファイルに対応する画像データを読み出」す動作を含んでいる。この読み出す動作は、制御回路31(「コンピュータ」)が行う(「データを取得する」)ものであり、この動作により読み出される、「複数の画像ファイルに対応する画像データ」は、後に、「順次スライドショー表示」されるものであるから、「一連のコンテンツアイテムを表すデジタルデータ」といえるものである。 したがって、本願補正発明と刊行物1発明とは、「前記コンピュータにより、一連のコンテンツアイテムを表すデジタルデータを取得するステップ」を含む点で一致する。 (ウ)本願補正発明の「前記コンピュータにより、第1の提示モードにおいて前記一連のコンテンツアイテムを提示するステップであって、前記第1の提示モードでは、前記コンピュータが、一のコンテンツアイテムの概観を表すデータを第1の選択として選択するステップと、選択されたデータを、知覚可能な形式でデータをレンダリングするシステムに供給するステップとを、各コンテンツアイテムに対して連続して自動的に実行する、ステップ」について 刊行物1発明の「フレームモード1」は、画像データをスライドショー表示するモードであり、「ブックモード」との対比において、「第1の提示モード」といい得るものであり、刊行物1発明は、「前記コンピュータにより、第1の提示モードにおいて前記一連のコンテンツアイテムを提示するステップ」を含むといえる。 このフレームモード1において、刊行物1発明は、「画像データに付随するExif情報の表示を省略し、横長画面としての液晶表示素子20の画面いっぱいに再生画像を大きくフルサイズ表示」する。 ここで、「画像データに付随するExif情報の表示を省略」することは、Exif情報が付随していた画像データから、画像データを選択することであるといえる。また、本願補正発明でいう「コンテンツアイテムの概観を表すデータ」とは、本願明細書の一実施例にあるように、画像と添付テキストを含むニュースアイテムから画像データを抽出して表示する画像データを含むものであり(【0047】-【0049】、図3Aを参照されたい)、刊行物1発明の上記選択された画像データも、Exif情報が付随していた画像データから画像データを選択して表示するものであるから、刊行物1発明の上記選択された画像データは、「コンテンツアイテムの概観を表すデータ」といい得る。 また、フレームモード1の処理は、制御回路31(「コンピュータ」)により行われる処理である。 したがって、刊行物1発明における上記の画像データを選択することは、本願補正発明の「前記コンピュータが、一のコンテンツアイテムの概観を表すデータを第1の選択として選択するステップ」に相当する。 また、「横長画面としての液晶表示素子20の画面いっぱいに再生画像を大きくフルサイズ表示」することは、本願補正発明の、「選択されたデータを、知覚可能な形式でデータをレンダリングするシステムに供給するステップ」に相当する。 刊行物1発明では、このように選択され、供給された複数の画像データが、順次スライドショー表示されるのであるから、結局、刊行物1発明は、「前記第1の提示モードでは、前記コンピュータが、一のコンテンツアイテムの概観を表すデータを第1の選択として選択するステップと、選択されたデータを、知覚可能な形式でデータをレンダリングするシステムに供給するステップとを、各コンテンツアイテムに対して連続して自動的に実行する」ものであるといえる。 したがって、本願補正発明と刊行物1発明とは、「前記コンピュータにより、第1の提示モードにおいて前記一連のコンテンツアイテムを提示するステップであって、前記第1の提示モードでは、前記コンピュータが、一のコンテンツアイテムの概観を表すデータを第1の選択として選択するステップと、選択されたデータを、知覚可能な形式でデータをレンダリングするシステムに供給するステップとを、各コンテンツアイテムに対して連続して自動的に実行する、ステップ」を含む点で一致する。 (エ)本願補正発明の「前記コンピュータにより、前記レンダリングするシステムにおいてユーザによるデータ入力動作以外の動作を検出するステップ」について 刊行物1発明では、「画像表示装置の加速度センサ19からの検出信号が所定時間継続して変化しないか否かを検出し、変化があった場合には、画像表示装置が手持ち状態もしくは使用者による操作中とみな」す。 この画像表示装置の加速度センサ19からの検出信号の変化の検出は、「ユーザによるデータ入力動作以外の動作」の検出といえるから、刊行物1発明は、「前記コンピュータにより、前記レンダリングするシステムにおいてユーザによるデータ入力動作以外の動作を検出するステップ」を含むといえ、この点で本願補正発明と一致する。 (オ)本願補正発明の「前記コンピュータにより、前記動作の検出に応答して、前記第1の提示モードから第2の提示モードへの遷移をもたらすステップであって、前記第2の提示モードでは、前記レンダリングするシステムが、前記動作が検出されたときに前記第1の提示モードにおいて提示されているコンテンツアイテムの掘り下げた体験を表すデータを第2の選択としてレンダリングする、ステップ」について 刊行物1発明は、フレームモード1のときに、上記した加速度センサ19からの検出信号の変化を検出すると、ブックモードへの切り替え処理を行う。ブックモードでは、「縦長画面としての液晶表示素子20に再生画像を表示するとともに、余白領域21に当該画像データに付随する、Exif情報、及び、スタイラスペンによって書き込み入力された情報(例えば「04年 ヨーロッパ旅行」)を表示する」のであるから、ブックモードは、上記フレームモード1の「第1の提示モード」に対して、「第2の提示モード」といえるものである。 また、フレームモード1からブックモードへの切替え処理は、制御回路31(「コンピュータ」)により行われる処理であり、切り替え処理によりフレームモード1からブックモードへ遷移するといえる。 したがって、本願補正発明と刊行物1発明とは、「前記コンピュータにより、前記動作の検出に応答して、前記第1の提示モードから第2の提示モードへの遷移をもたらすステップ」を含む点で一致する。 本願補正発明でいう「コンテンツアイテムの掘り下げた体験を表すデータ」とは、本願明細書の一実施例にあるように、ニュースアイテムの画像20と添付テキスト21を含むものであり(【0047】、【0048】、【0052】、図3Bを参照されたい)、刊行物1発明のブックモードで、画像データとともに、余白領域21に表示される、「Exif情報、及び、スタイラスペンによって書き込み入力された情報(例えば「04年 ヨーロッパ旅行」)」は、画像データに付随する、該画像データに関連する詳細情報であるから、刊行物1発明の画像データ及びこれらの詳細情報は、「コンテンツアイテムの掘り下げた体験を表すデータ」といい得る。 刊行物1発明の画像データ及び上記詳細情報は、液晶表示素子20および余白領域21に表示するために選択されたものであり、この選択は、上記第1の提示モードでの「第1の選択」に対して、第2の提示モードでの「第2の選択」といえるから、本願補正発明と刊行物1発明とは、「前記第2の提示モードでは、前記レンダリングするシステムが、コンテンツアイテムの掘り下げた体験を表すデータを第2の選択としてレンダリングする」といえる点では共通しているといえる。 よって、本願補正発明と刊行物1発明とは、「前記コンピュータにより、前記動作の検出に応答して、前記第1の提示モードから第2の提示モードへの遷移をもたらすステップであって、前記第2の提示モードでは、前記レンダリングするシステムが、コンテンツアイテムの掘り下げた体験を表すデータを第2の選択としてレンダリングする、ステップ」を含むといえる点では共通するものである。 もっとも、本願補正発明は、「前記コンピュータにより、前記動作の検出に応答して、前記第1の提示モードから第2の提示モードへの遷移をもたらすステップであって、前記第2の提示モードでは、前記レンダリングするシステムが、前記動作が検出されたときに前記第1の提示モードにおいて提示されているコンテンツアイテムの掘り下げた体験を表すデータを第2の選択としてレンダリングする、ステップ」を含むのに対し、刊行物1発明は、「前記コンピュータにより、前記動作の検出に応答して、前記第1の提示モードから第2の提示モードへの遷移をもたらすステップであって、前記第2の提示モードでは、前記レンダリングするシステムが、コンテンツアイテムの掘り下げた体験を表すデータを第2の選択としてレンダリングする、ステップ」を含むとはいえるものの、「コンテンツアイテムの掘り下げた体験を表すデータを第2の選択としてレンダリングする」レンダリングが、「前記動作が検出されたときに前記第1の提示モードにおいて提示されているコンテンツアイテムの掘り下げた体験を表すデータを第2の選択としてレンダリングする」かどうかは特定されていない点で両者は相違する。 (カ)一致点、相違点 以上をまとめると、本願補正発明と刊行物1発明の一致点及び相違点は次のとおりである。 [一致点] コンピュータを用いてデジタルコンテンツを提示する方法であって、 前記コンピュータにより、一連のコンテンツアイテムを表すデジタルデータを取得するステップと、 前記コンピュータにより、第1の提示モードにおいて前記一連のコンテンツアイテムを提示するステップであって、前記第1の提示モードでは、前記コンピュータが、一のコンテンツアイテムの概観を表すデータを第1の選択として選択するステップと、選択されたデータを、知覚可能な形式でデータをレンダリングするシステムに供給するステップとを、各コンテンツアイテムに対して連続して自動的に実行する、ステップと、 前記コンピュータにより、前記レンダリングするシステムにおいてユーザによるデータ入力動作以外の動作を検出するステップと、 前記コンピュータにより、前記動作の検出に応答して、前記第1の提示モードから第2の提示モードへの遷移をもたらすステップであって、前記第2の提示モードでは、前記レンダリングするシステムが、コンテンツアイテムの掘り下げた体験を表すデータを第2の選択としてレンダリングする、ステップとを含む、方法。 [相違点] 本願補正発明は、「前記コンピュータにより、前記動作の検出に応答して、前記第1の提示モードから第2の提示モードへの遷移をもたらすステップであって、前記第2の提示モードでは、前記レンダリングするシステムが、前記動作が検出されたときに前記第1の提示モードにおいて提示されているコンテンツアイテムの掘り下げた体験を表すデータを第2の選択としてレンダリングする、ステップ」を含むのに対し、 刊行物1発明は、「前記コンピュータにより、前記動作の検出に応答して、前記第1の提示モードから第2の提示モードへの遷移をもたらすステップであって、前記第2の提示モードでは、前記レンダリングするシステムが、コンテンツアイテムの掘り下げた体験を表すデータを第2の選択としてレンダリングする、ステップ」を含むとはいえるものの、「コンテンツアイテムの掘り下げた体験を表すデータを第2の選択としてレンダリングする」レンダリングが、「前記動作が検出されたときに前記第1の提示モードにおいて提示されているコンテンツアイテムの掘り下げた体験を表すデータを第2の選択としてレンダリングする」かどうかは特定されていない点。 エ.判断 刊行物1発明では、フレームモード1からブックモードへ切替え処理が行われるのは、【図5】のフローチャートで説明すると、ステップS3-S4(-S5)-S1-S2と進んだ場合である。すなわち、モードがフレームモード1であるときに、加速度センサ19の検出信号に変化があると、ブックモードへの切替えが行われる。 加速度センサ19の検出信号に変化があるのは、例えば、画像表示装置が載置状態から使用者により持ち上げられて手持ち状態となる場合であるから、そのタイミングは、使用者が任意に決定することができるものであると理解できる。 すなわち、フレームモード1でスライドショー表示が行われているときに、それをブックモードへ切替えるタイミングは使用者が任意に決定することができるものである。 また、ブックモードとは、使用者が、所望する画像に対して、撮影日や撮影条件などの確認をしたりスタイラスを用いて情報を付加するモード(【0031】を参照されたい)であるから、スライドショー表示中に使用者の所望する画像が表示されたとき、その画像に対して撮影日や撮影条件などの確認をしたりスタイラスを用いて情報を付加しようとする状況は普通に想定し得ることであり、そのために、画像表示装置を手持ち状態としてブックモードに切替えたときに表示する画像を、切替える直前の加速度センサ19の検出信号に変化があったときにフレームモード1で表示されていた画像と同じ画像とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。 そして、そのようにすることは、刊行物1発明において、「前記コンピュータにより、前記動作の検出に応答して、前記第1の提示モードから第2の提示モードへの遷移をもたらすステップであって、前記第2の提示モードでは、前記レンダリングするシステムが、前記動作が検出されたときに前記第1の提示モードにおいて提示されているコンテンツアイテムの掘り下げた体験を表すデータを第2の選択としてレンダリングする、ステップ」を含むようにすることを意味している。 また、本願補正発明の構成によってもたらされる効果は、刊行物1発明から当業者が容易に想到し得た構成のものが奏するであろうと当業者が予測し得る範囲を超えるものではなく、本願発明の進歩性を肯定する根拠となり得るものではない。 よって、本願補正発明は、刊行物1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 (3)補正却下のまとめ したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1.本願発明 上述のとおり、平成26年7月29日付けの手続補正は却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成25年2月5日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1-16の記載により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という)は、上記「第2 1.[補正前の請求項1]」の記載により特定される次のとおりのものである。 [本願発明] デジタルコンテンツを提示する方法であって、 一連のコンテンツアイテムを表すデジタルデータを取得するステップと、 第1の提示モードにおいて前記一連のコンテンツアイテムを提示するステップであって、前記第1の提示モードでは、コンテンツアイテムを表すデータの第1の選択を行うステップ、及び、選択されたデータを、知覚可能な形式でデータをレンダリングするシステムに供給するステップが、各コンテンツアイテムに対して連続して自動的に実行される、ステップと、 前記レンダリングするシステムにおいてユーザによる動作を検出するステップと、 前記動作の検出に応答して、前記第1の提示モードから第2の提示モードへの遷移をもたらすステップであって、前記第2の提示モードでは、前記レンダリングするシステムが、前記動作が検出されたときに前記第1の提示モードにおいて提示されているコンテンツアイテムを表すデータのみの、前記第1の選択とは異なる第2の選択をレンダリングする、ステップとを含む、方法。 2.刊行物に記載された発明 刊行物1の記載事項及び刊行物1発明は、上記「第2 2.(2)イ 刊行物に記載された発明」に記載したとおりである。 3.本願発明と刊行物1発明との対比 本願発明は、上述した本願補正発明の補正により限定した構成を省いたものであるから、本願発明と刊行物1発明との対比は、上記の省いた構成を除いて上記「第2 2.(2)ウ.本願補正発明と刊行物1発明との対比」と同様にでき、本願発明と刊行物1発明との一致点、相違点は次のとおりである。 [一致点] デジタルコンテンツを提示する方法であって、 一連のコンテンツアイテムを表すデジタルデータを取得するステップと、 第1の提示モードにおいて前記一連のコンテンツアイテムを提示するステップであって、前記第1の提示モードでは、コンテンツアイテムを表すデータの第1の選択を行うステップ、及び、選択されたデータを、知覚可能な形式でデータをレンダリングするシステムに供給するステップが、各コンテンツアイテムに対して連続して自動的に実行される、ステップと、 前記レンダリングするシステムにおいてユーザによる動作を検出するステップと、 前記動作の検出に応答して、前記第1の提示モードから第2の提示モードへの遷移をもたらすステップであって、前記第2の提示モードでは、前記レンダリングするシステムが、コンテンツアイテムを表すデータの、前記第1の選択とは異なる第2の選択をレンダリングする、ステップとを含む、方法。 [相違点] 本願発明は、「前記動作の検出に応答して、前記第1の提示モードから第2の提示モードへの遷移をもたらすステップであって、前記第2の提示モードでは、前記レンダリングするシステムが、前記動作が検出されたときに前記第1の提示モードにおいて提示されているコンテンツアイテムを表すデータのみの、前記第1の選択とは異なる第2の選択をレンダリングする、ステップ」を含むのに対し、 刊行物1発明は、「前記動作の検出に応答して、前記第1の提示モードから第2の提示モードへの遷移をもたらすステップであって、前記第2の提示モードでは、前記レンダリングするシステムが、コンテンツアイテムを表すデータの、前記第1の選択とは異なる第2の選択をレンダリングする、ステップ」を含むとはいえるものの、「コンテンツアイテムを表すデータの、前記第1の選択とは異なる第2の選択をレンダリングする」レンダリングが、「前記動作が検出されたときに前記第1の提示モードにおいて提示されているコンテンツアイテム表すデータのみの、前記第1の選択とは異なる第2の選択をレンダリングする」かどうかは特定されていない点。 4.判断 本願発明と刊行物1発明との相違点は、上述の本願補正発明と刊行物1発明との相違点における本願補正発明の補正により限定した部分を除いて同様のものであり、本願発明と刊行物1発明との相違点に対する判断も、本願補正発明と刊行物1発明との相違点に対する判断(上記「第2 2.(2)エ.判断」)と同様にできる。 したがって、本願発明は、刊行物1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおりであるから、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく、拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2015-06-22 |
結審通知日 | 2015-06-23 |
審決日 | 2015-07-06 |
出願番号 | 特願2010-514201(P2010-514201) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G06F)
P 1 8・ 575- Z (G06F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 星野 昌幸、岩間 直純 |
特許庁審判長 |
和田 志郎 |
特許庁審判官 |
山澤 宏 千葉 輝久 |
発明の名称 | デジタルコンテンツを提示する方法 |
代理人 | 小松 広和 |
代理人 | 笛田 秀仙 |
代理人 | 津軽 進 |