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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B01J
管理番号 1307624
審判番号 不服2013-8969  
総通号数 193 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-01-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-05-15 
確定日 2015-11-11 
事件の表示 特願2006-545413号「マイクロチャネル内の現位置混合」拒絶査定不服審判事件〔平成17年7月7日国際公開、WO2005/060658、平成19年8月9日国内公表、特表2007-521944号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成16年12月16日(パリ条約による優先権主張 2003年12月18日(US)米国、2004年5月17日(US)米国)を国際出願日とする出願であって、平成22年9月10日付けの拒絶理由に対して、平成23年3月14日付けで意見書及び手続補正書が提出され、同年12月19日付けの拒絶理由<最後>に対して、平成24年7月10日付けで意見書が提出され、平成25年1月8日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年5月15日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同日付けで発明の詳細な説明を補正するための手続補正書が提出され、さらに同年11月14日付けの当審審尋に対して、平成26年5月19日付けで回答がなされたものである。

2.本願発明について
本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成25年5月15日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。
「【請求項1】
マイクロチャネル内で流体を混合する方法であって、
少なくとも二つのオリフィスを有するマイクロチャネルに第1流体を通す工程と、
前記少なくとも二つのオリフィスに第2流体を通す工程とを含み、
前記第2流体は、10?400の範囲の運動量フラックス比で第1流体中へと流れる方法。」

3.引用例の記載事項、表示内容および図示内容
(3-1)原査定の拒絶理由において引用文献1として引用された国際公開第2002/064248号(以下、「引用例1」という。)には、以下の記載、表示および図示がある。
(a)明細書26頁13行?27頁4行
「 CONCLUSIONS

The following are significant findings of Example 1:
1. Integrated hydrogen/air combustion (flow-by configuration) looks very promising for well mixed, uniformly dispersed streams, low excess air, and whole channel contact times as low as 3.2 ms if a header is included in the design. 100% H_(2) conversion was achieved under these combustor (CR) conditions. Integrated methane/air combustion (flow-by configuration) looks extremely promising for well mixed, uniformly dispersed CR streams with low excess air, and whole channel contact times as low as 2.7 ms if a header is included in the design. An incredible 99.6%CH_(4) conversion with 100% selectivity to CO_(2) was achieved under these CR conditions, with no air preheat. Such performance could require at least a contact time five times longer (and about 400 C of air preheat) for methane combustion in an external catalytic combustor.
2. An integrated catalytic combustion channel can provide the heat necessary to sustain an endothermic catalytic steam reforming reaction in an adjacent channel of the same size even under the"worst case"conditions of heat loss existing in the ICR version 2 device. SR methane conversions as high as 98.6% with 66% selectivity to CO were observed.
3. Insufficient dispersion of combustion reactants across the combustion catalyst cross section (i. e. channelling) results in greatly reduced conversions in both the combustor and reformer.
4. The design of these ICR devices (versions 1 & 2) caused an unexpectedly large pressure drop in both the reformer (?3. 3 bar or 48 psid) and combustor (?5. 4 bar or 78 psid) sections when operated at temperature (?850-900 C) with a 40 ms SR contact timme.

