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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N
管理番号 1308285
審判番号 不服2014-22006  
総通号数 193 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-01-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-10-30 
確定日 2015-11-30 
事件の表示 特願2013- 65323「画像処理装置および方法、プログラム、並びに記録媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 8月 1日出願公開、特開2013-150347〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 経緯
1.手続
本願は、平成21年9月30日に出願した特願2009-226220号の一部を平成25年3月27日に新たな特許出願としたものであって、手続の概要は以下のとおりである。

拒絶理由通知 :平成26年 2月20日(起案日)
手続補正 :平成26年 3月12日
拒絶理由通知 :平成26年 3月31日(起案日)
手続補正 :平成26年 5月22日
拒絶査定 :平成26年 9月29日(起案日)
拒絶査定不服審判請求 :平成26年10月30日

2.査定
原審での査定の理由は、概略、以下のとおりである。
本願の請求項1ないし8に係る発明は、下記刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

刊行物1:特開平5-308662号公報
刊行物2:特開平6-311533号公報
刊行物3:特表2007-502595号公報

第2 本願発明
本願の請求項1ないし請求項8に係る発明は、本願明細書及び図面(平成26年5月22日付けの手続補正書により補正された明細書)の記載からみて、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1ないし請求項8に記載した事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、そのうち、請求項4に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。
((A)ないし(D)は合議体が付与した。以下、それぞれ、構成要件(A)、構成要件(B)・・・、という。)

【請求項4】
(A)画像処理装置が、
(B)輝度成分の解像度に対して色差成分の水平方向の解像度と垂直方向の解像度とを半分にしたカラーフォーマットで画像を符号化する場合に、4つの4×4ブロックサイズの輝度ブロックに対して、1つの4×4ブロックサイズの色差ブロックを対応させ、
(C)対応された輝度ブロックのブロックサイズと色差ブロックのブロックサイズとに従って、4つの4×4ブロックサイズの輝度ブロックと1つの4×4ブロックサイズの色差ブロックを符号化する
(D)画像処理方法。

第3 当審の判断
1.引用刊行物の記載
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である特開平5-308662号公報(上記刊行物1と同じ、以下「引用例」という。)には、「高能率符号化装置」(発明の名称)に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。(下線は当審にて付与した。)

「【請求項1】 ディジタル化された映像信号を所定の大きさのブロックに分割し動き補償予測を用いて符号化する装置に於て、輝度信号と色信号の動き補償ブロックのエリアサイズが異なる場合、色信号の動きベクトルを輝度信号の動きベクトルから求めることを特徴とする高能率符号化装置。」

「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、映像信号や音声信号をディジタル記録して再生するビデオテープレコーダー(以下、VTRと略す。)や、ビデオディスクプレーヤーなどのディジタル信号記録再生装置に関し、特にビデオ信号に動き補償予測を施し圧縮符号化する装置に関するものである。」

