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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
審判 査定不服 5項独立特許用件 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1308073
審判番号 不服2015-4269  
総通号数 193 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-01-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-03-04 
確定日 2015-12-15 
事件の表示 特願2010-154772「UI提供方法及びこれを適用したディスプレイ装置」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 3月24日出願公開、特開2011- 60272、請求項の数(15)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成22年7月7日(パリ条約による優先権主張、2009年9月14日、韓国)を出願日とする出願であって、平成26年2月17日付けで拒絶理由が通知され、同年5月23日付けで手続補正がされ、同年10月30日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成27年3月4日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに手続補正がされたものである。

第2 平成27年3月4日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)の適否
1.補正の内容
本件補正は、補正前の特許請求の範囲の請求項1を、補正後の特許請求の範囲の請求項1に変更する補正事項(以下、「補正事項1」という。)を含むものである。
そして、補正前の請求項1及び補正後の請求項1の各記載は、それぞれ、以下のとおりである。
なお、〈補正後の請求項1〉における下線は、補正箇所を表している。

〈補正前の請求項〉
「【請求項1】
互いに異なる2つ以上の分類基準がそれぞれ適用された2つ以上の軸方向のうち1つの軸方向に対応される操作が入力されるステップと、
前記入力された操作の軸方向に適用された分類基準を用いて複数のイメージのうち1つのイメージを探索するステップと、
を含み、
前記操作は、ショートストロークタッチ操作又はロングストロークタッチ操作を含み、
前記1つのイメージを探索するステップは、前記入力された操作が前記ショートストロークタッチ操作の場合、以前のイメージ又は次のイメージを探索し、前記入力された操作が前記ロングストロークタッチ操作の場合、以前のカテゴリ又は次のカテゴリのイメージを探索する、UI提供方法。」

〈補正後の請求項1〉
「【請求項1】
互いに異なる2つ以上の分類基準がそれぞれ適用された2つ以上の軸方向のうち1つの軸方向に対応される操作が入力されるステップと、
前記入力された操作の軸方向に適用された分類基準を用いて複数のイメージのうち1つのイメージを探索するステップと、
を含み、
前記操作は、ショートストロークタッチ操作又はロングストロークタッチ操作を含み、
前記1つのイメージを探索するステップは、前記入力された操作が前記ショートストロークタッチ操作の場合、以前のイメージ又は次のイメージを探索し、前記入力された操作が前記ロングストロークタッチ操作の場合、以前のカテゴリ又は次のカテゴリのイメージを探索し、
前記1つのイメージを探索するステップは、人物に対応する分類基準を適用してイメージを探索する場合、前記人物に対応する分類基準の適用される軸方向に前記ショートストローク操作が入力されると、現在探索されたイメージに含まれる人物の順に従って次のイメージを探索し、前記人物に対応する分類基準の適用される軸方向に前記ロングストローク操作が入力されると、前記現在探索されたイメージに含まれる人物とは異なる人物が含まれたイメージを探索する、UI提供方法。」

2.本件補正に対する判断
本件補正の内の補正事項1は、補正前の請求項1に記載のあった発明を特定するために必要な事項である「1つのイメージを探索するステップ」に関して、「人物に対応する分類基準を適用してイメージを探索する場合、前記人物に対応する分類基準の適用される軸方向に前記ショートストローク操作が入力されると、現在探索されたイメージに含まれる人物の順に従って次のイメージを探索し、前記人物に対応する分類基準の適用される軸方向に前記ロングストローク操作が入力されると、前記現在探索されたイメージに含まれる人物とは異なる人物が含まれたイメージを探索する」ものに限定したものであり、かつ、補正の前後において、請求項1の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、特許法第17条の2第3項、第4項に違反するところはない。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について、以下に検討する。

(1)本願補正発明
本願補正発明は、上記「1.」の〈補正後の請求項1〉の欄に転記したとおりのものである。

(2)引用例等の記載事項と引用例記載の発明
原査定で引用された本願出願日前に頒布された、特開2008-11033号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
a)「【0006】
本発明は上述の課題に鑑みてなされたものであり、コンテンツの一覧を3次元的に表示することで、一度に表示する情報量の拡大を図り、所望のコンテンツを迅速に検索することができるような情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム、及び携帯端末装置の提供を目的とする。」(【0006】の記載。下線は当審で付与。以下、同様。)

b)「【0013】
本発明は、携帯電話機に適用することができる。
・・・中略・・・
【0016】
また、この携帯電話機は、現在時刻をカウントするタイマ10と、基地局を介した無線通信処理を行うための通信処理プログラム(コミュニケーションプログラム)の他、各種アプリケーションプログラムや、これら各アプリケーションプログラムで取り扱われる各種データ(コンテンツ)等が記憶されたメモリ11と、当該携帯電話機全体を制御する制御部12とを有している。
・・・中略・・・
【0021】
図2(a)において、この携帯電話機は、上筐体21に表示部5を有している。また、この携帯電話機は、筐体21の上端部21aと表示部5の上端部5aとの間に、通話用のスピーカ部3と、第2のカメラ部8b(インカメラ部)とを有している。また、この携帯電話機は、下筐体22に操作部6を有しており、この操作部6と下筐体22の下端部22aとの間に通話用或いは周囲の音声集音用となるマイクロホン部4を有している。
【0022】
操作部6は、上下左右に押圧操作可能な十字キー24と、この十字キーの中央部に設けられた決定キー25とを有している。また、操作部6は、通常は、電子メール管理プログラムの起動を指示する際に押圧操作を行う第1のソフトキー26と、通常は、インターネット等のネットワーク接続を指示する際に押圧操作を行う第2のソフトキー27とを有している。また、操作部6は、通常は、メインメニューの表示を指示する際に押圧操作を行う第3のソフトキー28と、通常は、所望のコマンドを割り当てて使用する第4のソフトキー29とを有している。」(【0013】?【0022】の記載。)

