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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) F24F
管理番号 1308814
審判番号 不服2014-6124  
総通号数 194 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-02-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-04-03 
確定日 2015-12-10 
事件の表示 特願2009-154617「空気調和機」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 1月20日出願公開、特開2011- 12822〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成21年6月30日の出願であって、平成25年12月24日付けで拒絶査定がされ、これに対し、平成26年4月3日に拒絶査定不服審判が請求され、同時に手続補正書が提出され、その後、当審において平成27年6月26日付けで拒絶理由が通知され、同年8月31日付けで意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成27年8月31日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「空気中の異物を除去する空気清浄モード及び空気中に水分を供給する加湿モードの2つの運転モードでの運転が可能な空気調和機(1)であって、
加湿モードで運転されている状態において、ロータ軸(42a)を中心として回転する加湿ロータ(42)に供給される水を貯める貯水容器(41)と、
前記貯水容器内の貯水量を検知する検知手段(90)と、
空気調和機の運転モードを表示する表示手段(81)と、
前記検知手段(90)で検知された貯水量に基づいて運転モードを切り換えると共に、運転モードの切り換えに伴って前記表示手段(81)を制御する制御手段(60)とを備え、
前記制御手段(60)は、加湿モードで運転されている状態において、前記検知手段(90)によって前記貯水量が第2貯水量以下と検知された場合に、加湿ロータ(42)の回転を継続し且つヒータにより加熱されない空気が加湿ロータに供給された状態で所定時間が経過した後で運転モードを空気清浄モードに切り換えることを特徴とする空気調和機(1)。」

第3 引用文献
1.当審の拒絶の理由に引用された特開2009-68803号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

「【請求項1】
空気清浄の対象となる空清対象空間の湿度調節及び空気清浄を行なう空気清浄機であって、
空気を清浄する空気清浄部(2)と、
空気中から水分を除去して除湿する除湿部(3)と、
貯水容器(40)から供給された水を気化させて加湿する加湿部(4)と、
前記空気清浄部(2)、前記除湿部(3)及び加湿部(4)に送風する送風機(5)と、
前記空清対象空間の空気の汚れ度を検知する空気清浄度センサー(24,25)と、
前記空清対象空間の湿度を検知する湿度センサー(26)と、
前記空気清浄部(2)を稼動させる空気清浄運転、前記除湿部(3)を稼動させる除湿運転、及び前記加湿部(4)を稼動させる加湿運転、を行わせる制御部(6)と、
を備え、
前記制御部(6)は、前記空気清浄度センサー(24,25)及び前記湿度センサー(26)の値に基づいて、前記送風機(5)の前記除湿部(3)又は前記加湿部(4)への送風量を制御する、
空気清浄機(1)。
・・・
【請求項7】
前記貯水容器(40)の水量を検知する水量センサー(44)をさらに備え、
前記制御部(6)は、
前記加湿運転時に、前記水量センサー(44)が前記貯水容器(40)の渇水状態を検知したとき、前記加湿運転を停止し前記空気清浄運転を行わせる、
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の空気清浄機(1)。」(下線は当審による。また、「・・・」は記載の省略を意味する。以下同じ。)

「【0037】
<空気清浄機の構成>
本発明に係る空気清浄機は、空気清浄機能、除湿機能及び加湿機能を有しており、除湿運転時は除湿空気清浄機として、加湿運転時は加湿空気清浄機として稼働する。また、単に空気清浄機として稼働することもできる。
【0038】
図1は、本発明の一実施形態に係る空気清浄機の斜視図である。図1において、空気清浄機1では、空気清浄ユニット2、除湿ユニット3、加湿ユニット4、送風機5及び制御部6が、本体10に収納されている。」

