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審決分類 審判 査定不服 特17 条の2 、4 項補正目的 特許、登録しない。 A61K
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 A61K
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61K
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 A61K
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 A61K
管理番号 1308204
審判番号 不服2013-24699  
総通号数 193 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-01-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-12-16 
確定日 2015-12-02 
事件の表示 特願2010-233467「薬剤組成物の製造のための水性眼科用組成物の使用,及び水性眼科用組成物」拒絶査定不服審判事件〔平成23年2月24日出願公開,特開2011-37891〕について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,2003年9月29日(パリ条約による優先権主張 2002年9月30日 米国)を国際出願日とする特願2004-539362号の一部を,「特許法第44条第1項の規定による特許出願」(いわゆる分割出願)であるとして,平成22年10月18日に新たな特許出願としたものであって,平成24年12月3日付けの拒絶理由通知に対してその指定期間内の平成25年3月13日付けで手続補正書が提出され,その後同年10月11日付けで拒絶査定がなされたのに対して,同年12月16日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに同日付けの手続補正書が提出されたものである。

第2 平成25年12月16日付け手続補正についての補正の却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成25年12月16日付けの手続補正を却下する。
[理由]
1.手続補正の内容
平成25年12月16日付け手続補正(以下,「本件補正」という。)は特許請求の範囲を補正するものであって,当該補正の前後の特許請求の範囲の記載は次のとおりのものである。
<補正前(平成25年3月13日付け手続補正書)の特許請求の範囲>
「【請求項1】
眼疾患,眼の損傷,及び損害の治療に有用な薬剤組成物の製造のための水性眼科用組成物の使用であって,
該水性眼科用組成物が,N-アセチルカルノシン,カルシニン,アンセリン,ホモカルノシン,オフィジン,N-アセチルカルシニン,N-アセチルアンセリン,N-アセチルホモカルノシン,N-アセチルオフィジン,そのアシル誘導体,およびそれらの混合物からなるグループから選択されるN-アセチルカルノシン誘導体,またはその薬理的に許容される塩類と,眼房水内でのL-カルノシン,または,N-アセチルカルノシン誘導体の放出を効果的に増加させる量のカルボキシメチルセルロース,ヒドロキシエチルセルロース,ヒドロキシプロピルメチルセルロース,他のセルロース関連多糖類,その薬理的に許容される塩類,増粘特性を有するセルロース化合物の類似物乃至誘導体,それらの混合物,カルボキシポリメチレン,またはポリビニルピロリドンから選択される化合物との組み合わせを含有し,
前記N-アセチルカルノシン,またはN-アセチルカルノシンの薬理的に許容される塩類の含有量が,前記薬剤組成物における有効な量として,前記水性眼科用組成物全量に対して0.5?2.0重量%であり,
薬剤製造技術の主な通常の工程,手順,及び技術的手段を含む薬剤形成方法を適応性のために製造に含み,
L-カルノシンまたはN-アセチルカルノシン誘導体の哺乳類の眼房水内での眼内吸収が高くなるとき,前記水性眼科用組成物が,眼疾患に対して非常に高い治療的効果を有し,
ジペプチドL-カルノシンまたはN-アセチルカルノシン誘導体の眼房水内での眼内吸収が,N-アセチルカルノシン,カルシニン,アンセリン,ホモカルノシン,オフィジン,N-アセチルカルシニン,N-アセチルアンセリン,N-アセチルホモカルノシン,N-アセチルオフィジン,そのアシル誘導体,およびそれらの混合物からなるグループから選択されるN-アセチルカルノシン誘導体,またはその薬理的に許容される塩類と,カルボキシメチルセルロース,ヒドロキシエチルセルロース,ヒドロキシプロピルメチルセルロース,他のセルロース化合物関連多糖類,その薬理的に許容される塩類,増粘特性を有するセルロース化合物の類似物乃至誘導体,それらの混合物,カルボキシポリメチレン,またはポリビニルピロリドンから選択される,有効量の眼科用セルロース化合物との組み合わせを含有する前記水性眼科用組成物の存在下での角膜及び結膜組織内のカルノシナーゼ作用の抑制により高くなることを特徴とする使用。
(【請求項2】?【請求項13】省略)
【請求項14】
水性眼科用組成物が,Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチドを含有する請求項1に記載の使用。
【請求項15】
ペプチドが,N-アセチル-Arg-Gly-Asp-Serペプチド(N-アセチル-RGDSペプチド)である請求項14に記載の使用。
(【請求項16】?【請求項25】省略)
【請求項26】
哺乳類が,ヒト,イヌ,ネコ,ウサギ,及びウマから選択される請求項1に記載の使用。
【請求項27】
眼疾患,眼の損傷,及び損害の治療に有用な薬剤組成物の製造のための水性眼科用組成物の使用であって,
該水性眼科用組成物が,Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチド,Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチドの誘導体,Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチドの薬理的に許容される塩類もしくは模倣,または前記塩類もしくは模倣の誘導体と,眼房水内でのArg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチド,Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチドの誘導体,Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチドの薬理的に許容される塩類もしくは模倣,または前記塩類もしくは模倣の誘導体の放出を効果的に増加させる量のカルボキシメチルセルロース,ヒドロキシエチルセルロース,ヒドロキシプロピルメチルセルロース,他のセルロース関連多糖類,その薬理的に許容される塩類,増粘特性を有するセルロース化合物の類似物乃至誘導体,それらの混合物,カルボキシポリメチレン,またはポリビニルピロリドンから選択される化合物との組み合わせを含有し,
Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチド,Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチドの誘導体,またはArg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチドの薬理的に許容される塩類の含有量が,前記薬剤組成物における有効な量として,前記水性眼科用組成物全量に対して0.05?0.5重量%であり,
薬剤製造技術の主な通常の工程,手順,及び技術的手段を含む薬剤形成方法を適応性のために製造に含み,
前記Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチド,Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチドの誘導体,Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチドの薬理的に許容される塩類もしくは模倣,または前記塩類もしくは模倣の誘導体の眼房水内での眼内吸収が高いときに,前記水性眼科用組成物が,眼疾患に対して非常に高い治療的効果を有し,
Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチド,Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチド誘導体,Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチドの薬理的に許容される塩類もしくは模倣,または前記塩類もしくは模倣の誘導体の眼房水内での眼内吸収が,Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチド,Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチドの誘導体,Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチドの薬理的に許容される塩類もしくは模倣,または前記塩類もしくは模倣の誘導体と,カルボキシメチルセルロース,ヒドロキシエチルセルロース,ヒドロキシプロピルメチルセルロース,他のセルロース化合物関連多糖類,その薬理的に許容される塩類,増粘特性を有するセルロース化合物の類似物乃至誘導体,それらの混合物,カルボキシポリメチレン,またはポリビニルピロリドンから選択される,有効量の眼科用セルロース化合物との組み合わせを含有する前記水性眼科用組成物の存在下での角膜及び結膜組織内のペプチダーゼ作用の抑制により高くなることを特徴とする使用。
【請求項28】
眼疾患,眼の損傷,及び損害の治療に有用な薬剤組成物の製造のための水性眼科用組成物の使用であって,
該水性眼科用組成物が,Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチド,Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチドの誘導体,Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチドの薬理的に許容される塩類もしくは模倣,または前記塩類もしくは模倣の誘導体と,眼房水内でのArg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチド,Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチドの誘導体,Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチドの薬理的に許容される塩類もしくは模倣,または前記塩類もしくは模倣の誘導体の放出を効果的に増加させる量のカルボキシメチルセルロース,ヒドロキシエチルセルロース,ヒドロキシプロピルメチルセルロース,他のセルロース関連多糖類,その薬理的に許容される塩類,増粘特性を有するセルロース化合物の類似物乃至誘導体,それらの混合物,カルボキシポリメチレン,またはポリビニルピロリドンから選択される化合物との組み合わせを含有し,
Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチド,Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチドの誘導体,またはArg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチドの薬理的に許容される塩類の含有量が,前記薬剤組成物における有効な量として,前記水性眼科用組成物全量に対して0.05?0.25重量%であり,
薬剤製造技術の主な通常の工程,手順,及び技術的手段を含む薬剤形成方法を適応性のために製造に含み,
前記Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチド,Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチドの誘導体,Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチドの薬理的に許容される塩類もしくは模倣,または前記塩類もしくは模倣の誘導体の眼房水内での眼内吸収が高いとき,房水の増加,及び眼の小柱構造の規則的配列の損失,小柱の内皮細胞の全体的損失の減少によって,時間とともに眼圧が減少するときに,前記水性眼科用組成物が,眼疾患に対して非常に高い治療的効果を有し,
Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチド,Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチドの誘導体,Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチドの薬理的に許容される塩類もしくは模倣,または前記塩類もしくは模倣の誘導体の眼房水内での眼内吸収が,Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチド,Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチドの誘導体,Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチドの薬理的に許容される塩類もしくは模倣,または前記塩類もしくは模倣の誘導体と,カルボキシメチルセルロース,ヒドロキシエチルセルロース,ヒドロキシプロピルメチルセルロース,他のセルロース化合物関連多糖類,その薬理的に許容される塩類,増粘特性を有するセルロース化合物の類似物乃至誘導体,それらの混合物,カルボキシポリメチレン,またはポリビニルピロリドンから選択される,有効量の眼科用セルロース化合物との組み合わせを含有する前記水性眼科用組成物の存在下での角膜及び結膜組織内のペプチダーゼ作用の抑制により増加することを特徴とする使用。
【請求項29】
Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチドの含有量が,水性眼科用組成物全量に対して0.05?0.5重量%未満である請求項27に記載の使用。
【請求項30】
Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチドの含有量が,水性眼科用組成物全量に対して0.05?0.25重量%である請求項27に記載の使用。
【請求項31】
Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチドの含有量が,水性眼科用組成物全量に対して0.05?0.1重量%である請求項27に記載の使用。
【請求項32】
水性眼科用組成物が,さらに,β-アドレナリン受容遮断作用を有する化合物を含有する請求項27から28のいずれかに記載の使用。
【請求項33】
水性眼科用組成物が,さらに,β-及びα-アドレナリン受容遮断作用を有する化合物を含有する請求項27から28のいずれかに記載の使用。
【請求項34】
β-及びα-アドレナリン受容遮断作用を有する化合物が,3-メチル-5-[2-(3-t-ブチルアミノ-2-ハイドロキシプロポキシ-フェノキシメチル)]-1,2,4-オキサジアゾール塩酸塩である請求項33に記載の使用。
【請求項35】
眼疾患が,緑内障である請求項27から28のいずれかに記載の使用。
【請求項36】
水性眼科用組成物が,下記処方7を含む請求項28に記載の使用。
処方7
脱イオン水 970 グラム
グリセリン,1.0% 13 グラム
N-アセチル-RGDS,0.05% 0.5グラム
カルボキシメチルセルロース,0.3% 3 グラム
ベンジルアルコール, 0.3% 3 グラム
ホウ酸カリウム 7.9グラム
重炭酸カリウム 3.4グラム
1,000.8グラム
【請求項37】
N-アセチルカルノシン,カルシニン,アンセリン,ホモカルノシン,オフィジン,N-アセチルカルシニン,N-アセチルアンセリン,N-アセチルホモカルノシン,N-アセチルオフィジン,そのアシル誘導体,およびそれらの混合物からなるグループから選択されるN-アセチルカルノシン誘導体,またはその薬理的に許容される塩類と,水性眼科用組成物を眼へ投与されている生体によりN-アセチルカルノシン,L-カルノシンまたはN-アセチルカルノシン誘導体の眼内吸収を高めるのに有効な量のカルボキシメチルセルロース,または,カルボキシメチルセルロースの薬理的に許容される塩類と,ベンジルアルコール,またはN-アセチルカルノシンが角膜を通じて眼房水内へと通過する間に,N-アセチルカルノシンからカルノシンへの生体内変換を妨げない他の防腐薬との組み合わせを含有し,
前記N-アセチルカルノシンの含有量が,前記水性眼科用組成物全量に対して0.5?2.0重量%であることを特徴とする水性眼科用組成物。
【請求項38】
カルボキシメチルセルロースの含有量が,0.1?0.5重量%である請求項37に記載の水性眼科用組成物。
【請求項39】
カルボキシメチルセルロースの薬理的に許容される塩類が,カルボキシメチルセルロースナトリウム塩であって,該カルボキシメチルセルロースナトリウム塩の含有量が0.2?0.4重量%である請求項37に記載の水性眼科用組成物。
【請求項40】
水性眼科用組成物が,さらに,β-及びα-アドレナリン受容遮断作用を有する化合物を含有する請求項37に記載の水性眼科用組成物。
【請求項41】
β-及びα-アドレナリン受容遮断作用を有する化合物が,3-メチル-5-[2-(3-t-ブチルアミノ-2-ハイドロキシプロポキシ-フェノキシメチル)]-1,2,4-オキサジアゾール塩酸塩である請求項40に記載の水性眼科用組成物。
【請求項42】
水性眼科用組成物が,さらに,ラクトフェリンまたはアルブミン,或いは,その両方を含有する請求項37に記載の水性眼科用組成物。
【請求項43】
水性眼科用組成物が,さらに,Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチドを含有する請求項37に記載の水性眼科用組成物。
【請求項44】
ペプチドが,N-アセチル-Arg-Gly-Asp-Serペプチド(N-アセチル-RGDSペプチド)である請求項43に記載の水性眼科用組成物。
(【請求項45】?【請求項50】省略)」

