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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G05D
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G05D
管理番号 1308119
審判番号 不服2014-23127  
総通号数 193 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-01-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-11-13 
確定日 2015-11-25 
事件の表示 特願2012-268061「モジュラー式インライン型流体調整装置」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 4月11日出願公開、特開2013- 65344〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2008年(平成20年)8月28日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2007年9月14日、アメリカ合衆国)を国際出願日として出願した特願2010-524913号の一部を平成24年12月7日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成25年10月17日付け:拒絶理由の通知
平成26年 4月15日付け:意見書及び手続補正書の提出
平成26年 7月11日付け:拒絶査定
平成26年11月13日付け:審判請求書及び手続補正書の提出

第2 平成26年11月13日付けの手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成26年11月13日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1 補正の内容
平成26年11月13日付けの手続補正(以下「本件補正」という)は、本願特許請求の範囲を補正するもので、特許請求の範囲の請求項1の記載を、次のとおり補正することを含むものである。(下線部は、補正箇所である。)
(1)本件補正前
「多段式流体調整装置であって、
第1の流体調整装置であって、円筒状に形成された第1の本体、前記第1の本体内に配設される第1の弁組立体、及び前記第1の流体調整装置の出口における第1の調整圧力を設定する第1のバネを有し、前記第1の本体は、
前記第1の弁組立体に流体連通したねじ切られた開口及び該ねじ切られた開口に隣接したキャビティを有する、第1の流体調整装置と、
第2の流体調整装置であって、前記第1の本体のねじ切られた開口に螺合するねじが設けられた外面及び流体の入口を含む第2の本体、前記第1の流体調整装置の前記キャビティに受け入れられる第2の弁組立体を有し、前記第2の弁組立体はプラグに作動可能に結合されたピストン、及び前記ピストンと前記第2の本体との間に配設されて前記第2の流体調整装置の出口通路における第2の調整圧力を設定する第2のバネを有する、第2の流体調整装置と、
を備え、
前記第1の本体のねじが設けられた開口は、前記第2の本体のねじが設けられた外面を受け入れる大きさ及び構成を有し、又は前記第2の本体のねじが設けられた外面にねじ結合して、圧力供給管又は供給ラインを直に結合する、多段式流体調整装置。」
(2)本件補正後
「多段式流体調整装置であって、
第1の流体調整装置であって、円筒状に形成された第1の本体、前記第1の本体内に配設される第1の弁組立体、及び前記第1の流体調整装置の出口における第1の調整圧力を設定する第1のバネを有し、前記第1の本体は、
前記第1の弁組立体に流体連通したねじ切られた開口及び該ねじ切られた開口に隣接したキャビティを有する、第1の流体調整装置と、
第2の流体調整装置であって、前記第1の本体のねじ切られた開口に螺合するねじが設けられた外面及び流体の入口を含む第2の本体、前記第1の流体調整装置の前記キャビティに受け入れられる第2の弁組立体を有し、前記第2の弁組立体はプラグに作動可能に結合されたピストン、及び前記ピストンと前記第2の本体との間に配設されて前記第2の流体調整装置の出口通路における第2の調整圧力を設定する第2のバネを有する、第2の流体調整装置と、
を備え、
前記第1の本体のねじが設けられた開口は、前記第2の本体のねじ結合を受け入れるように構成されて、圧力供給管又は供給ラインを直に結合する多段式流体調整装置。」

2 補正の適否
上記1の本願請求項1についてする補正は、「前記第1の本体のねじが設けられた開口は、前記第2の本体のねじが設けられた外面を受け入れる大きさ及び構成を有し、又は前記第2の本体のねじが設けられた外面にねじ結合して、」という事項から「前記第2の本体のねじが設けられた外面を受け入れる大きさ及び構成を有し、又は」という事項を削除して、さらに、「前記第2の本体のねじが設けられた外面にねじ結合して」という事項を、「前記第2の本体のねじ結合を受け入れるように構成されて」と変更したものである。そして、本件補正前の「前記第1の本体のねじが設けられた開口は、前記第2の本体のねじが設けられた外面にねじ結合して」という事項と、本件補正後の「前記第1の本体のねじが設けられた開口は、前記第2の本体のねじ結合を受け入れるように構成されて」という事項とは、一部表現ぶりが異なるものの、第1の本体の開口と第2の本体とを螺子結合する内容については実質的に変更するものではないから、本件補正は、択一的記載の要素の削除であって、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定)について以下に検討する。