「【0055】
<加湿ユニット4>
図6は、空気清浄機の本体から水タンクと気化素子とを引き出した状態の斜視図であり、図7は、加湿ユニットの斜視図である。図6、図7において、加湿ユニット4は、水タンク40、気化素子41、水車42及び駆動部43を有している。水タンク40は、空気流路Aを通る空気に与える水分の水源であり、本体10に脱着可能に収納されている。水タンク40内の水が不足している場合は、ユーザーによって本体10の引き出し口から引き出されて、水が補充される。なお、本実施形態の空気清浄機においては、除湿運転時に除湿ユニット3で捕獲された水を水タンク40に貯めており、加湿運転時には廃棄しているが、再利用して水の補充の回数を低減することも可能である。
【0056】
気化素子41は、不織布で円板状に成形され、回転することによって水タンク40から送られてくる水を蒸発させる気化部材である。気化素子41は外周に第1歯車411を有しており、第1歯車411は駆動部43によって回転する。気化素子41は、水タンク40の満水時の水位よりも上方に配置されているので、水タンク40内の水とは直接接触していない。
【0057】
水量センサー44は、水タンク40の水量を検知するセンサーであり、水タンク40の満水状態及び渇水状態を未然に防止するために設けられている。なお、水量センサー44は、フロートスイッチで代用することができる。
【0058】
図8は、図7の空気流れの下流側から視た加湿ユニットの斜視図である。図8において、水車42は、水タンク40に回転可能に支持されており、水タンク40内の水を汲み上げて気化素子41に向って放出する。加湿ユニット4の厚み方向の寸法を小さくするため、気化素子41と水車42は、回転の軸を並行にし、互いに近接して対向している。」

「【0066】
図6、図7、図8で示すように、気化素子41は、本体10からの取り出しを容易にするために、回転軸を突出させない形状に成形されている。このため、気化素子41は、第1歯車411が駆動歯車431及び第2歯車423と噛み合うことによって支持されている。第1歯車411が、安定した姿勢を維持するために、駆動歯車431及び第2歯車423は、第1歯車411の回転軸よりも下方に位置し、且つ気化素子41の鉛直中心線に対して互いに反対側に位置している。このため、気化素子41は、軸支持されていなくても、安定して回転することができ、本体10から取り出されるときには、突出する軸がないので、本体10内部に引っ掛かることなく容易に取り出される。」

「【0067】
<操作パネル60>
図9は、操作パネルの斜視図である。図9において、操作パネル60上には、運転入/切ボタン61、運転切換ボタン62、風量選択ボタン63、湿度選択ボタン64、コース選択ボタン65、タイマー選択ボタン66、オートルーバーボタン67、及びおすすめボタン68が設けられており、各ボタンを押すことによって、押されたボタンに対応した信号が、操作パネル60の下方に配置された制御部6に入力される。・・・
・・・
【0069】
運転切換ボタン62は、運転モードを選択するボタンであり、「空気清浄」、「加湿」及び「除湿」のいずれか1つを選択することができる。なお、ここで述べる「加湿」とは、空気清浄をしながらの加湿運転であり、設定湿度に達すると、加湿運転を停止するが、空気清浄運転はそのまま行なう。同様に、「除湿」とは、空気清浄をしながらの除湿運転であり、設定湿度に達すると、除湿運転を停止するが、空気清浄運転はそのまま行なう。」

「【0075】
<操作パネル60の操作例>
・・・
【0077】
(加湿)
運転入/切ボタン61を押した後、運転切換ボタン62を押して「加湿」を選ぶ。風量選択ボタン63で風量を切り換え、湿度選択ボタン64で湿度を切り換える。水タンク40が空になるとブザー音が鳴り、表示部69上の給水ランプが点灯し、加湿運転を停止するが、空気清浄運転は継続する。
・・・
【0079】
(内部乾燥)
運転入/切ボタン61を押した後、コース選択ボタン65を押して「内部乾燥」を選ぶ。このコースは、約3時間の送風運転を行い、本体10内部を乾燥させるので、カビの発生を抑えることができる。」

「【図9】


図9より、操作パネル60上に表示部69が設けられていることが見て取れる。

これらの記載によれば、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。

「空気清浄機能、除湿機能及び加湿機能を有する空気清浄機であって、
空気清浄ユニット2、除湿ユニット3、加湿ユニット4、送風機5、空気清浄運転、除湿運転、加湿運転を行わせる制御部6、水タンク40の水量を検知する水量センサー44、表示部69、を備え
加湿ユニット4は、水タンク40、気化素子41、水車42及び駆動部43を有し、
気化素子41は、不織布で円板状に成形され、回転することによって水タンク40から送られてくる水を蒸発させる気化部材であり、
水車42は、水タンク40に回転可能に支持されており、水タンク40内の水を汲み上げて気化素子41に向って放出するものであり、
水タンク40が空になるとブザー音が鳴り、表示部69上の給水ランプが点灯し、加湿運転を停止するが、空気清浄運転は継続する空気清浄機。」