c)「【0025】
[ライフタイムカレンダーの概要]
この実施の形態の携帯電話機は、画像コンテンツ(静止画像、動画像)、電子メールコンテンツ、スケジュールコンテンツ、電話帳コンテンツ等の、通常、それぞれ専用のアプリケーションプログラムで別々に取り扱われる各種コンテンツを一括して取り扱い、これらのコンテンツを時系列に沿って一覧化した「ライフタイムカレンダー」を表示する機能(ライフタイムカレンダー表示機能)を有している。」(【0025】の記載。)

d)「【0335】
[コンテンツの3次元マトリクス表示動作]
次に、上述の説明では、デイビューのライフタイムカレンダー上には、各コンテンツを2次元的に表示することとしたが、例えば多数の静止画像コンテンツや電子メールコンテンツが存在すると、デイビューのライフタイムカレンダー上に一度に表示することができず、所望のコンテンツの検索に時間を要するおそれがある。このため、当該実施の形態の携帯電話機は、ユーザから指示がなされた場合に、3次元マトリクス状にコンテンツの表示を行うことで、一度に表示するコンテンツの量を増やし(=一度に表示する情報量を増やし)、所望のコンテンツを容易かつ短時間で検索可能としている。
・・・中略・・・
【0338】
図26のフローチャートにおいて、まず、ステップS121では、上記第4のソフトキー29の押圧操作を検出したため、制御部12が、例えば「3次元マトリクス表示を行いますか? Yes/No」等の、3次元マトリクス表示を行うか否かをユーザに選択させるための選択画面を表示部5に表示制御して、処理をステップS122に進める。
【0339】
ユーザは、3次元マトリクス表示を行う場合は、上記「Yes」の文字にフォーカスを移動操作して決定キー25を押圧操作し、3次元マトリクス表示を行わない場合は、上記「No」の文字にフォーカスを移動操作して決定キー25を押圧操作する。ステップS122では、制御部12が、このような操作部6の操作状態を検出することで、ユーザにより、3次元マトリクス表示の実行が指示されたか否かを判別しており、上記「Yes」の文字にフォーカスを当てている状態で決定キー25の押圧操作を検出した場合は、ユーザにより3次元マトリクス表示の実行が指示されたものと認識して、処理をステップS123に進める。
【0340】
これに対して、上記「No」の文字にフォーカスを当てている状態で決定キー25の押圧操作を検出したということは、デイビューのライフタイムカレンダー上でフォーカスを当てていたコンテンツの処理が指示されことを意味する。このため、上記「No」の文字にフォーカスを当てている状態で決定キー25の押圧操作を検出した場合、制御部12は、処理をステップS129に進め、デイビューのライフタイムカレンダー上でフォーカスを当てていたコンテンツに対応するアプリケーションプログラムを起動して、該コンテンツの処理を行う。これにより、例えばデイビューのライフタイムカレンダー上で静止画像コンテンツにフォーカスを当てていた場合、制御部12は、カメラ制御プログラムのビューワ機能に基づいて、該静止画像を表示部5に表示制御することとなる。
【0341】
次に、ステップS123では、制御部12が、デイビューのライフタイムカレンダー上でフォーカスを当てていたコンテンツと同じ種類の各コンテンツをメモリ11から読み出し、処理をステップS124に進める。そして、このステップS124において、メモリ11から読み出した各コンテンツを、3次元マトリクス状に配列して表示する。
【0342】
具体的には、例えばデイビューのライフタイムカレンダー上で静止画像コンテンツにフォーカスを当てている状態で、上述の3次元マトリクス表示の実行の指示を検出した場合、制御部12は、ユーザにより静止画像コンテンツの3次元マトリクス表示の実行が指示されたものと認識し(=3次元マトリクス表示を行うコンテンツの種類を認識し)、上記フォーカスを当てていた静止画像コンテンツ、上記フォーカスを当てていた静止画像コンテンツと同じ日付の静止画像コンテンツ、及び上記フォーカスを当てていた静止画像コンテンツの日付以前の日付の静止画像コンテンツ(及び/又は上記フォーカスを当てていた静止画像コンテンツの日付以降の日付の静止画像コンテンツ)を、上記45枚分等の、3次元マトリクス状に一度に表示可能な枚数分、メモリ11から読み出す。
【0343】
次に、制御部12は、メモリ11に記憶されている顔認識プログラムに基づいて、上記読み出した各静止画像コンテンツに写っている人物を抽出し、この抽出した人物の静止画像と、電話帳及び個人情報の登録欄に登録されている各人物の静止画像とを照合し、該各静止画像コンテンツに写っているユーザを特定する。そして、図27(a)に示すように3次元マトリクス表示を行った際に、例えば電話帳に登録されている各ユーザのメモリ番号順となるように、各ユーザが写っている静止画像コンテンツを仮想的に並べ替える。
【0344】
また、制御部12は、図27(b)に示すようにメモリ番号順に並べ替えた各ユーザ毎に、各静止画像コンテンツが有する撮影時刻に基づいて、撮影時刻順に仮想的に並べ替える。さらに、制御部12は、図27(b)に示すように撮影時刻順に並べ替えた各ユーザの静止画像コンテンツを、各静止画像コンテンツの色調に基づいて仮想的に並べ替える。
【0345】
なお、制御部12は、上記「色調」の判別を行う場合、その静止画像コンテンツに一番多く使われている色に基づいて判別するようになっている。例えば、夕日を背景として撮影した静止画像コンテンツの場合、「赤系」の色が多く含まれる。このため、制御部12は、この夕日を背景として撮影した静止画像コンテンツは、「赤系の静止画像コンテンツ」として判別することとなる。同様に、例えば海を背景として撮影した静止画像コンテンツの場合、「青系」の色が多く含まれる。このため、制御部12は、この海を背景として撮影した静止画像コンテンツは、「青系の静止画像コンテンツ」として判別することとなる。
【0346】
制御部12は、このように「撮影時刻」、「色調」及び「静止画像コンテンツに写っている各ユーザ」を軸として並べ替えを行うことで形成した3次元マトリクス状の各静止画像コンテンツを、図28(a)に示すように表示部5に表示制御する。この図28(a)は一例であるが、静止画像コンテンツを3次元マトリクス状に表示する場合、制御部12は、X軸を撮影時刻とし、Y軸を色調、Z軸を静止画像コンテンツに写っている各ユーザとして該各静止画像コンテンツを3次元マトリクス状に並べ替えて表示する。これにより、横軸(X軸)は時間軸、縦軸(Y軸)は色調に並べられた静止画像コンテンツが、奥行き(Z軸)に沿って各ユーザ毎に並べられて表示されることとなる。」(【0335】?【0346】の記載。)