3 引用例およびその記載事項
本願の原出願の優先日前に頒布され、原査定の拒絶の理由に引用された実願昭53-159751号(実開昭55-78205号)のマイクロフィルム(以下「引用例1」という)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。
(ア)
「この考案は生ビール用容器から生ビールを噴出させる圧力媒体として使用する炭酸ガス減圧弁に関する。
一般に、炭酸ガスボンベのバルブからの出圧は60kg/cm^(2)?70kg/cm^(2)あるに対し、生ビール用容器に補給する圧力は1kg/cm^(2)?2kg/cm^(2)であり、その減圧比率は極めて高いものである。
ところが、従来用いられていた減圧弁は、いずれもその減圧を一段階でなす構造のものであったから(省略)
この考案は上記各種の欠点を一挙に解決したもので、減圧を二段階でなし得るようにした生ビール用炭酸ガス減圧弁を提供することを目的としている。」(明細書1ページ15行?3ページ3行)

(イ)
「1は減圧弁本体(以下本体という)、2は中心に小孔3を有する減圧板で、前記本体1の一側に突設したシリンダー4の外端部に螺着されている。5はガス注入管で、その基端5’は前記減圧板2の外面の凹部6に螺着され、その先端にはガスボンベ(図示せず)のバルブに連結するための袋ナット7が遊嵌状に設けられている。」(明細書3ページ6?12行)

(ウ)
「9は調圧弁で、前記シリンダー4の内面にOリング10を介して摺接したピストン11のシヤフト12の端面に埋設したシート弁13と前記減圧板2の小孔3の周囲をリップ状に突設した弁孔14とにより構成され、常態ではピストン11と減圧板2との間に装填したスプリング15により開口している。」(明細書3ページ16行?4ページ2行)

(エ)
「20は前記シリンダー4の内壁に相当する本体1内の隔壁21に設けたガス流路で、本体1の胴部内の中央部に上方に向けて開口した弁孔22に連通している。23は該弁孔22に設けた虫バルブで、該虫バルブ23は第2図示の如くその主部24の中心を軸方向に縦通した細孔25内に遊嵌した作動杆26の頭部をスプリング27に抗して押下げることにより作動杆26と一体の弁体28が主部24の細孔25を開口するようになっている。」(明細書4ページ9?18行)

(オ)
「前記キヤップ30の管状頂部30’に螺合した断面冂状のダイヤル36」(明細書5ページ5?6行)

(カ)
「本体1の下部に設けた穿孔38に螺着したノズル39」(明細書5ページ16?17行)

(キ)
「減圧板2の小孔3を通過した後(一次減圧)」(明細書7ページ11?12行)

(ク)
「前記虫バルブ23を通過後(2次減圧)のガス圧は1?2kg/cm^(2)の範囲で設定される。これはダイヤフラムパッキン29のたわみを調圧バネ35を介して調圧するダイヤル36によって行われる。」(明細書8ページ7?11行)

(ケ)
「調圧弁9がスプリング15に抗してその弁孔14を絞るように作用し、常に虫バルブ23には一定範囲の圧がかゝるようになっている。」(明細書7ページ17?19行)

(コ)
上記摘記事項(キ)の「減圧板2の小孔3を通過した後(一次減圧)」及び(ク)の「前記虫バルブ23を通過後(2次減圧)」から、引用例1に記載された減圧板2、シート弁13、ピストン11、スプリング15は、減圧板2の小孔3を通過することで一次減圧する機能を有するので、「1次減圧装置」を構成するものであると認められ、引用例1に記載された本体1、虫バルブ23、スプリング27は、虫バルブ23を通過することで2次減圧する機能を有するので、「2次減圧装置」を構成するものであると認められる。

(サ)
摘記事項(イ)の「シリンダー4」及び「減圧板2」は、「2は中心に小孔3を有する減圧板で、前記本体1の一側に突設したシリンダー4の外端部に螺着されている」との記載及び第1図の記載からみて、「シリンダー4に螺着する外面及びガスの入口を含む減圧板2」という関係を有していることが読み取れる。