2.当審の拒絶の理由に引用された特開2003-14261号公報(以下「引用文献2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は単独で、あるいは空調機器に組み合わせて用いることのできる加湿装置に関する。なお「空調機器」とは空気の物性を変化させて所望の雰囲気をつくり出す機器全般をいい、その例としては空気調和機、空気清浄機、ファンヒーター等を掲げることができる。」

「【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、湿潤状態の保水手段に空気を接触させて空気に水分を転移する方式の加湿装置において、保水手段中に細菌・かび・藻類等が繁殖するのを簡単な装置構成をもって抑制できるようにすることを目的とする。」

「【課題を解決するための手段】
【0010】上記目的を達成するため、本発明では、保水手段と、この保水手段を湿潤状態に置く給水手段と、湿潤状態の保水手段に空気を接触させて空気に水分を転移し、この空気を室内に送り出す送風手段とを備えた加湿装置において、給水手段と送風手段を同時に駆動する加湿運転と、給水手段を停止し送風手段のみ駆動する保水手段乾燥運転とを可能にした。
【0011】このように送水手段を停止し送風手段のみ駆動して保水手段を乾燥することにより、保水手段中に細菌・かび・藻類等が繁殖し、悪臭を発生したり感染症の原因になったりするのを抑制することができる。
・・・
【0013】また本発明では、加湿装置の運転終了時、所定時間の保水手段乾燥運転を行い、その後加湿装置を完全停止させることとした。これにより、運転停止期間中に細菌・かび・藻類等が繁殖するのを防ぐことができる。」

「【0057】自動加湿運転の途中で運転スイッチ51を「切」にすると、図9のように運転終了処理が行われる。すなわち給水手段45とイオン発生装置18の運転が停止し、加熱手段20への通電が開始される。約60?70℃の温風で所定時間保水手段乾燥運転を行った後、加熱手段20への通電が断たれる。送風手段19は運転を続けるので、余熱を持っている加熱手段20を冷却しつつ保水手段14の乾燥が継続される。
【0058】このように加熱手段20の余熱冷却段階に入った後、イオン発生装置18が運転を開始する。この時ダンパー駆動回路62はダンパー23を保水手段14の側に切り替える。これにより、イオン発生装置18の生成したイオンクラスターが保水手段14に吹き付けられ、保水手段14の全体に行きわたり、保水手段14に付着した細菌を除菌・滅菌する。所定時間経過後、送風手段19、イオン発生装置18ともに運転を停止し、加湿装置1は完全停止状態となる。」

3.当審の拒絶の理由に引用された特開2008-241225号公報(以下「引用文献3」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

「【技術分野】
【0001】
この発明は気化式の加湿器に関するものである。」

「【0019】
加湿終了後は、気化フィルター9を図5(c)の状態から矢印のように略90度回転して図5(b)に示すように、その全体を水槽部10の水面と略水平状態になるように水面で保持し、同時にタイマー23により所定の時間をカウントし、その間、風路に設けたヒーター7によって加熱された風により乾燥する。加湿停止後、気化フィルター9を含めて水槽2、水槽部10を本体1から取り出して清掃等する場合には本体1の開口部11から図2の矢印のように取り出せばよい。」

