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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04L
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04L
管理番号 1308283
審判番号 不服2014-17722  
総通号数 193 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-01-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-09-05 
確定日 2015-12-01 
事件の表示 特願2011-516859「トランスペアレンシー機能を用いる適応ファイル送達のシステムおよび方法」拒絶査定不服審判事件〔平成22年 1月 7日国際公開、WO2010/003024、平成23年10月20日国内公表、特表2011-527164〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2009年7月1日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2008年7月2日、米国)を国際出願日とする出願であって、原審において平成24年12月17日付けで手続補正され、平成25年9月18日付けで拒絶理由が通知され、平成26年3月24日付けで手続補正されたが、同年5月1日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年9月5日に拒絶査定不服の審判が請求されるとともに、同日付けで手続補正されたものである。

第2 補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成26年9月5日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.本願発明と補正後の発明
上記手続補正(以下「本件補正」という。)は、本件補正前の平成26年3月24日付けで手続補正された特許請求の範囲の請求項7に記載された

「ネットワークの第1の部分に接続されており、第1のネットワークアドレスを有する受信システムと送信システムの間で、前記受信システムによってまだ受信されていないファイルの残りの部分のファイルセグメントを送信するための第1のセッションを開始することと、
前記ファイルセグメントの第1の部分が前記受信システムによって受信された後で、かつ前記ファイルセグメントの第2の部分が前記受信システムによってまだ受信されていない前記第1のセッションの間に、前記受信システムを前記ネットワークから切断し、それによって前記第1のセッションを終了させることと、
前記ネットワークから前記受信システムを切断した後に、前記第1のネットワークアドレスとは異なる第2のネットワークアドレスを有する前記受信システムを前記ネットワークの第2の部分に接続することと、
前記受信システムを前記ネットワークの前記第2の部分に接続した後に、第2のセッションを自動的に開始し、前記ファイルセグメントの第2の部分を前記送信システムから前記受信システムに送信することを再開することと、
前記ファイルの残りの部分の決められたサイズおよび前記ファイルの前記残りの部分を転送するために使用可能な時間の量に部分的に基づいて、前記ファイルセグメントを転送するための最小転送速度を決定することと、
前記最小転送速度および前記送信システムの最大転送容量に部分的に基づいて、前記ファイルの前記残りの部分の前記ファイルセグメントを転送するための最大転送速度を決定することと、
を含む方法。」

という発明(以下「本願発明」という。)を、

「ネットワークの第1の部分に接続されており、第1のネットワークアドレスを有する受信システムと、前記ネットワークにより前記受信システムに接続された送信システムの間で、前記受信システムによってまだ受信されていないファイルの残りの部分のファイルセグメントを送信するための第1のセッションを開始することと、
前記ファイルセグメントの第1の部分が前記送信システムから前記受信システムによって受信された後で、かつ前記ファイルセグメントの第2の部分が前記受信システムによってまだ受信されていない前記第1のセッションの間に、前記受信システムを前記ネットワークから切断し、それによって前記第1のセッションを終了させることと、
前記ネットワークから前記受信システムを切断した後に、前記第1のネットワークアドレスとは異なる第2のネットワークアドレスを有する前記受信システムを前記ネットワークの第2の部分に接続することと、
前記受信システムを前記ネットワークの前記第2の部分に接続した後に、前記送信システムと前記受信システムとの間の第2のセッションを自動的に開始し、前記ファイルセグメントの第2の部分を前記送信システムから前記受信システムに送信することを再開することと、
前記ファイルの残りの部分の決められたサイズおよび前記ファイルの前記残りの部分を転送するために使用可能な時間の量に部分的に基づいて、前記ファイルセグメントを転送するための最小転送速度を決定することと、
前記最小転送速度および前記送信システムの最大転送容量に部分的に基づいて、前記ファイルの前記残りの部分の前記ファイルセグメントを転送するための最大転送速度を決定することと、
を含む方法。」

という発明(以下「補正後の発明」という。)に変更することを含むものである。

2.新規事項の有無、シフト補正、補正の目的要件について
本件補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内において、補正前の特許請求の範囲の請求項7に記載された、「送信システム」に関し、「前記ネットワークにより前記受信システムに接続された送信システム」と限定し、また、「前記受信システムによって受信された後で」に関し、「前記送信システムから」前記受信システムによって受信された後でと限定し、また、「第2のセッション」に関し、「前記送信システムと前記受信システムとの間の第2のセッション」と限定して、特許請求の範囲を減縮するものであるから、特許法第17条の2第3項及び第4項の規定に適合するとともに、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

3.独立特許要件について
上記補正は特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、上記補正後の発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるのかどうか(特許法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項の規定に適合するかどうか)について以下に検討する。

(1)補正後の発明
上記「1.本願発明と補正後の発明」の項で補正後の発明として認定したとおりである。

(2)引用発明等
A 原審の拒絶理由に引用された、本願の優先権主張の日前に外国において頒布された刊行物である国際公開第2006/110524号(平成18年10月19日公開、以下「引用例1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

イ.「Field of the Invention
The present invention is generally related to computer networks, and more particularly related file transmission over such networks. 」(1頁4?6行)

訳文(イ.)「技術分野
本発明は、一般にコンピュータネットワークに関し、より詳細には、そのようなネットワーク上のファイル伝送に関する。」

ロ.「An adaptive file delivery system 100 is shown in Figure 1 to include a sending system 102 and a receiving system 104 both communicatively linked to a network 106. The sending system 102 could be comprised of a computer system or a plurality of collocated or distributed computer systems such as a servers, databases, storage units, routers, switches, firewalls, or other such devices, connected via fiber, wireline, wireless means to the network 106. The receiving system 104 could be collocated with a DVR, PC, network storage unit, client work station, television set top box, modem, gateway, or other such devices such as a personal data assistant (PDA), portable audio-video player, cellular communication device such as a cell phone or in a dedicated hardware unit. The receiving system 104 could be connected via fiber, wireline, wireless means to the network 106. The network 106 could include one or more network components from the Internet or other networks, such as WANs, including but not limited to wired (DSL, cable, powerline), fiber, wireless, satellite, and cellular type networks. The network 106 could include other such network components such as but not limited to modems, routers, bridges, gateways, network interfaces, cabled transmissions, wireless transmissions, local area networks (LANs), access networks, provider networks, and peer-to-peer arrangements. The sending system 102 is shown in Figure 1 as sending a file segment 108 over the network 106 to the receiving system 104. The sending system 102 includes an interface 1 10 to access the network 106, a processor 112, and storage 114 containing a file 116 to be transmitted over the network to the receiving system 104 and containing one or more modules with instruction to implement adaptive file delivery methods. The receiving system 104 includes an interface 118 to access the network 106, a processor 120, and storage 122 to store copies of portions of the file 116 received from the sending system 102 and to store one or more modules to implement instructions regarding adaptive file delivery methods. It is understood that the receiving system 104 could be located at an end user's location or be located at some intermediary network location e.g. to serve as a caching mode for distributing content geographically closer to a plurality of end users.
The file segment 108 is a copy of a portion of the file 116. The sending system 102 sends a copy of the file 116 to the receiving system 104 by breaking up the file copy into a plurality of segments such as including the segment 108 shown in Figure 1. The plurality of segments is sent over the network 106 one at a time until the receiving system 104 has received an entire copy of the file 116. Each segment is sent at a different one of a plurality of time periods.」(4頁18行?5頁17行)

訳文(ロ.)「適応型ファイル配信システム100が図1に示されており、いずれもネットワーク106へと通信可能にリンクされた送信システム102と受信システム104を含んでいる。送信システム102はコンピュータシステム、あるいはファイバ、有線、無線手段を介してネットワーク106へと接続されたサーバ、データベース、記憶装置、ルータ、スイッチ、ファイアウォール、あるいは他の同様な装置など、配列あるいは分散型の複数のコンピュータシステムからなるものとできる。受信システム104は、DVR、PC、ネットワーク記憶装置、クライアントワークステーション、テレビセットトップボックス、モデム、ゲートウェイ、あるいは携帯情報端末(PDA)、携帯オーディオビデオプレーヤ、携帯電話などの携帯通信装置といったその他の装置と共に、あるいは専用のハードウェア装置内に配置することができる。受信システム104は、ファイバ、有線、無線手段でネットワーク106へと接続できる。ネットワーク106は、インターネットや、有線(DSL、ケーブル、電線)、ファイバ、無線、衛星、携帯電話型ネットワークを含むがそれに限定されるものではないWANなどの他のネットワークから、ネットワーク要素を1つ以上含むものとできる。ネットワーク106は、モデム、ルータ、ブリッジ、ゲートウェイ、ネットワークインターフェース、ケーブル放送、無線放送、ローカルエリアネットワーク(LAN)、アクセスネットワーク、プロバイダネットワーク、そしてピアツーピア構成などだがこれに限定されるものではない他の同様なネットワーク要素を含むこともできる。送信システム102は図1に、ネットワーク106を介して受信システム104へとファイルセグメント108を送信するものとして示されている。送信システム102は、ネットワーク106にアクセスするためのインターフェース110、プロセッサ112、そしてネットワークを介して受信システム104へと伝送されるファイル116を保持し適応型ファイル配信方法を実施するための命令のある1つ以上のモジュールを保持する記憶装置114を含む。受信システム104は、ネットワーク106にアクセスするためのインターフェース118、プロセッサ120、そして送信システム102から受信したファイル116の一部のコピーを記憶し適応型ファイル配信方法に関する命令を実施するための1つ以上の方法を記憶する記憶装置122を含む。受信システム104は、エンドユーザの位置にあってもよいし、何らかの中間ネットワークの位置にあって、例えば複数のエンドユーザへとコンテンツを地理的に近接するように配信するキャッシュモードとして機能するものであってもよいことは当然である。
ファイルセグメント108は、ファイル116の一部のコピーである。送信システム102はファイル116のコピーを、図1に示すセグメント108を含むような複数のセグメントへとファイルコピーを分割して受信システム104に送る。複数のセグメントは、ネットワーク106を介して、受信システム104がファイル116の全コピーを受け取るまで一度に一つずつ送られる。各セグメントは、複数の期間の異なる1つの期間で送られる。」