e)「【0353】
ユーザは、これら各キーを操作して、3次元マトリクス状に表示された各コンテンツの中から所望のコンテンツを検索するのであるが、各コンテンツを3次元マトリクス状に表示することで処理を図26のフローチャートのステップS125に進めると、制御部12は、まず、上記十字キー24の操作状態を検出することで、フォーカスの移動操作がなされたか否かを判別する。そして、フォーカスの移動操作がなされたものと判別した場合、処理をステップS131に進め、上記3次元マトリクスの最前面に表示したフォーカスを十字キー24の操作に応じて移動表示制御して、処理をステップS129に進める。そして、このステップS129において、決定キー29の押圧操作の有無を検出し、決定キー29の押圧操作を検出しなかった場合は処理をステップS125に戻し、決定キー29の押圧操作を検出した場合は処理をステップS130に進め、上述のようにフォーカスを当てているコンテンツに対応するアプリケーションプログラムを起動し、このアプリケーションプログラムに基づいて、該コンテンツの表示や再生等の処理を行う。
【0354】
次に、フォーカスの移動操作を検出しない場合に処理をステップS126に進めると、制御部12は、第2のソフトキー27及び第4のソフトキー28の操作状態を検出することで、3次元マトリクスの最前面に表示する面の移動操作がなされたか否かを判別する。この面の移動操作を検出すると、制御部12は処理をステップS132に進め、例えば第2のソフトキー27が押圧操作された場合は、この押圧操作に応じて、最前面のコンテンツを後段の面に移動表示制御し、第4のソフトキー28が押圧操作された場合は、この押圧操作に応じて、後段の面のコンテンツを最前面に移動表示制御して、処理をステップS129に進める。これにより、図28(a)に示す静止画像コンテンツの3次元マトリクスの場合、第2のソフトキー27或いは第4のソフトキー28を操作することで、最前面に表示される静止画像コンテンツが、ユーザ単位で切り替わることとなる。
【0355】
次に、このように最前面に表示する面の移動表示制御を行った場合、制御部12は、例えば最前面の左上のコンテンツに対してフォーカスを当てる。このため、最前面に表示する面の移動表示制御を行うことで処理をステップS129に進めると、このこのステップS129において、決定キー29の押圧操作の有無を検出することで、上記最前面の左上のコンテンツに対してフォーカスを当てている状態で、決定キー29の押圧操作がなされたか否かを判別する。そして、決定キー29の押圧操作を検出しなかった場合は処理をステップS125に戻し、決定キー29の押圧操作を検出した場合は処理をステップS130に進め、上述のようにフォーカスを当てているコンテンツに対応するアプリケーションプログラムを起動し、このアプリケーションプログラムに基づいて、該コンテンツの表示や再生等の処理を行う。
【0356】
一方、フォーカスの移動操作(ステップS125)及び面の移動操作(ステップS126)を検出することなく処理をステップS127に進めると、制御部12は、2の数字キー、8の数字キー、4の数字キー及び6の数字キーの操作状態を検出することで、3次元マトリクスの上下左右の回転指示がなされたか否かを判別する。そして、上記各数字キーの操作を検出しない場合、制御部12は、処理をステップS129に進め、上述の決定キーの押圧操作の有無を判別する。
【0357】
これに対して、上記各数字キーの操作を検出した場合、制御部12は、ステップS128に処理を進め、3次元マトリクスの回転表示制御を行う。図30は、この3次元マトリクスの回転表示制御を模式的に示した図である。この図30からわかるように、制御部12は、上記各数字キーの操作に応じて、3次元マトリクスを上下左右に回転表示制御する。上述のように、3次元マトリクス状に表示される各コンテンツは、最前面に表示される各コンテンツは高輝度かつ低い透明度で表示され、後ろの面になるに連れ、徐々に低輝度かつ高い透明度で表示される。このため、後ろの面になるに連れ、各コンテンツを視認しづらくなるおそれがあるが、このように3次元マトリクスを上下左右に回転表示可能とすることで、後ろの面のコンテンツも視認し易くすることができる。
【0358】
最後に、このように3次元マトリクスの回転表示制御を行うと、制御部12は、処理をステップS129に進め、決定キー25の押圧操作を検出した場合はステップS130において、フォーカスを当てているコンテンツに対応するアプリケーションプログラムに基づいて該コンテンツの表示や再生等の処理を行い、決定キー25の押圧操作を検出しなかった場合は処理をステップS125に戻し、上述のフォーカスの移動操作(ステップS125)、面の移動操作(ステップS126)及び回転指示操作(ステップS127)を継続して監視することとなる。」(【0353】?【0358】の記載。)

