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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61B
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A61B
管理番号 1308214
審判番号 不服2014-9554  
総通号数 193 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-01-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-05-22 
確定日 2015-12-02 
事件の表示 特願2011-514432「生体情報管理装置、生体情報管理装置を用いた健康管理システム、同システムにおける健康管理情報の閲覧方法、生体情報管理プログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成22年11月25日国際公開、WO2010/134543〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成22年5月19日を国際出願日とする出願(優先権主張 2009年5月21日)であって、平成25年11月25日付けで拒絶理由が通知され、平成26年1月23日に意見書及び手続補正書が提出され、さらに、同年2月24日付けで拒絶査定されたのに対し、同年5月22日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、それと同時に手続補正書が提出されたものである。

第2 平成26年5月22日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成26年5月22日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲を全文にわたって補正するものであって、請求項1の記載を補正する補正事項をその一部に含むものであり、本件補正後の請求項1は次のとおりのものである。(下線部は補正箇所である。)

「【請求項1】
生体情報取得装置と近距離無線通信経由で接続され、健康管理情報提供装置と通信網経由で接続され、
前記生体情報取得装置から前記近距離無線通信による利用者認証を得て測定される利用者の生体情報を受信するとともに、
前記受信した生体情報を前記通信網経由で前記健康管理情報提供装置に送信し、前記健康管理情報提供装置から、所定量蓄積された前記生体情報に基づく分析により加工され送信される健康管理情報を受信し、出力する制御手段、
を備え、
前記制御手段は、
前記通信網を介して更に接続される健康管理情報仲介装置から近距離無線通信による利用者認証を得、前記健康管理情報仲介装置が前記健康管理情報提供装置から送信される生体情報に基づいて生成した健康管理情報を受信し、出力することを特徴とする生体情報管理装置。」

請求項1についての上記の補正は、補正前の「前記生体情報に基づく分析により加工され送信される健康管理情報」を「所定量蓄積された前記生体情報に基づく分析により加工され送信される健康管理情報」と補正するものであり、分析に用いる生体情報を「所定量蓄積された」と限定するものであるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるか否かについて以下に検討する。

2 引用例及びその記載事項
(1) 引用例1(特開2009-9350号公報)
ア 引用例1の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された、本願優先権主張日前に頒布された刊行物である引用例1には、次の事項が記載されている。(下線は当審において付与した。)

(ア) 「【請求項3】
前記携帯端末と近距離無線を介して接続され、前記利用者の前記健康管理情報を得るための測定端末を備えてなることを特徴とする請求項1記載の健康管理システム。」

(イ) 「【請求項6】
前記ネットワークに接続され、複数の前記提供元が集合した所定の場所に設置され、前記提供元情報を前記携帯端末に提示するための提供元案内装置を備えてなることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1に記載の健康管理システム。」

(ウ) 「【実施例1】
【0013】
・・・(途中略)・・・
この例の健康管理システム1は、図1に示すように、利用者が用いる携帯端末2,2,…と、サービス提供事業者が管理する情報管理センタ3とが、ネットワーク4を介して接続されて概略構成されている。」

(エ) 「【0021】
・・・(途中略)・・・
また、健康管理情報を、健康管理情報を取得する度に送信しても良いし、複数回蓄積した後に、纏めて送信しても良い。また、飲食店情報の提示要求時に纏めて送信しても良い。」

(オ) 「【0023】
制御部11は、飲食店情報表示制御処理で、情報管理センタ3から食事メニュー情報と、飲食店情報を受信すると、表示部17に、食事メニュー情報と飲食店情報とを表示させる。
・・・以下省略・・・」

(カ) 「【0027】
情報管理センタ3は、図4に示すように、利用者の健康状態を管理するための健康情報管理サーバ31と、利用者の健康状態に適合した食事を提供する飲食店情報を管理する飲食店情報管理サーバ32と、利用者に関する情報が記憶された利用者情報データベースサーバ33と、飲食店情報が記憶された飲食店情報データベースサーバ34と、食事メニュー情報が記憶されたメニュー情報データベースサーバ35と、サービス利用料金の算出を行う課金サーバ36と、担当者が操作するための操作端末37とを有している。」

