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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N
管理番号 1308823
審判番号 不服2014-11180  
総通号数 194 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-02-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-06-12 
確定日 2015-12-09 
事件の表示 特願2012- 58901「映像送信及び受信方法と装置、及びその伝送ストリーム構造」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 6月 7日出願公開、特開2012-110068〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 経緯
1.手続
本願は、平成18年6月13日(パリ条約による優先権主張 2005年6月14日、韓国)に出願した特願2006-163838号の一部を平成24年3月15日に新たな特許出願としたものであって、平成25年9月2日付けで拒絶理由が通知され、これに対して、同年12月10日に手続補正がなされたが、平成26年2月3日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年6月12日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに同日付で手続補正がなされたものである。

2.査定
原査定の理由は、概略、以下の通りである。

理 由
本願の請求項1ないし19に係る発明(平成25年12月10日付け手続補正書による)は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


刊行物1.特開2004-166195号公報


第2 補正却下の決定
[補正却下の決定]
平成26年6月12日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.本願発明と補正後の発明
上記手続補正(以下、「本件補正」という。)は、本件補正前の平成25年12月10日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された、

「【請求項1】
映像データと映像特性パラメータを含む映像信号とを受取り、かつ、復元するステップであり、復元された映像データと復元された映像信号を得るために、該映像特性パラメータは該映像データが二次元映像であるか三次元映像であるかを示す情報を含んでいるステップと、
前記復元された映像信号を受取り、かつ、前記映像特性パラメータを検出するステップと、を含み、
前記映像データが三次元映像である場合、前記映像特性パラメータは前記三次元映像のディスプレイフォーマットに関する情報をさらに含み、
前記映像データを復元するステップは、前記映像データの時間的空間的な相関性を考慮して前記映像データをもとのデータに復元する、
ことを特徴とする復元方法。」

という発明(以下、「本願発明」という。)を、平成26年6月12日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1の記載に記載された、

「【請求項1】
映像データと映像特性パラメータを含む映像信号とを受取り、かつ、復元するステップであり、復元された映像データと復元された映像信号を得るために、該映像特性パラメータは該映像データが二次元映像であるか三次元映像であるかを示す情報を含んでいるステップと、
前記復元された映像信号を受取り、かつ、前記映像特性パラメータを検出するステップと、
前記映像特性パラメータに従って前記復元された映像データをディスプレイするステップと、を含み、
前記映像データが三次元映像である場合、前記映像特性パラメータは前記三次元映像のディスプレイフォーマットに関する情報、または、三次元映像の撮像視点数情報をさらに含み、
前記映像データを復元するステップは、前記映像データの時間的空間的な相関性を考慮して前記映像データをもとのデータに復元し、
前記復元された映像データをディスプレイするステップは、前記三次元映像のディスプレイフォーマットに関する情報、または、三次元映像の撮像視点数情報に従って、前記復元された映像データを所定方式に変換してディスプレイする、
ことを特徴とする復元方法。」

という発明(以下、「補正後の発明」という。)に補正することを含むものである。
(なお下線部は、本願発明に対する補正箇所である。)
ただし、本件補正による補正後の請求項1には「三次元映像の撮像視点数情に従って」という記載に「撮像視点数情」との記載があり、この記載は「撮像視点数情報」の誤記と認められるから、上記のとおり認定した。

2.新規事項の有無、補正の目的要件について
本件補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内において、本願発明に記載された「映像特性パラメータ」に関し、「前記映像特性パラメータに従って前記復元された映像データをディスプレイするステップ」を追加することで、該「映像特性パラメータ」が「復元された映像データをディスプレイする」ことに用いられるものであることを限定し、さらに、該「映像特性パラメータ」が「三次元映像の撮像視点数情報」を選択的に含むことを限定し、さらに、前記「前記映像特性パラメータに従って前記復元された映像データをディスプレイするステップ」について、「前記復元された映像データをディスプレイするステップは、前記三次元映像のディスプレイフォーマットに関する情報、または、三次元映像の撮像視点数情に従って、前記復元された映像データを所定方式に変換してディスプレイ」するものであると限定することで、特許請求の範囲を減縮するものである。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第3項(新規事項)及び特許法第17条の2第5項(補正の目的)の規定に適合している。

3.独立特許要件について
本件補正は特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、補正後の発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるのかどうかについて以下に検討する。

3.1 補正後の発明
補正後の発明は、上記「1.本願発明と補正後の発明」の項で「補正後の発明」として記載した事項により特定される次のとおりのものである。
なお、補正後の発明の各構成の符号は便宜的に当審で付したものである。