ハ.「An exemplary adaptive file delivery method 130 is shown in Figure 2 to include the receiving system 104 sending a file request and a delivery deadline, Td, to the sending system 102 (step 132). Although passage of time as depicted in Figure 2 follows a downward vertical direction, the passage of time is not shown to scale in Figure 2. Generally, only the time periods, WJ, associated with the wait portions of the transmission periods, and the time periods associated with the time periods, dTJ, associated with the segment transmission portions of the transmission periods require relatively significant amounts of time to pass. Although it may appear on Figure 2 that other activities depicted take a relatively significant amount of time, as well, these other activities in general take relatively insignificant amounts of time and are allotted additional space along the vertical axis of Figure 2 only for convenience in displaying the activities due to the limitations of the form of depiction rather than an intent to display these other activities as taking relatively significant periods of time.
The delivery deadline, Td, is generally a time by when a user of the receiving system 104 would desire the receiving system to have received all segments of the file 116. In some implementations, the delivery deadline, Td, may be calculated by the system 100 to be of a certain duration (e.g., a plurality of hours or days from a time the file is first requested or begun to be transmitted or from another time) and as a consequence, may effectively reduce the overall transfer rate of the file to a level even below an overall rated or experienced minimum capacity of the network 106, such as even below a capacity of the network experienced during certain congested periods or experienced during other periods of network activity. The receiving system 104 then sends to the sending system 102 an initial acknowledgment, which serves as a request for the first file segment to be sent by the sending system (step 134). Upon receiving the initial acknowledgment from the receiving system 104, the sending system 102 determines a first maximum segment transmission rate limit, Rmax_1 , and a first minimum segment transmission rate limit, RminJ (step 136).
In general, the minimum segment transmission rate limit, Rmin, is determined by the sending system 102 based upon two factors. The first factor is file size, Xrem, of that remaining portion of the file 116 that has yet to be sent by the sending system 102 to the receiving system 104. The second factor is the amount of remaining time available to transmit file segments from the sending system 102 to the receiving system 104 between the present time of the determination, Tnow, and the time of the delivery deadline, Td. The amount of remaining time available may be reduced by predetermined amounts of time, Tunavail, known when adaptive file delivery cannot occur above a configurable lower transfer rate threshold (that could be zero or higher) for the particular file transmission due to unavailability of the network 106 and/or the sending system 102 and/or the receiving system 102 for segment transmission.
These unavailable time periods, Tunaval, may be typically busy periods for the network 106 and/or the sending system 102. The unavailable time periods, Tunaval, can be pre-configured into the profiles of the sending system 102 and/or the receiving system 104. Alternatively, the unavailable time periods, Tunaval, can be determined by the sending system 102 and/or the receiving system 104 by examining historical data of previous transmissions including adaptive file delivery transmissions. For instance, historical data regarding the actual segment transmission rates, RJ, for one or more of the jth segment transmissions of an adaptive file delivery could be examined to determine busy times for the sending system 102, and/or the receiving system 104, and/or the network 106.
For example, a user of the receiving system 104 may want to block adaptive file delivery for a particular time period during each weekday from 9:00 a.m. to 11 :00 a.m. if the user's requirements for tasks for the receiving system other than adaptive file delivery necessitates maximum performance from a portion of the network 106 local to the receiving system during those times. For the blocked period, the user of the receiving system 104 could configure the profile of the receiving system to indicate whether a transfer was permitted to proceed during this blocked period at some minimal background rate, such as a rate below RminJ. Alternatively, the user may configure the profile of the receiving system 104 to not receive any adaptive file delivery during this blocked period. If a user of the receiving system 104 does not specify a time period when the user does not want the receiving system to receive file segments, then the receiving system can learn these block out periods by monitoring use of the receiving system and one or more portions of the network 106 local to the receiving system for such things as busy periods, variation in segment transmission rates, etc. Similarly, an access network provider might want to block adaptive file delivery for particular busy hour periods during each day if the providers network was otherwise busy or near capacity with unrelated traffic. The provider might also want to limit the plurality of adaptive file delivery jobs across their network to an aggregate minimal background rate.
A prudent measure would insure that the sending system 102 would conservatively determine the value for each minimum transfer rate, RminJ, to be larger than may be necessary to meet the requested delivery deadline, Td, if actual practice fortunately has more favorable conditions than may be conservatively anticipated. It is understood by this conservative approach that calculations of RminJ typically presuppose a "just in time" completion of adaptive file delivery based on the remaining file size and any anticipated idle periods.
Since the network 106 may have a surplus capacity not factored into the conservative RminJ determinations, the adaptive file delivery may proceed faster than an estimate based upon segment transmissions performed exclusively at an average rate of all the RminJ involved in the adaptive file delivery. Consequently, a number of actual transfers of various massive files may finish early. Using a conservative approach of estimating RminJ provides a buffer of time against unanticipated network congestion and maintains the expectation of completing the adaptive file delivery by the requested delivery deadline, Td. If, due to unexpected congestion, a transfer falls behind its minimum rate schedule, the adaptive file delivery methods automatically compensates by gradually raising the minimum transfer rate, RminJ, after each successive jth segment transmission as the delivery deadline approaches. This gradual raising of successive minimum transfer rates, RminJ, is a graceful way of adjusting priorities to favor late jobs over on-time or ahead-of-schedule jobs. RminJ is evaluated by the sending system 102, or in alternative implementations by the receiving system 104, each time a file segment is sent from sending system to the receiving system.
An exemplary equation for determination of Rmin for the jth transmission is as follows:
(1 ) Rmin J = Xrem J/(Td - TnowJ - TunavalJ).

In some implementations, the sending system 102 can send updates to an estimated delivery time, which may be the same as, sooner than, or later than the requested delivery deadline, Td, depending whether any delaying events occur on the network 106. A practical result of keeping the receiving system 104 updated as to an estimated delivery time would be to reduce the number of inquiries by a user of the receiving system regarding this estimated delivery time.
In general, the maximum segment transmission rate limit, Rmax, is greater than the minimum segment transmission rate limit, Rmin, by an amount depending on one or more of a number of possible factors including any additional surplus transmission capacity of the sending system 102 that has not been allocated to another transmission task. Other possible factors that could be used to influence Rmax include the maximum permitted transfer rate to a user determined by their service agreement with their network provider, the actual measured rate of last segment or averaged rate of the last N segments, pre-configured access network provider profiles, etc. Thus, the maximum segment transmission rate limit, Rmax, is determined by the sending system 102 based upon three factors.
The first factor is the minimum segment transmission rate limit, Rmin, already determined. The second factor is the maximum transmission rate capacity, Reap, of the sending system 102. Maximum transmission capacity of the sending system 102 is affected by such things as transmission bandwidth capacity of the interface 110 of the sending system.
The third factor takes into consideration not only the present task for the sending system 102 to transmit the file 116 to the receiving system 104, but also takes into consideration any other active jobs for other file transmission tasks undertaken by the sending system to transmit at least a portion of another file to the receiving system 104 or any other receiving systems during the time span in which the file 116 is to be sent. The number of these other tasks can be expressed as "Q - 1" so that the number Q includes all active transmission jobs including the file 116 transmission task. One approach assumes that any surplus transmission capacity of the sending system 102 would be allocated equally among the Q transmission tasks. By this approach, transmission surplus allocated to the file 116 transmission task would be the difference between Rcap/Q and the average of the minimum segment transmission rate limits of the Q transmission tasks, . The average can be expressed as Sum(Rmin)/Q where Sum(Rmin) represents the sum of all the various minimum segment transmission rate limits for the Q transmission tasks.
An exemplary equation for determination of maximum segment transmission rate limit, Rmax, for the jth segment transmission of file 116 transmission task is as follows:
RmaxJ = RminJ + Rcap/QJ - Sum(Rmin)J/QJ.
It is understood that RmaxJ as calculated in Equation 2 would be limited to values equal to or exceeding RminJ.
Equation 2 is an example of a policy that the sending system 102 might enforce but other policy decisions could equally be employed to calculate Rmax. For instance, an alternative approach would not equally share surplus bandwidth but would rather give priority to selected transmission jobs. For instance, in order to give surplus transmission capacity temporarily to particular jobs, the sending system 102 could use congestion measurements to reduce Rmax for jobs that were unable to take advantage of the maximum allocated rate.
In addition to Equation 2, it is further understood that RmaxJ could be subject to a number of additional constraints intended to further react to congestion sensed in the network 106. An additional exemplary Equation (2a) for determination of the maximum segment transfer rate limit, Rmax, for jth segment of file 116 transfer task is as follows:
(2a) RmaxJ = H(RJj-I)) * RmaxJ
where RmaxJ on the right side of Equation 2a is as calculated in Equation 2 above and where R_(j-1 ) is the actual measured rate of the previously sent segment or zero if it is the first segment. For example
(2b) H(R_(j-1)) = ( R_(j-1)/Rpeak)**n , n = 2, 3 . . .
where Rpeak is the maximum allowed throughout to a given receiving system 104, e.g. enforced by the receiving system's network 106. Other functional dependencies on the measured rate R as in equation 2b and other congestion sensing metrics are possible including configured time-of-day profiles from operators of the network 106, feedback of congestion sensing agents in the network 106, and so on.
After determining the first maximum segment transmission rate limit, Rmax_1, and the first minimum segment transmission rate limit, Rmin_1 in step 136, the sending system 102 transmits a first transmission (step 138) including a first segment of the file 116, values for Rmax_1 and Rmin_1 and a time stamp indicating the time that the first transmission was sent from the sending system. The first transmission is the transmission portion of a first time period, which also includes a wait portion as discussed further below.」(6頁15行?11頁12行)