(キ) 「【0029】
・・・(途中略)・・・
制御部41は、健康管理情報収集処理で、携帯端末2から健康管理情報を受信すると、利用者情報データベースサーバ33に記憶させる。
ここで、健康管理情報としては、生体情報として、利用者の体温、脈拍、血圧、及び体脂肪率等を、運動情報として、利用者の歩数等を含んでいる。健康管理情報は、対応する測定時刻情報を含んでいる。なお、制御部41が、例えば、今回及び前回取得した歩数の積算値から、所定時間当りの歩数を求めても良い。」

(ク) 「【0057】
携帯端末2の制御部11は、飲食店情報表示制御処理で、情報管理センタ3から食事メニュー情報と、飲食店情報を受信すると、表示部17に、食事メニュー情報と飲食店情報とを表示させる。(ステップSA22)」

(ケ) 「【0058】
このように、この例の構成によれば、携帯端末2の制御部11は、センサ部13を介して、利用者の健康管理情報を取得できるとともに、健康情報管理サーバ31の制御部41は、携帯端末2から健康管理情報を受信すると、取得した健康管理情報と、利用者情報と、標準値情報とに基づいて、利用者の現在の健康状態を分析し、この分析結果に加え、食事履歴と、健康状態履歴と、運動履歴とに基づいて、利用者のための適切に管理された食事メニューを生成し、飲食店情報管理サーバ32の制御部44は、健康情報管理サーバ41から食事メニュー情報を受信すると、健康情報管理サーバ41が生成した現在の利用者の最適な食事メニューの食事の提供が可能な飲食店を選定して、携帯端末2に提示するので、利用者は、現在の健康状態において最適な食事を取ることができ、利用者の健康管理に確実に寄与することができる。
したがって、外食中心の食生活を送りがちな例えば単身者等の利用者の健康の維持及び増進に役立てることができる。」

(コ) 「【実施例2】
【0060】
図7は、この発明の第2の実施例である健康管理システムの構成を示す図、図8は、同健康管理システムの携帯端末の構成を示すブロック図、また、図9は、同健康管理システムの腕時計型測定器の構成を示すブロック図である。
この例の構成が上述した第1の実施例の構成と大きく異なるところは、第1の実施例では、携帯端末と測定器とを一体化させたのに対して、携帯端末と、腕時計型測定器とを近距離通信によって接続するように構成した点である。
【0061】
これ以外の構成は、上述した第1の実施例の構成と略同一であるので、第1の実施例と同一の構成要素については、図7及び図8において、図1及び図2で用いた符号と同一の符号を付して、その説明を簡略にする。」

(サ) 「【0063】
携帯端末2Aは、図8に示すように、制御部11Aと、記憶部12Aと、アンテナ15を介して無線基地局との間で無線電波の送受信を行い、所定のプロトコルに従って通話やデータ通信を行うために用いられる無線通信部16と、アンテナ15を介して無線基地局との間で無線電波の送受信を行い、所定のプロトコルに従って通話やデータ通信を行うために用いられる無線通信部16と、ブルートゥース用のアンテナ62を介して腕時計型測定器61との間で近距離を行って、検出情報を受信するために用いられるブルートゥース通信部63と、表示部17と、音声出力部18と、送話部19と、受話部21と、音声処理部22と、操作部23Aとから概略構成されている。
【0064】
制御部11Aは、携帯端末本体の構成各部を制御して、健康管理情報取得処理や、健康管理情報送信処理、飲食店情報取得処理等を実行する。健康管理情報取得処理は、測定制御処理と、測定案内処理と、健康管理情報生成処理とを含んでいる。
制御部11Aは、測定制御処理で、予め設定された測定時刻となると、腕時計型測定器61へ測定開始指示を送り、検出情報を取得する。
制御部11Aは、健康管理情報生成処理で、腕時計型測定器61から取得した検出情報に基づいて、健康管理情報を生成する。」