「【0012】
【発明が解決しようとする課題】このような従来の高能率符号化装置では、4:2:2のコンポーネントディジタル信号の様に輝度信号と色差信号の標本化周波数が異なる場合、輝度信号ブロックと色差信号ブロックのエリアサイズが異なるため、本来同じになる動きベクトルを共用できず、輝度信号と色差信号の各々に対し動きベクトルを求める必要がある。すなわち図5に示すブロック構成が2系統必要となり、ハードウェアサイズが大きくなる欠点がある。また輝度信号と色差信号のブロックのエリアサイズを同じにすると、輝度信号は色差信号のブロックの2倍となるため動き補償予測の予測誤差が大きくなったり、直交変換ブロックの拡大にともなう直交変換における演算誤差が増大してしまい、画質劣化が生じてしまう。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明では、輝度信号と色信号のブロックのエリアサイズが異なる場合に、動き補償予測を行なう高能率符号化装置において、色差信号の動きベクトルを輝度信号の動きベクトルによって求めることによりハードウェア規模の小さい高能率符号化装置を実現する。
【0014】
【作用】本発明では、輝度信号と色信号のブロックのエリアサイズが異なる場合の動き補償予測において、色信号の動きベクトルを輝度信号の動きベクトルを使って求めることにより、小さなハードウェア規模で画質劣化の目立たない情報圧縮を行なう。
【0015】
【実施例】実施例1.以下、図面を参照しながら本発明の第1実施例について説明する。図1は本発明の第1実施例に於けるブロック図である。図1において、1はディジタル映像入力端子、51はディジタル映像入力端子1より入力される、輝度信号をブロック化するブロック化回路、57は輝度信号の参照画像として輝度信号の再生画像を蓄える輝度信号用画像メモリ、55は輝度信号ブロック化回路51から出力されるブロックと輝度信号用画像メモリ57より出力される参照パターンとの動き補償予測を行ない、動きベクトルと予測誤差を出力する輝度信号動き補償回路、52はイントラモードの場合と予測モードの場合で輝度信号ブロック化回路51と輝度信号動き補償回路55の出力を切り換えるスイッチ回路、53はスイッチ回路52より出力される輝度信号ブロックに対して直交変換を施す直交変換回路、54は直交変換回路53の出力を量子化する量子化回路、58は量子化回路54の出力を逆量子化する逆量子化回路、59は逆量子化回路58の出力に対して逆直交変換を施す逆直交変換回路である。
【0016】60は色差信号をブロック化する色差信号ブロック化回路、64は輝度信号動き補償回路55より出力される輝度信号の動きベクトルより色差信号の動きベクトルを求める色差信号動きベクトル算出回路、66は色差信号の参照画像として色差信号の再生画像を蓄える色差信号用画像メモリ、65は色差信号ブロック化回路60の出力と色差信号用画像メモリ66より出力される参照パターンとの誤差を出力する色差信号誤差演算回路、61はイントラモードの場合と予測モードの場合で色差信号ブロック化回路60と色差信号誤差演算回路65の出力を切り換えるスイッチ回路、62はスイッチ回路61より出力される色差信号ブロックに対して直交変換を施す直交変換回路、63は直交変換回路62の出力を量子化する量子化回路、67は量子化回路63の出力を逆量子化する逆量子化回路、68は逆量子化回路67の出力に対して逆直交変換を施す逆直交変換回路、69は輝度信号量子化回路54と色差信号量子化回路63の出力を可変長符号化する符号化器、11は符号化器69の出力端子である。
【0017】このような回路ブロックで行なわれる予測方式として、例えば図6に示すようなものが考えられる。この方式では、4フィールド毎にイントラフィールドを挿入し、間の3つのフィールドを予測フィールドとする。図6に於て、40はイントラフィールド、41、42、43は予測フィールドである。この方式での予測は、イントラフィールドの第1フィールド40から第2フィールド41を予測し、同様に第1フィールド40から第3フィールド42を予測する。そして再構成された第2フィールド41から第4フィールド43を予測する。