<補正後(平成25年12月16日付け手続補正書)の特許請求の範囲>
「【請求項1】
眼疾患,眼の損傷,及び損害の治療に有用な薬剤組成物の製造のための水性眼科用組成物の使用であって,
該水性眼科用組成物が,N-アセチルカルノシン,カルシニン,アンセリン,ホモカルノシン,オフィジン,N-アセチルカルシニン,N-アセチルアンセリン,N-アセチルホモカルノシン,N-アセチルオフィジン,そのアシル誘導体,およびそれらの混合物からなるグループから選択されるN-アセチルカルノシン誘導体,またはその薬理的に許容される塩類と,眼房水内でのL-カルノシン,または,N-アセチルカルノシン誘導体の放出を効果的に増加させる量のカルボキシメチルセルロース,ヒドロキシエチルセルロース,ヒドロキシプロピルメチルセルロース,他のセルロース関連多糖類,その薬理的に許容される塩類,増粘特性を有するセルロース化合物の類似物乃至誘導体,それらの混合物,カルボキシポリメチレン,またはポリビニルピロリドンから選択される化合物との組み合わせを含有し,
前記N-アセチルカルノシン,またはN-アセチルカルノシンの薬理的に許容される塩類の含有量が,前記薬剤組成物における有効な量として,前記水性眼科用組成物全量に対して0.5?2.0重量%であり,
薬剤製造技術の主な通常の工程,手順,及び技術的手段を含む薬剤形成方法を適応性のために製造に含み,
L-カルノシンまたはN-アセチルカルノシン誘導体の哺乳類の眼房水内での眼内吸収が高くなるとき,前記水性眼科用組成物が,眼疾患に対して非常に高い治療的効果を有し,
ジペプチドL-カルノシンまたはN-アセチルカルノシン誘導体の眼房水内での眼内吸収が,N-アセチルカルノシン,カルシニン,アンセリン,ホモカルノシン,オフィジン,N-アセチルカルシニン,N-アセチルアンセリン,N-アセチルホモカルノシン,N-アセチルオフィジン,そのアシル誘導体,およびそれらの混合物からなるグループから選択されるN-アセチルカルノシン誘導体,またはその薬理的に許容される塩類と,カルボキシメチルセルロース,ヒドロキシエチルセルロース,ヒドロキシプロピルメチルセルロース,他のセルロース化合物関連多糖類,その薬理的に許容される塩類,増粘特性を有するセルロース化合物の類似物乃至誘導体,それらの混合物,カルボキシポリメチレン,またはポリビニルピロリドンから選択される,有効量の眼科用セルロース化合物との組み合わせを含有する前記水性眼科用組成物の存在下での角膜及び結膜組織内のカルノシナーゼ作用の抑制により高くなることを特徴とする使用。
(【請求項2】?【請求項13】省略)
【請求項14】
水性眼科用組成物が,Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチドを含有する請求項1に記載の使用。
【請求項15】
水性眼科用組成物が,眼疾患,病変および傷害を治療するのに有用であり,
水性眼科用組成物が,Arg-Gly-Asp,Arg-Gly-Aspの誘導体,Arg-Gly-Asp又はArg-Gly-Aspの誘導体の薬学的に許容される塩,又は増粘特性のために主に使用される局所用医薬製剤中のペプチド模倣物からなるものの内,少なくとも1つを含み,房水内,又は前記組成物が塗布された組織において,ペプチドを効果的に増加させる量のカルボキシメチルセルロース,ヒドロキシエチルセルロース,ヒドロキシプロピルメチルセルロース,他のセルロース関連多糖類,その薬理的に許容される塩類,それらの混合物,カルボキシポリメチレン,またはポリビニルピロリドンから選択される化合物との組み合わせを含有し,前記ペプチドがN-アセチルArg-Gly-Asp-Ser,又はその誘導体であり,前記Arg-Gly-Asp,Arg-Gly-Aspの誘導体,Arg-Gly-Asp又はArg-Gly-Aspの誘導体の薬学的に許容される塩,又は増粘特性のために主に使用される局所用医薬製剤中のペプチド模倣物が,原発性開放隅角緑内障および高眼圧症の治療のための慢性局所眼内投与において効果的に眼圧を低減する眼科用組成物において,最適な有効濃度で投与される請求項14に記載の使用。
【請求項16】
ペプチドが,N-アセチル-Arg-Gly-Asp-Serペプチド(N-アセチル-RGDSペプチド)である請求項14に記載の使用。
(【請求項17】?【請求項26】省略)
【請求項27】
哺乳類が,ヒト,イヌ,ネコ,ウサギ,及びウマから選択される請求項1に記載の使用。
【請求項28】
眼疾患,眼の損傷,及び損害の治療に有用な薬剤組成物の製造のための水性眼科用組成物の使用であって,
該水性眼科用組成物が,Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチド,Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチドの誘導体,Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチドの薬理的に許容される塩類もしくは模倣,または前記塩類もしくは模倣の誘導体と,眼房水内でのArg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチド,Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチドの誘導体,Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチドの薬理的に許容される塩類もしくは模倣,または前記塩類もしくは模倣の誘導体の放出を効果的に増加させる量のカルボキシメチルセルロース,ヒドロキシエチルセルロース,ヒドロキシプロピルメチルセルロース,他のセルロース関連多糖類,その薬理的に許容される塩類,増粘特性を有するセルロース化合物の類似物乃至誘導体,それらの混合物,カルボキシポリメチレン,またはポリビニルピロリドンから選択される化合物との組み合わせを含有し,
Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチド,Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチドの誘導体,またはArg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチドの薬理的に許容される塩類の含有量が,前記薬剤組成物における有効な量として,前記水性眼科用組成物全量に対して0.05?0.5重量%であり,
薬剤製造技術の主な通常の工程,手順,及び技術的手段を含む薬剤形成方法を適応性のために製造に含み,
前記Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチド,Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチドの誘導体,Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチドの薬理的に許容される塩類もしくは模倣,または前記塩類もしくは模倣の誘導体の眼房水内での眼内吸収が高いときに,前記水性眼科用組成物が,眼疾患に対して非常に高い治療的効果を有し,
Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチド,Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチド誘導体,Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチドの薬理的に許容される塩類もしくは模倣,または前記塩類もしくは模倣の誘導体の眼房水内での眼内吸収が,Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチド,Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチドの誘導体,Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチドの薬理的に許容される塩類もしくは模倣,または前記塩類もしくは模倣の誘導体と,カルボキシメチルセルロース,ヒドロキシエチルセルロース,ヒドロキシプロピルメチルセルロース,他のセルロース化合物関連多糖類,その薬理的に許容される塩類,増粘特性を有するセルロース化合物の類似物乃至誘導体,それらの混合物,カルボキシポリメチレン,またはポリビニルピロリドンから選択される,有効量の眼科用セルロース化合物との組み合わせを含有する前記水性眼科用組成物の存在下での角膜及び結膜組織内のペプチダーゼ作用の抑制により高くなることを特徴とする使用。
【請求項29】
眼疾患,眼の損傷,及び損害の治療に有用な薬剤組成物の製造のための水性眼科用組成物の使用であって,
該水性眼科用組成物が,Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチド,Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチドの誘導体,Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチドの薬理的に許容される塩類もしくは模倣,または前記塩類もしくは模倣の誘導体と,眼房水内でのArg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチド,Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチドの誘導体,Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチドの薬理的に許容される塩類もしくは模倣,または前記塩類もしくは模倣の誘導体の放出を効果的に増加させる量のカルボキシメチルセルロース,ヒドロキシエチルセルロース,ヒドロキシプロピルメチルセルロース,他のセルロース関連多糖類,その薬理的に許容される塩類,増粘特性を有するセルロース化合物の類似物乃至誘導体,それらの混合物,カルボキシポリメチレン,またはポリビニルピロリドンから選択される化合物との組み合わせを含有し,
Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチド,Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチドの誘導体,またはArg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチドの薬理的に許容される塩類の含有量が,前記薬剤組成物における有効な量として,前記水性眼科用組成物全量に対して0.05?0.25重量%であり,
薬剤製造技術の主な通常の工程,手順,及び技術的手段を含む薬剤形成方法を適応性のために製造に含み,
前記Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチド,Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチドの誘導体,Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチドの薬理的に許容される塩類もしくは模倣,または前記塩類もしくは模倣の誘導体の眼房水内での眼内吸収が高いとき,房水の増加,及び眼の小柱構造の規則的配列の損失,小柱の内皮細胞の全体的損失の減少によって,原発開放隅角緑内障又は,高眼圧症の目において眼圧が減少するときに,前記水性眼科用組成物が,眼疾患に対して非常に高い治療的効果を有し,
Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチド,Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチドの誘導体,Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチドの薬理的に許容される塩類もしくは模倣,または前記塩類もしくは模倣の誘導体の眼房水内での眼内吸収が,Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチド,Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチドの誘導体,Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチドの薬理的に許容される塩類もしくは模倣,または前記塩類もしくは模倣の誘導体と,カルボキシメチルセルロース,ヒドロキシエチルセルロース,ヒドロキシプロピルメチルセルロース,他のセルロース化合物関連多糖類,その薬理的に許容される塩類,増粘特性を有するセルロース化合物の類似物乃至誘導体,それらの混合物,カルボキシポリメチレン,またはポリビニルピロリドンから選択される,有効量の眼科用セルロース化合物との組み合わせを含有する前記水性眼科用組成物の存在下での角膜及び結膜組織内のペプチダーゼ作用の抑制により増加することを特徴とする使用。
【請求項30】
Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチドの含有量が,水性眼科用組成物全量に対して0.05?0.5重量%である請求項28に記載の使用。
【請求項31】
Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチドの含有量が,水性眼科用組成物全量に対して0.05?0.25重量%である請求項28に記載の使用。
【請求項32】
Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチドの含有量が,水性眼科用組成物全量に対して0.05?0.1重量%である請求項28に記載の使用。
【請求項33】
水性眼科用組成物が,さらに,β-アドレナリン受容遮断作用を有する化合物を含有する請求項28から29のいずれかに記載の使用。
【請求項34】
水性眼科用組成物が,さらに,少なくともβ-遮断作用,α-アドレナリン活性,またはβ-及びα-アドレナリン受容遮断作用を有する化合物を含有する請求項28から29のいずれかに記載の使用。
【請求項35】
水性眼科用組成物が,少なくともβ-遮断作用,α-アドレナリン活性,またはβ-及びα-アドレナリン受容遮断作用を有する化合物と組み合わされる請求項28から29のいずれかに記載の使用。
【請求項36】
β-及びα-アドレナリン受容遮断作用を有する化合物が,3-メチル-5-[2-(3-t-ブチルアミノ-2-ハイドロキシプロポキシ-フェノキシメチル)]-1,2,4-オキサジアゾール塩酸塩である請求項34に記載の使用。
【請求項37】
眼疾患が,緑内障である請求項28から29のいずれかに記載の使用。
【請求項38】
水性眼科用組成物が,下記処方7を含む請求項29に記載の使用。
処方7
脱イオン水 970 グラム
グリセリン,1.0% 13 グラム
N-アセチル-RGDS,0.05% 0.5グラム
カルボキシメチルセルロース,0.3% 3 グラム
ベンジルアルコール, 0.3% 3 グラム
ホウ酸カリウム 7.9グラム
重炭酸カリウム 3.4グラム
1,000.8グラム
【請求項39】
N-アセチルカルノシン,カルシニン,アンセリン,ホモカルノシン,オフィジン,N-アセチルカルシニン,N-アセチルアンセリン,N-アセチルホモカルノシン,N-アセチルオフィジン,そのアシル誘導体,およびそれらの混合物からなるグループから選択されるN-アセチルカルノシン誘導体,またはその薬理的に許容される塩類と,水性眼科用組成物を眼へ投与されている生体によりN-アセチルカルノシン,L-カルノシンまたはN-アセチルカルノシン誘導体の眼内吸収を高めるのに有効な量のカルボキシメチルセルロース,または,カルボキシメチルセルロースの薬理的に許容される塩類と,ベンジルアルコール,またはN-アセチルカルノシンが角膜を通じて眼房水内へと通過する間に,N-アセチルカルノシンからカルノシンへの生体内変換を妨げない他の防腐薬との組み合わせを含有し,
前記N-アセチルカルノシンの含有量が,前記水性眼科用組成物全量に対して0.5?2.0重量%であることを特徴とする水性眼科用組成物。
【請求項40】
カルボキシメチルセルロースの含有量が,0.1?0.5重量%である請求項39に記載の水性眼科用組成物。
【請求項41】
カルボキシメチルセルロースの薬理的に許容される塩類が,カルボキシメチルセルロースナトリウム塩であって,該カルボキシメチルセルロースナトリウム塩の含有量が0.2?0.4重量%である請求項39に記載の水性眼科用組成物。
【請求項42】
水性眼科用組成物が,さらに,少なくともβ-遮断作用,α-アドレナリン活性,またはβ-及びα-アドレナリン受容遮断作用を有する化合物を含有する請求項1に記載の使用。
【請求項43】
水性眼科用組成物が,少なくともβ-遮断作用,α-アドレナリン活性,またはβ-及びα-アドレナリン受容遮断作用を有する化合物と組み合わされる請求項1に記載の使用。
【請求項44】
水性眼科用組成物が,β-及びα-アドレナリン受容遮断作用を有する化合物と組み合わされる請求項1,28,29,38,及び43のいずれかに記載の使用であって,
β-及びα-アドレナリン受容遮断作用を有する化合物が,3-メチル-5-[2-(3-t-ブチルアミノ-2-ハイドロキシプロポキシ-フェノキシメチル)]-1,2,4-オキサジアゾール塩酸塩である。
【請求項45】
水性眼科用組成物が,さらに,ラクトフェリンまたはアルブミン,或いは,その両方を含有する請求項39に記載の水性眼科用組成物。
【請求項46】
水性眼科用組成物が,さらに,Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチドを含有する請求項39に記載の水性眼科用組成物。
【請求項47】
ペプチドが,N-アセチル-Arg-Gly-Asp-Serペプチド(N-アセチル-RGDSペプチド)である請求項45に記載の水性眼科用組成物。
(【請求項48】?【請求項53】省略)」