(シ) 「【実施例4】
【0079】
図11は、この発明の第4の実施例である健康管理システムの構成を示すブロック図、また、図12は、同健康管理システムの飲食店案内装置の構成を示すブロック図である。
この例の構成が上述した第1の実施例の構成と大きく異なるところは、ネットワークに接続された飲食店案内装置が設けられ、携帯端末が、飲食店案内装置から近距離通信によって飲食店の詳細情報を入手可能なように構成した点である。
【0080】
これ以外の構成は、上述した第1の実施例の構成と略同一であるので、第1の実施例と同一の構成要素については、図11において、図1で用いた符号と同一の符号を付して、その説明を簡略にする。なお、携帯端末としては、ブルートゥースを利用した近距離通信が可能な携帯端末が用いられる。」

(ス) 「【0082】
飲食店案内装置76は、図12に示すように、ブルートゥースを利用した近距離通信機能を有し、CPU等からなり、記憶部78に記憶された所定の制御プログラムに従って構成各部を制御する制御部77と、・・・(途中略)・・・から概略構成されている。
【0083】
制御部77は、各飲食店の情報を表示部83に表示させる表示制御処理のほか、案内情報供給処理等を実行する。
制御部77は、案内情報供給処理で、携帯端末2Cから、案内情報提示要求を利用者の識別情報とともに受けると、情報管理センタ3Cからこの利用者に対応した大規模商業施設内の飲食店の情報と、推奨メニュー情報とを受け取って、携帯端末2Cへ送信する。」

(セ) 「【0085】
以上、この発明の実施例を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれる。
例えば、上述した実施例では、健康情報管理サーバ、利用者情報データベースサーバ、飲食店管理サーバ、飲食店情報データベースサーバ及び課金サーバを、集中させて配置する場合について述べたが、ネットワーク上に分散させて配置しても良い。
また、例えば、健康管理サーバ及び利用者情報データベースサーバと、飲食店管理サーバ及び飲食店情報データベースサーバとを、ネットワークを介して、接続するようにして
も良い。
【0086】
また、例えば、健康情報管理サーバと飲食店管理サーバとを一体化しても良いし、健康情報管理サーバと利用者情報データベースサーバ、飲食店管理サーバと飲食店情報データベースサーバとを、それぞれ、一体化しても良い。また、各サーバを、単数とは限らず複数設けても良い。」

イ 引用例1に記載の発明
上記(ア)に摘記した請求項3は、上記摘記(コ)及び(サ)の記載に示される実施例2に対応するものであり、上記(イ)に摘記した請求項6は、上記摘記(シ)及び(ス)の記載に示される実施例4に対応するものである。そして、上記摘記(コ)及び(シ)のとおり、実施例2と実施例4は、実施例1の変形例であり、上記摘記(イ)のとおり、請求項6は請求項3を引用するものであるから、引用例1においては、実施例1、2、4を組み合わせたものが開示されているといえる。そして、実施例4の上記摘記(ス)中の「推奨メニュー」は、実施例1の上記摘記(オ)中の「食事メニュー」に対応するものである。
よって、上記摘記(ア)?(セ)を含む引用例1全体の記載を総合すると、引用例1には次の発明が記載されている。
「利用者が用いる携帯端末と、
サービス提供事業者が管理する、利用者の健康状態を管理するための健康情報管理サーバと、利用者の健康状態に適合した食事を提供する飲食店情報を管理する飲食店情報管理サーバと、利用者に関する情報が記憶された利用者情報データベースサーバと、飲食店情報が記憶された飲食店情報データベースサーバを有する情報管理センタと、
飲食店案内装置とが、
ネットワークを介して接続されて構成されている健康管理システムに用いる携帯端末であって、
該携帯端末は、
携帯端末本体の構成各部を制御する制御部、
無線通信部、
腕時計型測定器との間で近距離通信を行って、腕時計型測定器との間で近距離通信を行って、検出情報を受信するために用いられるブルートゥース通信部、
表示部等
から構成されており、
前記腕時計型測定器と近距離通信によって接続されるものであって、
前記制御部は、
予め設定された測定時刻となると、腕時計型測定器へ測定開始指示を送り、検出情報を取得するものであり、
生体情報として、利用者の体温、脈拍、血圧、及び体脂肪率等を含む健康管理情報を複数回蓄積した後に、情報管理センタへ纏めて送信し、
食事メニュー情報と、飲食店情報を受信すると、表示部に、食事メニュー情報と飲食店情報とを表示させるものであり、
さらに、携帯端末は、飲食店案内装置の制御部が、案内情報供給処理で、携帯端末から、案内情報提示要求を利用者の識別情報とともに受け、情報管理センタからこの利用者に対応した大規模商業施設内の飲食店の情報と、食事メニュー情報とを受け取って、送信することにより、前記飲食店の情報と、前記食事メニュー情報を近距離通信によって取得するものであり、
ここで、前記飲食店情報は、
前記健康情報管理サーバの制御部が、携帯端末から健康管理情報を受信すると、取得した健康管理情報と、利用者情報と、標準値情報とに基づいて、利用者の現在の健康状態を分析し、この分析結果に加え、食事履歴と、健康状態履歴と、運動履歴とに基づいて、利用者のための適切に管理された食事メニューを生成し、 前記飲食店情報管理サーバの制御部が、前記健康情報管理サーバから食事メニュー情報を受信し、前記食事メニューの提供が可能な飲食店を選定したものである、
携帯端末。」(以下「引用発明」という。)

