• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 一部無効 1項3号刊行物記載  H04W
審判 一部無効 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  H04W
審判 一部無効 特36条4項詳細な説明の記載不備  H04W
審判 一部無効 2項進歩性  H04W
審判 一部無効 出願日、優先日、請求日  H04W
管理番号 1308665
審判番号 無効2012-800016  
総通号数 194 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-02-26 
種別 無効の審決 
審判請求日 2012-02-29 
確定日 2015-12-22 
事件の表示 上記当事者間の特許第4696176号発明「移動無線網で作動される移動局および移動局の作動方法」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第4696176号の請求項1に係る発明についての特許を無効とする。 特許第4696176号の請求項2に係る発明についての審判請求は、成り立たない。 審判費用は、その2分の1を請求人の負担とし、2分の1を被請求人の負担とする。 
理由 第1.手続の経緯
1.本件出願の経緯
出願 特願2010-130883号 平成22年6月8日
原出願 特願2000-604634号 平成12年2月15日
優先権主張 ドイツ1999年3月8日(平成11年3月8日)

設定登録 平成23年3月4日
特許第4696176号
発明の名称 移動無線網で作動される移動局および移動局の作動方法
請求項数 4
権利者 アイピーコム ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル
ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシ
ャフト

2.本件審判の経緯
審判請求書(請求人) 平成24年2月29日
(甲第1号証?甲第19号証添付)
答弁書(被請求人) 平成24年7月4日
(乙第1号証?乙第10号証添付)
口頭審理陳述要領書(請求人) 平成24年10月26日
(甲第20号証?甲第29号証添付)
口頭審理陳述要領書(被請求人) 平成24年10月26日
(乙第11号証?乙第12号証添付)
口頭審理 平成24年11月9日
上申書(1)(被請求人) 平成24年11月16日
上申書(2)(被請求人) 平成24年11月16日


第2.本件特許発明
本件特許に係る請求項1および請求項2の発明(以下、各請求項に係る発明を「本件特許発明1」及び「本件特許発明2」という。)は、それぞれ、本件特許の明細書(以下、「本件特許明細書」という。)の特許請求の範囲の請求項1及び請求項2に記載された下記のとおりのものである。



【請求項1】
複数のユーザクラス(35,40)が区別される移動無線網で作動するための移動局(5,10,15,20)において、
前記移動局(5,10,15,20)は、
SIMカード(75)からユーザクラス(35,40)を読み出し、
ブロードキャストコントロールチャネル(25)を介してアクセス閾値ビット(S3,S2,S1,S0)およびアクセスクラス情報(Z0,Z1,Z2,Z3)を受信し、
前記アクセス閾値ビット(S3,S2,S1,S0)からアクセス閾値(S)を求め、
前記ユーザクラス(35,40)に関連するアクセスクラス情報(Z0,Z1,Z2,Z3)に基づいて、
当該移動局(5,10,15,20)が、受信されたアクセス閾値ビット(S3,S2,S1,S0)に依存せずにランダムアクセスチャネル(RACH)にアクセスする権限が付与されているのか、あるいは
ランダムアクセスチャネル(RACH)への、当該移動局(5,10,15,20)のアクセス権限が、アクセス閾値の評価に依存して求められるのか
を検査するように構成されていることを特徴とする移動局。
【請求項2】
前記移動局は、アクセス閾値評価を実施するために、前記アクセス閾値(S)とランダム数または擬似ランダム数(R)とを比較する手段を有する請求項1記載の移動局。


第3.請求人の主張の概要

1.請求の趣旨
特許第4696176号の請求項1及び請求項2に係る発明についての特許を無効とする。
審判費用は、被請求人の負担とする。
との審決を求める。

2.請求の理由(概要)

(1)無効理由1(新規性欠如)
本件特許発明1及び2は、甲第1号証に記載された発明と同一であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。

(2)無効理由2(進歩性欠如)
本件特許発明1及び2は、甲第2号証に記載された発明及び周知技術から当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。

(3)無効理由3(進歩性欠如)
本件特許発明1及び2は、甲第2号証及び甲第4号証に記載された発明から当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。

(4)無効理由4(進歩性欠如)
本件特許発明1及び2は、甲第12号証に記載された発明及び周知技術から当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。

(5)無効理由5(分割要件違反に基づく新規性欠如)
本件特許に係る出願(以下、「本件特許出願」という。)は、特願2000-604634号を分割したものであるが、当該分割は、平成18年改正前の特許法第44条第1項が定める出願の分割の要件を満たさないから、本件特許出願は、分割の日である平成22年6月8日に出願されたものとみなされる。
そして、本件特許発明1及び2は、本件特許の対応欧州特許第1841268号(公開日2010年(平成22年)3月17日)(甲第16号証)に記載された発明と同一であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。
具体的には、本件特許発明1及び2の「前記アクセス閾値ビット(S3,S2,S1,S0)からアクセス閾値(S)を求め、」は、本件特許の分割前の特許出願(特願2000-604634号)の国際出願日における明細書等の翻訳文に対する誤訳訂正書(甲第18号証)に記載された事項の範囲内でない。

(6)無効理由6(サポート要件違反)
本件特許の特許請求の範囲の請求項1及び請求項2の記載は、特許を受けようとする発明が「発明の詳細な説明」に記載されたものでないから、特許法第36条第6項第1号の規定の要件を満たしておらず、本件特許は特許法第123条第1項第4号の規定により無効とすべきものである。
具体的には、本件特許発明1及び2の「前記アクセス閾値ビット(S3,S2,S1,S0)からアクセス閾値(S)を求め、」は、本件特許明細書(甲第19号証)の「発明の詳細な説明」に記載された事項の範囲内でない。

(7)無効理由7(実施可能要件違反)
本件特許明細書の「発明の詳細な説明」は、当業者が、本件特許発明1及び2を実施することができる程度に明確かつ十分に記載したものでないから、特許法第36条第4項第1号の規定の要件を満たしておらず、本件特許は特許法第123条第1項第4号の規定により無効とすべきものである。
具体的には、本件特許発明1及び2の「前記アクセス閾値ビット(S3,S2,S1,S0)からアクセス閾値(S)を求め、」は、本件特許明細書(甲第19号証)の「発明の詳細な説明」において実施できる程度に記載されていない。

(8)証拠方法

甲第1号証:特開平10-327474号公報
甲第2号証:特開昭64-29136号公報
甲第3号証:社団法人電波産業会(ARIB)標準規格RCR STD-2
7H版 「デジタル方式自動車電話システム」第1分冊?第3
分冊 平成11年2月2日発行
甲第4号証:TS100 921 V6.0.0(1998-07)
GSM02.11 version6.0.0 1998年
7月発行
甲第5号証:特表平10-512432号公報
甲第6号証:特開平7-203549号公報
甲第7号証:特表平10-505968号公報
甲第8号証:特開平10-243467号公報
甲第9号証:国際公開99/44379号
甲第10号証:A collection of technical papers; 16th AIAA
International Communications Satellite Systems
Conference, February 25-29, 1996, Washington DC.
「AN OPTIMIZED SIGNALLING ARCHITECTURE
FOR A MEO/ICO SATELLITE SYSTEM」
平成8年2月29日公開
甲第11号証:GSM04.60 V6.2.0(1998-10)
平成10年10月発行
甲第12号証:特開平4-373325号公報
甲第13号証:CEPT/CCH/GSM/L1EG-WP3 138/
(87)「minutes of the L1EG meeting」 昭和62年
9月1日頃作成
甲第14号証:L1EG74/87 GSM/L1EG STOCKHOL
M 08/31/87-09/02/87 「A PROPOSA
L FOR THE DECISION OF THE RANDOM ACCESS P
ROTOCOL ON THE CCCH」 昭和62年9月1日頃作成
甲第15号証:東京地裁平成23年(ワ)第27102号特許権侵害行為差
止等請求事件における平成23年8月16日付訴状)
甲第16号証:欧州特許第1841268号の特許公報 平成22年3月1
7日公開
甲第17号証:本件特許の分割前の特許出願(特願2000-604634
号)の国際出願日における明細書等の翻訳文 平成13年9
月10日受付
甲第18号証:本件特許の分割前の特許出願(特願2000-604634
号)の国際出願日における明細書等の翻訳文に対する誤訳訂
正書 平成22年3月1日受付
甲第19号証:本件特許明細書


第4.被請求人の主張の概要
被請求人は、答弁書を提出し、本件無効審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めている。


第5.甲各号証の記載事項

1.甲第1号証

(a)段落番号【0007】-【0008】
「【0007】また、制御局163や無線基地局161-1?161-7に集中するトラヒックが予め設定された上限値を上回る状態(図15(4))(以下、「規制状態」という。)が検出された場合には、例えば、その制御局163は、保守・運用に供されるべき操作部(図示されない。)から操作者によって与えられる指令に応じて、所望の無線基地局(ここでは、簡単のため、符号「161-1」で示されると仮定する。)に「規制要求」を送出する(図15(5))。
【0008】無線基地局161-1は、その「規制要求」を認識すると、制御チャネルを介して送出される報知情報に「発信呼が受け付けられない状態」を示す「規制情報」を付加する(図15(6))。一方、無線基地局161-1によって形成される無線ゾーン160-1に位置する移動局(ここでは、簡単のため、符号「164-1」で示されると仮定する。)は、報知情報に上述した規制情報が含まれるか否かを判別し、その判別の結果が真である場合には、その旨を可視情報や音響信号等として操作者に通知すると共に、この操作者が行う操作の如何にかかわらず発信を見合わせる(図15(7))。

