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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) F16J
管理番号 1307841
審判番号 不服2014-21700  
総通号数 193 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-01-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-10-27 
確定日 2015-11-20 
事件の表示 特願2010-132329「減圧処理装置」拒絶査定不服審判事件〔平成23年12月22日出願公開、特開2011-256946〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯・本願発明
本願は、平成22年6月9日の出願であって、平成26年8月21日付けで拒絶査定がなされ(発送日:8月27日)、これに対し、同年10月27日に拒絶査定不服審判が請求され、その審判の請求と同時に手続補正がされたが、その後、当審において、平成27年6月3日付けで拒絶理由が通知され、その指定期間内である平成27年7月29日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。
そして、本願の請求項1ないし10に係る発明は、平成27年7月29日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし10に記載されたとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりである。

「【請求項1】
容器と、当該容器上に搭載される蓋体と、前記容器と前記蓋体とを気密に封止する気密構造部とを備え、前記気密構造部は、前記容器と前記蓋体との間に規定される気体連通路と、該気体連通路を遮断するシール部とを有し、前記シール部は、前記気体連通路の一端近傍に設けられたOリングを含むと共に、前記気体連通路を外側から塞ぐように前記気体連通路の他端にのみに設けられた取り替え可能な封止カバーとを有することを特徴とする外気遮断容器。」

第2 刊行物
1 刊行物1
これに対して、当審が通知した拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された国際公開第2009/060756号(以下「刊行物1」という。)には、「外気遮断容器」に関して、図面(特に、図2及び図3参照。)と共に、次の事項が記載されている。

(1)「[0017] プラズマ処理装置1は、図1に示すように、例えば上部が開口した中空の円筒形状の処理容器2と、この処理容器2の上方を塞ぐ蓋体3を備えている。これら処理容器2と蓋体3は例えばアルミニウムからなり、いずれも接地された状態になっている。
[0018] 処理容器2の側壁の上端には、外周に沿って外側に突出した容器突出部2aが形成されている。蓋体3の側面の下端には、外周に沿って外側に突出した蓋体突出部3aが形成されている。処理容器2の上方を蓋体3によって塞いだ状態では、容器突出部2aの上面と蓋体突出部3aの下面が接触している。この容器突出部2aと蓋体突出部3aとの接触面には、シール材としてのOリング4、5が環状に二重に設けられている。なお、Oリング4、5には、例えば合成樹脂が用いられる。
[0019] このように処理容器2の上方を蓋体3によって塞いだ状態において、容器突出部2aと蓋体突出部3aとの間には、図2に示すように、実際には非常に微小な隙間が存在している。例えば容器突出部2aと蓋体突出部3aの接触面において、内側のOリング4と外側のOリング5との間には、内側のOリング4と外側のOリング5、容器突出部2a、蓋体突出部3aで囲まれた隙間6が形成されている。そして、容器突出部2aには、この隙間6に対して例えばアルゴンガスや窒素ガス等の不活性ガスを流入させるためのガス流入口7と、その流入した不活性ガスを隙間6から流出させるためのガス流出口8が形成されている。ガス流入口7とガス流出口8は、内側のOリング4と外側のOリング5との間に形成され、図3に示すように、対向して形成されている。このガス流入口7から流入した不活性ガスは、隙間6内に充満しながらガス流出口8から流出する。ガス流入口7には、図2に示すように、ガス供給管9が接続され、ガス供給管9は、隙間6に不活性ガスを供給する不活性ガス供給源10に連通している。なお、ガス流出口8から排出されるガスは、処理容器2内部に漏れ入っても差し支えないような不純物を含まない不活性ガスと処理容器2外部の外気とから構成されており、そのまま処理容器2外部の外気に排出しても何ら差し支えない。また、他の一般の装置から排出される気体用の排気ダクトに接続する排気管をガス流出口8に設け、ガス流出口8から流出するガスをその排気管に排出してもよい。」

(2)「[0028] (省略)そして、隙間6内には不活性ガスが連続して供給され、隙間6内は不活性ガスで充満する。この隙間6内に充満した不活性ガスの層によって、処理容器2内の気密性が保持される。なお、処理容器2内に異常放電が発生するのを防止するため、不活性ガスが充満した隙間6内の圧力は26.7kPa(200Torr)以上が望ましい。また、処理容器2の外部から内部へガスが流入するのを防止するため、隙間6内の圧力は大気圧より高い圧力が望ましい。」