「【請求項1】
A.映像データと映像特性パラメータを含む映像信号とを受取り、かつ、復元するステップであり、復元された映像データと復元された映像信号を得るために、該映像特性パラメータは該映像データが二次元映像であるか三次元映像であるかを示す情報を含んでいるステップと、
B.前記復元された映像信号を受取り、かつ、前記映像特性パラメータを検出するステップと、
C.前記映像特性パラメータに従って前記復元された映像データをディスプレイするステップと、を含み、
D.前記映像データが三次元映像である場合、前記映像特性パラメータは前記三次元映像のディスプレイフォーマットに関する情報、または、三次元映像の撮像視点数情報をさらに含み、
E.前記映像データを復元するステップは、前記映像データの時間的空間的な相関性を考慮して前記映像データをもとのデータに復元し、
F.前記復元された映像データをディスプレイするステップは、前記三次元映像のディスプレイフォーマットに関する情報、または、三次元映像の撮像視点数情報に従って、前記復元された映像データを所定方式に変換してディスプレイする、
G.ことを特徴とする復元方法。」

3.2 引用発明
原審の拒絶理由に引用された、特開2004-166195号公報(以下、「引用例」という。)には「画像データ生成装置、画像データ再生装置、画像データ生成方法、画像データ再生方法」(発明の名称)として図面とともに以下の事項が記載されている。

ア.「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、3次元表示の画像データを生成する画像データ生成装置及びその方法、3次元画像データから3次元画像を再生する画像データ再生装置及びその方法に関する。」(第4頁第11?14行目)

イ.「【0021】
第1の実施の形態
図1は、本発明の第1の実施の形態の3次元画像データ100の構成を示す図である。図示された情報及びデータは、上の要素から下に向かって順に記録もしくは伝送されることを想定している。以下、各情報及びデータについて説明する。
【0022】
記録もしくは伝送されるデータ中に3次元画像識別情報101が存在すると、これ以降に3次元画像に関するデータが続くことを意味する。バージョン情報102は、3次元表示に関するバージョンを示す情報である。制御情報103は、3次元画像の表示に関する1つ以上のパラメータで構成され、バージョン情報102に応じてその種類や組み合わせが決定される。制御情報103の具体例及びバージョン情報102との関連については後述する。
【0023】
画像データ104は、3次元表示の可能な画像データであり、例えば、前記図5、図6(b)、図7(c)のようなデータ構成を持つ。画像データ104は、静止画、動画を問わず、また、圧縮符号化されているデータ、圧縮符号化されていないデータ、いずれでも良い。さらに、画像データ104とは別に、音声やテキストなど画像以外のデータを含んでいても良く、またそれらに付随する付加情報を含んでも良い。
【0024】
次に、本実施の形態における制御情報103に関する例とバージョン情報102との関連について説明する。制御情報103の例として、画像データが従来技術で説明したような前記図6(b)のデータ構成になっているか図7(c)のデータ構成になっているかを示すパラメータがある。3次元画像を表示する際には、表示しようとする画像データがどのような構成になっているかを知らなければ正常に3次元表示ができないため、このようなパラメータは3次元画像の表示に関して必須の制御情報である。」(第6頁第2?26行目)

ウ.「【0038】
表1に示した制御情報の意味について説明する。画像データの構造とは、画像データが例えば前記図6(b)のような構成をとるか前記図7(c)のような構成をとるかを示すパラメータである。視差変更量とは、3次元表示における画像の奥行き感を調整するための、例えば左画像に対する右画像の水平方向へのずらし画素数を示すパラメータである。付加情報1は、3次元表示に関する別の付加的なパラメータである。以降、バージョンが上がる毎に、制御情報に含まれるパラメータが増加していく。
【0039】
なお、上記表1ではバージョンが上がるにつれて増加する制御情報のパラメータ数は一様に1種類ずつになっているが、一様に1種類ずつである必要はなく、バージョン毎に増加するパラメータ数が変わっても良い。
次に、上記のような3次元画像データを解釈して3次元画像を再生する画像データ再生装置について説明する。
【0040】
図3は、3次元画像データを再生する画像データ再生装置の機能ブロック図である。
図3において、300は3次元画像データを再生することが可能な画像データ再生装置であり、画像データ再生装置300は、3次元画像データのデータ構造を解析するデータ構造解析部301(3次元画像データ入力手段)と、3次元画像データのバージョン情報を解析してその3次元画像を再生可能かどうかを判定するバージョン判定部302(バージョン判定手段)と、制御情報103を解析して3次元画像の再生に必要な制御パラメータを得る制御情報解析部303(制御情報解析手段)と、3次元画像データ100に含まれる3次元表示可能な画像データ104を、前記制御パラメータに従うデータ形式に変換する画像データ変換部304(画像データ変換手段)と、3次元表示可能な画像データを、3次元画像表示する画像表示部305(再生手段,画像表示手段)とを備えて構成される