してみると、引用例1には以下の発明(以下、「引用例1記載の発明」という。)が記載されている。
「各種アプリケーションプログラムや、これら各アプリケーションプログラムで取り扱われる各種データ(コンテンツ)等が記憶されたメモリ11と、携帯電話機全体を制御する制御部12とを有し、
また、下筐体22に操作部6を有しており、操作部6は、上下左右に押圧操作可能な十字キー24と、この十字キーの中央部に設けられた決定キー25と、第1のソフトキー26と、第2のソフトキー27と、第3のソフトキー28と、第4のソフトキー29とを有している携帯電話機に適用することができる、
コンテンツの一覧を3次元的に表示することで、一度に表示する情報量の拡大を図り、所望のコンテンツを迅速に検索することができる情報処理方法であって、
制御部12が、操作部6の操作状態を検出することで、ユーザにより、3次元マトリクス表示の実行が指示されたか否かを判別し、ユーザにより3次元マトリクス表示の実行が指示されたものと認識した場合、フォーカスを当てていたコンテンツと同じ種類の各コンテンツをメモリ11から読み出し、メモリ11から読み出した各コンテンツを、3次元マトリクス状に配列して表示するものであり、
具体的には、静止画像コンテンツにフォーカスを当てている状態で、上述の3次元マトリクス表示の実行の指示を検出した場合、
制御部12は、ユーザにより静止画像コンテンツの3次元マトリクス表示の実行が指示されたものと認識し(=3次元マトリクス表示を行うコンテンツの種類を認識し)、上記フォーカスを当てていた静止画像コンテンツ、上記フォーカスを当てていた静止画像コンテンツと同じ日付の静止画像コンテンツ、及び上記フォーカスを当てていた静止画像コンテンツの日付以前の日付の静止画像コンテンツ(及び/又は上記フォーカスを当てていた静止画像コンテンツの日付以降の日付の静止画像コンテンツ)を、3次元マトリクス状に一度に表示可能な枚数分、メモリ11から読み出し、
次に、メモリ11に記憶されている顔認識プログラムに基づいて、上記読み出した各静止画像コンテンツに写っている人物を抽出し、この抽出した人物の静止画像と、電話帳及び個人情報の登録欄に登録されている各人物の静止画像とを照合し、該各静止画像コンテンツに写っているユーザを特定し、電話帳に登録されている各ユーザのメモリ番号順となるように、各ユーザが写っている静止画像コンテンツを仮想的に並べ替え、
また、メモリ番号順に並べ替えた各ユーザ毎に、各静止画像コンテンツが有する撮影時刻に基づいて、撮影時刻順に仮想的に並べ替え、
さらに、撮影時刻順に並べ替えた各ユーザの静止画像コンテンツを、各静止画像コンテンツの色調に基づいて仮想的に並べ替え、
「撮影時刻」、「色調」及び「静止画像コンテンツに写っている各ユーザ」を軸として並べ替えを行うことで形成した3次元マトリクス状の各静止画像コンテンツを、表示部5に表示制御するものであり、
ユーザは、各キーを操作して、3次元マトリクス状に表示された各コンテンツの中から所望のコンテンツを検索するのであるが、
制御部12は、十字キー24の操作状態を検出することで、フォーカスの移動操作がなされたか否かを判別し、フォーカスの移動操作がなされたものと判別した場合、3次元マトリクスの最前面に表示したフォーカスを十字キー24の操作に応じて移動表示制御し、決定キー29の押圧操作の有無を検出し、決定キー29の押圧操作を検出した場合は、フォーカスを当てているコンテンツに対応するアプリケーションプログラムを起動し、このアプリケーションプログラムに基づいて、該コンテンツの表示や再生等の処理を行い、
次に、フォーカスの移動操作を検出しない場合は、第2のソフトキー27及び第4のソフトキー28の操作状態を検出することで、3次元マトリクスの最前面に表示する面の移動操作がなされたか否かを判別し、この面の移動操作を検出すると、例えば第2のソフトキー27が押圧操作された場合は、この押圧操作に応じて、最前面のコンテンツを後段の面に移動表示制御し、第4のソフトキー28が押圧操作された場合は、この押圧操作に応じて、後段の面のコンテンツを最前面に移動表示制御し、これにより、第2のソフトキー27或いは第4のソフトキー28を操作することで、最前面に表示される静止画像コンテンツが、ユーザ単位で切り替わり、
次に、このように最前面に表示する面の移動表示制御を行った場合、制御部12は、例えば最前面の左上のコンテンツに対してフォーカスを当てる
情報処理方法。」