(3)「[0030] 以上の実施の形態によれば、処理容器2の容器突出部2aと蓋体3の蓋体突出部3aとの接触面にOリング4、5を環状に二重に設け、内側のOリング4と外側のOリング5との間の隙間6に不活性ガスを流しているので、処理容器2の内部と外部との間に環状の不活性ガスの層を形成することができる。そして、この隙間6の不活性ガスの層によって、処理容器2の外部から内部へガスが流入するのを抑制でき、また処理容器2の内部から外部へのガスが流出するのを抑制することができる。したがって、処理容器2を加熱した場合にOリング4、5がガス透過性になったとしても、不活性ガスの層がシール材として機能するため、処理容器2内の気密性を保持することができる。また、隙間6の不活性ガスの層によって内側のOリング4は処理容器2の外部の雰囲気に晒されることがないので、内側のOリング4の外表面が酸化分解される、すなわち劣化するのを抑制することもできる。なお、内側のOリング4と外側のOリング5との隙間6に流しているガスは不活性ガスなので、万が一この不活性ガスが処理容器2の内部に漏れたとしても、処理容器2内で行われる基板Gのプラズマ処理には影響しない。
[0031] また、Oリング4、5には、フッ素ゴムやパーフロゴムのような樹脂が用いられるが、これらの樹脂は、上述したように150?230℃で水分(水蒸気)や不純物ガス、特に酸素ガスを透過させてしまうという特性がある。このような特性があっても、隙間6の不活性ガスの層が形成されることによって、これらの外気から流入する不純物ガスの濃度を薄めて、当該不純物ガスの処理容器2内部への透過を抑制することができる。
[0032] 以上の実施の形態では、Oリング4、5には、同一材料の合成樹脂が用いられていたが、別材料の合成樹脂を用いてもよい。例えば内側のOリング4にラジカル耐性の高い合成樹脂を用い、外側のOリング5にシール性の高い合成樹脂を用いることで、内側のOリング4が処理容器2内で発生したプラズマによって劣化するのが抑制されると共に、処理容器2の内の気密性を保持することができる。
[0033] 以上の実施の形態では、ガス流入口7とガス流出口8はそれぞれ1箇所に設けられていたが、ガス流入口とガス流出口が対称となる位置にそれぞれ複数設けられていてもよい。」

(4)上記(1)の「処理容器2の上方を蓋体3によって塞いだ状態では、容器突出部2aの上面と蓋体突出部3aの下面が接触している。この容器突出部2aと蓋体突出部3aとの接触面には、シール材としてのOリング4、5が環状に二重に設けられている。」(段落[0018])との記載及び上記(3)の「処理容器2の容器突出部2aと蓋体3の蓋体突出部3aとの接触面にOリング4、5を環状に二重に設け、内側のOリング4と外側のOリング5との間の隙間6に不活性ガスを流しているので、処理容器2の内部と外部との間に環状の不活性ガスの層を形成することができる。そして、この隙間6の不活性ガスの層によって、処理容器2の外部から内部へガスが流入するのを抑制でき、また処理容器2の内部から外部へのガスが流出するのを抑制することができる。したがって、処理容器2を加熱した場合にOリング4、5がガス透過性になったとしても、不活性ガスの層がシール材として機能するため、処理容器2内の気密性を保持することができる。」(段落[0030])との記載からみて、処理容器2の容器突出部2aと蓋体3の蓋体突出部3aとの接触面並びにOリング4、5及び隙間6は、処理容器2と蓋体3とを気密に封止するものであり、処理容器2の容器突出部2aと蓋体3の蓋体突出部3aとの接触面並びにOリング4、5及び隙間6を気密封止部ということができる。

(5)上記(1)の「処理容器2の上方を蓋体3によって塞いだ状態において、容器突出部2aと蓋体突出部3aとの間には、図2に示すように、実際には非常に微小な隙間が存在している。例えば容器突出部2aと蓋体突出部3aの接触面において、内側のOリング4と外側のOリング5との間には、内側のOリング4と外側のOリング5、容器突出部2a、蓋体突出部3aで囲まれた隙間6が形成されている。」(段落[0019])との記載及び図2からみて、容器突出部2aと蓋体突出部3aの接触面に微小な隙間が存在するといえる。
そして、上記(3)の「内側のOリング4と外側のOリング5との間の隙間6に不活性ガスを流しているので、処理容器2の内部と外部との間に環状の不活性ガスの層を形成することができる。そして、この隙間6の不活性ガスの層によって、処理容器2の外部から内部へガスが流入するのを抑制でき、また処理容器2の内部から外部へのガスが流出するのを抑制することができる。」(段落[0030])との記載からみて、Oリング4、5及び隙間6は、ガスの流入や流出に関して、上記微小な隙間を遮断するといえる。