【0041】
データ構造解析部301は、3次元画像データのバージョンを示すバージョン情報、3次元画像の表示を制御するための1つ以上のパラメータを示す制御情報、及び3次元表示可能な画像データを含む3次元画像データを入力する3次元画像データ入力手段としての機能を有し、データ構造解析部301は、図示しない記録媒体や伝送インタフェース等から入力された3次元画像データを解析し、バージョン情報102、制御情報103、画像データ104等に分離する。バージョン判定部302は、前記分離されたバージョンを参照して、その画像データが3次元画像として適切に再生可能であるかどうかの判定を行い、この判定結果をデータ構造解析部301に通知する。
【0042】
上記判定結果が、「適切に再生可能である」の場合、データ構造解析部301は分離した制御情報103を制御情報解析部303に対して出力する。制御情報解析部303では、前記データ構造解析部301で分離された制御情報103を解析し、画像データの再生に必要なパラメータを得、画像データ変換部304に対して出力する。画像データ変換部304は、データ構造解析部301で分離された画像データ104を、制御情報解析部303から入力されたパラメータに従って、3次元表示に適したデータ形式に変換する。データ構造解析部301で分離された画像データが圧縮符号化されていた場合は、画像データ変換部304で画像データの復号も同時に行う。画像表示部305では、画像データ変換部304で変換された画像データを3次元画像として表示する。画像表示部305のような画像の表示手段は、本画像データ再生装置300に含まれていても良いし、外部に接続される別装置であっても良い。
【0043】
一方、上記判定結果が「適切に再生可能でない」の場合、データ構造解析部301及び制御情報解析部303は、制御情報103の解釈をスキップする。ここで画像データ104に関しては、画像データ変換部304が元々備えている制御パラメータを用いて、適切ではないが3次元表示が可能な画像データに変換するか、2次元画像に変換するか、あるいは、画像データの変換自体を行わないか、のいずれかの処理を行う。画像表示部305でこれらの画像データを表示すると、適切ではないがある程度の品質の3次元画像表示が得られるか、3次元表示ではないが画像内容が確認できる程度の2次元画像表示が得られるか、何も表示されない。あるいは、3次元画像として適切に再生できない旨の警告メッセージ画面を用意し、前記2者のケースは警告メッセージ画面を前記画像にそれぞれ重畳して表示し、最後のケースは警告メッセージ画面のみを表示するようにしても良い。前記警告メッセージ画面は、画像データ変換部304が生成しても良いし、画像表示部305が生成しても良い。
【0044】
なお、上記のように適切に再生可能でない場合に2次元画像に変換する方法としては、例えば図6(b)や図7(c)の構成を持つ画像データの場合、左眼用画像のみ若しくは右眼用画像のみを用いて、水平方向に2倍に拡大若しくは補間して表示する方法がある。
【0045】
また、前記のように、画像表示部305は、3次元画像だけでなく2次元画像の再生機能を備えていても良い。すなわち、画像表示部305は、2次元表示、3次元表示の表示モード切り替え機能を有しており、これを自動で切り替え可能な表示手段であっても良い。例えば、図3の画像データ再生装置300においては、3次元画像識別情報の有無に従って、画像表示部305の表示モードが切り替わるような構成とする。すなわち、データ構造解析部301に入力される画像データに3次元画像識別情報が含まれる場合、画像表示部305では3次元表示モードで表示し、一方、データ構造解析部301に入力される画像データに3次元画像識別情報が含まれない場合、画像表示部305では2次元表示モードで表示する。」(第8頁第27行目?第9頁第49行目)