原査定で引用された本願出願日前に頒布された、特開平8-55004号公報には、(以下、「周知例1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
f)「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、表示画面に対するタッチ操作によって入力処理を行なう電子手帳等の情報機器に適用されるデータ表示装置に関する。」(【0001】の記載。)

g)「【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記表示データのスクロール処理を実行させる際に、1行毎,1画面毎,1データ毎それぞれのスクロール機能を示すアイコンが、別々の領域に設定されていたのでは、あるスクロール機能による表示処理中において、そのスクロール量を切換えて表示したい場合に、それぞれ対応する所望のアイコン領域にタッチし直して処理を切換える必要があり、アイコン操作性が非常に悪い問題がある。
【0006】本発明は、前記のような問題に鑑みてなされたもので、表示画面上の別々の領域に対するタッチ操作のし直しを行なう必要なく、既に表示された基準データに関連するデータ表示を容易に行なうことが可能になるデータ表示装置を提供することを目的とする。」(【0005】?【0006】の記載。)

h)「【0024】図2は前記電子手帳の範囲データ記憶部16における各表示スクロール用アイコンに対応する範囲データの記憶状態を示す図である。ここで、“丸”アイコンa0 はスクロール表示機能を指定するために常時表示される基準アイコンであり、タブレット部13による表示画面の座標検出範囲Xに対応付けられる。
【0025】また、“三角”アイコンa1 は、1行スクロール用アイコンであり、タブレット部13による座標検出範囲Aに対応付けられる。また、“矢印”アイコンa2 は、1画面スクロール用アイコンであり、座標検出範囲Bに対応付けられる。
【0026】また、“丸矢印”アイコンa3 は、1データスクロール用アイコンであり、座標検出範囲Cに対応付けられる。ここで、前記基準アイコンa0 ,1行スクロールアイコンa1 ,1画面スクロールアイコンa2 ,1データスクロールアイコンa3 それぞれの座標検出範囲X,A,B,Cは、例えば液晶表示部12の右上角から下方向へ直列に連続する範囲として設定される。
【0027】次に、前記構成によるデータ表示装置を搭載した電子手帳の動作について説明する。図3は前記電子手帳によるデータ表示処理を示すフローチャートである。
【0028】図4は前記電子手帳のデータ表示処理に伴なうスクロール表示状態を示す図である。例えば液晶表示部12に表示されるモードキー(図示せず)を、タブレット部13を介してタッチ操作することにより、CPU11が個人データ表示モードに設定されると、RAM15に記憶されている個人データがその先頭から読出され、図4(A)に示すように、液晶表示部12にその表示可能範囲(この場合、4行表示)に対応して表示される。
【0029】ここでは、第1個人データ「山田太郎」の表示状態を示している。そして、この液晶表示部12におけるデータ表示状態では、表示画面の範囲Xに対応して、スクロール機能を指定するための基準アイコンa0 が表示される。
【0030】すなわち、前記個人データ表示モードの設定に伴ない、その第1個人データ「山田太郎」がRAM15から読出され液晶表示部12に表示された状態で、該表示データのスクロールを行なうべく、表示画面の右上に表示されている基準アイコンa0 をタッチペンによりタッチ操作すると、タブレット部13を介してそのタッチ位置に対応する座標がCPU11にて読込まれ、範囲データ記憶部16(図2参照)に予め記憶されている基準アイコンa0 の座標検出範囲Xに含まれるか否か判断される(ステップS1→S2,S3)。
【0031】このステップS3において、基準アイコンa0 の領域Xがタッチ操作されたと判断されると、タブレット部13から供給されるタッチ位置検出信号に基づき、前記タッチペンによるタッチ操作が連続的に行なわれていると判断される限り、そのタッチ位置に対応する座標がCPU11にて読込まれる(ステップS3→S4→S5)。
【0032】ここで、ユーザ操作によるタッチペンのタッチ位置が、表示画面上の基準アイコンa0 の位置から下方向に連続的に移動され、CPU11にて読込まれるタッチ位置座標が範囲データ記憶部16(図2参照)に予め記憶されている1行スクロールアイコンa1 の座標検出範囲A内に入ったと判断されると、図4(B)に示すように、該1行スクロールアイコンa1 が前記基準アイコンa0 の下に続く範囲Aに対応して連続的に表示されると共に、既に表示されている個人データ「山田太郎」は1行分スクロールされ、この場合、「山田太郎」に関するデータの2行目以降4行分の個人データが表示される(ステップS6→S7,S8)。
【0033】ここで、前記1行スクロールアイコンa1 に対応する座標範囲Aに対するタッチ操作が継続される状態では、一定時間毎に前記同様の1行スクロール処理が繰返され、前記個人データ「山田太郎」がその3行目以降,4行目以降と順次スクロール表示される(ステップS4→S5,S6→S7,S8)。
【0034】一方、前記図4(B)で示したように、個人データ「山田太郎」が1行分スクロール処理され、その2行目以降の4行データが表示された状態で、ユーザ操作によるタッチペンのタッチ位置が、表示画面上の1行スクロールアイコンa1 の位置から、さらに下方向に連続的に移動され、CPU11にて読込まれるタッチ位置座標が範囲データ記憶部16(図2参照)に予め記憶されている1画面スクロールアイコンa2 の座標検出範囲B内に入ったと判断されると、図4(C)に示すように、該1画面スクロールアイコンa2 が前記基準アイコンa0 及び1行スクロールアイコンa1 の下に続く範囲Bに対応して連続的に表示されると共に、既に2行目以降4行表示されている個人データ「山田太郎」は1画面(4行)分一括スクロールされ、この場合、「山田太郎」に関するデータの会社名以降4行分の個人データが表示される(ステップS9→S10,S11)。
【0035】ここで、前記1画面スクロールアイコンa2 に対応する座標範囲Bに対するタッチ操作が継続される状態では、一定時間毎に前記同様の1画面スクロール処理が繰返され、前記第1個人データ「山田太郎」がその第2画面,第3画面と順次スクロール表示される(ステップS4→S5,S9→S10,S11)。
【0036】一方、前記図4(C)で示したように、個人データ「山田太郎」が1行と1画面分スクロール処理され、その会社名以降の4行データが表示された状態で、ユーザ操作によるタッチペンのタッチ位置が、表示画面上の1画面スクロールアイコンa2 の位置から、さらに下方向に連続的に移動され、CPU11にて読込まれるタッチ位置座標が範囲データ記憶部16(図2参照)に予め記憶されている1データスクロールアイコンa3 の座標検出範囲C内に入ったと判断されると、図4(D)に示すように、該1データスクロールアイコンa3 が前記基準アイコンa0 ,1行スクロールアイコンa1 及び1画面スクロールアイコンa2 の下に続く範囲Cに対応して連続的に表示されると共に、既に表示されている個人データは1データ分一気にスクロールされ、この場合、第2個人データ「山田花子」がその先頭から4行表示される(ステップS12→S13,S14)。」(【0024】?【0036】の記載。)