『 結論

以下は、実施例1での重要な知見である。
1.一体型水素/空気燃焼(フローバイ構成)は、ヘッダがデザインに含まれる場合、よく混合した、均一分散細流、少量の過剰空気及び、3.2ミリ秒と短い総チャネル接触時間に関しては、非常に前途有望のようである。これらの燃焼器(CR)条件下では、100%のH_(2)転換率が達成された。一体型メタン/空気燃焼(フローバイ構成)は、ヘッダがデザインに含まれる場合、よく混合した、均一分散細流、少量の過剰空気及び、2.7ミリ秒と短い総チャネル接触時間に関しては、非常に見込みがあるようだ。驚くべき99.6%のCH_(4)転換率と、CO_(2)に対する100%の選択性は、これらのCR条件と、空気予備加熱なしで達成された。そのような性能は、外部接触燃焼器におけるメタン燃焼に関しては、少なくとも5倍以上長い接触時間(及び空気予備加熱約400℃)が必要であった。
2.一体型接触燃焼チャネルは、ICRバージョン2のデバイスにあるヒートロスの「最悪の場合」の条件下でさえも、同サイズの隣接チャネルにおける吸熱接触水蒸気改質反応を維持するのに必要な熱を提供することができる。SRメタン転換率は98.6%と高く、COに対する選択性66%が観察された。
3.燃焼触媒断面(則ち、チャネル形成)を横切る燃焼反応体の分散が不十分であると、燃焼器と改質器のいずれにおいても転換率が大きく低下した。
4.これらのICRデバイスのデザイン(バージョン1&2)により、温度(約850℃?900℃)で、40ミリ秒のSR接触時間で運転したときに、改質器(約?3.3バールまたは48psid)と燃焼器(約?5.4バールまたは78psid)のいずれにおいても予想外に大きな圧力降下が起きた。」(【0074】)(当審注:『』内の翻訳文は、引用例1の内容を国際公表した公表特許公報である特表2004-537392号公報の該当箇所の記載を参考にした仮訳である。以下(b)(c)も同じ。)

(b)明細書27頁9行?26頁7行
「Example 2
This example describes the design, fabrication, and test results from a high efficiency, high-throughput small microchannel reactor in which heat producing (exothermic) and heat consuming (endothermic) reaction channels are immediately adjacent (integrated). Combustion of hydrogen in air was used as the exothermic reaction, while steam reforming of methane with a steam to carbon ratio of 3: 1 was used as the endothermic reaction. A new ICR design (flow-by) was used which allowed for much higher throughput with minimal (i. e. < 11 psi) pressure drop by allowing each reactant stream to flow in a narrow (0.125 mm) gap adjacent to the porous engineered catalyst. The new design included a central combustion zone (of two microchannels) flanked by a reformer channel on either side.
The ICR (see Figure 13) used a shortened combustion catalyst bed (0.2", 0.5 cm) to allow a combination of catalytic and homogenous hydrogen combustion. Hydrogen was only distributed across the channel width, and not along the length of the catalyst bed. The entire hydrogen fuel stream was fed into the combustion channel through eight 0.009" (0.02 cm) holes 0.030" (0.08 cm) upstream of to the catalyst bed.
The dimensions of the steam reformer (SR) catalysts were 0.01" x 0.5" x 1.0" (0.25 mm x 1.27 cm x 2.54 cm) and the combustor (CR) catalysts were 0.01" x 0.5" x 0.2" (0.25 mm x 1.27 cm x 0.51 cm), although only 1.02 cm of the width was exposed to reactant flow, 0.12 cm on each edge being used to hold the catalyst in place on either side. For the purposes of heat flux calculations for this example, only 0.4 inches catalyst width was included as the remaining catalyst volume was occluded from reactant flow.A thickness of 0.012" (0.30 mm) was allowed for each catalyst, with flow-by channel thicknesses of 0.005" (0.13 mm) and 0.017" (0.43 mm) in the SR and CR channels, respectively. The ICR was operated in a co-flow configuration. The experimental setup used for testing was the same as that used in Example 1. The ICR was tested with both a stoichiometric amount of hydrogen in air and with 40% excess air in the CR channels while running methane steam reforming reaction in the SR channels.」
『実施例2
この実施例は、熱生成(発熱性)及び熱消費(吸熱性)反応チャネルが直ぐ隣接している(一体化している)、高効率、高処理量の小さなマイクロチャネル反応器のデザイン、構成、及び試験結果について記載する。空気中の水素の燃焼を発熱反応として利用し、同時に水蒸気対炭素モル比3:1でのメタンの水蒸気改質を吸熱反応として利用した。新しいICRデザイン(フローバイ)を使用すると、多孔質加工処理済み触媒に隣接する狭い(0.125mm)隙間に反応体細流をそれぞれ流しておくことによって、最少(則ち<11psi)の圧力降下で、ずっと多い処理量が可能になった。この新しいデザインは、両側に改質器チャネルによって側面に配置された(二つのマイクロチャネルの)中心燃焼領域を含んでいた。
このICR(図13を参照されたい)は、短くした燃焼触媒床(0.2インチ、0.5cm)を使用して、接触と均質水素燃焼との組合せを可能にした。水素は、触媒床の長さに沿ってではなく、チャネル幅を横切って分配されただけだった。全水素燃料の細流を、触媒床の0.030インチ(0.08cm)上流の8つの0.009インチ(0.02cm)の穴(hole)を通して燃焼チャネルに供給した。
水蒸気改質器(SR)触媒の寸法は、0.01インチ×0.5インチ×1.0インチ(0.25mm×1.27cm×2.54cm)であり、燃焼器(CR)触媒は、0.01インチ×0.5インチ×0.2インチ(0.25mm×1.25cm×0.51cm)であり、幅のたった1.02cmが反応体流に暴露され、それぞれの端部の0.12cmは両側の所定の位置に触媒を保持するために使用した。この実施例に関する熱流束計算の目的に関しては、残存する触媒容積が反応体流により閉塞されてしまうので、たった0.4インチの触媒幅を算入した。それぞれの触媒について、0.012インチ(0.30mm)の幅を見越しておき、SRチャネルとCRチャネルにおいても0.005インチ(0.13mm)と0.017インチ(0.43mm)のフローバイチャネル幅をそれぞれ見越しておいた。このICRは、並流配置で運転した。試験に使用した実験用配置は、実施例1と同じであった。このICRは、SRチャネルではメタン水蒸気改質反応を実施しつつ、CRチャネルで空気中40%過剰量の空気と、空気中化学量論量の水素の両方に関して試験した。』(【0075】ないし【0080】)