(6)図2には、Oリング4が容器突出部2aの内周端近傍に設けられ、Oリング5が容器突出部2aの外周端近傍に設けられることが示されており、上記(5)の「容器突出部2aと蓋体突出部3aの接触面に微小な隙間が存在する」との事項と合わせみると、Oリング4が前記微小な隙間の内周端近傍に設けられるとともに、Oリング5が前記微小な隙間の外周端近傍に設けられるといえる。

これらの記載事項、認定事項及び図面の図示内容を総合し、本願発明の記載ぶりに則って整理すると、刊行物1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

「処理容器2と、当該処理容器2上に搭載される蓋体3と、前記処理容器2と前記蓋体3とを気密に封止する気密封止部とを備え、前記気密封止部は、容器突出部2aと蓋体突出部3aとの接触面に存在する微小な隙間と、該微小な隙間を遮断するOリング4、5及び隙間6とを有し、前記Oリング4、5及び隙間6は、前記微小な隙間の内周端近傍に設けられたOリング4を含むと共に、前記微小な隙間の外周端近傍に設けられたOリング5とを有する処理容器2及び蓋体3。」

2 刊行物2
また、当審が通知した拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された特開2008-138721号公報(以下「刊行物2」という。)には、次の事項が記載されている。

(1)「【0037】
尚、前記の実施形態では、流路形成部材3の先端のノズル30と嵌合部32との間にはOリング33を嵌着する一方、該流路形成部材3の基端部34には雄ねじを覆うようにシールテープを巻回して、それぞれ嵌合孔53内周との間を気密に封止しているが、これに限らず、例えば図3に示すように、流路形成部材3の基端側にもOリング33を嵌着するようにしてもよい。
【0038】
また、前記実施形態のサーボバルブVは、本発明を三方弁に適用したものであるが、これに限らず二方弁や四方弁にも適用可能である。また、作動ガスとしては空気に限らず、それ以外の気体も利用可能である。」

(2)上記記載事項及び図1及び図3からみて、刊行物2には、Oリングとシールテープとが気密封止に関して互換可能であることが示唆されている。

第3 対比
本願発明と引用発明とを対比すると、後者の「処理容器2」は前者の「容器」に相当し、以下同様に、「蓋体3」は「蓋体」に、「気密封止部」は「気密構造部」に、「前記容器突出部2aと前記蓋体突出部3aとの接触面に存在する微小な隙間」は「前記容器と前記蓋体との間に規定される気体連通路」に、「該微小な隙間を遮断する遮断するOリング4、5及び隙間6」は「該気体連通路を遮断するシール部」に、「前記微小な隙間の内周端近傍に設けられたOリング4」は「前記気体連通路の一端近傍に設けられたOリング」に、「処理容器2及び蓋体3」は「外気遮断容器」にそれぞれ相当する。

また、後者の「前記微小な隙間の外周端近傍に設けられたOリング5」と前者の「前記気体連通路の他端にのみに設けられた取り替え可能な封止カバー」とは、「前記気体連通路に設けられた封止材」という限りで共通する。

したがって、両者は、
「容器と、当該容器上に搭載される蓋体と、前記容器と前記蓋体とを気密に封止する気密構造部とを備え、前記気密構造部は、前記容器と前記蓋体との間に規定される気体連通路と、該気体連通路を遮断するシール部とを有し、前記シール部は、前記気体連通路の一端近傍に設けられたOリングを含むと共に、前記気体連通路に設けられた封止材とを有する外気遮断容器。」
で一致し、次の点で相違する。

〔相違点〕
気体連通路に設けられた封止材について、本願発明は、「気体連通路を外側から塞ぐように前記気体連通路の他端にのみに設けられた取り替え可能な封止カバー」であるのに対し、
引用発明は、微小な隙間の外周端近傍に設けられたOリング5である点。
第4 当審の判断
そこで、相違点を検討する。
まず、本願発明の「取り替え可能な封止カバー」は、本願明細書の「処理容器12のフランジ部12aの外周及び蓋体突出部14aの外周に沿って取り付けられた封止カバー25を備え、当該封止カバー25はテープ形状のものを使用することができる。」(段落【0022】)との記載からみて、テープ形状のものが含まれる。