訳文(ハ.)「例示的な適応型ファイル配信方法130が図2に示され、送信システム102へのファイル要求と配信期限Tdを送信する受信システム104を含んでいる(ステップ132)。図2に描かれた時間経過は垂直下向き方向に沿っているが、時間経過は図2においては拡張するものとは描かれていない。一般に、伝送期間の待機部分と関連する期間W_j、ならびに伝送期間のセグメント伝送部分と関連する期間dT_jと関連する期間のみが、比較的長い時間の経過を必要とする。図2では描かれているその他の活動でも比較的長い時間がかかっているように見えるが、こうした他の活動には一般に比較的短い時間しかかからず、これらの他の活動に比較的長い時間がかかっているものと示す目的ではなく表現形態上の制限から活動を示すための便宜上、図2の垂直軸に沿って追加的スペースが与えられている。
配信期限Tdは、一般に、受信システム104のユーザがそれまでに受信システムにファイル116の全セグメントを受信することを望む時間である。いくつかの実施例では、配信期限Tdはシステム100によって、ある長さ(例えば、ファイルが最初に要求されたか、若しくは伝送が始まった時から、又は別の時から数時間あるいは数日)を持つものとして計算され、そしてその結果、ファイルの総転送速度を、ネットワーク106の全体評価でのあるいはこれまでの最低容量よりも低い、例えば、ある混雑期間またはネットワーク活動の他の期間に経験されたネットワーク容量よりも低い水準まで、効果的に減少するものとできる。次いで、受信システム104は、初期肯定応答(acknowledgement)を送信システム102に送信し、これが送信システムによって送信されるべき第1のファイルセグメントの要求として機能する(ステップ134)。初期肯定応答を受信システム104から受信すると、送信システム102は第1の最高セグメント伝送速度限度Rmax_1および第1の最低セグメント伝送速度限度Rmin_1を決定する(ステップ136)。
一般に、最低セグメント伝送速度限度Rminは2つの要素に基づいて送信システム102によって決定される。第1の要素は、送信システム102によってこれから受信システム104へと送られることになっているファイル116の残りの部分のファイルサイズXremである。第2の要素は、決定の現在時間Tnowと配信期限の時間Tdの間で、送信システム102から受信システム104へのファイルセグメントの伝送に利用可能な残り時間の長さである。利用可能な残り時間の長さは、ネットワーク106および/または送信システム102および/または受信システム102のセグメント伝送への利用困難さによって適応型ファイル配信が、特定のファイル伝送における設定可能な下側の転送速度閾値(ゼロ以上とできる)以上で実行不可能な場合に、既知の所定長さの時間Tunavailだけ減らすことができる。
こうした利用不可期間Tunavalは一般的に、ネットワーク106および/または送信システム102のビジー期間である。利用不可期間Tunavalは、送信システム102および/または受信システム104のプロファイルに事前設定することができる。あるいは利用不可期間Tunavalは、適応型ファイル配信伝送を含む、以前の伝送の履歴データを調べることで送信システム102および/または受信システム104によって決定されてもよい。例えば、適応型ファイル配信のj番目のセグメント伝送の1つ以上についての実セグメント伝送速度R_jに関する履歴データを調べ、送信システム102および/または受信システム104および/またはネットワーク106のビジー時間を決定することができる。
例えば、受信システム104のユーザは、もし受信システムに対する適応型ファイル配信以外のユーザのタスク要求がそうした時間に受信システムに属するネットワーク106の一部に最高のパフォーマンスを必要としているなら、週日毎日午前9時から午前11時の特定の時間帯に適応型ファイル配信をブロックしたがるかもしれない。ブロック期間の間、受信システム104のユーザが受信システムのプロファイルを設定し、転送がこのブロック期間中に、Rmin_j以下の速度などいくらかの最低バックグラウンド速度で進行を許されるかどうか示すことができる。あるいは、ユーザが受信システム104のプロファイルを設定し、このブロック期間にいかなる適応型ファイル配信も受信しないものとできる。受信システム104のユーザが、ユーザが受信システムにファイルセグメントの受信を望まない期間を特定しない場合には、受信システムは、ビジー期間、セグメント伝送速度の変化などの事項について受信システムの使用および受信システムに属するネットワーク106の1つ以上の部分をモニタすることで、こうしたブロックアウト期間を学習することができる。同様にアクセスネットワークプロバイダも、さもなくばプロバイダネットワークが無関係のトラフィックでビジーあるいはほぼ限界となるようなら、適応型ファイル配信を毎日の特定のビジー時間帯にブロックしたがることがあり得る。プロバイダがまた、ネットワークを介しての複数の適応型ファイル配信ジョブを総合最低バックグラウンド速度へと制限したがることもあり得る。
賢明なやり方としては、幸運にも実際の実施状況が控え目な予測よりも望ましい状況であった場合に、送信システム102が要求配信期限Tdを満たすのに必要なものより大きくなるよう各最低転送速度Rmin_jの値を控え目に決定するものとできる。この控え目なアプローチから、Rmin_jの計算が通常、残りのファイルサイズとすべての予想アイドル期間に基づき適応型ファイル配信の“ジャストインタイム”での完了を前提としていることが分かる。
ネットワーク106は控え目なRmin_j決定に織り込まれていない余剰容量を有することがあるため、適応型ファイル配信は、適応型ファイル配信に関連した全Rmin_jの平均速度のみで行われたセグメント伝送に基づく推定値よりも早く進行することができる。その結果、さまざまな巨大ファイルの実転送の多数が早くに終了するものとできる。Rmin_j推定への控え目なアプローチの使用は、予期せぬネットワーク混雑に対して緩衝時間をもたらし、要求配信期限Tdまでの適応型ファイル配信完了の期待を維持する。もしも予期せぬ混雑のため転送が最低速度スケジュールよりも遅れると、配信期限が近づくにつれ適応型ファイル配信方法は、次に来るj番目のセグメントの各伝送後に、徐々に最低転送速度Rmin_jを上げて自動的に補正を行う。このように次に来る最低転送速度Rmin_jを徐々に上げるのは、優先順位を調整して現在あるいは直ぐに来るジョブより後のジョブを優遇するという直截的なやり方である。ファイルセグメントが送信システムから受信システムへと送られるたびに、Rmin_jは送信システム102によって、あるいは他の実施例では受信システム104によって求められる。
j番目の伝送のRminを決定するための例示的な方程式は以下の通りである:
(1) Rmin_j=Xrem_j/(Td-Tnow_j-Tunaval_j)。
いくつかの実施例では、送信システム102が推定配信時間に対する最新情報を送ることができ、これはネットワーク106に何らかの遅延イベントが発生するか否かによって要求配信期限Tdと同一、あるいは早い、またあるいは遅いものであってよい。推定配信時間に関して受信システム104を更新し続けることの実際的結果は、この推定配信時間に関する受信システムのユーザからの質問の数を減らすというものである。
一般に、最高セグメント伝送速度限度Rmaxは最低セグメント伝送速度限度Rminよりも、他の伝送タスクに割り当てられていない送信システム102の追加余剰伝送容量を含む多数の可能な要素の1つ以上に基づく分だけ大きい。Rmaxに影響を及ぼすように用い得る他の可能な要素は、そのネットワークプロバイダとの役務契約によって決定されるユーザへの最高許容転送速度、最後のセグメントの実測速度または最後のNセグメント群の平均速度、事前設定されたアクセスネットワークプロバイダプロファイル、などを含む。このように最高セグメント伝送速度限度Rmaxは、3つの要素に基づいて送信システム102によって決定される。
第1の要素は、既定の最低セグメント伝送速度限度Rminである。第2の要素は、送信システム102の最高伝送速度容量Rcapである。送信システム102の最高伝送容量は、送信システムのインターフェース110の伝送帯域幅容量などの事項によって影響を受ける。
第3の要素は、送信システム102がファイル116を受信システム104に伝送するという現在のタスクを考慮するだけでなく、ファイル116が送信されるべき期間に受信システム104あるいはそれ以外の受信システムへと他のファイルの少なくとも一部を伝送するために送信システムが引き受けた他のファイル伝送タスクに関する実行中の他のいかなるジョブをも考慮に入れる。これらの他のタスクの数は“Q-1”と表され、数Qはファイル116の伝送タスクを含む実行中のすべての伝送ジョブを含む。
1つのアプローチとしては、送信システム102の余剰伝送容量が伝送タスク群Qに均等に割り当てられるというものが考えられる。このアプローチによれば、ファイル116の伝送タスクへと割り当てられる伝送余剰は、Rcap/Qと伝送タスク群Qの最低セグメント伝送速度限度の平均<Rmin>の差となる。平均<Rmin>はSum(Rmin)/Qと表され、ここでSum(Rmin)は伝送タスク群Qのさまざまな最低セグメント伝送速度限度すべての合計を示している。
ファイル116の伝送タスクのj番目のセグメント伝送において、最高セグメント伝送速度限度Rmaxを決定するための例示的な方程式は以下の通りである:
Rmax_j=Rmin_j+Rcap/Q_j-Sum(Rmin)_j/Q_j。
方程式2で計算されるRmax_jは、Rmin_jと等しいかそれ以上の値に制限されることが分かる。
方程式2は、送信システム102が執る方策の一例であるが、Rmaxの計算には他の方策決定も等しく採用し得る。例えば、代わりのアプローチは余剰回線容量を等しくシェアせず、代わりに選択された伝送ジョブを優先する。例えば、特定のジョブに一時的に余剰伝送容量を与えるために、送信システム102が混雑測定値を用い、最高割当速度を活用することが不可能なジョブのRmaxを減少させてもよい。
方程式2に加えさらに、Rmax_jが、ネットワーク106で検出された混雑へとさらに反応することを目的としたさらなる多数の制約を受け得ることが分かる。ファイル116の転送タスクのj番目のセグメントにおいて、最高セグメント転送速度限度Rmaxを決定するためのさらなる例示的な方程式(2a)は以下の通りである:
(2a) Rmax_j=H(R_(j-1))*Rmax_j
ここで方程式2a右側のRmax_jは、上記の方程式2で算出されたものであり、またここでR_(j-1)は、先に送信されたセグメントの実測速度、あるいはそれが第1のセグメントの場合ゼロである。例えば、
(2b) H(R_(j-1))=(R_(j-1))/Rpeak)**n、でありn=2、3、……
ここでRpeakは、所与の受信システム104に対して一貫して許容された最大値であり、例えば、受信システムのネットワーク106によって執り行われる。方程式2bに見られるような測定速度Rへの他の関数従属や他の混雑検出メトリクスも可能であり、ネットワーク106のオペレータによる時間帯別設定プロファイル、ネットワーク106の混雑検出エージェントのフィードバック、などを含む。
ステップ136での第1の最高セグメント伝送速度限度Rmax_1および第1の最低セグメント伝送速度限度Rmin_1の決定後、送信システム102は第1の伝送を伝送し(ステップ138)、これはファイル116の第1のセグメント、Rmax_1およびRmin_1の値、および第1の伝送が送信システムから送信された時間を指示するタイムスタンプを含む。第1の伝送は、以下に詳述するように待機部分も含んでいる第1の期間の、伝送部分である。」