(b)段落番号【0013】
「【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述した従来例では、移動局164-1?164-nに対する発信や着信の規制が無線ゾーンやサービスエリアの単位のみに行われるために、ホール、映画館、会議室、交通機関の車内、シンポジュームの会場等(以下、これらの総称を「規制地域」という。)のみに位置する移動局については、着信の規制は何ら行われなかった。」

(c)段落番号【0100】-【0101】
「【0100】また、移動局144は、無線ゾーン142-1における待ち受け状態では、無線基地局141-1から制御チャネルを介して受信される報知情報を所定の頻度で監視することによって、自局宛の着信呼の有無を監視すると共に、その報知情報に上述した「規制情報」が含まれているか否かを判別する。さらに、移動局144は、その判別の結果が真である場合には、該当する「規制情報」に併せて報知情報に含まれる「規制チャネル識別情報」と「基準レベルL」とを取得し、その「規制チャネル識別情報」に対応した制御チャネル(規制チャネル)の受信レベル(受信電界強度)を予め決められた頻度で計測すると共に、その受信レベルが「基準レベルL」を下回る場合には、何ら特別なチャネル設定は行わない。
【0101】しかし、上述した受信レベルが「基準レベルL」を上回る場合には、移動局144は、その受信レベルと「基準レベルL」との比較を予め決められた頻度で続行すると共に、前者が後者を上回る限り、操作者が行う操作の如何にかかわらず発信を行うことを見合わせ、かつ既述の「自局宛の着信呼」の有無を監視し、あるいはその「自局宛の着信呼」に対して応答することを省略する(図9(e))。」

(d)段落番号【0124】-【0127】
「一方、移動局144は、無線ゾーン142-1において待ち受けを行っている状態では、無線基地局141-1から制御チャネルを介して受信される報知情報を所定の頻度で監視することによって、自局宛の着信呼の有無を監視すると共に、その報知情報に上述した「規制情報」が含まれているか否かを判別する。
【0125】さらに、移動局144は、その判別の結果が真である場合には、自局の加入者クラスと上述したように報知情報に含まれる加入者クラスとを比較し、前者が後者以下である場合に限って、その報知情報に含まれる「規制チャネル識別情報」と「基準レベルL」とを取得し、その「規制チャネル識別情報」に対応した制御チャネル(規制チャネル)の受信レベルを予め決められた頻度で計測する。
【0126】また、移動局144は、その受信レベルが「基準レベルL」を下回る場合には、特別な手順に基づくチャネル設定は行わないが、反対に上回る場合には、その受信レベルと「基準レベルL」との比較を予め決められた頻度で続行すると共に、前者が後者を上回る限り、操作者が行う操作の如何にかかわらず発信を行うことを見合わせ、かつ既述の「自局宛の着信呼」の有無を監視する処理を省略する(図9(e))。
【0127】このように本実施形態によれば、規制ゾーンに位置する移動局の内、報知情報に含まれる加入者クラス以下の加入者クラスを有する移動局に限って、発信や着信が規制されるので、移動通信システムに要求される運用、保守およびサービスの形態に柔軟に適応しつつ規制ゾーンが形成される。」


2.甲第2号証

(a)第1頁右下欄第15-19行
「この発明は衛星通信、LAN(Local Area Network)等におけるデータ通信のプロトコルに係り、更に詳しくはデータ伝送の際、信号、パケットの衝突を回避することができるマルチアクセス方法に関するものである。」

(b)第2頁右下欄第1-8行
「図において、通信衛星の制御局3には各端末の子局4_(1),・・・4_(n)に対して例えば1以下のアクセス制限値を発生する機能が備えられている。一方、子局4_(1),・・・4_(n)には、個々に例えば1未満の乱数の値を発生し、その乱数の値と上記アクセス制限値とを比較し、通信のためのアクセス権があるか否かを判断し、例えばアクセス権がある場合制御局3にアクセスを行う機能が備えられている。」

(c)第3頁左上欄第13行-右上欄第5行
「ところで、各子局4_(1),・・・4_(n)のうち通信を希望する子局が多く、信号、パケットの衝突が発生するようになると、制御局1からはあるタイムスロットでアクセス制限値が各子局4_(1),・・・4_(n)に対して発生される。これら子局には、当然通信を希望する子局も含まれている。すると、通信を希望する子局において、次のタイムスロットにてそのアクセス制限値と自ずから発生した乱数の値とが比較され、制御局3に対してチャネル割り当て等のアクセスを行うことができるか否かの判断がなされる。そして、そのアクセス制限値より小さい乱数の値を発生した子局のみが次のタイムスロットにて制御局3に対してアクセスすることになる。」


3.甲第3号証

(a)第2分冊の第852頁第6-17行
「E.1 アクセス群規制
(1)規制処理概要
一般移動局を8つの規制群に分類して、各群の移動局に対して発信/位置登録動作を禁止することにより、網にアクセスするトラヒックを規制する制御を行う。同時に規制する群の数を調整することにより8段階の規制レベル(0?100%:12.5%間隔)を実現する。なお規制実施中特定の群に規制実施が偏らないように、規制実施群を定期的に変更する。
(2)規制内容
網の過負荷状態に応じた制御を行う。網は報知情報の規制情報で自ゾーンアクセス規制有無(移動局動作情報)、一般移動局位置登録/発信規制有無(規制情報),規制実施群(規制群指定)を報知する。一般移動局は自ゾーンアクセス規制有を認識すると、規制実施群に自移動局が含まれるか判断し、含まれる場合は報知情報の規制内容(発信/位置登録)動作を禁止する。

(b)第3分冊の付4-4頁の第8-12行
「5.物理的特性
本規格では物理的特性により2種類の加入者情報モジュール(ICカード)を定義する。ひとつはフルサイズICカード、もうひとつはプラグインICカードとする。
2種類のICカードの物理的特性はISO7816-1、2に準拠し、ISO規格外の規定について記述する。

(c)第3分冊の付4-54頁

表11.9 移動局分類詳細

移動局分類詳細
b7 b6 意味
0 0 一般移動局
0 1 優先移動局
1 0 予備
1 1 保守用移動局


4.甲第4号証

(a)第9頁の「4.2 Allocation」
「4.2 Allocation
All MSs are members of one out of ten randomly allocated mobile populations, defined as Access-Classes 0 to 9. The population number is stored in the SIM. In addition, mobiles may be members of one or more out of 5 special categories(Access Classes 11 to 15), also held in the SIM. These are allocated to specific high priority users as follows. (The enumeration is not meant as a priority sequence ):
Class 15 - PLMN Staff;
Class 14 - Emergency Services;
Class 13 - Public Utilities(e.g. water/gas suppliers);
Class 12 - Security Services;
Class 11 - For PLMN Use. 」
(和訳:4.2 割り当て
全ての移動局は、ランダムに割り当てられる0から9のアクセスクラスとして定義される10個の移動局群のいずれか1つに属する。クラス番号はSIMに記録される。これに加えて、移動局は、5つの特別なカテゴリ(アクセスクラス11から15)のうちの1つまたは複数のクラスに属する場合もあり、その場合も、クラス番号はSIMに記録される。これらは、以下のように特定の高い優先順位をもつユーザに割り当てられる(列挙の順番は優先順位を意味しない)。
クラス15 - PLMNスタッフ
クラス14 - 緊急サービス
クラス13 - 公共企業(例 水道/ガス供給者等)
クラス12 - 安全サービス
クラス11 - PLMN専用)

(b)第9頁の「4.3 Operation」
「4.3 Operation
If the MS is a member of at least one Access Class which corresponds to the permitted classes as signalled over the air interface, and the Access Class is applicable in the serving network, access attempts are allowed. Otherwise access attempts are not allowed.
Access Classes are applicable as follows.
Classes 0-9 - Home and Visited PLMNs;
Classes 11 and 15 - Home PLMN only;
Classes 12,13,14 - Home PLMN and visited PLMNs of home
country only.
Any number of these classes may be barred at any one time.」
(和訳:4.3 運用
移動局が、エアインターフェイスを介して送信される、許可されたクラスに対応するアクセスクラスの中の少なくとも1つに所属しており、そのアクセスクラスがサービスネットワークで適用できる場合、アクセス試行が許可され、そうでなければ、アクセス試行は許可されない。
アクセスクラスは以下のとおり適用される。
クラス0-9 - ホーム及び訪問先PLMN
クラス11及び15 - ホームPLMNのみ
クラス12,13,14 - ホームPLMN及び自国の訪問先PLMNの

上記クラスのうち、何個でも、任意の時に禁止されることがができる。)


5.甲第5号証

(a)第4頁第22-28行
「ある種の無線電話通信システム、たとえば汎ヨーロッパ・デジタル化移動体通信システム(GSM: Global System for Mobile Communication)の無線電話通信システムにおいては、BSSは同報制御チャネル(BCCH: broadcast control channel)を介してその信号範囲のすべてのMSに信号を絶えず送信する。この信号には、MSがシステムにアクセスするために必要な情報が含まれる。この信号内では、BSSがシステムにアクセスすることを許可するアクセス・クラスに関する情報が特に重要である。」