原査定で引用された本願出願日前に頒布された、特開2009-159492号公報には、(以下、「周知例2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

i)「【0001】
この発明は、表示制御装置,カメラ,表示制御方法,表示制御プログラム、詳しくは記録媒体に記録された画像データに基づく画像を表示部に表示させる表示制御装置と、この表示制御装置を有するカメラと、上記表示制御装置に適用される表示制御方法及びこの表示制御方法をコンピュータに実行させる表示制御プログラムに関するものである。」(【0001】の記載。)

j)「【0071】
つまり、画像送りボタンの「連続押圧」操作をおこなうと、表示部21の表示画面に表示中の画像が所定の時間間隔で連続的に切り換わる制御処理がなされる。また、画像送りボタンの「一回押圧」操作をおこなうと、表示部21の表示画面に表示中の画像が次の順番の画像に切り換わる制御処理がなされる。」(【0071】の記載。)

k)「【0119】
ところで、上述の一実施形態のデジタルカメラにおける画像送り操作をおこないながらの再生モード時の作用においては、使用者が画像送りボタンの押圧操作(連続押圧または一回押圧)を任意におこなうことで、その表示切換指示信号に応じた画像の表示切り換えの制御がおこなわれるようになっている。
【0120】
つまり、使用者は、所望の画像を検索するためには、画像送りボタンの押圧操作の連続押圧操作と一回押圧操作、及び押圧力の加減等の各操作を適宜おこないながら、表示部21に次々に表示される画像と対応する関連情報とを観察し続ける必要がある。
【0121】
そこで、画像送り動作の実行中において、所定の条件となったときには、画像の表示切り換え動作を自動的に一時停止するような制御をおこなえば至便である。このような表示制御を加えた場合の表示例とその作用を、図6を用いて以下に簡単に説明する。
【0122】
図6は、上記一実施形態のデジタルカメラの再生モード動作時における画像送り動作の別の表示制御による表示例を示す図である。この図6においても、図4と同様に画像関連情報の表示条件を連動表示に設定し、かつ画像配列基準を撮影日時とした場合の例を示している。また、図面の煩雑化を避けるために、図6(B),図6(D)?図6(H),図6(J),図6(L)?図6(P)では符号を附するのを省略しているが、各領域を示す符号は図6(A),図6(C),図6(F)等に準ずるものとする。また、図6において点線で示す矢印は、表示変化の途中経過を省略している旨を示すものである。
【0123】
この別の表示制御による場合の動作の流れは、基本的には上述の位置実施形態の場合と略同様である。したがって、その処理シーケンスは、図2,図3のフローチャートを参照するものとし、以下図6に基いて、ここで説明する別の表示制御の場合における再生動作時の画像送り動作の流れの概略を説明する。
【0124】
まず、デジタルカメラ1が上記所定の手順を経て再生モードでの動作処理が開始される(スタート)と、そのスタート時点における表示部21の表示画面は、図6(A)に示すように、表示部21の表示画面21aの表示領域21dに、例えば画像番号1の画像が表示され(図6において画像そのものの図示は省略)、同時に画面左上隅の所定の領域21bには画像番号を示す数字が表示される。この時点においては画像関連情報は非表示の状態である。
【0125】
この状態において、使用者が画像送りボタン22aを押圧すると(符号50)、その指示信号を受けて表示制御部17は、図6(B)に示すように、表示部21の表示画面21aの表示領域21dに、画像番号1の画像に換えて、撮影日時を基準に配列された順番における次の画像である画像番号2の画像に切り換え表示する。この時点でも画像関連情報は非表示の状態のままである。
【0126】
ここで、使用者が画像送りボタン22aの押圧操作を継続している場合には、図6(C)に示すように、表示制御部17の制御によって表示部21の所定の領域21cに対して、現在表示中の画像(画像番号2)に対応する関連情報「2007/8/8」を同画像に重畳させた形態で表示させる。
【0127】
この状態で、さらに使用者による画像送りボタン22aの押圧操作が継続され、連続的に画像の切り換え表示をおこなうよう指示されている場合には、表示中の画像のみを次の画像(画像番号3)に切り換える表示制御が行われる(図6(C)から図6(D)の表示変化)。そして、同様の切り換え表示制御が、図6(E)の表示となるまで繰り返しおこなわれる。
【0128】
図6(E)の表示においては、画像番号20の画像が表示されている状態である。この画像番号20は、表1に示すように撮影日時情報として「2007/8/8」を持つ最後尾の画像である。画像管理部10aは、連続的な画像送り動作の実行中において、表示部21に表示中の画像や次に表示すべき画像について、対応する特定の画像関連情報をも管理検出している。そのために、画像の切換表示がおこなわれる直前の時点で、次の画像で特定の画像関連情報(撮影日時情報)に変化が生じることが検出された場合には、連続的な画像送り動作を一時的に停止する(図6(E))。
【0129】
続けて、図6(F)に示すように、表示部21の画像の表示を維持したまま、画像関連情報を非表示とする制御が実行される。
【0130】
このように、本例では、画像の連続的な切換表示の実行中に、特定の画像関連情報について、一定範囲以上の変化があった場合には、画像の連続的な切り換え表示の実行を停止させる制御がおこなわれる。そして、切り換え表示が停止されたときには、特定の画像関連情報が非表示になり画像のみが表示されるよう制御される。
【0131】
この状態において使用者による画像送りボタン22aの押圧操作が継続されていると、この画像の切換表示の一時停止状態は、所定時間の経過後に解除されて、図6(G)に示すように、次の画像(画像番号21)への切換表示がなされる。さらに、ここで、画像送りボタン22aの押圧操作が継続されていると、続的な画像送り動作が再スタートする。
【0132】
この再スタート時の制御処理は、上述の図6(A)から始まるスタート時の制御処理と同様である。したがって、図6(F)の表示(画像番号20の画像のみ表示)から次の画像(画像番号21の画像のみの表示)への切換表示処理によって図6(G)の表示となった後、図6(H)に示すように、画像番号21の画像に対応する特定の画像関連情報(撮影日時情報)が領域21cにおいて重畳表示される。そして、以後特定の画像関連情報(撮影日時情報)に変化が生じるまで画像のみが切り換え表示され、領域21cの画像関連情報の重畳表示は維持される。
【0133】
そして、図6(J)の表示に切り換わったとき、具体的には撮影日時情報として「2007/8/20」を持つ最後尾の画像(画像番号25)が表示されたとき、連続的な画像送り動作の一時停止制御がなされる。そして、図6(K)に示すように、画像関連情報が非表示になり画像のみが表示される制御がなされる。」(【0119】?【0133】の記載。)