(2) 引用例2(特開2004-145483号公報)
原査定の拒絶の理由に引用された、本願優先権主張日前に頒布された刊行物である引用例2には、次の事項が記載されている。(下線は当審において付与した。)

ア 「【0027】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、個人情報を含む情報や、各個人に関わる個人情報に対応付けられた当該個人情報に準ずる生体情報や購買情報などの情報を個人情報を保護しつつ、各種目的で他人に有効に利用させることができる情報共有支援方法およびそれを用いた情報共有支援装置を提供することを目的とする。」

イ 「【0054】
例えば、図3に示したような端末からなるセンシング部1が、当該端末から生体情報を取得し、通信部15を介して、図4のような生体情報を送受信部4に送る場合を例にとり説明する。この場合、生体情報を送信に先立ち、センシング部1は、まず、認証情報を含む認証要求を送信する。この認証要求は送受信部4を介して認証部5に送される(ステップS1)。認証情報としては、例えば、情報提供者の指紋や顔写真、あるいは虹彩などの認証情報としての生体情報あるいはセンシング部1である図3に示したような端末自体に組み込まれているICカードなどの認証データなどが考えられる。
【0055】
認証部5は、認証要求に含まれる上記のような認証情報に基づいて、個人認証を行う。当該認証要求が正当な場合に、認証部5は、認証権x1を情報関連部化22に渡すとともに、センシング部1にも当該認証権x1と同じ認証権x2を返し(ステップS3、ステップS4)、認証要求が不正な場合には、認証部5は、認証権を与えることなく、その後の処理は中断される。」

ウ 「【0057】
センシング部1は、認証結果が「正当」である旨を受け取って、与えられた認証権x2と生体情報とをあわせて、通信部15を介して、再度送受信部4に送る(ステップS5)。なお、センシング部1は、生体情報とともに、当該生体情報の提供者の氏名や住所や個人の識別子などの個人情報も送信するようにしてもよい。・・・」

3 対比
(1) 本件補正発明と引用発明とを対比する。
ア 引用発明の「携帯端末」、「腕時計型測定器」、「飲食店案内装置」、「情報管理センタ」、「携帯端末」の「制御部」、及び「ネットワーク」は、本件補正発明の「生体情報管理装置」、「生体情報取得装置」、「健康管理情報仲介装置」、「健康管理情報提供装置」、「制御手段」、及び「通信網」にそれぞれ相当する。また、引用発明の「飲食店情報」及び「食事メニュー情報」は、本件補正発明の「健康管理情報」に相当し、引用発明の「健康管理情報」は「生体情報として、利用者の体温、脈拍、血圧、及び体脂肪率等を含む」ものであるから、本件補正発明の「生体情報」に相当する。