(b)第5頁第1-7行
「GSM勧告4.08では、通常クラス,緊急クラスおよび特殊サービス・アクセス・クラスの3つのアクセス・クラスを定義する。10個の通常アクセス・クラス(0?9から任意),1つの緊急クラス(10)および5つの特殊サービス・アクセス・クラス(11?15)がある。これ以降は、緊急アクセス・クラスと特殊サービス・アクセス・クラスを総称する場合は、通常アクセス・クラスと区別して「優先アクセス・クラス」と呼ぶ。」

(c)第12頁第8-15行
「いくつかのMSが同一の緊急呼を試行しようとすることもありうるので、BSS115は段階426において、緊急呼トラフィックの程度の指示値を表す指標を追跡する。指標が閾値に到達すると(段階426)、BSS115は優先アクセス・クラスに有利に、通常アクセス・クラスをあらかじめ制限する(段階432)。従って、従来技術に対する別の改善点は、本発明によりBSS115が、通信チャネルに対する強化された必要性を予測し、チャネルを優先アクセス・クラスを有するMS100のために確保することにより、緊急時に対応することができることである。」


6.甲第6号証

(a)段落番号【0052】
「【0052】アクセス・プロトコル中に競合する加入者ユニット26間の「スラッシング」を低減または防ぐため、加入者ユニット26にクラス識別子(class identifier)が割り当てられる。表Iは、さまざまなユーザ・クラスに割り当てることができるいくつかのクラス識別子の例を示す。クラス識別子は、システム・メンテナンス・ユーザ,緊急サービスまたは企業重役の場合のような特殊または特権ユーザを示すことができる。また、クラス識別子は、正規(regular) 加入者クラスの場合のように、ランダムに割り当てることもできる。クラスの厳密な数は、衛星ビーム35(図3)内の単一クラスのメンバの数が過負荷状態が発生する可能性を低減する限り、本発明にとって重要ではない。

表I

ユーザ・クラス クラス識別子
システム・テストおよびメンテナンス 1
緊急サービス 2
優先システム・ユーザ 3
FAA 4
・ ・
・ ・
・ ・
正規加入者 13
・ 14
・ 15
・ ・
・ ・
・ ・

クラス識別子を加入者ユニットに割り当てるためには、クラス識別子は各加入者ユニットに組み込まれる。望ましくは、クラス識別子は、加入者ユニット26のメモリ43(図6)に格納され、加入者ユニットの初期起動時に実行される。クラス識別子は、個別ユーザによって変更されず、加入者ユニット26が特定のユーザまたはユーザ・グループに割り当てられる際に固定されたままであることが望ましい。」

(b)段落番号【0053】
「【0053】図1を参照して、前述のように、SCS28は衛星12によって提供される通信機器(例えば、図4)の動作を制御するため、パラメータを衛星12に与える。これらのパラメータは、望ましくは、禁止ユーザ・クラスのセット(すなわち、例えば、表Iのユーザ・クラス7,9,11)を含む。衛星の捕捉をある限定されたクラスまたはユーザのセットに制限することが望ましい期間中に、衛星12は禁止クラス識別子のセットを放送チャネル18上で放送する。禁止ユーザ・クラスの1つを有する加入者ユニット26は、捕捉チャネル19上でアクセス・プロトコルを開始することが禁止され、それにより衛星12をアクセスすることが防がれる。加入者ユニットが捕捉チャネル19を停止(tie up)させずに、トラヒック・チャネル17がないこと知ることができることが利点である。従って、加入者ユニット26にはトラヒック・チャネル17が割り当てられず、システム10と通信できない。」


7.甲第7号証

(a)第4頁第12-18行
「加入者ユニットの少なくとも2つのクラスが存在し、各クラスは同時に送信されているメッセージの数の異なるしきい値より上の値に制限される。こうして、加入者は負荷が高い場合はネットワークをアクセスする異なる優先度を持つことができる。好ましくは、各クラスは関連するアクセス制限値を有し、基地局は制御メッセージを加入者ユニットに送信し、その制御メッセージは現在のアクセス制御値を含んで、加入者ユニットのどの1つ以上のクラスからアクセスが制限されるかを制御する。」


8.甲第8号証

(a)段落番号【0003】-【0004】
「【0003】発信規制における動作について簡単に説明する。なお、発信規制の基本的な動作は標準規格STD-28「第2世代デジタルコードレス電話システム」に記載されている。まず、移動体端末は複数の規制群に分類されている。例えば、PHSの公衆においては、8つの規制群(着信群)に分類されている。そして、予め与えられた着信群数の情報により、各移動体端末は、自らの移動体端末番号(通常自分の電話番号の少なくとも一部が使用される)と上記規制群数とから自分が属する規制群を算出する。例えば、着信群=(移動体端末番号/着信群数)+1の式に従い導かれる。この着信群数とは、いくつの規制群に分類されているかを示すものである。
【0004】規制情報が網側から報知されるシステム情報報知メッセージの1つの情報要素として移動体端末に知らされる。この規制情報には、どの規制群が規制されたかを示す規制群指定情報が含まれる。各移動体端末は、自らが属する規制群と規制群指定情報が示す規制群とが一致するかどうかを判定して、一致する場合に発信規制を行ない、発呼動作が行なえないように制御する。 」


9.甲第9号証

(a)第2頁第3-11行
「An owner of a mobile station typically enters into a contract or subscription agreement with a service provider (e.g., a company which operates the telecommunications network through which the mobile station engages in telecommunications connections). As part of the subscription agreement, the mobile station is categorized as belonging to one of several access classes available on the network. The particular access class to which a mobile station belongs determines the conditions under which the mobile station will be permitted to use resources of the cellular network. Examples of access classes are provided in GSM 04.08, TIA/EIA IS-136, and IS-95, for example.」
(和訳:通常、移動局の所有者はサービスプロバイダー(例えば、移動局が遠隔通信接続するための遠隔通信ネットワークを運営する会社)と契約または加入契約を締結する。その加入契約の一環として、移動局はネットワークで利用できるいくつかのアクセスクラスのうちの1つに分類される。移動局がどのアクセスクラスに所属するかによって、当該移動局がセルラーネットワークのリソースの利用を許可される条件が決定される。アクセスクラスの例は、例えば、GSM04.08,TIA/EIA IS-138およびIS-95等に記載されている。)

(b)第3頁第5-14行
「One technique for curtailing repeated access requests is for the network to broadcast periodically an access status to all mobile stations. In fact, in accordance with this technique the network broadcasts an access status for each of several access classes. Typically the network broadcasts the access status for a number of access classes to the mobile stations. The access status for each access class may be either “granted” or “denied”, as appropriate.
Thus, the network has the capability of granting access for some access classes while denying access to other access classes. The access classes thereby form part of a priority mechanism and can be used to regulate the load caused by mobile stations attempting to access the network.」
(和訳: 繰り返されるアクセス要求を抑制するための技術の一つは、ネットワークが全ての移動局に対して、アクセス状態を定期的に報知することである。実際、この技術に従って、ネットワークは、アクセスクラス毎のアクセス状態を報知する。通常、ネットワークは、移動局に対して、いくつかのアクセスクラスのアクセス状態を報知する。アクセスクラス毎のアクセス状態は、必要に応じて、「許可」または「不許可」になる。
従って、ネットワークは、あるアクセスクラスに対してアクセスを付与する一方で、その他のアクセスクラスに対してはアクセスを禁止する機能を有している。これにより、アクセスクラスは、優先順位を付すメカニズムの一部を構成し、ネットワークに対するアクセスを試行する移動局による負荷を制御するために使用されることができる。)


10.甲第10号証

(a)第446頁右欄第7-15行
「4.1 A priority-based random access scheme
In the GSM system, a S-aloha protocol is used on RACH. To achieve acceptable channel performance, it makes use of a capture effect and some congestion control mechanisms, such as using three broadcast parameters: the maximum number of allowed retransmissions, the average time between repetitions, and the access classes forbidden from accessing system.」
(和訳:4.1 優先順位に基づくランダムアクセススキーム
GSMシステムにおいて、RACHに関してS-ALOHAプロトコルが採用されている。許容できるチャネル性能を実現するために、そのプロトコルは、キャプチャー効果を利用したり、以下の3つのブロードキャストパラメータを利用するなど、何らかの混雑制御手段を用いたりする:、すなわち、許可される再送信の最大回数、繰り返しの間の平均時間、およびシステムへのアクセスを禁止されたアクセスクラス。)


11.甲第11号証

(a)第24頁第第1-5行
「7.1.1 Permission to access the network
The network broadcasts on PBCCH and PCCCH, the list of authorised access classes and authorised special access classes in the ACC_CONTR_CLASS parameter.
Access to the network is allowed if the mobile station is a member of at least one authorised access class or special access class as defined in GSM02.11.」
(和訳:7.1.1 ネットワークへのアクセスの許可
ネットワークは、PBCCH及びPCCCH上で、ACC_CONTR_CLASSパラメータの中で、アクセス権限を付与されたアクセスクラスとアクセス権限を付与された特別のアクセスクラスのリストを報知する。
移動局が、GSM02.11で定義される、アクセス権限を付与されたアクセスクラスあるいは特別なアクセスクラスの少なくとも1つに所属する場合、ネットワークへのアクセスが許可される。)