ニ.「An implementation 1000 of the adaptive file delivery system 100 is depicted in Figure 21 broadly depicting components of the adaptive file delivery system 100 and associated method to further indicate that the adaptive file delivery system and method discussed herein includes more than the particular procedures discussed herein for sending file segments and so on. In general, the adaptive file delivery system 100 and method seek to electronically deliver files in a piecewise fashion by a certain delivery deadline. In some versions, other aspects can include initiating the adaptive file delivery by requesting or by ordering. Further aspects can include playing the received files. Depicted versions of the implementation 1000 operate by time separation along a timeline 1002 including three events in a delivery session: ordering content (step 1004), delivering content by a delivery deadline (step 1006), and playing back the content (step 1008). By separating these events, the sending system 102 can P t: i! ,/ [upsilon]&u b,/ 15U J. S deliver content during network availability 1010 that may be otherwise periodically, and unpredictably, unavailable 1012 for unspecified periods.
The implementation 1000 can include a service provider operating the sending system 104 as a server associated with a library of stored media content files. The sending system 1000 delivers the content files to a collection of the receiving systems 104 representing the service provider's customers. The delivered content files are stored locally at the receiving systems 104 as they are delivered. Ordering of content (step 1004) initiates the delivery phase and can be done by a consumer directly, or by proxy by another person or machine acting on the consumer's behalf. The sending system 102 then calculates an anticipated delivery rate needed to deliver the content file to the client assuming predicted times of network availability 1010 and/or unavailability 1012. The predicted times of network delivery may be based on manually configured profiles, historical measurements of previous periods, trends in network activity, etc.
Sometime during the delivery there may be an unpredicted period where the network is unavailable 1012. When these outages are unanticipated, at the conclusion of the outage, the sending system 102 automatically recalculates the new required delivery rate to achieve the delivery deadline and resumes the delivery of the remaining portion of the media content file. The delivery finishes when the entire file is delivered to the receiving system 104 (step 1006). At an unspecified period after delivery, the receiving system 104 operated by the ordering consumer or other user can play back on the receiving system 104 (step 1014) the locally stored media file in its entirety free from any adverse performance of the delivery network between the receiving system 104 and the sending system 102. An implementation 1100 is depicted in Figure 22 wherein the sending system 102 is used as a virtual network operator. Through use of the adaptive file delivery approach, the sending system 102 is able to use the network 106 as containing one or more delivery or service provider networks 1102 each having various different types of network loading profiles 1104 to send large files to large numbers of the receiving system 104.
Further network loading complications can include having LANs 1106 with other loading profiles 1108 linked to one or more of the service provider networks 1102. Despite various network loading complexities, the sending system 102 is able to successfully transmit the large files to meet established delivery deadlines without impacting the service provider networks 1102 to a degree that would disrupt service or motivate expansion of bandwidth on these service provider networks.
In the implementation 1100, the sending system 102 can be used through a virtual network operator arrangement to allow business entities, that may not be related in any contractual manner to network access providers, to establish and operate large media content distribution services over the service provider networks 1102 that have surplus capacity during certain time periods, but not during other periods. In general, the implementation 1100 uses adaptive file delivery to use off-peak network capacity of networks such as the network 106 depicted in Figure 22, or other networks, between the sending system 102 as virtual network operator and customers, in order to remain within the existing capacity of the networks, without requiring build-out of additional capacity to support the virtual network operator service.」(30頁22行?32頁12行)