エ.「【0054】
第3の実施の形態
図8は、本発明の第3の実施の形態の3次元画像データ800の構成を示す図である。図示された情報及びデータは、上の要素から下に向かって順に記録もしくは伝送されることを想定している。なお、本実施の形態において前述の実施の形態と同一または相当部分には同一符号を付し、その説明は繰返さない。
【0055】
図8において、プロファイル情報801は、制御情報103の設定について、その取り得る値を定める情報である。以下、本実施の形態におけるバージョン情報102とプロファイル情報801および制御情報103との関連について説明する。
【0056】
図9はバージョン=「K」(ここでKは自然数である)の場合の制御情報103の例を示す図である。図9において、パラメータ901からパラメータ908までは画像データの構造に関するパラメータであり、パラメータ909からパラメータ911は3次元画像の表示をより良好に行うためのパラメータである。901は水平方向の視点数Mを示し、902は垂直方向の視点数Nを示すためのものである(ここでM,Nは自然数、本実施の形態においては、このときの視点数をMxNと表記する)。また、903は各視点の画像が結合されているか否かを示すためのものであり、「あり」、「なし」のいずれかの値をとる。904は画像結合が「あり」の場合に、画像結合時の配置方法を示し、ここでは「水平」、「垂直」のいずれかの値をとるものとする。画像配置904は、画像結合が「なし」の場合には省略される。なお図9では、他のパラメータの値によって省略される可能性のあるパラメータを、先頭に空白を入れて表記することとしている。
【0057】
さらに、905は各視点の画像が水平方向に縮小されているか否か(「あり」、「なし」のいずれかの値をとる)を、906は画像が水平方向に縮小されている場合の縮小率を示す。同様に907は各視点の画像が垂直方向に縮小されているか否かを、908は画像が垂直方向に縮小されている場合の縮小率を示す。水平方向の縮小905および垂直方向の縮小907が「なし」の場合には、それぞれ縮小率906、908が省略される。
また、909は前述の視差量を調整する際の変化量を示し、910は3次元画像を2次元表示する際に表示画像として選択される視点に対応した画像を示す。
【0058】
例えば前述の「2眼式」の場合、視点数は2x1となる。視点数が2x1の場合における画像データ104の例を図13に示す。図13(a)は画像結合なし、水平・垂直とも縮小なしの場合を示している。図13(b)は画像結合ありで、画像配置は「水平」、水平・垂直とも縮小なしの場合を、図13(c)は画像結合ありで、画像配置は「垂直」、水平・垂直とも縮小なしの場合を、図13(d)は画像結合なし、水平方向の縮小率が1/2の場合を、図13(e)は画像結合ありで、画像配置は「水平」、水平方向の縮小率が1/2の場合を、図13(f)は画像結合ありで、画像配置は「垂直」、垂直方向の縮小率が1/2の場合を示している。
【0059】
このように画像データの構成に関するパラメータを組み合わせることで、多彩なパターンを表すことが可能であるが、実用面ではこれらすべてのパターンの利用度が高いわけではない。したがって、特定の用途で画像データを普及させることを考えると、特定のパターンのみをサポートすれば十分な場合がある。
【0060】
例えば、デジタルカメラで3次元画像を撮影する際に、撮像面に視点の異なる被写体像を映すことのできるステレオアダプタを使用して、単眼のカメラで左右目の画像が水平方向に結合された画像を撮影することが行われる。このような場合には、図13(b)および図13(e)に示す画像が利用できれば十分であると考えられる。
」(第11頁第12行目?第12頁第10行目)

オ.「【0073】
次に、図8に示される3次元画像データ800を解釈して3次元画像を再生する画像データ再生装置について説明する。図11は、3次元画像データ800を再生する画像データ再生装置の機能ブロック図である。図11において、1100は3次元画像データ800を再生することが可能な画像データ再生装置であり、画像データ再生装置1100は、3次元画像データのデータ構造を解析するデータ構造解析部1101(3次元画像データ入力手段)と、3次元画像データのプロファイル情報を解析してその3次元画像が再生可能かどうかを判定する再生可否判定部1102(再生可否判定手段)と、制御情報解析部303(制御情報解析手段)と、画像データ変換部304(画像データ変換手段)と、画像表示部305(再生手段、画像表示手段)とを備えて構成される。
【0074】
データ構造解析部1101は、3次元画像データのプロファイルを示すプロファイル情報、3次元画像データのバージョンを示すバージョン情報、3次元画像の表示を制御するための1つ以上のパラメータを示す制御情報、及び3次元表示可能な画像データを含む3次元画像データを入力する3次元画像データ入力手段としての機能を有し、データ構造解析部1101は、図示しない記録媒体や伝送インタフェース等から入力された3次元画像データを解析し、プロファイル情報801、バージョン情報102、制御情報103、画像データ104等に分離する。
【0075】
再生可否判定部1102は、前記分離されたバージョン情報およびプロファイルを参照して、その画像データが3次元画像として適切に再生可能であるかどうかの判定を行う。バージョン情報に関する判定は、前述の第1の実施の形態と同様である。プロファイル情報に関しては、データ構造解析部1101から入力されたプロファイル情報とサポートするプロファイルが一致した場合に、画像データ104が再生可能であると判定する。この判定結果はデータ構造解析部1101に通知される。判定結果を得た後の動作は、前述の第1の実施の形態と同様であるため、ここでの説明は省略する。」
(第14頁第21?46行目)

上記ア.?オ.の記載及び関連する図面並びにこの分野における技術常識を考慮して、引用例の記載について検討する。
ここで、上記エ.、オ.に記載される第3の実施の形態においては、上記イ.、ウ.に記載される第1の実施の形態と同一または相当部分には同一符号を付し、その説明は繰返さないとあるから(上記エ.段落【0054】)、以下、第1の実施の形態も援用して引用例の第3の実施の形態に記載される発明を認定する。

(1) 上記ア.には、引用例に係る発明が3次元画像データから3次元画像を再生する「画像データ再生方法」に関するものであることが記載されている。

(2) 上記オ.の段落【0074】には、3次元画像データを再生する画像データ再生装置における処理として、前記画像データ再生装置が備えるデータ構造解析部1101に「3次元画像データを入力する」ことが記載されている。
また、図8には、「3次元画像データ」中に、「3次元画像識別情報」、「制御情報」、及び「画像データ」が含まれることが示されており、上記イ.の段落【0023】には、「画像データ」が、3次元表示可能な、静止画、動画を問わない画像データであることが記載されている。
したがって、引用例には、「3次元画像識別情報、制御情報、及び画像データを含む3次元画像データを入力」することが記載されている。