なお,ここで記載を省略した請求項については,次のとおりの対応となっている。
(a)【請求項2】?【請求項13】については,補正の前後で変更はない。
(b)旧【請求項16】?【請求項25】は,それぞれ項番数が1増えて,そのまま新【請求項17】?【請求項26】となっている。但し,新【請求項22】及び【請求項23】については,当該請求項で引用されている請求項の項番数も1増えている。
(c)旧【請求項45】?【請求項50】は,それぞれ項番数が3増えて,そのまま新【請求項48】?【請求項53】となっている。

2.本件補正の内容について
補正の前後を対比すると,補正事項は次のとおりである。
(1)新【請求項15】が追加されている。
(2)旧【請求項16】?【請求項27】は,それぞれ項番数が1増え,そのまま新【請求項17】?【請求項28】となっている。但し,新【請求項22】及び【請求項23】については,当該請求項で引用されている請求項の項番数も1増えている。
(3)旧【請求項28】は,
「時間とともに眼圧が減少するときに」(当該請求項の記載における第5段落)なる記載が,
「原発開放隅角緑内障又は,高眼圧症の目において眼圧が減少するときに」と変更されて,その他の記載はそのまま新【請求項29】となっている。
(4)旧【請求項29】?【請求項32】は,これらの請求項で引用されている請求項の項番数とともに,それぞれ項番数が1増えて,そのまま新【請求項30】?【請求項33】となっている。
(5)旧【請求項33】は,新【請求項34】?【請求項35】に対応するものと解され,その記載は,
「(旧)【請求項33】
水性眼科用組成物が,さらに,β-及びα-アドレナリン受容遮断作用を有する化合物を含有する請求項27から28のいずれかに記載の使用。」
という単一項の記載から,
「(新)【請求項34】
水性眼科用組成物が,さらに,少なくともβ-遮断作用,α-アドレナリン活性,またはβ-及びα-アドレナリン受容遮断作用を有する化合物を含有する請求項28から29のいずれかに記載の使用。
(新)【請求項35】
水性眼科用組成物が,少なくともβ-遮断作用,α-アドレナリン活性,またはβ-及びα-アドレナリン受容遮断作用を有する化合物と組み合わされる請求項28から29のいずれかに記載の使用。」
という2つの請求項の記載となっている。
すなわち,旧【請求項33】は,「少なくともβ-遮断作用,α-アドレナリン活性,または」(上記下線部参照)の記載が追加されて新【請求項34】となり,新【請求項35】が新たに追加されたものと解される。なお,新【請求項34】及び新【請求項35】で(新)【請求項29】が引用されているところ,上記(3)で示した旧【請求項28】から新【請求項29】への変更もなされていることになっている。
(6)旧【請求項34】?【請求項36】は,項番数が2つ増え,これらの請求項で引用されている各請求項の項番数が1つ増えて,内容的には,上記(3)の変更のみがなされて,それぞれ新【請求項36】?【請求項38】となっている。
(7)旧【請求項37】?【請求項39】は,これらの請求項で引用されている各請求項の項番数とともに,項番数が何れも2つ増え,内容的には何ら変更がなく,そのまま新【請求項39】?【請求項41】となっている。
(8)旧【請求項40】は,新【請求項42】?【請求項43】に対応するものと解され,その記載は,
「(旧)【請求項40】
水性眼科用組成物が,さらに,β-及びα-アドレナリン受容遮断作用を有する化合物を含有する請求項37に記載の水性眼科用組成物。」
という単一項の記載から,補正後は
「(新)【請求項42】
水性眼科用組成物が,さらに,少なくともβ-遮断作用,α-アドレナリン活性,またはβ-及びα-アドレナリン受容遮断作用を有する化合物を含有する請求項1に記載の使用。
(新)【請求項43】
水性眼科用組成物が,少なくともβ-遮断作用,α-アドレナリン活性,またはβ-及びα-アドレナリン受容遮断作用を有する化合物と組み合わされる請求項1に記載の使用。」
という2つの請求項の記載となっている。
すなわち,旧【請求項40】は,「少なくともβ-遮断作用,α-アドレナリン活性,または」(上記下線部参照)の記載が追加されて新【請求項42】となり,新【請求項43】が新たに追加されたものと解される。
(9)旧【請求項41】については,
「(旧)【請求項41】
β-及びα-アドレナリン受容遮断作用を有する化合物が,3-メチル-5-[2-(3-t-ブチルアミノ-2-ハイドロキシプロポキシ-フェノキシメチル)]-1,2,4-オキサジアゾール塩酸塩である請求項40に記載の水性眼科用組成物。」
なる記載から,
「(新)【請求項44】
水性眼科用組成物が,β-及びα-アドレナリン受容遮断作用を有する化合物と組み合わされる請求項1,28,29,38,及び43のいずれかに記載の使用であって,
β-及びα-アドレナリン受容遮断作用を有する化合物が,3-メチル-5-[2-(3-t-ブチルアミノ-2-ハイドロキシプロポキシ-フェノキシメチル)]-1,2,4-オキサジアゾール塩酸塩である。」
なる記載に変更された。
すなわち,内容的な変更は,補正前では,(旧)【請求項37】を引用する(旧)【請求項40】のみを引用して限定を加えていたのに対して,補正後は,(旧)【請求項40】に対応する(新)【請求項43】に加えて,【請求項1】(補正前後で変更なし),(新)【請求項28】((旧)【請求項27】に対応し内容的な変更なし),(新)【請求項29】((旧)【請求項28】に対応して内容的には上記(3)の変更がある),及び(新)【請求項38】((旧)【請求項36】に対応し内容的な変更なし)を引用することとなっている点である。
(10)旧【請求項42】?【請求項44】は,それぞれ項番数が3つ増え,これらの請求項で引用されている各請求項の項番数が2つ増え,内容的には何ら変更がなく,そのまま新【請求項45】?【請求項47】となっている。
(11)旧【請求項45】?【請求項50】は,それぞれ項番数が3つ増え,内容的には何ら変更がなく,そのまま新【請求項48】?【請求項53】となっている。

3.本件補正の目的について
平成18年法律55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下,単に『旧特許法』という。)第17条の2第4項には,次の各号に掲げる事項を目的とするものに限る旨,規定されている。
「1 第36条第5項に規定する請求項の削除
2 特許請求の範囲の減縮(第36条第5項の規定により請求項に記載し た発明を特定するために必要な事項を限定するものであつて,その補 正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載 される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であ るものに限る。)
3 誤記の訂正
4 明瞭でない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)」
本件補正は,特許請求の範囲全体としては,請求項数は50から53に増加しており,請求項が3項増加しているものであるが,この点を踏まえつつ,以下,個別の補正事項について,上記規定に適合するかを検討する。
事案に鑑み補正事項(1),(5)及び(8)について検討する。
3-1.補正事項(1)について
補正前後で変更されていない請求項14を引用してさらに限定するものであって,
「(水性眼科用組成物が)房水内,又は前記組成物が塗布された組織において,ペプチドを効果的に増加させる量のカルボキシメチルセルロース,ヒドロキシエチルセルロース,ヒドロキシプロピルメチルセルロース,他のセルロース関連多糖類,その薬理的に許容される塩類,それらの混合物,カルボキシポリメチレン,またはポリビニルピロリドンから選択される化合物との組み合わせを含有し,前記ペプチドがN-アセチルArg-Gly-Asp-Ser,又はその誘導体であり,」
との記載が追加されているものである。
(なお,以後の記載において,「カルボキシメチルセルロース,ヒドロキシエチルセルロース,ヒドロキシプロピルメチルセルロース,他のセルロース関連多糖類,その薬理的に許容される塩類,それらの混合物,カルボキシポリメチレン,またはポリビニルピロリドンから選択される化合物」を単に『多糖類等』と,「N-アセチルArg-Gly-Asp-Ser,又はその誘導体」を単に『RGDS類』と,それぞれ記載することもある。)
そして,ここでいう『・・・組織において,ペプチドを効果的に増加させる…多糖類等との組み合わせを含有し』との事項については,補正の前後で変更のない請求項1又は請求項14を見ても何ら記載されておらず,これらの項においては,多糖類等が眼房水内でのL-カルノシン,または,N-アセチルカルノシン誘導体の放出を増加させる旨記載されているに止まるものである。もっとも,該多糖類等がN-アセチルRGDS類であるペプチドの量を増加させることに関する事項は,一応補正前の請求項27及び同28に記載されていると解されるものの,これら請求項は,それぞれ補正後の請求項28及び同29に対応していることから,新【請求項15】を追加する補正は,旧特許法第17条の2第4項第2号にいう特許請求の範囲の減縮に当たらないことは明らかである。また,このような補正が同条同項の他の各号の何れにも該当しないことも明らかである。
したがって,補正事項(1)は,旧特許法第17条の2第4項に規定する要件に適合するものとはいえない。

3-2.補正事項(5)について
補正事項(5)については,実質的には次の2点の補正事項を含むものである。
(5-a)追加的に含む化合物が,旧【請求項33】では,『β-及びα-アドレナリン受容遮断作用を有する化合物』のみであったところ,新【請求項34】及び新【請求項35】では,「β-遮断作用(を有する化合物)」及び「α-アドレナリン活性(を有する化合物)」という化合物に関する2つの選択肢が追加されていること。
(5-b)旧【請求項33】及び新【請求項34】では,
「水性眼科組成物が,さらに,・・・化合物を含有する・・・」
という内容になっていたところ,同様な記載の新【請求項34】に加えて,
「水性眼科組成物が,・・・化合物と組み合わされる・・・」
という内容の新【請求項35】が新たに起こされていること。
順次検討する。
上記(5-a)は,ここで追加された選択肢に該当する化合物が,両項で引用される【請求項28】及び【請求項29】に対応する旧【請求項27】及び【請求項28】に係る組成物に含まれる旨の記載は,補正前の特許請求の範囲全体を通して見当たらないことから,上記2つの選択肢を追加することは,そもそも特許請求の範囲を拡張することに他ならず,上記した旧特許法第17条の2第4項第2号にいう特許請求の範囲の減縮に当たらないことは明らかである。また,このような補正が,同条同項の他の各号に該当しないことも明らかである。
次に,上記(5-b)については,新【請求項34】と新【請求項35】とは,実質的にはほぼ同様の内容のものと解され,仮に,補正前に「・・・化合物を含有する・・・」となっていた記載を「・・・化合物と組み合わされる・・・」という記載に変更するのであれば,そのような変更は実質的には特許請求の範囲の変更するものではないと解することが可能であるとしても,前者の内容とする請求項に加えて,さらに後者の内容とする請求項を追加することは特許請求の範囲の拡張する補正というべきものであって,上記した特許法第17条の2第4項第2号にいう特許請求の範囲の減縮に当たらないことは明らかであり,また,このような補正が,同条同項の他の各号に該当しないことも明らかである。
したがって,補正事項(5)は,旧特許法第17条の2第4項に規定された要件に適合するものではない。

3-3.補正事項(8)について
補正事項(8)についても,上記3-2.で検討した補正事項(5)と同様な補正事項を含むものであり,同様な理由により,旧特許法第17条の2第4項に規定する要件に適合するものとはいえない。

