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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G01S
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 G01S
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01S
管理番号 1308232
審判番号 不服2014-20977  
総通号数 193 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-01-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-10-16 
確定日 2015-12-02 
事件の表示 特願2011-538678「再構成可能な衛星ポジショニングシステム受信機」拒絶査定不服審判事件〔平成22年 6月17日国際公開、WO2010/068456、平成24年 4月26日国内公表、特表2012-510073〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
特許出願: 平成21年11月24日
(パリ条約による優先権主張外国庁受理2008年11月25日、US、を伴う国際出願)
手続補正: 平成25年9月27日(以下、「補正1」という。)
拒絶査定: 平成26年6月13日付け(送達日:同年同月17日)
拒絶査定不服審判の請求: 平成26年10月16日
手続補正: 平成26年10月16日(以下、「本件補正」という。)


第2 補正の却下の決定

[結論]
本件補正を却下する。

[理由]
1 補正の内容
本件補正によって、特許請求の範囲の請求項1は、以下のように補正された。

(補正前)
「第1の衛星ポジショニングシステム(SPS)の第1の信号を受信するように、少なくとも第1の受信機パスを、構成することと、
他の少なくとも1つのSPSの信号を受信するように、少なくとも第2の受信機パスを、構成することと、
その後に、前記第1のSPSの第2の信号を受信するように、少なくとも前記第2の受信機パスを、構成することと
を含む方法。」

(補正後)
「少なくとも第1の受信機パスを、第1の衛星ポジショニングシステム(SPS)の第1の信号を受信可能にすることと、
少なくとも第2の受信機パスを、他の少なくとも1つのSPSの信号を受信可能にすることと、
その後に、少なくとも1つの追加の信号を受信するために前記第1のSPSを選択することと、
少なくとも前記第2の受信機パスを、前記追加の信号として前記第1のSPSの第2の信号を受信可能にすることと
を含む方法。」

上記補正は実質的に、補正後の請求項1において、「少なくとも1つの追加の信号を受信するために前記第1のSPSを選択する」工程を追加し、併せて拒絶査定で指摘された不明瞭な記載を修正するものである。
よって、この補正は、特許請求の範囲の減縮及び不明瞭な記載の釈明を目的とする補正に該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて以下に検討する。

2 検討
(1)引用例記載の事項・引用発明
原査定の拒絶の理由に引用文献2として引用され、本願の最先の優先日前に日本国内において頒布された刊行物である特開2005-207888号公報(以下「引用例」という。)には、「衛星測位用信号受信装置」(【発明の名称】)の発明に関し、次の事項(a)が記載されている。

(a)
「【0031】
・・・
図3は、デジタル処理部81が衛星測位用信号の受信状態に基づいて受信対象の衛星測位用信号を選択(自動選択)し、その選択した衛星測位用信号を受信できるよう、受信特性の切り替え設定を行う場合の、デジタル処理部81にて実行される処理内容を示すフローチャートである。
【0032】
まず、デフォルト状態として、GPSに属する任意の衛星測位用信号とガリレオシステムに属する任意の衛星測位用信号がそれぞれ第1の受信処理系と第2の受信処理系における受信対象信号となるよう、局部発振器41,42の周波数及びIFフィルタ部71,72の特性を切り替え設定した上で、それらの各信号の受信状況を確認する(S110)。
【0033】
なお、S110におけるデフォルト状態で受信する対象信号としては、例えばGPS-L1とGalileo-L1を採用することが考えられる。もちろん、他の周波数の信号を用いても構わない。