(b)第24頁下から6-5行
「The PRACH Control Parameters IE contains the access persistence control parameters and shall be broadcast on PBCCH and PCCCH. The parameters included in the PRACH Control Parameters IE are:」
(和訳:PRACHコントロールパラメータIEは、アクセスパーシステンスパラメータを含んでおり、PBCCH及びPCCCH上で報知される。PRACHコントロールパラメータIEに含まれるパラメータは、以下のとおりである。)

(c)第149頁下から8-4行
「ACC_CONTR_CLASS(16 bit field)
Access Control Class N(bit 1-16. For a mobile station with Access Control Class =N access is not barred if the Access Control Class N bit is coded with a “0”;N=0,1,・・・9,11,・・・15.
Bits: 16 15 14 13 12 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1
Class N: 15 14 13 12 11 - 9 7 6 5 5 4 3 2 1 0 」
(和訳:ACC_CONTR_CLASS(16ビットフィールド)
アクセスコントロールクラスN(ビット1?16。アクセスコントロールクラス=Nの移動局の場合、アクセスクラスコントロールクラスNビットが「0」とコードされている場合は、ネットワークへのアクセスを禁止されない;N=0,1,・・・9,11,・・・15。
ビット: 16 15 14 13 12 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1
クラスN: 15 14 13 12 11 - 9 7 6 5 5 4 3 2 1 0 )


12.甲第12号証
下線は当審が付加した。

(a)段落番号【0008】
「【0008】
【実施例】本発明の前提となる移動端末(PS)と基地局(BS)の基本動作フローを図3に示す。20は移動端末、11は基地局(BS)、111は基地局内の通信トラヒック測定部、112は規制情報送信部である。基地局11は配下の多数の移動端末20から送信される発呼および位置登録信号を受信するとともに一定時間単位でその信号数を数えて通信トラヒックを測定する。(通信トラヒック測定部111の機能。)この測定値が一定値以上になった場合には、発呼と位置登録を規制すべき規制信号を送信する。この信号を受信した移動端末は図1に示す手順により発呼または位置登録要求を規制する。この図1は本発明を実施するための移動端末の発呼および位置登録要求の動作手順である。S1は発呼要求か位置登録要求かを判断する工程、S2は発呼要求の時に移動端末内のメモリを検索して規制値Mを設定する工程、S3は位置登録要求の時に基地局からの規制信号をモニタして位置登録規制値Mを検出する工程、S4は発呼または位置登録の確率を表す乱数値Nを発生する工程、S5は上記MとNの大きさを判定しそれに応じて処理手順を変える工程、S6はN>Mの時に発呼または位置登録要求信号を送信する工程、S7はN≦Mの時に発呼要求か位置登録要求かを判断する工程、S8は発呼要求の時に発呼拒否メッセージを出力する工程、S9は位置登録要求の時に特定時間待機して再度工程S1に戻る工程である。」

(b)段落番号【0011】-【0013】
「ところが、非常に位置登録トラヒックが大きくて大きい規制がかかっている時にも特に緊急の着信を必要とする加入者に対しては優先的に位置登録を可能する方が望ましい場合が多い。この別の実施例ではこのような場合に対処するためのものである。すなわち、ここでは強制的位置登録モードを設け、このモードにある時には大きな位置登録規制がかかっている時でも規制
【0012】【表1】
【0013】値を緩めるとともに位置登録動作の繰り返し周期を短くして位置登録し易くするものである。図5は強制位置登録モードの場合の移動端末の位置登録動作手順である。なお強制位置登録モードにするには例えば移動端末に設けた手動位置登録ボタンを押せばよいから、この図では手動位置登録と記載した。」


13.甲第13号証
和訳には、当審が段落番号を付加した。

(a)第12頁第1-23行
「From:L1EG
To :WP1

Subject:LIMITING ACCESS ON A HEAVILY LOADED CCCH

L1EG notes that the CCCH is a vulnerable channel which in some cases may be heavily overloaded, if too many users attempt to access it.
To prevent this overload, there is a need to control the number of access attempts per time unit. This is done globally by signalling to able MSs to lower the retransmission rate for initial access. This rate may be lowered to a certain threshold beyond which the quality of service is reduced to an unacceptable level.
If this rate is reached there is no alternative but to exclude certan groups of users.
On the other hand it might be necessary to allow ’immediate’ access to special groups of users.
The first measure may be taken when one of two PLMNs in a country suffers a major failure and all subscribers try to access the remaining system. In this case one might want to block the access of all roaming subscribers.
The second possibility occurs in emergency cases where ’every’ subscriber wants to access the system and the overload prevents emergency services(which may be in a closed user group)to access the system.」
(和訳:L1EGからWP1へ
件名:過負荷状態のCCCH上へのアクセス制限
[第1段落]
L1EGは、CCCHが脆弱であり、非常に多くのユーザがこれにアクセスしようとすると重度の過負荷状態に陥る場合があることに言及する。
[第2段落]
この過負荷状態を回避するため、単位時間あたりのアクセス試行の回数を制御する必要がある。これは、世界的に、最初のアクセスの再伝達率を低下させるよう移動局に可能にする信号を送ることによって行われている。この再伝達率はある特定の閾値を下回り、サービスの質が受け入れ難いレベルまで低下することもあり得る。
[第3段落]
この再伝達率に到達した場合には、特定のユーザグループを除外するしか選択の余地はない。
[第4段落]
他方において、特別のユーザグループに「即時」のアクセスを許可する必要があり得る。
[第5段落]
第1の手段は、ある国の2つのPLMNのうちの1つが大きな障害を被り、すべての加入者が残るもう1つのシステムにアクセスしようとするときに、採用され得る。この場合、全てのローミング加入者のアクセスを阻止することを希望するかもしれない。
[第6段落]
第2の可能性は、「すべての」加入者がシステムへのアクセスを希望しており、過負荷状態のために緊急サービス(閉じられたユーザグループである場合もあり得る)がシステムにアクセスできないという緊急場面において生じる。)


14.甲第14号証

(a)第2頁第2-12行
「The new arriving MSs try to transmit, with probability one, as soon as they are ready for that, but the blocked MSs transmit with probability f. More precisely:at the beginning of each RAS, each blocked MSs make, independently one from each other, a pseudo random trial distributed according to a Bernouilli law. With a probability f, a blocked MS retransmits, with a probability 1-f, it dose not.
A way for the control of overload situations is the evolution of f according to the state of the channel.」
(和訳:新しく到着した移動局は、送信する準備ができるや否や、確率値1で送信を試みるが、阻止された移動局は、確率値fで送信する。より正確に述べると、それぞれのRASの最初に、それぞれの阻止された移動局は、お互いに依存せずに、ベルヌーイの定理に従って分配された擬似ランダム試行を行う。阻止された移動局は、fの確率で再送信し、1-fの確率で再送信しない。
過負荷状態をコントロールするための方法は、チャネルの状況に従ってfを変化させることである。)


15.甲第15-19号証
(省略)


第5.当審の判断

1.無効理由1について

(1)引用発明1
甲第1号証には次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。

「移動局144であって、
該移動局144は、無線ゾーン142-1において待ち受けを行っている状態では、無線基地局141-1から制御チャネルを介して受信される報知情報を所定の頻度で監視することによって、自局宛の着信呼の有無を監視すると共に、その報知情報に「規制情報」が含まれているか否かを判別し、
さらに、移動局144は、その判別の結果が真である場合には、自局の加入者クラスと報知情報に含まれる加入者クラスとを比較し、前者が後者以下である場合に限って、その報知情報に含まれる「規制チャネル識別情報」と「基準レベルL」とを取得し、その「規制チャネル識別情報」に対応した制御チャネル(規制チャネル)の受信レベルを予め決められた頻度で計測し、
また、移動局144は、その受信レベルが「基準レベルL」を下回る場合には、特別な手順に基づくチャネル設定は行わないが、反対に上回る場合には、その受信レベルと「基準レベルL」との比較を予め決められた頻度で続行すると共に、前者が後者を上回る限り、操作者が行う操作の如何にかかわらず発信を行うことを見合わせ、かつ既述の「自局宛の着信呼」の有無を監視する処理を省略することにより、
規制ゾーンに位置する移動局の内、報知情報に含まれる加入者クラス以下の加入者クラスを有する移動局に限って、発信や着信が規制され、したがって、移動通信システムに要求される運用、保守およびサービスの形態に柔軟に適応しつつ規制ゾーンが形成される
移動局144。」

(2)本件特許発明1と引用発明1の一致点・相違点

引用発明1の自局の加入者クラスと報知情報に含まれる加入者クラスとは、前者は移動局が保有している情報であるのに対して、後者は制御チャネルを介して受信される情報であり、両者が比較されることからも理解されるように、同じ「加入者クラス」という末尾であっても、意味合いが異なる。そこで、「自局の加入者クラス」を「加入者クラスA」、「報知情報に含まれる加入者クラス」を「加入者クラスB」と呼んで区別することにする。

引用発明1の「加入者」は 、本件特許発明1の「ユーザ」と同じ意味であると解されるから、引用発明1の自局の加入者クラス(すなわち、加入者クラスA)が、本件特許発明1の「ユーザクラス」に相当し、引用発明1の加入者クラスAを有する移動局が、本件特許発明1の「複数のユーザクラス(35,40)が区別される移動無線網で作動するための移動局(5,10,15,20)」に相当する。