【0018】まず、第1フィールド40をフィールド内でブロック化しDCTを施す。さらにウェイティング処理及びスレッショルド処理を施し量子化した後、符号化する。また復号ループでは、量子化された第1フィールドの信号を復号/再構成する。この再構成された画像が次の第2フィールド41、第3フィールド42の動き補償予測に用いられる。次に第2フィールド41を、第1フィールド40を用いて動き補償予測し、得られた誤差ブロックをDCTした後、第1フィールド40と同様に符号化する。また第2フィールド41は復号ループでそれぞれのブロックのモード信号に応じて復号/再構成され、第4フィールド43の動き補償予測に用いられる。一方、第3フィールド42も第2フィールド41と同様に第1フィールド40を用いて動き補償予測し符号化される。第4フィールド43は画像メモリ15で再構成された第2フィールド41を用いて動き補償予測を行い、、第3フィールド42と同様に符号化する。
【0019】次に動作について説明する。ディジタル映像入力端子1には、輝度信号(Y信号)と2つの色差信号(R-Y,B-Y)が入力され、それぞれY信号ブロック化回路51と色差信号(C信号)ブロック化回路60においてイントラフィールド、予測フィールドに係わらず、例えば8画素×8ラインを1つの単位とするブロック化が行なわれる。Y信号動き補償回路55では、予測フィールドの場合Y信号ブロック化回路51より出力される入力ブロックに対して、Y信号画像メモリ57に蓄えられているイントラフィールドの再生画像データを参照画像として動きベクトルを検出する。
・・・(中略)・・・
【0024】スイッチ回路52では、イントラモードの場合はY信号ブロック化回路51の出力Xi(i,j)を選択し、予測モードの場合はY信号動き補償回路55の出力Xe(i,j)を選択し直交変換回路53に出力する。直交変換回路53では入力される8×8の各ブロックに対して、例えば2次元の離散コサイン変換を施す。量子化回路54では、直交変換回路53より出力される直交変換係数を量子化する。ここで量子化回路54ではイントラモードの場合は、直交変換係数のみを符号化器69に出力するが、予測モードの場合は、動きベクトル情報を、直交変換係数に加えて符号化器69に出力する。また量子化回路54では、各フィールドの先頭に、このフィールドがイントラモードであるか、予測モードであるかを識別する信号を符号化器69に出力している。
【0025】また、予測モードの参照データとするために量子化回路54の出力は逆量子化回路58により復号化される。逆直交変換回路59では逆量子化回路58の出力に対して2次元離散逆コサイン変換を施して、参照データに用いる画像データを復元する。Y信号用画像メモリ57では、逆直交変換回路59によって復元された各ブロックを予測モードの場合の参照データとして、復元画像2フィールド分を蓄える。さらにY信号動き補償回路55に対して動きベクトルの検出範囲の参照画像データを出力する。
【0026】次に色差信号の動きベクトル検出法について説明する。本来、映像信号に動きがある場合、輝度信号と色差信号が同時に動くため、輝度信号と色差信号のサンプリング周波数が同じである場合、色差信号の動きベクトルは、輝度信号に対する動きベクトルと同じになるはずである。しかし、4:2:2のコンポーネントディジタル信号の場合、2つの色差信号R-Y,B-Yのサンプリング周波数は輝度信号のサンプリング周波数の1/2 である。このため、図2に示すようにR-Y,B-Y信号に対して8画素×8ラインのブロッキングを行なった場合、それぞれのエリアサイズはY信号の2倍の大きさになっているため、1つのC信号ブロックに対して、2つのY信号のブロックが相当することがわかる。しかしながら、C信号ブロックに対する動きベクトルは、これに対応する2個のY信号ブロックに対する動きベクトルに対して、それぞれ強い相関がある。従ってこれら2個のY信号に対する動きベクトルの1個をC信号の動きベクトルとして動き補償予測を行っても、C信号の予測誤差は十分小さくなるといえる。またC信号ブロックに対応する2個のY信号動きベクトルのうち、Y信号ブロックに対する予測誤差が小さい方が、C信号ブロックに対する動きベクトルとして適切であると考えられる。よって本発明では、Y信号動き補償回路55によって求められたY信号に対する2個の動きベクトルのうちY信号ブロックに対する予測誤差の小さい方をC信号の動きベクトルとして選ぶ。