一方、本願の出願前に、容器と蓋の接合部を外側から塞ぐようにテープを設けて気密性を保持することは、周知技術(例えば、特開平9-20371号公報の「本発明の脱酸素容器のシール方法によれば、封止部が気密性の低い容器であっても、該封止部に金属箔又は金属を蒸着したプラスチックフィルムを基材とするシ-ルテ-プを貼着してシ-ルことにより、気密性の高いガスバリア性容器として、脱酸素容器とすることができる」(段落【0031】)との記載及び図1の「金属箔又は金属を蒸着したプラスチックフィルムを基材とするシ-ルテ-プ10」、特開2003-246305号公報の「本発明に使用される所定のガスとしては、例えば、窒素、二酸化炭素(炭酸ガス)、酸素、アルゴン等」(段落【0095】)との記載及び「受け容器と蓋の重ね合わせ部の封緘に帯状テープを用い、その後はガス置換に使用できる程度の孔を密閉するだけで密封用包装容器を密封できる」(段落【0115】)との記載並びに図2の「帯状テープ30」、特開2005-22688号公報の「ストレッチフィルム及びストレッチシュリンクフィルムに使用される樹脂としては、一般的にフィルムに使用される樹脂であれば何でも良く、例えば、上記の熱可塑性樹脂等やガスバリア性樹脂等が挙げられる」(段落【0028】)との記載及び「本発明は容器及び蓋の重合部の全面を伸縮性帯状フィルムで被覆することによって容器を封緘する」(段落【0046】)との記載並びに図2の「帯状ストレッチフィルム31」参照。)である。

ここで、引用発明のOリング5について、刊行物1の「内側のOリング4と外側のOリング5との間の隙間6に不活性ガスを流しているので、処理容器2の内部と外部との間に環状の不活性ガスの層を形成することができる」(段落[0030])との記載及び「例えば・・・外側のOリング5にシール性の高い合成樹脂を用いることで、・・・処理容器2の内の気密性を保持することができる。」(段落[0032])との記載からみて、引用発明のOリング5は、隙間6に不活性ガスの層を形成するとともに、処理容器2の内の気密性を保持する機能を有するものである。そして、刊行物1の「隙間6に対して例えばアルゴンガスや窒素ガス等の不活性ガスを流入させる」(段落[0019])との記載からみて、不活性ガスには、アルゴンガスや窒素ガスが用いられており、これらは空気中に含まれるものである。

してみると、上記周知技術のテープは、気密性を保持するものであるから、引用発明のOリング5に要求される気密性を同様に備えるといえる。

また、刊行物2には、Oリングとシールテープとが気密封止に関して互換可能であることが示唆されている。ここで、シールテープは、一般的に取り替え可能なものである(例えば、特開平11-351409号公報の「シールテープ20を貼ったり剥がしたりする」(段落【0004】)との記載及び図7、実願平4-21101号(実開平5-81584号)のCD-ROMの「シールテープを巻きつけたプラグを再使用するには、雄ねじ部に圧着しているシールテープを剥がす」(段落【0006】)との記載参照。)。

そうすると、刊行物1及び刊行物2に接した当業者であれば、引用発明に前記周知技術を適用して、引用発明の微小な隙間を「外側から塞ぐように」微小な隙間の「他端に」テープを設けることで、相違点に係る本願発明の構成とすることは容易に想到し得たことである。

また、本願発明が奏する効果は、引用発明、刊行物2に記載された事項及び前記周知技術から、当業者が予測できる範囲内のものであって、格別なものでない。

したがって、本願発明は、引用発明、刊行物2に記載された事項及び前記周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第5 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明、刊行物2に記載された事項及び前記周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、本願のその他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-09-04 
結審通知日 2015-09-09 
審決日 2015-10-06 
出願番号 特願2010-132329(P2010-132329)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (F16J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 塚原 一久莊司 英史佐々木 佳祐  
特許庁審判長 森川 元嗣
特許庁審判官 中川 隆司
冨岡 和人
発明の名称 減圧処理装置  
代理人 池田 憲保  
代理人 福田 修一  
代理人 佐々木 敬  
代理人 佐々木 敬  
代理人 福田 修一  
代理人 池田 憲保  
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