当審が提示する特表2000-514267号公報(平成12年10月24日公表 対応する国際公開第98/02008号が1998年1月15日公開)の第8頁第21-26行の「しかし、特定のセルに輻轢が起こった場合には、ネットワーク・オペレータはGSM標準に規定されているセルアクセス制御メカニズムを使用することができる(GSM技術規格3.22参照)。加入時に、1つまたは複数のアクセス制御クラスが加入者に割り当てられ、SIMにストアされる。ある加入者によるセルへのアクセスは、セルBTSによってブロードキャストされるアクセス制御情報から対応するアクセス制御クラスを除くことにより阻止することができる。」及び当審が提示する特開平8-47032号公報の段落番号【0061】の「上記身元確認方法およびシステムの実用化については、GSMやDCS-1800システムに関連して明らかにされる。これらのシステムで利用されるSIMは、その他多くの情報間に、携帯式送受器のユーザを種々の加入者ネットワークや加入者クラスの一つに割り当てる情報を内包しているので、屋内と屋外との無線サービスが識別され得る。」という記載(下線は、当審が付加した。)から判断すれば、「SIMカードに加入者クラスを記憶させること。」は、周知であり、引用発明1の「自局の加入者クラス」はSIMカードから読み出されたものと解するのが相当である。
したがって、本件特許発明1と引用発明1とは、「SIMカード(75)からユーザクラス(35,40)を読み出」す点で一致している。

なお、被請求人は甲第1号証に「移動局に固有の加入者クラス」という記載がある(例えば、甲第1号証の段落番号【0052】)ことを根拠に、「甲第1号証の加入者クラスは、本件特許発明のユーザクラスではない。」と主張している。
この点に関する当審の見解は以下のとおりである。

まず、甲第1号証の「移動局」は、「ハードウェアとしての端末にSIMカードを格納したもの」と解される。
そして、甲第1号証の段落番号【0052】等に記載されている「移動局に固有の加入者クラス」は、「SIMカードを別のSIMカードに変えない限り、時間が経過したり、移動局がセル間を移動するなどしても、加入者クラスは不変である。」という意味であると解される。二つの異なる移動局に格納されているSIMカードに記憶されている加入者クラスが、同じであるという状況は起こり得ると解される。

他方、本件特許発明1及び2そして本件特許明細書には、ユーザクラスの定義は記載されていないから、「ユーザクラスとは、如何なるものか。」は、本件特許明細書の記載を通して把握されることになる。本件特許明細書の段落番号【0020】に「図1の実施例によれば、第1のユーザクラス35が設けられており、このユーザクラスは第1の移動局5および第2の移動局10を含む。さらに第2のユーザクラス40が設けられており、このユーザクラスは第3の移動局15と第4の移動局20を含む。しかし各移動局に対して固有のユーザクラスを設けることもできる。また移動局の数が異なるユーザクラスを設けることもできる。さらに2つ以上の移動局を1つのユーザクラスに設けることもできる。」と記載(下線は、当審が付加した。)されている。本件特許明細書の「移動局」も、「ハードウェアとしての端末にSIMカードを格納したもの」と解される。本件特許明細書の段落番号【0020】の前記記載は、ユーザクラスに属する移動局の数について記載したものであるから、前記「しかし各移動局に対して固有のユーザクラスを設けることもできる。」は、「各ユーザクラスに属する移動局は、1台のみであっても構わない。」という意味であると解される。この点については平成24年11月16日付けで被請求人の提出した上申書(1)も、その第3頁第1-6行に「そして、これに続けて、「しかし各移動局に対して固有のユーザクラスを設けることもできる。また移動局の数が異なるユーザクラスを設けることもできる。」と述べ、移動局のユーザクラスへの所属の仕方にはさまざまなバリエーションがあり、4つの移動局がそれぞれ別のユーザクラスに属しても良いことを説明している。」と記載(下線は、当審が付加した。)して、合議体と同様の解釈を示している。

そうすると、甲第1号証の移動局が加入者クラスに属する際の2つの態様、すなわち
(ア)1つの加入者クラスには、1台の移動局のみが属している。
(イ)1つの加入者クラスに、複数の移動局が属している。
の2つとも本件特許明細書の段落番号【0020】に、さまざまな所属の仕方のバリエーションとして示されているから、甲第1号証の「加入者クラス」について、移動局に固有であることを理由として「本件特許発明のユーザクラスではない。」と主張することは失当である。

引用発明1の報知情報は、無線ゾーン142-1内に位置するすべての移動局に対して報知される情報であるから、その報知情報を伝送する制御チャネルは、ブロードキャストコントロールチャネルであると解される。
引用発明1の報知情報には、「基準レベルL」と「加入者クラスB」が含まれ、制御チャネルを介して受信される報知情報は実際にはビット形式で表現されているのが普通であるから、引用発明1の「基準レベルL」と「加入者クラスB」が、各々、本件特許発明1の「アクセス閾値ビット(S3,S2,S1,S0)」と「アクセスクラス情報(Z0,Z1,Z2,Z3)」に相当し、本件特許発明1と引用発明1とは、「ブロードキャストコントロールチャネル(25)を介してアクセス閾値ビット(S3,S2,S1,S0)およびアクセスクラス情報(Z0,Z1,Z2,Z3)を受信」する点で一致している。

本件特許発明1の「前記アクセス閾値ビット(S3,S2,S1,S0)からアクセス閾値(S)を求め、」には、引用発明1のように、アクセス閾値ビットで決まる値をそのままアクセス閾値として用いる場合も含まれるから、本件特許発明1と引用発明1とは、「前記アクセス閾値ビット(S3,S2,S1,S0)からアクセス閾値(S)を求め」る点で一致している。

引用発明1では、加入者クラスAと加入者クラスBとを比較している。加入者クラスBは、加入者クラスAを比較する際に基準となるものであるから、加入者クラスAに関連しているということができる。したがって、本件特許発明1と引用発明1とは、「前記ユーザクラス(35,40)に関連するアクセスクラス情報(Z0,Z1,Z2,Z3)」を有する点で一致している。

当審が提示する特開平10-94017号公報の段落番号【0110】に「逆方向チャネルはランダムアクセス制御チャネル(RACH)と呼ばれる。このチャネルは、移動局により使われ、制御メッセージ又は短メッセージ通信サービスの一部であるメッセージをセルラー基地局に送る。」と記載されているように、「移動局からセルラー基地局への制御チャネルはランダムアクセスチャネル(RACH)であること。」が周知であるから、引用発明1の発信を行うためには、その発信を行うときにランダムアクセスチャネルにアクセスする権限を付与されていることが必要である。

甲第1号証の摘記事項(a)である段落番号【0007】-【0008】に
「【0007】また、制御局163や無線基地局161-1?161-7に集中するトラヒックが予め設定された上限値を上回る状態(図15(4))(以下、「規制状態」という。)が検出された場合には、例えば、その制御局163は、保守・運用に供されるべき操作部(図示されない。)から操作者によって与えられる指令に応じて、所望の無線基地局(ここでは、簡単のため、符号「161-1」で示されると仮定する。)に「規制要求」を送出する(図15(5))。
【0008】無線基地局161-1は、その「規制要求」を認識すると、制御チャネルを介して送出される報知情報に「発信呼が受け付けられない状態」を示す「規制情報」を付加する(図15(6))。一方、無線基地局161-1によって形成される無線ゾーン160-1に位置する移動局(ここでは、簡単のため、符号「164-1」で示されると仮定する。)は、報知情報に上述した規制情報が含まれるか否かを判別し、その判別の結果が真である場合には、その旨を可視情報や音響信号等として操作者に通知すると共に、この操作者が行う操作の如何にかかわらず発信を見合わせる(図15(7))。」と記載されている。
また、甲第1号証の摘記事項(b)である段落番号【0013】に
「【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述した従来例では、移動局164-1?164-nに対する発信や着信の規制が無線ゾーンやサービスエリアの単位のみに行われるために、ホール、映画館、会議室、交通機関の車内、シンポジュームの会場等(以下、これらの総称を「規制地域」という。)のみに位置する移動局については、着信の規制は何ら行われなかった。」と記載されている。下線は、当審が付加した。

甲第1号証の段落番号【0007】-【0008】には、制御局や無線基地局に集中するトラヒックが予め設定された上限値を上回る状態が検出された場合には、所望の無線基地局に「規制要求」を送出し、無線基地局は、その「規制要求」を認識すると、制御チャネルを介して送出される報知情報に「発信呼が受け付けられない状態」を示す「規制情報」を付加することが記載されている。この制御局や無線基地局に集中するトラヒックが予め設定された上限値を上回る場合の規制は、RACHへの負荷が大きくなったことによる規制に他ならない。
また、甲第1号証の段落番号【0013】の「規制地域のみに位置する移動局」とは、「規制地域には位置するが、発信や着信が規制される無線ゾーンやサービスエリアに位置していないため、発信や着信が規制されない移動局」という意味であると解される。
甲第1号証の段落番号【0013】の「従来例」が、段落番号【0007】-【0008】に記載されたものを指すことは明らかであるから、甲第1号証が問題としている移動局は、無線ゾーンとしては、集中するトラヒックが予め設定された上限値を上回らない、すなわちRACHへの負荷が大きくなっていない無線ゾーンに位置する移動局である。
甲第1号証の「従来例」はトラヒックの集中のみを問題視しているのであるから、このようなRACHへの負荷が大きくなっていない無線ゾーンに位置する移動局に対して、発信が規制されない場合、すなわち発信を行うことができる場合に、RACHへのアクセス権限を与えずに発信させないとする合理的な理由は、想定できない。したがって、甲第1号証において、「発信が規制されない」状態とは、「発信を行うことができて、したがってRACHへのアクセス権限が付与されている」状態を意味するものと解される。

