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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H02M
管理番号 1307977
審判番号 不服2014-22626  
総通号数 193 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-01-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-11-06 
確定日 2015-11-26 
事件の表示 特願2011- 371「ブートコンデンサの充電方法」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 7月26日出願公開、特開2012-143097〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成23年1月5日の出願であって、平成26年8月29日付で拒絶査定がなされ(発送日:平成26年9月2日)、これに対し、平成26年11月6日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに手続補正書が提出されたものである。


2.本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成26年11月6日付の手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。

「ローアーム側スイッチング素子(41)に直列に接続されてインバータ(4U)に設けられたハイアーム側スイッチング素子(42)の動作を制御するハイアーム制御回路(33)に対して動作電源を与えるブートコンデンサ(32)を電源回路(30)で充電するブート充電方法であって、
前記インバータにおいて前記ローアーム側スイッチング素子及び前記ハイアーム側スイッチング素子が通常のスイッチングを行う通常動作期間よりも前の前置充電期間において、前記ハイアーム側スイッチング素子を常にオフし、前記ローアーム側スイッチング素子を介して前記電源回路によって前記ブートコンデンサを充電し、
前記前置充電期間において、前記ローアーム側スイッチング素子はオン/オフを繰り返し、
前記ローアーム側スイッチング素子がオンする期間(TON)は、前記ハイアーム側スイッチング素子の短絡に際して前記インバータを保護するのに必要な検出最低時間(Twmin)以上である、ブートコンデンサの充電方法。」

なお、平成26年11月6日付の手続補正書の特許請求の範囲の請求項1の記載は、出願当初の請求項1と同じであり、何ら補正はされていない。


3.引用例
これに対して、原査定の拒絶の理由で引用された、特開2003-61363号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。

a「【請求項1】 ローアーム側スイッチング素子(41)に直列に接続されてインバータ(4U)に設けられたハイアーム側スイッチング素子(42)の動作を制御するハイアーム制御回路(33)に対して動作電源を与えるブートコンデンサ(32)を電源回路(30)で充電するブート方法であって、
前記インバータにおいて前記ローアーム側スイッチング素子及び前記ハイアーム側スイッチング素子が通常のスイッチングを行う通常動作期間よりも前の前置充電期間において、前記ハイアーム側スイッチング素子を常にオフし、前記ローアーム側スイッチング素子を介して前記電源回路によって前記ブートコンデンサを充電する、ブートコンデンサの充電方法。
【請求項2】 前記前置充電期間において、前記ローアーム側スイッチング素子はオン/オフを繰り返す、請求項1記載のブートコンデンサの充電方法。
【請求項3】 前記ローアーム側スイッチング素子がオンする期間は、前記インバータの負荷(6)の短絡に際して前記インバータを保護するのに必要な検出最低時間(Twmin)以上である、請求項2記載のブートコンデンサの充電方法。」

b「また、インバータ4Uに多大な電流が流れて破壊されることを防ぐため、負荷6の短絡に際してインバータ4Uを保護する技術が採用される場合もある。その場合、負荷6の短絡を検出するのに必要な最低時間Twminよりもオン期間TONを長くすることが望ましい。」(【0035】)

上記記載事項からみて、引用例1には、
「ローアーム側スイッチング素子(41)に直列に接続されてインバータ(4U)に設けられたハイアーム側スイッチング素子(42)の動作を制御するハイアーム制御回路(33)に対して動作電源を与えるブートコンデンサ(32)を電源回路(30)で充電するブート方法であって、
前記インバータにおいて前記ローアーム側スイッチング素子及び前記ハイアーム側スイッチング素子が通常のスイッチングを行う通常動作期間よりも前の前置充電期間において、前記ハイアーム側スイッチング素子を常にオフし、前記ローアーム側スイッチング素子を介して前記電源回路によって前記ブートコンデンサを充電し、
前記前置充電期間において、前記ローアーム側スイッチング素子はオン/オフを繰り返し、
前記ローアーム側スイッチング素子がオンする期間は、前記インバータの負荷(6)の短絡に際して前記インバータを保護するのに必要な検出最低時間(Twmin)以上である、ブートコンデンサの充電方法。」
との発明(以下、「引用発明」という。)が開示されているものと認められる。