(3) 上記オ.の段落【0074】には、画像データ再生装置が備えるデータ構造解析部1101が「入力された3次元画像データを解析し」、「制御情報」、「画像データ」等を「分離」することが記載されている。
したがって、引用例には、「前記入力された3次元画像データを解析し、前記制御情報、前記画像データを分離」することが記載されている。

(4) 上記ウ.の段落【0042】には、「分離された制御情報」を画像データ再生装置が備える制御情報解析部303が解析することによって得られたパラメータに従って、前記画像データ再生装置が備える画像データ変換部304が「分離された画像データ」を「変換」するとともに、前記画像データ再生装置が備える画像表示部305が「変換された画像データを3次元画像として表示する」ことが記載されている。
ここで、「制御情報」を解析して得られたパラメータに「従」うことは、「制御情報」に「従」うことといえる。
また、上記ウ.の段落【0042】には、分離された画像データを3次元表示に適したデータ形式に変換する画像データ変換部304において、分離された「画像データが圧縮符号化されていた場合」は、「画像データの復号も同時に行」うことが記載されている。
したがって、引用例には、「前記分離された制御情報に従って、前記分離された画像データを変換し、前記画像データが圧縮符号化されていた場合は、前記画像データの復号も同時に行い、変換された画像データを3次元画像として表示する」ことが記載されている。

(5) 上記ウ.の段落【0045】には、「3次元画像識別情報」の有無に従って、画像データ再生装置における表示モードを3次元表示と2次元表示とで切り替えることが記載されていることから、当該画像データ再生装置が再生対象とする「画像データ」は、3次元画像の場合と2次元画像の場合とがあり、「3次元画像識別情報」を含む当該「3次元画像データ」における「画像データ」は「3次元画像の場合」であるといえる。
また、上記イ.の段落【0024】には、「制御情報」は3次元表示のために必須のパラメータであって、画像データが図6(b)のデータ構造になっているか、図7(c)のデータ構造になっているか示すパラメータであることが記載されており、上記ウ.の段落【0038】には、画像データが図6(b)のような構成をとるか図7(c)のような構成をとるかを示す「制御情報」におけるパラメータが、「画像データの構造」であることが記載されている。
また、上記エ.の段落【0056】、図9には、「制御情報」に「画像データの構造」に関するパラメータを含めるとともに、前記「画像データの構造」に関するパラメータとして、「水平方向の視点数M」と「垂直方向の視点数N」を含めることが記載されている。
したがって、引用例には、「前記画像データが3次元画像の場合、前記制御情報は画像データの構造を含み、前記画像データの構造は水平方向の視点数Mと垂直方向の視点数Nを含」むことが記載されている。

(6) 上記ウ.の段落【0042】には、制御情報を解析し、得られたパラメータに従って、画像データ変換部304が「分離された画像データ」を「3次元表示に適したデータ形式に変換する」ことが記載されている。
また、上記(5)で検討したように、制御情報における、「水平方向の視点数Mと垂直方向の視点数N」を含む「画像データの構造」は、3次元表示のための必須のパラメータであることから、前記画像データ変換部304における「分離された画像データ」の変換に際しても用いられることは明らかである。
したがって、引用例には、「前記分離された画像データの変換に際しては、前記水平方向の視点数Mと垂直方向の視点数Nを含む前記画像データの構造に従って、前記分離された画像データを3次元表示に適したデータ形式に変換する」ことが記載されている。

したがって、引用例の第3の実施の形態においては以下の発明(以下、「引用発明」という。)が、開示されている。
なお、分説記号は当審にて付したものである。

(引用発明)
「a.3次元画像識別情報、制御情報、及び画像データを含む3次元画像データを入力し、
b.前記入力された3次元画像データを解析し、前記制御情報、前記画像データ等を分離し、
c.前記分離された制御情報に従って、前記分離された画像データを変換し、前記画像データが圧縮符号化されていた場合は、前記画像データの復号も同時に行い、変換された画像データを3次元画像として表示する、ことを含み、
d.前記画像データが3次元画像の場合、前記制御情報は画像データの構造を含み、前記画像データの構造は水平方向の視点数Mと垂直方向の視点数Nを含み、
e.前記分離された画像データの変換に際しては、前記水平方向の視点数Mと垂直方向の視点数Nを含む前記画像データの構造に従って、前記分離された画像データを3次元表示に適したデータ形式に変換する、
f.画像データ再生方法。」