引用発明1では、移動局144は、報知情報に「規制情報」が含まれているか否かを判別し、その判別の結果が真である場合には、自局の加入者クラス(加入者クラスA)と報知情報に含まれる加入者クラス(加入者クラスB)とを比較している。
そして、引用発明1では、規制ゾーンに位置する移動局の内、報知情報に含まれる加入者クラス(加入者クラスB)以下の加入者クラス(加入者クラスA)を有する移動局に限って、発信や着信が規制される。
したがって、加入者クラスBより大きな加入者クラスAを有する移動局は、規制ゾーン内に位置するか、それとも規制ゾーンの外に位置するか(すなわち「基準レベルL」の評価)によらずに、発信は規制されない。また、加入者クラスB以下の加入者クラスAを有する移動局は、受信レベルが基準レベルLを下回る場合は、発信が規制されない。

よって、加入者クラスBより大きな加入者クラスAを有する移動局は、アクセス閾値ビット(基準レベルL)によらずにRACHにアクセスする権限が付与されていると判断できる。また、加入者クラスB以下の加入者クラスAを有する移動局は、RACHへのアクセス権限が、アクセス閾値(基準レベルL)の評価によって判断されている。

したがって、引用発明1の加入者クラスAと加入者クラスBの「比較」と本件特許発明1の「検査」とは、
「 当該移動局(5,10,15,20)が、受信されたアクセス閾値ビット(S3,S2,S1,S0)に依存せずにランダムアクセスチャネル(RACH)にアクセスする権限が付与されているのか、あるいは
ランダムアクセスチャネル(RACH)への、当該移動局(5,10,15,20)のアクセス権限が、アクセス閾値の評価に依存して求められるのか
を検査する」点で一致している。

そして、前記「検査」は、引用発明1では、加入者クラスAと加入者クラスBとを比較することによってなされるから、加入者クラスBに基づいてなされることは明らかである、

したがって、引用発明1は、全ての点で本件特許発明1と一致している。よって、本件特許発明1は、甲第1号証に記載された発明と同一であり、本件特許発明1について、無効理由1には理由がある。

(4)本件特許発明2と引用発明1について
甲第1号証の段落番号【0021】に「規制周波数の信号を送出し、該規制周波数信号の受信レベルが設定レベル以上の移動機をして規制空間内の移動機であると認識させる規制空間設定部22」と記載されている。したがって、甲第1号証は、「規制基地局と移動局との距離が遠くなれば、移動局の受信レベルは単調に下がっていく。」という前提の下に記載されていると解するのが相当である。よって、規制基地局と移動局との距離が分かれば、移動局の受信レベルの概略値を予測することが可能であり、移動局の受信レベルは、「ランダム数または疑似ランダム数(R)」であるとは言えない。
したがって、本件特許発明2は、甲第1号証に記載された発明と同一ではなく、本件特許発明2について、無効理由1には理由がない。


2.無効理由2について

(1)引用発明2
甲第2号証には次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。

「衛星通信、LANにおける子局であって、
通信衛星の制御局3には各端末の子局4_(1),・・・4_(n)に対して例えば1以下のアクセス制限値を発生する機能が備えられており、一方、子局4_(1),・・・4_(n)には、個々に例えば1未満の乱数の値を発生し、その乱数の値と上記アクセス制限値とを比較し、通信のためのアクセス権があるか否かを判断し、例えばアクセス権がある場合制御局3にアクセスを行う機能が備えられていて、
具体的な動作としては、各子局4_(1),・・・4_(n)のうち通信を希望する子局が多く、信号、パケットの衝突が発生するようになると、制御局1からはあるタイムスロットでアクセス制限値が各子局4_(1),・・・4_(n)に対して発生され、これら子局には、当然通信を希望する子局も含まれており、すると、通信を希望する子局において、次のタイムスロットにてそのアクセス制限値と自ずから発生した乱数の値とが比較され、制御局3に対してチャネル割り当て等のアクセスを行うことができるか否かの判断がなされ、そして、そのアクセス制限値より小さい乱数の値を発生した子局のみが次のタイムスロットにて制御局3に対してアクセスすることになる、
衛星通信、LANにおける子局。」

(2)本件特許発明1と引用発明2の一致点・相違点

引用発明2の衛星通信、LANにおける子局は移動するのかしないのか不明であるから、本件特許発明1の移動局と引用発明2の子局とは、「子局」である点で一致している。

引用発明2では、制御局1からはあるタイムスロットでアクセス制限値が各子局4_(1),・・・4_(n)に対して発生される。このアクセス制限値は、各子局4_(1),・・・4_(n)に対して発生されるから、あるタイムスロットはブロードキャストコントロールチャネルであると解され、引用発明2のアクセス制限値が、本件特許発明1のアクセス閾値ビット(S3,S2,S1,S0)に相当する。

引用発明2では、各子局4_(1),・・・4_(n)のうち通信を希望する子局が多く、信号、パケットの衝突が発生するようになるから、子局から制御局ヘのチャネルはランダムアクセスチャネル(RACH)である。
引用発明2では、アクセス制限値と自ずから発生した乱数の値とが比較され、制御局3に対してチャネル割り当て等のアクセスを行うことができるか否かの判断がなされるから、本件特許発明1と引用発明2とは、「ランダムアクセスチャネル(RACH)への、当該子局のアクセス権限が、アクセス閾値の評価に依存して求められる場合がある」点で一致している。

したがって、本件特許発明1と引用発明2の一致点・相違点は、以下のとおりである。

[一致点]
「子局は、
ブロードキャストコントロールチャネル(25)を介してアクセス閾値ビット(S3,S2,S1,S0)を受信し、
前記アクセス閾値ビット(S3,S2,S1,S0)からアクセス閾値(S)を求め、
ランダムアクセスチャネル(RACH)への、当該子局のアクセス権限が、アクセス閾値の評価に依存して求められる場合がある、
子局。」

[相違点1]
本件特許発明1では、ネットワークが、複数のユーザクラス(35,40)が区別される移動無線網であるのに対して、引用発明2の衛星通信、LANでは、複数のユーザクラス(35,40)が区別されるのか否か不明であり、また移動無線網であるのか否かも不明である点。

[相違点2]
本件特許発明1では、移動局は、SIMカードからユーザクラスを読み出すのに対して、引用発明2では、子局がSIMカードからユーザクラスを読み出すとは記載されていない点。

[相違点3]
本件特許発明1では、ブロードキャストコントロールチャネル(25)を介してアクセスクラス情報(Z0,Z1,Z2,Z3)を受信するのに対して、引用発明2では、子局がそのような受信をするとは記載されていない点。

[相違点4]
本件特許発明1では、ユーザクラス(35,40)に関連するアクセスクラス情報(Z0,Z1,Z2,Z3)に基づいて、
当該移動局(5,10,15,20)が、受信されたアクセス閾値ビット(S3,S2,S1,S0)に依存せずにランダムアクセスチャネル(RACH)にアクセスする権限が付与されているのか、あるいは
ランダムアクセスチャネル(RACH)への、当該移動局(5,10,15,20)のアクセス権限が、アクセス閾値の評価に依存して求められるのか
を検査するように構成されているのに対して、引用発明2の子局は、そのような検査をするようには構成されていない点。

(3)本件特許発明1と引用発明2の相違点に関して
「複数のユーザクラスが区別される移動通信網で動作するための移動局において、移動局は、移動局に記録されているユーザクラスを読み出し、ブロードキャストコントロールチャネルを介してアクセスクラス情報を受信し、ユーザクラスに関連するアクセスクラス情報に基づいて、当該移動局が、ランダムアクセスチャネルにアクセスする権限が付与されているのか否かを検査するアクセス制御」(以下、「アクセスクラス制御」という。)については、請求人が主張するように、本件特許出願の優先日前に周知であったと認められる。
しかし、引用発明2は、衛星通信、LANに関するものであって、アクセスクラス制御が前提としている移動体通信システムに関するものではない。請求人は1998年にイリジウム社によって開始された衛星携帯電話サービス「イリジウム」を挙げているが、甲第2号証は昭和64年(1989年)に公開された公報であって、甲第2号証が公開された1989年には「イリジウム」は知られていないから、甲第2号証の子局を移動体とすることは相当でない。したがって、審判請求書の第39頁第9-10行に「a 以上のとおり、甲第2号証には無線通信ネットワークで作動するための子局、すなわち「移動局」が開示されている。」と記載しているが、引用発明2の子局を移動局であると認定した請求人の認定は、一致点・相違点の認定において誤ったと言わざるを得ない。そうすると、まず、引用発明2の子局を移動局に置換して新たな発明とし、次に、その新たな発明における移動局に対し移動体通信システムに関するアクセスクラス制御を適用した、さらなる新たな発明とすることが容易であったかを論ずることになるから、請求人の論理は採用できない。更に、甲第2号証には、アクセスクラス制御を行うことの必要性についての記載がなく、RACHへのアクセス権限を子局に付与するか否かに際して、特別に優遇されるべきユーザクラスの存在を示唆する記載も甲第2号証には見られない。