4.小括
以上のとおりであるから,他の補正事項について検討するまでもなく,本件補正は,旧特許法第17条の2第4項の規定に適合するものとはいえない。
したがって,本件補正は,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1.本願発明
上記記載のとおり,平成25年12月16日付けの手続補正は却下されたので,本願の請求項に係る発明は,同年3月13日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1?50に記載された事項により特定されるとおりのものである。

2.本出願の出願日について
ア 本出願に対する拒絶の理由の存否について検討するに先立ち,「特許法第44条第1項に規定による特許出願」であるとする本出願が,同条に基づく適法な出願といえるか否かについて検討する。
すなわち,同条同項には「特許出願の一部を1又は2以上の新たな出願とすることができる」旨規定されていることから,新たな出願に係る発明は,原出願の明細書又は図面に記載された範囲の発明であることを要すると解すべきである。
したがって,請求人が本出願の願書面において「原出願」である旨表記している「特願2004-539362号」(以下,「原出願」という。)の願書に最初に添付した明細書(なお,図面の添付はない。)に記載した事項の範囲内であることが,少なくとも必要であるというべきである。
以下,この観点から本出願の発明について検討する。
イ 本願請求項に係る発明のうち,【請求項27】に係る発明は次のとおりである。
「【請求項27】
眼疾患,眼の損傷,及び損害の治療に有用な薬剤組成物の製造のための水性眼科用組成物の使用であって,
該水性眼科用組成物が,Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチド,Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチドの誘導体,Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチドの薬理的に許容される塩類もしくは模倣,または前記塩類もしくは模倣の誘導体と,眼房水内でのArg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチド,Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチドの誘導体,Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチドの薬理的に許容される塩類もしくは模倣,または前記塩類もしくは模倣の誘導体の放出を効果的に増加させる量のカルボキシメチルセルロース,ヒドロキシエチルセルロース,ヒドロキシプロピルメチルセルロース,他のセルロース関連多糖類,その薬理的に許容される塩類,増粘特性を有するセルロース化合物の類似物乃至誘導体,それらの混合物,カルボキシポリメチレン,またはポリビニルピロリドンから選択される化合物との組み合わせを含有し,
Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチド,Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチドの誘導体,またはArg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチドの薬理的に許容される塩類の含有量が,前記薬剤組成物における有効な量として,前記水性眼科用組成物全量に対して0.05?0.5重量%であり,
薬剤製造技術の主な通常の工程,手順,及び技術的手段を含む薬剤形成方法を適応性のために製造に含み,
前記Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチド,Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチドの誘導体,Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチドの薬理的に許容される塩類もしくは模倣,または前記塩類もしくは模倣の誘導体の眼房水内での眼内吸収が高いときに,前記水性眼科用組成物が,眼疾患に対して非常に高い治療的効果を有し,
Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチド,Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチド誘導体,Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチドの薬理的に許容される塩類もしくは模倣,または前記塩類もしくは模倣の誘導体の眼房水内での眼内吸収が,Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチド,Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチドの誘導体,Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチドの薬理的に許容される塩類もしくは模倣,または前記塩類もしくは模倣の誘導体と,カルボキシメチルセルロース,ヒドロキシエチルセルロース,ヒドロキシプロピルメチルセルロース,他のセルロース化合物関連多糖類,その薬理的に許容される塩類,増粘特性を有するセルロース化合物の類似物乃至誘導体,それらの混合物,カルボキシポリメチレン,またはポリビニルピロリドンから選択される,有効量の眼科用セルロース化合物との組み合わせを含有する前記水性眼科用組成物の存在下での角膜及び結膜組織内のペプチダーゼ作用の抑制により高くなることを特徴とする使用。」
なお,以後の記載において,「Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチド,Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチド誘導体,Arg-Gly-Aspを含む少なくとも1種のペプチドの薬理的に許容される塩類もしくは模倣,または前記塩類もしくは模倣の誘導体」を「RGD類」という。また,「RGD」は「Arg-Gly-Asp」の,「RGDS」は「Arg-Gly-Asp-Ser」のそれぞれ別表記であるので,「Arg-Gly-Asp」に代えて「RGD」を,「Arg-Gly-Asp-Ser」に代えて「RGDS」を使用することもある。
ウ 上記【請求項27】の第2段落の記載は,「該水性眼科用組成物が,RGD類と,眼房水内でのRGD類の放出を効果的に増加させる量の多糖類等との組み合わせを含有し,・・・」
とするものであり,このことは,すなわち,【請求項27】には,
「多糖類等が眼房水内でのRGD類の放出を効果的に増加させる」
という技術事項を含んでいると言い換えることができる。
そこでこのような技術事項が願書に最初に添付した明細書及び特許請求の範囲(特許法第184条の6第2項の規定により本願に添付された明細書及び特許請求の範囲とみなされた国際出願時における明細書及び請求の範囲の翻訳文のこと。以下,「原出願当初明細書等」ともいう。特表2006-504701号公報(原審で引用された引用文献1参照)なお,本来は国際出願時の明細書及び請求の範囲に基づいて検討すべきであるが,その点についてはひとまず措くこととする。)に記載されているといえるかについて検討する。
エ 上記【請求項27】の「RGD類」に含まれるRGDペプチドやRGDSペプチドなどのRGD類に関する原出願当初明細書における記載で,本願発明に関するものとしては,以下のものがある。
(a)【0031】?【0033】
「【0031】
前記α及びβ-アドレナリン受容遮断作用を持つ化合物を含有させることは,緑内障の治療において眼圧を減じ,眼房水の房水流出率を刺激して前記組成物の効用を高めると考えられる。
本発明の眼化用組成物は,眼疾患,特に開放隅角原発緑内障(POAG)や高眼圧症(OH)を治療するために,N-アセチル-Arg-Gly-Asp-Serペプチド(N-アセチル-RGDSペプチド)などのArg-Gly-Aspを含有するペプチドも含んでもよい。
【0032】
本発明の発明者は,仮説により制限するつもりはないが,現時点において,RGDを含有するペプチド及び/またはそれらの薬理的に許容される塩類は,開放隅角原発緑内障(POAG)や高眼圧症(OH)の治療的処置や外科治療に有効であると考える。臨床研究において,1日に2回,0.1%のN-アセチル-RGDSを局所的に投与して眼圧(IOP)が効果的に減少しており,開放隅角原発緑内障(POAG)や高眼圧症(OH)を患う患者に対して,よく耐え得るものであった。これは,眼圧(IOP)を減少させる場合に1日に2回0.5%のチモロールを投与するよりもさらに効果的であった。トノグラフィで検査されたように,房水流出率に関する0.1%のN-アセチル-RGDSの効果は,26?33%と顕著な増加を示した。アセチル-RGDSの洗浄作用は,小柱の房水流出率の増加を伴い,それは開放隅角原発緑内障(POAG)や高眼圧症(OH)を患う患者において以前見られた他の薬剤(ピロカルピン)による小柱の房水流出率とは異なるものである。N-アセチル-RGDSによる眼圧(IOP)の低下の臨床的重要性とメカニズムは,小柱網内の細胞外基質蛋白質やプラーク物質に関するN-アセチル-RGDSの洗浄効果と関連しており,開放隅角原発緑内障(POAG)や高眼圧症(OH)を患う患者の眼において,その耐流出率を減少させるものである。また,N-アセチル-RGDSは,続発性白内障及び増殖性硝子体網膜症の治療にも適すると考えられる。