(c)明細書21頁



『表1.還元化で行われるICRの実施条件』、『CRは、燃焼反応を指し、SRはメタン反応の水蒸気改質を指す。』

(d)図面15頁




(3-2)原査定の拒絶理由において引用文献2として引用された「R. L. J. Fernandes, A. Sobiesiak, A. Pollard,Opposed Round Jets Issuing Into a Small Aspect Ratio Channel Cross Flow,Experimantal Thermal and Fluid Science,1996年,Vol.13,pp.374-394」(以下、「引用例2」という。)には、以下の記載および図示がある。
(e)376頁右欄6?18行
「In channeled flow of opposed jets, the jets gradually bend over and merge in the central region of the center of the duct. In impinging flow, owing to the higher momentum flux ratio,the jets penetrate to the center of the duct with little bending, and a pair of recirculation zones form upstream of the region of impingement. In the present research, the momentum flux ratios,J=g_(J)/g_(CF)(see nomenclature) in the two-jet configurations are chosen to study each flow regime. ln preliminary tests, it was found that momentum flux ratios of 60 and 155 (nominal values) result in channeled flow and impinging flow,respectively.The momentum flux ratio of 155 (nominal) is also used to study the single-jet configuration.」
『チャネル内で対向する(2つの)ジェット流は、徐々に曲がってダクトの中央領域で合併する。衝突流において、より高い運動量フラックス比であれば、ダクトの中央に向かうジェット流の曲がりは小さく、衝突領域の上流に対の逆回転流が形成される。研究によれば、クロスフロー流とジェット流の運動量フラックス比J=g_(J)/g_(CF)(定義参照)は、互いの流れの状態を検討することにより選択されるものである。予備的な試験において、運動量フラックス比が名目60?155のとき、チャネル内の流れが衝突流になることが見出された。名目155の運動量フラックス比は、単一のジェット流の検討にも用いられる。』(当審注:『』内は、当審による仮訳である。以下(e)も同じ。)