甲第13号証の第3段落には、特別のユーザグループに「即時」のアクセスを許可する必要性があることが記載されているが、この「特別のユーザグループ」が何によって特定されるのかについては、いずれの証拠にも開示がない。したがって、甲第13号証の第3段落の「特別のユーザグループ」が、ユーザクラスによって特定されるとすることはできない。更に、甲第13号証は移動体通信システムに関するものであるが、引用発明2は、上述のように移動体通信システムに関するものではない。

甲第1号証は、アクセス閾値による制御とアクセスクラス制御の両方を開示しているが、アクセス閾値による制御の目的が、引用発明2では、パケットの衝突を回避することであるのに対して、甲第1号証では、映画館、会議室等の規制地域における発着信を規制することである。したがって、引用発明2と甲第1号証とでは、アクセス閾値制御をしている目的が異なるから、映画館、会議室等の規制地域における発着信を規制する甲第1号証においてアクセスクラス制御をしているからといって、パケットの衝突を回避するためにアクセス閾値による制御をしている引用発明2において、アクセスクラス制御をすることが容易に想到できたとは言い難い。

また、アクセス閾値による制御を行っている引用発明2と、周知のアクセスクラス制御を組み合わせることを仮定しても、アクセス閾値に基づく判断と、ユーザクラスに基づく判断のどちらを先行して行うかが問題となるが、この順番を開示している証拠は、甲第1号証以外に存在していない。更に、先行した判断において肯定的結果となった場合と否定的結果となった場合のいずれの場合に、後続する判断を行うかが問題となるが、この点を開示している証拠も、甲第1号証以外に存在していない。引用発明2に甲第1号証を組み合わせることができないことは上述したとおりである。

したがって、請求人が指摘した証拠に開示された発明を考慮しても、相違点1?3に係る構成を想到することは容易ではなかったと言える。したがって、本件特許発明1及び2に関し、無効理由2には理由がない。


3.無効理由3について

(1)引用発明2、及び本件特許発明1と引用発明2との一致点・相違点
引用発明2、及び本件特許発明1と引用発明2との一致点・相違点につては、前記「2.無効理由2について」の「(1)引用発明2」及び「(2)本件特許発明1と引用発明2の一致点・相違点」に示したとおりである。

(2)本件特許発明1と引用発明2の相違点に関して
甲第4号証は、前記前記「2.無効理由2について」の「(3)本件特許発明1と引用発明2の相違点に関して」において周知技術と認定したアクセスクラス制御を示す文献である。
したがって、甲第4号証が開示するアクセスクラス制御を引用発明2に適用することが容易であったか否かという点が問題なるが、その点については、前記「2.無効理由2について」の「(3)本件特許発明1と引用発明2の相違点に関して」に示したとおりである。
したがって、請求人が指摘した証拠に開示された発明を考慮しても、相違点1?3に係る構成を想到することは容易ではなかったといえる。したがって、本件特許発明1及び2に関し、無効理由3には理由がない。


4.無効理由4について

(1)引用発明3

甲第12号証には次の発明(以下、「引用発明3」という。)が記載されていると認められる。

「基地局11は、配下の多数の移動端末20から送信される発呼および位置登録信号を受信するとともに一定時間単位でその信号数を数えて通信トラヒックを測定し、この測定値が一定値以上になった場合には、発呼と位置登録を規制すべき規制信号を送信し、
この信号を受信した移動端末は、S3において位置登録要求の時に基地局からの規制信号をモニタして位置登録規制値Mを検出し、S4において位置登録の確率を表す乱数値Nを発生し、S5において上記MとNの大きさを判定し、N>Mの時に、S6において位置登録要求信号を送信し、N≦Mの時に、S6において特定時間待機して再度工程S1に戻り、
非常に位置登録トラヒックが大きくて大きい規制がかかっている時にも特に緊急の着信を必要とする加入者に対しては優先的に位置登録を可能する方が望ましい場合が多く、
移動端末に設けた手動位置登録ボタンを押せば、強制位置登録モードになり、このモードにある時には大きな位置登録規制がかかっている時でも規制値を緩めるとともに位置登録動作の繰り返し周期を短くして位置登録し易くするした、
移動端末。」

(2)本件特許発明1と引用発明3の一致点・相違点

引用発明3の移動端末は、本件特許発明1の「移動無線網で作動するための移動局(5,10,15,20)」に相当する。
引用発明3の位置登録を規制すべき規制信号は、基地局のセル内の全ての移動端末で受信されるように送信されるから、ブロードキャストコントロールチャネルを介して送信されると解される。したがって、引用発明3の位置登録を規制すべき規制信号が、本件特許発明1のアクセス閾値ビットに相当し、本件特許発明1と引用発明3は、「ブロードキャストコントロールチャネル(25)を介してアクセス閾値ビット(S3,S2,S1,S0)を受信」する点で一致している。

引用発明3では規制信号をモニタして位置登録規制値Mを検出するから、位置登録規制値Mが本件特許発明の「アクセス閾値」に相当し、本件特許発明1と引用発明3とは、「前記アクセス閾値ビット(S3,S2,S1,S0)からアクセス閾値(S)を求め」る点で一致している。

引用発明3では、基地局11は、配下の多数の移動端末20から送信される発呼および位置登録信号を受信するとともに一定時間単位でその信号数を数えて通信トラヒックを測定し、この測定値が一定値以上になった場合には、発呼と位置登録を規制すべき規制信号を送信するから、移動端末から基地局へのチャネルはランダムアクセスチャネル(RACH)であると解される。

甲第12号証の段落番号【0010】には「表1は本発明の特徴を端的に表す発呼規制値と位置登録規制値の組合せ例である。発呼規制値も位置登録規制値も5段階に分けて各々の値の組合せた合計25通りの規制値を示したものである。( )内の表示は、前者が発呼規制値、後者が位置登録規制値の確率を表す数Mである。たとえば(0,0)は発呼も位置登録も規制をしないということであり、(100,100 )は発呼も位置登録も完全に禁止してしまうとういことである。」と記載されているから、引用発明3の「強制位置登録モードになり、このモードにある時には大きな位置登録規制がかかっている時でも規制値を緩める」には、位置登録規制値の確率を表す数Mが「0」であって、位置登録を規制をしないという場合が含まれる。
そうすると、引用発明3においては、強制位置登録モードであるか否かを判定し、強制位置登録モードである場合には、NとMの大小関係に依存せずに位置登録要求信号を送信し、強制位置登録モードでない場合には、位置登録要求信号を送信するかしないかが、NとMの大小関係に依存して決まるということになる。
したがって、本件特許発明1と引用発明3とは、
「 当該移動局(5,10,15,20)が、受信されたアクセス閾値ビット(S3,S2,S1,S0)に依存せずにランダムアクセスチャネル(RACH)にアクセスする権限が付与されているのか、あるいは
ランダムアクセスチャネル(RACH)への、当該移動局(5,10,15,20)のアクセス権限が、アクセス閾値の評価に依存して求められるのか
を検査するように構成されている」点で一致する。

したがって、本件特許発明1と引用発明3の一致点・相違点は、以下のとおりである。

[一致点]
「移動無線網で作動するための移動局(5,10,15,20)において、
前記移動局(5,10,15,20)は、
ブロードキャストコントロールチャネル(25)を介してアクセス閾値ビット(S3,S2,S1,S0)を受信し、
前記アクセス閾値ビット(S3,S2,S1,S0)からアクセス閾値(S)を求め、
当該移動局(5,10,15,20)が、受信されたアクセス閾値ビット(S3,S2,S1,S0)に依存せずにランダムアクセスチャネル(RACH)にアクセスする権限が付与されているのか、あるいは
ランダムアクセスチャネル(RACH)への、当該移動局(5,10,15,20)のアクセス権限が、アクセス閾値の評価に依存して求められるのか
を検査するように構成されていることを特徴とする移動局。」である点。

[相違点1]
本件特許発明1の移動無線網では、複数のユーザクラス(35,40)が区別されるのに対して、引用発明3では、複数のユーザクラス(35,40)が区別されるのか否か不明である点。

[相違点2]
本件特許発明1では、移動局は、SIMカードからユーザクラスを読み出すのに対して、引用発明3では、移動局がSIMカードからユーザクラスを読み出すとは記載されていない点。

[相違点3]
本件特許発明1では、ブロードキャストコントロールチャネル(25)を介してアクセスクラス情報(Z0,Z1,Z2,Z3)を受信するのに対して、引用発明3では、そのような受信をしていない点。

[相違点4]
本件特許発明1では、検査を、ユーザクラス(35,40)に関連するアクセスクラス情報(Z0,Z1,Z2,Z3)に基づいて行っているのに対して、引用発明3では、検査を、アクセスクラス情報(Z0,Z1,Z2,Z3)に基づいて行うとは記載されていない点。