イ 引用発明の「腕時計型測定器」は、「ブルートゥース通信部」によって「携帯端末」と近距離通信を行うことと、引用発明の「情報管理センタ」と「携帯端末」が「ネットワークを介して接続」されることは、併せて本件補正発明の「生体情報取得装置と近距離無線通信経由で接続され、健康管理情報提供装置と通信網経由で接続」されることに相当する。

ウ 引用発明の「携帯端末」の「制御部」は、「予め設定された測定時刻となると、腕時計型測定器へ測定開始指示を送り、検出情報を取得するもの」であり、「検出情報」は、「利用者の体温、脈拍、血圧、及び体脂肪率」に関するものであり、「取得」には、「測定情報を受信するために用いられるブルートゥース通信部」を用いることから、引用発明のこれらの事項と、本件補正発明の「前記生体情報取得装置から前記近距離無線通信による利用者認証を得て測定される利用者の生体情報を受信する」こととは、「生体情報取得装置から前記近距離無線通信により利用者の生体情報を受信する」ことで共通する。

エ 引用発明の「携帯端末」の「制御部」が、「情報管理センタへ、生体情報として、利用者の体温、脈拍、血圧、及び体脂肪率等を含む健康管理情報を送信」することは、本件補正発明の「前記受信した生体情報を前記通信網経由で前記健康管理情報提供装置に送信」することに相当する。
また、引用発明の前記「制御部」は、「食事メニュー情報と、飲食店情報を受信すると、表示部に、食事メニュー情報と飲食店情報とを表示させるもの」であり、「飲食店情報」は、「生体情報として、利用者の体温、脈拍、血圧、及び体脂肪率等を含む」「健康管理情報と、利用者情報と、標準値情報とに基づいて、利用者の現在の健康状態を分析し、この分析結果に加え、食事履歴と、健康状態履歴と、運動履歴とに基づいて、利用者のための適切に管理された食事メニューを生成し、」「前記食事メニューの提供が可能」で「携帯端末の現在の位置情報に対応した飲食店」の情報であるから、これらの事項と、本件補正発明の「前記健康管理情報提供装置から、所定量蓄積された前記生体情報に基づく分析により加工され送信される健康管理情報を受信し、出力する制御手段」とは、「前記健康管理情報提供装置から、前記生体情報に基づく分析により加工され送信される健康管理情報を受信し、出力する制御手段」で共通する。

オ 引用発明の「飲食店案内装置」は、「健康管理システム」に「ネットワークを介して接続」されることから、本件補正発明の「前記通信網を介して更に接続される健康管理情報仲介装置」に相当する。更に、引用発明の「飲食店案内装置」は、「携帯端末」に「近距離通信」で接続され、「制御部が、案内情報供給処理で、携帯端末から、案内情報提示要求を利用者の識別情報とともに受る」ので、この動作は、本件補正発明の「健康管理情報仲介装置から近距離無線通信による利用者認証を得」ることに相当する。
そして、引用発明の「飲食店案内装置の制御部が、」「情報管理センタからこの利用者に対応した大規模商業施設内の飲食店の情報と、食事メニュー情報とを受け取って、送信することにより、前記飲食店の情報と、前記推奨メニュー情報を近距離通信によって」「携帯端末」がこれらの情報を「取得する」こと、及び「食事メニュー情報と、飲食店情報を受信すると、表示部に、食事メニュー情報と飲食店情報とを表示させる」ことと、本件補正発明の「前記健康管理情報仲介装置が前記健康管理情報提供装置から送信される生体情報に基づいて生成した健康管理情報を受信し、出力する」こととは、「健康管理情報を受信し、出力する」ことで共通する。

以上から、本件補正発明と引用発明とは、次の(2)に記載する点で一致し、続く(3)に記載する各点で相違する。

(2)一致点
「生体情報取得装置と近距離無線通信経由で接続され、健康管理情報提供装置と通信網経由で接続され、
前記生体情報取得装置から前記近距離無線通信によって測定される利用者の生体情報を受信するとともに、
前記受信した生体情報を前記通信網経由で前記健康管理情報提供装置に送信し、前記健康管理情報提供装置から、前記生体情報に基づく分析により加工され送信される健康管理情報を受信し、出力する制御手段、
を備え、
前記制御手段は、
前記通信網を介して更に接続される健康管理情報仲介装置から近距離無線通信による利用者認証を得、健康管理情報を受信し、出力するものである生体情報管理装置。」