【0033】
前記水性眼科用組成物の全重量に対し,N-アセチルRGDSペプチド,または,その塩類は,0.05?0.5重量%未満含有させてよく,好ましくは0.05?0.25重量%,さらに好ましくは0.1重量%である。」
(b)【0052】
「【0052】
4. 緑内障治療用の水性眼科用組成物
眼疾患の治療,特に,緑内障の治療の処方例を以下に示す。
処方4
脱イオン水 970.0グラム
グリセリン,1.0% 13.0グラム
N-アセチル-RGDS,0.1% 1.0グラム
カルボキシメチルセルロース,0.3% 3.0グラム
ベンジルアルコール,0.3% 3.0グラム
ホウ酸カリウム 7.9グラム*
重炭酸カリウム 3.4グラム*
1,001.3グラム
*または,6.3pH?6.5pHに調整するために必要なもの。」
オ 上記記載において,RGDペプチド関連の記載としては,何れもRGD配列を含むペプチド自体を眼に適用した際の効能や作用に関することと理解されるものであって,セルロース化合物などの多糖類等と併用した場合の作用や,その場合の多糖類等の作用といったことに関する記載は見当たらないものである。
すなわち,上記記載において,RGD配列を含むペプチドに関する記載は,
「本発明の眼化(審決注;「眼科」の誤記)用組成物は,眼疾患,特に開放隅角原発緑内障(POAG)や高眼圧症(OH)を治療するために,N-アセチル-Arg-Gly-Asp-Serペプチド(N-アセチル-RGDSペプチド)などのArg-Gly-Aspを含有するペプチドも含んでもよい。」【0031】
「RGDを含有するペプチド及び/またはそれらの薬理的に許容される塩類は,開放隅角原発緑内障(POAG)や高眼圧症(OH)の治療的処置や外科治療に有効であると考える。臨床研究において,1日に2回,0.1%のN-アセチル-RGDSを局所的に投与して眼圧(IOP)が効果的に減少しており,開放隅角原発緑内障(POAG)や高眼圧症(OH)を患う患者に対して,よく耐え得るものであった。」【0032】
「トノグラフィで検査されたように,房水流出率に関する0.1%のN-アセチル-RGDSの効果は,26?33%と顕著な増加を示した。アセチル-RGDSの洗浄作用は,小柱の房水流出率の増加を伴い,それは開放隅角原発緑内障(POAG)や高眼圧症(OH)を患う患者において以前見られた他の薬剤(ピロカルピン)による小柱の房水流出率とは異なるものである。N-アセチル-RGDSによる眼圧(IOP)の低下の臨床的重要性とメカニズムは,小柱網内の細胞外基質蛋白質やプラーク物質に関するN-アセチル-RGDSの洗浄効果と関連しており,開放隅角原発緑内障(POAG)や高眼圧症(OH)を患う患者の眼において,その耐流出率を減少させるものである。また,N-アセチル-RGDSは,続発性白内障及び増殖性硝子体網膜症の治療にも適すると考えられる。」
といったもので,これら記載は何れも,RGD配列を含むペプチドを眼に適用した際の効能や作用についての記載に止まるものである。
そして,【0052】には,N-アセチル-RGDSとカルボキシメチルセルロースとを含む処方例が記載されているものの,両者を併用した場合の作用などについては原出願当初明細書等には一切記載されておらず,しかもカルボキシメチルセルロースは通常眼科用組成物に対して増粘剤などとして汎用のものであることから,たとえ当業者がこのような記載に触れたとしても,
「多糖類等が眼房水内でのRGD類の放出を効果的に増加させる」
ことを意味する記載であると理解することはあり得ないというべきである。
したがって,原出願当初明細書等におけるRGD類に関連する記載からは,
「多糖類等が眼房水内でのRGD類の放出を効果的に増加させる」
ことが記載されていたとすることはできない。
カ 次に,原出願当初明細書等におけるセルロース化合物などの多糖類等に関する記載について検討する。
セルロース化合物などの多糖類等に関連する記載は以下のとおりであるが,これらの記載は専ら「N-アセチルカルノシン,N-アセチルカルノシン誘導体,またはN-アセチルカルノシンの薬理的に許容される塩類と,N-アセチルカルノシン,及び/またはL-カルノシン,またはL-カルノシン誘導体」(以下,単に『カルノシン類』ということもある。)と組み合わせて使用すること,及び,その際のカルノシン類に対する作用について記載されているに止まるものである。
(c)【0013】?【0016】
「【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の発明者は,思いがけなく,眼の結膜嚢内にN-アセチルカルノシン化合物を局所的に投与するにあたり,カルボキシメチルセルロースなどのセルロース化合物を存在させることで,N-アセチルカルノシンのL-カルノシンへの生体内変換または新陳代謝が高められることを発見した。したがって,本発明の一実施態様は,眼疾患の治療を必要とする哺乳類に水性眼科用組成物を局所的に投与する工程を含み,該水性眼科用組成物が,N-アセチルカルノシン,N-アセチルカルノシン誘導体,またはN-アセチルカルノシンの薬理的に許容される塩類と,N-アセチルカルノシン,及び/またはL-カルノシン,またはL-カルノシン誘導体の眼内吸収を高めるのに有効な量のセルロース化合物,または,その薬理的に許容される塩類とを組み合わせて含有することを特徴とする眼疾患の予防または治療方法に関する。
【0014】
本発明の別の実施態様は,N-アセチルカルノシン,N-アセチルカルノシン誘導体,またはN-アセチルカルノシンの薬理的に許容される塩類と,N-アセチルカルノシン及び/またはL-カルノシン,またはL-カルノシン誘導体の眼内吸収を高めるのに有効な量のセルロース化合物,または,セルロース化合物の薬理的に許容される塩類とを組み合わせて含有する水性眼科用組成物に関連する。
【0015】
本発明のさらに別の実施態様は,患者の眼に眼用組成物を局所的に投与するための手段に関連し,前記手段は,N-アセチルカルノシン,N-アセチルカルノシン誘導体,またはN-アセチルカルノシンの薬理的に許容される塩類を含む親水性のヒドロゲル・コンタクト・レンズ,または高分子接眼鏡挿入物を含む。
【0016】
本発明の,また別の実施態様は,緑内障の治療方法に関連し,N-アセチルカルノシンまたはL-カルノシン及び/またはタウリン,またはそれらの誘導体,またはそれらの薬理的に許容される塩類と,β-及び/またはα-アドレナリン受容遮断作用を有する有効成分,及び/またはプロスタグランジン誘導体,及び前記N-アセチルカルノシン,またはL-カルノシン及び/またはタウリン,またはそれらの誘導体の眼内吸収を高めるのに有効な量のセルロース化合物,または薬理的に許容されるその塩類とを組み合わせて含有する水性眼科用組成物を前記治療を必要とする哺乳類に局所的に投与する方法である。」
(d)【0024】?【0028】
「【0024】
前記水性眼科組成物は,セルロース化合物またはセルロース化合物の薬理的に許容される塩も含んでいる。「セルロース化合物」は,N-アセチルカルノシン,N-アセチルカルノシン誘導体,またはN-アセチルカルノシンの薬理的に許容される塩類,及び/またはカルノシンの眼内吸収を高めることができるすべての多糖類を意味する。前記セルロース化合物は,好ましくはカルボキシメチルセルロース,カルボキシポリメチレン,及びポリビニルピロリドンから選択される1種であり,カルボキシメチルセルロースが最も好ましい。
【0025】
前記セルロースの薬理的に許容される塩類としては,カルボキシメチルセルロースナトリウム及びセルロースグリコール酸ナトリウムが挙げられる。前記米国特許では,カルボキシメチルセルロースナトリウムをセルロースのポリカルボキシメチルエーテルのナトリウム塩として記載している。標準的分子量は,90,000?700,000である。
【0026】
本発明に用いる好適なセルロース化合物は,多様な製造業者により様々な形態で市販されている。ベンゼンが含まれていないカルボキシポリメチレンは,登録商標「CARBOMER 980」の名称で市販されている。同様に,ポリビニルピロリドンは,登録商標「KOLLIDON K17」の名称で市販されている。
【0027】
前記水性眼科用組成物は,眼に局所的に投与される場合,N-アセチルカルノシン,及び/またはその誘導体の眼内吸収を高めるのに有効な量で前記セルロース化合物,またはその薬理的に許容される塩類を含んでいる必要がある。「眼内吸収」の語は,哺乳類の前眼房の眼房水における吸収を意味する。N-アセチルカルノシンは,角膜を通じてその眼房水内へと通過する間に,L-カルノシンへと変換される。N-アセチルカルノシンの誘導体(N-アセチルカルシニンを除く)は,徐々に同様な新陳代謝を受けると考えられる。そのため,N-アセチル-アンセリンは,角膜を通じてその眼房水内へと通過する間に,アンセリンに変換することが可能である。