・・・

【0036】
S120にて肯定判断、つまり両方の衛星測位用信号の受信状態が悪い場合には、S110へ戻る。一方、少なくとも何れか一方の衛星測位用信号の受信状態は良好である場合、S130へ移行し、GPSに属する衛星測位用信号の方がガリレオシステムに属する衛星測位用信号より受信状態が良好か否かを判断する。そして、GPSに属する衛星測位用信号の方がガリレオシステムに属する衛星測位用信号より受信状態が良好であれば(S130:YES)、GPSに属する衛星測位用信号を受信するよう制御し(S140)、一方、GPSに属する衛星測位用信号がガリレオシステムに属する衛星測位用信号よりも受信状態が良好というわけではない場合(S130:NO)、ガリレオシステムに属する衛星測位用信号を受信するよう制御する(S150)。
【0037】
なお、S140,S150における受信制御に関しては、例えばS110にて受信状況を確認した衛星測位用信号の内のGPS側あるいはガリレオシステム側の信号のみをデータ復調して用いる、という単純な制御も考えられるし、同一システムに属する2種類の周波数のものを受信するよう制御することも考えられる。つまり、S110で各システムの第1周波数信号、つまりGPS-L1とGalileo-L1を受信する設定としていた場合、S140であればGPSに属する2周波測位が実現されるよう、Galileo-L1に代えてGPS-L2Cを受信するための特性設定をする。一方、S150であればガリレオシステムに属する2周波測位が実現されるよう、GPS-L1に代えてGalileo-E5a(あるいはGalileo-E5bやGalileo-E6でもよい)を受信するための特性設定をする。
【0038】
S140またはS150の処理後は、S160へ移行し、受信状態が悪いか否か判断し、受信状態が悪くなった場合は(S160:YES)、S110へ戻る。
上記図3に示す処理の場合は、GPSとガリレオシステムの内の受信状態のよい何れか一方の衛星測位用信号のみを用いるようにしたが、両方の衛星測位システムにおける信号の受信状態が悪い場合(図3のS120:YES)、何れの衛星測位システムの信号も測位に用いないようにしていた。しかしながら、両方の衛星測位システムの信号を併用すれば測位が可能な場合も想定される。そこで、図4に示すようなハイブリッド受信も実現できるような制御を実行しても良い。」

上記記載(a)の記載から、引用例には、次の発明が記載されていると認められる。

「デフォルト状態として、GPSに属する衛星測位用信号GPS-L1が第1の受信処理系における受信対象信号となるよう切り替え設定することと、
デフォルト状態として、ガリレオシステムに属する衛星測位用信号Galileo-L1が第2の受信処理系における受信対象信号となるよう切り替え設定することと、
GPSとガリレオシステムの内の受信状態のよい何れか一方の衛星測位用信号のみを用いるために、GPSに属する衛星測位用信号の方がガリレオシステムに属する衛星測位用信号より受信状態が良好であれば、GPSに属する衛星測位用信号を受信するよう制御することと、
Galileo-L1に代えてGPS-L2Cを受信するための特性設定をすることと
を含む方法。」(以下、「引用発明」という。)