訳文(ニ.)「適応型ファイル配信システム100の実施例1000が図21に描かれ、適応型ファイル配信システム100の構成要素および関連の方法をおおまかに描き、ここで議論される適応型ファイル配信システムおよび方法がファイルセグメント送信などのために、ここで議論される特定の手順以上のものを含んでいることをさらに示している。一般に、適応型ファイル配信システム100および方法は、特定の配信期限までに分割方式でファイルを電子配信することを目指している。いくつかの変形例では他の態様が、要求または注文によって適応型ファイル配信を開始することを含むものとできる。さらなる態様は、受信ファイルの再生を含むものとできる。実施例1000の図示の変形例は、時系列1002沿いの時間分割によって機能するものであり、配信セッションには3つのイベント:コンテンツ注文(ステップ1004)、配信期限までのコンテンツ配信(ステップ1006)、およびコンテンツ再生(ステップ1008)、が含まれる。これらのイベントを切り離すことで、送信システム102は、さもなくば不特定の期間、周期的かつ予測不能に利用不可能1012である、ネットワーク利用可能期間1010中に、コンテンツを配信できる。
実施例1000は、記憶されたメディアコンテンツファイルのライブラリと関連したサーバとして送信システム104を操作するサービスプロバイダを含むものとできる。送信システム1000は、サービスプロバイダの顧客を表す受信システム104の集合へとコンテンツファイルを配信する。配信されたコンテンツファイルは配信されたままの状態で受信システム104にローカルに記憶される。コンテンツ注文(ステップ1004)は、配信フェーズを開始し、消費者から直接、あるいは消費者の代わりに活動する別の人間あるいは機械によって代理で行われるものとできる。送信システム102はそして、ネットワークの利用可能期間1010および/または利用不可能期間1012の予測時期を見込んで、クライアントにコンテンツファイルを配信するのに必要な予想配信速度を計算する。ネットワーク配信の予測時期は、手動設定プロファイル、以前の期間に関する過去の測定値、ネットワーク活動の傾向、などに基づくものとできる。
配信中にどこかで、ネットワークが利用不可能1012である予期せぬ期間があることがある。こうした停止が予期されていなかった場合、送信システム102は停止の終わりに、配信期限を達成するのに必要な新たな配信速度を自動的に再計算し、メディアコンテンツファイルの残りの部分の配信を再開する。配信は、ファイル全体が受信システム104へ配信されたときに終了する(ステップ1006)。配信後の不特定の時期に、注文した消費者や他のユーザによって操作される受信システム104は、受信システム104と送信システム102の間の配信ネットワークの不都合なパフォーマンスから自由に、ローカルに記憶されたメディアファイルをまるごと、受信システム104で再生することができる(ステップ1014)。
実施例1100が図22に描かれ、ここでは送信システム102が仮想ネットワークオペレータとして用いられている。適応型ファイル配信方法の使用により、送信システム102はネットワーク106を、それぞれがさまざまな異なるタイプのネットワークローディングプロファイル1104を持ち大きなファイルを多数の受信システム104へと送信する1つ以上の配信またはサービスプロバイダネットワーク1102を含むものとして使用することが可能である。
さらなるネットワークローディングの複雑さは、他のローディングプロファイル1108を備えたLAN1106をサービスプロバイダネットワーク1102の1つ以上にリンクさせることを含むことができる。さまざまなネットワークローディングの複雑さにもかかわらず、送信システム102は、サービスプロバイダネットワーク1102に、サービスを途絶させたりあるいはこれらのサービスプロバイダネットワークの回線容量の拡大の動機付けとなるまで影響を与えることなく、定められた配信期限を満たすように大きなファイルを首尾よく伝送することができる。
実施例1100では、巨大メディアコンテンツ配信サービスを設立し機能させることを、特定の期間には余剰容量を持つがそれ以外の期間には持たないサービスプロバイダネットワーク1102を介して、ネットワークアクセスプロバイダと契約関係にないかもしれぬ企業に可能ならしめるために、仮想ネットワークオペレータ構成を介して送信システム102が利用可能である。一般に、仮想ネットワークオペレータサービスをサポートするための追加容量の補償を要求することなく、ネットワークの現在の容量内に留まるために、実施例1100は適応型ファイル配信を用い、図22に描かれたネットワーク106などのネットワークや、仮想ネットワークオペレータとしての送信システム102と顧客との間の他のネットワークの、オフピークネットワーク容量を利用する。」

上記引用例1の記載及び図面並びにこの分野における技術常識を考慮すると、上記ニ.における「実施例1000は、記憶されたメディアコンテンツファイルのライブラリと関連したサーバとして送信システム104を操作するサービスプロバイダを含むものとできる。送信システム1000は、サービスプロバイダの顧客を表す受信システム104の集合へとコンテンツファイルを配信する。配信されたコンテンツファイルは配信されたままの状態で受信システム104にローカルに記憶される。コンテンツ注文(ステップ1004)は、配信フェーズを開始し、消費者から直接、あるいは消費者の代わりに活動する別の人間あるいは機械によって代理で行われるものとできる。送信システム102はそして、ネットワークの利用可能期間1010および/または利用不可能期間1012の予測時期を見込んで、クライアントにコンテンツファイルを配信するのに必要な予想配信速度を計算する。ネットワーク配信の予測時期は、手動設定プロファイル、以前の期間に関する過去の測定値、ネットワーク活動の傾向、などに基づくものとできる。配信中にどこかで、ネットワークが利用不可能1012である予期せぬ期間があることがある。こうした停止が予期されていなかった場合、送信システム102は停止の終わりに、配信期限を達成するのに必要な新たな配信速度を自動的に再計算し、メディアコンテンツファイルの残りの部分の配信を再開する。配信は、ファイル全体が受信システム104へ配信されたときに終了する(ステップ1006)。」との記載、及び図21における、コンテンツ注文(1004)から、配信期限(1006)までの期間内で、コンテンツ注文(1004)から数えて、第1番目のネットワークの利用可能期間(1010)に着目すると、引用例1の送信システム(1000)は、ネットワーク(106)に接続されている受信システム(104)と、ネットワーク(106)により受信システム(104)に接続された送信システム(102)との間で、コンテンツファイルを送信していることが読み取れる。ここで、上記ロ.における「ファイルセグメント108は、ファイル116の一部のコピーである。送信システム102はファイル116のコピーを、図1に示すセグメント108を含むような複数のセグメントへとファイルコピーを分割して受信システム104に送る。複数のセグメントは、ネットワーク106を介して、受信システム104がファイル116の全コピーを受け取るまで一度に一つずつ送られる。各セグメントは、複数の期間の異なる1つの期間で送られる。」との記載によれば、コンテンツファイルは、メディアコンテンツファイル(608)の一部のコピーであることは明らかであるから、ファイルセグメントということができる。そして、送信システム(102)が、第1番目のネットワークの利用可能期間(1010)において、ファイルセグメントを受信システム(104)に送信している以上、送信システム(1000)は、メディアコンテンツファイル(608)の残りの部分のファイルセグメントを送信するための第1のセッションを開始していることは明らかである。
そうすると、送信システム(1000)は、(α)ネットワーク(106)に接続されている受信システム(104)と、ネットワーク(106)により受信システム(104)に接続された送信システム(102)の間で、受信システム(104)によってまだ受信されていないメディアコンテンツファイル(608)の残りの部分のファイルセグメントを送信するための第1のセッションを開始しているということができる。
また、送信システム(1000)は、第1番目のネットワークの利用可能期間(1010)に続く、ファイルセグメントの一部が送信システム(102)から受信システム(104)によって受信された後の第1番目の利用不可能期間(1012)(Δt1)において、第2番目のネットワークの利用可能期間(1010)で送信される予定のファイルセグメントの一部がまだ受信されていない間に、ネットワークから切断され、それによって第1のセッションが終了することが読み取れる。ここで、第1番目のネットワークの利用可能期間(1010)に送信されるファイルセグメントの一部をファイルセグメントの第1の部分と称し、第2番目のネットワークの利用可能期間(1010)で送信される予定のファイルセグメントの一部をファイルセグメントの第2の部分と称することは任意である。
そうすると、送信システム(1000)は、(β)ファイルセグメントの第1の部分が送信システム(102)から受信システム(104)によって受信された後で、かつファイルセグメントの第2の部分が受信システム(104)によってまだ受信されていない第1のセッションの間に、受信システム(104)がネットワークから切断され、それによって第1のセッションが終了するということができる。
また、送信システム(1000)は、第2番目のネットワークの利用可能期間(1010)において、ネットワークから受信システム(104)が切断された後に、ネットワークに接続し、第2番目のネットワークの利用可能期間(1010)において、受信システム(104)をネットワークに接続した後に、送信システム(102)と受信システム(104)との間の第2のセッションを開始し、ファイルセグメントの第2の部分を送信システム(102)から受信システム(104)に送信することが読み取れる。
そうすると、送信システム(1000)は、(γ)ネットワークから受信システム(104)が切断された後に、受信システム(104)をネットワークに接続し、(δ)受信システム(104)をネットワークに接続した後に、送信システム(102)と受信システム(104)との間の第2のセッションを開始し、ファイルセグメントの第2の部分を送信システム(102)から受信システム(104)に送信することを再開するということができる。
また、上記ハ.における「送信システム102は第1の最高セグメント伝送速度限度Rmax_1および第1の最低セグメント伝送速度限度Rmin_1を決定する(ステップ136)。」との記載、同ハ.における「j番目の伝送のRminを決定するための例示的な方程式は以下の通りである:(1) Rmin_j=Xrem_j/(Td-Tnow_j-Tunaval_j)。」との記載、同ハ.における「ファイル116の伝送タスクのj番目のセグメント伝送において、最高セグメント伝送速度限度Rmaxを決定するための例示的な方程式は以下の通りである:Rmax_j=Rmin_j+Rcap/Q_j-Sum(Rmin)_j/Q_j。」との記載によれば、送信システム(1000)は、(ε)メディアコンテンツファイル(608)の残りの部分のサイズ及びメディアコンテンツファイル(608)の残りの部分を転送するために使用可能な時間に部分的に基づいて、ファイルセグメントを転送するための最低転送速度(Rmin_j)を決定することと、(ζ)最低転送速度(Rmin_j)及び送信システム(102)の最高伝送速度容量(Rcap)に部分的に基づいて、メディアコンテンツファイル(608)の残りの部分のファイルセグメントを転送するための最高セグメント速度限度(Rmax_j)を決定していることが読み取れる。