(3)相違点
相違点1:生体情報取得装置から生体情報を受信するに際し、本件補正発明は、利用者認証を得て行われるものであるのに対して、引用発明は、利用者認証を得て行われるか不明である点。

相違点2:健康管理情報提供装置で分析する際に基づく生体情報が、本件補正発明は、所定量蓄積されたものであるのに対して、引用発明は、所定量蓄積されたものであるか否かが不明である点。

相違点3:健康管理情報仲介装置から近距離無線通信による利用者認証を得て、受信する健康管理情報について、本件補正発明は、健康管理情報仲介装置が健康管理情報提供装置から送信される生体情報に基づいて生成したものであるのに対して、引用発明は、飲食店案内装置で生成されるものではなく、情報管理センタから受け取るものである点。

4 当審の判断
(1)相違点1について
引用例2の上記摘記2(2)イ及びウには、センシング部が取得した生体情報を送信する際に、個人認証(本件補正発明の「利用者認証」に相当する)を行い、認証結果が「正当」であるときに、生体情報を送信することが記載されている。これは、引用例2の上記摘記2(2)アの記載されるように、個人情報に準する生体情報を保護するためのものである。
個人情報を保護することは、極めて周知な課題であるから、引用発明において、個人情報に準する生体情報を保護するために、腕時計型測定器(本願発明の「生体情報取得装置」に相当する)から近距離無線通信により生体情報を受信する際に、利用者認証を得て行うことは当業者が容易に想到しうることである。

(2)相違点2について
生体情報の分析において、時系列の変化を考慮するために、複数時点の生体情報を分析することや、複数の観点からの分析を行うため、複数種類の生体情報を分析することは、広く一般的に行われている慣用手段である。そして、引用発明は、複数回蓄積された健康管理情報を纏めて情報管理センタに送信するものであるから、情報管理センタに複数回の健康管理情報が記憶されることは明らかであり、引用例1の上記摘記2(1)ア(ケ)には、健康状態履歴に基づいて食事メニューを生成することが記載されており、時系列情報を用いることが示唆されているといえる。よって、より効果的な食事メニューを生成するために、複数時点の生体情報や複数種類の生体情報を蓄積して分析を行うこと、つまり「所定量蓄積された」生体情報に基づく分析を行うことは当業者が容易に想到しうることである。

(3)相違点3について
サーバで行う処理を、分散させて行うか、集中して行うかは、サーバの性能、コスト等を考慮して当業者が適宜決定しうることであり、引用発明において、サーバの配置やサーバの集約、分散を適宜決定できる旨の示唆が引用例1にある(上記摘記2(1)ア(セ)を参照。)。そこで、引用発明において、飲食店案内装置に情報管理センタから生体情報を取得して分析等の処理を行わせる機能を担わせて、食事メニューを生成させること、つまり、本件補正発明の相違点3に係る構成を具備させることは、当業者が容易に想到しうることである。

(4)効果について
本件補正発明が奏する効果について、本願明細書に次の記載がある。
「利用者の日常生活に密着して一層充実した健康管理を可能とし、かつその際に利用者が意識することなく健康管理ができ、使い勝手の向上が実現できる。」(【0061】)
しかし、このような効果は、引用例1並びに引用例2の記載、特に引用例1の
「・・・利用者は、現在の健康状態において最適な食事を取ることができ、利用者の健康管理に確実に寄与することができる。
したがって、外食中心の食生活を送りがちな例えば単身者等の利用者の健康の維持及び増進に役立てることができる。」(【0058】)、
「・・・旅行先や出張先等で、不案内な地域でも、迅速に飲食店を選択して、現在の健康状態において最適な食事を取ることができる。」(【0059】)、
という記載、及び上記慣用手段の効果から当業者が十分に予想しうる程度のものである。