3.3 対比
補正後の発明と引用発明とを対比する
(1) 補正後の発明の構成要件Aと引用発明の構成要件aの対比
引用発明における、「画像データ」は、補正後の発明における「映像データ」に相当し、「3次元画像識別情報」は、上記第2の3.2 ウ.段落【0045】にあるように、その有無に応じて画像データの表示を3次元表示モードで表示するか、2次元表示モードで表示するかを切り替えるようにする情報であるから、補正後の発明における「二次元画像であるか三次元画像であるかを示す情報」であるといえる。
また、引用発明における、「制御情報」は、構成要件dにあるように「画像データの構造」を含む情報であるといえるから、引用発明における「制御情報」は、補正後の発明の「映像特性パラメータ」に相当する。
そして、引用発明における「3次元画像データ」は、補正後の発明における「映像データ」及び「映像特性パラメータ」にそれぞれ相当する「画像データ」及び「制御情報」を含むことから、補正後の発明における「映像信号」に相当する。
また、引用発明の「画像データ再生方法」においてデータを「入力する」ことは、当該「画像データ再生方法」においてデータを「受取」ることであるといえる。
一方、補正後の発明においては、「二次元映像であるか三次元映像であるかを示す情報」が「映像特性パラメータ」に含まれるのに対し、引用発明においては「3次元画像識別情報」が「制御情報」に含まれていない点で相違する。
また、補正後の発明においては、「映像信号」を「受取り、かつ、復元する」ステップであるのに対し、引用発明においては、「3次元画像データを入力」することは特定されているものの、入力することと併せて「復元する」ことについて特定されていない点で相違する。
したがって、補正後の発明における構成要件A「映像データと映像特性パラメータを含む映像信号とを受取り、かつ、復元するステップであり、復元された映像データと復元された映像信号を得るために、該映像特性パラメータは該映像データが二次元映像であるか三次元映像であるかを示す情報を含んでいるステップ」は、引用発明の構成要件a「3次元画像識別情報、制御情報、及び画像データを含む3次元画像データを入力」することと、「映像データと映像特性パラメータを含む映像信号とを受取るステップであり、該映像信号は該映像データが二次元映像であるか三次元映像であるかを示す情報を含んでいるステップ」である点で共通する。
一方、「二次元映像であるか三次元映像であるかを示す情報」が、補正後の発明においては、「映像特性パラメータ」に含まれるのに対し、引用発明においては、「制御情報」に含まれていない点、及び、補正後の発明においては、「映像信号」を「受取り、かつ、復元するステップ」であるのに対し、引用発明においては、「3次元画像データを入力」することは特定されているものの、入力することと併せて「復元する」ことについて特定されていない点、で相違する。

(2) 補正後の発明の構成要件Bと引用発明の構成要件bの対比
上記(1)で検討したように、引用発明における「3次元画像情報」及び「制御情報」は、補正後の発明における「映像信号」及び「映像特性パラメータ」にそれぞれ相当することから、引用発明において、「入力された3次元画像データを解析し、制御情報」を「分離」することは、補正後の発明における「映像信号を受取り、かつ、映像特性パラメータを検出する」ことに相当する。
一方、受取る「映像信号」について、補正後の発明においては、構成要件Aで特定される「復元」がなされた「映像信号」であるのに対し、引用発明においては、上記(1)で検討したように構成要件aにおいて「復元」することについて特定されていないために、「3次元画像データ」が「復元された」ものであることが特定されていない点で相違する。
したがって、補正後の発明の構成要件B「前記復元された映像信号を受取り、かつ、前記映像特性パラメータを検出するステップ」は、引用発明の構成要件bにおける「前記入力された3次元画像データを解析」し、「前記制御情報」を「分離」することと、「前記映像信号を受取り、かつ、前記映像特性パラメータを検出するステップ」である点で共通し、映像特性パラメータを検出する際に受取る「映像信号」について、補正後の発明においては、構成要件Aで特定される「復元」がなされた「映像信号」であるのに対し、引用発明においては、上記(1)で検討したように構成要件aにおいて「復元」することについて特定されていないために、「3次元画像データ」が「復元された」ものであることが特定されていない点で相違する。