(3)対比
本願補正発明と引用例1記載の発明とを対比する。

ア.引用例1記載の発明は、「「撮影時刻」、「色調」及び「静止画像コンテンツに写っている各ユーザ」を軸として並べ替えを行うことで形成した3次元マトリクス状の各静止画像コンテンツ」を表示するものであり、その各軸は、本願補正発明の「互いに異なる2つ以上の分類基準がそれぞれ適用された2つ以上の軸」に相当する。
また、引用例1記載の発明は「3次元マトリクスの最前面に表示したフォーカスを十字キー24の操作に応じて移動表示制御」するものであり、その「十字キー24の操作」を行うことは、本願補正発明の「互いに異なる2つ以上の分類基準がそれぞれ適用された2つ以上の軸方向のうち1つの軸方向に対応される操作が入力されるステップ」に相当する。

イ.引用例1記載の発明は、「「撮影時刻」、「色調」及び「静止画像コンテンツに写っている各ユーザ」を軸として並べ替えを行うことで形成した3次元マトリクス状の各静止画像コンテンツ」に対して「3次元マトリクスの最前面に表示したフォーカスを十字キー24の操作に応じて移動表示」するものであり、その「十字キー24の操作に応じて」「フォーカスを移動」することは、本願補正発明の「入力された操作の軸方向に適用された分類基準を用いて複数のイメージのうち1つのイメージを探索するステップ」に相当する。

ウ.引用例1記載の発明の「情報処理方法」は、「コンテンツの一覧を3次元的に表示する」ものであり、本願補正発明の「UI提供方法」に相当する。

したがって、両者は以下の一致点と相違点とを有する。

〈一致点〉
「互いに異なる2つ以上の分類基準がそれぞれ適用された2つ以上の軸方向のうち1つの軸方向に対応される操作が入力されるステップと、
前記入力された操作の軸方向に適用された分類基準を用いて複数のイメージのうち1つのイメージを探索するステップと、
を含む、UI提供方法。」

〈相違点〉
本願補正発明は、「前記操作は、ショートストロークタッチ操作又はロングストロークタッチ操作を含み、
前記1つのイメージを探索するステップは、前記入力された操作が前記ショートストロークタッチ操作の場合、以前のイメージ又は次のイメージを探索し、前記入力された操作が前記ロングストロークタッチ操作の場合、以前のカテゴリ又は次のカテゴリのイメージを探索し、
前記1つのイメージを探索するステップは、人物に対応する分類基準を適用してイメージを探索する場合、前記人物に対応する分類基準の適用される軸方向に前記ショートストローク操作が入力されると、現在探索されたイメージに含まれる人物の順に従って次のイメージを探索し、前記人物に対応する分類基準の適用される軸方向に前記ロングストローク操作が入力されると、前記現在探索されたイメージに含まれる人物とは異なる人物が含まれたイメージを探索する」という構成を有するものであるのに対し、引用例1記載の発明は、それに対応する構成を有さない点。