第4 対比
引用発明の「空気清浄運転」、「加湿運転」は、それぞれ、本願発明の「空気中の異物を除去する空気清浄モード」での運転、「空気中に水分を供給する加湿モード」での運転に相当し、引用発明の「空気清浄機」は、空気清浄機能と加湿機能を有するから、本願発明の「空気清浄モード」及び「加湿モードの2つの運転モードでの運転が可能な空気調和機(1)」に相当する。
引用発明の「気化素子41」は、回転することによって水タンク40から送られてくる水を蒸発させる気化部材であって、加湿運転中において回転することは明らかであるから、本願発明の「加湿モードで運転されている状態において」「回転する加湿ロータ(42)」に相当する。そして、引用発明の水車42が水タンク40内の水を汲み上げて気化素子41に向って放出することを考慮すると、引用発明の「水タンク40」は、本願発明の「加湿ロータ(42)に供給される水を貯める貯水容器(41)」に相当する。
引用発明の「水タンク40の水量を検知する水量センサー44」は、本願発明の「貯水容器内の貯水量を検知する検知手段(90)」に相当する。
引用文献1に「表示部69上の給水ランプが点灯し」(【0077】)と記載され、図9の表示部69の右方に「□ 給水」と記載されていることに照らせば、図9の表示部69の左方であって、運転切換ボタン62の上方に「□ 除湿」、「□ 加湿」、「□ 空気清浄(集塵・脱臭)」と記載されているのは、それぞれ、除湿運転、加湿運転、空気清浄運転を示すランプであると理解でき、そうすると、引用発明の「表示部69」は、本願発明の「空気調和機の運転モードを表示する表示手段(81)」に相当する。

引用発明の「水タンク40が空になるとブザー音が鳴り、表示部69上の給水ランプが点灯し、加湿運転を停止するが、空気清浄運転は継続する」について、当該動作が「制御部6」によって制御されるものであり、水タンク40が空になることが、水量センサー44が水タンク40の水量を検知することにより判断されることは明らかである。そうすると、上記引用発明の動作は、加湿運転中に、水量センサー44が検知した水タンク40の水量に基づいて水タンク40が空と判断すると、加湿運転から空気清浄運転に切り換えると共に、表示部69上の給水ランプを点灯させる動作であるといえる。ここで、水タンク40が空と判断するときの水タンク40の水量は、本願発明の「第2貯水量」に相当する。そうすると、上記引用発明の動作を制御する引用発明の「制御部6」は、本願発明の「前記検知手段(90)で検知された貯水量に基づいて運転モードを切り換えると共に、運転モードの切り換えに伴って前記表示手段(81)を制御する制御手段(60)」に相当するとともに、「加湿モードで運転されている状態において、前記検知手段(90)によって前記貯水量が第2貯水量以下と検知された場合に、」「運転モードを空気清浄モードに切り換える」ものに相当する。

よって、本願発明と引用発明との一致点、相違点は以下のとおりである。

[一致点]
空気中の異物を除去する空気清浄モード及び空気中に水分を供給する加湿モードの2つの運転モードでの運転が可能な空気調和機であって、
加湿モードで運転されている状態において、回転する加湿ロータに供給される水を貯める貯水容器と、
前記貯水容器内の貯水量を検知する検知手段と、
空気調和機の運転モードを表示する表示手段と、
前記検知手段で検知された貯水量に基づいて運転モードを切り換えると共に、運転モードの切り換えに伴って前記表示手段を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、加湿モードで運転されている状態において、前記検知手段によって前記貯水量が第2貯水量以下と検知された場合に、運転モードを空気清浄モードに切り換えることを特徴とする空気調和機。

[相違点1]
加湿ロータ(42)について、本願発明は、「ロータ軸(42a)を中心として」回転すると特定されているのに対し、引用発明は、このように特定されていない点。

[相違点2]
運転モードを空気清浄モードに切り換えるタイミングについて、本願発明は、「加湿ロータ(42)の回転を継続し且つヒータにより加熱されない空気が加湿ロータに供給された状態で所定時間が経過した後で」と特定されているのに対し、引用発明は、このように特定されていない点。

第5 判断
1 相違点1について
引用発明の気化素子41は回転するものであること、引用文献1に「気化素子41は、本体10からの取り出しを容易にするために、回転軸を突出させない形状に成形されている。」(【0066】)と記載されていること、に照らせば、引用発明の気化素子41も回転軸を中心として回転するものと認められるから、相違点1は実質的な相違点ではない。
仮に、本願発明の「ロータ軸(42a)」が、突出して形成された軸を意味し、相違点1が実質的な相違点であるとしても、回転体(ロータ)において回転軸を突出形成することは周知である。そして、引用文献1の「気化素子41は、軸支持されていなくても、安定して回転することができ、本体10から取り出されるときには、突出する軸がないので、本体10内部に引っ掛かることなく容易に取り出される。」(【0066】)の記載によれば、回転軸を突出させない形状に成形するのは、気化素子41の取り出しを容易にするためであるところ、引用発明の空気清浄機において、気化素子41の取り出しを容易にすることは必須ではない。よって、気化素子41に突出する回転軸を形成し、相違点1に係る本願発明の構成とすることは、上記周知技術を採用して、当業者が容易になし得たことである。