(3)本件特許発明1と引用発明3の相違点に関して

甲第12号証には、「特に緊急の着信を必要とする加入者」(甲第12号証の段落番号【0011】)を判別する具体例としては、甲第12号証の段落番号【0013】の手動位置登録ボタンを押す例が示されているのみである。したがって、甲第12号証の「特に緊急の着信を必要とする加入者」は、個人が特定されるような者ではなく、「移動端末の任意の操作者の操作によって任意に設定される加入者」と考えるほかない。
このような「移動端末の任意の操作者の操作によって任意に設定される加入者」は、ユーザクラスよって判別される加入者ではないから、引用発明3において、「特に緊急の着信を必要とする加入者」をであるか否かを、ユーザクラスに関連するアクセスクラス情報を基地局から送信することによって、移動端末で判定するように変更することには、動機がないと言うべきである。

審判請求書の第88頁の(b)には、
「(b)アクセスクラス制御は、前記ウ(エ)aのとおり、多数の公知文献において、システムが過負荷状態である場合でも、特定のグループに対しては、特別に優先的アクセスを許可するという課題を解決するための制御方法として挙げられているが(甲第1号証、甲第5?7号証等)、この課題は、まさしく、甲12発明において、ある特定の移動局をアクセス閾値制御から除外する契機となった、非常に位置登録トラヒックが大きくて(すなわち、システムが過負荷状態にあるため)大きいアクセス閾値制御がかかっている時にも、特に緊急の着信を必要とする加入者に対しては優先的に位置登録を可能にするという課題と同じである。」と記載している。

甲第1号証の課題の前提は、映画館、会議室等のような規制地域であり、非常に位置登録トラヒックが大きい(すなわち、システムが過負荷状態にある)地域ではないから、甲12発明とは課題の前提が異なる。また、甲第5?7号証の課題は、システムが過負荷状態にある場合に、特定のユーザクラスに対してはアクセスを制限することにより、過負荷状態を解消しようというものであり、大きいアクセス閾値制御がかかっている時にも、緊急の着信を必要とする加入者に対しては優先的位置登録を可能にするというものではないから、甲12発明の課題とは異なる。よって、甲12発明の課題は、甲第1号証や甲第5?7号証の課題とは異なり、甲12発明の課題が、甲第1号証、甲第5?7号証に開示されている技術(具体的には、アクセスクラス制御)によって解決するということを、甲第1号証や甲第5?7号証は教えていないから、甲12発明の課題を解決するために、甲第1号証、甲第5?7号証に開示されている技術を導入しようとすることには動機がない。

したがって、請求人が指摘した証拠に開示された発明を考慮しても、相違点1?4に係る構成を想到することは容易ではなかったと言える。したがって、本件特許発明1及び2に関し、無効理由4には理由がない。


5.無効理由5について

本件特許の分割前の特許出願(特願2000-604634号)の国際出願日における明細書等の翻訳文に対する誤訳訂正書である甲第18号証の段落番号【0028】に、
「図3aは、評価ビットS4=0である場合を示している。第2のビットは第1のアクセス閾値ビットS3であり、第3ビットは第2のアクセス閾値ビットS2であり、第4ビットは第3のアクセス閾値ビットS1であり、第5ビットは第4のアクセス閾値ビットS0である。4つのアクセス閾値ビットS3,S2,S1,S0により、この実施例では2^(4)=16のアクセス閾値Sがネットワークプロバイダから移動局5,10,15,20に伝送される。ここではBCCH25を介して全ての移動局5,10,15,20に同じアクセス閾値Sが伝送される。遠隔通信網における瞬時の通信トラフィック発生に応じて、アクセス閾値Sは比較的に大きくまたは小さく調整することができる。すなわち可変に適合される。」と記載されている。

したがって、ネットワークプロバイダから移動局5,10,15,20にアクセス閾値Sが伝送される時には、ビットの形式で伝送されている。したがって、本件特許発明1の「ブロードキャストコントロールチャネル(25)を介してアクセス閾値ビット(S3,S2,S1,S0)・・・を受信し、」は、甲第18号証に記載されている内容である。
そして、移動局5,10,15,20で受信されたアクセス閾値ビット(S3,S2,S1,S0)は、アクセス権限が付与されているか否かの判断の際に便利な形式に変更されると解される。その便利な形式は2進数のままかもしれないし、10進数、16進数かもしれない。そのような種々の形式に変更することを、本件特許発明1のように、「前記アクセス閾値ビット(S3,S2,S1,S0)からアクセス閾値(S)を求め、」と表現することは、甲第18号証の開示の範囲内と解される。

なお、審判請求書では、移動局で受信されたアクセス閾値ビット(S3,S2,S1,S0)を関数に代入してアクセス閾値ビットとは別の値を得ることが、本件特許発明1の「前記アクセス閾値ビット(S3,S2,S1,S0)からアクセス閾値(S)を求め、」に該当する否かが論じられているが、それが該当するか否かにかかわらず 本件特許発明1の「前記アクセス閾値ビット(S3,S2,S1,S0)からアクセス閾値(S)を求め、」
は、甲第18号証に記載された事項であることに相違ない。
したがって、本件特許発明1及び2に関し、無効理由5には理由がない。


6.無効理由6について

本件特許明細書である甲第19号証の段落番号【0026】には、甲第18号証の段落番号【0028】の記載とほぼ同じ内容である、
「図3aは、評価ビットS4=0である場合を示している。第2のビットは第1のアクセス閾値ビットS3であり、第3ビットは第2のアクセス閾値ビットS2であり、第4ビットは第3のアクセス閾値ビットS1であり、第5ビットは第4のアクセス閾値ビットS0である。4つのアクセス閾値ビットS3,S2,S1,S0により、この参考例では2^(4)=16のアクセス閾値Sがネットワークプロバイダから移動局5,10,15,20に伝送される。ここではBCCH25を介して全ての移動局5,10,15,20に同じアクセス閾値Sが伝送される。遠隔通信網における瞬時の通信トラフィックの発生に応じて、アクセス閾値Sは比較的に大きくまたは小さく調整することができる。すなわち可変に適合される。」という記載(下線は、当審が付加した。)がある。甲第18号証の段落番号【0028】との違いは、甲第18号証の段落番号【0028】で「実施例」と記載されている箇所が、甲第19号証の段落番号【0026】では「参考例」となっていることのみである。

したがって、本件特許発明1及び2に関し、無効理由5に説示したことと同じ理由により、無効理由6には理由がない。


7.無効理由7について

本件特許明細書である甲第19号証の段落番号【0026】に
「図3aは、評価ビットS4=0である場合を示している。第2のビットは第1のアクセス閾値ビットS3であり、第3ビットは第2のアクセス閾値ビットS2であり、第4ビットは第3のアクセス閾値ビットS1であり、第5ビットは第4のアクセス閾値ビットS0である。4つのアクセス閾値ビットS3,S2,S1,S0により、この参考例では2^(4)=16のアクセス閾値Sがネットワークプロバイダから移動局5,10,15,20に伝送される。ここではBCCH25を介して全ての移動局5,10,15,20に同じアクセス閾値Sが伝送される。遠隔通信網における瞬時の通信トラフィックの発生に応じて、アクセス閾値Sは比較的に大きくまたは小さく調整することができる。すなわち可変に適合される。」と記載されている。

したがって、発明の詳細な説明には、ネットワークプロバイダから移動局5,10,15,20にアクセス閾値Sが伝送される時には、ビットの形式で伝送されているから、本件特許発明1の「ブロードキャストコントロールチャネル(25)を介してアクセス閾値ビット(S3,S2,S1,S0)・・・を受信し、」を実施できる程度に記載されている。
また、アクセス閾値ビット(S3,S2,S1,S0)を受信した後、10進数または16進数のような、アクセス権限が付与されているか否かの判断の際に便利な形式に変更することは、当業者が一般的に行うことである。したがって、本件特許発明1の「前記アクセス閾値ビット(S3,S2,S1,S0)からアクセス閾値(S)を求め、」についても実施できる程度に記載されている。

したがって、本件特許発明1及び2に関し、無効理由7には理由がない。


第6.むすび
以上のとおりであるから、本件特許発明1は無効とすべきものである。
また、請求人の主張及び証拠方法によっては、本件特許発明2についての特許を無効にすることはできない。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項で準用する民事訴訟法第64条の規定により、その1/2を請求人が、1/2を被請求人が負担するものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-12-13 
結審通知日 2012-12-18 
審決日 2013-01-17 
出願番号 特願2010-130883(P2010-130883)
審決分類 P 1 123・ 537- ZC (H04W)
P 1 123・ 113- ZC (H04W)
P 1 123・ 03- ZC (H04W)
P 1 123・ 121- ZC (H04W)
P 1 123・ 536- ZC (H04W)
最終処分 一部成立  
前審関与審査官 冨田 高史  
特許庁審判長 江口 能弘
特許庁審判官 吉村 博之
近藤 聡
登録日 2011-03-04 
登録番号 特許第4696176号(P4696176)
発明の名称 移動無線網で作動される移動局および移動局の作動方法  
代理人 熊谷 郁  
代理人 相田 義明  
代理人 飯田 岳  
代理人 蟹田 昌之  
代理人 乾 裕介  
代理人 野口 洋高  
代理人 宗田 悟志  
代理人 柿内 瑞絵  
代理人 片山 英二  
代理人 中岡 起代子  
代理人 服部 誠  
代理人 窪田 英一郎  
代理人 今井 優仁  
代理人 岩間 智女  
代理人 三木 友由  
代理人 西守 有人  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