(f)393頁右欄
「 NOMENCLATURE
A_(J) the jet exit cross-sectional area,m^(2 )
A_(CF) the cross Flow cross-sectional area,m^(2)」
「g_(J),g_(CF) jet and crossflow momentum fluxes per unit area,
・・省略・・
J jet to crossflow momentum fluxes ratio,J=g_(J)/g_(CF)」
『 定義
A_(J ) クロス領域に出されるジェット流,m^(2 )
A_(CF) クロス領域におけるクロスフロー流,m^(2)』
『g_(J),g_(CF) 単位面積当たりのジェット流およびクロスフロー流の運動量フ
ラックス
・・省略・・
J クロスフロー流の運動量フラックスに対するジェット流の運動
量フラックスの比,J=g_(J)/g_(CF)』

(g)376頁左欄




4.引用例に記載された発明
(4-1)引用例1に記載された発明
(A)上記「3.」(3-1)の(c)(d)からして、引用例1(実施例2)には、「CR触媒が保持されたCRチャネル内で空気(酸素)と水素を混合燃焼する」ことが記載されているということができる。

(B)上記「3.」(3-1)の(c)(d)からして、引用例1(実施例2)には、「8つの『0.02cmの穴』を有するCRチャネルに空気(酸素)を供給すること(工程)、および、8つの『0.02cmの穴』を通してCRチャネル内の空気(酸素)の流れに対して直交する流れの水素を供給すること(工程)」が記載されているということができる。

上記「3.」(3-1)の(a)ないし(d)および上記(A)(B)より、引用例1(実施例2)には、
「CR触媒が保持されたCRチャネル内で空気(酸素)と水素を混合燃焼する方法であって、8つの『0.02cmの穴』を有するCRチャネルに空気(酸素)を供給する工程と、8つの『0.02cmの穴』を通してCRチャネル内の空気(酸素)の流れに対して直交する流れの水素を供給する工程とを含む、方法。」(以下、「引用例1記載の発明」という。)が記載されているものと認める。

(4-2)引用例2に記載された発明
上記「3.」(3-2)の(e)ないし(g)より、引用例2には、「チャネル内のクロスフロー流に対して直交する一対のジェット流を供給するとき、クロスフロー流の運動量フラックスに対するジェット流の運動量フラックスの比を適切な範囲にする(チャネル内において一対のジェット流同士を衝突させる)、方法。」(以下、「引用例2記載の発明」という。)が記載されているものと認める。

5.対比・判断
本願発明と引用発明とを対比する。
○引用例1記載の発明の「空気(酸素)」は、本願発明の「流体」および「第1流体」に相当する。

○引用例1記載の発明の「水素」は、本願発明の「流体」および「第2流体」に相当する。

○引用例1記載の発明の「CRチャネル」、「『0.02cmの穴』」は、本願発明の「マイクロチャネル」、「オリフィス」にそれぞれ相当する。

○引用例1記載の発明の「CR触媒が保持されたCRチャネル内で空気(酸素)と水素を混合燃焼する」ことは、本願発明の「マイクロチャネル内で流体を混合する」ことに相当する。

○引用例1記載の発明の「8つの『0.02cmの穴』を有するCRチャネルに空気(酸素)を供給する工程と、8つの『0.02cmの穴』を通してCRチャネル内の空気(酸素)の流れに対して直交する流れの水素を供給する工程」と、本願発明の「少なくとも二つのオリフィスを有するマイクロチャネルに第1流体を通す工程と、少なくとも二つのオリフィスに第2流体を通す工程」とは、「8つのオリフィスを有するマイクロチャネルに第1流体を通す工程と、8つのオリフィスに第2流体を通す工程」という点で重複する。

上記より、本願発明と引用例1記載の発明とは、「マイクロチャネル内で流体を混合する方法であって、8つのオリフィスを有するマイクロチャネルに第1流体を通す工程と、前記8つのオリフィスに第2流体を通す工程とを含む、方法。」という点で一致し、以下の点で相違している。
<相違点>
本願発明では、「第2流体は、10?400の範囲の運動量フラックス比で第1流体中へと流れる」のに対して、引用例1記載の発明では、上記事項の特定がない点。