(2)対比・判断
本願補正発明と引用発明とを対比する。
まず、引用発明における「第1の受信処理系」「GPSに属する衛星測位用信号GPS-L1」は、それぞれ本願補正発明の「第1の受信機パス」「第1の衛星ポジショニングシステム(SPS)の第1の信号」に相当するから、引用発明の「デフォルト状態として、GPSに属する衛星測位用信号GPS-L1が第1の受信処理系における受信対象信号となるよう切り替え設定すること」は、本願補正発明の「少なくとも第1の受信機パスを、第1の衛星ポジショニングシステム(SPS)の第1の信号を受信可能にすること」に相当する。
また同様に、引用発明の「第2の受信処理系」「ガリレオシステムに属する衛星測位用信号Galileo-L1」は、それぞれ本願補正発明の「第2の受信機パス」「他の少なくとも1つのSPSの信号」に相当するから、引用発明の「デフォルト状態として、ガリレオシステムに属する衛星測位用信号Galileo-L1が第2の受信処理系における受信対象信号となるよう切り替え設定すること」は、本願補正発明の「少なくとも第2の受信機パスを、他の少なくとも1つのSPSの信号を受信可能にすること」に相当する。
引用発明は、「GPSとガリレオシステムの内の受信状態のよい何れか一方の衛星測位用信号のみを用いるために、GPSに属する衛星測位用信号の方がガリレオシステムに属する衛星測位用信号より受信状態が良好であれば、GPSに属する衛星測位用信号を受信するよう制御」しており、GPSとガリレオシステムの内GPSの受信状態が良好であれば、GPSに属する衛星測位用信号のみを用いるように制御されるのであるから、これは本願補正発明の「第1のSPSを選択すること」に相当する。またその際には、Galileo-L1が受信対象信号であるデフォルト状態に代えてGPS-L2Cを受信するよう設定されるのであるから、この選択はデフォルト状態の設定の後に行われる、GPS-L2Cの受信のためのものであるといえる。したがって、引用発明の「GPSとガリレオシステムの内の受信状態のよい何れか一方の衛星測位用信号のみを用いるために、GPSに属する衛星測位用信号の方がガリレオシステムに属する衛星測位用信号より受信状態が良好であれば、GPSに属する衛星測位用信号を受信するよう制御すること」は、本願補正発明の「その後に、少なくとも1つの追加の信号を受信するために前記第1のSPSを選択すること」に相当する。
また、引用発明においてGPS-L2Cの受信は「Galileo-L1に代えて」行われているが、デフォルト状態ではGalileo-L1は第2の受信処理系によって受信されているのであるから、これに代えたGPS-L2Cの受信が第2の受信処理系(本願補正発明の「第2の受信機パス」に相当。)によって行われることは明らかである。したがって、引用発明の「Galileo-L1に代えてGPS-L2Cを受信するための特性設定をすること」は、本願補正発明の「少なくとも前記第2の受信機パスを、前記追加の信号として前記第1のSPSの第2の信号を受信可能にすること」に相当する。

してみると、引用発明と本願補正発明との間に実質的な相違点は見いだせない。
したがって、本願補正発明は引用発明であるか、又は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、又は、同条第2項の規定により特許を受けることができない。

3 まとめ
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は前記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、補正1によって補正された明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明は次のとおりである。

「第1の衛星ポジショニングシステム(SPS)の第1の信号を受信するように、少なくとも第1の受信機パスを、構成することと、
他の少なくとも1つのSPSの信号を受信するように、少なくとも第2の受信機パスを、構成することと、
その後に、前記第1のSPSの第2の信号を受信するように、少なくとも前記第2の受信機パスを、構成することと
を含む方法。」(以下「本願発明」という。)

2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由1は、本願発明は、その最先の優先日前に日本国内において頒布された刊行物である特開2005-207888号公報(引用例)などに記載された発明であるか、又は、その発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、又は、同条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

3 判断
本願発明は、前記「第2 補正の却下の決定」の「1 補正の内容」で検討した本願補正発明から、「少なくとも1つの追加の信号を受信するために前記第1のSPSを選択する」工程を追加して限定することを省いたものである。
そうすると、本願発明の構成に上記本件補正に係る限定を付加した本願補正発明が、前記「第2 補正の却下の決定」の「2 検討」における「(2)対比・判断」に記載したとおり、引用発明であるか、又は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用発明であるか、又は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明であるか、又は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、又は、同条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について審理するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-07-06 
結審通知日 2015-07-07 
審決日 2015-07-21 
出願番号 特願2011-538678(P2011-538678)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G01S)
P 1 8・ 113- Z (G01S)
P 1 8・ 121- Z (G01S)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大和田 有軌中村 説志  
特許庁審判長 森 竜介
特許庁審判官 中塚 直樹
堀 圭史
発明の名称 再構成可能な衛星ポジショニングシステム受信機  
代理人 野河 信久  
代理人 岡田 貴志  
代理人 井上 正  
代理人 福原 淑弘  
代理人 佐藤 立志  
代理人 蔵田 昌俊  
代理人 峰 隆司  
代理人 砂川 克  
代理人 堀内 美保子  
代理人 井関 守三  
代理人 河野 直樹  
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