【0027】C信号に対する動きベクトルは、C信号動きベクトル算出回路64によって算出される。以下C信号動きベクトル算出回路64の動作について説明する。Y信号動き補償回路55では、Y信号の動きベクトル成分Mv(x0,y0)と共に、Y信号ブロック化回路51の出力Di(i,j)とY信号の動きベクトルが示す参照ブロックDr(i+x0,j+y0)との誤差成分の絶対値和Erを
【0028】
【数2】 (略)
【0029】で求め、この誤差成分の絶対値和ErをC信号動きベクトル算出回路64に出力する。ここで、C信号動きベクトル算出回路64では、それぞれR-Y,B-Y信号のブロックに相当する2つのY信号の動きベクトルのうち、予測誤差の絶対値和を比較し、小さい方の動きベクトルをC信号の動きベクトルとする。すなわち各C信号のブロックに相当するY信号の動きベクトルをMv1,Mv2、その誤差成分の絶対値和Er1、Er2とすると、Er1>Er2の場合はMv1をEr1≦Er2の場合はMv2をC信号のブロック全体の動きベクトルとして選ぶ。
【0030】C信号誤差演算回路65ではC信号動きベクトル算出回路64によって求められた動きベクトルに従ってC信号画像メモリ66より出力される参照ブロックとC信号ブロック化回路60より出力されるブロックとの予測誤差を求め、動きベクトルと共にスイッチ回路61に出力する。ここで、C信号の動きベクトルは、Y信号に対する2つの動きベクトルMv1、Mv2のどちらか一方を用いているので、C信号の場合はMv1かMv2のどちらの動きベクトルを選択したかを示す制御信号のみを動きベクトルとして出力する。また、C信号に対するスイッチ回路61、直交変換回路62、量子化回路63までの動作及び逆量子化回路67、逆直交変換回路68の動作は、Y信号の場合と同じであるため省略する。
【0031】次にY信号に対する量子化回路54の出力とC信号に対する量子化回路63の出力は符号化器69に入力される。符号化器69ではY及びC信号のデータを可変長符号化し伝送路11に出力する。
【0032】なお上記実施例では、C信号の動きベクトルを2つのY信号の動きベクトルのうち各Y信号ブロックにおける予測誤差が小さくなる方をC信号の動きベクトルとして選んでいたが、C信号ブロックに対して2つのY信号の動きベクトルを用いてそれぞれの予測誤差を計算し、予測誤差の小さい方をC信号の動きベクトルとしてもよい。また、Yに対する2つの動きベクトルの平均をC信号の動きベクトルとして選んでもよい。ただしこの場合は、復号系においてC信号の動きベクトルはY信号の動きベクトルから合成することができるのでC信号に対する動きベクトル情報は伝送しなくてもよい。
【0033】また上記実施例では、入力信号が2つの色差信号のサンプリング周波数が輝度信号の1/2 倍になっていたが、必ずしも1/2 倍である必要はなく1/n倍のサンプリング周波数で行なってもよい。例えば色差信号が輝度信号の1/4 倍の場合は図3に示すにように1個の色差信号ブロックが4個の輝度信号ブロックに相当する。このため、C信号動きベクトル算出回路64では各C信号に相当する4個のY信号の動きベクトルのうち最適なものをC信号の動きベクトルに選ぶ。
【0034】また上記実施例ではC信号に対して線順次を行なっていないが、C信号に対して任意の間隔で線順次を行なってもよい。例えば色差信号に対して2ライン毎に線順次を行なった場合、1個の色差信号ブロックに対して図4に示すように4個の輝度信号ブロックが相当する。よって、C信号動きベクトル算出回路64では各C信号に相当する4個のY信号の動きベクトルのうち最適なものをC信号の動きベクトルに選べばよい。
【0035】また上記実施例では、直交変換のブロックサイズを8画素×8ラインの大きさにしているが、必ずしも8画素×8ラインである必要はなくn画素×mラインのブロックサイズで行なってもよい。また同様に動きベクトルの検出範囲も16画素×16ラインである必要はなく、k画素×lライン(k≧n,l≧m)で行なってもよい。また4フィールド毎に予測符号化が完結しているが必ずしも4フィールドである必要はなく任意のフィールド毎に予測符号化が完結するようにしてもよい。
【0036】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の高能率符号化装置では、色信号の動きベクトルを輝度信号の動きベクトルを使って、動き補償予測を行なっているので、動きベクトルを求めるための演算回路等のハードウェアサイズを小さくすることができる。」
(以上、引用例の記載)