【0028】
前記セルロース化合物の例示的な量としては,前記組成物の全重量に対し0.1?0.5重量%であり,好ましくは0.2?0.4重量%である。
本発明の発明者は,仮説により制限するつもりはないが,現時点において,N-アセチルカルノシンが角膜を通じて前記哺乳類の前眼房の眼房水内へと通過している間に代謝されるか,そうでなければカルノシンに変換されると考える。次に,L-カルノシンが,カルノシナーゼ作用を伴わずに水晶体へと入り,その発生時に酸化的ストレスの要素を有する白内障や他の眼障害を覆す及び/または防止する純粋の抗酸化治療薬/抗白内障治療薬としての機能を果たすと考えられる。前記セルロース化合物は,この代謝を高めると考えられる。そのため,本発明の処方,すなわち,前記N-アセチルカルノシンとセルロース化合物の組み合わせは,時間とともにその眼房水内にL-カルノシンを効果的に開放させる役割を果たす。」
(e)【0042】?【0043】
「【0042】
乾性眼症候群及び白内障の治療または予防として,前記水性眼科用組成物は,適度に粘性のある水溶液の形状であるのが好適である。好ましい処方として,以下の成分を好適に含む。
N-アセチルカルノシン 1.0%
カルボキシメチルセルロースナトリウム(潤滑剤) 0.3%
グリセリン(潤滑剤) 1.0%
緩衝剤:ホウ酸カリウム,重炭酸カリウム
防腐薬:精製ベンジルアルコール
滅菌水(6.3?6.5pHの眼溶液)
【0043】
本発明の眼疾患の予防及び治療の方法は,眼疾患の治療を必要とする哺乳類に水性眼科用組成物を局所的に投与する工程を含み,該水性眼科用組成物が,N-アセチルカルノシン,N-アセチルカルノシン誘導体,またはN-アセチルカルノシンの薬理的に許容される塩類と,眼房水内でN-アセチルカルノシン及び/またはL-カルノシン及び/またはL-カルノシン誘導体の眼内吸収を高めるのに有効な量のセルロース化合物とを組み合わせて含有する。」
(f)【0046】?【0047】
「【0046】
本発明の別の利点は,結膜の微細血管や眼瞼粘膜組織を通じてN-アセチルカルノシン及び/またはカルノシンの体内吸収が高められる点である。これは,前記セルロース化合物により結膜嚢においてN-アセチルカルノシンの持続時間が長くなるためである。より詳細には,N-アセチルカルノシンは,カルボキシメチルセルロースとともに眼に局所的に投与される,30分以内で,血漿に現れる。血漿中のN-アセチルカルノシンの半壊は,薬物動態調査によれば,約150分以上である。N-アセチルカルノシンは,L-カルノシンに類似するカルノシナーゼの基質であるが,カルノシナーゼを伴う加水分解に極めて耐性を示す(加水分解されにくい)。したがって,一度血漿中にN-アセチルカルノシンが存在すると,カルノシナーゼの競合的飽和阻害物質として機能することができる。これは,老化防止療法として付随するL-カルノシンの経口投与時において,L-カルノシンが加水分解されるのを防止する上で非常に役立つ。
【0047】
本発明の発明者は,N-アセチルカルノシンが化粧品,スキンケア,その他個人医療,及び保健衛生の用途としての有用性もあると考えている。例えば,N-アセチルカルノシン及びカルボキシメチルセルロースの鼻への投与に適応した処方設計により,N-アセチルカルノシンの生体内利用及び薬力薬理効果が高められると考えられる。」
(g)【0048】?【0054】
「【0048】
処方例
以下に示す処方は,例証的目的にのみ説明されており,いかなる方法においても本請求の範囲の厳密な構成の限定に用いられる必要はない。
【0049】
1.眼疾患治療用の水性眼科用組成物
眼疾患治療の処方例を以下に示す。
処方1
脱イオン水 970.0グラム
グリセリン,1.0% 13.0グラム
N-アセチルカルノシン,1.0% 10.0グラム
カルボキシメチルセルロース,0.3% 3.0グラム
ベンジルアルコール,0.3% 3.0グラム
ホウ酸カリウム 7.9グラム*
重炭酸カリウム 3.4グラム*
1,010.3グラム
*または,6.3pH?6.5pHに調整するために必要なもの。
【0050】
2. 眼疾患治療用の水性眼科用組成物
処方例1において,ベンジルアルコールをフェニルエチルアルコールに代えて用い,前記リン酸塩緩衝剤を対応するナトリウム緩衝剤に差し替えた以外は,処方例1と同様な方法により処方例2の組成物を作製した。
処方2
脱イオン水 970.0グラム
グリセリン,1.0% 13.0グラム
N-アセチルカルノシン,1.0% 10.0グラム
カルボキシメチルセルロース,0.3% 3.0グラム
フェニルエチルアルコール,0.3% 3.0グラム
ホウ酸ナトリウム 7.9グラム*
重炭酸ナトリウム 3.4グラム*
1,010.3グラム
*または,6.3pH?6.5pHに調整するために必要なもの。
【0051】
3. 眼疾患治療用の水性眼科用組成物
処方例1において,カルボキシメチルセルロースを「カルボマー980(Carbomer980)」に代えて用いた以外は処方例1と同様な方法により処方例3の組成物を作製した。
処方3
脱イオン水 970.0グラム
グリセリン,1.0% 13.0グラム
N-アセチルカルノシン,1.0% 10.0グラム
カルボマー980 2.0グラム
ベンジルアルコール,0.3% 3.0グラム
ホウ酸カリウム 7.9グラム*
重炭酸カリウム 3.4グラム*
1,009.3グラム
*または,6.3pH?6.5pHに調整するために必要なもの。
【0052】
4. 緑内障治療用の水性眼科用組成物
眼疾患の治療,特に,緑内障の治療の処方例を以下に示す。
処方4
脱イオン水 970.0グラム
グリセリン,1.0% 13.0グラム
N-アセチル-RGDS,0.1% 1.0グラム
カルボキシメチルセルロース,0.3% 3.0グラム
ベンジルアルコール,0.3% 3.0グラム
ホウ酸カリウム 7.9グラム*
重炭酸カリウム 3.4グラム*
1,001.3グラム
*または,6.3pH?6.5pHに調整するために必要なもの。
【0053】
5. CVS治療用の水性眼科用組成物
眼疾患の治療,特に,コンピュータ視覚症候群(CVS)の治療の処方例を以下に示す。
処方5
脱イオン水 970.00グラム
グリセリン,1.0% 13.00グラム
N-アセチルカルノシン,1.0% 10.00グラム
タウリン,4.0% 40.00グラム
p-アミノ安息香酸,0.007% 0.07グラム
カルボキシメチルセルロース,0.3% 3.00グラム
ベンジルアルコール,0.3% 3.00グラム
ホウ酸カリウム 7.90グラム*
重炭酸カリウム 3.40グラム*
1,050.37グラム
*または,6.3pH?6.5pHに調整するために必要なもの。
【0054】
6. CVS治療用の水性眼科用組成物
処方例5において,N-アセチルカルノシンをL-カルノシンに差し替えて用いた以外は処方例5と同様な方法により処方例6の組成物を作製した。
処方6
脱イオン水 970.00グラム
グリセリン,1.0% 13.00グラム
L-カルノシン,1.0% 10.00グラム
タウリン,4.0% 40.00グラム
p-アミノ安息香酸,0.007% 0.07グラム
カルボキシメチルセルロース,0.3% 3.00グラム
ベンジルアルコール,0.3% 3.00グラム
ホウ酸カリウム 7.90グラム*
重炭酸カリウム 3.40グラム*
1,050.37グラム
*または,6.3pH?6.5pHに調整するために必要なもの。」
(h)【0055】?【0074】
[詳細な摘記は省略するが(実施例1)?(実施例2)の各実験で「処方1」,「処方2」及び「処方3」のいずれかが使用されている。]
このように,多糖類等に関する記載は,全てカルノシン類と組み合わせること,或いは,その際の作用に関する記載に止まるものである。
キ 次に,多糖類等のカルノシン類に対する作用に関連するこれらの記載から,RGD類に対する作用についても同様であると技術的に類推できるか否かについて検討する。
このような推論を可能ならしめるためには,カルノシン類とRGD類との類似性・共通性の存在が前提となるので,このような観点から検討する。
カルノシンは,βアミノ酸であるβアラニンとαアミノ酸であるヒスチジンとがペプチド結合(-CO-NH-)を形成して1つの化合物となったものである。また,RGDは,何れもαアミノ酸であるアルギニン,グリシン,アスパラギン酸の3つが2つのペプチド結合を介して結合し1つの化合物となったものである。
これらを対比すると,カルノシンは2アミノ酸単位からなるのに対して,RGDペプチドとは,アルギニン,グリシン,アスパラギンという3アミノ酸単位から構成されていて,さらに前者は,βアミノ酸とαアミノ酸からなるものであり,また,後者は,3つともαアミノ酸であり,両者の各構成アミノ酸の間に共通のものがない。
このようにカルノシンとRGDペプチドとは,類似性・共通性が乏しいものであって,カルノシン類と多糖類等の間で見出された作用が,そのままRGD類との間でも見られるであろうとすることは,たとえ当業者であったとしてもそのような理解はなしえないものである。
したがって,原出願当初明細書におけるセルロースなどの多糖類等に関する記載から,
「多糖類等が眼房水内でのRGD類の放出を効果的に増加させる」
ことが記載されていたとすることはできない。