したがって、上記(α)?(ζ)より、上記引用例1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

「ネットワーク(106)に接続されている受信システム(104)と、ネットワーク(106)により受信システム(104)に接続された送信システム(102)の間で、前記受信システム(104)によってまだ受信されていないメディアコンテンツファイル(608)の残りの部分のファイルセグメントを送信するための第1のセッションを開始することと、
前記ファイルセグメントの第1の部分が前記送信システム(102)から前記受信システム(104)によって受信された後で、かつ前記ファイルセグメントの第2の部分が前記受信システム(104)によってまだ受信されていない前記第1のセッションの間に、前記受信システム(104)が前記ネットワーク(106)から切断され、それによって第1のセッションが終了することと、
前記ネットワーク(106)から前記受信システム(104)が切断された後に、前記受信システム(104)を前記ネットワーク(106)に接続することと、
前記受信システム(104)を前記ネットワーク(106)に接続した後に、前記送信システム(102)と前記受信システム(104)との間の第2のセッションを開始し、前記ファイルセグメントの第2の部分を前記送信システム(102)から前記受信システム(104)に送信することを再開することとと、
前記メディアコンテンツファイル(608)の残りの部分の決められたサイズ及び前記メディアコンテンツファイル(608)の前記残りの部分を転送するために使用可能な時間に部分的に基づいて、前記ファイルセグメントを転送するための最低転送速度(Rmin_j)を決定することと、
前記最低転送速度(Rmin_j)及び前記送信システム(102)の最高伝送速度容量(Rcap)に部分的に基づいて、前記メディアコンテンツファイル(608)の前記残りの部分の前記ファイルセグメントを転送するための最高セグメント速度限度(Rmax_j)を決定することと、
を含む方法。」

B 原審の拒絶理由に引用された、本願の優先権主張の日前に日本国内において頒布された刊行物である特開2004-336256号公報(平成16年11月25日公開、以下「引用例2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

イ.「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、互いに異なる複数のベアラを使用したデータ通信の可能な移動機が、提供サーバ装置から送信されるデータを受信するデータ通信システムに関する。」(2頁)

ロ.「【0002】
【従来の技術】
従来、無線通信技術の発達に伴い、異なる複数のベアラ(通信方式)を適宜切り替えて無線通信を行う移動機が実用化されている。この様な移動機には、各ベアラを使用した場合の電波強度を常時監視し、より電波強度の強いベアラを優先的に使用することにより、迅速かつ確実にデータ通信を行うものも提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。異なる複数のベアラとしては、例えば、IMT(International Mobile Telecommunication)-2000等の第三世代携帯電話網と無線LAN(Local Area Network)とが使用される。
【0003】(略)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術のように、移動機若しくはこれに接続された外部端末に、接続するベアラを自動的に切り替える機能を付加すると、当該ベアラの切替えがデータ通信中に行われた場合に、データ通信が中断することが懸念される。例えば、移動機が、携帯電話網を使用して、コンテンツサーバからコンテンツデータをダウンロードしている途中で、ベアラが無線LANに切り替わった場合には、携帯電話網経由の通信は切断され、同一のコンテンツデータを無線LAN経由で再びダウンロードすることになるが、これは、通信負荷や迅速性の観点から非効率である。
【0005】
そこで、本発明の課題は、移動機が、データ通信中に接続先のベアラを切り替えた場合であっても、サーバ装置とのデータ通信を継続して行うことである。」(2?3頁)

ハ.「【0007】
本発明によれば、移動機が、第1のベアラを使用して提供サーバ装置から提供されるデータの受信を開始する際に、第1のベアラ専用の認証サーバ装置と、第1及び第2のベアラに共通の認証サーバ装置とを経由させる。これにより、個別認証サーバ装置と共通認証サーバ装置間、及び、共通認証サーバ装置と提供サーバ装置間に異なるセションが確立される。つまり、一の移動機に関して2重の認証を行うことにより、移動機と提供サーバ装置との間に二段階のセションがはられることになる。したがって、ベアラの切替えに伴い、個別認証サーバ装置と共通認証サーバ装置間の接続が例え切断されたとしても、共通認証サーバ装置と提供サーバ装置間の接続は依然として維持することができる。
【0008】
このため、移動機による第2のベアラを使用した通信が可能となった際に、移動機は、現在接続が維持されているセション(共通認証サーバ装置と提供サーバ装置間のセション)と、新たに確立されたセション(第2の個別認証サーバ装置と共通認証サーバ装置間のセション)とを使用して、ベアラ切替え前に受信していたデータの受信を継続することができる。したがって、提供サーバ装置は、データの送信を要求した移動機がベアラを切り替えても、同一のデータを重複して該移動機に送信することが無く、通信負荷の増加を抑制できる。また、移動機に対して迅速にデータを提供できる。」(3頁)

ニ.「【0014】
【発明の実施の形態】
まず、本発明の一実施形態としてのコンテンツ提供システムの構成について説明する。図1は、本実施の形態におけるコンテンツ提供システム1の全体構成を示す図である。図1に示す様に、コンテンツ提供システム1(データ通信システムに対応)は、コンテンツサーバ80の提供するコンテンツ(データに対応)を移動機20経由で外部端末10に受信させるためのシステムである。コンテンツ提供システム1は、個別認証サーバ30,40,50と、共通認証サーバ60と、プロキシサーバ70とを少なくとも備えて構成される。
【0015】
外部端末10は、例えば、ノートPC、PDA(Personal Digital Assistance)である。外部端末10と後述の移動機20との間は、例えばBluetooth(登録商標)、IrDA(Infrared Data Association)等の近距離無線通信を用いて接続可能である。外部端末10は、複数のベアラの中から選択された一のベアラを使用して、移動機20を介した通信を行う。外部端末10は、使用可能な全てのベアラに関して、ベアラ毎に異なる認証用の電話番号、ユーザID、パスワードを保持している。また、共通認証サーバ60による認証に使用される、各ベアラに共通のユーザID、パスワードも保持している。
【0016】
本実施の形態で想定している3種のベアラ(IMT-2000網、無線LAN、PHS(Personal Handyphone System)網)には、外部端末10において、使用の優先順位が設定されており、移動機20から通知される電波強度の測定結果とこの優先順位とに基づいて、使用されるベアラが決定される。IMT-2000網は第1のベアラに対応し、無線LANは第2のベアラに対応する。ベアラの決定に関しては、例えば、電波強度が閾値以上のベアラ(使用可能なベアラ)のうち、優先順位が最高位に設定されているベアラを使用する手法が採られる。
【0017】
移動機20は、外部端末10のユーザにより使用され、上記3種のベアラに対応した携帯電話である。移動機20は、通信中においても、外部端末10からの指示に応じて、無線アンテナにより、各ベアラの電波強度を定期的に測定しており、測定結果を外部端末10に通知する。移動機20は、外部端末10からの指示に応じて、外部端末10により使用が決定されたベアラに対応する網との通信を確立する。移動機20は、当該網を使用して、コンテンツサーバ80との間で双方向に各種データの送受信を行う。また、移動機20は、外部端末10からの指示に応じて、接続中の網との通信を切断する。
【0018】
個別認証サーバ30(第1の個別認証サーバ装置に対応)は、第1のベアラとしてのIMT-2000網N1(以下、必要に応じて「ネットワーク1」と記す。)に接続する移動機に対して、ユーザ認証を行うサーバ装置である。個別認証サーバ30は、ユーザ情報DB(DataBase)31を備える。ユーザ情報DB31には、事前に登録を行ったユーザに関する情報が格納されている。」(4?5頁)