(シ)
第1図の記載からみて、本体1のうちシリンダー4の内部に形成される凹部がキャビティと認められる。

(ス)摘記事項(ク)及び摘記事項(コ)から、「2次減圧装置の出口における2次減圧を設定する調圧バネ35」が認められる。

上記摘記事項(ア)?(ケ),上記認定事項(コ)?(ス)及び当業者の技術常識によれば、上記引用例1には、
「生ビール用炭酸ガス減圧弁であって、
2次減圧装置であって、本体1、前記本体1内に配設される虫バルブ23、及び前記2次減圧装置の出口における2次減圧を設定する調圧バネ35を有し、前記本体1は、
前記虫バルブ23に流体連通したシリンダー4に隣接したキャビティを有する、2次減圧装置と、
1次減圧装置であって、前記本体1のシリンダー4に螺着する外面及びガスの入口を含む減圧板2、前記2次減圧装置の前記キャビティに受け入れられる調圧弁9を有し、前記調圧弁9はシート弁13に作動可能に結合されたピストン11、及び前記ピストン11と前記減圧板2との間に配設されて前記1次減圧装置の出口通路における一次減圧を設定するスプリング15を有する、1次減圧装置と、
を備え、
前記シリンダー4は前記減圧板2と螺着して、ガス注入管を直に結合する生ビール用炭酸ガス減圧弁」の発明(以下「引用発明」という)が記載されていると認められる。

4 対比
本願補正発明と引用発明とを比較すると、その機能及び作用からみて、引用発明の「本体1」、「虫バルブ23」、「2次減圧」、「調圧バネ35」、「減圧板2」、「調圧弁9」、「一次減圧」、「第2のバネ」「1次減圧装置」「2次減圧装置」「ガス注入管」「ガス」は、それぞれ、本願補正発明の「第1の本体」、「第1の弁組立体」、「第1の調整圧力」、「第1のバネ」、「第2の本体」、「第2の弁組立体」、「第2の調整圧力」、「スプリング15」「第2の流体調整装置」「第1の流体調整装置」「圧力供給管」「流体」に相当する。
また、引用発明の「シート弁13」には、技術常識からみて、当然「プラグ」が設けられているものである。
引用発明の「シリンダー4」と「減圧板2」の「螺着」については、引用例1には、どのような態様で螺着されているかを説明する直接的な記載はない。しかし、摘記事項(イ)の「2は中心に小孔3を有する減圧板で、前記本体1の一側に突設したシリンダー4の外端部に螺着されている」との記載を基に引用文献1の第1図を参照すると、減圧板2の左側端部の外周とシリンダー4の開口側端部の内周の間は細長い平行線として示されており、このような円筒・円柱形の二部材の内壁・外壁に沿った細長い平行線は、機械製図の断面図では一般的にねじ結合のねじ部分を表現するものであり、摘記事項(イ)の「螺着されている」ことの説明にも合致する。また同様の細長い平行線は、第1図における「ノズル39」と「穿孔38」との間や、「ダイヤル36」と「キャップ30の管状頂部30’」との間にも設けられており、摘記事項(オ)及び(カ)を参酌すると、この平行線は、「螺合」又は「螺着」を表現していると認められ、図示されていないネジ等で2部材を固定する構成とは認められない。そうすると、引用発明の「シリンダー4」は「ねじ切られた開口」を備えており、引用発明の「減圧板2」は、「ねじが設けられた外面」を備えており、引用発明が「前記本体1のねじが設けられた開口は、前記減圧板2のねじ結合を受け入れるように構成されて、」いると解するのが相当である。
さらに、引用発明の「生ビール用炭酸ガス減圧弁」は、本願補正発明の「多段式流体調整装置」と、「二段式のガス減圧装置」という点において共通する。
そうすると、両者は、
「二段式のガス減圧装置であって、
第1の流体調整装置であって、第1の本体、前記第1の本体内に配設される第1の弁組立体、及び前記第1の流体調整装置の出口における第1の調整圧力を設定する第1のバネを有し、前記第1の本体は、
前記第1の弁組立体に流体連通したねじ切られた開口及び該ねじ切られた開口に隣接したキャビティを有する、第1の流体調整装置と、
第2の流体調整装置であって、前記第1の本体のねじ切られた開口に螺合するねじが設けられた外面及び流体の入口を含む第2の本体、前記第1の流体調整装置の前記キャビティに受け入れられる第2の弁組立体を有し、前記第2の弁組立体はプラグに作動可能に結合されたピストン、及び前記ピストンと前記第2の本体との間に配設されて前記第2の流体調整装置の出口通路における第2の調整圧力を設定する第2のバネを有する、第2の流体調整装置と、
を備え、
前記第1の本体のねじが設けられた開口は、前記第2の本体のねじ結合を受け入れるように構成されて、圧力供給管を直に結合する二段式のガス減圧装置」である点で一致し、以下で相違している。