4.対比
そこで、本願発明と引用発明とを比較すると、引用発明の「ブート方法」は、本願発明の「ブート充電方法」に相当する。

引用発明の「前記ローアーム側スイッチング素子がオンする期間は、前記インバータの負荷(6)の短絡に際して前記インバータを保護するのに必要な検出最低時間(Twmin)以上である」と、本願発明の「前記ローアーム側スイッチング素子がオンする期間(TON)は、前記ハイアーム側スイッチング素子の短絡に際して前記インバータを保護するのに必要な検出最低時間(Twmin)以上である」は、「前記ローアーム側スイッチング素子がオンする期間は、所定の電気的要素の短絡に際して前記インバータを保護するのに必要な検出最低時間(Twmin)以上である」との概念で一致する。

したがって、両者は、
「ローアーム側スイッチング素子に直列に接続されてインバータに設けられたハイアーム側スイッチング素子の動作を制御するハイアーム制御回路に対して動作電源を与えるブートコンデンサを電源回路で充電するブート充電方法であって、
前記インバータにおいて前記ローアーム側スイッチング素子及び前記ハイアーム側スイッチング素子が通常のスイッチングを行う通常動作期間よりも前の前置充電期間において、前記ハイアーム側スイッチング素子を常にオフし、前記ローアーム側スイッチング素子を介して前記電源回路によって前記ブートコンデンサを充電し、
前記前置充電期間において、前記ローアーム側スイッチング素子はオン/オフを繰り返し、」
前記ローアーム側スイッチング素子がオンする期間は、所定の電気的要素の短絡に際して前記インバータを保護するのに必要な検出最低時間以上である、ブートコンデンサの充電方法。」
の点で一致し、以下の点で相違している。

〔相違点〕
所定の電気的要素の短絡に関し、本願発明は、ハイアーム側スイッチング素子の短絡であるのに対し、引用発明は、インバータの負荷である点。


5.判断
モータ等の負荷が接続されたインバータ回路において、短絡故障が通常発生するのは、負荷又スイッチング素子(必要があれば特開平10-225135号公報【0003】参照)である。また、短絡電流を検出するには電流検出器が短絡電流を検出できなければならず、電流検出器が短絡電流を検出するにはインバータを保護するのに必要な検出最低時間、即ち短絡を検出するのに必要な検出最低時間を確保しなければならない。
そうであれば、引用発明において、インバータの負荷の短絡検出に代えてスイッチング素子であるハイアーム側スイッチング素子の短絡検出を行うようにすることは当業者が容易に考えられることと認められる。

なお、請求人は、審判請求書において、「引用例において、前置充電時間ではハイアーム側はオフしているので、負荷が短絡してもブートコンデンサ32の低電位側が相同士で短絡するに過ぎず、実際には負荷の短絡の有無を検出することはできません。よってローアーム側スイッチング素子がオンする期間を、負荷の短絡に際してインバータを保護するのに必要な検出最低時間と比較することには意義がありません。これに対してハイアーム側の短絡が生じていれば前置充電時間でも過大な電流が流れ、当該短絡の検出は可能です。このような、「ハイアーム制御回路に対して動作電源を与えるブートコンデンサを電源回路で充電する」ことに鑑みて、ローアーム側スイッチング素子がオンする期間を、ハイアーム側スイッチング素子の短絡に際してインバータを保護するのに必要な検出最低時間と比較することに意義があります。このような着想は引例1にはなく、また拒絶査定の「2.判断」で指摘されるような単なる設計変更を越えて、特有の技術的効果を招来します。」と主張するが、引用発明もローアーム側スイッチング素子がオンする期間はインバータを保護するのに必要な検出最低時間以上であるから、仮に前置充電時間中にハイアーム側スイッチング素子に短絡が生じても、電流検出器によって短絡電流が検出されるので、請求人の上記主張のような構成・効果は引用発明が本来有しているものであるから、請求人の上記主張は採用できない。

そして、本願発明の作用効果も、引用発明から当業者が予測できる範囲のものである。
したがって、本願発明は、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。


6.むすび
したがって、本願発明は、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、他の請求項について検討するまでもなく特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-09-01 
結審通知日 2015-09-08 
審決日 2015-10-14 
出願番号 特願2011-371(P2011-371)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H02M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 松永 謙一宮地 将斗  
特許庁審判長 藤井 昇
特許庁審判官 堀川 一郎
矢島 伸一
発明の名称 ブートコンデンサの充電方法  
代理人 吉竹 英俊  
代理人 有田 貴弘  
代理人 福市 朋弘  

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