ク また,いかに技術常識を考慮したとしても,原出願当初明細書の記載から
「多糖類等が眼房水内でのRGD類の放出を効果的に増加させる」
ことが自明なことであったとすることもできない。
よって,【請求項27】に係る発明については,他の事項について検討するまでもなく,原出願当初明細書に記載された範囲内のものとすることができない。
ケ そして,先にも述べたように,本出願に係る発明が原出願当初明細書等に記載された事項の範囲ないといえる否かの検討は,本来,国際出願日における原文の明細書及び請求の範囲との対比において行われるべきものであるが,その翻訳文である上記原出願当初明細書等の記載と,国際出願日における原文の明細書及び請求の範囲の記載とを検討すると,上記した(a)?(h)の記載を含めて両者は内容的に齟齬はないといえるので,ここで記載した本出願に係る発明が原出願当初明細書等に記載された事項の範囲内であるか否かの検討は,そのまま国際出願日における原文の明細書及び請求の範囲の記載との間の検討にも妥当するものである。
コ したがって,他の請求項に係る発明について検討するまでもなく,本出願は,特許法第44条に基づく適法な特許出願とすることができず,現実の出願日である平成22年10月18日にされたものと扱う。
サ なお,本出願が現実の出願になされたものとして扱うこととなるに伴い,本出願の平成25年12月16日付け手続補正書の適合性を判断する際の適用法は,平成18年法律第55号改正の特許法第17条の2となるが,該特許法改正により,同条第4項は同条第5項と項番号が変更されただけで,内容的には変更されていない。したがって,上記「第2」で判断した本件補正についての補正却下の判断は何ら影響されないものである。

3.【請求項45】?【請求項50】に係る発明について
3-1.本願【請求項45】?【請求項50】に係る発明は,以下のとおりである。
「【請求項45】
下記処方1を含むことを特徴とする水性眼科用組成物。
処方1
脱イオン水 970.0グラム
グリセリン,1.0% 13.0グラム
N-アセチルカルノシン,1.0% 10.0グラム
カルボキシメチルセルロース,0.3% 3.0グラム
ベンジルアルコール,0.3% 3.0グラム
ホウ酸カリウム 7.9グラム*
重炭酸カリウム 3.4グラム*
1,010.3グラム
*または,6.3pH?6.5pHに調整するために必要なもの。」
【請求項46】
下記処方2を含むことを特徴とする水性眼科用組成物。
処方2
脱イオン水 970.0グラム
グリセリン,1.0% 13.0グラム
N-アセチルカルノシン,1.0% 10.0グラム
カルボキシメチルセルロース,0.3% 3.0グラム
フェニルエチルアルコール,0.3% 3.0グラム
ホウ酸ナトリウム 7.9グラム*
重炭酸ナトリウム 3.4グラム*
1,010.3グラム
*または,6.3pH?6.5pHに調整するために必要なもの。
【請求項47】
下記処方3を含むことを特徴とする水性眼科用組成物。
処方3
脱イオン水 970.0グラム
グリセリン,1.0% 13.0グラム
N-アセチルカルノシン,1.0% 10.0グラム
カルボマー980 2.0グラム
ベンジルアルコール,0.3% 3.0グラム
ホウ酸カリウム 7.9グラム*
重炭酸カリウム 3.4グラム*
1,009.3グラム
*または,6.3pH?6.5pHに調整するために必要なもの。
【請求項48】
下記処方4を含むことを特徴とする水性眼科用組成物。
処方4
脱イオン水 970.0グラム
グリセリン,1.0% 13.0グラム
N-アセチル-RGDS,0.1% 1.0グラム
カルボキシメチルセルロース,0.3% 3.0グラム
ベンジルアルコール,0.3% 3.0グラム
ホウ酸カリウム 7.9グラム*
重炭酸カリウム 3.4グラム*
1,001.3グラム
*または,6.3pH?6.5pHに調整するために必要なもの。
【請求項49】
下記処方5を含むことを特徴とする水性眼科用組成物。
処方5
脱イオン水 970.00グラム
グリセリン,1.0% 13.00グラム
N-アセチルカルノシン,1.0% 10.00グラム
タウリン,4.0% 40.00グラム
p-アミノ安息香酸,0.007% 0.07グラム
カルボキシメチルセルロース,0.3% 3.00グラム
ベンジルアルコール,0.3% 3.00グラム
ホウ酸カリウム 7.90グラム*
重炭酸カリウム 3.40グラム*
1,050.37グラム
*または,6.3pH?6.5pHに調整するために必要なもの。
【請求項50】
下記処方6を含むことを特徴とする水性眼科用組成物。
処方6
脱イオン水 970.00グラム
グリセリン,1.0% 13.00グラム
L-カルノシン,1.0% 10.00グラム
タウリン,4.0% 40.00グラム
p-アミノ安息香酸,0.007% 0.07グラム
カルボキシメチルセルロース,0.3% 3.00グラム
ベンジルアルコール,0.3% 3.00グラム
ホウ酸カリウム 7.90グラム*
重炭酸カリウム 3.40グラム*
1,050.37グラム
*または,6.3pH?6.5pHに調整するために必要なもの。」