2.引用発明
ここで、上記引用例の記載について検討する。

(1)引用例の【請求項1】の記載によれば、引用例には、「ディジタル化された映像信号を符号化する高能率符号化装置」が記載されている。

(2)引用例の【0015】、【0016】の記載によれば、引用例の高能率符号化装置は、輝度信号をブロック化するブロック化回路51、イントラモードの場合と予測モードの場合で輝度信号ブロック化回路と輝度信号動き補償回路の出力を切り換えるスイッチ回路52、スイッチ回路より出力される輝度信号ブロックに対して直交変換を施す直交変換回路53、直交変換回路の出力を量子化する量子化回路54、色差信号をブロック化する色差信号ブロック化回路60、イントラモードの場合と予測モードの場合で色差信号ブロック化回路と色差信号誤差演算回路の出力を切り換えるスイッチ回路61、スイッチ回路61より出力される色差信号ブロックに対して直交変換を施す直交変換回路62、直交変換回路62の出力を量子化する量子化回路63、輝度信号量子化回路54と色差信号量子化回路63の出力を可変長符号化する符号化器69を有していることが記載されている。
次に、上記各回路の動作について【0019】、【0024】、【0030】、【0031】の記載をみると、輝度信号(Y信号)と2つの色差信号(R-Y,B-Y)が入力され、それぞれY信号ブロック化回路51と色差信号(C信号)ブロック化回路60においてイントラフィールド、予測フィールドに係わらず、例えば8画素×8ラインを1つの単位とするブロック化が行なわれ、スイッチ回路52では、イントラモードの場合はY信号ブロック化回路51の出力Xi(i,j)を選択し、予測モードの場合はY信号動き補償回路55の出力Xe(i,j)を選択し直交変換回路53に出力する選択が行われ、直交変換回路53では入力される8×8の各ブロックに対して、例えば2次元の離散コサイン変換を施し、量子化回路54では、直交変換回路53より出力される直交変換係数を量子化すること、および、C信号に対するスイッチ回路61、直交変換回路62、量子化回路63までの動作及び逆量子化回路67、逆直交変換回路68の動作は、Y信号の場合と同じであり、Y信号に対する量子化回路54の出力とC信号に対する量子化回路63の出力は符号化器69に入力され、符号化器69ではY及びC信号のデータを可変長符号化することが開示されている。
以上のことから、引用例には、入力された輝度信号を、8画素×8ラインを1つの単位としてブロック化し、上記8×8の各ブロックに対して、直交変換、量子化をして符号化を行い、入力された色差信号を、上記輝度信号と同様8画素×8ラインを1つの単位としてブロック化し、上記8×8の各ブロックに対して、直交変換、量子化をして符号化を行うことが開示されている。
ここで、上記入力される輝度信号の8画素×8ラインのブロックと色差信号の8画素×8ラインのブロックとの関係を検討する。
【0026】には「次に色差信号の動きベクトル検出法について説明する。本来、映像信号に動きがある場合、輝度信号と色差信号が同時に動くため、輝度信号と色差信号のサンプリング周波数が同じである場合、色差信号の動きベクトルは、輝度信号に対する動きベクトルと同じになるはずである。しかし、4:2:2のコンポーネントディジタル信号の場合、2つの色差信号R-Y,B-Yのサンプリング周波数は輝度信号のサンプリング周波数の1/2 である。このため、図2に示すようにR-Y,B-Y信号に対して8画素×8ラインのブロッキングを行なった場合、それぞれのエリアサイズはY信号の2倍の大きさになっているため、1つのC信号ブロックに対して、2つのY信号のブロックが相当することがわかる。」とあるから、図2も参酌すると、4:2:2のコンポーネントディジタル信号の場合、輝度信号と色差信号とを対比すると、色差信号は画素方向に画素が1/2に間引かれているから、色差信号の8画素×8ラインのブロックは、画素方向で2ブロック分の輝度信号のブロックに対応していることが理解できる。
そして、【0034】には「また上記実施例ではC信号に対して線順次を行なっていないが、C信号に対して任意の間隔で線順次を行なってもよい。例えば色差信号に対して2ライン毎に線順次を行なった場合、1個の色差信号ブロックに対して図4に示すように4個の輝度信号ブロックが相当する。」の記載があるから、上記【0026】に記載された4:2:2のコンポーネントディジタル信号に対して、2ライン毎に線順次を行なった場合、色差信号の8画素×8ラインのブロックは、画素方向およびライン方向各2ブロック、あわせて4ブロック分の輝度信号のブロックに対応していることが理解できる。
以上まとめると、引用例には、
入力された輝度信号を、8画素×8ラインを1つの単位としてブロック化し、上記8×8の各ブロックに対して、直交変換、量子化をして符号化を行い、入力された色差信号を、上記輝度信号と同様8画素×8ラインを1つの単位としてブロック化し、上記8×8の各ブロックに対して、直交変換、量子化をして符号化を行うものであって、
輝度信号の8画素×8ラインのブロックと色差信号の8画素×8ラインのブロックとの関係は、色差信号は、輝度信号と対比して、画素方向に画素が1/2に間引かれ、2ライン毎に線順次を行なった場合、色差信号の8画素×8ラインのブロックは、画素方向およびライン方向各2ブロック、あわせて4ブロック分の輝度信号のブロックに対応している、符号化処理を行うことが開示されている。