(3) 補正後の発明の構成要件Cと引用発明の構成要件cの対比
引用発明における、「前記分離された制御情報に従」うことは、補正後の発明における「前記映像特性パラメータに従」うことに相当する。
また、引用発明の「前記分離された画像データを変換し、前記画像データが圧縮符号化されていた場合は、前記画像データの復号も同時に行い、変換された画像データを3次元画像として表示する」ことにおける、「変換」及び「復号」して「表示する」ことは、「画像データ」の表示のための処理である点で、補正後の発明における「ディスプレイするステップ」と共通する。
ここで、引用発明における、圧縮符号化された画像データの「復号」は、圧縮符号化される前の画像データに「復元」することであるといえる。
一方、「映像データ」の「復元」について、補正後の発明においては、「前記」された「復元」、すなわち構成要件Aで特定される「復元」であるのに対し、引用発明においては、上記(1)で検討したように構成要件aにおいて「復元」することについて特定されておらず、「画像データ」の「変換」に際しての「復号」である点で相違する。
したがって、補正後の発明の構成要件C「前記映像特性パラメータに従って前記復元された映像データをディスプレイするステップ」は、引用発明の構成要件c「前記分離された制御情報に従って、前記分離された画像データを変換し、前記画像データが圧縮符号化されていた場合は、前記画像データの復号も同時に行い、変換された画像データを3次元画像として表示する」ことと、「前記映像特性パラメータに従って復元された前記映像データをディスプレイするステップ」である点で共通し、「映像データ」の「復元」について、補正後の発明においては、「前記」された「復元」、すなわち構成要件Aで特定される「復元」であるのに対し、引用発明においては、上記(1)で検討したように構成要件aにおいて「復元」することについて特定されておらず、「画像データ」の「変換」に際しての「復号」である点で相違する。

(4) 補正後の発明の構成要件Dと引用発明の構成要件dの対比
引用発明の「画像データの構造」は、上記第2の3.2 エ.の段落【0058】に記載されているように、画像データが図13(e)、(f)等に示されるどの構成をとるかを示すパラメータであることから、本願明細書段落【0027】に示されるように、映像がトップダウンフォーマット、サイド-バイ-サイドフォーマット等の何れのフォーマットかを示す情報である補正後の発明における「三次元映像のディスプレイフォーマットに関する情報」に相当することは明らかである。
また、上記第2の3.2 エ.の段落【0060】段に視点の異なる画像データが撮影によって得られたものであることも記載されていることから、引用発明の「水平方向の視点数Mと垂直方向の視点数N」は補正後の発明の「撮像視点数情報」に相当する。
そして、引用発明の「制御情報」は「画像データの構造」中に「水平方向の視点数Mと垂直方向の視点数N」を含むことから、「画像データの構造」と「水平方向の視点数Mと垂直方向の視点数N」の両方を含むといえ、補正後の発明における「前記三次元映像のディスプレイフォーマットに関する情報、または、三次元映像の撮像視点数情報をさらに含」む「映像特性パラメータ」に相当する。
したがって、補正後の発明の構成要件D「前記映像データが三次元映像である場合、前記映像特性パラメータは前記三次元映像のディスプレイフォーマットに関する情報、または、三次元映像の撮像視点数情報をさらに含」むことは、引用発明の構成要件d「前記画像データが3次元画像の場合、前記制御情報は画像データの構造を含み、前記画像データの構造は水平方向の視点数Mと垂直方向の視点数Nを含」むことに相当する。

(5) 補正後の発明の構成要件Eについて
「映像データ」の「復元」に関し、補正後の発明においては、「前記映像データの時間的空間的な相関性を考慮して前記映像データをもとのデータに復元」するのに対して、引用発明においては、そのような特定がない点で相違する。

(6) 補正後の発明の構成要件Fと引用発明の構成要件eの対比
引用発明における、「3次元表示に適したデータ形式」が補正後の発明におけるディスプレイするための「所定方式」に相当することは明らかである。
また、引用発明において、画像データを「変換」して、「表示する」際に従う「画像データの構造」及び「水平方向の視点数Mと垂直方向の視点数N」は、上記(4)で検討したとおり、補正後の発明において、映像データを「ディスプレイする」際に従う「三次元映像のディスプレイフォーマットに関する情報」及び「撮像視点数情報」に相当する。
したがって、補正後の発明の構成要件F「前記復元された映像データをディスプレイするステップは、前記三次元映像のディスプレイフォーマットに関する情報、または、三次元映像の撮像視点数情報に従って、前記復元された映像データを所定方式に変換してディスプレイする」ことは、引用発明の構成要件e「前記分離された画像データの変換に際しては、前記水平方向の視点数Mと垂直方向の視点数Nを含む前記画像データの構造に従って、前記分離された画像データを3次元表示に適したデータ形式に変換する」ことと、「前記映像データをディスプレイするステップは、前記三次元映像のディスプレイフォーマットに関する情報、または、三次元映像の撮像視点数情報に従って、前記映像データを所定方式に変換してディスプレイする」点で共通し、(3)で検討したように、ディスプレイする「映像データ」について、補正後の発明においては、構成要件Aで特定される「復元」がなされた「映像データ」であるのに対し、引用発明においては、上記(1)で検討したように構成要件aにおいて「復元」することについて特定されていないために、「画像データ」が「復元された」ものであることが特定されていない点で相違する。

(7) 補正後の発明の構成要件Gと引用発明の構成要件fの対比
引用発明における「画像データ再生方法」は、上記(3)で検討したように、補正後の発明における「復元」に相当する処理を含む方法であることから、上記(1)乃至(3)、及び(5)、(6)で検討した相違点を除き、補正後の発明の「復元方法」に相当する。