(4)判断
〈相違点についての判断〉
周知例1の上記摘記した箇所には、タッチ操作の移動量(タッチ操作のストローク)に応じて、表示データのスクロール量を変更する技術が記載されている。
しかしながら、周知例1に記載された上記技術は、タッチ操作の移動量に応じて、1つの「個人データ」の表示について、「1行分のスクロール」「1画面分のスクロール」「1データ分のスクロール」に「スクロール量」を変更するものであり、タッチ操作の移動量に応じて、複数のデータのグループ(本願補正発明の「分類基準ごとに区分されるイメージのグループ」を意味する「カテゴリ」に相当する。)単位で表示を移動させることを含むものではない。
よって、周知例1の上記記載事項からは、周知例1に、「入力された操作が前記ショートストロークタッチ操作の場合、以前のイメージ又は次のイメージを探索し、」「入力された操作が前記ロングストロークタッチ操作の場合、以前のカテゴリ又は次のカテゴリのイメージを探索」することが、記載または示唆されているとはいえない。
また、周知例1の上記記載事項からは、周知例1に、「1つのイメージを探索するステップは、人物に対応する分類基準を適用してイメージを探索する場合、前記人物に対応する分類基準の適用される軸方向に前記ショートストローク操作が入力されると、現在探索されたイメージに含まれる人物の順に従って次のイメージを探索し、前記人物に対応する分類基準の適用される軸方向に前記ロングストローク操作が入力されると、前記現在探索されたイメージに含まれる人物とは異なる人物が含まれたイメージを探索する」ことが、記載または示唆されているともいえない。
周知例1には、他に「前記1つのイメージを探索するステップは、前記入力された操作が前記ショートストロークタッチ操作の場合、以前のイメージ又は次のイメージを探索し、前記入力された操作が前記ロングストロークタッチ操作の場合、以前のカテゴリ又は次のカテゴリのイメージを探索し、
前記1つのイメージを探索するステップは、人物に対応する分類基準を適用してイメージを探索する場合、前記人物に対応する分類基準の適用される軸方向に前記ショートストローク操作が入力されると、現在探索されたイメージに含まれる人物の順に従って次のイメージを探索し、前記人物に対応する分類基準の適用される軸方向に前記ロングストローク操作が入力されると、前記現在探索されたイメージに含まれる人物とは異なる人物が含まれたイメージを探索する」ことを示すあるいは示唆する記載はない。

周知例2の上記摘記した箇所には、ボタンの「一回押圧」操作により表示中の画像が次の画像に切り替わり、ボタンの「連続押圧」操作により画像関連情報に変化が生じることが検出されるまで連続的に画像の切り換え表示を行う技術が記載されている。
しかしながら、周知例2に記載された上記技術は、ボタンを押圧操作するものであり、タッチ操作に関するものではない。
また、周知例2に記載された上記技術は、「画像の切換表示がおこなわれる直前の時点で、次の画像で特定の画像関連情報(撮影日時情報)に変化が生じることが検出された場合には、連続的な画像送り動作を一時的に停止する」(【0128】)、すなわち、画像関連情報が変化した画像(次のカテゴリの画像)が表示される前に画像送り動作を停止する技術であるから、表示されるのは、ボタンの「連続押圧」操作を開始した時に表示されていた画像と同じ画像関連情報を有する、切り換え順に最後の画像であり、画像関連情報を「イメージに含まれる人物」といい得る情報としたとしても、「現在探索されたイメージに含まれる人物とは異なる人物が含まれたイメージを探索する」ことが、記載または示唆されているとはいえない。
したがって、周知例2の上記記載事項からは、周知例2に、「前記1つのイメージを探索するステップは、前記入力された操作が前記ショートストロークタッチ操作の場合、以前のイメージ又は次のイメージを探索し、前記入力された操作が前記ロングストロークタッチ操作の場合、以前のカテゴリ又は次のカテゴリのイメージを探索し、
前記1つのイメージを探索するステップは、人物に対応する分類基準を適用してイメージを探索する場合、前記人物に対応する分類基準の適用される軸方向に前記ショートストローク操作が入力されると、現在探索されたイメージに含まれる人物の順に従って次のイメージを探索し、前記人物に対応する分類基準の適用される軸方向に前記ロングストローク操作が入力されると、前記現在探索されたイメージに含まれる人物とは異なる人物が含まれたイメージを探索する」ことが、記載または示唆されいるとはいえない。
周知例2には、他に上記「前記1つのイメージを探索するステップは、前記入力された操作が前記ショートストロークタッチ操作の場合、以前のイメージ又は次のイメージを探索し、前記入力された操作が前記ロングストロークタッチ操作の場合、以前のカテゴリ又は次のカテゴリのイメージを探索し、
前記1つのイメージを探索するステップは、人物に対応する分類基準を適用してイメージを探索する場合、前記人物に対応する分類基準の適用される軸方向に前記ショートストローク操作が入力されると、現在探索されたイメージに含まれる人物の順に従って次のイメージを探索し、前記人物に対応する分類基準の適用される軸方向に前記ロングストローク操作が入力されると、前記現在探索されたイメージに含まれる人物とは異なる人物が含まれたイメージを探索する」ことを示すあるいは示唆する記載はない。

したがって、本願補正発明は、引用例1記載の発明及び上記各周知例に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
よって、本件補正の補正事項1は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合する。

本件補正のその余の補正事項についても、特許法第17条の2第3項ないし第6項の規定に違反するところはない。

3.むすび
以上のとおり本件補正は、特許法第17条の2第3項ないし第6項の規定に適合する。

第3 本願発明
本件補正は上記のとおり、特許法第17条の2第3項ないし第6項の規定に適合するから、本願の請求項1?15に係る発明は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?15に記載された事項により特定されるとおりのものである。
そして、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶するべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2015-12-01 
出願番号 特願2010-154772(P2010-154772)
審決分類 P 1 8・ 575- WY (G06F)
P 1 8・ 121- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 海江田 章裕  
特許庁審判長 小曳 満昭
特許庁審判官 山田 正文
山澤 宏
発明の名称 UI提供方法及びこれを適用したディスプレイ装置  
代理人 伊東 忠彦  
代理人 大貫 進介  
代理人 伊東 忠重  

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