ホ.「【0028】
続いて、図4?図6を参照して、コンテンツ提供システム1の動作について説明する。動作説明は、2つのフェーズ、すなわちベアラ切替え前のフェーズ(図4参照)とベアラ切替え後のフェーズ(図5、図6参照)とに分けて行う。ベアラ切替え前のフェーズでは、外部端末10が通信を開始してからコンテンツを受信するまでの処理が実行され、ベアラ切替え後のフェーズでは、外部端末10がベアラを切り替えてからコンテンツの受信を再開し、通信を切断するまでの処理が実行される。
【0029】
動作説明の前提として、本実施の形態では、外部端末10は、上述した様に、ベアラ別のID及びパスワードと、ベアラ共通のID及びパスワードとを事前に保持している。また、使用されるベアラの優先順位としては、IMT-2000網N1、無線LAN N2、PHS網N3が降順に設定されているものとする。
【0030】
まず、図4を参照して、ベアラ切替え前のフェーズにおけるシステムの処理について説明する。
外部端末10のユーザが通信の開始を指示すると(S1)、外部端末10から移動機20に対して、電波強度の測定開始を指示する信号が送信される(S2)。移動機20は、当該信号を受信すると、使用可能なベアラ毎に電波強度の測定を開始し(S3)、各ベアラ毎の測定結果を外部端末10に通知する(S4)。なお、電波強度の測定に関しては、移動機20が自ら測定する態様に限らず、基地局B1,B3又はアクセスポイントB2から送信される報知情報から、電波強度を示すデータを取得するものとしてもよい。
【0031】
S5では、外部端末10は、S4で移動機20から通知された測定結果と設定された優先順位とに基づいて、ネットワーク1,2,3の中から接続先として使用するネットワークを決定する。本実施の形態では、現時点で、何れのベアラの電波強度も所定の閾値を超えている状況を想定する。したがって、S5では、3種のベアラの中で最も高い優先順位を有するIMT-2000網N1が接続ネットワークとして選定される。
【0032】
続いて、外部端末10は、選定されたIMT-2000網N1との接続要求を移動機20に送信する(S6)。この接続要求には、ネットワーク1との接続専用のユーザID(A0001)、パスワード(ABC12)、及び電話番号(090-1111-2222)が含まれている。なお、電話番号としては、ネットワーク1との接続に特化されたもの(特番)を使用してもよい。また、これらの情報は、外部端末10が予め保持しているものを自動的に取得して送信してもよいし、その一部若しくは全部をユーザが手入力して送信するものとしてもよい。
【0033】
移動機20が上記電話番号を使用してネットワーク1に発信すると(S7)、移動機20とネットワーク1との間に呼が確立される(S8)。S9では、個別認証サーバ30は、前述のユーザ情報DB31(図2参照)を参照して、移動機20のユーザ認証を行う。すなわち、個別認証サーバ30は、上記ユーザID、パスワード、及び電話番号がユーザ情報DB31に格納されているか否かを確認し、格納されている場合には、移動機20のユーザが正規のユーザであるもの(認証肯定)と判断する。一方、格納されていない場合には、移動機20経由で外部端末10に認証否定の通知が為される。
【0034】
認証が肯定されると、共通認証サーバ60宛にその旨の通知が為される(S10)。ネットワーク1における認証肯定の通知を受けた共通認証サーバ60は、コンテンツサーバ80との通信を可能とするため、外部端末10に対して、ベアラ共通のユーザID及びパスワードの送信を要求する(S11)。当該要求の送信は、共通ネットワーク4、及び現時点で通信が確立されているネットワーク1を経由して行われる。
【0035】
移動機20が外部端末10に対して上記要求を通知すると(S12)、外部端末10は、自らの保持する、共通ネットワーク4への接続用のユーザIDである“B0001”及びパスワードである“PQR56”を取得し(S13)、移動機20に通知する(S14)。なお、これらの情報は、外部端末10が予め保持し、自動的に取得されるものとしてもよいし、その一部若しくは全部がユーザの手入力により通知されるものとしてもよい。移動機20は、上記通知を受けると、現在接続中のネットワーク1、及び共通ネットワーク4を経由して、上記ユーザID及びパスワードを共通認証サーバ60宛に送信する(S15)。
【0036】
S16では、共通認証サーバ60は、図3(a)に示したユーザ情報DB61を参照して、S9と同様に、移動機20のユーザ認証を行う。すなわち、共通認証サーバ60は、上記ユーザID及びパスワードがユーザ情報DB61に格納されているか否かを確認し、格納されている場合には、移動機20のユーザが正規のユーザであるもの(認証肯定)と判断する。一方、格納されていない場合には、移動機20経由で外部端末10に認証否定の通知が為される。
【0037】
認証が肯定されると、移動機20宛にその旨の通知が為される(S17)。このとき、ユーザ情報DB61の接続ネットワーク領域61c内における、ユーザID“B0001”に対応する領域に、接続ネットワークとして“ネットワーク1”が格納される。プロキシサーバ70は、後にこれを参照することで、移動機20が現在接続しているネットワーク、すなわちコンテンツの送信に使用すべきネットワークを認識する。かかる処理(S17)を以って、外部端末10は、移動機20、ネットワーク1,4,5を経由したコンテンツサーバ80との通信が可能となる。
【0038】
S18では、移動機20は、上記認証肯定を開通の通知として外部端末10に送信する。外部端末10は、当該通知を取得すると(S19)、移動機20に対して、コンテンツの送信要求を指示する(S20)。当該指示を受けた移動機20は、コンテンツの送信要求をコンテンツサーバ80宛に送信する(S21)。コンテンツサーバ80は、当該送信要求の受信(S22)を契機として、外部端末10に向けたコンテンツの送信を開始する(S23)。送信されたコンテンツは、移動機20により一旦受信された後(S24)、外部端末10に転送され格納される(S25)。
【0039】
次に、図5及び図6を参照して、ベアラ切替え後のフェーズにおけるシステムの処理について説明する。
外部端末10は、移動機20の通信中であっても、移動機20に対して、電波強度の測定を常時指示している(S31)。移動機20は、当該指示に従って、使用可能なベアラ毎に電波強度を測定し(S32)、各ベアラ毎の測定結果を外部端末10に通知する(S33)。
【0040】
使用中のベアラ(IMT-2000網)の電波強度が急激に減衰あるいは途絶して閾値を下回った場合には、外部端末10は、S33で通知された測定結果と優先順位とに基づいて、ネットワーク2,3の中から接続先として使用するネットワークを再度決定する(S34)。本実施の形態では、IMT-2000網N1の次なる優先順位を有する無線LAN N2が接続ネットワークに選定される。
【0041】
続いて、外部端末10は、ネットワーク1との接続を切断すべく、移動機20に対して切断指示を行う(S35)。当該指示を受けた移動機20は、接続中のネットワーク1に切断指示を通知する(S36)。これにより、移動機20とネットワーク1との間に確立されていた呼は終了し(S37)、移動機20とネットワーク1間の接続は切断される。従来は、この切断を以って、移動機20とTCP/IP網N4間のみならず、TCP/IP網N4とコンテンツサーバ80間の接続も切断されたものと認識されていた。しかし、本実施の形態では、二段階のユーザ認証が既に行われており、2つ目の認証に係る、TCP/IP網N4とコンテンツサーバ80間の接続は依然維持される。
【0042】
S38では、プロキシサーバ70は、ベアラ切替え中、すなわち、ネットワーク1との接続を切断した時点からネットワーク2との接続を完了する時点まで、にコンテンツサーバ80から送信されてくるコンテンツを蓄積する。
【0043】
S36の処理終了後、移動機20は、外部端末10に対して切断完了の通知を行う(S39)。外部端末10は、該通知を取得すると(S40)、移動機20に対する接続の指示を行う(S41)。S41?S52,S55,S56に示す各処理は、第1段階のユーザ認証元がN1からN2に変更した点を除き、図4を参照して詳述したS6?S17,S18,S19の各処理とそれぞれ同様である。したがって、その詳細な説明は省略する。S56の処理の結果、再度の二段階認証によるベアラの切替えが完了する。」(6?8頁)

上記引用例2の記載及び図面並びにこの分野における技術常識を考慮すると、上記ニ.の【0014】における「図1に示す様に、コンテンツ提供システム1(データ通信システムに対応)は、コンテンツサーバ80の提供するコンテンツ(データに対応)を移動機20経由で外部端末10に受信させるためのシステムである。コンテンツ提供システム1は、個別認証サーバ30,40,50と、共通認証サーバ60と、プロキシサーバ70とを少なくとも備えて構成される。」との記載、同ニ.の【0015】における「外部端末10は、複数のベアラの中から選択された一のベアラを使用して、移動機20を介した通信を行う。」との記載、同ニ.の【0016】における「本実施の形態で想定している3種のベアラ(IMT-2000網、無線LAN、PHS(Personal Handyphone System)網)」との記載、及び図1によれば、引用例2のコンテンツ提供システム(1)は、3種のベアラ(IMT-2000網、無線LAN、PHS(Personal Handyphone System)網)の中から一つのベアラを使用して、コンテンツを移動機(20)経由で外部端末(10)に送信している。
また、3種のベアラ(IMT-2000網、無線LAN、PHS(Personal Handyphone System)網)の中の選定された第1のネットワーク(IMT-2000網)のセッションに着目すると、ネットワーク1(IMT-2000網)のセッションは、図4におけるステップ6で、外部端末(10)により開始されている。そして、上記ニ.の【0041】における「外部端末10は、ネットワーク1との接続を切断すべく、移動機20に対して切断指示を行う(S35)。当該指示を受けた移動機20は、接続中のネットワーク1に切断指示を通知する(S36)。これにより、移動機20とネットワーク1との間に確立されていた呼は終了し(S37)、移動機20とネットワーク1間の接続は切断される。」との記載、及び図5によれば、外部端末(10)は、移動機(20)を第1のネットワーク(ITM-2000網)から切断し、これによってセッションを終了させている。
また、上記ニ.の【0043】における「S36の処理終了後、移動機20は、外部端末10に対して切断完了の通知を行う(S39)。外部端末10は、該通知を取得すると(S40)、移動機20に対する接続の指示を行う(S41)。S41?S52,S55,S56に示す各処理は、第1段階のユーザ認証元がN1からN2に変更した点を除き、図4を参照して詳述したS6?S17,S18,S19の各処理とそれぞれ同様である。したがって、その詳細な説明は省略する。S56の処理の結果、再度の二段階認証によるベアラの切替えが完了する。」との記載、図4及び図5によれば、外部端末(10)は、ネットワークから移動機(20)を切断した後に、第2のネットワーク(無線LAN)に接続すること、移動機(20)を第2のネットワーク(無線LAN)に接続した後に、コンテンツ提供システム(1)と移動機(20)との間の第2のセッションを自動的に開始することが読み取れる。

したがって、上記引用例2には、以下の発明(以下「技術事項」という。)が記載されているものと認められる。

「コンテンツを移動機(20)経由で外部端末(10)に送信する方法において、外部端末(10)が接続された移動機(20)を第1のネットワーク(ITM-2000網)から切断し、それによってセッションを終了させること、ネットワークから移動機(20)を切断した後に、第2のネットワーク(無線LAN)に接続すること、外部端末(10)が接続された移動機(20)を第2のネットワーク(無線LAN)に接続した後に、コンテンツ提供システム(1)と移動機(20)との間の第2のセッションを自動的に開始すること。」