<相違点>について検討する。
引用例1記載の発明は、上記「4.」(4-1)で示したように「CR触媒が保持されたCRチャネル内で空気(酸素)と水素を混合燃焼する方法であって、8つの『0.02cmの穴』を有するCRチャネルに空気(酸素)を供給する工程と、8つの『0.02cmの穴』を通してCRチャネル内の空気(酸素)の流れに対して直交する流れの水素を供給する工程とを含む、方法。」であり、ここで、一般に、空気(酸素)と水素の混合燃焼において、混合をより均一にすることで燃焼効率が向上することは、先行技術文献を示すまでもなく、当然の事項であり、また、引用例1には、上記「3.」(3-1)の(a)で示したように「以下は、実施例1での重要な知見である。
1.一体型水素/空気燃焼(フローバイ構成)は、ヘッダがデザインに含まれる場合、よく混合した、均一分散細流、少量の過剰空気及び、3.2ミリ秒と短い総チャネル接触時間に関しては、非常に前途有望のようである。これらの燃焼器(CR)条件下では、100%のH_(2)転換率が達成された。」が示されていることから、引用例1記載の発明は、空気(酸素)と水素の混合燃焼において、燃焼効率を向上させるために、空気(酸素)と水素の混合をより均一にすることを課題の一つにするものであるというべきである。
一方、引用例2記載の発明は、上記「4.」(4-2)で示したように「チャネル内のクロスフロー流に対して直交する一対のジェット流を供給するとき、クロスフロー流の運動量フラックスに対するジェット流の運動量フラックスの比を適切な範囲にする(チャネル内において一対のジェット流同士を衝突させる)、方法。」であり、この衝突により生じる乱流によってクロスフロー流とジェット流の混合がより均一になっている、つまり、クロスフロー流とジェット流の混合をより均一にすることを課題の一つにするものであるというべきである。
上記からして、引用例1、2記載の発明は、クロスフロー流(空気(酸素)の流れ)とジェット流(水素の流れ)の混合をより均一にすることを課題とし、クロスフロー流(空気(酸素)の流れ)に対して直交するジェット流(水素の流れ)を供給するという点で軌を一にしているということができる。
そうすると、引用例1、2記載の発明は、ジェット流同士の衝突がある・なしの差異があるものの、上記の点で軌を一にしている以上、引用例1記載の発明において、空気(酸素)の流れと水素の流れの混合をより均一にするために、引用例2記載の発明における「クロスフロー流(空気(酸素)の流れ)の運動量フラックスに対するジェット流(水素の流れ)の運動量フラックスの比を適切な範囲にする」との事項に着目しこれを適用することは、当業者であれば容易に想起し得ることであり、このとき、運動量フラックスの比をどれくらにするかは、上記「3.」(3-2)の(e)の「運動量フラックス比が名目60?155のとき」を参考にしつつ、当業者が適宜決定する設計事項であるというべきである。
したがって、上記相違点に係る本願発明の技術事項を構成することは、引用例1、2記載の発明に基いて当業者であれば容易になし得ることである。
また、本願発明の「より迅速で効率的な混合を達成する」等の作用効果は、引用例1、2記載の発明に基いて、当業者であれば十分予測し得るものである。
よって、本願発明は、引用例1、2記載の発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

6.むすび
以上、本願発明は、引用例1、2記載の発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
したがって、請求項2ないし6に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-06-15 
結審通知日 2015-06-16 
審決日 2015-06-30 
出願番号 特願2006-545413(P2006-545413)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B01J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 北村 龍平  
特許庁審判長 山田 靖
特許庁審判官 豊永 茂弘
日比野 隆治
発明の名称 マイクロチャネル内の現位置混合  
代理人 アクシス国際特許業務法人  

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