(5)請求人の主張について
請求人は、審判請求の理由において
「引用文献5記載の発明と本願発明とを対比すると、健康管理情報提供装置から送信される健康管理情報を健康管理情報仲介装置経由で受信する構成を備えている点において一部に類似する部分が見られるもののやはり両者は顕著に相違しています。
すなわち、引用文献5記載の発明においては、蓄積された健康管理情報に基づいて、健康状態分析処理を行わないため、利用者の健康管理に寄与することができないことが懸念されます。
これに対し、本願発明においては、健康管理情報提供装置は、所定量蓄積した生体情報を加工して健康管理情報を生成し、生成した健康管理情報を生体用法管理装置に送信します。このため、本願発明においては、健康管理情報提供装置は、所定量蓄積した生体情報に基づいて健康管理情報を生成するため、利用者毎に適した健康管理情報を提供することができるとともに、利用者の日常生活に密着してより一層充実した健康管理が可能であるという引用文献5記載の発明からは決して得ることのできない顕著な効果を奏します。 」
と、本件補正発明(上記摘記中では「本願発明」と記載されている。)と引用例1(上記摘記中では「引用文献5」と記載されている。)との対比を行い、相違点及び効果についての主張を行っている。しかし、上記主張中の相違点に関しては、上記(2)に検討したとおりであり、効果についても、上記(4)に検討したとおりであるから、上記主張は採用することができない。
なお、本審決における引用例1は、平成25年11月25日付けの拒絶の理由においては、「引用文献5」として提示されていたものであるが、平成26年2月24日付け拒絶査定においては、その引用文献5について主に述べられ、請求人も、それに対し本件補正を行い、審判請求書で、上記のとおり「引用文献5記載の発明と本願発明」との対比した結果についての主張もしていることから、請求人に、さらに、補正の機会又は反論の機会を与える必要はないものと判断した。

(6)小括
よって、本件補正発明は、引用発明、引用例2の記載事項、及び慣用手段に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

5 むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で読み替えて準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の特許請求の範囲の請求項1?11に係る発明は、平成26年1月23日付け手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1?11に記載されたとおりのものであり、そのうち請求項1に係る発明(以下「本願発明」という)は、以下のとおりである。
「【請求項1】
生体情報取得装置と近距離無線通信経由で接続され、健康管理情報提供装置と通信網経由で接続され、
前記生体情報取得装置から前記近距離無線通信による利用者認証を得て測定される利用者の生体情報を受信するとともに、
前記受信した生体情報を前記通信網経由で前記健康管理情報提供装置に送信し、前記健康管理情報提供装置から、前記生体情報に基づく分析により加工され送信される健康管理情報を受信し、出力する制御手段、
を備え、
前記制御手段は、
前記通信網を介して更に接続される健康管理情報仲介装置から近距離無線通信による利用者認証を得、前記健康管理情報仲介装置が前記健康管理情報提供装置から送信される生体情報に基づいて生成した健康管理情報を受信し、出力することを特徴とする生体情報管理装置。」


2 引用例その記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である上記引用例1並びに2の記載事項及び引用発明は、上記「第2」「2 引用例及びその記載事項」に記載したとおりである。

3 対比・判断
上記「第2」「1 本件補正の内容」に記載したとおり、本件補正発明は、本願発明にさらに限定事項を追加したものであるから、本願発明は、本件補正発明から限定事項を省いた発明といえる。その本件補正発明が、前記「第2」「3 対比」及び「4 当審の判断」に記載したとおり、引用発明、引用例2の記載事項、及び慣用手段に基いて当業者が容易に発明することができたものである以上、本願発明も同様の理由により、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび
以上の通りであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

したがって、その余の請求項に係る発明について言及するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-07-01 
結審通知日 2015-07-07 
審決日 2015-07-22 
出願番号 特願2011-514432(P2011-514432)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A61B)
P 1 8・ 121- Z (A61B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 野田 洋平早川 貴之  
特許庁審判長 三崎 仁
特許庁審判官 松本 隆彦
信田 昌男
発明の名称 生体情報管理装置、生体情報管理装置を用いた健康管理システム、同システムにおける健康管理情報の閲覧方法、生体情報管理プログラム  
代理人 丸山 隆夫  
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