したがって、補正後の発明と引用発明とは、以下の点で一致ないし相違している。

(一致点)
「 映像データと映像特性パラメータを含む映像信号とを受取るステップであり、該映像信号は該映像データが二次元映像であるか三次元映像であるかを示す情報を含んでいるステップと、
前記映像信号を受取り、かつ、前記映像特性パラメータを検出するステップと、
前記映像特性パラメータに従って復元された前記映像データをディスプレイするステップと、を含み、
前記映像データが三次元映像である場合、前記映像特性パラメータは前記三次元映像のディスプレイフォーマットに関する情報、または、三次元映像の撮像視点数情報をさらに含み、
前記映像データをディスプレイするステップは、前記三次元映像のディスプレイフォーマットに関する情報、または、三次元映像の撮像視点数情報に従って、前記映像データを所定方式に変換してディスプレイする、
ことを特徴とする復元方法」

(相違点)
(ア) 「二次元映像であるか三次元映像であるかを示す情報」が、補正後の発明においては、「映像特性パラメータ」に含まれるのに対し、引用発明においては、「制御情報」に含まれていない点。

(イ) 補正後の発明においては、「映像信号」を「受取り、かつ、復元するステップ」で「復元」を行い、後段のステップである「前記復元された映像信号を受取り、かつ、前記映像特性パラメータを検出するステップ」、及び「前記復元された映像データをディスプレイするステップ」では前記「受取り、かつ、復元するステップ」で「復元」された信号を用いるのに対し、引用発明においては、最初に「3次元画像データ」の「入力」は行うものの、「復号」は行わず、後段の「画像データ」の「変換」に際して「復号」を行う点。

(ウ) 「映像データ」の「復元」に関し、補正後の発明においては、「前記映像データの時間的空間的な相関性を考慮して前記映像データをもとのデータに復元」するのに対して、引用発明においては、そのような特定がない点。

3.4 当審の判断
(1) 相違点(ア)について
映像データに対する関連情報を映像信号中においてどのようにまとめるかは適宜設定しうる設計的事項に過ぎないことから、引用発明における二次元映像であるか三次元映像であるかを示す情報(3次元画像識別情報)を映像特性パラメータ(制御情報)中に含めるようにすることは、当業者であれば容易に想到しうるものである。
よって、相違点(ア)は格別なものではない。

(2) 相違点(イ)について
一連の処理をどの順番で行うかは適宜設定しうる設計的事項に過ぎず、映像データの復元に際して関連情報をともに復元することも周知技術に過ぎないことから、引用発明においても、最初に映像信号(3次元画像データ)、すなわち映像データ(画像データ)、及び関連する映像特性パラメータ(制御情報)を入力するに際して、併せてその復元(復号)を行うようにすることは、当業者であれば容易に想到しうるものである。
よって相違点(イ)は格別なものではない。

(3) 相違点(ウ)について
映像データを時間的空間的な相関性を考慮して圧縮符号化することも、対応して時間的空間的な相関性を考慮して復号することも、何れもMPEG2等周知技術に過ぎないことから、引用発明においても、映像データ(画像データ)の復元(復号)として、周知の時間的空間的な相関性を考慮した復元(復号)を行うようにすることは単なる周知術の付加に過ぎず、当業者であれば容易に想到しうるものである。
よって、相違点(ウ)は格別なものではない。

以上のとおり、各相違点は格別なものではない。
そして、補正後の発明に関する作用・効果も、引用発明及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。

したがって、補正後の発明は引用発明乃至3及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

4.結語
以上のとおり、本件補正は、補正後の発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


第3 本願発明について
1.本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願発明は上記「第2 補正却下の決定」の「1.本願発明と補正後の発明」の項で「本願発明」として認定したとおりである。

2.引用発明
引用発明は、上記「第2 補正却下の決定」の項中の「3.独立特許要件について」の「3.2 引用発明」の項で認定したとおりである。

3.対比・判断
そこで、本願発明と引用発明とを対比するに、本願発明は補正後の発明から、本件補正に係る構成を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成に本件補正に係る限定を付加した補正後の発明が、上記「第2 補正却下の決定」の項中の「3.独立特許要件について」の項で検討したとおり、引用発明及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、補正後の発明から本件補正に係る限定を省いた本願発明も、同様の理由により、容易に発明できたものである。

4.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

よって結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-07-07 
結審通知日 2015-07-14 
審決日 2015-07-27 
出願番号 特願2012-58901(P2012-58901)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 佐野 潤一  
特許庁審判長 藤井 浩
特許庁審判官 清水 正一
豊島 洋介
発明の名称 映像送信及び受信方法と装置、及びその伝送ストリーム構造  
代理人 大貫 進介  
代理人 伊東 忠重  
代理人 伊東 忠彦  

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