(3)対比・判断
補正後の発明と引用発明とを対比する。
a.引用発明の「ネットワーク(106)」と、補正後の発明の「ネットワークの第1の部分」及び「ネットワークの第2の部分」とは、後述する相違点を除いて、「ネットワークの特定の部分」という点で一致する。
b.引用発明の「メディアコンテンツファイル(608)」、「最低転送速度(Rmin_j)」、「最高伝送速度容量(Rcap)」及び「最高セグメント速度限度(Rmax_j)」は、補正後の発明の「ファイル」、「最小転送速度」、「最大転送容量」及び「最大転送速度」にそれぞれ対応する構成であり両者の間に実質的な差異はない。
c.引用発明の「前記第1のセッションの間に、前記受信システム(104)が前記ネットワーク(106)から切断され、それによって第1のセッションが終了すること」と、補正後の発明の「前記第1のセッションの間に、前記受信システムを前記ネットワークから切断し、それによって前記第1のセッションを終了させること」とは、後述する相違点を除いて、「前記第1のセッションの間に、前記受信システムがネットワークから切断され、それによって第1のセッションが終了すること」という点で一致する。
d.引用発明の「前記ネットワーク(106)から前記受信システム(104)が切断された後に、前記受信システム(104)を前記ネットワーク(106)に接続すること」と、補正後の発明の「前記ネットワークから前記受信システムを切断した後に、前記第1のネットワークアドレスとは異なる第2のネットワークアドレスを有する前記受信システムを前記ネットワークの第2の部分に接続すること」とは、後述する相違点を除いて、「前記ネットワークから前記受信システムが切断された後に、前記受信システムを前記ネットワークの特定の部分に接続すること」という点で一致する。
e.引用発明の「前記受信システム(104)を前記ネットワーク(106)に接続した後に、前記送信システム(102)と前記受信システム(104)との間の第2のセッションを開始し」と、補正後の発明の「前記受信システムを前記ネットワークの前記第2の部分に接続した後に、前記送信システムと前記受信システムとの間の第2のセッションを自動的に開始し」とは、後述する相違点を除いて、「前記受信システムを前記ネットワークの特定の部分に接続した後に、前記送信システムと前記受信システムとの間の第2のセッションを開始し」という点で一致する。

したがって、補正後の発明と引用発明は、以下の点で一致ないし相違している。

(一致点)
「ネットワークの特定の部分に接続されている受信システムと、前記ネットワークにより前記受信システムに接続された送信システムの間で、前記受信システムによってまだ受信されていないファイルの残りの部分のファイルセグメントを送信するための第1のセッションを開始することと、
前記ファイルセグメントの第1の部分が前記送信システムから前記受信システムによって受信された後で、かつ前記ファイルセグメントの第2の部分が前記受信システムによってまだ受信されていない前記第1のセッションの間に、前記受信システムが前記ネットワークから切断され、それによって前記第1のセッションを終了することと、
前記ネットワークから前記受信システムが切断された後に、前記受信システムを前記ネットワークの特定の部分に接続することと、
前記受信システムを前記ネットワークの特定の部分に接続した後に、前記送信システムと前記受信システムとの間の第2のセッションを開始し、前記ファイルセグメントの第2の部分を前記送信システムから前記受信システムに送信することを再開することと、
前記ファイルの残りの部分の決められたサイズおよび前記ファイルの前記残りの部分を転送するために使用可能な時間の量に部分的に基づいて、前記ファイルセグメントを転送するための最小転送速度を決定することと、
前記最小転送速度および前記送信システムの最大転送容量に部分的に基づいて、前記ファイルの前記残りの部分の前記ファイルセグメントを転送するための最大転送速度を決定することと、
を含む方法。」

(相違点1)
「ネットワークの特定の部分」に関し、
補正後の発明は、「ネットワークの第1の部分」及び「ネットワークの第2の部分」であるのに対し、引用発明は、ネットワーク(106)であるものの、「ネットワークの第1の部分」及び「ネットワークの第2の部分」との特定がない点。

(相違点2)
「受信システム」に関し、
補正後の発明は、「ネットワークの第1の部分」に対応して、「第1のネットワークアドレスを有し」、また、「ネットワークの第2の部分」に対応して、「前記第1のネットワークアドレスとは異なる第2のネットワークアドレスを有する」ものであるのに対し、引用発明は、その様な特定がない点。

(相違点3)
「前記第1のセッションの間に、前記受信システムが前記ネットワークから切断され、それによって前記第1のセッションを終了することと、前記ネットワークから前記受信システムが切断された後に、前記受信システムを前記ネットワークの特定の部分に接続することと、前記受信システムを前記ネットワークの特定の部分に接続した後に、前記送信システムと前記受信システムとの間の第2のセッションを開始し」に関し、
補正後の発明は、前記第1のセッションの間に、前記受信システム「を」前記ネットワークから切断「し」、それによって前記第1のセッションを終了「させ」ることと、前記ネットワークから前記受信システム「を」切断「した」後に、「前記第1のネットワークアドレスとは異なる第2のネットワークアドレスを有する」前記受信システムを前記ネットワーク「の第2の部分」に接続することと、前記受信システムを前記ネットワーク「の前記第2の部分」に接続した後に、前記送信システムと前記受信システムとの間の第2のセッションを「自動的に」開始するものであるのに対し、引用発明は、その様な特定がない点。

そこで、上記相違点1ないし3について検討する。
上記「(2)引用発明等」のBのとおり、引用例2には、「コンテンツを移動機(20)経由で外部端末(10)に送信する方法において、外部端末(10)が接続された移動機(20)を第1のネットワーク(ITM-2000網)から切断し、それによってセッションを終了させること、ネットワークから移動機(20)を切断した後に、第2のネットワーク(無線LAN)に接続すること、外部端末(10)が接続された移動機(20)を第2のネットワーク(無線LAN)に接続した後に、コンテンツ提供システム(1)と移動機(20)との間の第2のセッションを自動的に開始すること。」との技術事項が記載されている。そして、引用発明と技術事項とは、ネットワークにおけるファイルの送信時のセッションの切り替えという点で技術分野及び課題が共通し、引用発明に技術事項を採用する際に特段の阻害要因はみあたらない。また、引用例2にもみられるように、ネットワークにおけるファイルの送信において、好適なネットワークに切り替える課題は周知である。
そうすると、上記技術事項に接した当業者であれば、引用発明の「ネットワーク(106)」を「ネットワークの第1の部分」及び「ネットワークの第2の部分」とすること、また、前記第1のセッションの間に、前記受信システム「を」前記ネットワークから切断「し」、それによって前記第1のセッションを終了「させ」ることと、前記ネットワークから前記受信システム「を」切断「した」後に、前記受信システムを前記ネットワーク「の第2の部分」に接続することと、前記受信システムを前記ネットワーク「の前記第2の部分」に接続した後に、前記送信システムと前記受信システムとの間の第2のセッションを「自動的に」開始すること、すなわち、上記相違点1及び3に係る構成とすることは、容易に想到し得ることである。その際、ベアラ毎に、ネットワークアドレスが異なることは普通のことであるから、補正後の発明のように「ネットワークの第1の部分」に対応して、「第1のネットワークアドレスを有し」、また、「ネットワークの第2の部分」に対応して、「前記第1のネットワークアドレスとは異なる第2のネットワークアドレスを有すること(相違点2)は当然である。

そして、補正後の発明の作用効果も、引用発明及び技術事項から当業者が容易に予測できる範囲のものである。

以上のとおり、補正後の発明は引用発明及び技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

4.結語
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1.本願発明
平成26年9月5日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願発明は、上記「第2 補正却下の決定 1.本願発明と補正後の発明」の項で「本願発明」として認定したとおりである。

2.引用発明
引用発明は、上記「第2 補正却下の決定」の項中の「3.独立特許要件について」の項中の「(2)引用発明」の項で認定したとおりである。

3.対比・判断
本願発明は上記補正後の発明から本件補正に係る限定を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成に本件補正に係る限定を付加した補正後の発明が、上記「第2 補正却下の決定」の項中の「3.独立特許要件について」の項で検討したとおり、引用発明及び技術事項に基づいて容易に発明できたものであるから、本願発明も同様の理由により、容易に発明できたものである。

4.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項に論及するまでもなく拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。

 
審理終結日 2015-07-06 
結審通知日 2015-07-08 
審決日 2015-07-22 
出願番号 特願2011-516859(P2011-516859)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (H04L)
P 1 8・ 121- Z (H04L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 森谷 哲朗  
特許庁審判長 大塚 良平
特許庁審判官 林 毅
萩原 義則
発明の名称 トランスペアレンシー機能を用いる適応ファイル送達のシステムおよび方法  
代理人 須田 洋之  
代理人 近藤 直樹  
代理人 熊倉 禎男  
代理人 大塚 文昭  
代理人 谷口 信行  
代理人 上杉 浩  
代理人 辻居 幸一  
代理人 西島 孝喜  

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