[相違点1] 二段式のガス減圧装置について、本願補正発明は、「多段式流体調整装置」であるのに対し、引用発明では、「生ビール用炭酸ガス減圧弁」である点。
[相違点2] 第1の本体について、本願補正発明では「円筒状に形成された」ものであるのに対し、引用発明では形状は不明である点。

5 判断
上記相違点1について、本願補正発明の「多段式流体調整装置」は、本願明細書の段落【0002】の、「プロセス調整システムは、プロセスパラメータを制御するために様々な現場の装置を利用する。一般に、流体調整装置が、様々な流体(例えば、液体やガスなど)の圧力を調整するためにプロセス制御システムの至るところに配置されている。」との記載を参酌すると、一般的なプロセス調整システムに使用するものであり、気体に限らず様々な流体(例えば、液体やガスなど)の圧力を調整するためのものであることが理解できる。
一方、引用発明は、2段に圧力を調整しているが、生ビール用炭酸ガスの減圧用であり、利用分野が特定されている点で一応異なっている。
しかし、引用発明の1次減圧装置と2次減圧装置をねじ結合するという技術思想を生ビールの炭酸ガスの減圧弁の利用分野に特定せず一般的なプロセス調整システムに用いることを妨げる事情があるものとも解されない。
よって、引用発明において、対象となる「減圧弁」について、多段式流体調整装置として採用し、上記相違点1に係る構成とすることは、当業者ならば容易に想到し得たことであり、格別の顕著性はない。
上記相違点2については、減圧弁のような圧力容器の形状を、容器の強度を考慮して、内部の圧力が均等に働く円筒状に形成することは、特に例を挙げるまでもなく従来周知の事項に過ぎない。そして、引用発明の本体1について、従来周知の事項を適用して円筒状に形成することは、当業者であれば容易になし得る程度の設計的事項である。

そして、本願補正発明の効果も、引用発明から当業者が予測しうる範囲内のものであって、格別なものとはいえない。
したがって、本願補正発明は、引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

6 むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法17条の2第6項で準用する同法126条7項の規定に適合しないので、同法159条1項で準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記[補正の却下の決定の結論]のとおり、決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
平成26年11月13日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?8に係る発明は、平成26年4月15日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?8に記載された事項により特定されたものであると認められ、その特許請求の範囲の請求項1に記載された発明は、上記第2の1(1)で示したとおりのものである。(以下「本願発明」という)

2 引用例1
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用例1の記載事項は、前記第2の3に示したとおりである。

3 判断
本願発明は、本願補正発明に対し、択一的記載の要素を付加して、「前記第2の本体のねじが設けられた外面を受け入れる大きさ及び構成を有し、又は前記第2の本体のねじが設けられた外面にねじ結合して、圧力供給管又は供給ラインを直に結合する」としたものである。
そうすると、択一的記載の要素の1つを発明特定事項とした本願補正発明が、前記第2の5に記載したとおり、引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。したがって、本願の他の請求項に係る発明を検討するまでもなく、本願は、拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-06-23 
結審通知日 2015-06-30 
審決日 2015-07-14 
出願番号 特願2012-268061(P2012-268061)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G05D)
P 1 8・ 575- Z (G05D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 稲垣 浩司  
特許庁審判長 栗田 雅弘
特許庁審判官 三澤 哲也
渡邊 真
発明の名称 モジュラー式インライン型流体調整装置  
代理人 特許業務法人 有古特許事務所  
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