(3)上記(2)で検討した符号化処理は、引用例の高能率符号化装置が行う符号化処理の方法ともいえるから、高能率符号化装置が行う上記符号化処理方法が開示されているといえる。

(4)まとめ
上記(1)ないし(3)によると、引用例には、下記の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
((a)ないし(c)は合議体が付与した。以下、それぞれ、構成要件(a)、構成要件(b)・・・、という。)

(a)ディジタル化された映像信号を符号化する高能率符号化装置が、
(b)入力された輝度信号を、8画素×8ラインを1つの単位としてブロック化し、上記8×8の各ブロックに対して、直交変換、量子化をして符号化を行い、入力された色差信号を、上記輝度信号と同様8画素×8ラインを1つの単位としてブロック化し、上記8×8の各ブロックに対して、直交変換、量子化をして符号化を行うものであって、、
輝度信号の8画素×8ラインのブロックと色差信号の8画素×8ラインのブロックとの関係は、色差信号は、輝度信号と対比して、画素方向に画素が1/2に間引かれ、2ライン毎に線順次を行なった場合、色差信号の8画素×8ラインのブロックは、画素方向およびライン方向各2ブロック、あわせて4ブロック分の輝度信号のブロックに対応している、符号化処理を行う、
(c)符号化処理方法。

3.対比
本願発明と引用発明とを対比する。
(1)本願発明の構成要件(A)と引用発明の構成要件(a)とを対比する。
引用発明の映像信号が表す映像は本願発明の画像と対応するものであり、上記映像を表す映像信号を符号化することは、画像処理ともいえるから、引用発明の「ディジタル化された映像信号を符号化する高能率符号化装置」は、本願発明の「画像処理装置」に相当する。