3-2.刊行物及びその記載事項
本出願日前に頒布されたことが明らかな特表2006-504701号公報(以下,「刊行物A」という。原審の引用文献1。本願願書面で「原出願」とする出願に係る公表公報。)には,以下の事項が記載されている。
(A-1)【0048】?【0054】
「【0048】
処方例
以下に示す処方は,例証的目的にのみ説明されており,いかなる方法においても本請求の範囲の厳密な構成の限定に用いられる必要はない。
【0049】
1.眼疾患治療用の水性眼科用組成物
眼疾患治療の処方例を以下に示す。
処方1
脱イオン水 970.0グラム
グリセリン,1.0% 13.0グラム
N-アセチルカルノシン,1.0% 10.0グラム
カルボキシメチルセルロース,0.3% 3.0グラム
ベンジルアルコール,0.3% 3.0グラム
ホウ酸カリウム 7.9グラム*
重炭酸カリウム 3.4グラム*
1,010.3グラム
*または,6.3pH?6.5pHに調整するために必要なもの。
【0050】
2. 眼疾患治療用の水性眼科用組成物
処方例1において,ベンジルアルコールをフェニルエチルアルコールに代えて用い,前記リン酸塩緩衝剤を対応するナトリウム緩衝剤に差し替えた以外は,処方例1と同様な方法により処方例2の組成物を作製した。
処方2
脱イオン水 970.0グラム
グリセリン,1.0% 13.0グラム
N-アセチルカルノシン,1.0% 10.0グラム
カルボキシメチルセルロース,0.3% 3.0グラム
フェニルエチルアルコール,0.3% 3.0グラム
ホウ酸ナトリウム 7.9グラム*
重炭酸ナトリウム 3.4グラム*
1,010.3グラム
*または,6.3pH?6.5pHに調整するために必要なもの。
【0051】
3. 眼疾患治療用の水性眼科用組成物
処方例1において,カルボキシメチルセルロースを「カルボマー980(Carbomer980)」に代えて用いた以外は処方例1と同様な方法により処方例3の組成物を作製した。
処方3
脱イオン水 970.0グラム
グリセリン,1.0% 13.0グラム
N-アセチルカルノシン,1.0% 10.0グラム
カルボマー980 2.0グラム
ベンジルアルコール,0.3% 3.0グラム
ホウ酸カリウム 7.9グラム*
重炭酸カリウム 3.4グラム*
1,009.3グラム
*または,6.3pH?6.5pHに調整するために必要なもの。
【0052】
4. 緑内障治療用の水性眼科用組成物
眼疾患の治療,特に,緑内障の治療の処方例を以下に示す。
処方4
脱イオン水 970.0グラム
グリセリン,1.0% 13.0グラム
N-アセチル-RGDS,0.1% 1.0グラム
カルボキシメチルセルロース,0.3% 3.0グラム
ベンジルアルコール,0.3% 3.0グラム
ホウ酸カリウム 7.9グラム*
重炭酸カリウム 3.4グラム*
1,001.3グラム
*または,6.3pH?6.5pHに調整するために必要なもの。
【0053】
5. CVS治療用の水性眼科用組成物
眼疾患の治療,特に,コンピュータ視覚症候群(CVS)の治療の処方例を以下に示す。
処方5
脱イオン水 970.00グラム
グリセリン,1.0% 13.00グラム
N-アセチルカルノシン,1.0% 10.00グラム
タウリン,4.0% 40.00グラム
p-アミノ安息香酸,0.007% 0.07グラム
カルボキシメチルセルロース,0.3% 3.00グラム
ベンジルアルコール,0.3% 3.00グラム
ホウ酸カリウム 7.90グラム*
重炭酸カリウム 3.40グラム*
1,050.37グラム
*または,6.3pH?6.5pHに調整するために必要なもの。
【0054】
6. CVS治療用の水性眼科用組成物
処方例5において,N-アセチルカルノシンをL-カルノシンに差し替えて用いた以外は処方例5と同様な方法により処方例6の組成物を作製した。
処方6
脱イオン水 970.00グラム
グリセリン,1.0% 13.00グラム
L-カルノシン,1.0% 10.00グラム
タウリン,4.0% 40.00グラム
p-アミノ安息香酸,0.007% 0.07グラム
カルボキシメチルセルロース,0.3% 3.00グラム
ベンジルアルコール,0.3% 3.00グラム
ホウ酸カリウム 7.90グラム*
重炭酸カリウム 3.40グラム*
1,050.37グラム
*または,6.3pH?6.5pHに調整するために必要なもの。」

3-3.対比・判断
本願【請求項45】?【請求項50】に係る各発明と,上記刊行物A記載の「処方1」?「処方6」とを対比すると,成分及びその配合量とも全て一致している。
したがって,本願【請求項45】?【請求項50】に係る発明は,何れも刊行物に記載された発明であり,特許法第29条第1項第3号に該当し,特許を受けることができないものである。

4.【請求項27】に係る発明について
上記「2.本出願の出願日について」において検討したように,本願【請求項27】に係る発明は,原出願当初明細書に記載された範囲内のものとはいえない。
そして,原出願当初明細書と,本願明細書を対比すると,【0012】以降において,段落番号が1異なるだけであって,技術内容としては同じ事項が記載されているものである。
そうすると,本願【請求項27】に係る発明は,本願明細書に記載された発明であるともいえないこととなり,したがって,本願は特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たすものとはいえない。
なお,「第1」の「3-1.補正事項(1)について」において,新【請求項15】には,
「(水性眼科用組成物が)房水内・・・において,ペプチドを効果的に増加させる量の多糖類等との組み合わせを含有し,前記ペプチドがN-アセチルRGD類であり」
なる技術事項が追加された旨記載したが,該記載における「N-アセチルRGDS類」は,RGD類に含まれるものである。
そして,上記「2.本出願の出願日について」において記載した事項を引用しつつ上で述べたように,
「多糖類等が眼房水内でのRGD類の放出を効果的に増加させる」
といった技術事項は,本願明細書に記載されたものとはいえないものである。
そうすると,上記した新【請求項15】に追加された事項は,結局,同様な理由により,本願当初明細書に記載された事項の範囲内のものともいえないものである。
したがって,本件補正は,特許法第17条の2第3項に規定する要件をも満たすものとはいえないものであることを付言しておく。

第4 むすび
以上のとおり,本願【請求項45】?【請求項50】に係る発明は,特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであり,また,本願は,同法第36条第6項第1号に規定する要件を満たすものとはいえないので,その余の点については検討するまでもなく,本願は拒絶をすべきものである。
なお,本審決においては,本件補正を不適法なものとして却下した上で,本願の出願日については,補正前の【請求項27】に係る発明が原出願明細書に記載された範囲のものでないことを根拠として,現実の出願日なることを説示して,さらに本願に対する拒絶の理由の有無を検討したが,本件補正後の【請求項28】に係る発明は,補正前の【請求項27】に係る発明と同じであり,また,補正後の【請求項48】?【請求項53】に係る発明は,補正前の【請求項45】?【請求項50】に係る発明と同じである。したがって,仮に,本件補正が適法なものであるとしても,補正前の【請求項27】について,本願の出願日の認定の際に記載した事項,及び,特許法第36条第6項第1号の拒絶理由で記載した事項は,本件補正後の【請求項28】にそのまま該当するものといえるし,また,補正前の【請求項45】?【請求項50】に係る発明について特許法第29条第1項第3号の拒絶理由に記載した事項は,補正後の【請求項48】?【請求項53】に係る発明にそのまま該当するといえるので,補正後の本出願でも依然として拒絶すべきと判断されることは明らかである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-06-30 
結審通知日 2015-07-07 
審決日 2015-07-21 
出願番号 特願2010-233467(P2010-233467)
審決分類 P 1 8・ 57- Z (A61K)
P 1 8・ 121- Z (A61K)
P 1 8・ 113- Z (A61K)
P 1 8・ 561- Z (A61K)
P 1 8・ 537- Z (A61K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 澤田 浩平  
特許庁審判長 松浦 新司
特許庁審判官 冨永 保
星野 紹英
発明の名称 薬剤組成物の製造のための水性眼科用組成物の使用、及び水性眼科用組成物  
代理人 廣田 浩一  
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