2 相違点2について
引用文献1には「(内部乾燥) 運転入/切ボタン61を押した後、コース選択ボタン65を押して「内部乾燥」を選ぶ。このコースは、約3時間の送風運転を行い、本体10内部を乾燥させるので、カビの発生を抑えることができる。」(【0079】)との記載があることから、引用発明は、送風により本体内部を乾燥させてカビの発生を抑える課題を内在するものといえる。
更に、前記引用文献2、3の記載より、加湿装置において、保水手段(気化フィルター)にかびや細菌が繁殖することを抑制する等のため、加湿運転を停止する際に、保水手段(気化フィルター)を乾燥する運転を所定時間行うことは周知である。
そうすると、引用発明における、水タンク40が空になった際の、加湿運転を停止し、空気清浄運転を継続する動作に関しても、上記引用文献1の記載や周知技術を参照すれば、加湿運転の停止に際して、保水手段である気化素子41を乾燥して、かびや細菌が繁殖することを抑制すべきとの課題を当業者は認識し得る。
そして、具体的な乾燥運転として、送風により乾燥させること、すなわち、ヒータにより加熱されない空気を供給することにより乾燥させることも周知である(引用文献1の「送風運転を行い、本体10内部を乾燥させる」(【0079】)、引用文献2の「送水手段を停止し送風手段のみ駆動して保水手段を乾燥する」(【0011】)との記載参照。)。
よって、引用発明における、水タンク40が空になった際の、加湿運転を停止し、空気清浄運転を継続する動作について、加湿運転を停止する際の動作に上記周知技術を適用し、ヒータにより加熱されない空気を供給することにより気化素子41を乾燥する運転を所定時間行うものとすることは、当業者が容易に想到し得ることである。
このとき、引用発明の気化素子41は「回転することによって水タンク40から送られてくる水を蒸発させる気化部材」であることから、気化素子41を送風により乾燥させるにあたっても、これを回転させる必要のあることは、当業者が普通に理解できることである。
したがって、相違点2に係る本願発明の構成は、引用発明における、水タンク40が空になった際の、加湿運転を停止し、空気清浄運転を継続する動作について、加湿運転を停止する際の動作に上記周知技術を適用し、気化素子41を回転させつつ、送風により乾燥する運転を所定時間行うものとすることにより、当業者が容易に想到し得たものである。
なお、請求人は、引用発明に引用文献2、3の技術を適用した場合、ヒータを新たに追加し、ヒータにより加熱された空気を供給することにより保水手段や気化フィルタを乾燥させる構成に想到し得るだけである旨を主張する(平成27年8月31日付け意見書)。しかし、引用文献2には、加熱された空気を供給することにより保水手段を乾燥させること(【0057】)だけではなく、送風により保水手段を乾燥すること(【0010】?【0011】)も記載されており、ヒータにより加熱することは必須とされていない。また、上記のとおり、送風により乾燥させること、すなわち、ヒータにより加熱されない空気を供給することにより乾燥させることは周知である。よって、引用発明において、気化素子41を乾燥する運転を行うものとするにあたり、ヒータを新たに追加する必要はないから、上記請求人の主張は採用できない。

そして、本願発明が、引用発明及び周知技術から予測できない格別顕著な効果を奏するものとは認められない。

第6 むすび
したがって、本願発明は、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-10-09 
結審通知日 2015-10-13 
審決日 2015-10-26 
出願番号 特願2009-154617(P2009-154617)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (F24F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田中 一正  
特許庁審判長 鳥居 稔
特許庁審判官 山崎 勝司
紀本 孝
発明の名称 空気調和機  
代理人 特許業務法人梶・須原特許事務所  
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