(2)本願発明の構成要件(B)、構成要件(C)と引用発明の構成要件(b)とを対比する。
まず、引用発明の「輝度信号の8画素×8ラインのブロックと色差信号の8画素×8ラインのブロックとの関係は、色差信号は、輝度信号と対比して、画素方向に画素が1/2に間引かれ、2ライン毎に線順次を行なった場合」とは、輝度成分の解像度に対して色差成分の水平方向(画素方向)の解像度と垂直方向(ライン方向)の解像度とを半分にした場合であることは明白であって、色差信号は、輝度信号に対して、上記のとおり解像度を水平方向、垂直方向それぞれ半分にした信号である場合のことであるといえる。
そして、引用発明は、上記の関係にある場合に、輝度信号と色差信号に対して符号化処理を行う構成であるから、本願発明の「輝度成分の解像度に対して色差成分の水平方向の解像度と垂直方向の解像度とを半分にしたカラーフォーマットで画像を符号化する場合」に相当する。
この場合において、引用発明では、「色差信号の8画素×8ラインのブロックは、画素方向およびライン方向各2ブロック、あわせて4ブロック分の輝度信号のブロックに対応している」のであるから、4つの輝度ブロックに対して、1つの色差ブロックを対応させている点で本願発明と対応している。
もっとも、本願発明では、輝度ブロック、色差ブロック共に4×4ブロックサイズであるのに対し、引用発明では8×8ブロックサイズである点で相違する。
そして、引用発明では、「入力された輝度信号を、8画素×8ラインを1つの単位としてブロック化し、上記8×8の各ブロックに対して、直交変換、量子化をして符号化を行い、入力された色差信号を、上記輝度信号と同様8画素×8ラインを1つの単位としてブロック化し、上記8×8の各ブロックに対して、直交変換、量子化をして符号化を行う」が、上記のとおり、引用発明の色差信号の8画素×8ラインを1つの(サイズの)単位とするブロックは、4つの輝度信号の8画素×8ラインを1つの(サイズの)単位とするブロックに対応しているから、『対応された輝度ブロックのブロックサイズと色差ブロックのブロックサイズとに従って、4つの輝度ブロックと1つの色差ブロックを符号化』しているといえる。
もっとも、先に検討したとおり、本願発明では、輝度ブロック、色差ブロック共に4×4ブロックサイズであるのに対し、引用発明では8×8ブロックサイズである点で相違する。
以上まとめると、引用発明は、
「輝度成分の解像度に対して色差成分の水平方向の解像度と垂直方向の解像度とを半分にしたカラーフォーマットで画像を符号化する場合に、4つの輝度ブロックに対して、1つの色差ブロックを対応させ、
対応された輝度ブロックのブロックサイズと色差ブロックのブロックサイズとに従って、4つの輝度ブロックと1つの色差ブロックを符号化する」
点で本願発明と対応している。
もっとも、本願発明では、輝度ブロック、色差ブロック共に4×4ブロックサイズであるのに対し、引用発明では8×8ブロックサイズである点で相違する。

(3)本願発明の構成要件(D)と引用発明の構成要件(c)とを対比する。
引用発明の「符号化処理方法」は、ディジタル化された映像信号を符号化する処理方法であるから、画像処理方法といえ、本願発明の構成要件(D)と相違がない。

(4)まとめ(一致点、相違点)
以上まとめると、本願発明と引用発明とは以下の一致点で一致し相違点で相違する。

(一致点)
画像処理装置が、
輝度成分の解像度に対して色差成分の水平方向の解像度と垂直方向の解像度とを半分にしたカラーフォーマットで画像を符号化する場合に、4つの輝度ブロックに対して、1つの色差ブロックを対応させ、
対応された輝度ブロックのブロックサイズと色差ブロックのブロックサイズとに従って、4つの輝度ブロックと1つの色差ブロックを符号化する
画像処理方法。

(相違点)
本願発明では、輝度ブロック、色差ブロック共に4×4ブロックサイズであるのに対し、引用発明では8×8ブロックサイズである点。

4.相違点の判断
上記相違点について検討する。
引用例には、ブロックサイズの大きさを適宜に変更可能とすることも示されおり(段落【0035】)、また、ブロックサイズとして「4×4」は当業者に周知であり、また、上記4×4のブロックサイズを必要に応じて適宜選択することも、当業者が普通に行っていることである(例えば、H.264/AVC方式等)。
したがって、引用発明の8×8ブロックサイズを、必要に応じて、4×4ブロックサイズとし、本願発明の構成とすることは、当業者が容易になしえたことである。

以上のように、上記相違点は当業者が容易に想到し得たものと認められ、本願発明全体としてみても格別のものはなく、その作用効果も、上記構成の採用に伴って当然に予測される程度のものにすぎず、格別顕著なものがあるとは認められない。

第4 むすび
以上、本件出願の請求項4に係る発明は、引用例に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、残る請求項に係る発明について検討するまでもなく、本件出願は拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-10-05 
結審通知日 2015-10-06 
審決日 2015-10-19 
出願番号 特願2013-65323(P2013-65323)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 堀井 啓明  
特許庁審判長 藤井 浩
特許庁審判官 渡邊 聡
豊島 洋介
発明の名称 画像処理装置および方法、プログラム、並びに記録媒体  
代理人 稲本 義雄  
代理人 西川 孝  
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